JP2012084306A - 有機el装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機EL素子自体、とくにその一部を構成する電子注入層が劣化しにくく、また、高いガスバリア性を備え、フィルムを屈曲させたときにもガスバリア性が低下しにくく、簡易な工程で短時間で形成することが可能なフィルムを備える有機EL装置を提供する。
【解決手段】有機EL素子と、第1のフィルムとを有する有機EL装置であって、前記電子注入層はイオン性ポリマーを含み、前記第1のフィルムは、珪素、酸素及び炭素を含有するガスバリア層を有しており、前記ガスバリア層は、珪素原子の量の比率(珪素の原子比)、酸素原子の量の比率(酸素の原子比)及び炭素原子の量の比率(炭素の原子比)と、膜厚方向における前記ガスバリア層の一方の表面からの距離との関係をそれぞれ示す珪素分布曲線、酸素分布曲線及び炭素分布曲線が条件(i)〜(iii)を満たす、有機EL装置に関する。
【選択図】図1

Description

本発明は有機EL装置、照明装置、面状光源、および表示装置に関する。
有機EL(Electro Luminescence)素子は複数の薄膜が積層されて構成されており、各薄膜の厚さや材料などを適宜設定することによって、素子自体に可撓性を付与することができる。このような有機EL素子をフレキシブルなフィルム上に設けた場合、有機EL素子が搭載された装置全体をフレキシブルな装置とすることもできる。
有機EL素子は外気に曝されることによって劣化する。とくに有機EL素子の一部を構成する電子注入層は、酸素や水分と容易に反応するLiやNaを含む場合が多く、外気に曝されることによって容易に劣化する。そのため通常有機EL素子は、酸素や水分などを透過しにくい、ガスバリア性の高いフィルム上に設けられる。このようなガスバリア性の高いフィルムとして、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素および酸化アルミニウムなどの無機酸化物からなる薄膜をプラスチック基材上に成膜したものが提案されている。
無機酸化物からなる薄膜をプラスチック基材上に成膜する方法としては、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法等の物理気相成長法(PVD)、減圧化学気相成長法、プラズマ化学気相成長法等の化学気相成長法(CVD)が知られている。このような成膜方法を用いたガスバリア性の高いフィルムとして、たとえば特開平4−89236号公報(特許文献1)には、ケイ素酸化物の蒸着膜を2層以上積層した積層蒸着膜層が設けられたフィルムが開示されている。
しかしながら特許文献1に記載のフィルムはガスバリア性が不十分である上に、フィルムを屈曲させることによって、ガスバリア性が低下するという問題があった。
そこでガスバリア性を高めるとともに、屈曲させたときのガスバリア性の低化を抑制することが可能なバリアフィルムとして、たとえばセラミック系の無機バリア膜とポリマー膜とを交互に積層したフィルムが特表2002−532850号(特許文献2)に開示されている。しかしながら特許文献2記載のフィルムは無機バリア膜とポリマー膜とを交互に積層するものであり、製造工程が複雑で製造時間が長いという問題があった。
特開平4−89236号公報 特表2002−532850号公報
以上の問題から、本発明の目的は、有機EL素子自体、とくにその一部を構成する電子注入層が劣化しにくく、また、高いガスバリア性を備え、フィルムを屈曲させたときにもガスバリア性が低下しにくく、簡易な工程で短時間で形成することが可能なフィルムを備える有機EL装置を提供することである。
本発明は、一対の電極、前記電極間に設けられる発光層、および前記電極間に設けられる電子注入層を有する有機EL素子と、第1のフィルムとを有する有機EL装置であって、
前記電子注入層はイオン性ポリマーを含み、
前記第1のフィルムは、珪素、酸素及び炭素を含有するガスバリア層を有しており、
前記ガスバリア層は、珪素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する珪素原子の量の比率(珪素の原子比)、酸素原子の量の比率(酸素の原子比)及び炭素原子の量の比率(炭素の原子比)と、膜厚方向における前記ガスバリア層の一方の表面からの距離との関係をそれぞれ示す珪素分布曲線、酸素分布曲線及び炭素分布曲線が下記条件(i)〜(iii)を満たす、有機EL装置に関する。
(i)ガスバリア層の膜厚方向の90%以上の領域において、珪素、酸素および炭素の原子比のうちで、珪素の原子比が2番目の値であること
(ii)前記炭素分布曲線が少なくとも1つの極値を有すること
(iii)前記炭素分布曲線における炭素の原子比の最大値及び最小値の差の絶対値が5at%以上であること
また本発明は、一対の電極と、前記電極間に設けられる発光層と、前記電極間に設けられる電子注入層とを有する有機EL素子を形成する工程と、
珪素、酸素及び炭素を含有するガスバリア層を有する第1のフィルムを形成する工程と、
前記有機EL素子を介在させて、前記第1のフィルムと第2のフィルムとを貼合する工程とを有し、
前記有機EL素子を形成する工程では、イオン性ポリマーを含む電子注入層を形成し、
前記第1のフィルムを形成する工程では、珪素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する珪素原子の量の比率(珪素の原子比)、酸素原子の量の比率(酸素の原子比)及び炭素原子の量の比率(炭素の原子比)と、前記膜厚方向における前記保護膜の一方の表面からの距離との関係をそれぞれ示す珪素分布曲線、酸素分布曲線及び炭素分布曲線が下記条件(i)〜(iii)を満たすガスバリア層を形成する、有機EL装置の製造方法に関する。
(i)保護膜の膜厚方向の90%以上の領域において、珪素、酸素および炭素の原子比のうちで、珪素の原子比が2番目の値であること
(ii)前記炭素分布曲線が少なくとも1つの極値を有すること
(iii)前記炭素分布曲線における炭素の原子比の最大値及び最小値の差の絶対値が5at%以上であること
本発明によれば、イオン性ポリマーを含有する電子注入層を設けることによって外気による劣化が抑制された有機EL素子、および高いガスバリア性を備え、フィルムを屈曲させたときにもガスバリア性が低下しにくく、簡易な工程で短時間で形成することが可能なフィルムを備える有機EL装置を実現することができる。
本発明の実施形態の有機EL装置を示す図である。 本発明の実施形態の有機EL装置を示す図である。 本発明の有機EL装置を製造するための装置の概念図である。 第1のフィルムを製造する装置の一実施形態を示す模式図である。 参考例A1で得られた第1のフィルムにおける珪素分布曲線、酸素分布曲線及び炭素分布曲線を示すグラフである。 参考例A1で得られた第1のフィルムにおける珪素分布曲線、酸素分布曲線、炭素分布曲線及び酸素炭素分布曲線を示すグラフである。 参考例A2で得られた第1のフィルムにおける珪素分布曲線、酸素分布曲線、炭素分布曲線及び酸素炭素分布曲線を示すグラフである。 参考例A2で得られた第1のフィルムにおける珪素分布曲線、酸素分布曲線、炭素分布曲線及び酸素炭素分布曲線を示すグラフである。 参考例A3で得られた第1のフィルムにおける珪素分布曲線、酸素分布曲線及び炭素分布曲線を示すグラフである。 参考例A3で得られた第1のフィルムにおける珪素分布曲線、酸素分布曲線、炭素分布曲線及び酸素炭素分布曲線を示すグラフである。 参考比較例A1で得られた第1のフィルムにおける珪素分布曲線、酸素分布曲線及び炭素分布曲線を示すグラフである。 参考比較例A1で得られた第1のフィルムにおける珪素分布曲線、酸素分布曲線、炭素分布曲線及び酸素炭素分布曲線を示すグラフである。
本発明の有機EL装置は、一対の電極、前記電極間に設けられる発光層、および前記電極間に設けられる電子注入層を有する有機EL素子と、第1のフィルムとを有する有機EL装置であって、前記電子注入層はイオン性ポリマーを含み、前記第1のフィルムは、珪素、酸素及び炭素を含有するガスバリア層を有する、有機EL装置である。
有機EL装置は通常支持基材に設けられる。また有機EL装置は、有機EL素子を介在させて、支持基材と貼合される封止部材をさらに備えることがある。本発明の第1のフィルムは、有機EL素子が設けられる支持基材として用いられても、支持基材と貼合される封止部材として用いられてもよい。以下では、支持基材としてさらに第2のフィルムを備える有機EL素子であって、かつ第1のフィルムが封止部材として設けられる形態について説明する。
有機EL装置に搭載される有機EL素子はつぎの3つの型の素子に大別することができる。すなわち(I)当該有機EL素子が搭載される支持基材に向けて光を出射するいわボトムエミッション型の素子、(II)支持基材とは反対側に向けて光を出射するいわゆるトップエミッション型の素子、(III)支持基材に向けて光を出射するとともに、支持基材とは反対側に向けて光を出射する両面発光型の素子とに大別することができる。本発明はいずれの型の素子にも適用することが可能である。以下では一例としてまず図1を参照してトップエミッション型の素子が設けられた有機EL装置について説明し、つぎに図2を参照してボトムエミッション型の素子が設けられた有機EL装置について説明する。
図1は本実施形態の有機EL装置を模式的に示す断面図である。図1に示す実施形態の有機EL装置13は、第2のフィルム1上に有機EL素子2が搭載されている。第1のフィルム11は、この有機EL素子2を介在させて第2のフィルム1上に配置されており、前記第2のフィルム1とともに前記有機EL素子2を封止する。第1のフィルム11と第2のフィルム1とは、接着層4を介して貼り合わされている。また有機EL素子2は必要に応じて保護層3によって覆われる。この保護層3を設けることによって、接着層4から有機EL素子2を保護することができる。
図1に示す本実施形態の有機EL素子2はトップエミッション型の素子であり、光を第1のフィルム11に向けて出射する。そのため第1のフィルム11は光を透過する部材によって構成する必要がある。他方、本実施形態において支持基材に相当する第2のフィルム1は光を透過しない不透明な部材によって構成してもよい。
第2のフィルム1にはプラスチックフィルムや金属フィルムを使用することができ、金属フィルムを用いることが好ましい。金属フィルムはプラスチックフィルムなどに比べるとガスバリア性が高いため、有機EL装置のガスバリア性を高めることができる。金属フィルムの材料としては、たとえばAl、Cu、Feなどからなる薄板やステンレス鋼などの合金からなる薄板を用いることができる。
第1のフィルム11は、珪素、酸素及び炭素を含有するガスバリア層5を有する。本実施形態では第1のフィルム11は、基材6と、この基材6上に設けられるガスバリア層5から構成される。ガスバリア層5は、後述するが、後述の条件(i)〜(iii)を満たすことによって、高いガスバリア性を備え、さらに屈曲したさいのガスバリア性の低下を抑制することができる。
このような第1のフィルム11と第2のフィルム1とによって有機EL素子2を封止することにより、フレキシブルで、十分な耐久性とガスバリア性を兼ね備えた有機EL装置を実現することができる。とくに第2のフィルム1に金属フィルムを用いた場合には、第1のフィルム11と第2のフィルム1の両方が高いガスバリア性を示すので、より高い耐久性とガスバリア性を兼ね備えた有機EL装置を実現することができる。
さらに本実施形態の有機EL素子は、イオン性ポリマーを含む電子注入層を備える。後述するように本発明のイオン性ポリマーを含む電子注入層は、LiやNaを含む従来の電子注入層に比べると外気によって劣化し難いため、上述のガスバリア性の高い第1のフィルム11と第2のフィルム1とによって封止されることによって、より劣化し難い有機EL装置13を実現することができる。
このようにイオン性ポリマーを含む電子注入層を備える有機EL素子は大気中で安定なので、大気中での劣化がきわめてゆるやかに進行するため、従来では必須であった保護膜を必ずしも形成する必要がなく、そのため有機EL素子の製造工程数を削減することができる。
さらに有機EL素子を形成した後、封止工程終了までの搬送工程や封止工程を、たとえ大気中で行ったとしてもその間の有機EL素子が劣化しにくいため、従来では真空中または不活性ガス雰囲気中において封止工程を行っていたところを、大気中で行うことができ、従来、真空あるいは不活性ガス雰囲気を準備するために必要であった大型で複雑な製造装置が不要となる。とくにいわゆるロールツーロール法で第1のフィルムと第2のフィルムとを貼合する場合、従来では連続貼合装置のような大型な装置を真空雰囲気下や不活性ガス雰囲気下に置くための大型で複雑な製造装置が必要であったが、これが不要となり、極めて単純な装置で有機EL装置を製造することが可能となる。
図2は本発明の他の実施形態の有機EL装置13を模式的に示す断面図である。図2に示す実施形態の有機EL装置13は、図1に示す実施形態とは有機EL素子2と、第2のフィルム1とが異なる。すなわち本実施形態の有機EL素子2は、ボトムエミッション型の素子であり、支持基材に相当する第2のフィルム1に向けて光を出射する。そのため第2のフィルム1は光透過性を示すフィルムである必要がある。
本実施形態の第2のフィルム1は光透過性を示すフィルムであればとくに制限はないが、ガスバリア性の観点から、第1のフィルム11と同様に、珪素、酸素及び炭素を含有する第2のガスバリア層8を有することが好ましい。本実施形態では第2のフィルム1は、基材7と、この基材7上に設けられる第2のガスバリア層8から構成される。この第2のガスバリア層8は、後述するが、第1のフィルム1のガスバリア層5と同様に、後述の条件(i)〜(iii)を満たすことによって、高いガスバリア性を備え、さらに屈曲したさいのガスバリア性の低下を抑制することができる。
このような第1のフィルム11と第2のフィルム1ととによって有機EL素子2を封止することにより、フレキシブルで、十分な耐久性とガスバリア性を兼ね備えた有機EL装置を実現することができる。
またイオン性ポリマーを備える有機EL素子は大気中で安定なため、前述の実施形態と同様、極めて単純な装置で有機EL装置を製造することが可能となる。
なお図2に示す実施形態の有機EL装置において、ボトムエミッション型の有機EL素子にかえて、両面発光型の有機EL素子を設けてもよい。
さらに、第2のフィルムを封止部材として用い、ガスバリア層を有する第1のフィルムを支持基材として用い、この第1のフィルムと第2のフィルムとによって有機EL素子を封止した有機EL装置を構成してもよい。
またたとえば図1および図2に示す実施形態において、第2のフィルムおよび/または第1のフィルムに付加的なフィルムをさらに貼合してもよい。付加的なフィルムとしては、有機EL装置の表面を保護する保護フィルム、有機EL装置に入射する外光の反射を防止する反射防止フィルム、光取出し効率を高める作用を有する光取出しフィルム、光の位相や偏光を調整するための光学機能性フィルムや、これらを積層した光学フィルムなどが挙げられる。付加的なフィルムは第2のフィルムおよび/または第1のフィルムの表面上に貼合される。
(接着層)
接着層は、有機EL素子を介して第1のフィルムと第2のフィルムとを接着する層である。接着層に用いられる接着剤には、ガスバリア性の高いものを用いることが好ましい。また図1に示すような、有機EL素子2から出射する光が、接着層4を通って外界に出射する構成の有機EL装置では、接着層4も光透過率が高いことが好ましい。この場合、光取出し効率の観点からは、接着層4に接する層と、接着層4との屈折率の差の絶対値は小さいほうが好ましい。
接着層に利用可能な接着剤としては、熱硬化性接着剤または光硬化性接着剤などの硬化性接着剤が好適に用いられる。
熱硬化性樹脂接着剤としては、エポキシ系接着剤、アクリレート系接着剤などをあげることができる。
エポキシ系接着剤としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂接着剤、ビスフェノールF型エポキシ樹脂接着剤、およびフェノキシ樹脂接着剤などをあげることができる。
アクリレート系接着剤としてはアクリル酸、メタクリル酸、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−ヘキシルアクリレート、アクリルアミド、アクリロニトリル、ヒドロキシルアクリレートなどを主成分とし、該主成分に該主成分と共重合可能なモノマーを共重合したポリマーなどを挙げることができる。
光硬化性接着剤としては、ラジカル系接着剤、カチオン系接着剤などを挙げることができる。
ラジカル系接着剤としては、エポキシアクリレート、エステルアクリレート、およびエステルアクリレートなどを挙げることができる。
カチオン系接着剤としては、エポキシ系樹脂、ビニルエーテル系樹脂などを挙げることができる。
(保護層)
保護層は、有機EL素子を覆うように設けられる。この保護層を設けることによって有機EL素子を接着層から保護することができる。
有機EL素子を構成する電子注入層や陰極は通常、大気中で不安定な材料を主成分として含むため、有機EL素子を形成した後、第1のフィルムを貼合して、当該有機EL素子を封止するまでの間に、電子注入層や陰極が雰囲気中の水分や酸素などによって劣化するおそれがある。そのため保護層は、第1のフィルムによって有機EL素子が封止されるまでの間に、雰囲気中の水分や酸素などを遮断し、これらから有機EL素子を保護する機能を有することが好ましい。
保護層に用いられる材料としては、大気中で安定な金属材料、バリア性の優れた無機絶縁性材料、有機絶縁性材料などがあげられる。金属材料としては、Al、Cu、Ag、Au、Pt、Ti、Cr、CoおよびNiなどが用いられる。無機絶縁材料としては、SiO、SiN、SiOxNy、SiOxCyなどが用いられる。有機絶縁材料としては、パリレンなどが用いられる。
保護層は、金属材料を用いる場合、真空蒸着法、スパッタリング法、メッキ法などによって形成され、無機絶縁材料を用いる場合、スパッタリング法、CVD法、レーザーアブレーション法などによって形成され、有機絶縁材料を用いる場合、モノマーガスの真空蒸着と被コーティング表面での重合による製膜法によって形成される。
(有機EL装置の製造方法)
以下、図3を参照して有機EL装置の製造方法について説明する。
まず有機EL素子がその上に形成された第2のフィルム1を用意する。この第2のフィルム1は、有機EL素子がその上に形成された後、ロール状に巻き取られ、一旦保管されたものである。この保管は、例えば真空中、不活性ガス雰囲気中、大気中雰囲気中において行うことができる。なかでも不活性ガス雰囲気中または大気中雰囲気中で行うことが好ましく、大気中雰囲気で行うことがさらに好ましい。本実施形態の有機EL素子は前述したように大気による劣化がゆるやかに進行するため、大気中で保管することが可能であり、大気中で保管する場合、有機EL装置を作製するための装置が複雑にならず、簡易な工程で有機EL装置を製造することができるためである。
なお本実施形態では、第2のフィルム1上に予め有機EL素子が形成されたフィルムと、第1のフィルムとを貼り合せる形態について説明するが、他の実施形態では、第1のフィルム上に予め有機EL素子を形成し、この第1のフィルムと第2のフィルムとを貼り合わせてもよい。
図3は有機EL装置を製造する装置を概略的に示す図である。図3に示す実施形態では、有機EL素子がその上に形成された第2のフィルム1と、第1のフィルム11とを貼り合わせ、さらに付加的なフィルム820を第1のフィルム11に貼り合わせている。
巻き出しロール500は、有機EL素子が予めそのうえに形成された第2のフィルム1を送りだす。巻き出しロール510は第1のフィルム11を送り出す。巻き出しロール500から送りだされた第2のフィルム1上には、第1接着層塗布装置610によって第1接着層が塗布形成される。その後、有機EL素子2を介して第1のフィルム11と前記第2のフィルム1とを重ねた状態で、これを2つのロール(第1貼り合せロール511,512)間を通過させることにより、第1のフィルム11と第2のフィルム1とが第1接着層を介して貼り合わされ、さらに第1接着剤硬化装置611によって、第1接着層が固化させる。
本実施形態では、第1のフィルム11上に、さらに第2接着層塗布装置610によって第2接着層が塗布形成されるとともに、巻き出しロール520からは付加的なフィルム820が送り出される。そして第2貼り合わせロール521,522によって、第1のフィルム11と付加的なフィルム820とが第2接着層を介して貼り合わされ、さらに第2接着剤効果装置621によって、第2接着層が固化され、有機EL装置が作製されることになる。その後、有機EL装置は巻き取りロール530によって巻きとられる。
以上の貼り合わせ工程は、例えば真空中、不活性ガス雰囲気中、大気中雰囲気中において行うことができる。なかでも不活性ガス雰囲気中または大気中雰囲気中で行うことが好ましく、大気中雰囲気で行うことがさらに好ましい。本実施形態の有機EL素子は前述したように大気による劣化がゆるやかに生じるため、大気中で貼り合わせ工程を行うことが可能であり、大気中で貼り合わせ工程を行う場合、有機EL装置を作製するための装置が複雑にならず、簡易な工程で有機EL装置を製造することができるためである。
第1のフィルム11と第2のフィルム1とが貼り合わされた後、巻き取りロール530によって巻き取られた有機EL装置は、保管されるが、この保管は、例えば真空中、不活性ガス雰囲気中、大気中雰囲気中において行うことができる。なかでも不活性ガス雰囲気中または大気中雰囲気中で行うことが好ましく、大気中雰囲気で行うことがさらに好ましい。本実施形態の有機EL素子は前述したように大気による劣化がゆるやかに生じ、またガスバリア性の高い第1のフィルム11と第2のフィルム1とによって封止されているため、大気中で保管することが可能であり、大気中で保管する場合、有機EL装置を作製するための装置が複雑にならず、簡易な工程で有機EL装置を製造することができるためである。
なお図3に示す実施の形態では、有機EL素子が形成された第2のフィルムが一旦巻き取られて保管されているが、このような形態に限らず、第2のフィルム上に有機EL素子を形成した後にフィルムを巻き取ることなくそのまま連続して第2のフィルムを貼合してもよい。
付加的なフィルムとしてはたとえば前述のものが用いられる。なお本実施形態では1枚の付加的なフィルムが貼り合わされる形態について説明したが、2枚以上の付加的なフィルムを順次貼合してもよい。なお3枚以上のフィルムを貼り合せる場合、貼り合せる順序は有機EL装置の積層順に応じて適宜変更される。
(第1のフィルム)
つぎに第1のフィルム11について説明する。本発明の有機EL装置の特徴は、第1のフィルムと電子注入層を構成するイオン性ポリマーとにある。以下ではまず第1のフィルムのガスバリア層について説明する。
第1のフィルムは、珪素、酸素及び炭素を含有するガスバリア層を有する。このガスバリア層は、珪素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する珪素原子の量の比率(珪素の原子比)、酸素原子の量の比率(酸素の原子比)及び炭素原子の量の比率(炭素の原子比)と、前記ガスバリア層の膜厚方向における前記ガスバリア層の一方の表面からの距離との関係をそれぞれ示す珪素分布曲線、酸素分布曲線及び炭素分布曲線が下記条件(i)〜(iii)を満たす。
(i)ガスバリア層の膜厚方向の90%以上の領域において、珪素、酸素および炭素の原子比のうちで、珪素の原子比が2番目の値であること
(ii)前記炭素分布曲線が少なくとも1つの極値を有すること
(iii)前記炭素分布曲線における炭素の原子比の最大値及び最小値の差の絶対値が5at%以上であること
なお(i)の条件は、換言すると、ガスバリア層の膜厚方向の90%以上の領域において、下記式(1)または下記式(2)を満たすことを意味する。
(酸素の原子比)>(珪素の原子比)>(炭素の原子比)・・・(1)
(炭素の原子比)>(珪素の原子比)>(酸素の原子比)・・・(2)
<第1のフィルムの基材>
上述のガスバリア層は通常、基材上に形成される。すなわち第1のフィルムは、基材と、この基材上に形成されるガスバリア層を含んで構成される。第1のフィルムの基材としては、無色透明な樹脂からなるフィルム又はシートが挙げられる。このような基材に用いる樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、環状ポリオレフィン等のポリオレフィン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物;ポリアクリロニトリル系樹脂;アセタール系樹脂;ポリイミド系樹脂が挙げられる。これらの樹脂の中でも耐熱性が高く線膨張率が小さく製造コストが低いという観点から、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、PET、PENがとくに好ましい。またこれらの樹脂は1種を単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
第1のフィルムの基材の厚みは、本発明の第1のフィルムを製造する際の安定性を考慮して適宜に設定することができる。前記第1のフィルムの基材の厚みとしては、真空中においてもフィルムの搬送が可能であるという観点から、5〜500μmの範囲であることが好ましく。さらに、プラズマCVD法によりガスバリア層を形成する場合には、前記第1のフィルムの基材を通して放電しつつ本発明にかかるガスバリア層を形成することから、前記第1のフィルムの基材の厚みが50〜200μmの範囲であることがより好ましく、50〜100μmの範囲であることが特に好ましい。
また前記第1のフィルムの基材には、後述するガスバリア層との密着性の観点から、第1のフィルムの基材の表面を清浄するための表面活性処理を施すことが好ましい。このような表面活性処理としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、およびフレーム処理が挙げられる。
<ガスバリア層>
本発明にかかるガスバリア層は、前記基材の少なくとも片面に形成される層である。第1のフィルムは、珪素、酸素及び炭素を含有し、上記条件(i)〜(iii)を全て満たすガスバリア層を少なくとも一層備えていればよい。たとえば第1のフィルムは上記条件(i)〜(iii)の少なくともいずれかを満たさない他の層を有していてもよく、前記ガスバリア層または他の層は、窒素、アルミニウムを更に含有していてもよい。
ガスバリア層は上記条件(i)〜(iii)の全てを満たす。
珪素の原子比、酸素の原子比及び炭素の原子比が前記条件(i)を満たさない場合には、得られる第1のフィルムのガスバリア性が不十分となる。上記(1)(2)式を満たす領域が、ガスバリア層の膜厚の90%以上を占めることが好ましく、より好ましくは95%以上であり特に好ましくは100%である。
またこのようなガスバリア層は、上記条件(ii)前記炭素分布曲線が少なくとも1つの極値を有することが必要である。このようなガスバリア層においては、前記炭素分布曲線が2つの極値を有することがより好ましく、3つ以上の極値を有することが特に好ましい。前記炭素分布曲線が極値を有さない場合には、得られる第1のフィルムを屈曲させた場合におけるガスバリア性が不十分となる。またこのように少なくとも3つの極値を有する場合において、前記炭素分布曲線の隣接する極値間の膜厚方向における距離が200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましい。なお本発明において極値とは、ガスバリア層の膜厚方向におけるガスバリア層の表面からの距離に対する元素の原子比の極大値又は極小値のことをいう。また本発明において極大値とは、ガスバリア層の表面からの距離を変化させた場合に元素の原子比の値が増加から減少に変わる点であって且つその点の元素の原子比の値よりも、該点からガスバリア層の膜厚方向におけるガスバリア層の表面からの距離を更に20nm変化させた位置の元素の原子比の値が3at%以上減少する点のことをいう。さらに本発明において極小値とは、ガスバリア層の表面からの距離を変化させた場合に元素の原子比の値が減少から増加に変わる点であり、且つその点の元素の原子比の値よりも、該点からガスバリア層の膜厚方向におけるガスバリア層の表面からの距離を更に20nm変化させた位置の元素の原子比の値が3at%以上増加する点のことをいう。
またこのようなガスバリア層は、上記条件(iii)前記炭素分布曲線における炭素の原子比の最大値及び最小値の差の絶対値が5at%以上であることが必要である。またこのようなガスバリア層においては、炭素の原子比の最大値及び最小値の差の絶対値が6at%以上であることがより好ましく、7at%以上であることが特に好ましい。前記絶対値が5at%未満では、得られる第1のフィルムを屈曲させた場合におけるガスバリア性が不十分となる。
(酸素分布曲線、極値)
本発明においては、前記ガスバリア層の前記酸素分布曲線が少なくとも1つの極値を有することが好ましく、少なくとも2つの極値を有することがより好ましく、少なくとも3つの極値を有することが特に好ましい。前記酸素分布曲線が極値を有さない場合には、得られる第1のフィルムを屈曲させた場合におけるガスバリア性が低下する傾向にある。また、このように少なくとも3つの極値を有する場合においては、前記酸素分布曲線の有する一つの極値及び該極値に隣接する極値における前記ガスバリア層の膜厚方向における前記ガスバリア層の表面からの距離の差の絶対値がいずれも200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましい。
(酸素分布曲線、最大と最小の差)
また本発明においては、前記ガスバリア層の前記酸素分布曲線における酸素の原子比の最大値及び最小値の差の絶対値が5at%以上であることが好ましく、6at%以上であることがより好ましく、7at%以上であることが特に好ましい。前記絶対値が前記下限未満では、得られる第1のフィルムを屈曲させた場合におけるガスバリア性が低下する傾向にある。
本発明においては、前記ガスバリア層の前記珪素分布曲線における珪素の原子比の最大値及び最小値の差の絶対値が5at%未満であることが好ましく、4at%未満であることがより好ましく、3at%未満であることが特に好ましい。前記絶対値が前記上限を超えると、得られる第1のフィルムのガスバリア性が低下する傾向にある。
(酸素炭素分布曲線、最大と最小の差)
また、本発明においては、前記ガスバリア層の膜厚方向における該層の表面からの距離と珪素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する酸素原子及び炭素原子の合計量の比率(酸素及び炭素の原子比)との関係を示す酸素炭素分布曲線において、前記酸素炭素分布曲線における酸素及び炭素の原子比の合計の最大値及び最小値の差の絶対値が5at%未満であることが好ましく、4at%未満であることがより好ましく、3at%未満であることが特に好ましい。前記絶対値が前記上限を超えると、得られる第1のフィルムのガスバリア性が低下する傾向にある。
前記珪素分布曲線、前記酸素分布曲線、前記炭素分布曲線及び前記酸素炭素分布曲線は、X線光電子分光法(XPS:Xray Photoelectron Spectroscopy)の測定とアルゴン等の希ガスイオンスパッタとを併用することにより、試料内部を露出させつつ順次表面組成分析を行う、いわゆるXPSデプスプロファイル測定により作成することができる。このようなXPSデプスプロファイル測定により得られる分布曲線は、例えば、縦軸を各元素の原子比(単位:at%)とし、横軸をエッチング時間(スパッタ時間)として作成することができる。なお、このように横軸をエッチング時間とする元素の分布曲線においては、エッチング時間は膜厚方向における前記ガスバリア層の膜厚方向における前記ガスバリア層の表面からの距離に概ね相関することから、「ガスバリア層の膜厚方向におけるガスバリア層の表面からの距離」として、XPSデプスプロファイル測定の際に採用したエッチング速度とエッチング時間との関係から算出されるガスバリア層の表面からの距離を採用することができる。また、このようなXPSデプスプロファイル測定に際して採用するスパッタ法としては、エッチングイオン種としてアルゴン(Ar)を用いた希ガスイオンスパッタ法を採用し、そのエッチング速度(エッチングレート)を0.05nm/sec(SiO熱酸化膜換算値)とすることが好ましい。
また、本発明においては、膜面全体において均一で且つ優れたガスバリア性を有するガスバリア層を形成するという観点から、前記ガスバリア層が膜面方向(ガスバリア層の表面に平行な方向)において実質的に一様であることが好ましい。本明細書において、ガスバリア層が膜面方向において実質的に一様とは、XPSデプスプロファイル測定によりガスバリア層の膜面の任意の2箇所の測定箇所について前記酸素分布曲線、前記炭素分布曲線及び前記酸素炭素分布曲線を作成した場合に、その任意の2箇所の測定箇所において得られる炭素分布曲線が持つ極値の数が同じであり、それぞれの炭素分布曲線における炭素の原子比の最大値及び最小値の差の絶対値が、互いに同じであるかもしくは5at%以内の差であることをいう。
さらに、本発明においては、前記炭素分布曲線は実質的に連続であることが好ましい。
本明細書において、炭素分布曲線が実質的に連続とは、炭素分布曲線における炭素の原子比が不連続に変化する部分を含まないことを意味し、具体的には、エッチング速度とエッチング時間とから算出される前記ガスバリア層の膜厚方向における該層の表面からの距離(x、単位:nm)と、炭素の原子比(c、単位:at%)との関係において、下記数式(F1):
−1.0 ≦(dc/dx)≦ 1.0 ・・・(F1)
で表される条件を満たすことをいう。
本発明における第1のフィルムは、上記条件(i)〜(iii)を全て満たすガスバリア層を少なくとも1層備えることが必要であるが、第1のフィルムは、上記条件(i)〜(iii)を全て満たすガスバリア層をさらに備えていてもよい。さらにこのようなガスバリア層を2層以上備える場合には、複数のガスバリア層の材質は、同一であってもよく、異なっていてもよい。また、このようなガスバリア層を2層以上備える場合には、このようなガスバリア層は前記基材の一方の表面上に形成されていてもよく、前記基材の両方の表面上に形成されていてもよい。また第1のフィルムは、ガスバリア性を必ずしも有しない薄膜層を含んでいてもよい。
また、前記珪素分布曲線、前記酸素分布曲線及び前記炭素分布曲線において、珪素の原子比、酸素の原子比及び炭素の原子比が、前記式(1)で表される条件を満たす場合には、前記ガスバリア層中における珪素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する珪素原子の含有量の原子比率は、25〜45at%であることが好ましく、30〜40at%であることがより好ましい。また、前記ガスバリア層中における珪素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する酸素原子の含有量の原子比率は、33〜67at%であることが好ましく、45〜67at%であることがより好ましい。さらに、前記ガスバリア層中における珪素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する炭素原子の含有量の原子比率は、3〜33at%であることが好ましく、3〜25at%であることがより好ましい。
さらに、前記珪素分布曲線、前記酸素分布曲線及び前記炭素分布曲線において、珪素の原子比、酸素の原子比及び炭素の原子比が、前記式(2)で表される条件を満たす場合には、前記ガスバリア層中における珪素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する珪素原子の含有量の原子比率は、25〜45at%であることが好ましく、30〜40at%であることがより好ましい。また、前記ガスバリア層中における珪素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する酸素原子の含有量の原子比率は、1〜33at%であることが好ましく、10〜27at%であることがより好ましい。さらに、前記ガスバリア層中における珪素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する炭素原子の含有量の原子比率は、33〜66at%であることが好ましく、40〜57at%であることがより好ましい。
また、前記ガスバリア層の厚みは、5〜3000nmの範囲であることが好ましく、10〜2000nmの範囲であることより好ましく、100〜1000nmの範囲であることが特に好ましい。ガスバリア層の厚みが前記下限未満では、酸素ガスバリア性、水蒸気バリア性等のガスバリア性が劣る傾向にあり、他方、前記上限を超えると、屈曲によりガスバリア性が低下しやすくなる傾向にある。
また、本発明の第1のフィルムが複数のガスバリア層を備える場合には、それらのガスバリア層の厚みの合計値は、通常10〜10000nmの範囲であり、10〜5000nmの範囲であることが好ましく、100〜3000nmの範囲であることより好ましく、200〜2000nmの範囲であることが特に好ましい。ガスバリア層の厚みの合計値が前記下限未満では、酸素ガスバリア性、水蒸気バリア性等のガスバリア性が劣る傾向にあり、他方、前記上限を超えると、屈曲によりガスバリア性が低下しやすくなる傾向にある。
本発明における第1のフィルムは、前記第1のフィルムの基材及び前記ガスバリア層を備えるものであるが、必要に応じて、更にプライマーコート層、ヒートシール性樹脂層、接着剤層等を備えていてもよい。このようなプライマーコート層は、前記基材及び前記ガスバリア層との接着性を向上させることが可能な公知のプライマーコート剤を用いて形成することができる。また、このようなヒートシール性樹脂層は、適宜公知のヒートシール性樹脂を用いて形成することができる。さらに、このような接着剤層は、適宜公知の接着剤を用いて形成することができ、このような接着剤層により複数の第1のフィルム同士を接着させてもよい。
また、本発明における第1のフィルムにおいては、前記ガスバリア層がプラズマ化学気相成長法により形成される層であることが好ましい。このようなプラズマ化学気相成長法により形成されるガスバリア層としては、前記第1のフィルムの基材を前記一対の成膜ロール上に配置し、前記一対の成膜ロール間に放電してプラズマを発生させるプラズマ化学気相成長法により形成される層であることがより好ましい。また、このようにして一対の成膜ロール間に放電する際には、前記一対の成膜ロールの極性を交互に反転させることが好ましい。更に、このようなプラズマ化学気相成長法に用いる成膜ガスとしては有機ケイ素化合物と酸素とを含むものが好ましく、その成膜ガス中の酸素の含有量は、前記成膜ガス中の前記有機ケイ素化合物の全量を完全酸化するのに必要な理論酸素量以下であることが好ましい。また、本発明の第1のフィルムにおいては、前記ガスバリア層が連続的な成膜プロセスにより形成された層であることが好ましい。なお、このようなプラズマ化学気相成長法を利用してガスバリア層を形成する方法は、後述の本発明の第1のフィルムを製造する方法において説明する。
<第1のフィルムの製造方法>
次に、第1のフィルムを製造する方法について説明する。第1のフィルムは、前記第1のフィルムの基材の表面上に前記ガスバリア層を形成させることにより製造することができる。このような本発明にかかるガスバリア層を前記第1のフィルムの基材の表面上に形成させる方法としては、ガスバリア性の観点から、プラズマ化学気相成長法(プラズマCVD)を採用することが好ましい。なお、前記プラズマ化学気相成長法はペニング放電プラズマ方式のプラズマ化学気相成長法であってもよい。
また、前記プラズマ化学気相成長法においてプラズマを発生させる際には、複数の成膜ロールの間の空間にプラズマ放電を発生させることが好ましく、一対の成膜ロールを用い、その一対の成膜ロールのそれぞれに前記基材を配置して、一対の成膜ロール間に放電してプラズマを発生させることがより好ましい。このようにして、一対の成膜ロールを用い、その一対の成膜ロール上に基材を配置して、かかる一対の成膜ロール間に放電することにより、成膜時に一方の成膜ロール上に存在する基材上にガスバリア層を成膜しつつ、もう一方の成膜ロール上に存在する基材上にも同時にガスバリア層を成膜することが可能となって効率よく薄膜を製造できるばかりか、成膜レートを倍にでき、なおかつ、同じ構造のガスバリア層を成膜できるので前記炭素分布曲線における極値を少なくとも倍増させることが可能となり、効率よく上記条件(i)〜(iii)を全て満たすガスバリア層を形成することが可能となる。また、本発明における第1のフィルムは、生産性の観点から、ロールツーロール方式で前記第1のフィルムの基材の表面上に前記ガスバリア層を形成させることが好ましい。また、このようなプラズマ化学気相成長法により第1のフィルムを製造する際に用いることが可能な装置としては、特に制限されないが、少なくとも一対の成膜ロールと、プラスマ電源とを備え且つ前記一対の成膜ロール間において放電することが可能な構成となっている装置であることが好ましく、例えば、図4に示す製造装置を用いた場合には、プラズマ化学気相成長法を利用しながらロールツーロール方式で製造することも可能となる。
以下、図4を参照しながら、本発明の第1のフィルムを製造する方法についてより詳細に説明する。なお、図4は、本発明の第1のフィルムを製造するのに好適に利用することが可能な製造装置の一例を示す模式図である。また、以下の説明及び図面中、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図4に示す製造装置は、送り出しロール701と、搬送ロール21、22、23、24と、成膜ロール31、32と、ガス供給管41と、プラズマ発生用電源51と、成膜ロール31及び32の内部に設置された磁場発生装置61、62と、巻取りロール702とを備えている。また、このような製造装置においては、少なくとも成膜ロール31、32と、ガス供給管41と、プラズマ発生用電源51と、磁場発生装置61、62とは、図示を省略した真空チャンバー内に配置されている。更に、このような製造装置において前記真空チャンバーは図示を省略した真空ポンプに接続されており、かかる真空ポンプにより真空チャンバー内の圧力を適宜調整することが可能となっている。
このような製造装置においては、一対の成膜ロール(成膜ロール31と成膜ロール32)を一対の対向電極として機能させることが可能となるように、各成膜ロールがそれぞれプラズマ発生用電源51に接続されている。そのため、このような製造装置においては、プラズマ発生用電源51により電力を供給することにより、成膜ロール31と成膜ロール32との間の空間に放電することが可能であり、これにより成膜ロール31と成膜ロール32との間の空間にプラズマを発生させることができる。なお、このように、成膜ロール31と成膜ロール32を電極としても利用する場合には、電極としても利用可能なようにその材質や設計を適宜変更すればよい。また、このような製造装置においては、一対の成膜ロール(成膜ロール31及び32)は、その中心軸が同一平面上において略平行となるようにして配置することが好ましい。このようにして、一対の成膜ロール(成膜ロール31及び32)を配置することにより、成膜レートを倍にでき、なおかつ、同じ構造の膜を成膜できるので前記炭素分布曲線における極値の数を少なくとも倍増させることが可能となる。そして、このような製造装置によれば、CVD法により基材6の表面上にガスバリア層を形成することが可能であり、成膜ロール31上において基材6の表面上に膜成分を堆積させつつ、更に成膜ロール32上においても基材6の表面上に膜成分を堆積させることもできるため、基材6の表面上に前記ガスバリア層を効率よく形成することができる。
また、成膜ロール31及び成膜ロール32の内部には、磁場発生装置61及び62が設けられている。この磁場発生装置61及び62は、たとえ成膜ロールが回転したとしても、自身は回転しないようにして固定されている。
さらに成膜ロール31及び成膜ロール32としては適宜公知のロールを用いることができる。このような成膜ロール31及び32としては、より効率よく薄膜を形成せしめるという観点から、直径が同一のものを使うことが好ましい。また、このような成膜ロール31及び32の直径としては、放電条件、チャンバーのスペース等の観点から、5〜100cmの範囲とすることが好ましい。
また、このような製造装置においては、基材6の表面がそれぞれ対向するように、一対の成膜ロール(成膜ロール31と成膜ロール32)上に、基材6が配置されている。このようにして基材6を配置することにより、成膜ロール31と成膜ロール32との間に放電を行ってプラズマを発生させる際に、一対の成膜ロール間に存在する基材6のそれぞれの表面を同時に成膜することが可能となる。すなわち、このような製造装置によれば、CVD法により、成膜ロール31上にて基材6の表面上に膜成分を堆積させ、更に成膜ロール32上にて膜成分を堆積させることができるため、基材6の表面上に前記ガスバリア層を効率よく形成することが可能となる。
また、このような製造装置に用いる送り出しロール701及び搬送ロール21、22、23、24としては適宜公知のロールを用いることができる。また、巻取りロール702としても、ガスバリア層を形成した基材6を巻き取ることが可能なものであればよく、特に制限されず、適宜公知のロールを用いることができる。
また、ガス供給管41としては原料ガス等を所定の速度で供給又は排出することが可能なものを適宜用いることができる。さらに、プラズマ発生用電源51としては、適宜公知のプラズマ発生装置の電源を用いることができる。このようなプラズマ発生用電源51は、これに接続された成膜ロール31と成膜ロール32に電力を供給して、これらを放電のための対向電極として利用することを可能とする。このようなプラズマ発生用電源51としては、より効率よくプラズマCVDを実施することが可能となることから、前記一対の成膜ロールの極性を交互に反転させることが可能なもの(交流電源など)を利用することが好ましい。また、このようなプラズマ発生用電源51としては、より効率よくプラズマCVDを実施することが可能となることから、印加電力を100W〜10kWとすることができ且つ交流の周波数を50Hz〜500kHzとすることが可能なものであることがより好ましい。また、磁場発生装置61、62としては適宜公知の磁場発生装置を用いることができる。さらに、基材6としては、前記本発明に用いる第1のフィルムの基材の他に、前記ガスバリア層を予め形成させたものを用いることができる。このように、基材6として前記ガスバリア層を予め形成させたものを用いることにより、前記ガスバリア層の厚みを厚くすることも可能である。
このような図4に示す製造装置を用いて、例えば、原料ガスの種類、プラズマ発生装置の電極ドラムの電力、真空チャンバー内の圧力、成膜ロールの直径、並びに、フィルムの搬送速度を適宜調整することにより、本発明の第1のフィルムを製造することができる。すなわち、図4に示す製造装置を用いて、成膜ガス(原料ガス等)を真空チャンバー内に供給しつつ、一対の成膜ロール(成膜ロール31及び32)間に放電を発生させることにより、前記成膜ガス(原料ガス等)がプラズマによって分解され、成膜ロール31上の基材6の表面上並びに成膜ロール32上の基材6の表面上に、前記ガスバリア層がプラズマCVD法により形成される。なお、このような成膜に際しては、基材6が送り出しロール701や成膜ロール31等により、それぞれ搬送されることにより、ロールツーロール方式の連続的な成膜プロセスにより基材6の表面上に前記ガスバリア層が形成される。
このようなガスバリア層の形成に用いる前記成膜ガス中の原料ガスとしては、形成するガスバリア層の材質に応じて適宜選択して使用することができる。このような原料ガスとしては、例えばケイ素を含有する有機ケイ素化合物を用いることができ、さらに有機ケイ素化合物のほかにモノシランを含有させ、形成する膜のケイ素源として使用してもよい。このような有機ケイ素化合物としては、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサンが挙げられる。これらの有機ケイ素化合物の中でも、化合物の取り扱い性及び得られるガスバリア層のガスバリア性等の特性の観点から、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンが好ましい。また、これらの有機ケイ素化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、前記成膜ガスとしては、前記原料ガスの他に反応ガスを用いてもよい。このような反応ガスとしては、前記原料ガスと反応して酸化物、窒化物等の無機化合物となるガスを適宜選択して使用することができる。酸化物を形成するための反応ガスとしては、例えば、酸素、オゾンを用いることができる。また、窒化物を形成するための反応ガスとしては、例えば、窒素、アンモニアを用いることができる。これらの反応ガスは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができ、例えば酸窒化物を形成する場合には、酸化物を形成するための反応ガスと窒化物を形成するための反応ガスとを組み合わせて使用することができる。
前記成膜ガスとしては、前記原料ガスを真空チャンバー内に供給するために、必要に応じて、キャリアガスを用いてもよい。さらに、前記成膜ガスとしては、プラズマ放電を発生させるために、必要に応じて、放電用ガスを用いてもよい。このようなキャリアガス及び放電用ガスとしては、適宜公知のものを使用することができ、例えば、ヘリウム、アルゴン、ネオン、キセノン等の希ガス;水素を用いることができる。
このような成膜ガスが原料ガスと反応ガスを含有する場合には、原料ガスと反応ガスの比率としては、原料ガスと反応ガスとを完全に反応させるために理論上必要となる反応ガスの量の比率よりも、反応ガスの比率を過剰にし過ぎないことが好ましい。反応ガスの比率を過剰にし過ぎてしまうと、上記条件(i)〜(iii)を全て満たす薄膜が得られなくなってしまう。この場合には、形成されるガスバリア層によって、優れたバリア性や耐屈曲性を得ることができなくなる。また、前記成膜ガスが前記有機ケイ素化合物と酸素とを含有するものである場合には、前記成膜ガス中の前記有機ケイ素化合物の全量を完全酸化するのに必要な理論酸素量以下であることが好ましい。
以下、前記成膜ガスとして、原料ガスとしてのヘキサメチルジシロキサン(有機ケイ素化合物:HMDSO:(CHSiO:)と反応ガスとしての酸素(O)を含有するものを用い、ケイ素−酸素系のガスバリア層を製造する場合を例に挙げて、成膜ガス中の原料ガスと反応ガスの好適な比率等についてより詳細に説明する。
原料ガスとしてのヘキサメチルジシロキサン(HMDSO、(CHSiO)と、反応ガスとしての酸素(O)とを含有する成膜ガスをプラズマCVDにより反応させてケイ素−酸素系のガスバリア層を作製する場合、その成膜ガスにより下記反応式(3):
(CHSiO+12O→6CO+9HO+2SiO (3)
に記載のような反応が起こり、二酸化ケイ素が製造される。このような反応においては、ヘキサメチルジシロキサン1モルを完全酸化するのに必要な酸素量は12モルである。そのため、成膜ガス中に、ヘキサメチルジシロキサン1モルに対して酸素を12モル以上含有させて完全に反応させた場合には、均一な二酸化ケイ素膜が形成されてしまうため、上記条件(i)〜(iii)を全て満たすガスバリア層を形成することができなくなってしまう。そのため、本発明において、ガスバリア層を形成する際には、上記(3)式の反応が完全に進行してしまわないように、ヘキサメチルジシロキサン1モルに対して酸素量を化学量論比の12モルより少なくする必要がある。なお、実際のプラズマCVDチャンバー内の反応では、原料のヘキサメチルジシロキサンと反応ガスの酸素は、ガス供給部から成膜領域へ供給されて成膜されるので、反応ガスの酸素のモル量(流量)が原料のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)の12倍のモル量(流量)であったとしても、現実には完全に反応を進行させることはできず、酸素の含有量を化学量論比に比して大過剰に供給して初めて反応が完結すると考えられる(例えば、CVDにより完全酸化させて酸化ケイ素を得るために、酸素のモル量(流量)を原料のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)の20倍以上程度とする場合もある。)。そのため、原料のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)に対する酸素のモル量(流量)は、化学量論比である12倍量以下(より好ましくは、10倍以下)の量であることが好ましい。このような比でヘキサメチルジシロキサン及び酸素を含有させることにより、完全に酸化されなかったヘキサメチルジシロキサン中の炭素原子や水素原子がガスバリア層中に取り込まれ、上記条件(i)〜(iii)を全て満たすガスバリア層を形成することが可能となって、得られる第1のフィルムに優れたバリア性及び耐屈曲性を発揮させることが可能となる。なお、成膜ガス中のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)に対する酸素のモル量(流量)が少なすぎると、酸化されなかった炭素原子や水素原子がガスバリア層中に過剰に取り込まれるため、この場合はバリア膜の透明性が低下して、バリアフィルムは有機ELデバイスや有機薄膜太陽電池などのような透明性を必要とするデバイス用のフレキシブル基板には利用できなくなってしまう。このような観点から、成膜ガス中のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)に対する酸素のモル量(流量)の下限は、ヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)の0.1倍より多い量とすることが好ましく、0.5倍より多い量とすることがより好ましい。
また、真空チャンバー内の圧力(真空度)は、原料ガスの種類等に応じて適宜調整することができるが、0.1Pa〜50Paの範囲とすることが好ましい。
また、このようなプラズマCVD法において、成膜ロール31及び32間に放電するために、プラズマ発生用電源51に接続された電極ドラム(本実施形態においては成膜ロール31及び32に設置されている。)に印加する電力は、原料ガスの種類や真空チャンバー内の圧力等に応じて適宜調整することができるものであり一概に言えるものでないが、0.1〜10kWの範囲とすることが好ましい。このような印加電力が前記下限未満ではパーティクルが発生し易くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると成膜時に発生する熱量が多くなり、成膜時の基材表面の温度が上昇する。温度が上昇しすぎると、基材が熱によって損傷し、成膜時に皺が発生したり、場合によっては熱によってフィルムが溶け、成膜ロールが露出し、成膜ロール間に大電流の放電が発生して成膜ロール自体を損傷するおそれがある。
基材6の搬送速度(ライン速度)は、原料ガスの種類や真空チャンバー内の圧力等に応じて適宜調整することができるが、0.1〜100m/minの範囲とすることが好ましく、0.5〜20m/minの範囲とすることがより好ましい。ライン速度が前記下限未満では、フィルムに熱に起因する皺の発生しやすくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、形成されるガスバリア層の厚みが薄くなる傾向にある。
(第2のフィルム)
前述したように第2のフィルムは、有機EL素子から出射される光が第2のフィルムを通って外界に出射する場合、光透過性を示す部材によって構成する必要があり、その際には、第1のフィルムと同様に、第2のガスバリア層を有することが好ましい。この第2のガスバリア層は、珪素、酸素及び炭素を含有しており、当該第2のガスバリア層における前記珪素分布曲線、前記酸素分布曲線及び前記炭素分布曲線が前記条件(i)〜(iii)を満たす。そのため、上述の第1のフィルムにおけるガスバリア層と同様にして形成することができる。なお第2のガスバリア層は、第1のフィルムのガスバリア層と全く同じ構成であってもよいが、前記酸素分布曲線及び前記炭素分布曲線が前記条件(i)〜(iii)を満たす限りにおいて、第1のフィルムのガスバリア層とは異なっていてもよい。
(有機EL素子)
つぎに有機EL素子の構成について説明する。有機EL素子は、第1のフィルムと第2のフィルムとが貼合される工程の前に、第2のフィルムまたは第1のフィルム上に形成される。
有機EL素子は、陽極および陰極からなる一対の電極と、該電極間に設けられる発光層とから構成される。なお一対の電極間には、発光層に加えて、必要に応じて所定の層が設けられることがある。また発光層は1層に限らず複数層設けられることがある。なお本実施形態の有機EL素子は発光層と陰極との間に電子注入層を備える。
陰極と発光層との間に設けられる層としては、電子注入層、電子輸送層、正孔ブロック層などを挙げることができる。陰極と発光層との間に電子注入層と電子輸送層との両方の層が設けられる場合、陰極に接する層を電子注入層といい、この電子注入層を除く層を電子輸送層という。
電子注入層は、陰極からの電子注入効率を改善する機能を有する。電子輸送層は陰極側の表面に接する層からの電子注入を改善する機能を有する。正孔ブロック層は、正孔の輸送を堰き止める機能を有する。なお電子注入層、及び/又は電子輸送層が正孔の輸送を堰き止める機能を有する場合には、これらの層が正孔ブロック層を兼ねることがある。
正孔ブロック層が正孔の輸送を堰き止める機能を有することは、例えばホール電流のみを流す素子を作製し、その電流値の減少で堰き止める効果を確認することが可能である。
陽極と発光層との間に設けられる層としては、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層などを挙げることができる。陽極と発光層との間に、正孔注入層と正孔輸送層との両方の層が設けられる場合、陽極に接する層を正孔注入層といい、この正孔注入層を除く層を正孔輸送層という。
正孔注入層は、陽極からの正孔注入効率を改善する機能を有する。正孔輸送層は陽極側の表面に接する層からの正孔注入を改善する機能を有する。電子ブロック層は、電子の輸送を堰き止める機能を有する。なお正孔注入層、及び/又は正孔輸送層が電子の輸送を堰き止める機能を有する場合には、これらの層が電子ブロック層を兼ねることがある。
電子ブロック層が電子の輸送を堰き止める機能を有することは、例えば、電子電流のみを流す素子を作製し、その電流値の減少で堰き止める効果を確認することが可能である。
なお、電子注入層および正孔注入層を総称して電荷注入層ということがあり、電子輸送層および正孔輸送層を総称して電荷輸送層ということがある。
本実施の形態の有機EL素子のとりうる層構成の一例を以下に示す。
a)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極
b)陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
c)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
d)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
e)陽極/発光層/電子注入層/陰極
f)陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(ここで、記号「/」は、記号「/」を挟む各層が隣接して積層されていることを示す。
以下同じ。)
本実施の形態の有機EL素子は2層以上の発光層を有していてもよい。上記a)〜f)の層構成のうちのいずれか1つにおいて、陽極と陰極とに挟持された積層体を「構造単位A」とすると、2層の発光層を有する有機EL素子の構成として、下記q)に示す層構成を挙げることができる。なお2つある(構造単位A)の層構成は互いに同じでも、異なっていてもよい。
g)陽極/(構造単位A)/電荷発生層/(構造単位A)/陰極
また「(構造単位A)/電荷発生層」を「構造単位B」とすると、3層以上の発光層を有する有機EL素子の構成として、下記r)に示す層構成を挙げることができる。
h)陽極/(構造単位B)x/(構造単位A)/陰極
なお記号「x」は、2以上の整数を表し、(構造単位B)xは、構造単位Bがx段積層された積層体を表す。また複数ある(構造単位B)の層構成は同じでも、異なっていてもよい。
ここで、電荷発生層とは電界を印加することにより正孔と電子を発生する層である。電荷発生層としては、例えば酸化バナジウム、インジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide:略称ITO)、酸化モリブデンなどから成る薄膜を挙げることができる。
積層する層の順序、層数、および各層の厚さについては、発光効率や素子寿命を勘案して適宜設定することができる。
次に有機EL素子を構成する各層の材料および形成方法について、より具体的に説明する。
<陽極>
発光層から放射される光が陽極を通って外に出射する構成の有機EL素子の場合、陽極には光透過性を示す電極が用いられる。光透過性を示す電極としては、金属酸化物、金属硫化物および金属などの薄膜を用いることができ、電気伝導度および光透過率の高いものが好適に用いられる。具体的には酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:略称IZO)、金、白金、銀、および銅などから成る薄膜が用いられ、これらの中でもITO、IZO、または酸化スズから成る薄膜が好適に用いられる。陽極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法などを挙げることができる。また、該陽極として、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などの有機の透明導電膜を用いてもよい。
陽極の膜厚は、要求される特性および工程の簡易さなどを考慮して適宜設定され、例えば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
<正孔注入層>
正孔注入層を構成する正孔注入材料としては、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、および酸化アルミニウムなどの酸化物や、フェニルアミン系化合物、スターバースト型アミン系化合物、フタロシアニン系、アモルファスカーボン、ポリアニリン、およびポリチオフェン誘導体などを挙げることができる。
正孔注入層の成膜方法としては、例えば正孔注入材料を含む溶液からの成膜を挙げることができる。例えば正孔注入材料を含む溶液を所定の塗布法によって塗布成膜し、さらにこれを固化することによって正孔注入層を形成することができる。
溶液からの成膜に用いられる溶媒としては、正孔注入材料を溶解させるものであれば特に制限はなく、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテートなどのエステル系溶媒、および水を挙げることができる。
塗布法としてはスピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法などを挙げることができる。
正孔注入層の膜厚は、求められる特性および工程の簡易さなどを考慮して適宜設定され、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
<正孔輸送層>
正孔輸送層を構成する正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体などを挙げることができる。
これらの中で正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミン化合物基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体などの高分子正孔輸送材料が好ましく、さらに好ましくはポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体である。低分子の正孔輸送材料の場合には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
正孔輸送層の成膜方法としては、特に制限はないが、低分子の正孔輸送材料では、高分子バインダーと正孔輸送材料とを含む混合液からの成膜を挙げることができ、高分子の正孔輸送材料では、正孔輸送材料を含む溶液からの成膜を挙げることができる。
溶液からの成膜に用いられる溶媒としては、正孔輸送材料を溶解させるものであれば特に制限はなく、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテートなどのエステル系溶媒などを挙げることができる。
溶液からの成膜方法としては、前述した正孔注入層の成膜法と同様の塗布法を挙げることができる。
混合する高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また可視光に対する吸収の弱いものが好適に用いられ、例えばポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサンなどを挙げることができる。
正孔輸送層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように適宜設定され、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って、該正孔輸送層の膜厚は、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
<発光層>
発光層は、通常、主として蛍光及び/又はりん光を発光する有機物、または該有機物とこれを補助するドーパントとから形成される。ドーパントは、例えば発光効率の向上や、発光波長を変化させるために加えられる。なお発光層に含まれる有機物は、低分子化合物でも高分子化合物でもよい。一般的に低分子よりも溶媒への溶解性の高い高分子化合物は塗布法に好適に用いられるため、発光層は高分子化合物を含むことが好ましく、高分子化合物としてポリスチレン換算の数平均分子量が10〜10の化合物を含むことが好ましい。発光層を構成する発光材料としては、例えば以下の色素系材料、金属錯体系材料、高分子系材料、ドーパント材料を挙げることができる。
(色素系材料)
色素系材料としては、例えば、シクロペンダミン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体化合物、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、ピロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマー、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体などを挙げることができる。
(金属錯体系材料)
金属錯体系材料としては、例えばTb、Eu、Dyなどの希土類金属、またはAl、Zn、Be、Ir、Ptなどを中心金属に有し、オキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造などを配位子に有する金属錯体を挙げることができ、例えばイリジウム錯体、白金錯体などの三重項励起状態からの発光を有する金属錯体、アルミニウムキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾリル亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、フェナントロリンユーロピウム錯体などを挙げることができる。
(高分子系材料)
高分子系材料としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、上記色素系材料や金属錯体系発光材料を高分子化したものなどを挙げることができる。
上記発光性材料のうち、青色に発光する材料としては、ジスチリルアリーレン誘導体、オキサジアゾール誘導体、およびそれらの重合体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも高分子材料のポリビニルカルバゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体やポリフルオレン誘導体などが好ましい。
また緑色に発光する材料としては、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、およびそれらの重合体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも高分子材料のポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などが好ましい。
また赤色に発光する材料としては、クマリン誘導体、チオフェン環化合物、およびそれらの重合体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも高分子材料のポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリフルオレン誘導体などが好ましい。
また白色に発光する材料としては、上述の青色、緑色、赤色の各色に発光する材料を混合したものや、各色に発光する材料となる成分をモノマーとして、これを重合したポリマーをその材料として用いてもよい。また各色に発光する材料をそれぞれ用いて形成される発光層を積層して、全体として白色を発光する素子を実現してもよい。
(ドーパント材料)
ドーパント材料としては、例えばペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾロン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾンなどを挙げることができる。なお、このような発光層の厚さは、通常約2nm〜200nmである。
<発光層の成膜方法>
発光層の成膜方法としては、発光材料を含む溶液を塗布する方法、真空蒸着法、転写法などを用いることができる。溶液からの成膜に用いる溶媒としては、前述の溶液から正孔注入層を成膜する際に用いられる溶媒と同様の溶媒を挙げることができる。
発光材料を含む溶液を塗布する方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法およびノズルコート法などのコート法、並びにグラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法などの塗布法を挙げることができる。パターン形成や多色の塗分けが容易であるという点で、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法などの印刷法が好ましい。また、昇華性を示す低分子化合物の場合には、真空蒸着法を用いることができる。さらには、レーザーによる転写や熱転写により、所望のところのみに発光層を形成する方法も用いることができる。
<電子輸送層>
電子輸送層を構成する電子輸送材料としては、公知のものを使用でき、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン若しくはその誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、ナフトキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン若しくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン若しくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体などを挙げることができる。
これらのうち、電子輸送材料としては、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体が好ましく、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ポリキノリンがさらに好ましい。
電子輸送層の成膜法としては特に制限はないが、低分子の電子輸送材料では、粉末からの真空蒸着法、または溶液若しくは溶融状態からの成膜を挙げることができ、高分子の電子輸送材料では溶液または溶融状態からの成膜を挙げることができる。なお溶液または溶融状態からの成膜する場合には、高分子バインダーを併用してもよい。溶液から電子輸送層を成膜する方法としては、前述の溶液から正孔注入層を成膜する方法と同様の成膜法を挙げることができる。
電子輸送層の膜厚は、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように適宜設定され、少なくともピンホールが発しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って該電子輸送層の膜厚としては、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
<電子注入層>
電子注入層はイオン性ポリマーを含んで構成される。電子注入層を構成するイオン性ポリマーとしては、例えば、下記式(1)で表される基及び下記式(2)で表される基からなる群から選ばれる1種以上の基を含む構造単位を有する重合体が挙げられる。イオン性ポリマーの一形態としては、式(1)で表される基及び式(2)で表される基からなる群から選ばれる1種以上の基を含む構造単位を、全構造単位中、15〜100モル%有する重合体が挙げられる。
−(Q1n1−Y1(M1)a1(Z1)b1 (1)
(式(1)中、Q1は2価の有機基を表し、Y1は、−CO2 -、−SO3 -、−SO2 -又は−PO3 2-を表し、M1は金属カチオン又は置換基を有し若しくは有さないアンモニウムカチオンを表し、Z1はF-、Cl-、Br-、I-、OH-、RaSO3 -、RaCOO-、ClO-、ClO2 -、ClO3 -、ClO4 -、SCN-、CN-、NO3 -、SO4 2-、HSO4 -、PO4 3-、HPO4 2-、H2PO4 -、BF4 -又はPF6 -を表し、n1は0以上の整数を表し、a1は1以上の整数を表し、b1は0以上の整数を表し、ただし、a1及びb1は、式(1)で表される基の電荷が0となるように選択され、Raは置換基を有し若しくは有さない炭素原子数1〜30のアルキル基又は置換基を有し若しくは有さない炭素原子数6〜50のアリール基を表し、Q1、M及びZのおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。)
−(Q2n2−Y2(M2)a2(Z2)b2 (2)
(式(2)中、
2は2価の有機基を表し、
2はカルボカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニルカチオン又はスルホニルカチオン又はヨードニウムカチオンを表し、M2はF-、Cl-、Br-、I-、OH-、RbSO3 -、RbCOO-、ClO-、ClO2 -、ClO3 -、ClO4 -、SCN-、CN-、NO3 -、SO4 2-、HSO4 -、PO4 3-、HPO4 2-、H2PO4 -、BF4 -又はPF6 -を表し、Z2は金属カチオン又は置換基を有し若しくは有さないアンモニウムカチオンを表し、n2は0以上の整数を表し、a2は1以上の整数を表し、b2は0以上の整数を表し、ただし、a2及びb2は、式(2)で表される基の電荷が0となるように選択され、Rbは置換基を有し若しくは有さない炭素原子数1〜30のアルキル基又は置換基を有し若しくは有さない炭素原子数6〜50のアリール基を表し、Q2、M2及びZ2のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。)
本発明で用いられるイオン性ポリマーの一形態としては、さらに下記式(3)で表される基を有する重合体が挙げられる。イオン性ポリマーが式(3)で表される基を有する場合、式(3)で表される基は、イオン性ポリマーの構造単位中に含まれていてもよく、式(1)で表される基及び式(2)で表される基からなる群から選ばれる一種以上の基を含む構造単位と同一の構造単位内に含まれていてもよいし、異なる他の構造単位内に含まれていてもよい。さらに、イオン性ポリマーの一形態としては、式(1)で表される基、式(2)で表される基、及び式(3)で表される基のうち少なくとも1種を含む構造単位を、全構造単位中、15〜100モル%有する重合体が挙げられる。
−(Qn3−Y3 (3)
(式(3)中、
は2価の有機基を表し、Y3は−CN又は式(4)〜(12)のいずれかで表される基を表し、n3は0以上の整数を表す。
−O−(R’O)a3−R’’ (4)
−S−(R’S)a4−R’’ (6)
−C(=O)−(R’−C(=O))a4−R’’ (7)
−C(=S)−(R’−C(=S))a4−R’’ (8)
−N{(R’)a4R’’}2 (9)
−C(=O)O−(R’−C(=O)O)a4−R’’ (10)
−C(=O)O−(R’O)a4−R’’ (11)
−NHC(=O)−(R’NHC(=O))a4−R’’ (12)
(式(4)〜(12)中、R’は置換基を有し又は有さない2価の炭化水素基を表し、R’’は水素原子、置換基を有し若しくは有さない1価の炭化水素基、−COOH、−SO3H、−OH、−SH、−NRc 2、−CN又は−C(=O)NRc 2を表し、R’’’は置換基を有し若しくは有さない3価の炭化水素基を表し、a3は1以上の整数を表し、a4は0以上の整数を表し、Rcは置換基を有し若しくは有さない炭素原子数1〜30のアルキル基又は置換基を有し若しくは有さない炭素原子数6〜50のアリール基を表し、R’、R’’及びR’’’のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。))
イオン性ポリマーは、式(13)で表される構造単位、式(15)で表される構造単位、式(17)で表される構造単位及び式(20)で表される構造単位からなる群から選ばれる1種以上の構造単位を、全構造単位中、15〜100モル%含むことが好ましい。
(式(13)中、Rは式(14)で表される基を含む1価の基であり、Ar1はR1以外の置換基を有し又は有さない(2+n4)価の芳香族基を表し、n4は1以上の整数を表し、R1は複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。
(式(14)中、R2は(1+m1+m2)価の有機基を表し、Q1、Q3、Y、M1、Z1、Y、n1、a1、b1及びn3は前述と同じ意味を表し、m1及びm2はそれぞれ独立に1以上の整数を表し、Q1、Q3、Y、M1、Z1、Y、n1、a1、b1及びn3のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。))
(式(15)中、R3は式(16)で表される基を含む1価の基であり、Ar2はR3以外の置換基を有し又は有さない(2+n5)価の芳香族基を表し、n5は1以上の整数を表し、R3は複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。
(式(16)中、R4は(1+m3+m4)価の有機基を表し、Q2、Q3、Y2、M2、Z2、Y、n2、a2、b2及びn3は前述と同じ意味を表し、m3及びm4はそれぞれ独立に1以上の整数を表す。Q2、Q3、Y2、M2、Z2、Y、n2、a2、b2及びn3のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。))
(式(17)中、R5は式(18)で表される基を含む1価の基であり、R6は式(19)で表される基を含む1価の基であり、Ar3はR5及びR6以外の置換基を有し又は有さない(2+n6+n7)価の芳香族基を表し、n6及びn7はそれぞれ独立に1以上の整数を表し、R5及びR6のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。

−R7−{(Q1n1−Y1(M1)a1(Z1)b1}m5 (18)
(式(18)中、R7は直接結合又は(1+m5)価の有機基を表し、Q1、Y、M1、Z1、n1、a1及びb1は前述と同じ意味を表し、m5は1以上の整数を表し、Q1、Y、M1、Z1、n1、a1及びb1のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。)

−R8−{(Qn3−Y3m6 (19)
(式(19)中、R8は単結合又は(1+m6)価の有機基を表し、Y3及びn3は前述と同じ意味を表し、m6は1以上の整数を表し、ただし、R8が単結合のときm6は1を表し、Q、Y3及びn3のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。))
(式(20)中、R9は式(21)で表される基を含む1価の基であり、R10は式(22)で表される基を含む1価の基であり、Ar4はR9及びR10以外の置換基を有し又は有さない(2+n8+n9)価の芳香族基を表し、n8及びn9はそれぞれ独立に1以上の整数を表し、R9及びR10のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。

−R11−{(Q2n2−Y2(M2)a2(Z2)b2}m7 (21)
(式(21)中、R11は単結合又は(1+m7)価の有機基を表し、Q2、Y2、M2、Z2、n2、a2及びb2は前述と同じ意味を表し、m7は1以上の整数を表し、ただし、R11が単結合のときm7は1を表し、Q2、Y2、M2、Z2、n2、a2及びb2のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。)
−R12−{(Qn3−Y3}m8 (22)
(式(22)中、R12は単結合又は(1+m8)価の有機基を表し、Y3及びn3は前述と同じ意味を表し、m8は1以上の整数を表し、ただし、R12が単結合のときm8は1を表し、Q、Y3及びn3、のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。))
前記イオン性ポリマー中の構造単位は、式(1)で表される基を2種類以上含んでいてもよく、式(2)で表される基を2種類以上含んでいてもよく、式(3)で表される基を2種類以上含んでいてもよい。
−式(1)で表される基−
式(1)中、Q1で表される2価の有機基としては、メチレン基、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,2−ブチレン基、1,3−ブチレン基、1,4−ブチレン基、1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基、1,9−ノニレン基、1,12−ドデシレン基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50の2価の飽和炭化水素基;エテニレン基、プロペニレン基、3−ブテニレン基、2−ブテニレン基、2−ペンテニレン基、2−ヘキセニレン基、2−ノネニレン基、2−ドデセニレン基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数2〜50のアルケニレン基、及び、エチニレン基を含む、置換基を有し又は有さない炭素原子数2〜50の2価の不飽和炭化水素基;シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、シクロノニレン基、シクロドデシレン基、ノルボニレン基、アダマンチレン基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数3〜50の2価の環状飽和炭化水素基;1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、ビフェニル−4,4'−ジイル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜50のアリーレン基;メチレンオキシ基、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、ブチレンオキシ基、ペンチレンオキシ基、ヘキシレンオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルキレンオキシ基;炭素原子を含む置換基を有するイミノ基;炭素原子を含む置換基を有するシリレン基が挙げられ、イオン性ポリマーの原料となるモノマー(以下、「原料モノマー」と言う。)の合成の容易さの観点からは、2価の飽和炭化水素基、アリーレン基、アルキレンオキシ基が好ましい。
前記置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、シアノ基及びニトロ基等が挙げられ、前記置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。これらのうち、アミノ基、シリル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基及びニトロ基以外の置換基は炭素原子を含む。
以下、置換基について説明する。なお、「C〜C」(m、nはm<nを満たす正の整数である)という用語は、この用語とともに記載された有機基の炭素原子数がm〜nであることを表す。例えば、C〜Cアルキル基であれば、アルキル基の炭素原子数がm〜nであることを表し、C〜Cアルキルアリール基であれば、アルキル基の炭素原子数がm〜nであることを表し、アリール−C〜Cアルキル基であれば、アルキル基の炭素原子数がm〜nであることを表す。
アルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよく、シクロアルキル基でもよい。アルキル基の炭素原子数は通常1〜20であり、1〜10が好ましい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基等が挙げられる。前記アルキル基中の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。該当するフッ素原子置換アルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基等が挙げられる。なお、C1〜C12アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基が挙げられる。
アルコキシ基は、直鎖状でも分岐状でもよく、シクロアルキルオキシ基であってもよく、置換基を有していてもよい。アルコキシ基の炭素原子数は通常1〜20であり、1〜10が好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ラウリルオキシ基等が挙げられる。前記アルコキシ基中の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。該当するフッ素原子置換アルコキシ基としては、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロヘキシルオキシ基、パーフルオロオクチルオキシ基等が挙げられる。また、該アルコキシ基には、メトキシメチルオキシ基、2−メトキシエチルオキシ基も含まれる。なお、C1〜C12アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基が挙げられる。
アルキルチオ基としては、直鎖状でも分岐状でもよく、シクロアルキルチオ基であってもよく、置換基を有していてもよい。アルキルチオ基の炭素原子数は通常1〜20であり、1〜10が好ましい。アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、s−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、ラウリルチオ基等が挙げられる。前記アルキルチオ基中の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。該当するフッ素原子置換アルキルチオ基としては、トリフルオロメチルチオ基等が挙げられる。
アリール基は、芳香族炭化水素から芳香環を構成する炭素原子に結合した水素原子1個を除いた残りの原子団であり、ベンゼン環を持つ基、縮合環を持つ基、独立したベンゼン環又は縮合環2個以上が単結合又は2価の有機基、例えば、ビニレン基等のアルケニレン基を介して結合した基も含まれる。アリール基は、炭素原子数が通常6〜60であり、7〜48であることが好ましい。アリール基としては、フェニル基、C1〜C12アルコキシフェニル基、C1〜C12アルキルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基等が挙げられる。前記アリール基中の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。該当するフッ素原子置換アリール基としては、ペンタフルオロフェニル基等が挙げられる。アリール基の中では、C1〜C12アルコキシフェニル基、C1〜C12アルキルフェニル基が好ましい。
前記アリール基のうち、C1〜C12アルコキシフェニル基としては、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロピルオキシフェニル基、イソプロピルオキシフェニル基、ブトキシフェニル基、イソブトキシフェニル基、s−ブトキシフェニル基、t−ブトキシフェニル基、ペンチルオキシフェニル基、ヘキシルオキシフェニル基、シクロヘキシルオキシフェニル基、ヘプチルオキシフェニル基、オクチルオキシフェニル基、2−エチルヘキシルオキシフェニル基、ノニルオキシフェニル基、デシルオキシフェニル基、3,7−ジメチルオクチルオキシフェニル基、ラウリルオキシフェニル基等が挙げられる。
前記アリール基のうち、C1〜C12アルキルフェニル基としては、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、プロピルフェニル基、メシチル基、メチルエチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、ブチルフェニル基、イソブチルフェニル基、t−ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、イソアミルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ドデシルフェニル基等が挙げられる。
アリールオキシ基は、炭素原子数が通常6〜60であり、7〜48であることが好ましい。アリールオキシ基としては、フェノキシ基、C1〜C12アルコキシフェノキシ基、C1〜C12アルキルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、ペンタフルオロフェニルオキシ基等が挙げられる。アリールオキシ基の中では、C1〜C12アルコキシフェノキシ基及びC1〜C12アルキルフェノキシ基が好ましい。
前記アリールオキシ基のうち、C1〜C12アルコキシフェノキシ基としては、メトキシフェノキシ基、エトキシフェノキシ基、プロピルオキシフェノキシ基、イソプロピルオキシフェノキシ基、ブトキシフェノキシ基、イソブトキシフェノキシ基、s−ブトキシフェノキシ基、t−ブトキシフェノキシ基、ペンチルオキシフェノキシ基、ヘキシルオキシフェノキシ基、シクロヘキシルオキシフェノキシ基、ヘプチルオキシフェノキシ基、オクチルオキシフェノキシ基、2−エチルヘキシルオキシフェノキシ基、ノニルオキシフェノキシ基、デシルオキシフェノキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシフェノキシ基、ラウリルオキシフェノキシ基等が挙げられる。
前記アリールオキシ基のうち、C1〜C12アルキルフェノキシ基としては、メチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、プロピルフェノキシ基、1,3,5−トリメチルフェノキシ基、メチルエチルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、ブチルフェノキシ基、イソブチルフェノキシ基、s−ブチルフェノキシ基、t−ブチルフェノキシ基、ペンチルフェノキシ基、イソアミルフェノキシ基、ヘキシルフェノキシ基、ヘプチルフェノキシ基、オクチルフェノキシ基、ノニルフェノキシ基、デシルフェノキシ基、ドデシルフェノキシ基等が挙げられる。
アリールチオ基は、例えば、前述のアリール基に硫黄元素が結合した基である。アリールチオ基は、前記アリール基の芳香環上に置換基を有していてもよい。アリールチオ基は、炭素原子数が通常6〜60であり、6〜30であることが好ましい。アリールチオ基としては、フェニルチオ基、C1〜C12アルコキシフェニルチオ基、C1〜C12アルキルフェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、ペンタフルオロフェニルチオ基等が挙げられる。
アリールアルキル基は、例えば、前述のアリール基に前述のアルキル基が結合した基である。アリールアルキル基は、置換基を有していてもよい。アリールアルキル基は、炭素原子数が通常7〜60であり、7〜30であることが好ましい。アリールアルキル基としては、フェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基、1−ナフチル−C1〜C12アルキル基、2−ナフチル−C1〜C12アルキル基等が挙げられる。
アリールアルコキシ基は、例えば、前述のアリール基に前述のアルコキシ基が結合した基である。アリールアルコキシ基は、置換基を有していてもよい。アリールアルコキシ基は、炭素原子数が通常7〜60であり、7〜30であることが好ましい。アリールアルコキシ基としては、フェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルコキシ基、1−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基、2−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基等が挙げられる。
アリールアルキルチオ基は、例えば、前述のアリール基に前述のアルキルチオ基が結合した基である。アリールアルキルチオ基は、置換基を有していてもよい。アリールアルキルチオ基は、炭素原子数が通常7〜60であり、7〜30であることが好ましい。アリールアルキルチオ基としては、フェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基等が挙げられる。
アリールアルケニル基は、例えば、前述のアリール基にアルケニル基が結合した基である。アリールアルケニル基は、炭素原子数が通常8〜60であり、8〜30であることが好ましい。アリールアルケニル基としては、フェニル−C2〜C12アルケニル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルケニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルケニル基、1−ナフチル−C2〜C12アルケニル基、2−ナフチル−C2〜C12アルケニル基等が挙げられ、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルケニル基、C2〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルケニル基が好ましい。なお、C2〜C12アルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、1−オクテニル基が挙げられる。
アリールアルキニル基は、例えば、前述のアリール基にアルキニル基が結合した基である。アリールアルキニル基は、炭素原子数が通常8〜60であり、8〜30であることが好ましい。アリールアルキニル基としては、フェニル−C2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルキニル基、1−ナフチル−C2〜C12アルキニル基、2−ナフチル−C2〜C12アルキニル基等が挙げられ、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルキニル基が好ましい。なお、C2〜C12アルキニル基としては、例えば、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、2−ヘキシニル基、1−オクチニル基が挙げられる。
置換アミノ基としては、アミノ基の中の少なくとも1個の水素原子が、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基及び1価の複素環基からなる群から選択される1又は2個の基によって置換されたアミノ基が好ましい。該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基は置換基を有していてもよい。置換アミノ基の炭素原子数は、該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基が有していてもよい置換基の炭素原子数を含めないで通常1〜60であり、2〜48が好ましい。置換アミノ基としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、s−ブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基、ラウリルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジトリフルオロメチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、(C1〜C12アルコキシフェニル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル)アミノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、ペンタフルオロフェニルアミノ基、ピリジルアミノ基、ピリダジニルアミノ基、ピリミジルアミノ基、ピラジニルアミノ基、トリアジニルアミノ基、(フェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、(C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、(C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基等が挙げられる。
置換シリル基としては、シリル基の中の少なくとも1個の水素原子が、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基及び1価の複素環基からなる群から選択される1〜3個の基によって置換されたシリル基が挙げられる。該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基は置換基を有していてもよい。置換シリル基の炭素原子数は、該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基が有していてもよい置換基の炭素原子数を含めないで通常1〜60であり、3〜48が好ましい。なお、置換シリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、イソプロピルジメチルシリル基、イソプロピルジエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ペンチルジメチルシリル基、ヘキシルジメチルシリル基、ヘプチルジメチルシリル基、オクチルジメチルシリル基、2−エチルヘキシルジメチルシリル基、ノニルジメチルシリル基、デシルジメチルシリル基、3,7−ジメチルオクチルジメチルシリル基、ラウリルジメチルシリル基、(フェニル−C1〜C12アルキル)シリル基、(C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル)シリル基、(C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル)シリル基、(1−ナフチル−C1〜C12アルキル)シリル基、(2−ナフチル−C1〜C12アルキル)シリル基、(フェニル−C1〜C12アルキル)ジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリ(p−キシリル)シリル基、トリベンジルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
アシル基は、炭素原子数が通常2〜20であり、2〜18であることが好ましい。アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トリフルオロアセチル基、ペンタフルオロベンゾイル基等が挙げられる。
アシルオキシ基は、炭素原子数が通常2〜20であり、2〜18であることが好ましい。アシルオキシ基としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基、ペンタフルオロベンゾイルオキシ基等が挙げられる。
イミン残基は、式:H−N=C<及び式:−N=CH−の少なくとも一方で表される構造を有するイミン化合物から、この構造中の水素原子1個を除いた残基を意味する。このようなイミン化合物としては、例えば、アルジミン、ケチミン及びアルジミン中の窒素原子に結合した水素原子がアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基等で置換された化合物が挙げられる。イミン残基の炭素原子数は、通常2〜20であり、2〜18が好ましい。イミン残基としては、例えば、一般式:−CRβ=N−Rγ又は一般式:−N=C(Rγ(式中、Rβは水素原子、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、又はアリールアルキニル基を表し、Rγは独立に、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、又はアリールアルキニル基を表し、ただし、Rγが2個存在する場合、2個のRγは相互に結合し一体となって2価の基、例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等の炭素原子数2〜18のアルキレン基として環を形成してもよい。)で表される基が挙げられる。イミン残基としては、以下の基が挙げられる。
(式中、Meはメチル基を示し、以下、同様である。)
アミド基は、炭素原子数が通常1〜20であり、2〜18であることが好ましい。アミド基としては、ホルムアミド基、アセトアミド基、プロピオアミド基、ブチロアミド基、ベンズアミド基、トリフルオロアセトアミド基、ペンタフルオロベンズアミド基、ジホルムアミド基、ジアセトアミド基、ジプロピオアミド基、ジブチロアミド基、ジベンズアミド基、ジトリフルオロアセトアミド基、ジペンタフルオロベンズアミド基等が挙げられる。
酸イミド基は、酸イミドからその窒素原子に結合した水素原子を除いて得られる残基であり、炭素原子数が通常4〜20であり、4〜18であることが好ましい。酸イミド基としては、以下の基が挙げられる。
1価の複素環基とは、複素環式化合物から水素原子1個を除いた残りの原子団をいう。ここで、複素環式化合物とは、環式構造をもつ有機化合物のうち、環を構成する元素として、炭素原子だけでなく、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、ホウ素原子、ケイ素原子、セレン原子、テルル原子、ヒ素原子等のヘテロ原子を含む有機化合物をいう。1価の複素環基は置換基を有していてもよい。1価の複素環基は、炭素原子数が通常3〜60であり、3〜20が好ましい。なお、1価の複素環基の炭素原子数には、置換基の炭素原子数は含まないものとする。このような1価の複素環基としては、例えば、チエニル基、C1〜C12アルキルチエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、C1〜C12アルキルピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジル基、ピラジニル基、トリアジニル基、ピロリジル基、ピペリジル基、キノリル基、イソキノリル基が挙げられ、中でも、チエニル基、C1〜C12アルキルチエニル基、ピリジル基及びC1〜C12アルキルピリジル基が好ましい。なお、1価の複素環基としては、1価の芳香族複素環基が好ましい。
置換カルボキシル基とは、カルボキシル基中の水素原子が、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基で置換された基、すなわち、式:−C(=O)OR*(式中、Rはアルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基)で表される基である。置換オキシカルボニル基は、炭素原子数が通常2〜60であり、2〜48であることが好ましい。前記アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基は、置換基を有していてもよい。なお、上記炭素原子数には、前記アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基が有していてもよい置換基の炭素原子数は含まないものとする。置換カルボキシル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、s−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシロキシカルボニル基、シクロヘキシロキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシロキシカルボニル基、ノニルオキシカルボニル基、デシロキシカルボニル基、3,7−ジメチルオクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、トリフルオロメトキシカルボニル基、ペンタフルオロエトキシカルボニル基、パーフルオロブトキシカルボニル基、パーフルオロヘキシルオキシカルボニル基、パーフルオロオクチルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、ナフトキシカルボニル基、ピリジルオキシカルボニル基等が挙げられる。
式(1)中、Y1は、−CO2 -、−SO3 -、−SO2 -、−PO3 -、又は−B(R 等の1価の基を表し、Y1としては、イオン性ポリマーの酸性度の観点からは−CO2 -、−SO2 -、−PO3 -が好ましく、−CO2 -がより好ましく、イオン性ポリマーの安定性の観点からは、−CO2 -、−SO3 -、−SO2 -又は−PO3 -が好ましい。
式(1)中、M1は金属カチオン又は置換基を有し若しくは有さないアンモニウムカチオンを表す。金属カチオンとしては、1価、2価又は3価のイオンが好ましく、Li、Na、K、Cs、Be、Mg、Ca、Ba、Ag、Al、Bi、Cu、Fe、Ga、Mn、Pb、Sn、Ti、V、W、Y、Yb、Zn、Zr等のイオンが挙げられ、Li+、Na+、K+、Cs+、Ag+、Mg2+、Ca2+が好ましい。また、アンモニウムイオンが有していてもよい置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基等の炭素原子数1〜10のアルキル基が挙げられる。
式(1)中、Z1はF-、Cl-、Br-、I-、OH-、RaSO3 -、RaCOO-、ClO-、ClO2 -、ClO3 -、ClO4 -、SCN-、CN-、NO3 -、SO4 2-、HSO4 -、PO4 3-、HPO4 2-、H2PO4 -、BF4 -又はPF6 -を表す。
式(1)中、n1は0以上の整数を表し、原料モノマーの合成の観点から、好ましくは0から8の整数であり、より好ましくは0から2の整数である。
式(1)中、a1は1以上の整数を表し、b1は0以上の整数を表す。
a1及びb1は、式(1)で表される基の電荷が0となるように選択される。例えば、Yが−CO2 -、−SO3 -、−SO2 -、−PO3 -、又は−B(R であり、Mが1価の金属カチオン又は置換基を有し若しくは有さないアンモニウムカチオンであり、ZがF-、Cl-、Br-、I-、OH-、RaSO3 -、RaCOO-、ClO-、ClO2 -、ClO3 -、ClO4 -、SCN-、CN-、NO3 -、HSO4 -、H2PO4 -、BF4 -又はPF6 -である場合は、a1=b1+1を満たすように選択される。Y1が−CO2 -、−SO3 -、−SO2 -、−PO3 -、又は−B(R −-であり、M1が2価の金属カチオンであり、Z1がF-、Cl-、Br-、I-、OH-、RaSO3 -、RaCOO-、ClO-、ClO2 -、ClO3 -、ClO4 -、SCN-、CN-、NO3 -、HSO4 -、H2PO4 -、BF4 -又はPF6 -である場合は、b1=2×a1−1を満たすように選択される。Y1が−CO2 -、−SO3 -、−SO2 -、−PO3 -、又は−B(R であり、M1が3価の金属カチオンであり、Z1がF-、Cl-、Br-、I-、OH-、RaSO3 -、RaCOO-、ClO-、ClO2 -、ClO3 -、ClO4 -、SCN-、CN-、NO3 -、HSO4 -、H2PO4 -、BF4 -又はPF6 -である場合は、b1=3×a1−1を満たすように選択される。Y1が−CO2 -、−SO3 -、−SO2 -、−PO3 -、又は−B(R であり、M1が1価の金属カチオン又は置換基を有し若しくは有さないアンモニウムカチオンであり、Z1がSO4 2−又はHPO4 2−である場合には、a1=2×b1+1を満たすように選択される。a1とb1との関係を表す上記のいずれの数式においても、a1は好ましくは1から5の整数であり、より好ましくは1又は2である。
aは置換基を有し若しくは有さない炭素原子数1〜30のアルキル基又は置換基を有し若しくは有さない炭素原子数6〜50のアリール基を表すが、これらの基が有していてもよい置換基としては、前述のQに関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。Raとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基等の炭素原子数1〜20のアルキル基、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基等の炭素原子数6〜30のアリール基等が挙げられる。
前記式(1)で表される基としては、例えば、以下の基が挙げられる。
−式(2)で表される基−
式(2)中、Q2で表される2価の有機基としては、前述のQで表される2価の有機基について例示したものと同様の基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、2価の飽和炭化水素基、アリーレン基、アルキレンオキシ基が好ましい。
前記Q2で表される2価の有機基の例として挙げた基は置換基を有していてもよく、当該置換基としては、前述のQに関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
式(2)中、Y2はカルボカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニルカチオン、スルホニルカチオン、又はヨードニウムカチオンを表す。
カルボカチオンとしては、例えば、
−C
(式中、Rは、同一又は相異なり、アルキル基又はアリール基を表す。)で表される基が挙げられる。
アンモニウムカチオンとしては、例えば、
−N
(式中、Rは、同一又は相異なり、アルキル基又はアリール基を表す。)で表される基が挙げられる。
ホスホニルカチオンとしては、例えば、
−P
(式中、Rは、同一又は相異なり、アルキル基又はアリール基を表す。)で表される基が挙げられる。
スルホニルカチオンとしては、例えば、
−S
(式中、Rは、同一又は相異なり、アルキル基又はアリール基を表す。)で表される基が挙げられる。
ヨードニウムカチオンとしては、例えば、
−I
(式中、Rは、同一又は相異なり、アルキル基又はアリール基を表す。)で表される基が挙げられる。
式(2)中、Y2は、原料モノマーの合成の容易さ並びに原料モノマー及びイオン性ポリマーの空気、湿気又は熱に対する安定性の観点からは、カルボカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニルカチオン、スルホニルカチオンが好ましく、アンモニウムカチオンがより好ましい。
式(2)中、Z2は金属カチオン又は置換基を有し若しくは有さないアンモニウムカチオンを表す。金属カチオンとしては、1価、2価又は3価のイオンが好ましく、Li、Na、K、Cs、Be、Mg、Ca、Ba、Ag、Al、Bi、Cu、Fe、Ga、Mn、Pb、Sn、Ti、V、W、Y、Yb、Zn、Zr等のイオンが挙げられる。また、アンモニウムカチオンが有していてもよい置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等の炭素原子数1〜10のアルキル基が挙げられる。
式(2)中、M2はF-、Cl-、Br-、I-、OH-、RbSO3 -、RbCOO-、ClO-、ClO2 -、ClO3 -、ClO4 -、SCN-、CN-、NO3 -、SO4 2-、HSO4 -、PO4 3-、HPO4 2-、H2PO4 -、BF4 -又はPF6 -を表す。
式(2)中、n2は0以上の整数を表し、好ましくは0から6の整数であり、より好ましくは0から2の整数である。
式(2)中、a2は1以上の整数を表し、b2は、0以上の整数を表す。
a2及びb2は、式(2)で表される基の電荷が0となるように選択される。例えば、M2がF-、Cl-、Br-、I-、OH-、RbSO3 -、RbCOO-、ClO-、ClO2 -、ClO3 -、ClO4 -、SCN-、CN-、NO3 -、HSO4 -、H2PO4 -、BF4 -又はPF6 -である場合、Z2が1価の金属イオン又は置換基を有し若しくは有さないアンモニウムイオンであれば、a2=b2+1を満たすように選択され、Z2が2価の金属イオンであれば、a2=2×b2+1を満たすように選択され、Z2が3価の金属イオンであれば、a2=3×b2+1を満たすように選択される。M2がSO4 2-、HPO4 2-である場合、Z2が1価の金属イオン又は置換基を有し若しくは有さないアンモニウムイオンであれば、b2=2×a2−1を満たすように選択され、Z2が3価の金属イオンであれば、2×a2=3×b2+1の関係を満たすように選択される。a2とb2との関係を表す上記のいずれの数式においても、a2は好ましくは1から3の整数であり、より好ましくは1又は2である。
bは置換基を有し若しくは有さない炭素原子数1〜30のアルキル基又は置換基を有し若しくは有さない炭素原子数6〜50のアリール基を表すが、これらの基が有していてもよい置換基としては、前述のQ1に関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。Rbとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基等の炭素原子数1〜20のアルキル基、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基等の炭素原子数6〜30のアリール基等が挙げられる。
前記式(2)で表される基としては、例えば、以下の基が挙げられる。
−式(3)で表される基−
式(3)中、Qで表される2価の有機基としては、前述のQで表される2価の有機基について例示したものと同様の基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、2価の飽和炭化水素基、アリーレン基、アルキレンオキシ基が好ましい。
前記Qで表される2価の有機基の例として挙げた基は置換基を有していてもよく、当該置換基としては、前述のQに関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
前記Qで表される2価の有機基としては、−(CH)−で表される基であることが好ましい。
n3は0以上の整数を表し、好ましくは0から20の整数であり、より好ましくは0から8の整数である。
式(3)中、Y3は−CN又は式(4)〜(12)のいずれかで表される基を表す。
式(4)〜(12)中、R’で表される2価の炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,2−ブチレン基、1,3−ブチレン基、1,4−ブチレン基、1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基、1,9−ノニレン基、1,12−ドデシレン基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50の2価の飽和炭化水素基;エテニレン基、プロペニレン基、3−ブテニレン基、2−ブテニレン基、2−ペンテニレン基、2−ヘキセニレン基、2−ノネニレン基、2−ドデセニレン基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数2〜50のアルケニレン基、及び、エチニレン基を含む、置換基を有し又は有さない炭素原子数2〜50の2価の不飽和炭化水素基;シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、シクロノニレン基、シクロドデシレン基、ノルボニレン基、アダマンチレン基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数3〜50の2価の環状飽和炭化水素基;1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、ビフェニル−4,4’−ジイル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜50のアリーレン基;メチレンオキシ基、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、ブチレンオキシ基、ペンチレンオキシ基、ヘキシレンオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルキレンオキシ基等が挙げられる。
前記置換基としては、前述のQに関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
式(4)〜(12)中、R’’で表される1価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基等が挙げられる。イオン性ポリマーの溶解性の観点からは、メチル基、エチル基、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基が好ましい。前記置換基としては、前述のQ1に関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
式(5)中、R’’’で表される3価の炭化水素基としては、メタントリイル基、エタントリイル基、1,2,3−プロパントリイル基、1,2,4−ブタントリイル基、1,2,5−ペンタントリイル基、1,3,5−ペンタントリイル基、1,2,6−ヘキサントリイル基、1,3,6−ヘキサントリイル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキルトリイル基;1,2,3−ベンゼントリイル基、1,2,4−ベンゼントリイル基、1,3,5−ベンゼントリイル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基等が挙げられる。イオン性ポリマーの溶解性の観点からは、メタントリイル基、エタントリイル基、1,2,4−ベンゼントリイル基、1,3,5−ベンゼントリイル基が好ましい。前記置換基としては、前述のQ1に関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
式(4)〜(12)中、Rcとしては、イオン性ポリマーの溶解性の観点からは、メチル基、エチル基、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基が好ましい
式(4)及び式(5)中、a3は1以上の整数を表し、3〜10の整数が好ましい。式(6)〜(12)中、a4は0以上の整数を表す。式(6)においては、a4は、0〜30の整数が好ましく、3〜20の整数がより好ましい。式(7)〜(10)においては、a4は、0〜10の整数が好ましく、0〜5の整数がより好ましい。式(11)においては、a4は、0〜20の整数が好ましく、3〜20の整数がより好ましい。式(12)においては、a4は、0〜20の整数が好ましく、0〜10の整数がより好ましい。
3としては、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、−CN、式(4)で表される基、式(6)で表される基、式(10)で表される基、式(11)で表される基が好ましく、式(4)で表される基、式(6)で表される基、式(11)で表される基がより好ましく、以下の基が特に好ましい。
−イオン性ポリマー中の構造単位−
本発明に用いられるイオン性ポリマーは、前記式(13)で表される構造単位、前記式(15)で表される構造単位、前記式(17)で表される構造単位、前記式(20)で表される構造単位を有することが好ましく、前記構造単位を全構造単位中、15〜100モル%有するイオン性ポリマーであることがより好ましい。
・式(13)で表される構造単位
式(13)中、R1は式(14)で表される基を含む1価の基であり、Ar1はR1以外の置換基を有し又は有さない(2+n4)価の芳香族基を表し、n4は1以上の整数を表す。
式(14)で表される基は、Arに直接結合していてもよく、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ノニレン基、ドデシレン基、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、シクロノニレン基、シクロドデシレン基、ノルボニレン基、アダマンチレン基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルキレン基;オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシペンチレン基、オキシヘキシレン基、オキシノニレン基、オキシドデシレン基、シクロプロピレンオキシ基、シクロブチレンオキシ基、シクロペンチレンオキシ基、シクロへキシレンオキシ基、シクロノニレンオキシ基、シクロドデシレンオキシ基、ノルボニレンオキシ基、アダマンチレンオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のオキシアルキレン基;置換基を有し又は有さないイミノ基;置換基を有し又は有さないシリレン基;置換基を有し又は有さないエテニレン基;エチニレン基;置換基を有し又は有さないメタントリイル基;酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を介してArに結合していてもよい。
前記ArはR1以外の置換基を有していてもよい。当該置換基としては、前述のQに関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。前記置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
前記Ar1が有するR1以外の置換基としては、原料モノマーの合成の容易さの観点から、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、カルボキシル基又は置換カルボキシル基であることが好ましい。
式(13)中、n4は1以上の整数を表し、好ましくは1から4の整数であり、より好ましくは1から3の整数である。
式(13)中のAr1で表される(2+n4)価の芳香族基としては、(2+n4)価の芳香族炭化水素基、(2+n4)価の芳香族複素環基が挙げられ、炭素原子のみ、又は、炭素原子と、水素原子、窒素原子及び酸素原子からなる群から選ばれる1つ以上の原子とからなる(2+n4)価の芳香族基が好ましい。該(2+n4)価の芳香族基としては、ベンゼン環、ピリジン環、1,2−ジアジン環、1,3−ジアジン環、1,4−ジアジン環、1,3,5−トリアジン環、フラン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環、アザジアゾール環等の単環式芳香環から水素原子を(2+n4)個除いた(2+n4)価の基;該単環式芳香環からなる群から選ばれる二つ以上の環が縮合した縮合多環式芳香環から水素原子を(2+n4)個除いた(2+n4)価の基;該単環式芳香環及び該縮合多環式芳香環からなる群より選ばれる二つ以上の芳香環を、単結合、エテニレン基又はエチニレン基で連結してなる芳香環集合から水素原子を(2+n4)個除いた(2+n4)価の基;該縮合多環式芳香環又は該芳香環集合の隣り合う2つの芳香環をメチレン基、エチレン基、カルボニル基等の2価の基で橋かけした架橋を有する有橋多環式芳香環から水素原子を(2+n4)個除いた(2+n4)価の基等が挙げられる。
単環式芳香環としては、例えば、以下の環が挙げられる。
縮合多環式芳香環としては、例えば、以下の環が挙げられる。
芳香環集合としては、例えば、以下の環が挙げられる。
有橋多環式芳香環としては、例えば、以下の環が挙げられる。
前記(2+n4)価の芳香族基としては、原料モノマーの合成の容易さの観点から、式1〜14、26〜29、37〜39又は41で表される環から水素原子を(2+n4)個除いた基が好ましく、式1〜6、8、13、26、27、37又は41で表される環から水素原子を(2+n4)個除いた基がより好ましく、式1、37又は41で表される環から水素原子を(2+n4)個除いた基がさらに好ましい。
式(14)中、R2で表される(1+m1+m2)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から(m1+m2)個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から(m1+m2)個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から(m1+m2)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から(m1+m2)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から(m1+m2)個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から(m1+m2)個の水素原子を除いた基、アリール基から(m1+m2)個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から(m1+m2)個の水素原子を除いた基が好ましい。
前記置換基としては、前述のQに関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。前記置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
・式(15)で表される構造単位
式(15)中、R3は式(16)で表される基を含む1価の基であり、Ar2はR3以外の置換基を有し又は有さない(2+n5)価の芳香族基を表し、n5は1以上の整数を表す。
式(16)で表される基は、Ar2に直接結合していてもよく、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ノニレン基、ドデシレン基、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、シクロノニレン基、シクロドデシレン基、ノルボニレン基、アダマンチレン基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルキレン基;オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシペンチレン基、オキシヘキシレン基、オキシノ
ニレン基、オキシドデシレン基、シクロプロピレンオキシ基、シクロブチレンオキシ基、
シクロペンチレンオキシ基、シクロへキシレンオキシ基、シクロノニレンオキシ基、シクロドデシレンオキシ基、ノルボニレンオキシ基、アダマンチレンオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のオキシアルキレン基;置換基を有し又は有さないイミノ基;置換基を有し又は有さないシリレン基;置換基を有し又は有さないエテニレン基;エチニレン基;置換基を有し又は有さないメタントリイル基;酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を介してAr2に結合していてもよい。
前記Ar2はR3以外の置換基を有していてもよい。当該置換基としては、前述のQに関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。前記置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
前記Ar2が有するR3以外の置換基としては、原料モノマーの合成の容易さの観点から、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、カルボキシル基又は置換カルボキシル基であることが好ましい。
式(15)中、n5は1以上の整数を表し、好ましくは1から4の整数であり、より好ましくは1から3の整数である。
式(15)中のAr2で表される(2+n5)価の芳香族基としては、(2+n5)価の芳香族炭化水素基、(2+n5)価の芳香族複素環基が挙げられ、炭素原子のみ、又は、炭素原子と、水素原子、窒素原子及び酸素原子からなる群から選ばれる1つ以上の原子とからなる(2+n5)価の芳香族基が好ましい。該(2+n5)価の芳香族基としては、ベンゼン環、ピリジン環、1,2−ジアジン環、1,3−ジアジン環、1,4−ジアジン環、1,3,5−トリアジン環、フラン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環、アザジアゾール環等の単環式芳香環から水素原子を(2+n5)個除いた(2+n5)価の基;該単環式芳香環からなる群から選ばれる二つ以上の環が縮合した縮合多環式芳香環から水素原子を(2+n5)個除いた(2+n5)価の基;該単環式芳香環及び該縮合多環式芳香環からなる群より選ばれる二つ以上の芳香環を、単結合、エテニレン基又はエチニレン基で連結してなる芳香環集合から水素原子を(2+n5)個除いた(2+n5)価の基;該縮合多環式芳香環又は該芳香環集合の隣り合う2つの芳香環をメチレン基、エチレン基、カルボニル基等の2価の基で橋かけした架橋を有する有橋多環式芳香環から水素原子を(2+n5)個除いた(2+n5)価の基等が挙げられる。
単環式芳香環としては、例えば、式(13)で表される構造単位に関する説明中で例示した式1〜12で表される環が挙げられる。
縮合多環式芳香環としては、例えば、式(13)で表される構造単位に関する説明中で例示した式13〜27で表される環が挙げられる。
芳香環集合としては、例えば、式(13)で表される構造単位に関する説明中で例示した式28〜36で表される環が挙げられる。
有橋多環式芳香環としては、例えば、式(13)で表される構造単位に関する説明中で例示した式37〜44で表される環が挙げられる。
前記(2+n5)価の芳香族基としては、原料モノマーの合成の容易さの観点から、式1〜14、26〜29、37〜39又は41で表される環から水素原子を(2+n5)個除いた基が好ましく、式1〜6、8、13、26、27、37又は41で表される環から水素原子を(2+n5)個除いた基がより好ましく、式1、37又は41で表される環から水素原子を(2+n5)個除いた基がさらに好ましい。
式(16)中、m3及びm4はそれぞれ独立に1以上の整数を表す。
式(16)中、R4で表される(1+m3+m4)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から(m3+m4)個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から(m3+m4)個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から(m3+m4)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から(m3+m4)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から(m3+m4)個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から(m3+m4)個の水素原子を除いた基、アリール基から(m3+m4)個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から(m3+m4)個の水素原子を除いた基が好ましい。
前記置換基としては、前述のQに関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。前記置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
・式(17)で表される構造単位
式(17)中、R5は式(18)で表される基を含む1価の基であり、R6は式(19)で表される基を含む1価の基であり、Ar3はR5及びR6以外の置換基を有し又は有さない(2+n6+n7)価の芳香族基を表し、n6及びn7はそれぞれ独立に1以上の整数を表す。
式(18)で表される基及び式(19)で表される基は、Ar3に直接結合していてもよく、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ノニレン基、ドデシレン基、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、シクロノニレン基、シクロドデシレン基、ノルボニレン基、アダマンチレン基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルキレン基;オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシペンチレン基、オキシヘキシレン基、オキシノニレン基、オキシドデシレン基、シクロプロピレンオキシ基、シクロブチレンオキシ基、シクロペンチレンオキシ基、シクロへキシレンオキシ基、シクロノニレンオキシ基、シクロドデシレンオキシ基、ノルボニレンオキシ基、アダマンチレンオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のオキシアルキレン基;置換基を有し又は有さないイミノ基;置換基を有し又は有さないシリレン基;置換基を有し又は有さないエテニレン基;エチニレン基;置換基を有し又は有さないメタントリイル基;酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を介してAr3に結合していてもよい。
前記Ar3はR5及びR6以外の置換基を有していてもよい。当該置換基としては、前述のQに関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。前記置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
前記Ar3が有するR5及びR6以外の置換基としては、原料モノマーの合成の容易さの観点から、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、カルボキシル基又は置換カルボキシル基であることが好ましい。
式(17)中、n6は1以上の整数を表し、好ましくは1から4の整数であり、より好ましくは1から3の整数である。
式(17)中、n7は1以上の整数を表し、好ましくは1から4の整数であり、より好ましくは1から3の整数である。
式(17)中のAr3で表される(2+n6+n7)価の芳香族基としては、(2+n6+n7)価の芳香族炭化水素基、(2+n6+n7)価の芳香族複素環基が挙げられ、炭素原子のみ、又は、炭素原子と、水素原子、窒素原子及び酸素原子からなる群から選ばれる1つ以上の原子とからなる(2+n6+n7)価の芳香族基が好ましい。該(2+n6+n7)価の芳香族基としては、ベンゼン環、ピリジン環、1,2−ジアジン環、1,3−ジアジン環、1,4−ジアジン環、フラン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環等の単環式芳香環から水素原子を(2+n6+n7)個除いた(2+n6+n7)価の基;該単環式芳香環からなる群から選ばれる二つ以上の環が縮合した縮合多環式芳香環から水素原子を(2+n6+n7)個除いた(2+n6+n7)価の基;該単環式芳香環及び該縮合多環式芳香環からなる群より選ばれる二つ以上の芳香環を、単結合、エテニレン基又はエチニレン基で連結してなる芳香環集合から水素原子を(2+n6+n7)個除いた(2+n6+n7)価の基;該縮合多環式芳香環又は該芳香環集合の隣り合う2つの芳香環をメチレン基、エチレン基、カルボニル基等の2価の基で橋かけした架橋を有する有橋多環式芳香環から水素原子を(2+n6+n7)個除いた(2+n6+n7)価の基等が挙げられる。
単環式芳香環としては、例えば、式(13)で表される構造単位に関する説明中で例示した式1〜5、式7〜10で表される環が挙げられる。
縮合多環式芳香環としては、例えば、式(13)で表される構造単位に関する説明中で例示した式13〜27で表される環が挙げられる。
芳香環集合としては、例えば、式(13)で表される構造単位に関する説明中で例示した式28〜36で表される環が挙げられる。
有橋多環式芳香環としては、例えば、式(13)で表される構造単位に関する説明中で例示した式37〜44で表される環が挙げられる。
前記(2+n6+n7)価の芳香族基としては、原料モノマーの合成の容易さの観点から、式1〜5、7〜10、13、14、26〜29、37〜39又は41で表される環から水素原子を(2+n6+n7)個除いた基が好ましく、式1、37又は41で表される環から水素原子を(2+n6+n7)個除いた基がより好ましく、式1、38又は42で表される環から水素原子を(2+n6+n7)個除いた基がさらに好ましい。
式(18)中、Rは単結合又は(1+m5)価の有機基を表し、(1+m5)価の有機基であることが好ましい。
式(18)中、R7で表される(1+m5)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基からm5個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基からm5個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基からm5個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基からm5個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基からm5個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基からm5個の水素原子を除いた基、アリール基からm5個の水素原子を除いた基、アルコキシ基からm5個の水素原子を除いた基が好ましい。
前記置換基としては、前述のQに関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。前記置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
式(18)中、m5は1以上の整数を表し、ただし、R7が単結合のときm5は1を表す。
式(19)中、Rは単結合又は(1+m6)価の有機基を表し、(1+m6)価の有機基であることが好ましい。
式(19)中、R8で表される(1+m6)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基からm6個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基からm6個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基からm6個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基からm6個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基からm6個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基からm6個の水素原子を除いた基、アリール基からm6個の水素原子を除いた基、アルコキシ基からm6個の水素原子を除いた基が好ましい。
前記置換基としては、前述のQに関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。前記置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
式(19)中、m6は1以上の整数を表し、ただし、R8が単結合のときm6は1を表す。
・式(20)で表される構造単位
式(20)中、R9は式(21)で表される基を含む1価の基であり、R10は式(22)で表される基を含む1価の基であり、Ar4はR9及びR10以外の置換基を有し又は有さない(2+n8+n9)価の芳香族基を表し、n8及びn9はそれぞれ独立に1以上の整数を表す。
式(21)で表される基及び式(22)で表される基は、Ar4に直接結合していてもよく、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ノニレン基、ドデシレン基、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、シクロノニレン基、シクロドデシレン基、ノルボニレン基、アダマンチレン基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルキレン基;オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシペンチレン基、オキシヘキシレン基、オキシノニレン基、オキシドデシレン基、シクロプロピレンオキシ基、シクロブチレンオキシ基、シクロペンチレンオキシ基、シクロへキシレンオキシ基、シクロノニレンオキシ基、シクロドデシレンオキシ基、ノルボニレンオキシ基、アダマンチレンオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のオキシアルキレン基;置換基を有し又は有さないイミノ基;置換基を有し又は有さないシリレン基;置換基を有し又は有さないエテニレン基;エチニレン基;置換基を有し又は有さないメタントリイル基;酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を介してAr4に結合していてもよい。
前記Ar4はR9及びR10以外の置換基を有していてもよい。当該置換基としては、前述のQに関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。前記置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
前記Ar4が有するR9及びR10以外の置換基としては、原料モノマーの合成の容易さの観点から、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、カルボキシル基又は置換カルボキシル基であることが好ましい。
式(20)中、n8は1以上の整数を表し、好ましくは1から4の整数であり、より好ましくは1から3の整数である。
式(20)中、n9は1以上の整数を表し、好ましくは1から4の整数であり、より好ましくは1から3の整数である。
式(20)中のAr4で表される(2+n8+n9)価の芳香族基としては、(2+n8+n9)価の芳香族炭化水素基、(2+n8+n9)価の芳香族複素環基が挙げられ、炭素原子のみ、又は、炭素原子と、水素原子、窒素原子及び酸素原子からなる群から選ばれる1つ以上の原子とからなる(2+n8+n9)価の芳香族基が好ましい。該(2+n8+n9)価の芳香族基としては、ベンゼン環、ピリジン環、1,2−ジアジン環、1,3−ジアジン環、1,4−ジアジン環、フラン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環等の単環式芳香環から水素原子を(2+n8+n9)個除いた(2+n8+n9)価の基;該単環式芳香環からなる群から選ばれる二つ以上の環が縮合した縮合多環式芳香環から水素原子を(2+n8+n9)個除いた(2+n8+n9)価の基;該単環式芳香環及び該縮合多環式芳香環からなる群より選ばれる二つ以上の芳香環を、単結合、エテニレン基又はエチニレン基で連結してなる芳香環集合から水素原子を(2+n8+n9)個除いた(2+n8+n9)価の基;該縮合多環式芳香環又は該芳香環集合の隣り合う2つの芳香環をメチレン基、エチレン基、カルボニル基等の2価の基で橋かけした架橋を有する有橋多環式芳香環から水素原子を(2+n8+n9)個除いた(2+n8+n9)価の基等が挙げられる。
単環式芳香環としては、例えば、式(13)で表される構造単位に関する説明中で例示した式1〜5、式7〜10で表される環が挙げられる。
縮合多環式芳香環としては、例えば、式(13)で表される構造単位に関する説明中で例示した式13〜27で表される環が挙げられる。
芳香環集合としては、例えば、式(13)で表される構造単位に関する説明中で例示した式28〜36で表される環が挙げられる。
有橋多環式芳香環としては、例えば、式(13)で表される構造単位に関する説明中で例示した式37〜44で表される環が挙げられる。
前記(2+n8+n9)価の芳香族基としては、原料モノマーの合成の容易さの観点から、式1〜5、7〜10、13、14、26〜29、37〜39又は41で表される環から水素原子を(2+n8+n9)個除いた基が好ましく、式1〜6、8、14、27、28、38又は42で表される環から水素原子を(2+n8+n9)個除いた基がより好ましく、式1、37又は41で表される環から水素原子を(2+n8+n9)個除いた基がさらに好ましい。
式(21)中、R11は単結合又は(1+m7)価の有機基を表し、(1+m7)価の有機基であることが好ましい。
式(21)中、R11で表される(1+m7)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基からm7個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基からm7個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基からm7個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基からm7個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基からm7個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基からm7個の水素原子を除いた基、アリール基からm7個の水素原子を除いた基、アルコキシ基からm7個の水素原子を除いた基が好ましい。
前記置換基としては、前述のQに関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。前記置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
式(21)中、m7は1以上の整数を表し、ただし、R11が単結合のときm7は1を表す。
式(22)中、R12は単結合又は(1+m8)価の有機基を表し、(1+m8)価の有機基であることが好ましい。
式(22)中、R12で表される(1+m8)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基からm8個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基からm8個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基からm8個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基からm8個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基からm8個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基からm8個の水素原子を除いた基、アリール基からm8個の水素原子を除いた基、アルコキシ基からm8個の水素原子を除いた基が好ましい。
前記置換基としては、前述のQに関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。前記置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
式(22)中、m8は1以上の整数を表し、ただし、R12が単結合のときm8は1を表す。
式(13)で表される構造単位の例
式(13)で表される構造単位としては、得られるイオン性ポリマーの電子輸送性の観点からは、式(23)で表される構造単位、式(24)で表される構造単位が好ましく、式(24)で表される構造単位がより好ましい。
(式(23)中、R13は(1+m9+m10)価の有機基を表し、R14は1価の有機基を表し、Q1、Q、Y、M1、Z1、Y、n1、a1、b1及びn3は前述と同じ意味を表し、m9及びm10はそれぞれ独立に1以上の整数を表し、Q1、Q、Y、M1、Z1、Y、n1、a1、b1及びn3のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。)
式(23)中、R13で表される(1+m9+m10)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から(m9+m10)個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から(m9+m10)個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から(m9+m10)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から(m9+m10)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から(m9+m10)個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から(m9+m10)個の水素原子を除いた基、アリール基から(m9+m10)個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から(m9+m10)個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(23)中、R14で表される1価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から1個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から1個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から1個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から1個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から1個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から1個の水素原子を除いた基、アリール基から1個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から1個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(23)で表される構造単位としては、以下の構造単位が挙げられる。
(式(24)中、R13は(1+m11+m12)価の有機基を表し、Q1、Q、Y、M1、Z1、Y、n1、a1、b1及びn3は前述と同じ意味を表し、m11及びm12はそれぞれ独立に1以上の整数を表し、R13、m11、m12、Q1、Q、Y、M1、Z1、Y、n1、a1、b1及びn3のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。)
式(24)中、R13で表される(1+m11+m12)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から(m11+m12)個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から(m11+m12)個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から(m11+m12)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から(m11+m12)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から(m11+m12)個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から(m11+m12)個の水素原子を除いた基、アリール基から(m11+m12)個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から(m11+m12)個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(24)で表される構造単位としては、以下の構造単位が挙げられる。
式(13)で表される構造単位としては、得られるイオン性ポリマーの耐久性の観点からは、式(25)で表される構造単位が好ましい。
(式(25)中、R15は(1+m13+m14)価の有機基を表し、Q1、Q、Y、M1、Z1、Y、n1、a1、b1及びn3は前述と同じ意味を表し、m13、m14及びm15はそれぞれ独立に1以上の整数を表し、R15、m13、m14、Q1、Q、Y、M1、Z1、Y、n1、a1、b1及びn3のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。)
式(25)中、R15で表される(1+m13+m14)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から(m13+m14)個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から(m13+m14)個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から(m13+m14)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から(m13+m14)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から(m13+m14)個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から(m13+m14)個の水素原子を除いた基、アリール基から(m13+m14)個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から(m13+m14)個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(25)で表される構造単位としては、以下の構造単位が挙げられる。
式(15)で表される構造単位の例
式(15)で表される構造単位としては、得られるイオン性ポリマーの電子輸送性の観点からは、式(26)で表される構造単位、式(27)で表される構造単位が好ましく、式(27)で表される構造単位がより好ましい。
(式(26)中、R16は(1+m16+m17)価の有機基を表し、R17は1価の有機基を表し、Q2、Q、Y2、M2、Z2、Y、n2、a2、b2及びn3は前述と同じ意味を表し、m16及び、m17はそれぞれ独立に1以上の整数を表し、Q2、Q、Y2、M2、Z2、Y、n2、a2、b2及びn3のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。)
式(26)中、R16で表される(1+m16+m17)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から(m16+m17)個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から(m16+m17)個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から(m16+m17)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から(m16+m17)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から(m16+m17)個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から(m16+m17)個の水素原子を除いた基、アリール基から(m16+m17)個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から(m16+m17)個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(26)中、R17で表される1価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から1個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から1個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から1個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から1個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から1個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から1個の水素原子を除いた基、アリール基から1個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から1個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(26)で表される構造単位としては、以下の構造単位が挙げられる。
(式(27)中、R16は(1+m16+m17)価の有機基を表し、Q2、Q、Y2、M2、Z2、Y、n2、a2、b2及びn3は前述と同じ意味を表し、m16及び、m17はそれぞれ独立に1以上の整数を表し、R16、m16、m17、Q2、Q、Y2、M2、Z2、Y、n2、a2、b2及びn3のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。)
式(27)中、R16で表される(1+m16+m17)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から(m16+m17)個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から(m16+m17)個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から(m16+m17)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から(m16+m17)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から(m16+m17)個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から(m16+m17)個の水素原子を除いた基、アリール基から(m16+m17)個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から(m16+m17)個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(27)で表される構造単位としては、以下の構造単位が挙げられる。
式(15)で表される構造単位としては、得られるイオン性ポリマーの耐久性の観点からは、式(28)で表される構造単位が好ましい。
(式(28)中、R18は(1+m18+m19)価の有機基を表し、Q2、Q、Y2、M2、Z2、Y、n2、a2、b2及びn3は前述と同じ意味を表し、m18、m19及びm20はそれぞれ独立に1以上の整数を表し、R18、m18、m19、Q2、Q、Y2、M2、Z2、Y、n2、a2、b2及びn3のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。)
式(28)中、R18で表される(1+m18+m19)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から(m18+m19)個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から(m18+m19)個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から(m18+m19)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から(m18+m19)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から(m18+m19)個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から(m18+m19)個の水素原子を除いた基、アリール基から(m18+m19)個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から(m18+m19)個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(28)で表される構造単位としては、以下の構造単位が挙げられる。
式(17)で表される構造単位の例
式(17)で表される構造単位としては、得られるイオン性ポリマーの電子輸送性の観点からは、式(29)で表される構造単位が好ましい。
(式(29)中、R19は単結合又は(1+m21)価の有機基を表し、R20は単結合又は(1+m22)価の有機基を表し、Q1、Q、Y、M1、Z1、Y、n1、a1、b1及びn3は前述と同じ意味を表し、m21及びm22はそれぞれ独立に1以上の整数を表し、ただし、R19が単結合のときm21は1を表し、R20が単結合のときm22は1を表し、Q1、Q、Y、M1、Z1、Y、n1、a1、b1及びn3のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。)
式(29)中、R19で表される(1+m21)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から(m21)個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から(m21)個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から(m21)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から(m21)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から(m21)個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から(m21)個の水素原子を除いた基、アリール基から(m21)個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から(m21)個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(29)中、R20で表される(1+m22)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から(m22)個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から(m22)個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から(m22)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から(m22)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から(m22)個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から(m22)個の水素原子を除いた基、アリール基から(m22)個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から(m22)個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(29)で表される構造単位としては、以下の構造単位が挙げられる。
式(17)で表される構造単位としては、得られるイオン性ポリマーの耐久性の観点からは、式(30)で表される構造単位が好ましい。
(式(30)中、R21は単結合又は(1+m23)価の有機基を表し、R22は単結合又は(1+m24)価の有機基を表し、Q1、Q、Y、M1、Z1、Y、n1、a1、b1及びn3は前述と同じ意味を表し、m23及びm24はそれぞれ独立に1以上の整数を表し、ただし、R21が単結合のときm23は1を表し、R22が単結合のときm24は1を表し、m25及びm26はそれぞれ独立に1以上の整数を表し、m23、m24、R21、R22、Q1、Q、Y、M1、Z1、Y、n1、a1、b1及びn3のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。)
式(30)中、R21で表される(1+m23)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から(m23)個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から(m23)個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から(m23)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から(m23)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から(m23)個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から(m23)個の水素原子を除いた基、アリール基から(m23)個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から(m23)個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(30)中、R22で表される(1+m24)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から(m24)個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から(m24)個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から(m24)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から(m24)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から(m24)個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から(m24)個の水素原子を除いた基、アリール基から(m24)個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から(m24)個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(30)で表される構造単位としては、以下の構造単位が挙げられる。
式(20)で表される構造単位の例
式(20)で表される構造単位としては、得られる電子輸送性の観点からは、式(31)で表される構造単位が好ましい。
(式(31)中、R23は単結合又は(1+m27)価の有機基を表し、R24は単結合又は(1+m28)価の有機基を表し、Q、Q、Y、M、Z、Y、n2、a2、b2及びn3は前述と同じ意味を表し、m27及びm28はそれぞれ独立に1以上の整数を表し、ただし、R23が単結合のときm27は1を表し、R24が単結合のときm28は1を表し、Q、Q、Y、M、Z、Y、n2、a2、b2及びn3のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。)
式(31)中、R23で表される(1+m27)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から(m27)個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から(m27)個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から(m27)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から(m27)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から(m27)個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から(m27)個の水素原子を除いた基、アリール基から(m27)個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から(m27)個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(31)中、R24で表される(1+m28)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から(m28)個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から(m28)個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から(m28)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から(m28)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から(m28)個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から(m28)個の水素原子を除いた基、アリール基から(m28)個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から(m28)個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(31)で表される構造単位としては、以下の構造単位が挙げられる。
式(20)で表される構造単位としては、得られるイオン性ポリマーの耐久性の観点からは、式(32)で表される構造単位が好ましい。
(式(32)中、R25は単結合又は(1+m29)価の有機基を表し、R26は単結合又は(1+m30)価の有機基を表し、Q2、Q、Y2、M2、Z2、Y、n2、a2、b2及びn3は前述と同じ意味を表し、m29及びm30はそれぞれ独立に1以上の整数を表し、ただし、R25が単結合のときm29は1を表し、R26が単結合のときm30は1を表し、m31及びm32はそれぞれ独立に1以上の整数を表し、m29、m30、R25、R26、Q2、Q、Y2、M2、Z2、Y、n2、a2、b2及びn3のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。)
式(32)中、R25で表される(1+m29)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から(m29)個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から(m29)個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から(m29)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から(m29)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から(m29)個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から(m29)個の水素原子を除いた基、アリール基から(m29)個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から(m29)個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(32)中、R26で表される(1+m30)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から(m30)個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から(m30)個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から(m30)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から(m30)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から(m30)個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から(m30)個の水素原子を除いた基、アリール基から(m30)個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から(m30)個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(32)で表される構造単位としては、以下の構造単位が挙げられる。
・その他の構造単位
本発明に用いられるイオン性ポリマーは、さらに式(33)で表される1種以上の構造単位を有していてもよい。
(式(33)中、Ar5は置換基を有し若しくは有さない2価の芳香族基又は置換基を有し若しくは有さない2価の芳香族アミン残基を表し、X’は置換基を有し若しくは有さないイミノ基、置換基を有し若しくは有さないシリレン基、置換基を有し若しくは有さないエテニレン基又はエチニレン基を表し、m33及びm34はそれぞれ独立に0又は1を表し、m33及びm34の少なくとも1つは1である。)
式(33)中のAr5で表される2価の芳香族基としては、2価の芳香族炭化水素基、2価の芳香族複素環基が挙げられる。該2価の芳香族基としては、ベンゼン環、ピリジン環、1,2−ジアジン環、1,3−ジアジン環、1,4−ジアジン環、1,3,5−トリアジン環、フラン環、ピロール環、チオフェン環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、アザジアゾール環等の単環式芳香環から水素原子を2個除いた2価の基;該単環式芳香環からなる群から選ばれる二つ以上が縮合した縮合多環式芳香環から水素原子を2個除いた2価の基;該単環式芳香環及び該縮合多環式芳香環からなる群より選ばれる2つ以上の芳香環を、単結合、エテニレン基又はエチニレン基で連結してなる芳香環集合から水素原子を2個除いた2価の基;該縮合多環式芳香環又は該芳香環集合の隣り合う2つの芳香環をメチレン基、エチレン基、カルボニル基、イミノ基等の2価の基で橋かけした架橋を有する有橋多環式芳香環から水素原子を2個除いた2価の基等が挙げられる。
前記縮合多環式芳香環において、縮合する単環式芳香環の数は、イオン性ポリマーの溶解性の観点からは、2〜4が好ましく、2〜3がより好ましく、2がさらに好ましい。前記芳香環集合において、連結される芳香環の数は、溶解性の観点からは、2〜4が好ましく、2〜3がより好ましく、2がさらに好ましい。前記有橋多環式芳香環において、橋かけされる芳香環の数は、イオン性ポリマーの溶解性の観点からは、2〜4が好ましく、2〜3がより好ましく、2がさらに好ましい。
前記単環式芳香環としては、例えば、以下の環が挙げられる。
前記縮合多環式芳香環としては、例えば、以下の環が挙げられる。
前記芳香環集合としては、例えば、以下の環が挙げられる。
前記有橋多環式芳香環としては、例えば、以下の環が挙げられる。
前記イオン性ポリマーの電子受容性及び正孔受容性のいずれか一方又は両方の観点からは、Ar5で表される2価の芳香族基は式45〜60、61〜71、77〜80、91、92、93又は96で表される環から水素原子を2個除いた2価の基が好ましく、式45〜50、59、60、77、80、91、92又は96で表される環から水素原子を2個除いた2価の基がより好ましい。
上記の2価の芳香族基は、置換基を有していてもよい。当該置換基としては、前述のQ1に関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。
式(33)中のAr5で表される2価の芳香族アミン残基としては、式(34)で表される基が挙げられる。
(式(34)中、Ar6、Ar7、Ar8及びAr9は、それぞれ独立に、置換基を有し若しくは有さないアリーレン基又は置換基を有し若しくは有さない2価の複素環基を表し、Ar10、Ar11及びAr12は、それぞれ独立に、置換基を有し若しくは有さないアリール基又は置換基を有し若しくは有さない1価の複素環基を表し、n10及びm35は、それぞれ独立に、0又は1を表す。)
前記アリーレン基、アリール基、2価の複素環基、1価の複素環基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールアルキルオキシカルボニル基、ヘテロアリールオキシカルボニル基及びカルボキシル基等が挙げられる。該置換基は、ビニル基、アセチレン基、ブテニル基、アクリル基、アクリレート基、アクリルアミド基、メタクリル基、メタクリレート基、メタクリルアミド基、ビニルエーテル基、ビニルアミノ基、シラノール基、小員環(シクロプロピル基、シクロブチル基、エポキシ基、オキセタン基、ジケテン基、エピスルフィド基等)を有する基、ラクトン基、ラクタム基、又はシロキサン誘導体の構造を含有する基等の架橋基であってもよい。
n10が0の場合、Ar6中の炭素原子とAr8中の炭素原子とが直接結合してもよく、−O−、−S−等の2価の基を介して結合していてもよい。
Ar10、Ar11、Ar12で表されるアリール基、1価の複素環基としては、前記で置換基として説明し例示したアリール基、1価の複素環基と同様である。
Ar6、Ar7、Ar8、Ar9で表されるアリーレン基としては、芳香族炭化水素から芳香環を構成する炭素原子に結合した水素原子2個を除いた残りの原子団が挙げられ、ベンゼン環を持つ基、縮合環を持つ基、独立したベンゼン環又は縮合環2個以上が単結合又は2価の有機基、例えば、ビニレン基等のアルケニレン基を介して結合した基などが挙げられる。アリーレン基は、炭素原子数が通常6〜60であり、7〜48であることが好ましい。アリーレン基の具体例としては、フェニレン基、ビフェニレン基、C1〜C17アルコキシフェニレン基、C1〜C17アルキルフェニレン基、1−ナフチレン基、2−ナフチレン基、1−アントラセニレン基、2−アントラセニレン基、9−アントラセニレン基が挙げられる。前記アリール基中の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。該当するフッ素原子置換アリール基としては、テトラフルオロフェニレン基等が挙げられる。アリール基の中では、フェニレン基、ビフェニレン基、C1〜C12アルコキシフェニレン基、C1〜C12アルキルフェニレン基が好ましい。
Ar6、Ar7、Ar8、Ar9で表される2価の複素環基としては、複素環式化合物から水素原子2個を除いた残りの原子団が挙げられる。ここで、複素環式化合物とは、環式構造をもつ有機化合物のうち、環を構成する元素として、炭素原子だけでなく、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、ホウ素原子、ケイ素原子、セレン原子、テルル原子、ヒ素原子等のヘテロ原子を含む有機化合物をいう。2価の複素環基は置換基を有していてもよい。2価の複素環基は、炭素原子数が通常4〜60であり、4〜20が好ましい。なお、2価の複素環基の炭素原子数には、置換基の炭素原子数は含まないものとする。このような2価の複素環基としては、例えば、チオフェンジイル基、C1〜C12アルキルチオフェンジイル基、ピロールジイル基、フランジイル基、ピリジンジイル基、C1〜C12アルキルピリジンジイル基、ピリダジンジイル基、ピリミジンジイル基、ピラジンジイル基、トリアジンジイル基、ピロリジンジイル基、ピペリジンジイル基、キノリンジイル基、イソキノリンジイル基が挙げられ、中でも、チオフェンジイル基、C1〜C12アルキルチオフェンジイル基、ピリジンジイル基及びC1〜C12アルキルピリジンジイル基がより好ましい。
構造単位として2価の芳香族アミン残基を含むイオン性ポリマーは、さらに他の構造単位を有していてもよい。他の構造単位としては、フェニレン基、フルオレンジイル基等のアリーレン基等が挙げられる。なお、これらのイオン性ポリマーの中では、架橋基を含んでいるものが好ましい。
また、式(34)で表される2価の芳香族アミン残基としては、下記式101〜110で表される芳香族アミンから水素原子を2個除いた基が例示される。
式101〜110で表される芳香族アミンは2価の芳香族アミン残基を生成しうる範囲で置換基を有していてもよく、該置換基としては、前述のQ1に関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられ、置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
式(33)中、X’は置換基を有し若しくは有さないイミノ基、置換基を有し若しくは有さないシリレン基、置換基を有し若しくは有さないエテニレン基又はエチニレン基を表す。イミノ基、シリル基若しくはエテニレン基が有していてもよい置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ラウリル基等の炭素原子数1〜20のアルキル基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基等の炭素原子数6〜30のアリール基等が挙げられ、置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
前記イオン性ポリマーの空気、湿気又は熱に対する安定性の観点からは、X’はイミノ基、エテニレン基、エチニレン基が好ましい。
前記イオン性ポリマーの電子受容性、正孔受容性の観点からは、m33が1であり、m34が0であることが好ましい。
式(33)で表される構造単位としては、前記イオン性ポリマーの電子受容性の観点からは、式(35)で表される構造単位が好ましい。

(式(35)中、Ar13は、置換基を有し若しくは有さないピリジンジイル基、置換基を有し若しくは有さないピラジンジイル基、置換基を有し若しくは有さないピリミジンジイル基、置換基を有し若しくは有さないピリダジンジイル基又は置換基を有し若しくは有さないトリアジンジイル基を表す。)
ピリジンジイル基が有していてもよい置換基としては、前述のQ1に関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
ピラジンジイル基が有していてもよい置換基としては、前述のQ1に関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
ピリミジンジイル基が有していてもよい置換基としては、前述のQ1に関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
ピリダジンジイル基が有していてもよい置換基としては、前述のQ1に関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
トリアジンジイル基が有していてもよい置換基としては、前述のQ1に関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
・構造単位の割合
本発明に用いられるイオン性ポリマーに含まれる式(13)で表される構造単位、式(15)で表される構造単位、式(17)で表される構造単位、及び式(20)で表される構造単位の合計の割合は、有機EL素子の発光効率の観点からは、末端の構造単位を除く該イオン性ポリマーに含まれる全構造単位中、30〜100モル%であることがより好ましい。
・末端の構造単位
なお、本発明に用いられるイオン性ポリマーの末端の構造単位(末端基)としては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、s−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、ラウリルチオ基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロピルオキシフェニル基、イソプロピルオキシフェニル基、ブトキシフェニル基、イソブトキシフェニル基、s−ブトキシフェニル基、t−ブトキシフェニル基、ペンチルオキシフェニル基、ヘキシルオキシフェニル基、シクロヘキシルオキシフェニル基、ヘプチルオキシフェニル基、オクチルオキシフェニル基、2−エチルヘキシルオキシフェニル基、ノニルオキシフェニル基、デシルオキシフェニル基、3,7−ジメチルオクチルオキシフェニル基、ラウリルオキシフェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、プロピルフェニル基、メシチル基、メチルエチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、ブチルフェニル基、イソブチルフェニル基、t−ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、イソアミルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ドデシルフェニル基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、s−ブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基、ラウリルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジトリフルオロメチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、(C1〜C12アルコキシフェニル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル)アミノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、ペンタフルオロフェニルアミノ基、ピリジルアミノ基、ピリダジニルアミノ基、ピリミジルアミノ基、ピラジニルアミノ基、トリアジニルアミノ基、(フェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、(C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、(C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、イソプロピルジメチルシリル基、イソプロピルジエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ペンチルジメチルシリル基、ヘキシルジメチルシリル基、ヘプチルジメチルシリル基、オクチルジメチルシリル基、2−エチルヘキシルジメチルシリル基、ノニルジメチルシリル基、デシルジメチルシリル基、3,7−ジメチルオクチルジメチルシリル基、ラウリルジメチルシリル基、(フェニル−C1〜C12アルキル)シリル基、(C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル)シリル基、(C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル)シリル基、(1−ナフチル−C1〜C12アルキル)シリル基、(2−ナフチル−C1〜C12アルキル)シリル基、(フェニル−C1〜C12アルキル)ジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリ(p−キシリル)シリル基、トリベンジルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、チエニル基、C1〜C12アルキルチエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、C1〜C12アルキルピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジル基、ピラジニル基、トリアジニル基、ピロリジル基、ピペリジル基、キノリル基、イソキノリル基、ヒドロキシ基、メルカプト基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。前記末端の構造単位が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
−イオン性ポリマーの特性−
本発明で用いられるイオン性ポリマーは、好ましくは共役化合物である。本発明で用いられるイオン性ポリマーが共役化合物であるとは、該イオン性ポリマーが主鎖中に、多重結合(例えば、二重結合、三重結合)又は窒素原子、酸素原子等が有する非共有電子対が1つの単結合を挟んで連なっている領域を含むことを意味する。該イオン性ポリマーは、共役化合物である場合、共役化合物の電子輸送性の観点から、
{(多重結合又は窒素原子、酸素原子等が有する非共有電子対が1つの単結合を挟んで連なっている領域に含まれる主鎖上の原子の数)/(主鎖上の全原子の数)}×100%で計算される比が50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
また、本発明で用いられるイオン性ポリマーは、好ましくは高分子化合物であり、より好ましくは共役高分子化合物である。ここで、高分子化合物とは、ポリスチレン換算の数平均分子量が1×103以上である化合物をいう。また、本発明で用いられるイオン性ポリマーが共役高分子化合物であるとは、該イオン性ポリマーが共役化合物かつ高分子化合物であることを意味する。
本発明に用いられるイオン性ポリマーの塗布による成膜性の観点から、該イオン性ポリマーのポリスチレン換算の数平均分子量が1×103〜1×108であることが好ましく、2×103〜1×107であることがより好ましく、3×103〜1×107であることがより好ましく、5×103〜1×107であることがさらに好ましい。また、イオン性ポリマーの純度の観点から、ポリスチレン換算の重量平均分子量が1×103〜5×107であることが好ましく、1×103〜1×107であることがより好ましく、1×103〜5×106であることがさらに好ましい。また、イオン性ポリマーの溶解性の観点から、ポリスチレン換算の数平均分子量は1×103〜5×10であることが好ましく、1×103〜5×10であることがより好ましく、1×103〜3×10であることがさらに好ましい。本発明に用いられるイオン性ポリマーのポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、求めることができる。
本発明に用いられるイオン性ポリマーの純度の観点から、末端構造単位を除く該イオン性ポリマー中に含まれる全構造単位の数(即ち、重合度)は1以上20以下であることが好ましく、1以上10以下であることがより好ましく、1以上5以下であることがさらに好ましい。
本発明に用いられるイオン性ポリマーの電子受容性、正孔受容性の観点からは、該イオン性ポリマーの最低非占有分子軌道(LUMO)の軌道エネルギーが、−5.0eV以上−2.0eV以下であることが好ましく、−4.5eV以上−2.0eV以下がより好ましい。また、同様の観点から、該イオン性ポリマーの最高占有分子軌道(HOMO)の軌道エネルギーが、−6.0eV以上−3.0eV以下であることが好ましく、−5.5eV以上−3.0eV以下がより好ましい。ただし、HOMOの軌道エネルギーはLUMOの軌道エネルギーよりも低い。なお、イオン性ポリマーの最高占有分子軌道(HOMO)の軌道エネルギーは、イオン性ポリマーのイオン化ポテンシャルを測定し、得られたイオン化ポテンシャルを該軌道エネルギーとすることにより求める。一方、イオン性ポリマーの最低非占有分子軌道(LUMO)の軌道エネルギーは、HOMOとLUMOとのエネルギー差を求め、その値と前記で測定したイオン化ポテンシャルとの和を該軌道エネルギーとすることにより求める。イオン化ポテンシャルの測定には光電子分光装置を用いる。また、HOMOとLUMOのエネルギー差は紫外・可視・近赤外分光光度計を用いてイオン性ポリマーの吸収スペクトルを測定し、その吸収末端より求める。
なお、本発明に用いられる重合体は、電界発光素子で用いられた場合、実質的に非発光性であることが好ましい。ここで、ある重合体が実質的に非発光性であるとは、以下のとおりの意味である。まず、ある重合体を含む層を有する電界発光素子Aを作製する。一方、重合体を含む層を有さない電界発光素子2を作製する。電界発光素子Aは重合体を含む層を有するが、電界発光素子2は重合体を含む層を有さない点でのみ、電界発光素子Aと電界発光素子2とは異なる。次に、電界発光素子A及び電界発光素子2に10Vの順方向電圧を印加して発光スペクトルを測定する。電界発光素子2について得られた発光スペクトルにおいて最大ピークを与える波長λを求める。波長λにおける発光強度を1として、電界発光素子2について得られた発光スペクトルを規格化し、波長について積分して規格化発光量S0を計算する。一方、波長λにおける発光強度を1として、電界発光素子Aについて得られた発光スペクトルも規格化し、波長について積分して規格化発光量Sを計算する。(S−S0)/S0×100%で計算される値が30%以下である場合、即ち、重合体を含む層を有さない電界発光素子2の規格化発光量に比べ、重合体を含む層を有する電界発光素子Aの規格化発光量の増加分が30%以下である場合に、用いた重合体は実質的に非発光性であるものとし、(S−S0)/S0×100で計算される値が15%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。
前記式(1)で表される基及び前記式(3)で表される基を含むイオン性ポリマーとしては、式(23)で表される基のみからなるイオン性ポリマー、式(23)で表される基および式45〜50、59、60、77、80、91、92、96、101〜110で表される基から水素原子を2個除いた基からなる群から選ばれる1種以上の基からなるイオン性ポリマー、式(24)で表される基のみからなるイオン性ポリマー、式(24)で表される基および式45〜50、59、60、77、80、91、92、96、101〜110で表される基から水素原子を2個除いた基からなる群から選ばれる1種以上の基からなるイオン性ポリマー、式(25)で表される基のみからなるイオン性ポリマー、式(25)で表される基および式45〜50、59、60、77、80、91、92、96、101〜110で表される基から水素原子を2個除いた基からなる群から選ばれる1種以上の基からなるイオン性ポリマー、式(29)で表される基のみからなるイオン性ポリマー、式(29)で表される基および式45〜50、59、60、77、80、91、92、96、101〜110で表される基から水素原子を2個除いた基からなる群から選ばれる1種以上の基からなるイオン性ポリマー、式(30)で表される基のみからなるイオン性ポリマー、式(30)で表される基および式45〜50、59、60、77、80、91、92、96、101〜110で表される基から水素原子を2個除いた基からなる群から選ばれる1種以上の基からなるイオン性ポリマーが挙げられる。
前記式(1)で表される基及び前記式(3)で表される基を含むイオン性ポリマーとしては、以下の高分子化合物が挙げられる。これらのうち、2種の構造単位がスラッシュ「/」で区切られている式で表される高分子化合物では、左側の構造単位の割合がpモル%、右側の構造単位の割合が(100−p)モル%であり、これらの構造単位はランダムに配列している。なお、以下の式中、nは重合度を表す。

(式中、pは15〜100の数を表す。)
前記式(2)で表される基及び前記式(3)で表される基を含むイオン性ポリマーとしては、式(26)で表される基のみからなるイオン性ポリマー、式(26)で表される基および式45〜50、59、60、77、80、91、92、96、101〜110で表される基から水素原子を2個除いた基からなる群から選ばれる1種以上の基からなるイオン性ポリマー、式(27)で表される基のみからなるイオン性ポリマー、式(27)で表される基および式45〜50、59、60、77、80、91、92、96、101〜110で表される基から水素原子を2個除いた基からなる群から選ばれる1種以上の基からなるイオン性ポリマー、式(28)で表される基のみからなるイオン性ポリマー、式(28)で表される基および式45〜50、59、60、77、80、91、92、96、101〜110で表される基から水素原子を2個除いた基からなる群から選ばれる1種以上の基からなるイオン性ポリマー、式(31)で表される基のみからなるイオン性ポリマー、式(31)で表される基および式45〜50、59、60、77、80、91、92、96、101〜110で表される基から水素原子を2個除いた基からなる群から選ばれる1種以上の基からなるイオン性ポリマー、式(32)で表される基のみからなるイオン性ポリマー、式(32)で表される基および式45〜50、59、60、77、80、91、92、96、101〜110で表される基から水素原子を2個除いた基からなる群から選ばれる1種以上の基からなるイオン性ポリマーが挙げられる。
前記式(2)で表される基及び前記式(3)で表される基を含むイオン性ポリマーとしては、以下の高分子化合物が挙げられる。これらのうち、2種の構造単位がスラッシュ「/」で区切られている式で表される高分子化合物では、左側の構造単位の割合がpモル%、右側の構造単位の割合が(100−p)モル%であり、これらの構造単位はランダムに配列している。なお、以下の式中、nは重合度を表す。
(式中、pは15〜100の数を表す。)
−イオン性ポリマーの製造方法−
次に、本発明に用いられるイオン性ポリマーを製造する方法について説明する。本発明に用いられるイオン性ポリマーを製造するための好適な方法としては、例えば、下記一般式(36)で表される化合物を原料の1つとして選択して用い、中でも、該一般式(36)中の−Aa−が式(13)で表される構造単位である化合物、該−Aa−が式(15)で表される構造単位である化合物、該−Aa−が式(17)で表される構造単位である化合物及び該−Aa−が式(20)で表される構造単位である化合物の少なくとも1種を必須の原料として含有させて、これを縮合重合させる方法を挙げることができる。
4−Aa−Y5 (36)
(式(36)中、Aaは式(1)で表される基及び式(2)で表される基からなる群から選ばれる1種以上の基と式(3)で表される1種以上の基とを含む繰り返し単位を表し、Y及びYは、それぞれ独立に、縮合重合に関与する基を示す。)
また、本発明に用いられるイオン性ポリマー中に上記式(36)中の−Aa−で表される構造単位とともに、前記−Aa−以外の他の構造単位を含有させる場合には、前記−Aa−以外の他の構造単位となる、2個の縮合重合に関与する置換基を有する化合物を用い、これを前記式(36)で表される化合物とともに共存させて縮合重合させればよい。
このような他の構造単位を含有させるために用いられる2個の縮合重合可能な置換基を有する化合物としては、式(37)で表される化合物が例示される。このようにして、前記Y4−Aa−Y5で表される化合物に加えて、式(37)で表される化合物を縮合重合させることで、−Ab−で表される構造単位を更に有する本発明に用いられるイオン性ポリマーを製造することができる。
6−Ab−Y7 (37)
(式(37)中、Abは前記一般式(33)で表される構造単位又は一般式(35)で表される構造単位であり、Y6及びY7は、それぞれ独立に、縮合重合に関与する基を示す。)
このような縮合重合に関与する基(Y4、Y5、Y6及びY7)としては、水素原子、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基、アリールアルキルスルホネート基、ホウ酸エステル残基、スルホニウムメチル基、ホスホニウムメチル基、ホスホネートメチル基、モノハロゲン化メチル基、−B(OH)2、ホルミル基、シアノ基、ビニル基等が挙げられる。
このような縮合重合に関与する基として選択され得るハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
また、前記縮合重合に関与する基として選択され得るアルキルスルホネート基としては、メタンスルホネート基、エタンスルホネート基、トリフルオロメタンスルホネート基が例示され、アリールスルホネート基としては、ベンゼンスルホネート基、p−トルエンスルホネート基が例示される。
前記縮合重合に関与する基として選択され得るアリールアルキルスルホネート基としては、ベンジルスルホネート基が例示される。
また、前記縮合重合に関与する基として選択され得るホウ酸エステル残基としては、下記式で表される基が例示される。
さらに、前記縮合重合に関与する基として選択され得るスルホニウムメチル基としては、下記式:
−CH2+Me2-、又は、−CH2+Ph2-
(式中、Eはハロゲン原子を示す。Phはフェニル基を示し、以下、同じである。)で表される基が例示される。
また、前記縮合重合に関与する基として選択され得るホスホニウムメチル基としては、
下記式:
−CH2+Ph3-
(式中、Eはハロゲン原子を示す。)で表される基が例示される。
また、前記縮合重合に関与する基として選択され得るホスホネートメチル基としては、
下記式:
−CH2PO(ORd2
(式中、Rdはアルキル基、アリール基、又はアリールアルキル基を示す。)で表される基が例示される。
さらに、前記縮合重合に関与する基として選択され得るモノハロゲン化メチル基としては、フッ化メチル基、塩化メチル基、臭化メチル基、ヨウ化メチル基が例示される。
さらに、縮合重合に関与する基として好適な基は、重合反応の種類によって異なるが、例えば、Yamamotoカップリング反応等の0価ニッケル錯体を用いる場合には、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基、アリールアルキルスルホネート基が挙げられる。また、Suzukiカップリング反応等のニッケル触媒又はパラジウム触媒を用いる場合には、アルキルスルホネート基、ハロゲン原子、ホウ酸エステル残基、−B(OH)2等が挙げられ、酸化剤又は電気化学的に酸化重合する場合には、水素原子が挙げられる。
本発明に用いられるイオン性ポリマーを製造する際には、例えば、縮合重合に関与する基を複数有する前記一般式(36)又は(37)で表される化合物(モノマー)を、必要に応じて有機溶媒に溶解し、アルカリや適当な触媒を用いて、有機溶媒の融点以上沸点以下の温度で反応させる重合方法を採用してもよい。このような重合方法としては、例えば、”オルガニック リアクションズ(Organic Reactions)”,第14巻,270−490頁,ジョンワイリー アンド サンズ(John Wiley&Sons,Inc.),1965年、”オルガニック シンセシス(Organic Syntheses)”,コレクティブ第6巻(Collective Volume VI),407−411頁,ジョンワイリー アンド サンズ(John Wiley&Sons,Inc.),1988年、ケミカル レビュー(Chem.Rev.),第95巻,2457頁(1995年)、ジャーナル オブ オルガノメタリック ケミストリー(J.Organomet.Chem.),第576巻,147頁(1999年)、マクロモレキュラー ケミストリー マクロモレキュラー シンポジウム(Macromol.Chem.,Macromol.Symp.),第12巻,229頁(1987年)に記載の公知の方法を採用することができる。
また、本発明に用いられるイオン性ポリマーを製造する際には、縮合重合に関与する基に応じて、既知の縮合重合反応を採用してもよい。このような重合方法としては、該当するモノマーを、Suzukiカップリング反応により重合する方法、Grignard反応により重合する方法、Ni(0)錯体により重合する方法、FeCl3等の酸化剤により重合する方法、電気化学的に酸化重合する方法、適当な脱離基を有する中間体高分子の分解による方法等が挙げられる。このような重合反応の中でも、Suzukiカップリング反応により重合する方法、Grignard反応により重合する方法、及びニッケルゼロ価錯体により重合する方法が、得られるイオン性ポリマーの構造制御がし易いので好ましい。
本発明に用いられるイオン性ポリマーの好ましい製造方法の1つの態様は、縮合重合に関与する基として、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基及びアリールアルキルスルホネート基からなる群から選択される基を有する原料モノマーを用いて、ニッケルゼロ価錯体の存在下で縮合重合して、イオン性ポリマーを製造する方法である。このような方法に使用する原料モノマーとしては、例えば、ジハロゲン化化合物、ビス(アルキルスルホネート)化合物、ビス(アリールスルホネート)化合物、ビス(アリールアルキルスルホネート)化合物、ハロゲン−アルキルスルホネート化合物、ハロゲン−アリールスルホネート化合物、ハロゲン−アリールアルキルスルホネート化合物、アルキルスルホネート−アリールスルホネート化合物、アルキルスルホネート−アリールアルキルスルホネート化合物及びアリールスルホネート−アリールアルキルスルホネート化合物が挙げられる。
前記イオン性ポリマーの好ましい製造方法の他の態様は、縮合重合に関与する基として、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基、アリールアルキルスルホネート基、−B(OH)2、及びホウ酸エステル残基からなる群から選ばれる基を有し、全原料モノマーが有する、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基及びアリールアルキルスルホネート基のモル数の合計(J)と、−B(OH)2及びホウ酸エステル残基のモル数の合計(K)の比が実質的に1(通常 K/J は0.7〜1.2の範囲)である原料モノマーを用いて、ニッケル触媒又はパラジウム触媒の存在下で縮合重合して、イオン性ポリマーを製造する方法である。
前記有機溶媒としては、用いる化合物や反応によっても異なるが、一般に副反応を抑制するために十分に脱酸素処理を施した有機溶媒を用いることが好ましい。イオン性ポリマーを製造する際には、このような有機溶媒を用いて不活性雰囲気下で反応を進行させることが好ましい。また、前記有機溶媒においては、前記脱酸素処理と同様に脱水処理を行うことが好ましい。但し、Suzukiカップリング反応等の水との2相系での反応の場合にはその限りではない。
このような有機溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の不飽和炭化水素、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、クロロブタン、ブロモブタン、クロロペンタン、ブロモペンタン、クロロヘキサン、ブロモヘキサン、クロロシクロヘキサン、ブロモシクロヘキサン等のハロゲン化飽和炭化水素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化不飽和炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブチルアルコール等のアルコール類、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン等のエーテル類、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ピリジン等のアミン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルモルホリンオキシド等のアミド類が例示される。これらの有機溶媒は1種を単独で、又は2種以上を混合して用いてもよい。また、このような有機溶媒の中でも、反応性の観点からはエーテル類がより好ましく、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルが更に好ましく、反応速度の観点からはトルエン、キシレンが好ましい。
前記イオン性ポリマーを製造する際においては、原料モノマーを反応させるために、アルカリや適当な触媒を添加することが好ましい。このようなアルカリ又は触媒は、採用する重合方法等に応じて選択すればよい。このようなアルカリ又は触媒としては、反応に用いる溶媒に十分に溶解するものが好ましい。また、前記アルカリ又は触媒を混合する方法としては、反応液をアルゴンや窒素等の不活性雰囲気下で攪拌しながらゆっくりとアルカリ又は触媒の溶液を添加するか、アルカリ又は触媒の溶液に反応液をゆっくりと添加する方法が例示される。
本発明に用いられるイオン性ポリマーにおいては、末端基に重合活性基がそのまま残っていると得られる発光素子の発光特性や寿命特性が低下する可能性があるため、末端基が安定な基で保護されていてもよい。このように安定な基で末端基が保護されている場合、本発明に用いられるイオン性ポリマーが共役化合物であるときには、該イオン性ポリマーの主鎖の共役構造と連続した共役結合を有していることが好ましく、その構造としては、例えば、炭素−炭素結合を介してアリール基又は複素環基と結合している構造が挙げられる。このような末端基を保護する安定な基としては、特開平9−45478号公報において化10の構造式で示される1価の芳香族化合物基等の置換基が挙げられる。
式(1)で表される構造単位を含むイオン性ポリマーを製造する他の好ましい方法としては、第1工程でカチオンを有さないイオン性ポリマーを重合し、第2工程で該イオン性ポリマーからカチオンを含有するイオン性ポリマーを製造する方法が挙げられる。第1工程のカチオンを有さないイオン性ポリマーを重合する方法としては、前述の縮合重合反応が挙げられる。第2工程の反応としては、金属水酸化物、アルキルアンモニウムヒドロキシド等による加水分解反応等が挙げられる。
式(2)で表される基を含むイオン性ポリマーを製造する他の好ましい方法としては、第1工程でイオンを有さないイオン性ポリマーを重合し、第2工程で該イオン性ポリマーからイオンを含有するイオン性ポリマーを製造する方法が挙げられる。第1工程のイオンを有さないイオン性ポリマーを重合する方法としては、前述の縮合重合反応が挙げられる。第2工程の反応としては、ハロゲン化アルキルを用いたアミンの4級アンモニウム塩化反応、SbF5によるハロゲン引き抜き反応等が挙げられる。
本発明に用いられるイオン性ポリマーは電荷の注入性や輸送性に優れるため、高輝度で発光する素子が得られる。
イオン性ポリマーを含む層を形成する方法としては、例えば、イオン性ポリマーを含有する溶液を用いて成膜する方法が挙げられる。
このような溶液からの成膜に用いる溶媒としては、水を除くアルコール類、エーテル類、エステル類、二トリル化合物類、ニトロ化合物類、ハロゲン化アルキル類、ハロゲン化アリール類、チオール類、スルフィド類、スルホキシド類、チオケトン類、アミド類、カルボン酸類等の溶媒のうち、溶解度パラメーターが9.3以上の溶媒が好ましい。該溶媒の例(各括弧内の値は、各溶媒の溶解度パラメーターの値を表す)としては、メタノール(12.9)、エタノール(11.2)、2−プロパノール(11.5)、1−ブタノール(9.9)、t−ブチルアルコール(10.5)、アセトニトリル(11.8)、1,2−エタンジオール(14.7)、N,N-ジメチルホルムアミド(11.5)、ジメチルスルホキシド(12.8)、酢酸(12.4)、ニトロベンゼン(11.1)、ニトロメタン(11.0)、1,2−ジクロロエタン(9.7)、ジクロロメタン(9.6)、クロロベンゼン(9.6)、ブロモベンゼン(9.9)、ジオキサン(9.8)、炭酸プロピレン(13.3)、ピリジン(10.4)、二硫化炭素(10.0)、及びこれらの溶媒の混合溶媒が挙げられる。ここで、2種の溶媒(溶媒1、溶媒2とする)を混合してなる混合溶媒について説明すると、該混合溶媒の溶解度パラメーター(δm)は、δm1×φ12×φ2により求めることとする(δ1は溶媒1の溶解度パラメーター、φ1は溶媒1の体積分率、δ2は溶媒2の溶解度パラメーター、φ2は溶媒2の体積分率である。)
電子注入層の膜厚としては、用いるイオン性ポリマーによって最適値が異なるため、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよく、ピンホールが発生しない厚さが必要である。素子の駆動電圧を低くする観点からは、該膜厚は、1nm〜1μmであることが好ましく、2nm〜500nmであることがより好ましく、2nm〜200nmであることがさらに好ましい。発光層を保護する観点からは、該膜厚は、5nm〜1μmであることが好ましい。
<陰極>
陰極の材料としては、仕事関数が小さく、発光層への電子注入が容易で、電気伝導度の高い材料が好ましい。また陽極側から光を取り出す構成の有機EL素子では、発光層から放射される光を陰極で陽極側に反射するために、陰極の材料としては可視光反射率の高い材料が好ましい。陰極には、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属および周期表の13族金属などを用いることができる。陰極の材料としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウムなどの金属、前記金属のうちの2種以上の合金、前記金属のうちの1種以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうちの1種以上との合金、またはグラファイト若しくはグラファイト層間化合物などが用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金などを挙げることができる。また、陰極としては導電性金属酸化物および導電性有機物などから成る透明導電性電極を用いることができる。具体的には、導電性金属酸化物として酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、およびIZOを挙げることができ、導電性有機物としてポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などを挙げることができる。なお陰極は、2層以上を積層した積層体で構成されていてもよい。なお電子注入層が陰極として用いられる場合もある。
陰極の膜厚は、求められる特性および工程の簡易さなどを考慮して適宜設計され、例えば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
陰極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、また金属薄膜を熱圧着するラミネート法などを挙げることができる。
以上の有機EL装置は、所定の構成要素を追加することによって、照明装置、面光源装置、表示装置として用いることができる。
(参考例A1)
前述の図4に示す製造装置を用いて第1のフィルムを製造した。すなわち、2軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム(PENフィルム、厚み:100μm、幅:350mm、帝人デュポンフィルム(株)製、商品名「テオネックスQ65FA」)を基材(基材6)として用い、これを送り出しロール701に装着した。そして、成膜ロール31と成膜ロール32との間に磁場を印加すると共に、成膜ロール31と成膜ロール32にそれぞれ電力を供給して、成膜ロール31と成膜ロール32との間に放電してプラズマを発生させ、このような放電領域に、成膜ガス(原料ガスとしてのヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)と反応ガスとしての酸素ガス(放電ガスとしても機能する)の混合ガス)を供給して、下記条件にてプラズマCVD法による薄膜形成を行い、第1のフィルムを得た。
〈成膜条件〉
原料ガスの供給量:50sccm(零度、1atmに換算したStandard Cubic Centimeter per Minute。以下同じ。)
酸素ガスの供給量:500sccm
真空チャンバー内の真空度:3Pa
プラズマ発生用電源からの印加電力:0.8kW
プラズマ発生用電源の周波数:70kHz
フィルムの搬送速度;0.5m/min。
得られた第1のフィルムにおけるガスバリア層の厚みは0.3μmであった。また、得られた第1のフィルムにおいて、温度40℃、低湿度側の湿度0%RH、高湿度側の湿度90%RHの条件における水蒸気透過度は3.1×10−4g/(m・day)であり、温度40℃、低湿度側の湿度10%RH、高湿度側の湿度100%RHの条件における水蒸気透過度は検出限界以下の値であった。さらに、曲率半径8mmの条件で屈曲させた後の温度40℃、低湿度側の湿度10%RH、高湿度側の湿度100%RHの条件における水蒸気透過度は検出限界以下の値であり、得られた第1のフィルムを屈曲させた場合においてもガスバリア性の低下を十分に抑制することができることが確認された。
また、得られた第1のフィルムについて、下記条件にてXPSデプスプロファイル測定を行い、珪素分布曲線、酸素分布曲線、炭素分布曲線及び酸素炭素分布曲線を得た。
エッチングイオン種:アルゴン(Ar
エッチングレート(SiO熱酸化膜換算値):0.05nm/sec
エッチング間隔(SiO換算値):10nm
X線光電子分光装置:Thermo Fisher Scientific社製、機種名「VG Theta Probe」
照射X線:単結晶分光AlKα
X線のスポット及びそのサイズ:800×400μmの楕円形。
得られた珪素分布曲線、酸素分布曲線及び炭素分布曲線をそれぞれ図5に示し、且つ、得られた珪素分布曲線、酸素分布曲線、炭素分布曲線及び酸素炭素分布曲線に関して、原子比とエッチング時間の関係とともに、原子比とガスバリア層の表面からの距離(nm)との関係を併せて示すグラフを図6に示す。なお、図6に記載のグラフの横軸に記載の「距離(nm)」はエッチング時間とエッチング速度とから計算して求められた値である。
図5及び図6に示す結果からも明らかなように、得られた炭素分布曲線が複数の明確な極値を有していること、炭素の原子比の最大値及び最小値の差の絶対値が5at%以上であること、並びに珪素の原子比、酸素の原子比及び炭素の原子比が前記式(1)で示された条件を満たしていることが確認された。
(参考例A2)
先ず、参考例A1で得られたガスバリア層の厚みが0.3μmの第1のフィルムを基材6として用いて送り出しロール701に装着し、前記ガスバリア層の表面上に新たにガスバリア層を形成した以外は、参考例A1と同様にして、第1のフィルム(A)を得た。なお、得られた第1のフィルム(A)における基材(PENフィルム)上のガスバリア層の厚みは0.6μmであった。
その後、得られた第1のフィルム(A)を基材6として用いて送り出しロール701に装着し、前記ガスバリア層の表面上に新たにガスバリア層を形成した以外は参考例A1と同様にして、第1のフィルム(B)を得た。
得られた第1のフィルム(B)におけるガスバリア層の厚みは0.9μmであった。また、得られた第1のフィルム(B)において、温度40℃、低湿度側の湿度0%RH、高湿度側の湿度90%RHの条件における水蒸気透過度は6.9×10−4g/(m・day)であり、温度40℃、低湿度側の湿度10%RH、高湿度側の湿度100%RHの条件における水蒸気透過度は検出限界以下の値であった。さらに、曲率半径8mmの条件で屈曲させた後の温度40℃、低湿度側の湿度10%RH、高湿度側の湿度100%RHの条件における水蒸気透過度は検出限界以下の値であり、得られた第1のフィルム(B)を屈曲させた場合においてもガスバリア性の低下を十分に抑制することができることが確認された。
また、得られた第1のフィルム(B)について、珪素分布曲線、酸素分布曲線、炭素分布曲線及び酸素炭素分布曲線を参考例A1における方法と同様の方法により作成した。得られた結果を図7に示す。また、珪素分布曲線、酸素分布曲線、炭素分布曲線及び酸素炭素分布曲線に関して、原子比とエッチング時間の関係とともに、原子比とガスバリア層の表面からの距離(nm)との関係を併せて示すグラフを図8に示す。なお、図8のグラフの横軸に記載の「距離(nm)」はエッチング時間とエッチング速度とから計算して求められた値である。
図7及び図8に示す結果からも明らかなように、得られた炭素分布曲線が複数の明確な極値を有していること、炭素の原子比の最大値及び最小値の差の絶対値が5at%以上であること、並びに珪素の原子比、酸素の原子比及び炭素の原子比が前記式(1)で示された条件を満たしていることが確認された。
(参考例A3)
原料ガスの供給量を100sccmとした以外は参考例A1と同様にして第1のフィルムを得た。
得られた第1のフィルムにおけるガスバリア層の厚みは0.6μmであった。また、得られた第1のフィルムにおいて、温度40℃、低湿度側の湿度0%RH、高湿度側の湿度90%RHの条件における水蒸気透過度は3.2×10−4g/(m・day)であり、温度40℃、低湿度側の湿度10%RH、高湿度側の湿度100%RHの条件における水蒸気透過度は検出限界以下の値であった。さらに、曲率半径8mmの条件で屈曲させた後の温度40℃、低湿度側の湿度10%RH、高湿度側の湿度100%RHの条件における水蒸気透過度は検出限界以下の値であり、得られた第1のフィルムを屈曲させた場合においてもガスバリア性の低下を十分に抑制することができることが確認された。
また、得られた第1のフィルムについて、珪素分布曲線、酸素分布曲線、炭素分布曲線及び酸素炭素分布曲線を参考例A1における方法と同様の方法により作成した。得られた珪素分布曲線、酸素分布曲線、炭素分布曲線を図9に示す。また、得られた珪素分布曲線、酸素分布曲線、炭素分布曲線及び酸素炭素分布曲線に関して、原子比とエッチング時間の関係とともに、原子比とガスバリア層の表面からの距離(nm)との関係を併せて示すグラフを図10に示す。なお、図10のグラフの横軸に記載の「距離(nm)」はエッチング時間とエッチング速度とから計算して求められた値である。
図9及び図10に示す結果からも明らかなように、得られた炭素分布曲線が複数の明確な極値を有していること、炭素の原子比の最大値及び最小値の差の絶対値が5at%以上であること、並びに珪素の原子比、酸素の原子比及び炭素の原子比が前記式(1)で示された条件を満たしていることが確認された。
(参考比較例A1)
2軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム(PENフィルム、厚み:100μm、幅:350mm、帝人デュポンフィルム株式会社製、商品名「テオネックスQ65FA」)の表面上に、シリコンターゲットを用い、酸素含有ガス雰囲気中において、反応スパッタ法により酸化ケイ素からなるガスバリア層を形成して、比較のための第1のフィルムを得た。
得られた第1のフィルムにおけるガスバリア層の厚みは100nmであった。また、得られた第1のフィルムにおいて、温度40℃、低湿度側の湿度10%RH、高湿度側の湿度100%RHの条件における水蒸気透過度は1.3g/(m・day)であり、ガスバリア性が不十分なものであった。
得られた第1のフィルムについて、珪素分布曲線、酸素分布曲線、炭素分布曲線及び酸素炭素分布曲線を参考例A1における方法と同様の方法により作成した。得られた珪素分布曲線、酸素分布曲線、炭素分布曲線を図11に示す。また、得られた珪素分布曲線、酸素分布曲線、炭素分布曲線及び酸素炭素分布曲線に関して、原子比とエッチング時間の関係とともに、原子比とガスバリア層の表面からの距離(nm)との関係を併せて示すグラフを図12に示す。なお、図12のグラフの横軸に記載の「距離(nm)」はエッチング時間とエッチング速度とから計算して求められた値である。図11及び図12に示す結果からも明らかなように、得られた炭素分布曲線は極値を有していないことが確認された。
以上説明したように、本発明で利用するガスバリア層を有するフィルムは、十分なガスバリア性を有しており、しかもフィルムを屈曲させた場合においてもガスバリア性の低下を十分に抑制することが可能である。
つぎに、イオン性ポリマーを作製するとともに、作製したイオン性ポリマーを用いて有機EL素子を作製した。
重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー株式会社製:HLC−8220GPC)を用いて、ポリスチレン換算の重量平均分子量及び数平均分子量として求めた。また、測定する試料は、約0.5重量%の濃度になるようにテトラヒドロフランに溶解させ、GPCに50μL注入した。更に、GPCの移動相としてはテトラヒドロフランを用い、0.5mL/分の流速で流した。重合体の構造分析はVarian社製300MHzNMRスペクトロメータ−を用いた、1H-NMR解析によって行った。また、測定は、20 mg/mLの濃度になるように試料を可溶な重溶媒(溶媒分子中の水素原子が重水素原子で置換された溶媒)に溶解させて行った。重合体の最高占有分子軌道(HOMO)の軌道エネルギーは、重合体のイオン化ポテンシャルを測定し、得られたイオン化ポテンシャルを該軌道エネルギーとすることにより求めた。一方、重合体の最低非占有分子軌道(LUMO)の軌道エネルギーは、HOMOとLUMOとのエネルギー差を求め、その値と前記で測定したイオン化ポテンシャルとの和を該軌道エネルギーとすることにより求めた。イオン化ポテンシャルの測定には光電子分光装置(理研計器株式会社製:AC−2)を用いた。また、HOMOとLUMOのエネルギー差は紫外・可視・近赤外分光光度計(Varian社製:Cary5E)を用いて重合体の吸収スペクトルを測定し、その吸収末端より求めた。
[参考例1]
2,7−ジブロモ−9,9−ビス[3−エトキシカルボニル−4−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]フェニル]−フルオレン(化合物A)の合成
2,7−ジブロモ−9−フルオレノン(52.5g)、サリチル酸エチル(154.8g)、及びメルカプト酢酸(1.4g)を300mLフラスコに入れ、窒素置換した。そこに、メタンスルホン酸(630mL)を添加し、混合物を75℃で終夜撹拌した。混合物を放冷し、氷水に添加して1時間撹拌した。生じた固体をろ別し、加熱したアセトニトリルで洗浄した。洗浄済みの該固体をアセトンに溶解させ、得られたアセトン溶液から固体を再結晶させ、ろ別した。得られた固体(62.7g)、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−p−トルエンスルホネート(86.3g)、炭酸カリウム(62.6g)、及び18−クラウン−6(7.2g)をN、N−ジメチルホルムアミド(DMF)(670 mL)に溶解させ、溶液をフラスコへ移して105℃で終夜撹拌した。得られた混合物を室温まで放冷し、氷水へ加え、1時間撹拌した。反応液にクロロホルム(300mL)を加えて分液抽出を行い、溶液を濃縮することで、2,7−ジブロモ−9,9−ビス[3−エトキシカルボニル−4−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]フェニル]−フルオレン(化合物A)(51.2g)を得た。

化合物A
[参考例2]
2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル-1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ビス[3−エトキシカルボニル−4−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]フェニル]−フルオレン(化合物B)の合成
窒素雰囲気下、化合物A(15g)、ビス(ピナコラート)ジボロン(8.9g)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン錯体(0.8g)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(0.5g)、酢酸カリウム(9.4g)、ジオキサン(400mL)を混合し、110℃に加熱し、10時間加熱還流させた。放冷後、反応液をろ過し、ろ液を減圧濃縮した。反応混合物をメタノールで3回洗浄した。沈殿物をトルエンに溶解させ、溶液に活性炭を加えて攪拌した。その後、ろ過を行い、ろ液を減圧濃縮することで、2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル-1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ビス[3−エトキシカルボニル−4−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]フェニル]−フルオレン(化合物B)(11.7g)を得た。

化合物B
[参考例3]
ポリ[9,9−ビス[3−エトキシカルボニル−4−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]フェニル]−フルオレン](重合体A)の合成
不活性雰囲気下、化合物A(0.55g)、化合物B(0.61g)、トリフェニルホスフィンパラジウム(0.01g)、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(アルドリッチ製、商品名Aliquat336(登録商標))(0.20g)、及びトルエン(10mL)を混合し、105℃に加熱した。この反応液に2M 炭酸ナトリウム水溶液(6mL)を滴下し、8時間還流させた。反応液に4−t−ブチルフェニルボロン酸(0.01g)を加え、6時間還流させた。次いで、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液(10mL、濃度:0.05g/mL)を加え、2時間撹拌した。混合溶液をメタノール300mL中に滴下して1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過して2時間減圧乾燥させ、テトラヒドロフラン20mlに溶解させた。得られた溶液をメタノール120ml、3重量%酢酸水溶液50mLの混合溶媒中に滴下して1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過し、テトラヒドロフラン20mlに溶解させた。こうして得られた溶液をメタノール200mlに滴下して30分攪拌した後、析出した沈殿をろ過して固体を得た。得られた固体をテトラヒドロフランに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを通すことにより精製した。カラムから回収したテトラヒドロフラン溶液を濃縮した後、メタノール(200mL)に滴下し、析出した固体をろ過し、乾燥させた。得られたポリ[9,9−ビス[3−エトキシカルボニル−4−ビス[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]フェニル]−フルオレン](重合体A(BSAFEGP))の収量は520mgであった。
重合体Aのポリスチレン換算の数平均分子量は5.2×104であった。重合体Aは、式(A)で表される繰り返し単位からなる。
[実験例1]
重合体Aセシウム塩の合成
重合体A(200mg)を100mLフラスコに入れ、窒素置換した。テトラヒドロフラン(20mL)、及びエタノール(20mL)を添加し、混合物を55℃に昇温した。そこに、水酸化セシウム(200mg)を水(2mL)に溶解させた水溶液を添加し、55℃で6時間撹拌した。混合物を室温まで冷却した後、反応溶媒を減圧留去した。生じた固体を水で洗浄し、減圧乾燥させることで薄黄色の固体(150mg)を得た。NMRスペクトルにより、重合体A内のエチルエステル部位のエチル基由来のシグナルが完全に消失していることを確認した。得られた重合体Aのセシウム塩を共役高分子化合物1と呼ぶ。共役高分子化合物1は式(B)で表される繰り返し単位からなる(「全繰り返し単位中の、式(1)で表される基及び式(2)で表される基からなる群から選ばれる1種以上の基と式(3)で表される1種以上の基とを含む繰り返し単位の割合」及び「全繰り返し単位中の、式(13)、(15)、(17)、(20)で表される繰り返し単位の割合」は、100モル%である。)。共役高分子化合物1のHOMOの軌道エネルギーは−5.5eV、LUMOの軌道エネルギーは−2.7eVであった。
[実験例2]
重合体Aカリウム塩の合成
重合体A(200mg)を100mLフラスコに入れ、窒素置換した。テトラヒドロフラン(20mL)、及びメタノール(10mL)を混合し、混合溶液に、水酸化カリウム(400mg)を水(2mL)に溶解させた水溶液を添加し、65℃で1時間撹拌した。反応溶液にメタノール50mLを加え、さらに65℃で4時間攪拌した。混合物を室温まで冷却した後、反応溶媒を減圧留去した。生じた固体を水で洗浄し、減圧乾燥させることで薄黄色の固体(131mg)を得た。NMRスペクトルにより、重合体A内のエチルエステル部位のエチル基由来のシグナルが完全に消失していることを確認した。得られた重合体Aのカリウム塩を共役高分子化合物2と呼ぶ。共役高分子化合物2は式(C)で表される繰り返し単位からなる(「全繰り返し単位中の、式(1)で表される基及び式(2)で表される基からなる群から選ばれる1種以上の基と式(3)で表される1種以上の基とを含む繰り返し単位の割合」及び「全繰り返し単位中の、式(13)、(15)、(17)、(20)で表される繰り返し単位の割合」は、100モル%である。)。共役高分子化合物2のHOMOの軌道エネルギーは−5.5eV、LUMOの軌道エネルギーは−2.7eVであった。
[実験例3]
重合体Aナトリウム塩の合成
重合体A(200mg)を100mLフラスコに入れ、窒素置換した。テトラヒドロフラン(20mL)、及びメタノール(10mL)を混合し、混合溶液に、水酸化ナトリウム(260mg)を水(2mL)に溶解させた水溶液を添加し、65℃で1時間撹拌した。反応溶液にメタノール30mLを加え、さらに65℃で4時間攪拌した。混合物を室温まで冷却した後、反応溶媒を減圧留去した。生じた固体を水で洗浄し、減圧乾燥させることで薄黄色の固体(123mg)を得た。NMRスペクトルにより、重合体A内のエチルエステル部位のエチル基由来のシグナルが完全に消失していることを確認した。得られた重合体Aのナトリウム塩を共役高分子化合物3と呼ぶ。共役高分子化合物3は式(D)で表される繰り返し単位からなる(「全繰り返し単位中の、式(1)で表される基及び式(2)で表される基からなる群から選ばれる1種以上の基と式(3)で表される1種以上の基とを含む繰り返し単位の割合」及び「全繰り返し単位中の、式(13)、(15)、(17)、(20)で表される繰り返し単位の割合」は、100モル%である。)。共役高分子化合物3のHOMOの軌道エネルギーは−5.6eV、LUMOの軌道エネルギーは−2.8eVであった。
[実験例4]
重合体Aアンモニウム塩の合成
重合体A(200mg)を100mLフラスコに入れ、窒素置換した。テトラヒドロフラン(20mL)、及びメタノール(15mL)を混合し、混合溶液にテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(50mg)を水(1mL)に溶解させた水溶液を添加し、65℃で6時間撹拌した。反応溶液にテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(50mg)を水(1mL)に溶解させた水溶液を加え、さらに65℃で4時間攪拌した。混合物を室温まで冷却した後、反応溶媒を減圧留去した。生じた固体を水で洗浄し、減圧乾燥させることで薄黄色の固体(150mg)を得た。NMRスペクトルにより、重合体A内のエチルエステル部位のエチル基由来のシグナルが90%消失していることを確認した。得られた重合体Aのアンモニウム塩を共役高分子化合物4と呼ぶ。共役高分子化合物4は式(E)で表される繰り返し単位からなる(「全繰り返し単位中の、式(1)で表される基及び式(2)で表される基からなる群から選ばれる1種以上の基と式(3)で表される1種以上の基とを含む繰り返し単位の割合」及び「全繰り返し単位中の、式(13)、(15)、(17)、(20)で表される繰り返し単位の割合」は、90モル%である。)。共役高分子化合物4のHOMOの軌道エネルギーは−5.6eV、LUMOの軌道エネルギーは−2.8eVであった。
[参考例4]
2,7−ビス[7−(4−メチルフェニル)−9,9−ジオクチルフルオレン−2−イル]−9,9−ビス[3−エトキシカルボニル−4−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]フェニル]−フルオレン(重合体B)の合成
不活性雰囲気下、化合物A(0.52g)、2,7−ビス(1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ジオクチルフルオレン(1.29g)、トリフェニルホスフィンパラジウム(0.0087g)、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(アルドリッチ製、商品名Aliquat336(登録商標))(0.20g)、トルエン(10mL)、及び2M炭酸ナトリウム水溶液(10mL)を混合し、80℃に加熱した。反応液を3.5時間反応させた。その後、そこに、パラブロモトルエン(0.68g)を加えて、更に2.5時間反応させた。反応後、反応液を室温まで冷却し、酢酸エチル50ml/蒸留水50mlを加えて水層を除去した。再び蒸留水50mlを加えて水層を除去した後、乾燥剤として硫酸マグネシウムを加えて、不溶物をろ過して、有機溶媒を除去した。その後、得られた残渣を再びTHF10mLに溶かして、飽和ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム水2mLを添加して、30分間撹拌した後、有機溶媒を除去した。アルミナカラム(展開溶媒 ヘキサン:酢酸エチル=1:1、v/v)を通して精製を行い、析出した沈殿をろ過して12時間減圧乾燥させたところ、2,7−ビス[7−(4−メチルフェニル)−9,9−ジオクチルフルオレン−2−イル]−9,9−ビス[3−エトキシカルボニル−4−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]フェニル]−フルオレン(重合体B)が524mg得られた。
重合体Bのポリスチレン換算の数平均分子量は、2.0×10であっ
た。なお、重合体Bは、式(F)で表される。
[実験例5]
重合体Bセシウム塩の合成
重合体B(262mg)を100mLフラスコに入れ、アルゴン置換した。そこに、テトラヒドロフラン(10mL)、及びメタノール(15mL)を添加し、混合物を55℃に昇温した。そこに、水酸化セシウム(341mg)を水(1mL)に溶かした水溶液を添加し、55℃で5時間撹拌した。得られた混合物を室温まで冷却した後、反応溶媒を減圧留去した。生じた固体を水で洗浄し、減圧乾燥させることで薄黄色の固体(250mg)を得た。NMRスペクトルにより、エチルエステル部位のエチル基由来のシグナルが完全に消失していることを確認した。得られた重合体Bセシウム塩を共役高分子化合物5と呼ぶ。共役高分子化合物5は、式(G)で表される(「全繰り返し単位中の、式(1)で表される基及び式(2)で表される基からなる群から選ばれる1種以上の基と式(3)で表される1種以上の基とを含む繰り返し単位の割合」及び「全繰り返し単位中の、式(13)、(15)、(17)、(20)で表される繰り返し単位の割合」は、小数第二位で四捨五入して、33.3モル%である。)。共役高分子化合物5のHOMOの軌道エネルギーは−5.6eVであり、LUMOの軌道エネルギーは−2.6eVであった。
[参考例5]
重合体Cの合成
不活性雰囲気下、化合物A(0.40g)、化合物B(0.49g)、N,N’-ビス(4−ブロモフェニル)−N,N’−ビス(4−t−ブチル-2,6−ジメチルフェニル)1,4−フェニレンジアミン(35mg)、トリフェニルホスフィンパラジウム(8mg)、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(アルドリッチ製、商品名Aliquat336(登録商標))(0.20g)、及びトルエン(10mL)を混合し、105℃に加熱した。この反応液に2M 炭酸ナトリウム水溶液(6mL)を滴下し、8時間還流させた。反応液にフェニルボロン酸(0.01g)を加え、6時間還流させた。次いで、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液(10mL、濃度:0.05g/mL)を加え、2時間撹拌した。混合溶液をメタノール300mL中に滴下して1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過して2時間減圧乾燥させ、テトラヒドロフラン20mlに溶解させた。得られた溶液をメタノール120ml、3重量%酢酸水溶液50mLの混合溶媒中に滴下して1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過し、テトラヒドロフラン20mlに溶解させた。こうして得られた溶液をメタノール200mlに滴下して30分攪拌した後、析出した沈殿をろ過して固体を得た。得られた固体をテトラヒドロフランに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを通すことにより精製した。カラムから回収したテトラヒドロフラン溶液を濃縮した後、メタノール(200mL)に滴下し、析出した固体をろ過し、乾燥させた。得られた重合体Cの収量は526mgであった。
重合体Cのポリスチレン換算の数平均分子量は3.6×104であった。重合体Cは、式(H)で表される繰り返し単位からなる。
なお、N,N’-ビス(4−ブロモフェニル)−N,N’−ビス(4−t−ブチル-2,6−ジメチルフェニル)1,4−フェニレンジアミンは、例えば特開2008−74017号公報に記載されている方法で合成することができる。
[実験例6]
重合体Cセシウム塩の合成
重合体C(200mg)を100mLフラスコに入れ、窒素置換した。テトラヒドロフラン(20mL)、及びメタノール(20mL)を添加し混合した。混合溶液に、水酸化セシウム(200mg)を水(2mL)に溶解させた水溶液を添加し、65℃で1時間撹拌した。反応溶液にメタノール30mLを加え、さらに65℃で4時間攪拌した。混合物を室温まで冷却した後、反応溶媒を減圧留去した。生じた固体を水で洗浄し、減圧乾燥させることで薄黄色の固体(150mg)を得た。NMRスペクトルにより、重合体C内のエチルエステル部位のエチル基由来のシグナルが完全に消失していることを確認した。得られた重合体Cのセシウム塩を共役高分子化合物6と呼ぶ。共役高分子化合物6は式(I)で表される繰り返し単位からなる(「全繰り返し単位中の、式(1)で表される基及び式(2)で表される基からなる群から選ばれる1種以上の基と式(3)で表される1種以上の基とを含む繰り返し単位の割合」及び「全繰り返し単位中の、式(13)、(15)、(17)、(20)で表される繰り返し単位の割合」は、95モル%である。)。共役高分子化合物6のHOMOの軌道エネルギーは−5.3eV、LUMOの軌道エネルギーは−2.6eVであった。
[参考例6]
重合体Dの合成
不活性雰囲気下、化合物A(0.55g)、化合物B(0.67g)、N,N’-ビス(4−ブロモフェニル)−N,N’−ビス(4−t−ブチル-2,6−ジメチルフェニル)1,4−フェニレンジアミン(0.038g)、3,7−ジブロモ−N−(4−n−ブチルフェニル)フェノキサジン 0.009g、トリフェニルホスフィンパラジウム(0.01g)、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(アルドリッチ製、商品名Aliquat336(登録商標))(0.20g)、及びトルエン(10mL)を混合し、105℃に加熱した。この反応液に2M 炭酸ナトリウム水溶液(6mL)を滴下し、2時間還流させた。反応液にフェニルボロン酸(0.004g)を加え、6時間還流させた。次いで、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液(10mL、濃度:0.05g/mL)を加え、2時間撹拌した。混合溶液をメタノール300mL中に滴下して1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過して2時間減圧乾燥させ、テトラヒドロフラン20mlに溶解させた。得られた溶液をメタノール120ml、3重量%酢酸水溶液50mLの混合溶媒中に滴下して1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過し、テトラヒドロフラン20mlに溶解させた。こうして得られた溶液をメタノール200mlに滴下して30分攪拌した後、析出した沈殿をろ過して固体を得た。得られた固体をテトラヒドロフランに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを通すことにより精製した。カラムから回収したテトラヒドロフラン溶液を濃縮した後、メタノール(200mL)に滴下し、析出した固体をろ過し、乾燥させた。得られた重合体Dの収量は590mgであった。
重合体Dのポリスチレン換算の数平均分子量は2.7×104であった。重合体Dは、式(J)で表される繰り返し単位からなる。
なお、3,7−ジブロモ−N−(4−n−ブチルフェニル)フェノキサジンは、JP2004137456に記載の方法で合成した。
[実験例7]
重合体Dセシウム塩の合成
重合体D(200mg)を100mLフラスコに入れ、窒素置換した。テトラヒドロフラン(15mL)、及びメタノール(10mL)を混合した。混合溶液に、水酸化セシウム(360mg)を水(2mL)に溶解させた水溶液を添加し、65℃で3時間撹拌した。反応溶液にメタノール10mLを加え、さらに65℃で4時間攪拌した。混合物を室温まで冷却した後、反応溶媒を減圧留去した。生じた固体を水で洗浄し、減圧乾燥させることで薄黄色の固体(210mg)を得た。NMRスペクトルにより、重合体D内のエチルエステル部位のエチル基由来のシグナルが完全に消失していることを確認した。得られた重合体Dのセシウム塩を共役高分子化合物7と呼ぶ。共役高分子化合物7は式(K)で表される繰り返し単位からなる(「全繰り返し単位中の、式(1)で表される基及び式(2)で表される基からなる群から選ばれる1種以上の基と式(3)で表される1種以上の基とを含む繰り返し単位の割合」及び「全繰り返し単位中の、式(13)、(15)、(17)、(20)で表される繰り返し単位の割合」は、90モル%である。)。共役高分子化合物7のHOMOの軌道エネルギーは−5.3eV、LUMOの軌道エネルギーは−2.4eVであった。
[参考例7]
重合体Eの合成
不活性雰囲気下、化合物A(0.37g)、化合物B(0.82g)、1,3−ジブロモベンゼン(0.09g)、トリフェニルホスフィンパラジウム(0.01g)、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(アルドリッチ製、商品名Aliquat336(登録商標))(0.20g)、及びトルエン(10mL)を混合し、105℃に加熱した。この反応液に2M 炭酸ナトリウム水溶液(6mL)を滴下し、7時間還流させた。反応液にフェニルボロン酸(0.002g)を加え、10時間還流させた。次いで、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液(10mL、濃度:0.05g/mL)を加え、1時間撹拌した。混合溶液をメタノール300mL中に滴下して1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過して2時間減圧乾燥させ、テトラヒドロフラン20mlに溶解させた。得られた溶液をメタノール120ml、3重量%酢酸水溶液50mLの混合溶媒中に滴下して1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過し、テトラヒドロフラン20mlに溶解させた。こうして得られた溶液をメタノール200mlに滴下して30分攪拌した後、析出した沈殿をろ過して固体を得た。得られた固体をテトラヒドロフランに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを通すことにより精製した。カラムから回収したテトラヒドロフラン溶液を濃縮した後、メタノール(200mL)に滴下し、析出した固体をろ過し、乾燥させた。得られた重合体Eの収量は293mgであった。
重合体Eのポリスチレン換算の数平均分子量は1.8×104であった。重合体Eは、式(L)で表される繰り返し単位からなる。
[実験例8]
重合体Eセシウム塩の合成
重合体E(200mg)を100mLフラスコに入れ、窒素置換した。テトラヒドロフラン(10mL)、及びメタノール(5mL)を混合した。混合溶液に、水酸化セシウム(200mg)を水(2mL)に溶解させた水溶液を添加し、65℃で2時間撹拌した。反応溶液にメタノール10mLを加え、さらに65℃で5時間攪拌した。混合物を室温まで冷却した後、反応溶媒を減圧留去した。生じた固体を水で洗浄し、減圧乾燥させることで薄黄色の固体(170mg)を得た。NMRスペクトルにより、重合体E内のエチルエステル部位のエチル基由来のシグナルが完全に消失していることを確認した。得られた重合体Eのセシウム塩を共役高分子化合物8と呼ぶ。共役高分子化合物8は式(M)で表される繰り返し単位からなる(「全繰り返し単位中の、式(1)で表される基及び式(2)で表される基からなる群から選ばれる1種以上の基と式(3)で表される1種以上の基とを含む繰り返し単位の割合」及び「全繰り返し単位中の、式(13)、(15)、(17)、(20)で表される繰り返し単位の割合」は、75モル%である。)。共役高分子化合物8のHOMOの軌道エネルギーは−5.6eV、LUMOの軌道エネルギーは−2.6eVであった。
[参考例8]
重合体Fの合成
不活性雰囲気下、化合物B(1.01g)、1,4−ジブロモ−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン(0.30g)、トリフェニルホスフィンパラジウム(0.02g)、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(アルドリッチ製、商品名Aliquat336(登録商標))(0.20g)、及びトルエン(10mL)を混合し、105℃に加熱した。この反応液に2M 炭酸ナトリウム水溶液(6mL)を滴下し、4時間還流させた。反応液にフェニルボロン酸(0.002g)を加え、4時間還流させた。次いで、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液(10mL、濃度:0.05g/mL)を加え、1時間撹拌した。混合溶液をメタノール300mL中に滴下して1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過して2時間減圧乾燥させ、テトラヒドロフラン20mlに溶解させた。得られた溶液をメタノール120ml、3重量%酢酸水溶液50mLの混合溶媒中に滴下して1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過し、テトラヒドロフラン20mlに溶解させた。こうして得られた溶液をメタノール200mlに滴下して30分攪拌した後、析出した沈殿をろ過して固体を得た。得られた固体をテトラヒドロフラン/酢酸エチル(1/1(体積比))の混合溶媒に溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを通すことにより精製した。カラムから回収したテトラヒドロフラン溶液を濃縮した後、メタノール(200mL)に滴下し、析出した固体をろ過し、乾燥させた。得られた重合体Eの収量は343mgであった。
重合体Fのポリスチレン換算の数平均分子量は6.0×104であった。重合体Fは、式(N)で表される繰り返し単位からなる。
[実験例9]
重合体Fセシウム塩の合成
重合体F(150mg)を100mLフラスコに入れ、窒素置換した。テトラヒドロフラン(10mL)、及びメタノール(5mL)を混合した。混合溶液に、水酸化セシウム(260mg)を水(2mL)に溶解させた水溶液を添加し、65℃で2時間撹拌した。反応溶液にメタノール10mLを加え、さらに65℃で5時間攪拌した。混合物を室温まで冷却した後、反応溶媒を減圧留去した。生じた固体を水で洗浄し、減圧乾燥させることで薄黄色の固体(130mg)を得た。NMRスペクトルにより、重合体E内のエチルエステル部位のエチル基由来のシグナルが完全に消失していることを確認した。得られた重合体Fのセシウム塩を共役高分子化合物9と呼ぶ。共役高分子化合物9は式(O)で表される繰り返し単位からなる(「全繰り返し単位中の、式(1)で表される基及び式(2)で表される基からなる群から選ばれる1種以上の基と式(3)で表される1種以上の基とを含む繰り返し単位の割合」及び「全繰り返し単位中の、式(13)、(15)、(17)、(20)で表される繰り返し単位の割合」は、75モル%である。)。共役高分子化合物9のHOMOの軌道エネルギーは−5.9eV、LUMOの軌道エネルギーは−2.8eVであった。
[参考例9]
不活性雰囲気下、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−p−トルエンスルホネート(11.0g)、トリエチレングリコール(30.0g)、水酸化カリウム(3.3g)を混合し、100℃で18時間過熱攪拌した。放冷後、反応溶液を水(100mL)に加え、クロロホルムで分液抽出を行い、溶液を濃縮した。濃縮した溶液を、クーゲルロワー蒸留(10mmTorr、180℃)することで、2−(2−(2−(2−(2−(2−メトキシエトキシ)−エトキシ)−エトキシ)−エトキシ)−エトキシ)エタノール(6.1g)を得た。
[参考例10]
不活性雰囲気下、2−(2−(2−(2−(2−(2−メトキシエトキシ)−エトキシ)−エトキシ)−エトキシ)−エトキシ)エタノール(8.0g)、水酸化ナトリウム(1.4g)、蒸留水(2mL)、テトラヒドロフラン(2mL)を混合し、氷冷した。混合溶液に、p−トシルクロリド(5.5g)のテトラヒドロフラン(6.4mL)溶液を30分かけて滴下し、滴下後反応溶液を室温に上げて15時間攪拌した。反応溶液に蒸留水(50mL)を加え、6M硫酸で反応溶液を中和した後、クロロホルムで分液抽出を行った。溶液を濃縮することで、2−(2−(2−(2−(2−(2−メトキシエトキシ)−エトキシ)−エトキシ)−エトキシ)−エトキシ)p−トルエンスルホネート(11.8g)を得た。
[参考例11]
2,7−ジブロモ−9,9−ビス[3−エトキシカルボニル−4−[2−(2−(2−(2−(2−(2−メトキシエトキシ)−エトキシ)−エトキシ)−エトキシ)−エトキシ)エトキシ]フェニル]−フルオレン(化合物C)の合成
2,7−ジブロモ−9−フルオレノン(127.2g)、サリチル酸エチル(375.2g)、及びメルカプト酢酸(3.5g)を300mLフラスコに入れ、窒素置換した。そこに、メタンスルホン酸(1420mL)を添加し、混合物を75℃で終夜撹拌した。混合物を放冷し、氷水に添加して1時間撹拌した。生じた固体をろ別し、加熱したアセトニトリルで洗浄した。洗浄済みの該固体をアセトンに溶解させ、得られたアセトン溶液から固体を再結晶させ、ろ別し固体(167.8g)を得た。得られた固体(5g)、2−(2−(2−(2−(2−(2−メトキシエトキシ)−エトキシ)−エトキシ)−エトキシ)−エトキシ)p−トルエンスルホネート(10.4g)、炭酸カリウム(5.3g)、及び18−クラウン−6(0.6g)をN、N−ジメチルホルムアミド(DMF)(100 mL)に溶解させ、溶液をフラスコへ移して105℃で4時間撹拌した。得られた混合物を室温まで放冷し、氷水へ加え、1時間撹拌した。反応液にクロロホルム(300mL)を加えて分液抽出を行い、溶液を濃縮した。濃縮物を酢酸エチルに溶解させ、アルミナのカラムに通液し、溶液を濃縮することで、2,7−ジブロモ−9,9−ビス[3−エトキシカルボニル−4−[2−(2−(2−(2−(2−(2−メトキシエトキシ)−エトキシ)−エトキシ)−エトキシ)−エトキシ)エトキシ]フェニル]−フルオレン(化合物C)(4.5g)を得た。
化合物C
[参考例12]
重合体Gの合成
不活性雰囲気下、化合物C(1.0g)、4−t−ブチルフェニルブロミド(0.9mg)、2,2‘−ビピリジン(0.3g)、脱水テトラヒドロフラン(50mL)を200mLフラスコに入れ混合した。混合物を55℃に昇温した後、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0.6g)を添加し、55℃で5時間撹拌した。混合物を室温まで冷却した後、反応溶液をメタノール(200mL)、1N希塩酸(200mL)の混合液に滴下した。生じた沈殿物をろ過により収集した後、テトラヒドロフランに再溶解させた。メタノール(200mL)、15%アンモニア水(100mL)の混合液に滴下し、生じた沈殿物をろ過により収集した。沈殿物をテトラヒドロフランに再溶解させ、メタノール(200mL)、水(100mL)の混合液に滴下し、生じた沈殿物をろ過により収集した。収集した沈殿物を減圧乾燥することで重合体G(360mg)を得た。
重合体Gのポリスチレン換算の数平均分子量は6.0×104であった。重合体Gは、式(P)で表される繰り返し単位からなる。
[実験例10]
重合体Gセシウム塩の合成
重合体G(150mg)を100mLフラスコに入れ、窒素置換した。テトラヒドロフラン(15mL)、及びメタノール(5mL)を混合した。混合溶液に、水酸化セシウム(170mg)を水(2mL)に溶解させた水溶液を添加し、65℃で6時間撹拌した。混合物を室温まで冷却した後、反応溶媒を減圧留去した。生じた固体を水で洗浄し、減圧乾燥させることで薄黄色の固体(95)mg)を得た。NMRスペクトルにより、重合体G内のエチルエステル部位のエチル基由来のシグナルが完全に消失していることを確認した。得られた重合体Gのセシウム塩を共役高分子化合物10と呼ぶ。共役高分子化合物10は式(Q)で表される繰り返し単位からなる(「全繰り返し単位中の、式(1)で表される基及び式(2)で表される基からなる群から選ばれる1種以上の基と式(3)で表される1種以上の基とを含む繰り返し単位の割合」及び「全繰り返し単位中の、式(13)、(15)、(17)、(20)で表される繰り返し単位の割合」は、100モル%である。)。共役高分子化合物10のHOMOの軌道エネルギーは−5.7eV、LUMOの軌道エネルギーは−2.9eVであった。
[参考例13]
1,3−ジブロモ−5−エトキシカルボニル−6−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]ベンゼンの合成
不活性雰囲気下、3,5−ジブロモサリチル酸(20g)、エタノール(17mL)、濃硫酸(1.5mL)、トルエン(7mL)を混合し、130℃で20時間過熱攪拌した。放冷後、反応溶液を氷水(100mL)に加え、クロロホルムで分液抽出を行い、溶液を濃縮した。得られた固体を、イソプロパノールに溶解し、溶液を蒸留水に滴下した。得られた析出物をろ別することにより、固体(18g)を得た。不活性雰囲気下、得られた固体(1g)、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−p−トルエンスルホネート(1.5g)、炭酸カリウム(0.7g)、DMF(15mL)を混合し、100℃で4時間過熱攪拌した。放冷後、クロロホルムを加えて分液抽出し、溶液を濃縮した。濃縮物をクロロホルムに溶解させ、シリカゲルカラムに通液することにより精製した。溶液を濃縮することにより、1,3−ジブロモ−5−エトキシカルボニル−6−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]ベンゼン(1.0g)を得た。
[参考例14]
重合体Hの合成
不活性雰囲気下、化合物A(0.2g)、化合物B(0.5g)、1,3−ジブロモ−5−エトキシカルボニル−6−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]ベンゼン(0.1g)、トリフェニルホスフィンパラジウム(30mg)、テトラブチルアンモニウムブロミド(4mg)、及びトルエン(19mL)を混合し、105℃に加熱した。この反応液に2M 炭酸ナトリウム水溶液(5mL)を滴下し、5時間還流させた。反応液にフェニルボロン酸(6mg)を加え、14時間還流させた。次いで、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液(10mL、濃度:0.05g/mL)を加え、2時間撹拌した。水層を除去して有機層を蒸留水で洗浄し、濃縮して得られた固体をクロロホルムに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを通すことにより精製した。カラムからの溶出液を濃縮して乾燥させた。得られた重合体Hの収量は0.44gであった。
重合体Hのポリスチレン換算の数平均分子量は3.6×104であった。重合体Hは、式(R)で表される繰り返し単位からなる。
[実験例11]
重合体Hセシウム塩の合成
重合体H(200mg)を100mLフラスコに入れ、窒素置換した。テトラヒドロフラン(14mL)、及びメタノール(7mL)を添加し混合した。混合溶液に、水酸化セシウム(90mg)を水(1mL)に溶解させた水溶液を添加し、65℃で1時間撹拌した。反応溶液にメタノール5mLを加え、さらに65℃で4時間攪拌した。混合物を室温まで冷却した後、反応溶媒を減圧留去した。生じた固体を水で洗浄し、減圧乾燥させることで薄黄色の固体(190mg)を得た。NMRスペクトルにより、重合体H内のエチルエステル部位のエチル基由来のシグナルが完全に消失していることを確認した。得られた重合体Hのセシウム塩を共役高分子化合物11と呼ぶ。共役高分子化合物11は式(S)で表される繰り返し単位からなる(「全繰り返し単位中の、式(1)で表される基及び式(2)で表される基からなる群から選ばれる1種以上の基と式(3)で表される1種以上の基とを含む繰り返し単位の割合」及び「全繰り返し単位中の、式(13)、(15)、(17)、(20)で表される繰り返し単位の割合」は、100モル%である。)。共役高分子化合物11のHOMOの軌道エネルギーは−5.6eV、LUMOの軌道エネルギーは−2.8eVであった。
[参考例15]
2,7−ジブロモ−9,9−ビス[3,4−ビス[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]−5−メトキシカルボニルフェニル]フルオレン (化合物D)の合成
2,7−ジブロモ−9−フルオレノン(34.1g)、2,3-ジヒドロキシ安息香酸メチル(101.3g)、及びメルカプト酢酸(1.4g)を500mLフラスコに入れ、窒素置換した。そこに、メタンスルホン酸(350mL)を添加し、混合物を90℃で19時間撹拌した。混合物を放冷し、氷水に添加して1時間撹拌した。生じた固体をろ別し、加熱したアセトニトリルで洗浄した。洗浄済みの該固体をアセトンに溶解させ、得られたアセトン溶液から固体を再結晶させ、ろ別した。得られた固体(16.3g)、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−p−トルエンスルホネート(60.3g)、炭酸カリウム(48.6g)、及び18−クラウン−6(2.4g)をN、N−ジメチルホルムアミド(DMF)(500 mL)に溶解させ、溶液をフラスコへ移して110℃で15時間撹拌した。得られた混合物を室温まで放冷し、氷水へ加え、1時間撹拌した。反応液に酢酸エチル(300mL)を加えて分液抽出を行い、溶液を濃縮し、クロロホルム/メタノール(50/1(体積比))の混合溶媒に溶解させ、シリカゲルカラムを通すことにより精製した。カラムに通液した溶液を濃縮することで、2,7−ジブロモ−9,9−ビス[3,4−ビス[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]−5−メトキシカルボニルフェニル]フルオレン (化合物D)(20.5g)を得た。
[参考例16]
2,7−ビス[7−(4−メチルフェニル)−9,9−ジオクチルフルオレン−2−イル]−9,9−ビス[5−メトキシカルボニル−3,4−ビス[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]フェニル]−フルオレン(重合体I)の合成
不活性雰囲気下、化合物D(0.70g)、2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,2,3−ジオキサボラン−2−イル)−9,9−ジオクチルフルオレン (0.62g) 、トリフェニルホスフィンパラジウム(0.019g)、ジオキサン(40mL)、水(6mL)及び炭酸カリウム水溶液(1.38g)を混合し、80℃に加熱した。反応液を1時間反応させた。反応後、飽和ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム水5mLを添加して、30分間撹拌した後、有機溶媒を除去した。得られた固体をアルミナカラム(展開溶媒 ヘキサン:酢酸エチル=1:1(体積比))を通して精製を行い、溶液を濃縮することで、2,7−ビス[7−(4−メチルフェニル)−9,9−ジオクチルフルオレン−2−イル]−9,9−ビス[3−エトキシカルボニル−4−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]フェニル]−フルオレン(重合体I)を660mg得た。
重合体Iのポリスチレン換算の数平均分子量は、2.0×10であった。重合体Iは、式(T)で表される。なお、2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,2,3−ジオキサボラン−2−イル)−9,9−ジオクチルフルオレンは、例えば特開2008−74017号公報に記載されている方法で合成することができる。
[実験例12]
重合体Iセシウム塩の合成
重合体I(236mg)を100mLフラスコに入れ、アルゴン置換した。そこに、テトラヒドロフラン(20mL)、及びメタノール(10mL)を添加し、混合物を65℃に昇温した。そこに、水酸化セシウム(240mg)を水(2mL)に溶かした水溶液を添加し、65℃で7時間撹拌した。得られた混合物を室温まで冷却した後、反応溶媒を減圧留去した。生じた固体を水で洗浄し、減圧乾燥させることで薄黄色の固体(190mg)を得た。NMRスペクトルにより、エチルエステル部位のエチル基由来のシグナルが完全に消失していることを確認した。得られた重合体Iセシウム塩を共役高分子化合物12と呼ぶ。共役高分子化合物12は、式(U)で表される(「全繰り返し単位中の、式(1)で表される基及び式(2)で表される基からなる群から選ばれる1種以上の基と式(3)で表される1種以上の基とを含む繰り返し単位の割合」及び「全繰り返し単位中の、式(13)、(15)、(17)、(20)で表される繰り返し単位の割合」は、小数第二位で四捨五入して、33.3モル%である。)。共役高分子化合物12のHOMOの軌道エネルギーは−5.6eVであり、LUMOの軌道エネルギーは−2.8eVであった。

[実験例13]
<有機EL素子の作製>
ガラス基板表面に成膜パターニングされたITO陽極(膜厚:45nm)上に、正孔注入材料溶液を塗布し、スピンコート法によって膜厚が60nmになるように正孔注入層を成膜した。正孔注入層が成膜されたガラス基板を不活性雰囲気下(窒素雰囲気下)、200℃で10分加熱して正孔注入層を不溶化させ、基板を室温まで自然冷却させ、正孔注入層が形成された基板を得た。
ここで正孔注入材料溶液には、スタルクヴイテック(株)製PEDOT:PSS溶液(ポリ(3,4‐エチレンジオキシチオフェン)・ポリスチレンスルホン酸、製品名:「Baytron」)を用いた。
次に、正孔輸送性高分子材料とキシレンとを混合し、0.7重量%の正孔輸送性高分子材料を含む正孔輸送層形成用組成物を得た。
ここで、正孔輸送高分子材料は、以下の方法で合成した。
還流冷却器及びオーバーヘッドスターラを装備した1リットルの三つ口丸底フラスコに、2,7−ビス(1,3,2−ジオキシボロール)−9,9−ジ(1−オクチル)フルオレン(3.863g、7.283mmol)、N,N−ジ(p−ブロモフェニル)−N−(4−(ブタン−2−イル)フェニル)アミン(3.177g、6.919mmol)及びジ(4−ブロモフェニル)ベンゾシクロブタンアミン(156.3mg、0.364mmol)を添加した。次いで、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(アルドリッチ製、商品名Aliquat336(登録商標))(2.29g)、続いてトルエン50mLを添加した。PdCl(PPh(4.9mg)を添加した後、混合物を、1
05℃の油浴中で15分間撹拌した。炭酸ナトリウム水溶液(2.0M、14mL)を添加し、得られた混合物を105℃の油浴中、16.5時間撹拌した。次いで、フェニルボロン酸(0.5g)を添加し、得られた混合物を7時間撹拌した。水層を除去し、有機層を水50mLで洗浄した。有機層を反応フラスコに戻し、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム0.75g及び水50mLを添加した。得られた混合物を85℃の油浴中、16時間撹拌した。水層を除去し、有機層を100mLの水で3回洗浄し、次いでシリカゲル及び塩基性アルミナのカラムに通した。溶離剤としてトルエンを用い、溶出してきたポリマーを含むトルエン溶液を回収した。次いで、回収した前記トルエン溶液をメタノールに注いでポリマーを沈殿させた。沈殿したポリマーを再度トルエンに溶解させ、得られたトルエン溶液をメタノールに注いでポリマーを再び沈殿させた。沈殿したポリマーを60℃で真空乾燥し、正孔輸送性高分子材料4.2gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによれば、得られた正孔輸送性高分子材料のポリスチレン換算の重量平均分子量は1.24×105であり、分子量分布指数(Mw/Mn)は2.8であった。
上記で得た正孔注入層が形成された基板の正孔注入層の上に、正孔輸送層形成用組成物をスピンコート法により塗布し、膜厚20nmの塗膜を得た。この塗膜を設けた基板を不活性雰囲気下(窒素雰囲気下)、190℃で20分間加熱し、塗膜を不溶化させた後、室温まで自然冷却させ、正孔輸送層が形成された基板を得た。
次に、発光高分子材料(サメイション(株)製「Lumation BP361」)とキシレンとを混合し、1.4重量%の発光高分子材料を含む発光層形成用組成物を得た。上記で得た正孔輸送層が形成された基板の正孔輸送層の上に、発光層形成用組成物をスピンコート法により塗布し、膜厚80nmの塗膜を得た。この塗膜を設けた基板を不活性雰囲気下(窒素雰囲気下)、130℃で15分間加熱し、溶媒を蒸発させた後、室温まで自然冷却させ、発光層が形成された基板を得た。
メタノールと共役高分子化合物1とを混合し、0.2重量%の共役高分子化合物1を含む組成物を得た。上記で得た発光層が形成された基板の発光層の上に、前記組成物をスピンコート法により塗布し、膜厚10nmの塗膜を得た。この塗膜を設けた基板を常圧の不活性雰囲気下(窒素雰囲気下)、130℃で10分間加熱し、溶媒を蒸発させた後、室温まで自然冷却させ、共役高分子化合物1を含む電子注入層が形成された基板を得た。
上記で得た共役高分子化合物1を含む層が形成された基板を真空装置内に挿入し、真空蒸着法によって該層の上にAlを80nm成膜し、陰極を形成させて、積層構造体1を製造した。
上記で得た積層構造体1を真空装置より取り出し、不活性雰囲気下(窒素雰囲気下)で、封止ガラスと2液混合型エポキシ樹脂にて封止し、有機EL素子1を得た。
[実験例14]
実験例13において、共役高分子化合物1の代わりに共役高分子化合物2を用いた以外は、実験例13と同様に操作し、有機EL素子2を得た。
[実験例15]
実験例13において、メタノールと共役高分子化合物1とを混合し、0.2重量%の共役高分子化合物1を含む組成物を得る代わりにメタノール、水および共役高分子化合物3を混合し(メタノール/水の体積比=20/1)、0.2重量%の共役高分子化合物3を含む組成物を用いた以外は、実験例13と同様に操作し、有機EL素子3を得た。
[実験例16]
実験例13において、共役高分子化合物1の代わりに共役高分子化合物4を用いた以外は、実験例13と同様に操作し、有機EL素子4を得た。
[実験例17]
実験例13において、共役高分子化合物1の代わりに共役高分子化合物5を用いた以外は、実験例13と同様に操作し、有機EL素子5を得た。
[実験例18]
実験例13において、共役高分子化合物1の代わりに共役高分子化合物6を用いた以外は、実験例13と同様に操作し、有機EL素子6を得た。
[実験例19]
実験例13において、共役高分子化合物1の代わりに共役高分子化合物7を用いた以外は、実験例13と同様に操作し、有機EL素子7を得た。
[実験例20]
実験例13において、共役高分子化合物1の代わりに共役高分子化合物8を用いた以外は、実験例13と同様に操作し、有機EL素子8を得た。
[実験例21]
実験例13において、共役高分子化合物1の代わりに共役高分子化合物9を用いた以外は、実験例13と同様に操作し、有機EL素子9を得た。
[実験例22]
実験例13において、共役高分子化合物1の代わりに共役高分子化合物10を用いた以外は、実験例13と同様に操作し、有機EL素子10を得た。
[実験例23]
実験例13において、共役高分子化合物1の代わりに共役高分子化合物11を用いた以外は、実験例13と同様に操作し、有機EL素子11を得た。
[実験例24]
実験例13において、共役高分子化合物1の代わりに共役高分子化合物12を用いた以外は、実験例13と同様に操作し、有機EL素子12を得た。
[実験例25]
実験例13において、メタノールと共役高分子化合物1とを混合し、0.2重量%の共役高分子化合物1を含む組成物を得る代わりにメタノール、共役高分子化合物1、AlドープZnOナノ粒子(アルドリッチ製)を混合した組成物を用いた以外は、実験例13と同様に操作し、有機EL素子13を得た。
[実験例26]
実験例13において、メタノールと共役高分子化合物1とを混合し、0.2重量%の共役高分子化合物1を含む組成物を得る代わりにメタノール、共役高分子化合物1、低分子化合物(アルドリッチ製、3,5−ビス(4−t−ブチルフェニル)−4−フェニル−4H−1,2,4−トリアゾール)を混合し、0.2重量%の共役高分子化合物1および0.2重量%の該低分子化合物を含む組成物を得た以外は、実験例13と同様に操作し、有機EL素子14を得た。
[実験例27]
実験例13において、Alの代わりにAgを用いた以外は、実験例13と同様に操作し、有機EL素子15を得た。
[実験例28]
実験例13において、Alの代わりにAuを用いた以外は、実験例13と同様に操作し、電界発光素子16を得た。
[測定]
上記で得られた有機EL素子1〜16に10Vの順方向電圧を印加し、発光輝度と発光効率を測定した。結果を表1に示す。











[実験例29]
メタノールと共役高分子化合物1とを混合し、0.2重量%の共役高分子化合物1を含む組成物を得た。ガラス基板表面に成膜パターニングされたITO陰極(膜厚:45nm)上に、前記組成物を大気中でスピンコート法により塗布し、膜厚10nmの塗膜を得た。この塗膜を設けた基板を不活性雰囲気下(窒素雰囲気下)、130℃で10分間加熱し、溶媒を蒸発させた後、室温まで自然冷却させ、共役高分子化合物1を含む電子注入層が形成された基板を得た。
次に、発光高分子材料(サメイション(株)製「Lumation BP361」)とキシレンとを混合し、1.4重量%の発光高分子材料を含む発光層形成用組成物を得た。上記で得た共役高分子化合物1を含む層が形成された基板の共役高分子化合物1を含む層の上に、発光層形成用組成物を大気中でスピンコート法により塗布し、膜厚80nmの塗膜を得た。この塗膜を設けた基板を不活性雰囲気下(窒素雰囲気下)、130℃で15分間加熱し、溶媒を蒸発させた後、室温まで自然冷却させ、発光層が形成された基板を得た。
次に、上記で得た発光層が形成された基板の発光層の上に、正孔注入材料溶液を大気中でスピンコート法により塗布し、膜厚60nmの塗膜を得た。この塗膜を設けた基板を不活性雰囲気下(窒素雰囲気下)、130℃で15分間加熱し、溶媒を蒸発させた後、室温まで自然冷却させ、正孔注入層が形成された基板を得た。ここで正孔注入材料溶液には、スタルクヴイテック(株)製PEDOT:PSS溶液(ポリ(3,4‐エチレンジオキシチオフェン)・ポリスチレンスルホン酸、製品名:「Baytron」)を用いた。
上記で得た正孔注入層が形成された基板を真空装置内に挿入し、真空蒸着法によって該層の上にAuを80nm成膜し、陽極を形成させて、積層構造体1を製造した。
上記で得た積層構造体2を真空装置より取り出し、不活性雰囲気下(窒素雰囲気下)で、封止ガラスと2液混合型エポキシ樹脂にて封止し、有機EL素子17を得た。
上記で得られた有機EL素子17に10Vの順方向電圧を印加し、発光輝度と発光効率を測定した。結果を表1に示す。
[実験例30]
<両面発光型の有機EL素子の作製>
実験例29において、Auの膜厚を20nmとした以外は、実験例29と同様に操作し、両面発光型の有機EL素子18を得た。
上記で得られた両面発光型の有機EL素子18に15Vの順方向電圧を印加し、発光輝度と発光効率を測定した。結果を表3に示す。
表2および3で示すように、大気中において塗布プロセスでイオン性ポリマーを成膜し、電子注入層を形成した逆積層の有機EL素子が、発光することを確認した。
1 第2のフィルム
2 有機EL素子
3 保護膜
4 接着層
5 ガスバリア層
6 第1のフィルムの基材
7 第2のフィルムの基材
8 第2のガスバリア層
11 第1のフィルム
13 有機EL装置
500、510、520 巻き出しロール
511、512 第1貼り合せロール
521、522 第2貼り合せロール
530 巻き取りロール
820 付加的フィルム
610、620 接着層塗布装置
611、621 接着層硬化装置
701 送り出しロール
21,22,23,24 搬送ロール
31,32 一対の成膜ロール
41 ガス供給管
51 プラズマ発生用電源
61,62 磁場発生装置
702 巻き取りロール

Claims (8)

  1. 一対の電極、前記電極間に設けられる発光層、および前記電極間に設けられる電子注入層を有する有機EL素子と、第1のフィルムとを有する有機EL装置であって、
    前記電子注入層はイオン性ポリマーを含み、
    前記第1のフィルムは、珪素、酸素及び炭素を含有するガスバリア層を有しており、
    前記ガスバリア層は、珪素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する珪素原子の量の比率(珪素の原子比)、酸素原子の量の比率(酸素の原子比)及び炭素原子の量の比率(炭素の原子比)と、膜厚方向における前記ガスバリア層の一方の表面からの距離との関係をそれぞれ示す珪素分布曲線、酸素分布曲線及び炭素分布曲線が下記条件(i)〜(iii)を満たす、有機EL装置。
    (i)ガスバリア層の膜厚方向の90%以上の領域において、珪素、酸素および炭素の原子比のうちで、珪素の原子比が2番目の値であること
    (ii)前記炭素分布曲線が少なくとも1つの極値を有すること
    (iii)前記炭素分布曲線における炭素の原子比の最大値及び最小値の差の絶対値が5at%以上であること
  2. 前記有機EL素子を介在させて前記第1のフィルムと貼合され、前記第1のフィルムともに前記有機EL素子を封止する第2のフィルムをさらに有する、請求項1記載の有機EL装置。
  3. 一対の電極と、前記電極間に設けられる発光層と、前記電極間に設けられる電子注入層とを有する有機EL素子を形成する工程と、
    珪素、酸素及び炭素を含有するガスバリア層を有する第1のフィルムを形成する工程と、
    前記有機EL素子を介在させて、前記第1のフィルムと第2のフィルムとを貼合する工程とを有し、
    前記有機EL素子を形成する工程では、イオン性ポリマーを含む電子注入層を形成し、
    前記第1のフィルムを形成する工程では、珪素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する珪素原子の量の比率(珪素の原子比)、酸素原子の量の比率(酸素の原子比)及び炭素原子の量の比率(炭素の原子比)と、前記膜厚方向における前記保護膜の一方の表面からの距離との関係をそれぞれ示す珪素分布曲線、酸素分布曲線及び炭素分布曲線が下記条件(i)〜(iii)を満たすガスバリア層を形成する、有機EL装置の製造方法。
    (i)保護膜の膜厚方向の90%以上の領域において、珪素、酸素および炭素の原子比のうちで、珪素の原子比が2番目の値であること
    (ii)前記炭素分布曲線が少なくとも1つの極値を有すること
    (iii)前記炭素分布曲線における炭素の原子比の最大値及び最小値の差の絶対値が5at%以上であること
  4. 前記貼合する工程では、前記有機EL素子を介して前記第1のフィルムと前記第2のフィルムとを重ねた状態で、これを二つのロール間を通過させることにより前記第1のフィルムと前記第2のフィルムとを貼合する、請求項3に記載の有機EL装置の製造方法。
  5. 前記貼合する工程を大気中にて行う、請求項3または4記載の有機EL装置の製造方法。
  6. 前記有機EL素子を形成する工程では、第1のフィルムおよび第2のフィルムのいずれか一方のフィルム上に有機EL素子を形成し、有機EL素子が形成されたフィルムをロール状に巻き取り、保管する、請求項3〜5のいずれか1つに記載の有機EL装置の製造方法。
  7. 前記第1のフィルムと前記第2のフィルムとを貼合した後、貼合したフィルムをロール状に巻き取り、保管する、請求項3〜6のいずれか1つに記載の有機EL装置の製造方法。
  8. 前記保管を大気中で行う請求項6または7記載の有機EL装置の製造方法。
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