JP2012043782A - 有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の製造方法及び有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の製造方法及び有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】溶液を成膜することにより大気中で安定な電子注入層を形成可能な電子注入性材料の他の選択肢を提供し、該電子注入性材料を用いて、製造コストの低減が可能であって、製造プロセスにおける安定性を確保可能な、有機ELディスプレイ装置の製造方法及び該製造方法により得られる有機ELディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】本発明の製造方法は、各画素に対応する複数の陰極が形成された基板上に、電子注入性材料としてイオン性ポリマーを含む溶液を全画素に共通に塗布し、成膜することにより電子注入層を形成する工程と、前記電子注入層の表面に直接または他層を介して、画素パターンに対応した複数の発光層を形成する工程と、前記発光層あるいは発光層と他の層とが順次に形成された基板上に全画素に共通に陽極材料を成膜することにより陽極を形成する工程とを含む。
【選択図】 図1

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の製造方法及び該製造方法により得られる有機ELディスプレイ装置に関する。
有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置(以下、有機ELディスプレイ装置と記す場合もある)は、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子と記す場合もある)からなる複数の画素を含み、画像信号に応じて個々の有機EL素子を駆動させる画素回路を画素ごとに作り付けることにより画像を表示する。
上記有機ELディスプレイ装置を構成する有機EL素子は、陽極と陰極との間に有機発光性材料からなる発光層を薄膜形成した基本構成を有している。かかる基本構成を有する有機EL素子において、両極間に電圧を印加すると、陽極から正孔が注入され、陰極から電子が注入される。そして、正孔と電子が発光層において再結合することによって発光が生じる。
通常、有機EL素子は、上述の基本構成だけでは所期の特性を得ることが困難である。そのため、発光層に加えて、所定の有機層が設けられる。例えば所定の有機層として、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層および電子輸送層などが設けられる。
上記有機EL素子の陽極−陰極間の有機層の形成方法としては、真空蒸着法と塗布法が知られている。塗布法は真空プロセスが不要なので、有機ELディスプレイ装置の大面積化が容易であることと製造コストが安いことがその特徴である。
上記発光層に加えて所定の有機層が設けられた複数の有機EL素子を効率的に製造することを可能にする有機ELディスプレイ装置の製造方法として、種々の方法が提案されている。その1つを要約すると、「まず、基板上に陽極をパターン形成し、その上に、全ての画素に亘って連続する連続正孔注入層及び連続プライマー層を塗布により形成する。前記連続プライマー層に、画素に対応する液体閉じ込めパターンを形成する。この液体閉じ込めパターン3種類に対して3種類(RGBの3種類)の発光層をそれぞれ形成する。その後、全ての画素に亘って連続する電子注入層及び陰極を順に形成する。」という構成の製造方法が開示されている(特許文献1)。
特許文献1に開示の製造方法では、基板上に形成した陽極から積層を始めて、正孔注入層を積層し、続いて、発光層を形成し、その上に電子注入層を形成し、最後に陰極を形成している。
有機ELディスプレイ装置の製造方法としては、特許文献1で採用されている、陽極から陰極へ向かって電極及び有機層を順次に積層(以下、便宜的に「順積層」と記す場合もある)していく製造方法の他に、陰極から陽極に向かって電極及び有機層を順次に積層(以下、便宜的に「逆積層」と記す場合もある)していく製造方法もある。
電子注入層は、通常、大気中で不安定な材料によって構成されている。特許文献1では、電子注入層は、Ba、BaO、NaF、LiFなどの電子注入材料を気相堆積することによって、すなわち、高真空中で蒸着することによって、形成されている。前記電子注入材料は水分や酸素と容易に反応し、化学変化する。特許文献1では、順積層による製造方法を採用しており、順積層による製造方法では、電子注入層、陰極を真空蒸着によって形成することができ、そのため、電子注入層を大気に触れることなく形成することができる。
しかしながら、特許文献1の技術をそのまま逆積層による有機ELディスプレイ装置の製造方法に適用した場合、陰極、電子注入層を真空蒸着によって形成し、その後、発光層を塗布法によって形成することになる。この発光層の形成を大気中でおこなうと、電子注入層が水分や酸素と容易に反応し、化学変化してしまう。
前記電子注入層の化学変化を防ぐには、真空雰囲気で発光層を形成する必要があるが、真空雰囲気ではインキが気化するため、現実には不可能である。
特表2009−540573号公報
本発明の課題は、工程が簡易であり、逆積層による有機ELディスプレイ装置の製造方法及び該製造方法により得られる有機ELディスプレイ装置を提供することにある。
本発明者らは、特定構造を有するイオン性ポリマーが優れた電子注入性を有するとともに、常圧程度の雰囲気中で安定であり、溶媒に溶解して溶液とし、該溶液を成膜することにより常圧程度の雰囲気中で安定な電子注入層を得ることができることを知るに至った。本発明は、係る知見に基づいてなされたものである。本発明は、以下の構成を採用した有機発光ディスプレイ装置の製造方法及び有機ELディスプレイ装置を提供する。
なお、本発明でいう「大気中」とは、本発明の目的から広義には、酸素及び水分の含有を許容する全ての雰囲気を意味する。より具体的には、一般的にいう常温、常圧の未調整の大気雰囲気を含み、さらに、該大気雰囲気に対して、酸素及び水分を含んだまま、温度、圧力、成分を調整した雰囲気が含まれる。調整雰囲気としては、「塗布」を含む本発明の製造方法が実施可能であることを条件として大気雰囲気に対して窒素、水素、酸素、二酸化炭素などの組成成分を調整する処理、これらの組成割合を調整する処理がなされており、浮遊微粒子、浮遊微生物にかかる清浄度が調整されていてもよく、さらには本発明の製造方法が実施できることを条件として温度、湿度、圧力などの環境条件が調整されていてもよい雰囲気が含まれ、その圧力は通常1013hPa±100hPaの常圧である。
また、以下の説明において、基板の厚み方向の一方を上方(または上)といい、基板の厚み方向の他方を下方(または下)という場合がある。この上下関係の表記は、説明の便宜上、設定したもので、必ずしも実際に有機EL素子が製造される工程および使用される状況に適用されるものではない。
[1] 陽極及び陰極と、これら電極間に位置する発光層と、前記陰極と発光層の間に位置する電子注入層を含む有機エレクトロルミネッセンス素子からなる複数の画素を有してなる有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の製造方法であって、
各画素に対応する複数の陰極が形成された基板の当該陰極上に、イオン性ポリマーを含む溶液を塗布し、成膜することにより電子注入層を形成する工程と、
前記電子注入層の上に直接または他の層を介して、画素パターンに対応して発光材料を含む溶液を塗布し、成膜することにより発光層を形成する工程と、
前記発光層あるいは発光層と他の層とが順次に形成された基板上に陽極材料を成膜することにより陽極を形成する工程と、
を含む有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の製造方法。
[2] 前記発光層を形成する工程は、画素を除く領域に撥液パターンを形成し、該撥液パターンの開口内部に発光材料を含む溶液を塗布し、成膜することにより複数の発光層を形成する工程である、上記[1]に記載の有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の製造方法。
[3] 画素を除く領域にバンクを形成する工程を有する、上記[1]に記載の有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の製造方法。
[4] [1]〜[3]のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の製造方法によって製造されうる有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置。
本発明によれば、常圧程度の雰囲気中で安定な電子注入層を形成することのできるイオン性ポリマーを用いることにより、「工程が簡易であり、有機ELディスプレイ装置を効率的に製造し、かつ大面積化可能とする、逆積層による」有機ELディスプレイ装置の製造方法及び該製造方法により得られる有機ELディスプレイ装置を提供することができる。
図1は、本発明にかかる有機ELディスプレイ装置の一実施形態を示す概略断面構成図である。 図2−1は、本発明にかかる有機ELディスプレイ装置の製造方法の第1の実施形態の工程説明図である。 図2−2は、本発明にかかる有機ELディスプレイ装置の製造方法の第1の実施形態の工程説明図である。 図2−3は、本発明にかかる有機ELディスプレイ装置の製造方法の第1の実施形態の工程説明図である。 図2−4は、本発明にかかる有機ELディスプレイ装置の製造方法の第1の実施形態の工程説明図である。 図2−5は、本発明にかかる有機ELディスプレイ装置の製造方法の第1の実施形態の工程説明図である。 図2−6は、本発明にかかる有機ELディスプレイ装置の製造方法の第1の実施形態の工程説明図である。 図2−7は、本発明にかかる有機ELディスプレイ装置の製造方法の第1の実施形態の工程説明図である。 図2−8は、本発明にかかる有機ELディスプレイ装置の製造方法の第1の実施形態の工程説明図である。 図3−1は、本発明にかかる有機ELディスプレイ装置の製造方法の第2の実施形態の工程説明図である。 図3−2は、本発明にかかる有機ELディスプレイ装置の製造方法の第2の実施形態の工程説明図である。 図3−3は、本発明にかかる有機ELディスプレイ装置の製造方法の第2の実施形態の工程説明図である。 図3−4は、本発明にかかる有機ELディスプレイ装置の製造方法の第2の実施形態の工程説明図である。 図3−5は、本発明にかかる有機ELディスプレイ装置の製造方法の第2の実施形態の工程説明図である。 図3−6は、本発明にかかる有機ELディスプレイ装置の製造方法の第2の実施形態の工程説明図である。 図3−7は、本発明にかかる有機ELディスプレイ装置の製造方法の第2の実施形態の工程説明図である。 図3−8は、本発明にかかる有機ELディスプレイ装置の製造方法の第2の実施形態の工程説明図である。 図3−9は、本発明にかかる有機ELディスプレイ装置の製造方法の第2の実施形態の工程説明図である。 図3−10は、本発明にかかる有機ELディスプレイ装置の製造方法の第2の実施形態の工程説明図である。 図3−11は、本発明にかかる有機ELディスプレイ装置の製造方法の第2の実施形態の工程説明図である。 図4は、本発明にかかる有機ELディスプレイ装置の製造方法の第3の実施形態の説明図である。
先に述べたように、本発明の有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の製造方法は、陽極及び陰極と、これら電極間に位置する発光層と、前記陰極と発光層の間に位置する電子注入層とを含む有機エレクトロルミネッセンス素子からなる複数の画素を有してなる有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の製造方法であって、各画素に対応する複数の陰極が形成された基板の当該陰極上に、イオン性ポリマーを含む溶液を塗布し、成膜することにより電子注入層を形成する工程と、前記電子注入層の上に直接または他の層を介して、画素パターンに対応して発光材料を含む溶液を塗布し、成膜することにより複数の発光層を形成する工程と、前記発光層あるいは発光層と他の層とが順次に形成された基板上に陽極材料を成膜することにより陽極を形成する工程とを含む。
本発明の有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置は、上述の有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の製造方法によって製造されうる。
上記構成の本発明の各要素について、以下に詳しく説明する。まず、溶媒に溶解させた溶液を成膜することにより常圧程度の雰囲気中で安定な電子注入層を形成することのできる電子注入性材料となるイオン性ポリマーについて説明する。次に、有機EL素子の構成について説明し、続いて、有機ELディスプレイ装置の製造方法及び該製造方法により得られる有機ELディスプレイ装置について、詳しく説明する。なおイオン性ポリマーは、従来電子注入材料として用いられていたBa、BaO、NaF、LiFなどに比べると、常圧に限らず大気中においても安定である。
[イオン性ポリマー]
本発明において用い得るイオン性ポリマーとしては、例えば、下記式(1)で表される基及び下記式(2)で表される基からなる群から選ばれる1種以上の基を含む構造単位を有する重合体が挙げられる。イオン性ポリマーの一形態としては、式(1)で表される基及び式(2)で表される基からなる群から選ばれる1種以上の基を含む構造単位を、全構造単位中、15〜100モル%有する重合体が挙げられる。
−(Q1n1−Y1(M1)a1(Z1)b1 (1)
(式(1)中、Q1は2価の有機基を表し、Y1は、−CO2 -、−SO3 -、−SO2 -、−PO3 2-又は−B(R3 -を表し、M1は金属カチオン又は置換基を有し若しくは有さないアンモニウムカチオンを表し、Z1はF-、Cl-、Br-、I-、OH-、RaSO3 -、RaCOO-、ClO-、ClO2 -、ClO3 -、ClO4 -、SCN-、CN-、NO3 -、SO4 2-、HSO4 -、PO4 3-、HPO4 2-、H2PO4 -、BF4 -又はPF6 -を表し、n1は0以上の整数を表し、a1は1以上の整数を表し、b1は0以上の整数を表し、ただし、a1及びb1は、式(1)で表される基の電荷が0となるように選択され、Raは置換基を有し若しくは有さない炭素原子数1〜30のアルキル基又は置換基を有し若しくは有さない炭素原子数6〜50のアリール基を表し、Q1、M及びZのおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。)
−(Q2n2−Y2(M2)a2(Z2)b2 (2)
(式(2)中、
2は2価の有機基を表し、
2はカルボカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニルカチオン又はスルホニルカチオン又はヨードニウムカチオンを表し、M2はF-、Cl-、Br-、I-、OH-、RbSO3 -、RbCOO-、ClO-、ClO2 -、ClO3 -、ClO4 -、SCN-、CN-、NO3 -、SO4 2-、HSO4 -、PO4 3-、HPO4 2-、H2PO4 -、BF4 -又はPF6 -を表し、Z2は金属カチオン又は置換基を有し若しくは有さないアンモニウムカチオンを表し、n2は0以上の整数を表し、a2は1以上の整数を表し、b2は0以上の整数を表し、ただし、a2及びb2は、式(2)で表される基の電荷が0となるように選択され、Rbは置換基を有し若しくは有さない炭素原子数1〜30のアルキル基又は置換基を有し若しくは有さない炭素原子数6〜50のアリール基を表し、Q2、M2及びZ2のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。)
本発明で用いられるイオン性ポリマーの一形態としては、さらに下記式(3)で表される基を有する重合体が挙げられる。イオン性ポリマーが式(3)で表される基を有する場合、式(3)で表される基は、イオン性ポリマーの構造単位中に含まれていてもよく、式(1)で表される基及び式(2)で表される基からなる群から選ばれる一種以上の基を含む構造単位と同一の構造単位内に含まれていてもよいし、異なる他の構造単位内に含まれていてもよい。さらに、イオン性ポリマーの一形態としては、式(1)で表される基、式(2)で表される基、及び式(3)で表される基のうち少なくとも1種を含む構造単位を、全構造単位中、15〜100モル%有する重合体が挙げられる。
−(Qn3−Y3 (3)
(式(3)中、
は2価の有機基を表し、Y3は−CN又は式(4)〜(12)のいずれかで表される基を表し、n3は0以上の整数を表す。
−O−(R’O)a3−R’’ (4)
Figure 2012043782
−S−(R’S)a4−R’’ (6)
−C(=O)−(R’−C(=O))a4−R’’ (7)
−C(=S)−(R’−C(=S))a4−R’’ (8)
−N[(R’)a4R’’ ]2 (9)
−C(=O)O−(R’−C(=O)O)a4−R’’ (10)
−C(=O)O−(R’O)a4−R’’ (11)
−NHC(=O)−(R’NHC(=O))a4−R’’ (12)
(式(4)〜(12)中、R’は置換基を有し又は有さない2価の炭化水素基を表し、R’’は水素原子、置換基を有し若しくは有さない1価の炭化水素基、−COOH、−SO3H、−OH、−SH、−NRc 2、−CN又は−C(=O)NRc 2を表し、R’’’は置換基を有し若しくは有さない3価の炭化水素基を表し、a3は1以上の整数を表し、a4は0以上の整数を表し、Rcは置換基を有し若しくは有さない炭素原子数1〜30のアルキル基又は置換基を有し若しくは有さない炭素原子数6〜50のアリール基を表し、R’、R’’及びR’’’のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。))
イオン性ポリマーは、式(13)で表される構造単位、式(15)で表される構造単位、式(17)で表される構造単位及び式(20)で表される構造単位からなる群から選ばれる1種以上の構造単位を、全構造単位中、15〜100モル%含むことが好ましい。
Figure 2012043782
(式(13)中、Rは式(14)で表される基を含む1価の基であり、Ar1はR1以外の置換基を有し又は有さない(2+n4)価の芳香族基を表し、n4は1以上の整数を表し、R1は複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。
Figure 2012043782
(式(14)中、R2は(1+m1+m2)価の有機基を表し、Q1、Q3、Y、M1、Z1、Y、n1、a1、b1及びn3は前述と同じ意味を表し、m1及びm2はそれぞれ独立に1以上の整数を表し、Q1、Q3、Y、M1、Z1、Y、n1、a1、b1及びn3のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。))
Figure 2012043782
(式(15)中、R3は式(16)で表される基を含む1価の基であり、Ar2はR3以外の置換基を有し又は有さない(2+n5)価の芳香族基を表し、n5は1以上の整数を表し、R3は複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。
Figure 2012043782
(式(16)中、R4は(1+m3+m4)価の有機基を表し、Q2、Q3、Y2、M2、Z2、Y、n2、a2、b2及びn3は前述と同じ意味を表し、m3及びm4はそれぞれ独立に1以上の整数を表す。Q2、Q3、Y2、M2、Z2、Y、n2、a2、b2及びn3のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。))
Figure 2012043782
(式(17)中、R5は式(18)で表される基を含む1価の基であり、R6は式(19)で表される基を含む1価の基であり、Ar3はR5及びR6以外の置換基を有し又は有さない(2+n6+n7)価の芳香族基を表し、n6及びn7はそれぞれ独立に1以上の整数を表し、R5及びR6のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。
−R7−[(Q1n1−Y1(M1)a1(Z1)b1m5 (18)
(式(18)中、R7は直接結合又は(1+m5)価の有機基を表し、Q1、Y、M1、Z1、n1、a1及びb1は前述と同じ意味を表し、m5は1以上の整数を表し、Q1、Y、M1、Z1、n1、a1及びb1のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。)
−R8−{(Qn3−Y3m6 (19)
(式(19)中、R8は単結合又は(1+m6)価の有機基を表し、Y3及びn3は前述と同じ意味を表し、m6は1以上の整数を表し、ただし、R8が単結合のときm6は1を表し、Q、Y3及びn3のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。))
Figure 2012043782
(式(20)中、R9は式(21)で表される基を含む1価の基であり、R10は式(22)で表される基を含む1価の基であり、Ar4はR9及びR10以外の置換基を有し又は有さない(2+n8+n9)価の芳香族基を表し、n8及びn9はそれぞれ独立に1以上の整数を表し、R9及びR10のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。
−R11−[(Q2n2−Y2(M2)a2(Z2)b2m7 (21)
(式(21)中、R11は単結合又は(1+m7)価の有機基を表し、Q2、Y2、M2、Z2、n2、a2及びb2は前述と同じ意味を表し、m7は1以上の整数を表し、ただし、R11が単結合のときm7は1を表し、Q2、Y2、M2、Z2、n2、a2及びb2のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。)
−R12−[(Qn3−Y3m8 (22)
(式(22)中、R12は単結合又は(1+m8)価の有機基を表し、Y3及びn3は前述と同じ意味を表し、m8は1以上の整数を表し、ただし、R12が単結合のときm8は1を表し、Q、Y3及びn3、のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。))
前記イオン性ポリマー中の構造単位は、式(1)で表される基を2種類以上含んでいてもよく、式(2)で表される基を2種類以上含んでいてもよく、式(3)で表される基を2種類以上含んでいてもよい。
−式(1)で表される基−
式(1)中、Q1で表される2価の有機基としては、メチレン基、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,2−ブチレン基、1,3−ブチレン基、1,4−ブチレン基、1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基、1,9−ノニレン基、1,12−ドデシレン基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50の2価の飽和炭化水素基;エテニレン基、プロペニレン基、3−ブテニレン基、2−ブテニレン基、2−ペンテニレン基、2−ヘキセニレン基、2−ノネニレン基、2−ドデセニレン基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数2〜50のアルケニレン基、及び、エチニレン基を含む、置換基を有し又は有さない炭素原子数2〜50の2価の不飽和炭化水素基;シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、シクロノニレン基、シクロドデシレン基、ノルボニレン基、アダマンチレン基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数3〜50の2価の環状飽和炭化水素基;1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、ビフェニル−4,4'−ジイル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜50のアリーレン基;メチレンオキシ基、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、ブチレンオキシ基、ペンチレンオキシ基、ヘキシレンオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルキレンオキシ基;炭素原子を含む置換基を有するイミノ基;炭素原子を含む置換基を有するシリレン基が挙げられ、イオン性ポリマーの原料となるモノマー(以下、「原料モノマー」と言う。)の合成の容易さの観点からは、2価の飽和炭化水素基、アリーレン基、アルキレンオキシ基が好ましい。
前記置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、シアノ基及びニトロ基等が挙げられ、前記置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。これらのうち、アミノ基、シリル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基及びニトロ基以外の置換基は炭素原子を含む。
以下、置換基について説明する。なお、「C〜C」(m、nはm<nを満たす正の整数である)という用語は、この用語とともに記載された有機基の炭素原子数がm〜nであることを表す。例えば、C〜Cアルキル基であれば、アルキル基の炭素原子数がm〜nであることを表し、C〜Cアルキルアリール基であれば、アルキル基の炭素原子数がm〜nであることを表し、アリール−C〜Cアルキル基であれば、アルキル基の炭素原子数がm〜nであることを表す。
アルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよく、シクロアルキル基でもよい。アルキル基の炭素原子数は通常1〜20であり、1〜10が好ましい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基等が挙げられる。前記アルキル基中の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。該当するフッ素原子置換アルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基等が挙げられる。なお、C1〜C12アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基が挙げられる。
アルコキシ基は、直鎖状でも分岐状でもよく、シクロアルキルオキシ基であってもよく、置換基を有していてもよい。アルコキシ基の炭素原子数は通常1〜20であり、1〜10が好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ラウリルオキシ基等が挙げられる。前記アルコキシ基中の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。該当するフッ素原子置換アルコキシ基としては、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロヘキシルオキシ基、パーフルオロオクチルオキシ基等が挙げられる。また、該アルコキシ基には、メトキシメチルオキシ基、2−メトキシエチルオキシ基も含まれる。なお、C1〜C12アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基が挙げられる。
アルキルチオ基としては、直鎖状でも分岐状でもよく、シクロアルキルチオ基であってもよく、置換基を有していてもよい。アルキルチオ基の炭素原子数は通常1〜20であり、1〜10が好ましい。アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、s−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、ラウリルチオ基等が挙げられる。前記アルキルチオ基中の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。該当するフッ素原子置換アルキルチオ基としては、トリフルオロメチルチオ基等が挙げられる。
アリール基は、芳香族炭化水素から芳香環を構成する炭素原子に結合した水素原子1個を除いた残りの原子団であり、ベンゼン環を持つ基、縮合環を持つ基、独立したベンゼン環又は縮合環2個以上が単結合又は2価の有機基、例えば、ビニレン基等のアルケニレン基を介して結合した基も含まれる。アリール基は、炭素原子数が通常6〜60であり、7〜48であることが好ましい。アリール基としては、フェニル基、C1〜C12アルコキシフェニル基、C1〜C12アルキルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基等が挙げられる。前記アリール基中の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。該当するフッ素原子置換アリール基としては、ペンタフルオロフェニル基等が挙げられる。アリール基の中では、C1〜C12アルコキシフェニル基、C1〜C12アルキルフェニル基が好ましい。
前記アリール基のうち、C1〜C12アルコキシフェニル基としては、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロピルオキシフェニル基、イソプロピルオキシフェニル基、ブトキシフェニル基、イソブトキシフェニル基、s−ブトキシフェニル基、t−ブトキシフェニル基、ペンチルオキシフェニル基、ヘキシルオキシフェニル基、シクロヘキシルオキシフェニル基、ヘプチルオキシフェニル基、オクチルオキシフェニル基、2−エチルヘキシルオキシフェニル基、ノニルオキシフェニル基、デシルオキシフェニル基、3,7−ジメチルオクチルオキシフェニル基、ラウリルオキシフェニル基等が挙げられる。
前記アリール基のうち、C1〜C12アルキルフェニル基としては、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、プロピルフェニル基、メシチル基、メチルエチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、ブチルフェニル基、イソブチルフェニル基、t−ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、イソアミルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ドデシルフェニル基等が挙げられる。
アリールオキシ基は、炭素原子数が通常6〜60であり、7〜48であることが好ましい。アリールオキシ基としては、フェノキシ基、C1〜C12アルコキシフェノキシ基、C1〜C12アルキルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、ペンタフルオロフェニルオキシ基等が挙げられる。アリールオキシ基の中では、C1〜C12アルコキシフェノキシ基及びC1〜C12アルキルフェノキシ基が好ましい。
前記アリールオキシ基のうち、C1〜C12アルコキシフェノキシ基としては、メトキシフェノキシ基、エトキシフェノキシ基、プロピルオキシフェノキシ基、イソプロピルオキシフェノキシ基、ブトキシフェノキシ基、イソブトキシフェノキシ基、s−ブトキシフェノキシ基、t−ブトキシフェノキシ基、ペンチルオキシフェノキシ基、ヘキシルオキシフェノキシ基、シクロヘキシルオキシフェノキシ基、ヘプチルオキシフェノキシ基、オクチルオキシフェノキシ基、2−エチルヘキシルオキシフェノキシ基、ノニルオキシフェノキシ基、デシルオキシフェノキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシフェノキシ基、ラウリルオキシフェノキシ基等が挙げられる。
前記アリールオキシ基のうち、C1〜C12アルキルフェノキシ基としては、メチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、プロピルフェノキシ基、1,3,5−トリメチルフェノキシ基、メチルエチルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、ブチルフェノキシ基、イソブチルフェノキシ基、s−ブチルフェノキシ基、t−ブチルフェノキシ基、ペンチルフェノキシ基、イソアミルフェノキシ基、ヘキシルフェノキシ基、ヘプチルフェノキシ基、オクチルフェノキシ基、ノニルフェノキシ基、デシルフェノキシ基、ドデシルフェノキシ基等が挙げられる。
アリールチオ基は、例えば、前述のアリール基に硫黄元素が結合した基である。アリールチオ基は、前記アリール基の芳香環上に置換基を有していてもよい。アリールチオ基は、炭素原子数が通常6〜60であり、6〜30であることが好ましい。アリールチオ基としては、フェニルチオ基、C1〜C12アルコキシフェニルチオ基、C1〜C12アルキルフェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、ペンタフルオロフェニルチオ基等が挙げられる。
アリールアルキル基は、例えば、前述のアリール基に前述のアルキル基が結合した基である。アリールアルキル基は、置換基を有していてもよい。アリールアルキル基は、炭素原子数が通常7〜60であり、7〜30であることが好ましい。アリールアルキル基としては、フェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基、1−ナフチル−C1〜C12アルキル基、2−ナフチル−C1〜C12アルキル基等が挙げられる。
アリールアルコキシ基は、例えば、前述のアリール基に前述のアルコキシ基が結合した基である。アリールアルコキシ基は、置換基を有していてもよい。アリールアルコキシ基は、炭素原子数が通常7〜60であり、7〜30であることが好ましい。アリールアルコキシ基としては、フェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルコキシ基、1−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基、2−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基等が挙げられる。
アリールアルキルチオ基は、例えば、前述のアリール基に前述のアルキルチオ基が結合した基である。アリールアルキルチオ基は、置換基を有していてもよい。アリールアルキルチオ基は、炭素原子数が通常7〜60であり、7〜30であることが好ましい。アリールアルキルチオ基としては、フェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基等が挙げられる。
アリールアルケニル基は、例えば、前述のアリール基にアルケニル基が結合した基である。アリールアルケニル基は、炭素原子数が通常8〜60であり、8〜30であることが好ましい。アリールアルケニル基としては、フェニル−C2〜C12アルケニル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルケニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルケニル基、1−ナフチル−C2〜C12アルケニル基、2−ナフチル−C2〜C12アルケニル基等が挙げられ、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルケニル基、C2〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルケニル基が好ましい。なお、C2〜C12アルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、1−オクテニル基が挙げられる。
アリールアルキニル基は、例えば、前述のアリール基にアルキニル基が結合した基である。アリールアルキニル基は、炭素原子数が通常8〜60であり、8〜30であることが好ましい。アリールアルキニル基としては、フェニル−C2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルキニル基、1−ナフチル−C2〜C12アルキニル基、2−ナフチル−C2〜C12アルキニル基等が挙げられ、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルキニル基が好ましい。なお、C2〜C12アルキニル基としては、例えば、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、2−ヘキシニル基、1−オクチニル基が挙げられる。
置換アミノ基としては、アミノ基の中の少なくとも1個の水素原子が、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基及び1価の複素環基からなる群から選択される1又は2個の基によって置換されたアミノ基が好ましい。該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基は置換基を有していてもよい。置換アミノ基の炭素原子数は、該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基が有していてもよい置換基の炭素原子数を含めないで通常1〜60であり、2〜48が好ましい。置換アミノ基としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、s−ブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基、ラウリルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジトリフルオロメチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、(C1〜C12アルコキシフェニル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル)アミノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、ペンタフルオロフェニルアミノ基、ピリジルアミノ基、ピリダジニルアミノ基、ピリミジルアミノ基、ピラジニルアミノ基、トリアジニルアミノ基、(フェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、(C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、(C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基等が挙げられる。
置換シリル基としては、シリル基の中の少なくとも1個の水素原子が、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基及び1価の複素環基からなる群から選択される1〜3個の基によって置換されたシリル基が挙げられる。該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基は置換基を有していてもよい。置換シリル基の炭素原子数は、該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基が有していてもよい置換基の炭素原子数を含めないで通常1〜60であり、3〜48が好ましい。なお、置換シリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、イソプロピルジメチルシリル基、イソプロピルジエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ペンチルジメチルシリル基、ヘキシルジメチルシリル基、ヘプチルジメチルシリル基、オクチルジメチルシリル基、2−エチルヘキシルジメチルシリル基、ノニルジメチルシリル基、デシルジメチルシリル基、3,7−ジメチルオクチルジメチルシリル基、ラウリルジメチルシリル基、(フェニル−C1〜C12アルキル)シリル基、(C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル)シリル基、(C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル)シリル基、(1−ナフチル−C1〜C12アルキル)シリル基、(2−ナフチル−C1〜C12アルキル)シリル基、(フェニル−C1〜C12アルキル)ジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリ(p−キシリル)シリル基、トリベンジルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
アシル基は、炭素原子数が通常2〜20であり、2〜18であることが好ましい。アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トリフルオロアセチル基、ペンタフルオロベンゾイル基等が挙げられる。
アシルオキシ基は、炭素原子数が通常2〜20であり、2〜18であることが好ましい。アシルオキシ基としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基、ペンタフルオロベンゾイルオキシ基等が挙げられる。
イミン残基は、式:H−N=C<及び式:−N=CH−の少なくとも一方で表される構造を有するイミン化合物から、この構造中の水素原子1個を除いた残基を意味する。このようなイミン化合物としては、例えば、アルジミン、ケチミン及びアルジミン中の窒素原子に結合した水素原子がアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基等で置換された化合物が挙げられる。イミン残基の炭素原子数は、通常2〜20であり、2〜18が好ましい。イミン残基としては、例えば、一般式:−CRβ=N−Rγ又は一般式:−N=C(Rγ(式中、Rβは水素原子、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、又はアリールアルキニル基を表し、Rγは独立に、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、又はアリールアルキニル基を表し、ただし、Rγが2個存在する場合、2個のRγは相互に結合し一体となって2価の基、例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等の炭素原子数2〜18のアルキレン基として環を形成してもよい。)で表される基が挙げられる。イミン残基としては、以下の基が挙げられる。
Figure 2012043782
(式中、Meはメチル基を示し、以下、同様である。)
アミド基は、炭素原子数が通常1〜20であり、2〜18であることが好ましい。アミド基としては、ホルムアミド基、アセトアミド基、プロピオアミド基、ブチロアミド基、ベンズアミド基、トリフルオロアセトアミド基、ペンタフルオロベンズアミド基、ジホルムアミド基、ジアセトアミド基、ジプロピオアミド基、ジブチロアミド基、ジベンズアミド基、ジトリフルオロアセトアミド基、ジペンタフルオロベンズアミド基等が挙げられる。
酸イミド基は、酸イミドからその窒素原子に結合した水素原子を除いて得られる残基であり、炭素原子数が通常4〜20であり、4〜18であることが好ましい。酸イミド基としては、以下の基が挙げられる。
Figure 2012043782
1価の複素環基とは、複素環式化合物から水素原子1個を除いた残りの原子団をいう。ここで、複素環式化合物とは、環式構造をもつ有機化合物のうち、環を構成する元素として、炭素原子だけでなく、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、ホウ素原子、ケイ素原子、セレン原子、テルル原子、ヒ素原子等のヘテロ原子を含む有機化合物をいう。1価の複素環基は置換基を有していてもよい。1価の複素環基は、炭素原子数が通常3〜60であり、3〜20が好ましい。なお、1価の複素環基の炭素原子数には、置換基の炭素原子数は含まないものとする。このような1価の複素環基としては、例えば、チエニル基、C1〜C12アルキルチエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、C1〜C12アルキルピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジル基、ピラジニル基、トリアジニル基、ピロリジル基、ピペリジル基、キノリル基、イソキノリル基が挙げられ、中でも、チエニル基、C1〜C12アルキルチエニル基、ピリジル基及びC1〜C12アルキルピリジル基が好ましい。なお、1価の複素環基としては、1価の芳香族複素環基が好ましい。
置換カルボキシル基とは、カルボキシル基中の水素原子が、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基で置換された基、すなわち、式:−C(=O)OR*(式中、Rはアルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基)で表される基である。置換オキシカルボニル基は、炭素原子数が通常2〜60であり、2〜48であることが好ましい。前記アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基は、置換基を有していてもよい。なお、上記炭素原子数には、前記アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基が有していてもよい置換基の炭素原子数は含まないものとする。置換カルボキシル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、s−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシロキシカルボニル基、シクロヘキシロキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシロキシカルボニル基、ノニルオキシカルボニル基、デシロキシカルボニル基、3,7−ジメチルオクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、トリフルオロメトキシカルボニル基、ペンタフルオロエトキシカルボニル基、パーフルオロブトキシカルボニル基、パーフルオロヘキシルオキシカルボニル基、パーフルオロオクチルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、ナフトキシカルボニル基、ピリジルオキシカルボニル基等が挙げられる。
式(1)中、Y1は、−CO2 -、−SO3 -、−SO2 -、−PO3 -、又は−B(R 等の1価の基を表し、Y1としては、イオン性ポリマーの酸性度の観点からは−CO2 -、−SO2 -、−PO3 -が好ましく、−CO2 -がより好ましく、イオン性ポリマーの安定性の観点からは、−CO2 -、−SO3 -、−SO2 -又は−PO3 -が好ましい。
式(1)中、M1は金属カチオン又は置換基を有し若しくは有さないアンモニウムカチオンを表す。金属カチオンとしては、1価、2価又は3価のイオンが好ましく、Li、Na、K、Cs、Be、Mg、Ca、Ba、Ag、Al、Bi、Cu、Fe、Ga、Mn、Pb、Sn、Ti、V、W、Y、Yb、Zn、Zr等のイオンが挙げられ、Li+、Na+、K+、Cs+、Ag+、Mg2+、Ca2+が好ましい。また、アンモニウムイオンが有していてもよい置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基等の炭素原子数1〜10のアルキル基が挙げられる。
式(1)中、Z1はF-、Cl-、Br-、I-、OH-、RaSO3 -、RaCOO-、ClO-、ClO2 -、ClO3 -、ClO4 -、SCN-、CN-、NO3 -、SO4 2-、HSO4 -、PO4 3-、HPO4 2-、H2PO4 -、BF4 -又はPF6 -を表す。
式(1)中、n1は0以上の整数を表し、原料モノマーの合成の観点から、好ましくは0から8の整数であり、より好ましくは0から2の整数である。
式(1)中、a1は1以上の整数を表し、b1は0以上の整数を表す。
a1及びb1は、式(1)で表される基の電荷が0となるように選択される。例えば、Yが−CO2 -、−SO3 -、−SO2 -、−PO3 -、又は−B(R であり、Mが1価の金属カチオン又は置換基を有し若しくは有さないアンモニウムカチオンであり、ZがF-、Cl-、Br-、I-、OH-、RaSO3 -、RaCOO-、ClO-、ClO2 -、ClO3 -、ClO4 -、SCN-、CN-、NO3 -、HSO4 -、H2PO4 -、BF4 -又はPF6 -である場合は、a1=b1+1を満たすように選択される。Y1が−CO2 -、−SO3 -、−SO2 -、−PO3 -、又は−B(R であり、M1が2価の金属カチオンであり、Z1がF-、Cl-、Br-、I-、OH-、RaSO3 -、RaCOO-、ClO-、ClO2 -、ClO3 -、ClO4 -、SCN-、CN-、NO3 -、HSO4 -、H2PO4 -、BF4 -又はPF6 -である場合は、b1=2×a1−1を満たすように選択される。Y1が−CO2 -、−SO3 -、−SO2 -、−PO3 -、又は−B(R であり、M1が3価の金属カチオンであり、Z1がF-、Cl-、Br-、I-、OH-、RaSO3 -、RaCOO-、ClO-、ClO2 -、ClO3 -、ClO4 -、SCN-、CN-、NO3 -、HSO4 -、H2PO4 -、BF4 -又はPF6 -である場合は、b1=3×a1−1を満たすように選択される。Y1が−CO2 -、−SO3 -、−SO2 -、−PO3 -、又は−B(R であり、M1が1価の金属カチオン又は置換基を有し若しくは有さないアンモニウムカチオンであり、Z1がSO4 2−又はHPO4 2−である場合には、a1=2×b1+1を満たすように選択される。a1とb1との関係を表す上記のいずれの数式においても、a1は好ましくは1から5の整数であり、より好ましくは1又は2である。
aは置換基を有し若しくは有さない炭素原子数1〜30のアルキル基又は置換基を有し若しくは有さない炭素原子数6〜50のアリール基を表すが、これらの基が有していてもよい置換基としては、前述のQに関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。Raとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基等の炭素原子数1〜20のアルキル基、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基等の炭素原子数6〜30のアリール基等が挙げられる。
前記式(1)で表される基としては、例えば、以下の基が挙げられる。
Figure 2012043782
−式(2)で表される基−
式(2)中、Q2で表される2価の有機基としては、前述のQで表される2価の有機基について例示したものと同様の基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、2価の飽和炭化水素基、アリーレン基、アルキレンオキシ基が好ましい。
前記Q2で表される2価の有機基の例として挙げた基は置換基を有していてもよく、当該置換基としては、前述のQに関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
式(2)中、Y2はカルボカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニルカチオン、スルホニルカチオン、又はヨードニウムカチオンを表す。
カルボカチオンとしては、例えば、
−C
(式中、Rは、同一又は相異なり、アルキル基又はアリール基を表す。)で表される基が挙げられる。
アンモニウムカチオンとしては、例えば、
−N
(式中、Rは、同一又は相異なり、アルキル基又はアリール基を表す。)で表される基が挙げられる。
ホスホニルカチオンとしては、例えば、
−P
(式中、Rは、同一又は相異なり、アルキル基又はアリール基を表す。)で表される基が挙げられる。
スルホニルカチオンとしては、例えば、
−S
(式中、Rは、同一又は相異なり、アルキル基又はアリール基を表す。)で表される基が挙げられる。
ヨードニウムカチオンとしては、例えば、
−I
(式中、Rは、同一又は相異なり、アルキル基又はアリール基を表す。)で表される基が挙げられる。
式(2)中、Y2は、原料モノマーの合成の容易さ並びに原料モノマー及びイオン性ポリマーの空気、湿気又は熱に対する安定性の観点からは、カルボカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニルカチオン、スルホニルカチオンが好ましく、アンモニウムカチオンがより好ましい。
式(2)中、Z2は金属カチオン又は置換基を有し若しくは有さないアンモニウムカチオンを表す。金属カチオンとしては、1価、2価又は3価のイオンが好ましく、Li、Na、K、Cs、Be、Mg、Ca、Ba、Ag、Al、Bi、Cu、Fe、Ga、Mn、Pb、Sn、Ti、V、W、Y、Yb、Zn、Zr等のイオンが挙げられる。また、アンモニウムカチオンが有していてもよい置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等の炭素原子数1〜10のアルキル基が挙げられる。
式(2)中、M2はF-、Cl-、Br-、I-、OH-、RbSO3 -、RbCOO-、ClO-、ClO2 -、ClO3 -、ClO4 -、SCN-、CN-、NO3 -、SO4 2-、HSO4 -、PO4 3-、HPO4 2-、H2PO4 -、BF4 -又はPF6 -を表す。
式(2)中、n2は0以上の整数を表し、好ましくは0から6の整数であり、より好ましくは0から2の整数である。
式(2)中、a2は1以上の整数を表し、b2は、0以上の整数を表す。
a2及びb2は、式(2)で表される基の電荷が0となるように選択される。例えば、M2がF-、Cl-、Br-、I-、OH-、RbSO3 -、RbCOO-、ClO-、ClO2 -、ClO3 -、ClO4 -、SCN-、CN-、NO3 -、HSO4 -、H2PO4 -、BF4 -又はPF6 -である場合、Z2が1価の金属イオン又は置換基を有し若しくは有さないアンモニウムイオンであれば、a2=b2+1を満たすように選択され、Z2が2価の金属イオンであれば、a2=2×b2+1を満たすように選択され、Z2が3価の金属イオンであれば、a2=3×b2+1を満たすように選択される。M2がSO4 2-、HPO4 2-である場合、Z2が1価の金属イオン又は置換基を有し若しくは有さないアンモニウムイオンであれば、b2=2×a2−1を満たすように選択され、Z2が3価の金属イオンであれば、2×a2=3×b2+1の関係を満たすように選択される。a2とb2との関係を表す上記のいずれの数式においても、a2は好ましくは1から3の整数であり、より好ましくは1又は2である。
bは置換基を有し若しくは有さない炭素原子数1〜30のアルキル基又は置換基を有し若しくは有さない炭素原子数6〜50のアリール基を表すが、これらの基が有していてもよい置換基としては、前述のQ1に関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。Rbとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基等の炭素原子数1〜20のアルキル基、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基等の炭素原子数6〜30のアリール基等が挙げられる。
前記式(2)で表される基としては、例えば、以下の基が挙げられる。
Figure 2012043782
Figure 2012043782
−式(3)で表される基−
式(3)中、Qで表される2価の有機基としては、前述のQで表される2価の有機基について例示したものと同様の基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、2価の飽和炭化水素基、アリーレン基、アルキレンオキシ基が好ましい。
前記Qで表される2価の有機基の例として挙げた基は置換基を有していてもよく、当該置換基としては、前述のQに関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
前記Qで表される2価の有機基としては、−(CH)−で表される基であることが好ましい。
n3は0以上の整数を表し、好ましくは0から20の整数であり、より好ましくは0から8の整数である。
式(3)中、Y3は−CN又は式(4)〜(12)のいずれかで表される基を表す。
式(4)〜(12)中、R’で表される2価の炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,2−ブチレン基、1,3−ブチレン基、1,4−ブチレン基、1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基、1,9−ノニレン基、1,12−ドデシレン基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50の2価の飽和炭化水素基;エテニレン基、プロペニレン基、3−ブテニレン基、2−ブテニレン基、2−ペンテニレン基、2−ヘキセニレン基、2−ノネニレン基、2−ドデセニレン基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数2〜50のアルケニレン基、及び、エチニレン基を含む、置換基を有し又は有さない炭素原子数2〜50の2価の不飽和炭化水素基;シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、シクロノニレン基、シクロドデシレン基、ノルボニレン基、アダマンチレン基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数3〜50の2価の環状飽和炭化水素基;1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、ビフェニル−4,4’−ジイル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜50のアリーレン基;メチレンオキシ基、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、ブチレンオキシ基、ペンチレンオキシ基、ヘキシレンオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルキレンオキシ基等が挙げられる。
前記置換基としては、前述のQに関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
式(4)〜(12)中、R’’で表される1価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基等が挙げられる。イオン性ポリマーの溶解性の観点からは、メチル基、エチル基、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基が好ましい。前記置換基としては、前述のQ1に関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
式(5)中、R’’’で表される3価の炭化水素基としては、メタントリイル基、エタントリイル基、1,2,3−プロパントリイル基、1,2,4−ブタントリイル基、1,2,5−ペンタントリイル基、1,3,5−ペンタントリイル基、1,2,6−ヘキサントリイル基、1,3,6−ヘキサントリイル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキルトリイル基;1,2,3−ベンゼントリイル基、1,2,4−ベンゼントリイル基、1,3,5−ベンゼントリイル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基等が挙げられる。イオン性ポリマーの溶解性の観点からは、メタントリイル基、エタントリイル基、1,2,4−ベンゼントリイル基、1,3,5−ベンゼントリイル基が好ましい。前記置換基としては、前述のQ1に関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
式(4)〜(12)中、Rcとしては、イオン性ポリマーの溶解性の観点からは、メチル基、エチル基、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基が好ましい。
式(4)及び式(5)中、a3は1以上の整数を表し、3〜10の整数が好ましい。式(6)〜(12)中、a4は0以上の整数を表す。式(6)においては、a4は、0〜30の整数が好ましく、3〜20の整数がより好ましい。式(7)〜(10)においては、a4は、0〜10の整数が好ましく、0〜5の整数がより好ましい。式(11)においては、a4は、0〜20の整数が好ましく、3〜20の整数がより好ましい。式(12)においては、a4は、0〜20の整数が好ましく、0〜10の整数がより好ましい。
3としては、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、−CN、式(4)で表される基、式(6)で表される基、式(10)で表される基、式(11)で表される基が好ましく、式(4)で表される基、式(6)で表される基、式(11)で表される基がより好ましく、以下の基が特に好ましい。
Figure 2012043782
−イオン性ポリマー中の構造単位−
本発明に用いられるイオン性ポリマーは、前記式(13)で表される構造単位、前記式(15)で表される構造単位、前記式(17)で表される構造単位、前記式(20)で表される構造単位を有することが好ましく、前記構造単位を全構造単位中、15〜100モル%有するイオン性ポリマーであることがより好ましい。
・式(13)で表される構造単位
式(13)中、R1は式(14)で表される基を含む1価の基であり、Ar1はR1以外の置換基を有し又は有さない(2+n4)価の芳香族基を表し、n4は1以上の整数を表す。
式(14)で表される基は、Arに直接結合していてもよく、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ノニレン基、ドデシレン基、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、シクロノニレン基、シクロドデシレン基、ノルボニレン基、アダマンチレン基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルキレン基;オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシペンチレン基、オキシヘキシレン基、オキシノニレン基、オキシドデシレン基、シクロプロピレンオキシ基、シクロブチレンオキシ基、シクロペンチレンオキシ基、シクロへキシレンオキシ基、シクロノニレンオキシ基、シクロドデシレンオキシ基、ノルボニレンオキシ基、アダマンチレンオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のオキシアルキレン基;置換基を有し又は有さないイミノ基;置換基を有し又は有さないシリレン基;置換基を有し又は有さないエテニレン基;エチニレン基;置換基を有し又は有さないメタントリイル基;酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を介してArに結合していてもよい。
前記ArはR1以外の置換基を有していてもよい。当該置換基としては、前述のQに関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。前記置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
前記Ar1が有するR1以外の置換基としては、原料モノマーの合成の容易さの観点から、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、カルボキシル基又は置換カルボキシル基であることが好ましい。
式(13)中、n4は1以上の整数を表し、好ましくは1から4の整数であり、より好ましくは1から3の整数である。
式(13)中のAr1で表される(2+n4)価の芳香族基としては、(2+n4)価の芳香族炭化水素基、(2+n4)価の芳香族複素環基が挙げられ、炭素原子のみ、又は、炭素原子と、水素原子、窒素原子及び酸素原子からなる群から選ばれる1つ以上の原子とからなる(2+n4)価の芳香族基が好ましい。該(2+n4)価の芳香族基としては、ベンゼン環、ピリジン環、1,2−ジアジン環、1,3−ジアジン環、1,4−ジアジン環、1,3,5−トリアジン環、フラン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環、アザジアゾール環等の単環式芳香環から水素原子を(2+n4)個除いた(2+n4)価の基;該単環式芳香環からなる群から選ばれる二つ以上の環が縮合した縮合多環式芳香環から水素原子を(2+n4)個除いた(2+n4)価の基;該単環式芳香環及び該縮合多環式芳香環からなる群より選ばれる二つ以上の芳香環を、単結合、エテニレン基又はエチニレン基で連結してなる芳香環集合から水素原子を(2+n4)個除いた(2+n4)価の基;該縮合多環式芳香環又は該芳香環集合の隣り合う2つの芳香環をメチレン基、エチレン基、カルボニル基等の2価の基で橋かけした架橋を有する有橋多環式芳香環から水素原子を(2+n4)個除いた(2+n4)価の基等が挙げられる。
単環式芳香環としては、例えば、以下の環が挙げられる。
Figure 2012043782
縮合多環式芳香環としては、例えば、以下の環が挙げられる。
Figure 2012043782
芳香環集合としては、例えば、以下の環が挙げられる。
Figure 2012043782
有橋多環式芳香環としては、例えば、以下の環が挙げられる。
Figure 2012043782
前記(2+n4)価の芳香族基としては、原料モノマーの合成の容易さの観点から、式1〜14、26〜29、37〜39又は41で表される環から水素原子を(2+n4)個除いた基が好ましく、式1〜6、8、13、26、27、37又は41で表される環から水素原子を(2+n4)個除いた基がより好ましく、式1、37又は41で表される環から水素原子を(2+n4)個除いた基がさらに好ましい。
式(14)中、R2で表される(1+m1+m2)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から(m1+m2)個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から(m1+m2)個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から(m1+m2)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から(m1+m2)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から(m1+m2)個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から(m1+m2)個の水素原子を除いた基、アリール基から(m1+m2)個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から(m1+m2)個の水素原子を除いた基が好ましい。
前記置換基としては、前述のQに関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。前記置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
・式(15)で表される構造単位
式(15)中、R3は式(16)で表される基を含む1価の基であり、Ar2はR3以外の置換基を有し又は有さない(2+n5)価の芳香族基を表し、n5は1以上の整数を表す。
式(16)で表される基は、Ar2に直接結合していてもよく、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ノニレン基、ドデシレン基、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、シクロノニレン基、シクロドデシレン基、ノルボニレン基、アダマンチレン基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルキレン基;オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシペンチレン基、オキシヘキシレン基、オキシノ
ニレン基、オキシドデシレン基、シクロプロピレンオキシ基、シクロブチレンオキシ基、
シクロペンチレンオキシ基、シクロへキシレンオキシ基、シクロノニレンオキシ基、シクロドデシレンオキシ基、ノルボニレンオキシ基、アダマンチレンオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のオキシアルキレン基;置換基を有し又は有さないイミノ基;置換基を有し又は有さないシリレン基;置換基を有し又は有さないエテニレン基;エチニレン基;置換基を有し又は有さないメタントリイル基;酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を介してAr2に結合していてもよい。
前記Ar2はR3以外の置換基を有していてもよい。当該置換基としては、前述のQに関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。前記置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
前記Ar2が有するR3以外の置換基としては、原料モノマーの合成の容易さの観点から、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、カルボキシル基又は置換カルボキシル基であることが好ましい。
式(15)中、n5は1以上の整数を表し、好ましくは1から4の整数であり、より好ましくは1から3の整数である。
式(15)中のAr2で表される(2+n5)価の芳香族基としては、(2+n5)価の芳香族炭化水素基、(2+n5)価の芳香族複素環基が挙げられ、炭素原子のみ、又は、炭素原子と、水素原子、窒素原子及び酸素原子からなる群から選ばれる1つ以上の原子とからなる(2+n5)価の芳香族基が好ましい。該(2+n5)価の芳香族基としては、ベンゼン環、ピリジン環、1,2−ジアジン環、1,3−ジアジン環、1,4−ジアジン環、1,3,5−トリアジン環、フラン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環、アザジアゾール環等の単環式芳香環から水素原子を(2+n5)個除いた(2+n5)価の基;該単環式芳香環からなる群から選ばれる二つ以上の環が縮合した縮合多環式芳香環から水素原子を(2+n5)個除いた(2+n5)価の基;該単環式芳香環及び該縮合多環式芳香環からなる群より選ばれる二つ以上の芳香環を、単結合、エテニレン基又はエチニレン基で連結してなる芳香環集合から水素原子を(2+n5)個除いた(2+n5)価の基;該縮合多環式芳香環又は該芳香環集合の隣り合う2つの芳香環をメチレン基、エチレン基、カルボニル基等の2価の基で橋かけした架橋を有する有橋多環式芳香環から水素原子を(2+n5)個除いた(2+n5)価の基等が挙げられる。
単環式芳香環としては、例えば、式(13)で表される構造単位に関する説明中で例示した式1〜12で表される環が挙げられる。
縮合多環式芳香環としては、例えば、式(13)で表される構造単位に関する説明中で例示した式13〜27で表される環が挙げられる。
芳香環集合としては、例えば、式(13)で表される構造単位に関する説明中で例示した式28〜36で表される環が挙げられる。
有橋多環式芳香環としては、例えば、式(13)で表される構造単位に関する説明中で例示した式37〜44で表される環が挙げられる。
前記(2+n5)価の芳香族基としては、原料モノマーの合成の容易さの観点から、式1〜14、26〜29、37〜39又は41で表される環から水素原子を(2+n5)個除いた基が好ましく、式1〜6、8、13、26、27、37又は41で表される環から水素原子を(2+n5)個除いた基がより好ましく、式1、37又は41で表される環から水素原子を(2+n5)個除いた基がさらに好ましい。
式(16)中、m3及びm4はそれぞれ独立に1以上の整数を表す。
式(16)中、R4で表される(1+m3+m4)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から(m3+m4)個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から(m3+m4)個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から(m3+m4)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から(m3+m4)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から(m3+m4)個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から(m3+m4)個の水素原子を除いた基、アリール基から(m3+m4)個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から(m3+m4)個の水素原子を除いた基が好ましい。
前記置換基としては、前述のQに関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。前記置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
・式(17)で表される構造単位
式(17)中、R5は式(18)で表される基を含む1価の基であり、R6は式(19)で表される基を含む1価の基であり、Ar3はR5及びR6以外の置換基を有し又は有さない(2+n6+n7)価の芳香族基を表し、n6及びn7はそれぞれ独立に1以上の整数を表す。
式(18)で表される基及び式(19)で表される基は、Ar3に直接結合していてもよく、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ノニレン基、ドデシレン基、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、シクロノニレン基、シクロドデシレン基、ノルボニレン基、アダマンチレン基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルキレン基;オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシペンチレン基、オキシヘキシレン基、オキシノニレン基、オキシドデシレン基、シクロプロピレンオキシ基、シクロブチレンオキシ基、シクロペンチレンオキシ基、シクロへキシレンオキシ基、シクロノニレンオキシ基、シクロドデシレンオキシ基、ノルボニレンオキシ基、アダマンチレンオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のオキシアルキレン基;置換基を有し又は有さないイミノ基;置換基を有し又は有さないシリレン基;置換基を有し又は有さないエテニレン基;エチニレン基;置換基を有し又は有さないメタントリイル基;酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を介してAr3に結合していてもよい。
前記Ar3はR5及びR6以外の置換基を有していてもよい。当該置換基としては、前述のQに関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。前記置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
前記Ar3が有するR5及びR6以外の置換基としては、原料モノマーの合成の容易さの観点から、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、カルボキシル基又は置換カルボキシル基であることが好ましい。
式(17)中、n6は1以上の整数を表し、好ましくは1から4の整数であり、より好ましくは1から3の整数である。
式(17)中、n7は1以上の整数を表し、好ましくは1から4の整数であり、より好ましくは1から3の整数である。
式(17)中のAr3で表される(2+n6+n7)価の芳香族基としては、(2+n6+n7)価の芳香族炭化水素基、(2+n6+n7)価の芳香族複素環基が挙げられ、炭素原子のみ、又は、炭素原子と、水素原子、窒素原子及び酸素原子からなる群から選ばれる1つ以上の原子とからなる(2+n6+n7)価の芳香族基が好ましい。該(2+n6+n7)価の芳香族基としては、ベンゼン環、ピリジン環、1,2−ジアジン環、1,3−ジアジン環、1,4−ジアジン環、フラン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環等の単環式芳香環から水素原子を(2+n6+n7)個除いた(2+n6+n7)価の基;該単環式芳香環からなる群から選ばれる二つ以上の環が縮合した縮合多環式芳香環から水素原子を(2+n6+n7)個除いた(2+n6+n7)価の基;該単環式芳香環及び該縮合多環式芳香環からなる群より選ばれる二つ以上の芳香環を、単結合、エテニレン基又はエチニレン基で連結してなる芳香環集合から水素原子を(2+n6+n7)個除いた(2+n6+n7)価の基;該縮合多環式芳香環又は該芳香環集合の隣り合う2つの芳香環をメチレン基、エチレン基、カルボニル基等の2価の基で橋かけした架橋を有する有橋多環式芳香環から水素原子を(2+n6+n7)個除いた(2+n6+n7)価の基等が挙げられる。
単環式芳香環としては、例えば、式(13)で表される構造単位に関する説明中で例示した式1〜5、式7〜10で表される環が挙げられる。
縮合多環式芳香環としては、例えば、式(13)で表される構造単位に関する説明中で例示した式13〜27で表される環が挙げられる。
芳香環集合としては、例えば、式(13)で表される構造単位に関する説明中で例示した式28〜36で表される環が挙げられる。
有橋多環式芳香環としては、例えば、式(13)で表される構造単位に関する説明中で例示した式37〜44で表される環が挙げられる。
前記(2+n6+n7)価の芳香族基としては、原料モノマーの合成の容易さの観点から、式1〜5、7〜10、13、14、26〜29、37〜39又は41で表される環から水素原子を(2+n6+n7)個除いた基が好ましく、式1、37又は41で表される環から水素原子を(2+n6+n7)個除いた基がより好ましく、式1、38又は42で表される環から水素原子を(2+n6+n7)個除いた基がさらに好ましい。
式(18)中、Rは単結合又は(1+m5)価の有機基を表し、(1+m5)価の有機基であることが好ましい。
式(18)中、R7で表される(1+m5)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基からm5個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基からm5個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基からm5個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基からm5個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基からm5個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基からm5個の水素原子を除いた基、アリール基からm5個の水素原子を除いた基、アルコキシ基からm5個の水素原子を除いた基が好ましい。
前記置換基としては、前述のQに関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。前記置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
式(18)中、m5は1以上の整数を表し、ただし、R7が単結合のときm5は1を表す。
式(19)中、Rは単結合又は(1+m6)価の有機基を表し、(1+m6)価の有機基であることが好ましい。
式(19)中、R8で表される(1+m6)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基からm6個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基からm6個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基からm6個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基からm6個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基からm6個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基からm6個の水素原子を除いた基、アリール基からm6個の水素原子を除いた基、アルコキシ基からm6個の水素原子を除いた基が好ましい。
前記置換基としては、前述のQに関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。前記置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
式(19)中、m6は1以上の整数を表し、ただし、R8が単結合のときm6は1を表す。
・式(20)で表される構造単位
式(20)中、R9は式(21)で表される基を含む1価の基であり、R10は式(22)で表される基を含む1価の基であり、Ar4はR9及びR10以外の置換基を有し又は有さない(2+n8+n9)価の芳香族基を表し、n8及びn9はそれぞれ独立に1以上の整数を表す。
式(21)で表される基及び式(22)で表される基は、Ar4に直接結合していてもよく、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ノニレン基、ドデシレン基、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、シクロノニレン基、シクロドデシレン基、ノルボニレン基、アダマンチレン基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルキレン基;オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシペンチレン基、オキシヘキシレン基、オキシノニレン基、オキシドデシレン基、シクロプロピレンオキシ基、シクロブチレンオキシ基、シクロペンチレンオキシ基、シクロへキシレンオキシ基、シクロノニレンオキシ基、シクロドデシレンオキシ基、ノルボニレンオキシ基、アダマンチレンオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のオキシアルキレン基;置換基を有し又は有さないイミノ基;置換基を有し又は有さないシリレン基;置換基を有し又は有さないエテニレン基;エチニレン基;置換基を有し又は有さないメタントリイル基;酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を介してAr4に結合していてもよい。
前記Ar4はR9及びR10以外の置換基を有していてもよい。当該置換基としては、前述のQに関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。前記置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
前記Ar4が有するR9及びR10以外の置換基としては、原料モノマーの合成の容易さの観点から、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、カルボキシル基又は置換カルボキシル基であることが好ましい。
式(20)中、n8は1以上の整数を表し、好ましくは1から4の整数であり、より好ましくは1から3の整数である。
式(20)中、n9は1以上の整数を表し、好ましくは1から4の整数であり、より好ましくは1から3の整数である。
式(20)中のAr4で表される(2+n8+n9)価の芳香族基としては、(2+n8+n9)価の芳香族炭化水素基、(2+n8+n9)価の芳香族複素環基が挙げられ、炭素原子のみ、又は、炭素原子と、水素原子、窒素原子及び酸素原子からなる群から選ばれる1つ以上の原子とからなる(2+n8+n9)価の芳香族基が好ましい。該(2+n8+n9)価の芳香族基としては、ベンゼン環、ピリジン環、1,2−ジアジン環、1,3−ジアジン環、1,4−ジアジン環、フラン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環等の単環式芳香環から水素原子を(2+n8+n9)個除いた(2+n8+n9)価の基;該単環式芳香環からなる群から選ばれる二つ以上の環が縮合した縮合多環式芳香環から水素原子を(2+n8+n9)個除いた(2+n8+n9)価の基;該単環式芳香環及び該縮合多環式芳香環からなる群より選ばれる二つ以上の芳香環を、単結合、エテニレン基又はエチニレン基で連結してなる芳香環集合から水素原子を(2+n8+n9)個除いた(2+n8+n9)価の基;該縮合多環式芳香環又は該芳香環集合の隣り合う2つの芳香環をメチレン基、エチレン基、カルボニル基等の2価の基で橋かけした架橋を有する有橋多環式芳香環から水素原子を(2+n8+n9)個除いた(2+n8+n9)価の基等が挙げられる。
単環式芳香環としては、例えば、式(13)で表される構造単位に関する説明中で例示した式1〜5、式7〜10で表される環が挙げられる。
縮合多環式芳香環としては、例えば、式(13)で表される構造単位に関する説明中で例示した式13〜27で表される環が挙げられる。
芳香環集合としては、例えば、式(13)で表される構造単位に関する説明中で例示した式28〜36で表される環が挙げられる。
有橋多環式芳香環としては、例えば、式(13)で表される構造単位に関する説明中で例示した式37〜44で表される環が挙げられる。
前記(2+n8+n9)価の芳香族基としては、原料モノマーの合成の容易さの観点から、式1〜5、7〜10、13、14、26〜29、37〜39又は41で表される環から水素原子を(2+n8+n9)個除いた基が好ましく、式1〜6、8、14、27、28、38又は42で表される環から水素原子を(2+n8+n9)個除いた基がより好ましく、式1、37又は41で表される環から水素原子を(2+n8+n9)個除いた基がさらに好ましい。
式(21)中、R11は単結合又は(1+m7)価の有機基を表し、(1+m7)価の有機基であることが好ましい。
式(21)中、R11で表される(1+m7)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基からm7個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基からm7個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基からm7個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基からm7個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基からm7個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基からm7個の水素原子を除いた基、アリール基からm7個の水素原子を除いた基、アルコキシ基からm7個の水素原子を除いた基が好ましい。
前記置換基としては、前述のQに関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。前記置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
式(21)中、m7は1以上の整数を表し、ただし、R11が単結合のときm7は1を表す。
式(22)中、R12は単結合又は(1+m8)価の有機基を表し、(1+m8)価の有機基であることが好ましい。
式(22)中、R12で表される(1+m8)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基からm8個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基からm8個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基からm8個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基からm8個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基からm8個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基からm8個の水素原子を除いた基、アリール基からm8個の水素原子を除いた基、アルコキシ基からm8個の水素原子を除いた基が好ましい。
前記置換基としては、前述のQに関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。前記置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
式(22)中、m8は1以上の整数を表し、ただし、R12が単結合のときm8は1を表す。
式(13)で表される構造単位の例
式(13)で表される構造単位としては、得られるイオン性ポリマーの電子輸送性の観点からは、式(23)で表される構造単位、式(24)で表される構造単位が好ましく、式(24)で表される構造単位がより好ましい。
Figure 2012043782
(式(23)中、R13は(1+m9+m10)価の有機基を表し、R14は1価の有機基を表し、Q1、Q、Y、M1、Z1、Y、n1、a1、b1及びn3は前述と同じ意味を表し、m9及びm10はそれぞれ独立に1以上の整数を表し、Q1、Q、Y、M1、Z1、Y、n1、a1、b1及びn3のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。)
式(23)中、R13で表される(1+m9+m10)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から(m9+m10)個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から(m9+m10)個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から(m9+m10)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から(m9+m10)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から(m9+m10)個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から(m9+m10)個の水素原子を除いた基、アリール基から(m9+m10)個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から(m9+m10)個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(23)中、R14で表される1価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から1個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から1個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から1個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から1個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から1個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から1個の水素原子を除いた基、アリール基から1個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から1個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(23)で表される構造単位としては、以下の構造単位が挙げられる。
Figure 2012043782
Figure 2012043782
(式(24)中、R13は(1+m11+m12)価の有機基を表し、Q1、Q、Y、M1、Z1、Y、n1、a1、b1及びn3は前述と同じ意味を表し、m11及びm12はそれぞれ独立に1以上の整数を表し、R13、m11、m12、Q1、Q、Y、M1、Z1、Y、n1、a1、b1及びn3のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。)
式(24)中、R13で表される(1+m11+m12)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から(m11+m12)個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から(m11+m12)個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から(m11+m12)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から(m11+m12)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から(m11+m12)個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から(m11+m12)個の水素原子を除いた基、アリール基から(m11+m12)個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から(m11+m12)個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(24)で表される構造単位としては、以下の構造単位が挙げられる。
Figure 2012043782
Figure 2012043782
Figure 2012043782
Figure 2012043782
式(13)で表される構造単位としては、得られるイオン性ポリマーの耐久性の観点からは、式(25)で表される構造単位が好ましい。
Figure 2012043782
(式(25)中、R15は(1+m13+m14)価の有機基を表し、Q1、Q、Y、M1、Z1、Y、n1、a1、b1及びn3は前述と同じ意味を表し、m13、m14及びm15はそれぞれ独立に1以上の整数を表し、R15、m13、m14、Q1、Q、Y、M1、Z1、Y、n1、a1、b1及びn3のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。)
式(25)中、R15で表される(1+m13+m14)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から(m13+m14)個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から(m13+m14)個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から(m13+m14)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から(m13+m14)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から(m13+m14)個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から(m13+m14)個の水素原子を除いた基、アリール基から(m13+m14)個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から(m13+m14)個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(25)で表される構造単位としては、以下の構造単位が挙げられる。
Figure 2012043782
式(15)で表される構造単位の例
式(15)で表される構造単位としては、得られるイオン性ポリマーの電子輸送性の観点からは、式(26)で表される構造単位、式(27)で表される構造単位が好ましく、式(27)で表される構造単位がより好ましい。
Figure 2012043782
(式(26)中、R16は(1+m16+m17)価の有機基を表し、R17は1価の有機基を表し、Q2、Q、Y2、M2、Z2、Y、n2、a2、b2及びn3は前述と同じ意味を表し、m16及び、m17はそれぞれ独立に1以上の整数を表し、Q2、Q、Y2、M2、Z2、Y、n2、a2、b2及びn3のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。)
式(26)中、R16で表される(1+m16+m17)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から(m16+m17)個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から(m16+m17)個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から(m16+m17)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から(m16+m17)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から(m16+m17)個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から(m16+m17)個の水素原子を除いた基、アリール基から(m16+m17)個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から(m16+m17)個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(26)中、R17で表される1価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から1個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から1個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から1個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から1個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から1個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から1個の水素原子を除いた基、アリール基から1個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から1個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(26)で表される構造単位としては、以下の構造単位が挙げられる。
Figure 2012043782
Figure 2012043782
(式(27)中、R16は(1+m16+m17)価の有機基を表し、Q2、Q、Y2、M2、Z2、Y、n2、a2、b2及びn3は前述と同じ意味を表し、m16及び、m17はそれぞれ独立に1以上の整数を表し、R16、m16、m17、Q2、Q、Y2、M2、Z2、Y、n2、a2、b2及びn3のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。)
式(27)中、R16で表される(1+m16+m17)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から(m16+m17)個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から(m16+m17)個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から(m16+m17)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から(m16+m17)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から(m16+m17)個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から(m16+m17)個の水素原子を除いた基、アリール基から(m16+m17)個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から(m16+m17)個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(27)で表される構造単位としては、以下の構造単位が挙げられる。
Figure 2012043782
Figure 2012043782
Figure 2012043782
式(15)で表される構造単位としては、得られるイオン性ポリマーの耐久性の観点からは、式(28)で表される構造単位が好ましい。
Figure 2012043782
(式(28)中、R18は(1+m18+m19)価の有機基を表し、Q2、Q、Y2、M2、Z2、Y、n2、a2、b2及びn3は前述と同じ意味を表し、m18、m19及びm20はそれぞれ独立に1以上の整数を表し、R18、m18、m19、Q2、Q、Y2、M2、Z2、Y、n2、a2、b2及びn3のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。)
式(28)中、R18で表される(1+m18+m19)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から(m18+m19)個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から(m18+m19)個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から(m18+m19)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から(m18+m19)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から(m18+m19)個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から(m18+m19)個の水素原子を除いた基、アリール基から(m18+m19)個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から(m18+m19)個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(28)で表される構造単位としては、以下の構造単位が挙げられる。
Figure 2012043782
式(17)で表される構造単位の例
式(17)で表される構造単位としては、得られるイオン性ポリマーの電子輸送性の観点からは、式(29)で表される構造単位が好ましい。
Figure 2012043782
(式(29)中、R19は単結合又は(1+m21)価の有機基を表し、R20は単結合又は(1+m22)価の有機基を表し、Q1、Q、Y、M1、Z1、Y、n1、a1、b1及びn3は前述と同じ意味を表し、m21及びm22はそれぞれ独立に1以上の整数を表し、ただし、R19が単結合のときm21は1を表し、R20が単結合のときm22は1を表し、Q1、Q、Y、M1、Z1、Y、n1、a1、b1及びn3のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。)
式(29)中、R19で表される(1+m21)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から(m21)個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から(m21)個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から(m21)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から(m21)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から(m21)個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から(m21)個の水素原子を除いた基、アリール基から(m21)個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から(m21)個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(29)中、R20で表される(1+m22)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から(m22)個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から(m22)個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から(m22)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から(m22)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から(m22)個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から(m22)個の水素原子を除いた基、アリール基から(m22)個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から(m22)個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(29)で表される構造単位としては、以下の構造単位が挙げられる。
Figure 2012043782
式(17)で表される構造単位としては、得られるイオン性ポリマーの耐久性の観点からは、式(30)で表される構造単位が好ましい。
Figure 2012043782
(式(30)中、R21は単結合又は(1+m23)価の有機基を表し、R22は単結合又は(1+m24)価の有機基を表し、Q1、Q、Y、M1、Z1、Y、n1、a1、b1及びn3は前述と同じ意味を表し、m23及びm24はそれぞれ独立に1以上の整数を表し、ただし、R21が単結合のときm23は1を表し、R22が単結合のときm24は1を表し、m25及びm26はそれぞれ独立に1以上の整数を表し、m23、m24、R21、R22、Q1、Q、Y、M1、Z1、Y、n1、a1、b1及びn3のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。)
式(30)中、R21で表される(1+m23)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から(m23)個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から(m23)個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から(m23)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から(m23)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から(m23)個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から(m23)個の水素原子を除いた基、アリール基から(m23)個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から(m23)個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(30)中、R22で表される(1+m24)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から(m24)個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から(m24)個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から(m24)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から(m24)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から(m24)個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から(m24)個の水素原子を除いた基、アリール基から(m24)個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から(m24)個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(30)で表される構造単位としては、以下の構造単位が挙げられる。
Figure 2012043782
式(20)で表される構造単位の例
式(20)で表される構造単位としては、得られる電子輸送性の観点からは、式(31)で表される構造単位が好ましい。
Figure 2012043782
(式(31)中、R23は単結合又は(1+m27)価の有機基を表し、R24は単結合又は(1+m28)価の有機基を表し、Q、Q、Y、M、Z、Y、n2、a2、b2及びn3は前述と同じ意味を表し、m27及びm28はそれぞれ独立に1以上の整数を表し、ただし、R23が単結合のときm27は1を表し、R24が単結合のときm28は1を表し、Q、Q、Y、M、Z、Y、n2、a2、b2及びn3のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。)
式(31)中、R23で表される(1+m27)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から(m27)個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から(m27)個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から(m27)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から(m27)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から(m27)個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から(m27)個の水素原子を除いた基、アリール基から(m27)個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から(m27)個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(31)中、R24で表される(1+m28)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から(m28)個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から(m28)個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から(m28)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から(m28)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から(m28)個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から(m28)個の水素原子を除いた基、アリール基から(m28)個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から(m28)個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(31)で表される構造単位としては、以下の構造単位が挙げられる。
Figure 2012043782
式(20)で表される構造単位としては、得られるイオン性ポリマーの耐久性の観点からは、式(32)で表される構造単位が好ましい。
Figure 2012043782
(式(32)中、R25は単結合又は(1+m29)価の有機基を表し、R26は単結合又は(1+m30)価の有機基を表し、Q2、Q、Y2、M2、Z2、Y、n2、a2、b2及びn3は前述と同じ意味を表し、m29及びm30はそれぞれ独立に1以上の整数を表し、ただし、R25が単結合のときm29は1を表し、R26が単結合のときm30は1を表し、m31及びm32はそれぞれ独立に1以上の整数を表し、m29、m30、R25、R26、Q2、Q、Y2、M2、Z2、Y、n2、a2、b2及びn3のおのおのは複数個ある場合、同一でも異なっていてもよい。)
式(32)中、R25で表される(1+m29)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から(m29)個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から(m29)個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から(m29)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から(m29)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から(m29)個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から(m29)個の水素原子を除いた基、アリール基から(m29)個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から(m29)個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(32)中、R26で表される(1+m30)価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜20のアルキル基から(m30)個の水素原子を除いた基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数6〜30のアリール基から(m30)個の水素原子を除いた基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロドデシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、これらの基の中の少なくとも1個の水素原子を置換基で置換した基等の、置換基を有し又は有さない炭素原子数1〜50のアルコキシ基から(m30)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するアミノ基から(m30)個の水素原子を除いた基;炭素原子を含む置換基を有するシリル基から(m30)個の水素原子を除いた基が挙げられ、原料モノマーの合成の容易さの観点からは、アルキル基から(m30)個の水素原子を除いた基、アリール基から(m30)個の水素原子を除いた基、アルコキシ基から(m30)個の水素原子を除いた基が好ましい。
式(32)で表される構造単位としては、以下の構造単位が挙げられる。
Figure 2012043782
・その他の構造単位
本発明に用いられるイオン性ポリマーは、さらに式(33)で表される1種以上の構造単位を有していてもよい。
Figure 2012043782
(式(33)中、Ar5は置換基を有し若しくは有さない2価の芳香族基又は置換基を有し若しくは有さない2価の芳香族アミン残基を表し、X’は置換基を有し若しくは有さないイミノ基、置換基を有し若しくは有さないシリレン基、置換基を有し若しくは有さないエテニレン基又はエチニレン基を表し、m33及びm34はそれぞれ独立に0又は1を表し、m33及びm34の少なくとも1つは1である。)
式(33)中のAr5で表される2価の芳香族基としては、2価の芳香族炭化水素基、2価の芳香族複素環基が挙げられる。該2価の芳香族基としては、ベンゼン環、ピリジン環、1,2−ジアジン環、1,3−ジアジン環、1,4−ジアジン環、1,3,5−トリアジン環、フラン環、ピロール環、チオフェン環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、アザジアゾール環等の単環式芳香環から水素原子を2個除いた2価の基;該単環式芳香環からなる群から選ばれる二つ以上が縮合した縮合多環式芳香環から水素原子を2個除いた2価の基;該単環式芳香環及び該縮合多環式芳香環からなる群より選ばれる2つ以上の芳香環を、単結合、エテニレン基又はエチニレン基で連結してなる芳香環集合から水素原子を2個除いた2価の基;該縮合多環式芳香環又は該芳香環集合の隣り合う2つの芳香環をメチレン基、エチレン基、カルボニル基、イミノ基等の2価の基で橋かけした架橋を有する有橋多環式芳香環から水素原子を2個除いた2価の基等が挙げられる。
前記縮合多環式芳香環において、縮合する単環式芳香環の数は、イオン性ポリマーの溶解性の観点からは、2〜4が好ましく、2〜3がより好ましく、2がさらに好ましい。前記芳香環集合において、連結される芳香環の数は、溶解性の観点からは、2〜4が好ましく、2〜3がより好ましく、2がさらに好ましい。前記有橋多環式芳香環において、橋かけされる芳香環の数は、イオン性ポリマーの溶解性の観点からは、2〜4が好ましく、2〜3がより好ましく、2がさらに好ましい。
前記単環式芳香環としては、例えば、以下の環が挙げられる。
Figure 2012043782
前記縮合多環式芳香環としては、例えば、以下の環が挙げられる。
Figure 2012043782
前記芳香環集合としては、例えば、以下の環が挙げられる。
Figure 2012043782
前記有橋多環式芳香環としては、例えば、以下の環が挙げられる。
Figure 2012043782
前記イオン性ポリマーの電子受容性及び正孔受容性のいずれか一方又は両方の観点からは、Ar5で表される2価の芳香族基は式45〜60、61〜71、77〜80、91、92、93又は96で表される環から水素原子を2個除いた2価の基が好ましく、式45〜50、59、60、77、80、91、92又は96で表される環から水素原子を2個除いた2価の基がより好ましい。
上記の2価の芳香族基は、置換基を有していてもよい。当該置換基としては、前述のQ1に関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。
式(33)中のAr5で表される2価の芳香族アミン残基としては、式(34)で表される基が挙げられる。
Figure 2012043782
(式(34)中、Ar6、Ar7、Ar8及びAr9は、それぞれ独立に、置換基を有し若しくは有さないアリーレン基又は置換基を有し若しくは有さない2価の複素環基を表し、Ar10、Ar11及びAr12は、それぞれ独立に、置換基を有し若しくは有さないアリール基又は置換基を有し若しくは有さない1価の複素環基を表し、n10及びm35は、それぞれ独立に、0又は1を表す。)
前記アリーレン基、アリール基、2価の複素環基、1価の複素環基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールアルキルオキシカルボニル基、ヘテロアリールオキシカルボニル基及びカルボキシル基等が挙げられる。該置換基は、ビニル基、アセチレン基、ブテニル基、アクリル基、アクリレート基、アクリルアミド基、メタクリル基、メタクリレート基、メタクリルアミド基、ビニルエーテル基、ビニルアミノ基、シラノール基、小員環(シクロプロピル基、シクロブチル基、エポキシ基、オキセタン基、ジケテン基、エピスルフィド基等)を有する基、ラクトン基、ラクタム基、又はシロキサン誘導体の構造を含有する基等の架橋基であってもよい。
n10が0の場合、Ar6中の炭素原子とAr8中の炭素原子とが直接結合してもよく、−O−、−S−等の2価の基を介して結合していてもよい。
Ar10、Ar11、Ar12で表されるアリール基、1価の複素環基としては、前記で置換基として説明し例示したアリール基、1価の複素環基と同様である。
Ar6、Ar7、Ar8、Ar9で表されるアリーレン基としては、芳香族炭化水素から芳香環を構成する炭素原子に結合した水素原子2個を除いた残りの原子団が挙げられ、ベンゼン環を持つ基、縮合環を持つ基、独立したベンゼン環又は縮合環2個以上が単結合又は2価の有機基、例えば、ビニレン基等のアルケニレン基を介して結合した基などが挙げられる。アリーレン基は、炭素原子数が通常6〜60であり、7〜48であることが好ましい。アリーレン基の具体例としては、フェニレン基、ビフェニレン基、C1〜C17アルコキシフェニレン基、C1〜C17アルキルフェニレン基、1−ナフチレン基、2−ナフチレン基、1−アントラセニレン基、2−アントラセニレン基、9−アントラセニレン基が挙げられる。前記アリール基中の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。該当するフッ素原子置換アリール基としては、テトラフルオロフェニレン基等が挙げられる。アリール基の中では、フェニレン基、ビフェニレン基、C1〜C12アルコキシフェニレン基、C1〜C12アルキルフェニレン基が好ましい。
Ar6、Ar7、Ar8、Ar9で表される2価の複素環基としては、複素環式化合物から水素原子2個を除いた残りの原子団が挙げられる。ここで、複素環式化合物とは、環式構造をもつ有機化合物のうち、環を構成する元素として、炭素原子だけでなく、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、ホウ素原子、ケイ素原子、セレン原子、テルル原子、ヒ素原子等のヘテロ原子を含む有機化合物をいう。2価の複素環基は置換基を有していてもよい。2価の複素環基は、炭素原子数が通常4〜60であり、4〜20が好ましい。なお、2価の複素環基の炭素原子数には、置換基の炭素原子数は含まないものとする。このような2価の複素環基としては、例えば、チオフェンジイル基、C1〜C12アルキルチオフェンジイル基、ピロールジイル基、フランジイル基、ピリジンジイル基、C1〜C12アルキルピリジンジイル基、ピリダジンジイル基、ピリミジンジイル基、ピラジンジイル基、トリアジンジイル基、ピロリジンジイル基、ピペリジンジイル基、キノリンジイル基、イソキノリンジイル基が挙げられ、中でも、チオフェンジイル基、C1〜C12アルキルチオフェンジイル基、ピリジンジイル基及びC1〜C12アルキルピリジンジイル基がより好ましい。
構造単位として2価の芳香族アミン残基を含むイオン性ポリマーは、さらに他の構造単位を有していてもよい。他の構造単位としては、フェニレン基、フルオレンジイル基等のアリーレン基等が挙げられる。なお、これらのイオン性ポリマーの中では、架橋基を含んでいるものが好ましい。
また、式(34)で表される2価の芳香族アミン残基としては、下記式101〜110で表される芳香族アミンから水素原子を2個除いた基が例示される。
Figure 2012043782
式101〜110で表される芳香族アミンは2価の芳香族アミン残基を生成しうる範囲で置換基を有していてもよく、該置換基としては、前述のQ1に関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられ、置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
式(33)中、X’は置換基を有し若しくは有さないイミノ基、置換基を有し若しくは有さないシリレン基、置換基を有し若しくは有さないエテニレン基又はエチニレン基を表す。イミノ基、シリル基若しくはエテニレン基が有していてもよい置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ラウリル基等の炭素原子数1〜20のアルキル基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基等の炭素原子数6〜30のアリール基等が挙げられ、置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
前記イオン性ポリマーの空気、湿気又は熱に対する安定性の観点からは、X’はイミノ基、エテニレン基、エチニレン基が好ましい。
前記イオン性ポリマーの電子受容性、正孔受容性の観点からは、m33が1であり、m34が0であることが好ましい。
式(33)で表される構造単位としては、前記イオン性ポリマーの電子受容性の観点からは、式(35)で表される構造単位が好ましい。
Figure 2012043782
(式(35)中、Ar13は、置換基を有し若しくは有さないピリジンジイル基、置換基を有し若しくは有さないピラジンジイル基、置換基を有し若しくは有さないピリミジンジイル基、置換基を有し若しくは有さないピリダジンジイル基又は置換基を有し若しくは有さないトリアジンジイル基を表す。)
ピリジンジイル基が有していてもよい置換基としては、前述のQ1に関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
ピラジンジイル基が有していてもよい置換基としては、前述のQ1に関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
ピリミジンジイル基が有していてもよい置換基としては、前述のQ1に関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
ピリダジンジイル基が有していてもよい置換基としては、前述のQ1に関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
トリアジンジイル基が有していてもよい置換基としては、前述のQ1に関する説明中で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。置換基が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
・構造単位の割合
本発明に用いられるイオン性ポリマーに含まれる式(13)で表される構造単位、式(15)で表される構造単位、式(17)で表される構造単位、及び式(20)で表される構造単位の合計の割合は、有機EL素子の発光効率の観点からは、末端の構造単位を除く該イオン性ポリマーに含まれる全構造単位中、30〜100モル%であることがより好ましい。
・末端の構造単位
なお、本発明に用いられるイオン性ポリマーの末端の構造単位(末端基)としては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、s−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、ラウリルチオ基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロピルオキシフェニル基、イソプロピルオキシフェニル基、ブトキシフェニル基、イソブトキシフェニル基、s−ブトキシフェニル基、t−ブトキシフェニル基、ペンチルオキシフェニル基、ヘキシルオキシフェニル基、シクロヘキシルオキシフェニル基、ヘプチルオキシフェニル基、オクチルオキシフェニル基、2−エチルヘキシルオキシフェニル基、ノニルオキシフェニル基、デシルオキシフェニル基、3,7−ジメチルオクチルオキシフェニル基、ラウリルオキシフェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、プロピルフェニル基、メシチル基、メチルエチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、ブチルフェニル基、イソブチルフェニル基、t−ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、イソアミルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ドデシルフェニル基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、s−ブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基、ラウリルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジトリフルオロメチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、(C1〜C12アルコキシフェニル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル)アミノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、ペンタフルオロフェニルアミノ基、ピリジルアミノ基、ピリダジニルアミノ基、ピリミジルアミノ基、ピラジニルアミノ基、トリアジニルアミノ基、(フェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、(C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、(C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、イソプロピルジメチルシリル基、イソプロピルジエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ペンチルジメチルシリル基、ヘキシルジメチルシリル基、ヘプチルジメチルシリル基、オクチルジメチルシリル基、2−エチルヘキシルジメチルシリル基、ノニルジメチルシリル基、デシルジメチルシリル基、3,7−ジメチルオクチルジメチルシリル基、ラウリルジメチルシリル基、(フェニル−C1〜C12アルキル)シリル基、(C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル)シリル基、(C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル)シリル基、(1−ナフチル−C1〜C12アルキル)シリル基、(2−ナフチル−C1〜C12アルキル)シリル基、(フェニル−C1〜C12アルキル)ジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリ(p−キシリル)シリル基、トリベンジルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、チエニル基、C1〜C12アルキルチエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、C1〜C12アルキルピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジル基、ピラジニル基、トリアジニル基、ピロリジル基、ピペリジル基、キノリル基、イソキノリル基、ヒドロキシ基、メルカプト基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。前記末端の構造単位が複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
−イオン性ポリマーの特性−
本発明で用いられるイオン性ポリマーは、好ましくは共役化合物である。本発明で用いられるイオン性ポリマーが共役化合物であるとは、該イオン性ポリマーが主鎖中に、多重結合(例えば、二重結合、三重結合)又は窒素原子、酸素原子等が有する非共有電子対が1つの単結合を挟んで連なっている領域を含むことを意味する。該イオン性ポリマーは、共役化合物である場合、共役化合物の電子輸送性の観点から、
{(多重結合又は窒素原子、酸素原子等が有する非共有電子対が1つの単結合を挟んで連なっている領域に含まれる主鎖上の原子の数)/(主鎖上の全原子の数)}×100%で計算される比が50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
また、本発明で用いられるイオン性ポリマーは、好ましくは高分子化合物であり、より好ましくは共役高分子化合物である。ここで、高分子化合物とは、ポリスチレン換算の数平均分子量が1×103以上である化合物をいう。また、本発明で用いられるイオン性ポリマーが共役高分子化合物であるとは、該イオン性ポリマーが共役化合物かつ高分子化合物であることを意味する。
本発明に用いられるイオン性ポリマーの塗布による成膜性の観点から、該イオン性ポリマーのポリスチレン換算の数平均分子量が1×103〜1×108であることが好ましく、2×103〜1×107であることがより好ましく、3×103〜1×107であることがより好ましく、5×103〜1×107であることがさらに好ましい。また、イオン性ポリマーの純度の観点から、ポリスチレン換算の重量平均分子量が1×103〜5×107であることが好ましく、1×103〜1×107であることがより好ましく、1×103〜5×106であることがさらに好ましい。また、イオン性ポリマーの溶解性の観点から、ポリスチレン換算の数平均分子量は1×103〜5×10であることが好ましく、1×103〜5×10であることがより好ましく、1×103〜3×10であることがさらに好ましい。本発明に用いられるイオン性ポリマーのポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、求めることができる。
本発明に用いられるイオン性ポリマーの純度の観点から、末端構造単位を除く該イオン性ポリマー中に含まれる全構造単位の数(即ち、重合度)は1以上20以下であることが好ましく、1以上10以下であることがより好ましく、1以上5以下であることがさらに好ましい。
本発明に用いられるイオン性ポリマーの電子受容性、正孔受容性の観点からは、該イオン性ポリマーの最低非占有分子軌道(LUMO)の軌道エネルギーが、−5.0eV以上−2.0eV以下であることが好ましく、−4.5eV以上−2.0eV以下がより好ましい。また、同様の観点から、該イオン性ポリマーの最高占有分子軌道(HOMO)の軌道エネルギーが、−6.0eV以上−3.0eV以下であることが好ましく、−5.5eV以上−3.0eV以下がより好ましい。ただし、HOMOの軌道エネルギーはLUMOの軌道エネルギーよりも低い。なお、イオン性ポリマーの最高占有分子軌道(HOMO)の軌道エネルギーは、イオン性ポリマーのイオン化ポテンシャルを測定し、得られたイオン化ポテンシャルを該軌道エネルギーとすることにより求める。一方、イオン性ポリマーの最低非占有分子軌道(LUMO)の軌道エネルギーは、HOMOとLUMOとのエネルギー差を求め、その値と前記で測定したイオン化ポテンシャルとの和を該軌道エネルギーとすることにより求める。イオン化ポテンシャルの測定には光電子分光装置を用いる。また、HOMOとLUMOのエネルギー差は紫外・可視・近赤外分光光度計を用いてイオン性ポリマーの吸収スペクトルを測定し、その吸収末端より求める。
なお、本発明に用いられる重合体は、電界発光素子で用いられた場合、実質的に非発光性であることが好ましい。ここで、ある重合体が実質的に非発光性であるとは、以下のとおりの意味である。まず、ある重合体を含む層を有する電界発光素子Aを作製する。一方、重合体を含む層を有さない電界発光素子2を作製する。電界発光素子Aは重合体を含む層を有するが、電界発光素子2は重合体を含む層を有さない点でのみ、電界発光素子Aと電界発光素子2とは異なる。次に、電界発光素子A及び電界発光素子2に10Vの順方向電圧を印加して発光スペクトルを測定する。電界発光素子2について得られた発光スペクトルにおいて最大ピークを与える波長λを求める。波長λにおける発光強度を1として、電界発光素子2について得られた発光スペクトルを規格化し、波長について積分して規格化発光量S0を計算する。一方、波長λにおける発光強度を1として、電界発光素子Aについて得られた発光スペクトルも規格化し、波長について積分して規格化発光量Sを計算する。(S−S0)/S0×100%で計算される値が30%以下である場合、即ち、重合体を含む層を有さない電界発光素子2の規格化発光量に比べ、重合体を含む層を有する電界発光素子Aの規格化発光量の増加分が30%以下である場合に、用いた重合体は実質的に非発光性であるものとし、(S−S0)/S0×100で計算される値が15%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。
前記式(1)で表される基及び前記式(3)で表される基を含むイオン性ポリマーとしては、式(23)で表される基のみからなるイオン性ポリマー、式(23)で表される基および式45〜50、59、60、77、80、91、92、96、101〜110で表される基から水素原子を2個除いた基からなる群から選ばれる1種以上の基からなるイオン性ポリマー、式(24)で表される基のみからなるイオン性ポリマー、式(24)で表される基および式45〜50、59、60、77、80、91、92、96、101〜110で表される基から水素原子を2個除いた基からなる群から選ばれる1種以上の基からなるイオン性ポリマー、式(25)で表される基のみからなるイオン性ポリマー、式(25)で表される基および式45〜50、59、60、77、80、91、92、96、101〜110で表される基から水素原子を2個除いた基からなる群から選ばれる1種以上の基からなるイオン性ポリマー、式(29)で表される基のみからなるイオン性ポリマー、式(29)で表される基および式45〜50、59、60、77、80、91、92、96、101〜110で表される基から水素原子を2個除いた基からなる群から選ばれる1種以上の基からなるイオン性ポリマー、式(30)で表される基のみからなるイオン性ポリマー、式(30)で表される基および式45〜50、59、60、77、80、91、92、96、101〜110で表される基から水素原子を2個除いた基からなる群から選ばれる1種以上の基からなるイオン性ポリマーが挙げられる。
前記式(1)で表される基及び前記式(3)で表される基を含むイオン性ポリマーとしては、以下の高分子化合物が挙げられる。これらのうち、2種の構造単位がスラッシュ「/」で区切られている式で表される高分子化合物では、左側の構造単位の割合がpモル%、右側の構造単位の割合が(100−p)モル%であり、これらの構造単位はランダムに配列している。なお、以下の式中、nは重合度を表す。
Figure 2012043782
Figure 2012043782
Figure 2012043782
Figure 2012043782
Figure 2012043782
Figure 2012043782
Figure 2012043782
Figure 2012043782
(式中、pは15〜100の数を表す。)
前記式(2)で表される基及び前記式(3)で表される基を含むイオン性ポリマーとしては、式(26)で表される基のみからなるイオン性ポリマー、式(26)で表される基および式45〜50、59、60、77、80、91、92、96、101〜110で表される基から水素原子を2個除いた基からなる群から選ばれる1種以上の基からなるイオン性ポリマー、式(27)で表される基のみからなるイオン性ポリマー、式(27)で表される基および式45〜50、59、60、77、80、91、92、96、101〜110で表される基から水素原子を2個除いた基からなる群から選ばれる1種以上の基からなるイオン性ポリマー、式(28)で表される基のみからなるイオン性ポリマー、式(28)で表される基および式45〜50、59、60、77、80、91、92、96、101〜110で表される基から水素原子を2個除いた基からなる群から選ばれる1種以上の基からなるイオン性ポリマー、式(31)で表される基のみからなるイオン性ポリマー、式(31)で表される基および式45〜50、59、60、77、80、91、92、96、101〜110で表される基から水素原子を2個除いた基からなる群から選ばれる1種以上の基からなるイオン性ポリマー、式(32)で表される基のみからなるイオン性ポリマー、式(32)で表される基および式45〜50、59、60、77、80、91、92、96、101〜110で表される基から水素原子を2個除いた基からなる群から選ばれる1種以上の基からなるイオン性ポリマーが挙げられる。
前記式(2)で表される基及び前記式(3)で表される基を含むイオン性ポリマーとしては、以下の高分子化合物が挙げられる。これらのうち、2種の構造単位がスラッシュ「/」で区切られている式で表される高分子化合物では、左側の構造単位の割合がpモル%、右側の構造単位の割合が(100−p)モル%であり、これらの構造単位はランダムに配列している。なお、以下の式中、nは重合度を表す。
Figure 2012043782
Figure 2012043782
Figure 2012043782
Figure 2012043782
(式中、pは15〜100の数を表す。)
−イオン性ポリマーの製造方法−
次に、本発明に用いられるイオン性ポリマーを製造する方法について説明する。本発明に用いられるイオン性ポリマーを製造するための好適な方法としては、例えば、下記一般式(36)で表される化合物を原料の1つとして選択して用い、中でも、該一般式(36)中の−Aa−が式(13)で表される構造単位である化合物、該−Aa−が式(15)で表される構造単位である化合物、該−Aa−が式(17)で表される構造単位である化合物及び該−Aa−が式(20)で表される構造単位である化合物の少なくとも1種を必須の原料として含有させて、これを縮合重合させる方法を挙げることができる。
4−Aa−Y5 (36)
(式(36)中、Aaは式(1)で表される基及び式(2)で表される基からなる群から選ばれる1種以上の基と式(3)で表される1種以上の基とを含む繰り返し単位を表し、Y及びYは、それぞれ独立に、縮合重合に関与する基を示す。)
また、本発明に用いられるイオン性ポリマー中に上記式(36)中の−Aa−で表される構造単位とともに、前記−Aa−以外の他の構造単位を含有させる場合には、前記−Aa−以外の他の構造単位となる、2個の縮合重合に関与する置換基を有する化合物を用い、これを前記式(36)で表される化合物とともに共存させて縮合重合させればよい。
このような他の構造単位を含有させるために用いられる2個の縮合重合可能な置換基を有する化合物としては、式(37)で表される化合物が例示される。このようにして、前記Y4−Aa−Y5で表される化合物に加えて、式(37)で表される化合物を縮合重合させることで、−Ab−で表される構造単位を更に有する本発明に用いられるイオン性ポリマーを製造することができる。
6−Ab−Y7 (37)
(式(37)中、Abは前記一般式(33)で表される構造単位又は一般式(35)で表される構造単位であり、Y6及びY7は、それぞれ独立に、縮合重合に関与する基を示す。)
このような縮合重合に関与する基(Y4、Y5、Y6及びY7)としては、水素原子、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基、アリールアルキルスルホネート基、ホウ酸エステル残基、スルホニウムメチル基、ホスホニウムメチル基、ホスホネートメチル基、モノハロゲン化メチル基、−B(OH)2、ホルミル基、シアノ基、ビニル基等が挙げられる。
このような縮合重合に関与する基として選択され得るハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
また、前記縮合重合に関与する基として選択され得るアルキルスルホネート基としては、メタンスルホネート基、エタンスルホネート基、トリフルオロメタンスルホネート基が例示され、アリールスルホネート基としては、ベンゼンスルホネート基、p−トルエンスルホネート基が例示される。
前記縮合重合に関与する基として選択され得るアリールアルキルスルホネート基としては、ベンジルスルホネート基が例示される。
また、前記縮合重合に関与する基として選択され得るホウ酸エステル残基としては、下記式で表される基が例示される。
Figure 2012043782
さらに、前記縮合重合に関与する基として選択され得るスルホニウムメチル基としては、下記式:
−CH2+Me2-、又は、−CH2+Ph2-
(式中、Eはハロゲン原子を示す。Phはフェニル基を示し、以下、同じである。)で表される基が例示される。
また、前記縮合重合に関与する基として選択され得るホスホニウムメチル基としては、
下記式:
−CH2+Ph3-
(式中、Eはハロゲン原子を示す。)で表される基が例示される。
また、前記縮合重合に関与する基として選択され得るホスホネートメチル基としては、
下記式:
−CH2PO(ORd2
(式中、Rdはアルキル基、アリール基、又はアリールアルキル基を示す。)で表される基が例示される。
さらに、前記縮合重合に関与する基として選択され得るモノハロゲン化メチル基としては、フッ化メチル基、塩化メチル基、臭化メチル基、ヨウ化メチル基が例示される。
さらに、縮合重合に関与する基として好適な基は、重合反応の種類によって異なるが、例えば、Yamamotoカップリング反応等の0価ニッケル錯体を用いる場合には、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基、アリールアルキルスルホネート基が挙げられる。また、Suzukiカップリング反応等のニッケル触媒又はパラジウム触媒を用いる場合には、アルキルスルホネート基、ハロゲン原子、ホウ酸エステル残基、−B(OH)2等が挙げられ、酸化剤又は電気化学的に酸化重合する場合には、水素原子が挙げられる。
本発明に用いられるイオン性ポリマーを製造する際には、例えば、縮合重合に関与する基を複数有する前記一般式(36)又は(37)で表される化合物(モノマー)を、必要に応じて有機溶媒に溶解し、アルカリや適当な触媒を用いて、有機溶媒の融点以上沸点以下の温度で反応させる重合方法を採用してもよい。このような重合方法としては、例えば、“オルガニック リアクションズ(Organic Reactions)”,第14巻,270−490頁,ジョンワイリー アンド サンズ(John Wiley&Sons,Inc.),1965年、“オルガニック シンセシス(Organic Syntheses)”,コレクティブ第6巻(Collective Volume VI),407−411頁,ジョンワイリー アンド サンズ(John Wiley&Sons,Inc.),1988年、ケミカル レビュー(Chem.Rev.),第95巻,2457頁(1995年)、ジャーナル オブ オルガノメタリック ケミストリー(J.Organomet.Chem.),第576巻,147頁(1999年)、マクロモレキュラー ケミストリー マクロモレキュラー シンポジウム(Macromol.Chem.,Macromol.Symp.),第12巻,229頁(1987年)に記載の公知の方法を採用することができる。
また、本発明に用いられるイオン性ポリマーを製造する際には、縮合重合に関与する基に応じて、既知の縮合重合反応を採用してもよい。このような重合方法としては、該当するモノマーを、Suzukiカップリング反応により重合する方法、Grignard反応により重合する方法、Ni(0)錯体により重合する方法、FeCl3等の酸化剤により重合する方法、電気化学的に酸化重合する方法、適当な脱離基を有する中間体高分子の分解による方法等が挙げられる。このような重合反応の中でも、Suzukiカップリング反応により重合する方法、Grignard反応により重合する方法、及びニッケルゼロ価錯体により重合する方法が、得られるイオン性ポリマーの構造制御がし易いので好ましい。
本発明に用いられるイオン性ポリマーの好ましい製造方法の1つの態様は、縮合重合に関与する基として、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基及びアリールアルキルスルホネート基からなる群から選択される基を有する原料モノマーを用いて、ニッケルゼロ価錯体の存在下で縮合重合して、イオン性ポリマーを製造する方法である。このような方法に使用する原料モノマーとしては、例えば、ジハロゲン化化合物、ビス(アルキルスルホネート)化合物、ビス(アリールスルホネート)化合物、ビス(アリールアルキルスルホネート)化合物、ハロゲン−アルキルスルホネート化合物、ハロゲン−アリールスルホネート化合物、ハロゲン−アリールアルキルスルホネート化合物、アルキルスルホネート−アリールスルホネート化合物、アルキルスルホネート−アリールアルキルスルホネート化合物及びアリールスルホネート−アリールアルキルスルホネート化合物が挙げられる。
前記イオン性ポリマーの好ましい製造方法の他の態様は、縮合重合に関与する基として、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基、アリールアルキルスルホネート基、−B(OH)2、及びホウ酸エステル残基からなる群から選ばれる基を有し、全原料モノマーが有する、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基及びアリールアルキルスルホネート基のモル数の合計(J)と、−B(OH)2及びホウ酸エステル残基のモル数の合計(K)の比が実質的に1(通常 K/J は0.7〜1.2の範囲)である原料モノマーを用いて、ニッケル触媒又はパラジウム触媒の存在下で縮合重合して、イオン性ポリマーを製造する方法である。
前記有機溶媒としては、用いる化合物や反応によっても異なるが、一般に副反応を抑制するために十分に脱酸素処理を施した有機溶媒を用いることが好ましい。イオン性ポリマーを製造する際には、このような有機溶媒を用いて不活性雰囲気下で反応を進行させることが好ましい。また、前記有機溶媒においては、前記脱酸素処理と同様に脱水処理を行うことが好ましい。但し、Suzukiカップリング反応等の水との2相系での反応の場合にはその限りではない。
このような有機溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の不飽和炭化水素、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、クロロブタン、ブロモブタン、クロロペンタン、ブロモペンタン、クロロヘキサン、ブロモヘキサン、クロロシクロヘキサン、ブロモシクロヘキサン等のハロゲン化飽和炭化水素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化不飽和炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブチルアルコール等のアルコール類、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン等のエーテル類、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ピリジン等のアミン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルモルホリンオキシド等のアミド類が例示される。これらの有機溶媒は1種を単独で、又は2種以上を混合して用いてもよい。また、このような有機溶媒の中でも、反応性の観点からはエーテル類がより好ましく、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルが更に好ましく、反応速度の観点からはトルエン、キシレンが好ましい。
前記イオン性ポリマーを製造する際においては、原料モノマーを反応させるために、アルカリや適当な触媒を添加することが好ましい。このようなアルカリ又は触媒は、採用する重合方法等に応じて選択すればよい。このようなアルカリ又は触媒としては、反応に用いる溶媒に十分に溶解するものが好ましい。また、前記アルカリ又は触媒を混合する方法としては、反応液をアルゴンや窒素等の不活性雰囲気下で攪拌しながらゆっくりとアルカリ又は触媒の溶液を添加するか、アルカリ又は触媒の溶液に反応液をゆっくりと添加する方法が例示される。
本発明に用いられるイオン性ポリマーにおいては、末端基に重合活性基がそのまま残っていると得られる発光素子の発光特性や寿命特性が低下する可能性があるため、末端基が安定な基で保護されていてもよい。このように安定な基で末端基が保護されている場合、本発明に用いられるイオン性ポリマーが共役化合物であるときには、該イオン性ポリマーの主鎖の共役構造と連続した共役結合を有していることが好ましく、その構造としては、例えば、炭素−炭素結合を介してアリール基又は複素環基と結合している構造が挙げられる。このような末端基を保護する安定な基としては、特開平9−45478号公報において化10の構造式で示される1価の芳香族化合物基等の置換基が挙げられる。
式(1)で表される構造単位を含むイオン性ポリマーを製造する他の好ましい方法としては、第1工程でカチオンを有さないイオン性ポリマーを重合し、第2工程で該イオン性ポリマーからカチオンを含有するイオン性ポリマーを製造する方法が挙げられる。第1工程のカチオンを有さないイオン性ポリマーを重合する方法としては、前述の縮合重合反応が挙げられる。第2工程の反応としては、金属水酸化物、アルキルアンモニウムヒドロキシド等による加水分解反応等が挙げられる。
式(2)で表される基を含むイオン性ポリマーを製造する他の好ましい方法としては、第1工程でイオンを有さないイオン性ポリマーを重合し、第2工程で該イオン性ポリマーからイオンを含有するイオン性ポリマーを製造する方法が挙げられる。第1工程のイオンを有さないイオン性ポリマーを重合する方法としては、前述の縮合重合反応が挙げられる。第2工程の反応としては、ハロゲン化アルキルを用いたアミンの4級アンモニウム塩化反応、SbF5によるハロゲン引き抜き反応等が挙げられる。
本発明に用いられるイオン性ポリマーは電荷の注入性や輸送性に優れるため、高輝度で発光する素子が得られる。
イオン性ポリマーを含む層を形成する方法としては、例えば、イオン性ポリマーを含有する溶液を用いて成膜する方法が挙げられる。
このような溶液からの成膜に用いる溶媒としては、水を除くアルコール類、エーテル類、エステル類、二トリル化合物類、ニトロ化合物類、ハロゲン化アルキル類、ハロゲン化アリール類、チオール類、スルフィド類、スルホキシド類、チオケトン類、アミド類、カルボン酸類等の溶媒のうち、溶解度パラメーターが9.3以上の溶媒が好ましい。該溶媒の例(各括弧内の値は、各溶媒の溶解度パラメーターの値を表す)としては、メタノール(12.9)、エタノール(11.2)、2−プロパノール(11.5)、1−ブタノール(9.9)、t−ブチルアルコール(10.5)、アセトニトリル(11.8)、1,2−エタンジオール(14.7)、N,N−ジメチルホルムアミド(11.5)、ジメチルスルホキシド(12.8)、酢酸(12.4)、ニトロベンゼン(11.1)、ニトロメタン(11.0)、1,2−ジクロロエタン(9.7)、ジクロロメタン(9.6)、クロロベンゼン(9.6)、ブロモベンゼン(9.9)、ジオキサン(9.8)、炭酸プロピレン(13.3)、ピリジン(10.4)、二硫化炭素(10.0)、及びこれらの溶媒の混合溶媒が挙げられる。ここで、2種の溶媒(溶媒1、溶媒2とする)を混合してなる混合溶媒について説明すると、該混合溶媒の溶解度パラメーター(δm)は、δm1×φ12×φ2により求めることとする(δ1は溶媒1の溶解度パラメーター、φ1は溶媒1の体積分率、δ2は溶媒2の溶解度パラメーター、φ2は溶媒2の体積分率である。)
イオン性ポリマーを含む層の膜厚としては、用いるイオン性ポリマーによって最適値が異なるため、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよく、ピンホールが発生しない厚さが必要である。素子の駆動電圧を低くする観点からは、該膜厚は、1nm〜1μmであることが好ましく、2nm〜500nmであることがより好ましく、2nm〜200nmであることがさらに好ましい。発光層を保護する観点からは、該膜厚は、5nm〜1μmであることが好ましい。
上述した、本発明に用いるイオン性ポリマーの内、より好ましい数種の具体例について、それらの合成例および合成されたイオン性ポリマーを使用して作製された有機EL素子を実験例として以下に示す。以下に示す実験例は、本発明をより具体的に説明するものであるが、本発明は以下の実験例に限定されるものではない。
重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー株式会社製:HLC−8220GPC)を用いて、ポリスチレン換算の重量平均分子量及び数平均分子量として求めた。また、測定する試料は、約0.5重量%の濃度になるようにテトラヒドロフランに溶解させ、GPCに50μL注入した。更に、GPCの移動相としてはテトラヒドロフランを用い、0.5mL/分の流速で流した。重合体の構造分析はVarian社製300MHzNMRスペクトロメータ−を用いた、H−NMR解析によって行った。また、測定は、20mg/mLの濃度になるように試料を可溶な重溶媒(溶媒分子中の水素原子が重水素原子で置換された溶媒)に溶解させて行った。重合体の最高占有分子軌道(HOMO)の軌道エネルギーは、重合体のイオン化ポテンシャルを測定し、得られたイオン化ポテンシャルを該軌道エネルギーとすることにより求めた。一方、重合体の最低非占有分子軌道(LUMO)の軌道エネルギーは、HOMOとLUMOとのエネルギー差を求め、その値と前記で測定したイオン化ポテンシャルとの和を該軌道エネルギーとすることにより求めた。イオン化ポテンシャルの測定には光電子分光装置(理研計器株式会社製:AC−2)を用いた。また、HOMOとLUMOのエネルギー差は紫外・可視・近赤外分光光度計(Varian社製:Cary5E)を用いて重合体の吸収スペクトルを測定し、その吸収末端より求めた。
[参考例1]
2,7−ジブロモ−9,9−ビス[3−エトキシカルボニル−4−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]フェニル]−フルオレン(化合物A)の合成
2,7−ジブロモ−9−フルオレノン(52.5g)、サリチル酸エチル(154.8g)、及びメルカプト酢酸(1.4g)を300mLフラスコに入れ、窒素置換した。そこに、メタンスルホン酸(630mL)を添加し、混合物を75℃で終夜撹拌した。混合物を放冷し、氷水に添加して1時間撹拌した。生じた固体をろ別し、加熱したアセトニトリルで洗浄した。洗浄済みの該固体をアセトンに溶解させ、得られたアセトン溶液から固体を再結晶させ、ろ別した。得られた固体(62.7g)、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−p−トルエンスルホネート(86.3g)、炭酸カリウム(62.6g)、及び18−クラウン−6(7.2g)をN、N−ジメチルホルムアミド(DMF)(670 mL)に溶解させ、溶液をフラスコへ移して105℃で終夜撹拌した。得られた混合物を室温まで放冷し、氷水へ加え、1時間撹拌した。反応液にクロロホルム(300mL)を加えて分液抽出を行い、溶液を濃縮することで、2,7−ジブロモ−9,9−ビス[3−エトキシカルボニル−4−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]フェニル]−フルオレン(化合物A)(51.2g)を得た。
Figure 2012043782
[参考例2]
2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル-1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ビス[3−エトキシカルボニル−4−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]フェニル]−フルオレン(化合物B)の合成
窒素雰囲気下、化合物A(15g)、ビス(ピナコラート)ジボロン(8.9g)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン錯体(0.8g)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(0.
5g)、酢酸カリウム(9.4g)、ジオキサン(400mL)を混合し、110℃に加熱し、10時間加熱還流させた。放冷後、反応液をろ過し、ろ液を減圧濃縮した。反応混合物をメタノールで3回洗浄した。沈殿物をトルエンに溶解させ、溶液に活性炭を加えて攪拌した。その後、ろ過を行い、ろ液を減圧濃縮することで、2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル-1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ビス[3−エトキシカルボニル−4−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]フェニル]−フルオレン(化合物B)(11.7g)を得た。
Figure 2012043782
[参考例3]
ポリ[9,9−ビス[3−エトキシカルボニル−4−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]フェニル]−フルオレン](重合体A)の合成
不活性雰囲気下、化合物A(0.55g)、化合物B(0.61g)、トリフェニルホスフィンパラジウム(0.01g)、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(アルドリッチ製、商品名Aliquat336(登録商標))(0.20g)、及びトルエン(10mL)を混合し、105℃に加熱した。この反応液に2M 炭酸ナトリウム水溶液(6mL)を滴下し、8時間還流させた。反応液に4−t−ブチルフェニルボロン酸(0.01g)を加え、6時間還流させた。次いで、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液(10mL、濃度:0.05g/mL)を加え、2時間撹拌した。混合溶液をメタノール300mL中に滴下して1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過して2時間減圧乾燥させ、テトラヒドロフラン20mLに溶解させた。得られた溶液をメタノール120ml、3重量%酢酸水溶液50mLの混合溶媒中に滴下して1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過し、テトラヒドロフラン20mLに溶解させた。こうして得られた溶液をメタノール200mLに滴下して30分攪拌した後、析出した沈殿をろ過して固体を得た。得られた固体をテトラヒドロフランに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを通すことにより精製した。カラムから回収したテトラヒドロフラン溶液を濃縮した後、メタノール(200mL)に滴下し、析出した固体をろ過し、乾燥させた。得られたポリ[9,9−ビス[3−エトキシカルボニル−4−ビス[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]フェニル]−フルオレン](重合体A)の収量は520mgであった。
重合体Aのポリスチレン換算の数平均分子量は5.2×104であった。重合体Aは、式(A)で表される構造単位からなる。
Figure 2012043782
[実験例1]
重合体Aセシウム塩の合成
重合体A(200mg)を100mLフラスコに入れ、窒素置換した。テトラヒドロフラン(20mL)、及びエタノール(20mL)を添加し、混合物を55℃に昇温した。そこに、水酸化セシウム(200mg)を水(2mL)に溶解させた水溶液を添加し、55℃で6時間撹拌した。混合物を室温まで冷却した後、反応溶媒を減圧留去した。生じた固体を水で洗浄し、減圧乾燥させることで薄黄色の固体(150mg)を得た。NMRスペクトルにより、重合体A内のエチルエステル部位のエチル基由来のシグナルが完全に消失していることを確認した。得られた重合体Aのセシウム塩を共役高分子化合物1と呼ぶ。共役高分子化合物1は式(B)で表される構造単位からなる(「全構造単位中の、式(1)で表される基及び式(2)で表される基からなる群から選ばれる1種以上の基と式(3)で表される1種以上の基とを含む構造単位の割合」及び「全構造単位中の、式(13)、(15)、(17)、(20)で表される構造単位の割合」は、100モル%である。)。共役高分子化合物1のHOMOの軌道エネルギーは−5.5eV、LUMOの軌道エネルギーは−2.7eVであった。
Figure 2012043782
[実験例2]
重合体Aカリウム塩の合成
重合体A(200mg)を100mLフラスコに入れ、窒素置換した。テトラヒドロフラン(20mL)、及びメタノール(10mL)を混合し、混合溶液に、水酸化カリウム(400mg)を水(2mL)に溶解させた水溶液を添加し、65℃で1時間撹拌した。反応溶液にメタノール50mLを加え、さらに65℃で4時間攪拌した。混合物を室温まで冷却した後、反応溶媒を減圧留去した。生じた固体を水で洗浄し、減圧乾燥させることで薄黄色の固体(131mg)を得た。NMRスペクトルにより、重合体A内のエチルエステル部位のエチル基由来のシグナルが完全に消失していることを確認した。得られた重合体Aのカリウム塩を共役高分子化合物2と呼ぶ。共役高分子化合物2は式(C)で表される構造単位からなる(「全構造単位中の、式(1)で表される基及び式(2)で表される基からなる群から選ばれる1種以上の基と式(3)で表される1種以上の基とを含む構造単位の割合」及び「全構造単位中の、式(13)、(15)、(17)、(20)で表される構造単位の割合」は、100モル%である。)。共役高分子化合物2のHOMOの軌道エネルギーは−5.5eV、LUMOの軌道エネルギーは−2.7eVであった。
Figure 2012043782
[実験例3]
重合体Aナトリウム塩の合成
重合体A(200mg)を100mLフラスコに入れ、窒素置換した。テトラヒドロフラン(20mL)、及びメタノール(10mL)を混合し、混合溶液に、水酸化ナトリウム(260mg)を水(2mL)に溶解させた水溶液を添加し、65℃で1時間撹拌した。反応溶液にメタノール30mLを加え、さらに65℃で4時間攪拌した。混合物を室温まで冷却した後、反応溶媒を減圧留去した。生じた固体を水で洗浄し、減圧乾燥させることで薄黄色の固体(123mg)を得た。NMRスペクトルにより、重合体A内のエチルエステル部位のエチル基由来のシグナルが完全に消失していることを確認した。得られた重合体Aのナトリウム塩を共役高分子化合物3と呼ぶ。共役高分子化合物3は式(D)で表される構造単位からなる(「全構造単位中の、式(1)で表される基及び式(2)で表される基からなる群から選ばれる1種以上の基と式(3)で表される1種以上の基とを含む構造単位の割合」及び「全構造単位中の、式(13)、(15)、(17)、(20)で表される構造単位の割合」は、100モル%である。)。共役高分子化合物3のHOMOの軌道エネルギーは−5.6eV、LUMOの軌道エネルギーは−2.8eVであった。
Figure 2012043782
[実験例4]
重合体Aアンモニウム塩の合成
重合体A(200mg)を100mLフラスコに入れ、窒素置換した。テトラヒドロフラン(20mL)、及びメタノール(15mL)を混合し、混合溶液にテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(50mg)を水(1mL)に溶解させた水溶液を添加し、65℃で6時間撹拌した。反応溶液にテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(50mg)を水(1mL)に溶解させた水溶液を加え、さらに65℃で4時間攪拌した。混合物を室温まで冷却した後、反応溶媒を減圧留去した。生じた固体を水で洗浄し、減圧乾燥させることで薄黄色の固体(150mg)を得た。NMRスペクトルにより、重合体A内のエチルエステル部位のエチル基由来のシグナルが90%消失していることを確認した。得られた重合体Aのアンモニウム塩を共役高分子化合物4と呼ぶ。共役高分子化合物4は式(E)で表される構造単位からなる(「全構造単位中の、式(1)で表される基及び式(2)で表される基からなる群から選ばれる1種以上の基と式(3)で表される1種以上の基とを含む構造単位の割合」及び「全構造単位中の、式(13)、(15)、(17)、(20)で表される構造単位の割合」は、90モル%である。)。共役高分子化合物4のHOMOの軌道エネルギーは−5.6eV、LUMOの軌道エネルギーは−2.8eVであった。
Figure 2012043782
[参考例4]
2,7−ビス[7−(4−メチルフェニル)−9,9−ジオクチルフルオレン−2−イル]−9,9−ビス[3−エトキシカルボニル−4−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]フェニル]−フルオレン(重合体B)の合成
不活性雰囲気下、化合物A(0.52g)、2,7−ビス(1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ジオクチルフルオレン(1.29g)、トリフェニルホスフィンパラジウム(0.0087g)、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(アルドリッチ製、商品名Aliquat336(登録商標))(0.20g)、トルエン(10mL)、及び2M炭酸ナトリウム水溶液(10mL)を混合し、80℃に加熱した。反応液を3.5時間反応させた。その後、そこに、パラブロモトルエン(0.68g)を加えて、更に2.5時間反応させた。反応後、反応液を室温まで冷却し、酢酸エチル50mL/蒸留水50mLを加えて水層を除去した。再び蒸留水50mLを加えて水層を除去した後、乾燥剤として硫酸マグネシウムを加えて、不溶物をろ過して、有機溶媒を除去した。その後、得られた残渣を再びTHF10mLに溶かして、飽和ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム水2mLを添加して、30分間撹拌した後、有機溶媒を除去した。アルミナカラム(展開溶媒 ヘキサン:酢酸エチル=1:1、v/v)を通して精製を行い、析出した沈殿をろ過して12時間減圧乾燥させたところ、2,7−ビス[7−(4−メチルフェニル)−9,9−ジオクチルフルオレン−2−イル]−9,9−ビス[3−エトキシカルボニル−4−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]フェニル]−フルオレン(重合体B)が524mg得られた。
重合体Bのポリスチレン換算の数平均分子量は、2.0×10であった。なお、重合体Bは、式(F)で表される。
Figure 2012043782
[実験例5]
重合体Bセシウム塩の合成
重合体B(262mg)を100mLフラスコに入れ、アルゴン置換した。そこに、テトラヒドロフラン(10mL)、及びメタノール(15mL)を添加し、混合物を55℃に昇温した。そこに、水酸化セシウム(341mg)を水(1mL)に溶かした水溶液を添加し、55℃で5時間撹拌した。得られた混合物を室温まで冷却した後、反応溶媒を減圧留去した。生じた固体を水で洗浄し、減圧乾燥させることで薄黄色の固体(250mg)を得た。NMRスペクトルにより、エチルエステル部位のエチル基由来のシグナルが完全に消失していることを確認した。得られた重合体Bセシウム塩を共役高分子化合物5と呼ぶ。共役高分子化合物5は、式(G)で表される(「全構造単位中の、式(1)で表される基及び式(2)で表される基からなる群から選ばれる1種以上の基と式(3)で表される1種以上の基とを含む構造単位の割合」及び「全構造単位中の、式(13)、(15)、(17)、(20)で表される構造単位の割合」は、小数第二位で四捨五入して、33.3モル%である。)。共役高分子化合物5のHOMOの軌道エネルギーは−5.6eVであり、LUMOの軌道エネルギーは−2.6eVであった。
Figure 2012043782
[参考例5]
重合体Cの合成
不活性雰囲気下、化合物A(0.40g)、化合物B(0.49g)、N,N’−ビス(4−ブロモフェニル)−N,N’−ビス(4−t−ブチル-2,6−ジメチルフェニル)1,4−フェニレンジアミン(35mg)、トリフェニルホスフィンパラジウム(8mg)、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(アルドリッチ製、商品名Aliquat336(登録商標))(0.20g)、及びトルエン(10mL)を混合し、105℃に加熱した。この反応液に2M 炭酸ナトリウム水溶液(6mL)を滴下し、8時間還流させた。反応液にフェニルボロン酸(0.01g)を加え、6時間還流させた。次いで、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液(10mL、濃度:0.05g/mL)を加え、2時間撹拌した。混合溶液をメタノール300mL中に滴下して1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過して2時間減圧乾燥させ、テトラヒドロフラン20mLに溶解させた。得られた溶液をメタノール120ml、3重量%酢酸水溶液50mLの混合溶媒中に滴下して1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過し、テトラヒドロフラン20mLに溶解させた。こうして得られた溶液をメタノール200mLに滴下して30分攪拌した後、析出した沈殿をろ過して固体を得た。得られた固体をテトラヒドロフランに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを通すことにより精製した。カラムから回収したテトラヒドロフラン溶液を濃縮した後、メタノール(200mL)に滴下し、析出した固体をろ過し、乾燥させた。得られた重合体Cの収量は526mgであった。
重合体Cのポリスチレン換算の数平均分子量は3.6×104であった。重合体Cは、式(H)で表される構造単位からなる。
なお、N,N’−ビス(4−ブロモフェニル)−N,N’−ビス(4−t−ブチル-2,6−ジメチルフェニル)1,4−フェニレンジアミンは、例えば特開2008−74917号公報に記載されている方法で合成することができる。
Figure 2012043782
[実験例6]
重合体Cセシウム塩の合成
重合体C(200mg)を100mLフラスコに入れ、窒素置換した。テトラヒドロフラン(20mL)、及びメタノール(20mL)を添加し混合した。混合溶液に、水酸化セシウム(200mg)を水(2mL)に溶解させた水溶液を添加し、65℃で1時間撹拌した。反応溶液にメタノール30mLを加え、さらに65℃で4時間攪拌した。混合物を室温まで冷却した後、反応溶媒を減圧留去した。生じた固体を水で洗浄し、減圧乾燥させることで薄黄色の固体(150mg)を得た。NMRスペクトルにより、重合体C内のエチルエステル部位のエチル基由来のシグナルが完全に消失していることを確認した。得られた重合体Cのセシウム塩を共役高分子化合物6と呼ぶ。共役高分子化合物6は式(I)で表される構造単位からなる(「全構造単位中の、式(1)で表される基及び式(2)で表される基からなる群から選ばれる1種以上の基と式(3)で表される1種以上の基とを含む構造単位の割合」及び「全構造単位中の、式(13)、(15)、(17)、(20)で表される構造単位の割合」は、95モル%である。)。共役高分子化合物6のHOMOの軌道エネルギーは−5.3eV、LUMOの軌道エネルギーは−2.6eVであった。
Figure 2012043782
[参考例6]
重合体Dの合成
不活性雰囲気下、化合物A(0.55g)、化合物B(0.67g)、N,N’−ビス(4−ブロモフェニル)−N,N’−ビス(4−t−ブチル-2,6−ジメチルフェニル)1,4−フェニレンジアミン(0.038g)、3,7−ジブロモ−N−(4−n−ブチルフェニル)フェノキサジン 0.009g、トリフェニルホスフィンパラジウム(0.01g)、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(アルドリッチ製、商品名Aliquat336(登録商標))(0.20g)、及びトルエン(10mL)を混合し、105℃に加熱した。この反応液に2M 炭酸ナトリウム水溶液(6mL)を滴下し、2時間還流させた。反応液にフェニルボロン酸(0.004g)を加え、6時間還流させた。次いで、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液(10mL、濃度:0.05g/mL)を加え、2時間撹拌した。混合溶液をメタノール300mL中に滴下して1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過して2時間減圧乾燥させ、テトラヒドロフラン20mLに溶解させた。得られた溶液をメタノール120mL、3重量%酢酸水溶液50mLの混合溶媒中に滴下して1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過し、テトラヒドロフラン20mLに溶解させた。こうして得られた溶液をメタノール200mLに滴下して30分攪拌した後、析出した沈殿をろ過して固体を得た。得られた固体をテトラヒドロフランに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを通すことにより精製した。カラムから回収したテトラヒドロフラン溶液を濃縮した後、メタノール(200mL)に滴下し、析出した固体をろ過し、乾燥させた。得られた重合体Dの収量は590mgであった。
重合体Dのポリスチレン換算の数平均分子量は2.7×104であった。重合体Dは、式(J)で表される構造単位からなる。
なお、3,7−ジブロモ−N−(4−n−ブチルフェニル)フェノキサジンは、特開2007−70620号に記載の方法に基づいて、あるいは特開2004−137456号公報に記載の方法を参考にして、合成した。
Figure 2012043782
[実験例7]
重合体Dセシウム塩の合成
重合体D(200mg)を100mLフラスコに入れ、窒素置換した。テトラヒドロフラン(15mL)、及びメタノール(10mL)を混合した。混合溶液に、水酸化セシウム(360mg)を水(2mL)に溶解させた水溶液を添加し、65℃で3時間撹拌した。反応溶液にメタノール10mLを加え、さらに65℃で4時間攪拌した。混合物を室温まで冷却した後、反応溶媒を減圧留去した。生じた固体を水で洗浄し、減圧乾燥させることで薄黄色の固体(210mg)を得た。NMRスペクトルにより、重合体D内のエチルエステル部位のエチル基由来のシグナルが完全に消失していることを確認した。得られた重合体Dのセシウム塩を共役高分子化合物7と呼ぶ。共役高分子化合物7は式(K)で表される構造単位からなる(「全構造単位中の、式(1)で表される基及び式(2)で表される基からなる群から選ばれる1種以上の基と式(3)で表される1種以上の基とを含む構造単位の割合」及び「全構造単位中の、式(13)、(15)、(17)、(20)で表される構造単位の割合」は、90モル%である。)。共役高分子化合物7のHOMOの軌道エネルギーは−5.3eV、LUMOの軌道エネルギーは−2.4eVであった。
Figure 2012043782
[参考例7]
重合体Eの合成
不活性雰囲気下、化合物A(0.37g)、化合物B(0.82g)、1,3−ジブロモベンゼン(0.09g)、トリフェニルホスフィンパラジウム(0.01g)、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(アルドリッチ製、商品名Aliquat336(登録商標))(0.20g)、及びトルエン(10mL)を混合し、105℃に加熱した。この反応液に2M 炭酸ナトリウム水溶液(6mL)を滴下し、7時間還流させた。反応液にフェニルボロン酸(0.002g)を加え、10時間還流させた。次いで、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液(10mL、濃度:0.05g/mL)を加え、1時間撹拌した。混合溶液をメタノール300mL中に滴下して1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過して2時間減圧乾燥させ、テトラヒドロフラン20mLに溶解させた。得られた溶液をメタノール120mL、3重量%酢酸水溶液50mLの混合溶媒中に滴下して1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過し、テトラヒドロフラン20mLに溶解させた。こうして得られた溶液をメタノール200mLに滴下して30分攪拌した後、析出した沈殿をろ過して固体を得た。得られた固体をテトラヒドロフランに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを通すことにより精製した。カラムから回収したテトラヒドロフラン溶液を濃縮した後、メタノール(200mL)に滴下し、析出した固体をろ過し、乾燥させた。得られた重合体Eの収量は293mgであった。
重合体Eのポリスチレン換算の数平均分子量は1.8×104であった。重合体Eは、式(L)で表される構造単位からなる。
Figure 2012043782
[実験例8]
重合体Eセシウム塩の合成
重合体E(200mg)を100mLフラスコに入れ、窒素置換した。テトラヒドロフラン(10mL)、及びメタノール(5mL)を混合した。混合溶液に、水酸化セシウム(200mg)を水(2mL)に溶解させた水溶液を添加し、65℃で2時間撹拌した。反応溶液にメタノール10mLを加え、さらに65℃で5時間攪拌した。混合物を室温まで冷却した後、反応溶媒を減圧留去した。生じた固体を水で洗浄し、減圧乾燥させることで薄黄色の固体(170mg)を得た。NMRスペクトルにより、 重合体E内のエチルエステル部位のエチル基由来のシグナルが完全に消失していることを確認した。得られた 重合体Eのセシウム塩を共役高分子化合物8と呼ぶ。共役高分子化合物8は式(M)で表される構造単位からなる(「全構造単位中の、式(1)で表される基及び式(2)で表される基からなる群から選ばれる1種以上の基と式(3)で表される1種以上の基とを含む構造単位の割合」及び「全構造単位中の、式(13)、(15)、(17)、(20)で表される構造単位の割合」は、75モル%である。)。共役高分子化合物8のHOMOの軌道エネルギーは−5.6eV、LUMOの軌道エネルギーは−2.6eVであった。
Figure 2012043782
[参考例8]
重合体Fの合成
不活性雰囲気下、化合物B(1.01g)、1,4−ジブロモ−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン(0.30g)、トリフェニルホスフィンパラジウム(0.02g)、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(アルドリッチ製、商品名Aliquat336(登録商標))(0.20g)、及びトルエン(10mL)を混合し、105℃に加熱した。この反応液に2M 炭酸ナトリウム水溶液(6mL)を滴下し、4時間還流させた。反応液にフェニルボロン酸(0.002g)を加え、4時間還流させた。次いで、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液(10mL、濃度:0.05g/mL)を加え、1時間撹拌した。混合溶液をメタノール300mL中に滴下して1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過して2時間減圧乾燥させ、テトラヒドロフラン20mLに溶解させた。得られた溶液をメタノール120mL、3重量%酢酸水溶液50mLの混合溶媒中に滴下して1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過し、テトラヒドロフラン20mLに溶解させた。こうして得られた溶液をメタノール200mLに滴下して30分攪拌した後、析出した沈殿をろ過して固体を得た。得られた固体をテトラヒドロフラン/酢酸エチル(1/1(体積比))の混合溶媒に溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを通すことにより精製した。カラムから回収したテトラヒドロフラン溶液を濃縮した後、メタノール(200mL)に滴下し、析出した固体をろ過し、乾燥させた。得られた重合体Eの収量は343mgであった。
重合体Fのポリスチレン換算の数平均分子量は6.0×104であった。重合体Fは、式(N)で表される構造単位からなる。
Figure 2012043782
[実験例9]
重合体Fセシウム塩の合成
重合体F(150mg)を100mLフラスコに入れ、窒素置換した。テトラヒドロフラン(10mL)、及びメタノール(5mL)を混合した。混合溶液に、水酸化セシウム(260mg)を水(2mL)に溶解させた水溶液を添加し、65℃で2時間撹拌した。反応溶液にメタノール10mLを加え、さらに65℃で5時間攪拌した。混合物を室温まで冷却した後、反応溶媒を減圧留去した。生じた固体を水で洗浄し、減圧乾燥させることで薄黄色の固体(130mg)を得た。NMRスペクトルにより、重合体E内のエチルエステル部位のエチル基由来のシグナルが完全に消失していることを確認した。得られた 重合体Fのセシウム塩を共役高分子化合物9と呼ぶ。共役高分子化合物9は式(O)で表される構造単位からなる(「全構造単位中の、式(1)で表される基及び式(2)で表される基からなる群から選ばれる1種以上の基と式(3)で表される1種以上の基とを含む構造単位の割合」及び「全構造単位中の、式(13)、(15)、(17)、(20)で表される構造単位の割合」は、75モル%である。)。共役高分子化合物9のHOMOの軌道エネルギーは−5.9eV、LUMOの軌道エネルギーは−2.8eVであった。
Figure 2012043782
[参考例9]
不活性雰囲気下、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−p−トルエンスルホネート(11.0g)、トリエチレングリコール(30.0g)、水酸化カリウム(3.3g)を混合し、100℃で18時間過熱攪拌した。放冷後、反応溶液を水(100mL)に加え、クロロホルムで分液抽出を行い、溶液を濃縮した。濃縮した溶液を、クーゲルロワー蒸留(10mmTorr、180℃)することで、2−(2−(2−(2−(2−(2−メトキシエトキシ)−エトキシ)−エトキシ)−エトキシ)−エトキシ)エタノール(6.1g)を得た。
[参考例10]
不活性雰囲気下、2−(2−(2−(2−(2−(2−メトキシエトキシ)−エトキシ)−エトキシ)−エトキシ)−エトキシ)エタノール(8.0g)、水酸化ナトリウム(1.4g)、蒸留水(2mL)、テトラヒドロフラン(2mL)を混合し、氷冷した。混合溶液に、p−トシルクロリド(5.5g)のテトラヒドロフラン(6.4mL)溶液を30分かけて滴下し、滴下後反応溶液を室温に上げて15時間攪拌した。反応溶液に蒸留水(50mL)を加え、6M硫酸で反応溶液を中和した後、クロロホルムで分液抽出を行った。溶液を濃縮することで、2−(2−(2−(2−(2−(2−メトキシエトキシ)−エトキシ)−エトキシ)−エトキシ)−エトキシ)p−トルエンスルホネート(11.8g)を得た。
[参考例11]
2,7−ジブロモ−9,9−ビス[3−エトキシカルボニル−4−[2−(2−(2−(2−(2−(2−メトキシエトキシ)−エトキシ)−エトキシ)−エトキシ)−エトキシ)エトキシ]フェニル]−フルオレン(化合物C)の合成
2,7−ジブロモ−9−フルオレノン(127.2g)、サリチル酸エチル(375.2g)、及びメルカプト酢酸(3.5g)を300mLフラスコに入れ、窒素置換した。そこに、メタンスルホン酸(1420mL)を添加し、混合物を75℃で終夜撹拌した。混合物を放冷し、氷水に添加して1時間撹拌した。生じた固体をろ別し、加熱したアセトニトリルで洗浄した。洗浄済みの該固体をアセトンに溶解させ、得られたアセトン溶液から固体を再結晶させ、ろ別し固体(167.8g)を得た。得られた固体(5g)、2−(2−(2−(2−(2−(2−メトキシエトキシ)−エトキシ)−エトキシ)−エトキシ)−エトキシ)p−トルエンスルホネート(10.4g)、炭酸カリウム(5.3g)、及び18−クラウン−6(0.6g)をN、N−ジメチルホルムアミド(DMF)(100mL)に溶解させ、溶液をフラスコへ移して105℃で4時間撹拌した。得られた混合物を室温まで放冷し、氷水へ加え、1時間撹拌した。反応液にクロロホルム(300mL)を加えて分液抽出を行い、溶液を濃縮した。濃縮物を酢酸エチルに溶解させ、アルミナのカラムに通液し、溶液を濃縮することで、2,7−ジブロモ−9,9−ビス[3−エトキシカルボニル−4−[2−(2−(2−(2−(2−(2−メトキシエトキシ)−エトキシ)−エトキシ)−エトキシ)−エトキシ)エトキシ]フェニル]−フルオレン(化合物C)(4.5g)を得た。
Figure 2012043782
[参考例12]
重合体Gの合成
不活性雰囲気下、化合物C(1.0g)、4−t−ブチルフェニルブロミド(0.9mg)、2,2‘−ビピリジン(0.3g)、脱水テトラヒドロフラン(50mL)を200mLフラスコに入れ混合した。混合物を55℃に昇温した後、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0.6g)を添加し、55℃で5時間撹拌した。混合物を室温まで冷却した後、反応溶液をメタノール(200mL)、1N希塩酸(200mL)の混合液に滴下した。生じた沈殿物をろ過により収集した後、テトラヒドロフランに再溶解させた。メタノール(200mL)、15%アンモニア水(100mL)の混合液に滴下し、生じた沈殿物をろ過により収集した。沈殿物をテトラヒドロフランに再溶解させ、メタノール(200mL)、水(100mL)の混合液に滴下し、生じた沈殿物をろ過により収集した。収集した沈殿物を減圧乾燥することで重合体G(360mg)を得た。
重合体Gのポリスチレン換算の数平均分子量は6.0×104であった。重合体Gは、式(P)で表される構造単位からなる。
Figure 2012043782
[実験例10]
重合体Gセシウム塩の合成
重合体G(150mg)を100mLフラスコに入れ、窒素置換した。テトラヒドロフラン(15mL)、及びメタノール(5mL)を混合した。混合溶液に、水酸化セシウム(170mg)を水(2mL)に溶解させた水溶液を添加し、65℃で6時間撹拌した。混合物を室温まで冷却した後、反応溶媒を減圧留去した。生じた固体を水で洗浄し、減圧乾燥させることで薄黄色の固体(95mg)を得た。NMRスペクトルにより、重合体G内のエチルエステル部位のエチル基由来のシグナルが完全に消失していることを確認した。得られた重合体Gのセシウム塩を共役高分子化合物10と呼ぶ。共役高分子化合物10は式(Q)で表される構造単位からなる(「全構造単位中の、式(1)で表される基及び式(2)で表される基からなる群から選ばれる1種以上の基と式(3)で表される1種以上の基とを含む構造単位の割合」及び「全構造単位中の、式(13)、(15)、(17)、(20)で表される構造単位の割合」は、100モル%である。)。共役高分子化合物10のHOMOの軌道エネルギーは−5.7eV、LUMOの軌道エネルギーは−2.9eVであった。
Figure 2012043782
[参考例13]
1,3−ジブロモ−5−エトキシカルボニル−6−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]ベンゼンの合成
不活性雰囲気下、3,5−ジブロモサリチル酸(20g)、エタノール(17mL)、濃硫酸(1.5mL)、トルエン(7mL)を混合し、130℃で20時間過熱攪拌した。放冷後、反応溶液を氷水(100mL)に加え、クロロホルムで分液抽出を行い、溶液を濃縮した。得られた固体を、イソプロパノールに溶解し、溶液を蒸留水に滴下した。得られた析出物をろ別することにより、固体(18g)を得た。不活性雰囲気下、得られた固体(1g)、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−p−トルエンスルホネート(1.5g)、炭酸カリウム(0.7g)、DMF(15mL)を混合し、100℃で4時間過熱攪拌した。放冷後、クロロホルムを加えて分液抽出し、溶液を濃縮した。濃縮物をクロロホルムに溶解させ、シリカゲルカラムに通液することにより精製した。溶液を濃縮することにより、1,3−ジブロモ−5−エトキシカルボニル−6−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]ベンゼン(1.0g)を得た。
[参考例14]
重合体Hの合成
不活性雰囲気下、化合物A(0.2g)、化合物B(0.5g)、1,3−ジブロモ−5−エトキシカルボニル−6−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]ベンゼン(0.1g)、トリフェニルホスフィンパラジウム(30mg)、テトラブチルアンモニウムブロミド(4mg)、及びトルエン(19mL)を混合し、105℃に加熱した。この反応液に2M 炭酸ナトリウム水溶液(5mL)を滴下し、5時間還流させた。反応液にフェニルボロン酸(6mg)を加え、14時間還流させた。次いで、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液(10mL、濃度:0.05g/mL)を加え、2時間撹拌した。水層を除去して有機層を蒸留水で洗浄し、濃縮して得られた固体をクロロホルムに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを通すことにより精製した。カラムからの溶出液を濃縮して乾燥させた。得られた重合体Hの収量は0.44gであった。
重合体Hのポリスチレン換算の数平均分子量は3.6×104であった。重合体Hは、式(R)で表される構造単位からなる。
Figure 2012043782
[実験例11]
重合体Hセシウム塩の合成
重合体H(200mg)を100mLフラスコに入れ、窒素置換した。テトラヒドロフラン(14mL)、及びメタノール(7mL)を添加し混合した。混合溶液に、水酸化セシウム(90mg)を水(1mL)に溶解させた水溶液を添加し、65℃で1時間撹拌した。反応溶液にメタノール5mLを加え、さらに65℃で4時間攪拌した。混合物を室温まで冷却した後、反応溶媒を減圧留去した。生じた固体を水で洗浄し、減圧乾燥させることで薄黄色の固体(190mg)を得た。NMRスペクトルにより、重合体H内のエチルエステル部位のエチル基由来のシグナルが完全に消失していることを確認した。得られた重合体Hのセシウム塩を共役高分子化合物11と呼ぶ。共役高分子化合物11は式(S)で表される構造単位からなる(「全構造単位中の、式(1)で表される基及び式(2)で表される基からなる群から選ばれる1種以上の基と式(3)で表される1種以上の基とを含む構造単位の割合」及び「全構造単位中の、式(13)、(15)、(17)、(20)で表される構造単位の割合」は、100モル%である。)。共役高分子化合物11のHOMOの軌道エネルギーは−5.6eV、LUMOの軌道エネルギーは−2.8eVであった。
Figure 2012043782
[参考例15]
2,7−ジブロモ−9,9−ビス[3,4−ビス[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]−5−メトキシカルボニルフェニル]フルオレン (化合物D)の合成
2,7−ジブロモ−9−フルオレノン(34.1g)、2,3-ジヒドロキシ安息香酸メチル(101.3g)、及びメルカプト酢酸(1.4g)を500mLフラスコに入れ、窒素置換した。そこに、メタンスルホン酸(350mL)を添加し、混合物を90℃で19時間撹拌した。混合物を放冷し、氷水に添加して1時間撹拌した。生じた固体をろ別し、加熱したアセトニトリルで洗浄した。洗浄済みの該固体をアセトンに溶解させ、得られたアセトン溶液から固体を再結晶させ、ろ別した。得られた固体(16.3g)、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−p−トルエンスルホネート(60.3g)、炭酸カリウム(48.6g)、及び18−クラウン−6(2.4g)をN、N−ジメチルホルムアミド(DMF)(500mL)に溶解させ、溶液をフラスコへ移して110℃で15時間撹拌した。得られた混合物を室温まで放冷し、氷水へ加え、1時間撹拌した。反応液に酢酸エチル(300mL)を加えて分液抽出を行い、溶液を濃縮し、クロロホルム/メタノール(50/1(体積比))の混合溶媒に溶解させ、シリカゲルカラムを通すことにより精製した。カラムに通液した溶液を濃縮することで、2,7−ジブロモ−9,9−ビス[3,4−ビス[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]−5−メトキシカルボニルフェニル]フルオレン (化合物D)(20.5g)を得た。
[参考例16]
2,7−ビス[7−(4−メチルフェニル)−9,9−ジオクチルフルオレン−2−イル]−9,9−ビス[5−メトキシカルボニル−3,4−ビス[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]フェニル]−フルオレン(重合体I)の合成
不活性雰囲気下、化合物D(0.70g)、2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,2,3−ジオキサボラン−2−イル)−9,9−ジオクチルフルオレン (0.62g) 、トリフェニルホスフィンパラジウム(0.019g)、ジオキサン(40mL)、水(6mL)及び炭酸カリウム水溶液(1.38g)を混合し、80℃に加熱した。反応液を1時間反応させた。反応後、飽和ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム水5mLを添加して、30分間撹拌した後、有機溶媒を除去した。得られた固体をアルミナカラム(展開溶媒 ヘキサン:酢酸エチル=1:1(体積比))を通して精製を行い、溶液を濃縮することで、2,7−ビス[7−(4−メチルフェニル)−9,9−ジオクチルフルオレン−2−イル]−9,9−ビス[3−エトキシカルボニル−4−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]フェニル]−フルオレン(重合体I)を660mg得た。
重合体Iのポリスチレン換算の数平均分子量は、2.0×10であった。重合体Iは、式(T)で表される。なお、2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,2,3−ジオキサボラン−2−イル)−9,9−ジオクチルフルオレンは、例えば、The Journal of Physical Chemistry B 2000, 104, 9118−9125に記載されている方法で合成することができる。
Figure 2012043782
[実験例12]
重合体Iセシウム塩の合成
重合体I(236mg)を100mLフラスコに入れ、アルゴン置換した。そこに、テトラヒドロフラン(20mL)、及びメタノール(10mL)を添加し、混合物を65℃に昇温した。そこに、水酸化セシウム(240mg)を水(2mL)に溶かした水溶液を添加し、65℃で7時間撹拌した。得られた混合物を室温まで冷却した後、反応溶媒を減圧留去した。生じた固体を水で洗浄し、減圧乾燥させることで薄黄色の固体(190mg)を得た。NMRスペクトルにより、エチルエステル部位のエチル基由来のシグナルが完全に消失していることを確認した。得られた重合体Iセシウム塩を共役高分子化合物12と呼ぶ。共役高分子化合物12は、式(U)で表される(「全構造単位中の、式(1)で表される基及び式(2)で表される基からなる群から選ばれる1種以上の基と式(3)で表される1種以上の基とを含む構造単位の割合」及び「全構造単位中の、式(13)、(15)、(17)、(20)で表される構造単位の割合」は、小数第二位で四捨五入して、33.3モル%である。)。共役高分子化合物12のHOMOの軌道エネルギーは−5.6eVであり、LUMOの軌道エネルギーは−2.8eVであった。
Figure 2012043782
[参考例17]
化合物Eの合成
窒素雰囲気下、2,7−ジブロモ−9−フルオレノン(92.0g、272mmol)、及びジエチルエーテル(3.7L)を混合して0℃に冷却し、1mol/Lヨウ化メチルマグネシウム−ジエチルエーテル溶液(0.5L、545mmol)を滴下して3時間撹拌した。反応混合物に塩化アンモニウム水溶液を加えて水層を除去し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥して減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物E(92.81g、262mmol、収率96%)を得た。
Figure 2012043782
[参考例18]
化合物Fの合成
窒素雰囲気下、化合物E(83.0g、234mmol)、p−トルエンスルホン酸一水和物(4.49g、23.6mmol)、及びクロロホルム(2.5L)を1時間還流し、反応混合物に塩化アンモニウム水溶液を加えて水層を除去した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥して減圧濃縮し、化合物F(73.6g、219mmol、収率93%)を得た。
Figure 2012043782
[参考例19]
化合物Gの合成
窒素雰囲気下、化合物F(70.0g、208mmol)、サリチル酸エチル(104g、625mmol)、メルカプト酢酸(4.20g、45.6mmol)、及びメタンスルホン酸(1214g)を70℃で8時間撹拌し、反応混合物を氷水に滴下して析出した固体をろ過で回収し、メタノールで洗浄した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物G(52.14g、104mmol、収率50%)を得た。
Figure 2012043782
[参考例20]
化合物Hの合成
窒素雰囲気下、化合物G(41.2g、82.0mmol)、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−エチル−p−トルエンスルホネート(75.8g、238mmol)、ジメチルホルムアミド(214g)、炭酸カリウム(54.4g、394mmol)、及び18−クラウン−6(4.68g、18mmol)を105℃で2時間撹拌し、反応混合物を水に加え酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物H(40.2g、62.0mmol、収率76%)を得た。
H NMR(400MHz,CDCl,rt)
δ(ppm) 1.37(3H),1.84(3H),3.36(3H),3.53(2H),3.58−3.79(6H),3.73(2H),4.12(2H),4.34(2H),6.80(1H),6.90(1H),7.28(2H),7.48(2H),7.58(2H),7.70(1H).
Figure 2012043782
[参考例21]
化合物Iの合成
窒素雰囲気下、化合物H(28.4g、43.8mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(24.30g、95.7mol)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリドのジクロロメタン付加物(0.35g、0.4mmol)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(0.24g、0.4mmol)、酢酸カリウム(25.60g、260mmol)、及び1,4−ジオキサン(480mL)を120℃で17時間撹拌し、反応混合物をろ過して酢酸エチルで洗浄した。ろ液を減圧濃縮してシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、次いで再結晶で精製して化合物I(18.22g、24.5mmol、収率56%)を得た。
H NMR(400MHz,CDCl,rt)
δ(ppm) 1.30−1.47(27H),1.88(3H),3.35(3H),3.53(2H),3.60−3.69(4H),3.73(2H),3.84(2H),4.10(2H),4.34(2H),6.74(1H),6.87(1H),7.58(2H),7.72−7.89(5H).
Figure 2012043782
[参考例22]
重合体Jの合成
アルゴン雰囲気下、化合物H(0.47g)、化合物I(0.48g)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.6mg)、テトラブチルアンモニウムブロミド(6mg)、トルエン(6mL)、2mol/L炭酸ナトリウム水溶液(2mL)を105℃で6時間撹拌し、次いでフェニルボロン酸(35mg)を加え105℃で14時間撹拌した。反応混合物にジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム三水和物(0.65g)と水(13mL)を加えて80℃で2時間撹拌し、混合物をメタノールに滴下し析出物をろ過で回収して乾燥した。固体をクロロホルムに溶解させ、アルミナ、及びシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、溶出液をメタノールに滴下し析出物をろ過で回収して乾燥し、重合体J(0.57g)を得た。
重合体Jのポリスチレン換算の数平均分子量は2.0×104であった。重合体Jは、式(V)で表される構造単位からなる。
Figure 2012043782
[実験例13]
重合体Jセシウム塩の合成
アルゴン雰囲気下、重合体J(0.20g)、THF(18mL)、メタノール(9mL)、水酸化セシウム一水和物(97mg)、及び水(1mL)を65℃で2時間撹拌し、次いでメタノール(52mL)を加え65℃で6時間撹拌した。反応混合物を濃縮して乾燥し、固体にメタノールを加えてろ過し、ろ液をイソプロパノールに滴下し固体をろ過で回収して乾燥し、重合体Jセシウム塩(0.20g)を得た。得られた重合体Jセシウム塩を共役高分子化合物13と呼ぶ。共役高分子化合物13は、式(W)で表される構造単位からなる。
Figure 2012043782
共役高分子化合物13のHOMOの軌道エネルギーは−5.51eV、LUMOの軌道エネルギーは−2.64eVであった。
[参考例23]
化合物Jの合成
窒素気流下、2,7−ジブロモ−9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシ)−フルオレン(138.4g)、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−エチル−p−トルエンスルホネート(408.6g)、炭酸カリウム(358.5g)及びアセトニトリル(2.5L)を混合し、3時間加熱還流した。放冷後、反応混合物をろ別し、ろ液を減圧濃縮してシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し化合物J(109.4)を得た。
Figure 2012043782
[参考例24]
化合物Kの合成
窒素雰囲気下、化合物J(101.2g)、ビス(ピナコラト)ジボロン(53.1g)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン錯体(3.7g)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(5.4g)、酢酸カリウム(90.6g)及びジオキサン(900mL)を混合し、110℃に加熱し、8時間加熱還流させた。放冷後、反応液をろ過し、ろ液を減圧濃縮してシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して化合物K(51.4g)を得た。
Figure 2012043782
[参考例25]
重合体Kの合成
化合物K(0.715g)、化合物J(0.426g)、aliquot336(6.60mg)、ビス(トリフェニルホスフィン)ジクロロパラジウム(0.460mg)、2mol/L炭酸ナトリウム水溶液(10mL)、トルエン(20mL)を加えて、105℃で5時間撹拌し、次いでフェニルボロン酸(32mg)を加え105℃で6時間撹拌した。反応混合物にジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム三水和物(0.72g)と水(14mL)を加えて80℃で2時間撹拌し、混合物をメタノールに滴下し析出物をろ過で回収して乾燥した。固体をクロロホルムに溶解させ、アルミナ、及びシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、溶出液を濃縮し乾燥させた。濃縮物をトルエンに溶解させて、メタノールに滴下し析出物をろ過で回収して乾燥し、重合体K(0.55g)を得た。
重合体Kのポリスチレン換算の数平均分子量は2.3×104であった。重合体Kは、式(X)で表される構造単位からなる。
Figure 2012043782
[実験例14]
重合体Kセシウム塩の合成
アルゴン雰囲気下、重合体K(0.15g)、THF(20mL)、メタノール(10mL)、水酸化セシウム一水和物(103mg)、及び水(1mL)を65℃で2時間撹拌し、次いでメタノール(20mL)を加え65℃で2時間撹拌した。反応混合物を濃縮して乾燥し、固体にメタノールを加えてろ過した。得られたろ液を濃縮して乾燥し、得られた固体を水で洗浄した後、乾燥させることで、重合体Kのセシウム塩(0.14g)を得た。得られた重合体Kのセシウム塩を共役高分子化合物14と呼ぶ。共役高分子化合物14は、式(Y)で表される構造単位からなる。
Figure 2012043782
共役高分子化合物14のHOMOの軌道エネルギーは−5.56eV、LUMOの軌道エネルギーは−2.67eVであった。
[参考例26]
化合物Lの合成
窒素雰囲気下、5−ブロモ−2−ヒドロキシ安息香酸(92.85g)、エタノール(1140mL)、及び濃硫酸(45mL)を48時間還流し、減圧濃縮した後に酢酸エチル(1000mL)を加え、水及び10重量%炭酸ナトリウム水溶液で有機層を洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物L(95.38g、収率91%)を得た。
Figure 2012043782
[参考例27]
化合物Mの合成
窒素雰囲気下、化合物L(95.0g)、ビス(ピナコラト)ジボロン(108.5g)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリドのジクロロメタン付加物(3.3g)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(2.2g)、酢酸カリウム(117.2g)、及び1,4−ジオキサン(1.3L)を105℃で22時間撹拌し、反応混合物をろ過してジオキサン及びトルエンで洗浄した。ろ液を減圧濃縮して酢酸エチルを加え、飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥して減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物M(90.1g、308mmol)を得た。
Figure 2012043782
[参考例28]
化合物Nの合成
窒素雰囲気下、1,5−ジヒドロキシナフタレン(15.0g)、トリエチルアミン(28.5g)、及びクロロホルム(150mL)を混合して0℃に冷却し、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(68.7g)を滴下して1時間撹拌した。反応混合物に水、及びクロロホルムを加えて水層を除去し、有機層を水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥して減圧濃縮し、得られた固体を再結晶で精製し、化合物N(31.46g)を得た。下記式中、Tfはトリフルオロメチルスルホニル基を示す。
Figure 2012043782
[参考例29]
化合物Oの合成
窒素雰囲気下、化合物N(16.90g)、化合物M(23.30g)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(4.60g)、リン酸カリウム(42.30g)、及び1,2−ジメトキシエタン(340mL)を80℃で14時間撹拌し、反応混合物をろ過してクロロホルム及びメタノールで洗浄した。ろ液を減圧濃縮してシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物O(8.85g)を得た。
Figure 2012043782
[参考例30]
化合物Pの合成
窒素雰囲気下、化合物O(8.80g)、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−エチル−p−トルエンスルホネート(12.52g)、ジメチルホルムアミド(380mL)、炭酸カリウム(13.32g)、及び18−クラウン−6(1.02g)を100℃で23時間撹拌し、反応混合物を水に加え酢酸エチルで抽出した。有機層を塩化ナトリウム水溶液で洗浄して無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物P(7.38g)を得た。
Figure 2012043782
[参考例31]
化合物Qの合成
窒素雰囲気下、化合物P(5.53g)、ビス(ピナコラト)ジボロン(11.25g)、(1,5−シクロオクタジエン)(メトキシ)イリジウム(I)二量体(0.15g、シグマアルドリッチ社製)、4,4’−ジ−tert−ブチル−2,2’−ジピリジル(0.12g、シグマアルドリッチ社製)、及び1,4−ジオキサン(300mL)を110℃で19時間撹拌し、反応混合物を減圧濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、次いで再結晶で精製して化合物Q(5.81g)を得た。
H NMR(400MHz,CDCl,rt)
δ(ppm) 1.27−1.41(30H),3.39(6H),3.57(4H),3.66−3.75(8H),3.83(4H),3.99(4H),4.27−4.42(8H),7.13(2H),7.60(2H),7.76(2H),7.93(2H),8.30(2H).
Figure 2012043782
[参考例32]
重合体Lの合成
アルゴン雰囲気下、化合物J(0.53g)、化合物Q(0.43g)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.3mg)、Aliquat336(5mg、シグマアルドリッチ社製)、トルエン(12mL)、2mol/L炭酸ナトリウム水溶液(1mL)を105℃で9時間撹拌し、次いでフェニルボロン酸(23mg)を加え105℃で14時間撹拌した。反応混合物にジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム三水和物(0.40g)と水(8mL)を加えて80℃で2時間撹拌し、混合物をメタノールに滴下し析出物をろ過で回収して乾燥した。固体をクロロホルムに溶解させ、アルミナ、及びシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、溶出液をメタノールに滴下し析出物をろ過で回収して乾燥し、重合体L(0.56g)を得た。
重合体Lのポリスチレン換算の数平均分子量は3.4×104であった。重合体Lは、式(Z)で表される構造単位からなる。
Figure 2012043782
[実験例15]
重合体Lセシウム塩の合成
アルゴン雰囲気下、重合体L(0.25g)、THF(13mL)、メタノール(6mL)、水酸化セシウム一水和物(69mg)、及び水(1mL)を65℃で6時間撹拌し、反応混合物を濃縮してイソプロパノールに滴下し、固体をろ過で回収して乾燥した。固体にメタノールを加えてろ過し、ろ液をイソプロパノールに滴下し固体をろ過で回収して乾燥し、重合体Lセシウム塩(0.19g)を得た。得られた重合体Lセシウム塩を共役高分子化合物15と呼ぶ。共役高分子化合物15は、式(AA)で表される構造単位からなる。
Figure 2012043782
共役高分子化合物15のHOMOの軌道エネルギーは−5.50eV、LUMOの軌道エネルギーは−2.65eVであった。
[実験例16]
メタノールと共役高分子化合物1とを混合し、0.2重量%の共役高分子化合物1を含む組成物を得た。ガラス基板表面に成膜パターニングされたITO陰極(膜厚:45nm)上に、前記組成物を大気中でスピンコート法により塗布し、膜厚10nmの塗膜を得た。この塗膜を設けた基板を常圧の不活性雰囲気下(窒素雰囲気下)、130℃で10分間加熱し、溶媒を蒸発させた後、室温まで自然冷却させ、共役高分子化合物1を含む電子注入層が形成された基板を得た。
次に、発光高分子材料(サメイション(株)製、商品名「Lumation BP361」)とキシレンとを混合し、1.4重量%の発光高分子材料を含む発光層形成用組成物を得た。上記で得た共役高分子化合物1を含む層が形成された基板の共役高分子化合物1を含む層の上に、発光層形成用組成物を大気中でスピンコート法により塗布し、膜厚80nmの塗膜を得た。この塗膜を設けた基板を不活性雰囲気下(窒素雰囲気下)、130℃で15分間加熱し、溶媒を蒸発させた後、室温まで自然冷却させ、発光層が形成された基板を得た。
次に、上記で得た発光層が形成された基板の発光層の上に、正孔注入材料溶液を大気中でスピンコート法により塗布し、膜厚60nmの塗膜を得た。この塗膜を設けた基板を不活性雰囲気下(窒素雰囲気下)、130℃で15分間加熱し、溶媒を蒸発させた後、室温まで自然冷却させ、正孔注入層が形成された基板を得た。ここで正孔注入材料溶液には、スタルクヴイテック(株)製PEDOT:PSS溶液(ポリ(3,4‐エチレンジオキシチオフェン)・ポリスチレンスルホン酸、製品名「Baytron」)を用いた。
上記で得た正孔注入層が形成された基板を真空装置内に挿入し、真空蒸着法によって該層の上にAuを80nm成膜し、陽極を形成させて、積層構造体1を製造した。
上記で得た積層構造体2を真空装置より取り出し、不活性雰囲気下(窒素雰囲気下)で、封止ガラスと2液混合型エポキシ樹脂にて封止し、有機EL素子1を得た。
上記で得られた有機EL素子1に10Vの順方向電圧を印加し、発光輝度と発光効率を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2012043782
[実験例17]
〈両面発光型の有機EL素子の作製〉
実験例16において、Auの膜厚を20nmとした以外は、実験例16と同様に操作し、両面発光型の有機EL素子2を得た。
上記で得られた両面発光型の有機EL素子2に15Vの順方向電圧を印加し、発光輝度と発光効率を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2012043782
表1および2で示すように、大気中において塗布プロセスでイオン性ポリマーを成膜し、電子注入層を形成した逆積層の有機EL素子が、発光することを確認した。
本発明の、有機EL素子からなる複数の画素を有する有機ELディスプレイ装置に用いられる上述のイオン性ポリマーは、電荷の注入性や輸送性に優れ、常圧程度の雰囲気中で安定であり、容易に溶液とすることができ、常圧程度の雰囲気中で塗布により成膜化することができる。したがって、該イオン性ポリマーを含む層を有機EL素子の電子注入層に用いた場合、製造コストの低減が可能であって、製造プロセスにおける安定性を確保することが可能な、有機ELディスプレイ装置の製造方法および該製造方法によって得られる有機ELディスプレイ装置を提供することができる。
[有機EL素子の構成]
まず、本発明の有機ELディスプレイ装置の画素に用いる有機EL素子について説明する。本発明に用いる有機EL素子の構造としては、少なくとも一方が透明又は半透明である一対の陽極及び陰極からなる電極間に、少なくとも1つの発光層と、該発光層と前記陰極との間に電子注入層を有するものであり、発光層には低分子及び/又は高分子の有機発光材料が用いられ、電子注入層には、上述のイオン性ポリマーが用いられる。
有機EL素子において、陰極、陽極、発光層以外の層としては、陰極と発光層の間に設けるもの、陽極と発光層の間に設けるものが挙げられる。
陰極と発光層の間に設けるものとしては、上記電子注入層の他に、電子輸送層、正孔ブロック層等が挙げられる。
例えば陰極と発光層の間に一層のみ設けた場合は電子注入層であり、陰極と発光層の間に二層以上設けた場合は陰極に接している層を電子注入層とし、それ以外の層は電子輸送層と称する。
電子注入層は、陰極からの電子注入効率を改善する機能を有する層であり、電子輸送層は、電子注入層又は陰極により近い電子輸送層からの電子注入を改善する機能を有する層である。
また、電子注入層、若しくは電子輸送層が正孔の輸送を堰き止める機能を有する場合には、これらの層を正孔ブロック層と称することがある。
正孔の輸送を堰き止める機能を有することは、例えば、ホール電流のみを流す素子を作製し、その電流値の減少で堰き止める効果を確認することが可能である。
陽極と発光層の間に設けるものとしては、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層等が挙げられる。
陽極と発光層の間に一層のみ設けた場合は正孔注入層であり、陽極と発光層の間に二層以上設けた場合は陽極に接している層を正孔注入層とし、それ以外の層は正孔輸送層と称する。正孔注入層は、陰極からの正孔注入効率を改善する機能を有する層であり、正孔輸送層とは、正孔注入層又は陽極により近い正孔輸送層からの正孔注入を改善する機能を有する層である。また、正孔注入層、又は正孔輸送層が電子の輸送を堰き止める機能を有する場合には、これらの層を電子ブロック層と称することがある。
電子の輸送を堰き止める機能を有することは、例えば、電子電流のみを流す素子を作製し、その電流値の減少で堰き止める効果を確認することが可能である。
また、本発明の有機ELディスプレイ装置の画素に用いる有機EL素子としては、陰極と発光層の間に電子注入層を設けた構造に加えて、さらに、陰極と発光層との間に、電子輸送層を設けた有機EL素子、陽極と発光層との間に、正孔輸送層を設けた有機EL素子、陽極と発光層との間に、正孔輸送層と正孔注入層を設けた有機EL素子等が挙げられる。
例えば、具体的には、以下のa)〜j)の構造が例示される。
a)陽極/発光層/電子注入層/陰極
b)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極
c)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
d)陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
e)陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
f)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(ここで、/は各層が隣接して積層されていることを示す。以下同じ。)
積層する層の順番や数、及び各層の厚さについては、発光効率や素子寿命を勘案して適宜設定することができる。
[有機ELディスプレイ装置の構成(一実施形態)]
次に、本発明に係る有機ELディスプレイ装置の一実施形態の概略構成を図1を参照しつつ説明する。
(基板)
基板1としては、いわゆるトップエミッション型の有機ELディスプレイ装置の場合、基板1の対向側から発光光を取り出すので、透明基板及び不透明基板のいずれも用いることができる。不透明基板としては、例えば、アルミナ等のセラミックからなるシート、やステンレススチール等からなる金属シートに表面酸化などの絶縁処理を施したものの他に、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などからなるシートが挙げられる。
また、いわゆるボトムエミッション型の有機ELディスプレイ装置の場合には、基板1側から発光光を取り出すので、基板1としては、透明あるいは半透明のものが採用される。例えば、ガラス、石英、樹脂等からなるシートが挙げられ、特にガラス基板が好適に用いられる。
なお、基板1と画素電極2との間には、基板1上に形成された複数の有機EL素子を駆動するための駆動用TFTなどを含む回路部(不図示)が設けられている。
(陰極(画素電極))
陰極(画素電極)2の材料としては、仕事関数の大きな材料も利用可能である。例えばベリリウム、マグネシウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、パラジウム、銀、スズ、タンタル、タングステン、イリジウム、白金、金、鉛、ビスマスなどの金属、又は上記金属のうち2つ以上の合金、又はグラファイト若しくはグラファイト層間化合物等が用いられる。金属の中では酸化しにくい材料が好ましく、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、パラジウム、銀、スズ、タンタル、タングステン、イリジウム、白金、金、鉛、ビスマスなどが好ましい。また導電性酸化物であるITO、ZnO、ZTO、IZTOなどが利用可能である。陰極を2層以上の積層構造としてもよい。
(電子注入層)
前記陰極2がパターン形成された基板1上には、全画素に共通して電子注入層4が形成されている。
電子注入層は発光層と陰極との間において陰極に接して設けられる。
本発明においては、電子注入層は、上述したイオン性ポリマーを用いて、溶液から成膜する。
電子注入層を形成する方法としては、例えば、前記イオン性ポリマーを含有する溶液を用いて成膜する方法が挙げられる。
このような溶液からの成膜に用いる溶媒としては、水を除く溶解度パラメーターが9.3以上の溶媒が好ましい。該溶媒の例(各括弧内の値は、各溶媒の溶解度パラメーターの値を表す)としては、メタノール(12.9)、エタノール(11.2)、2−プロパノール(11.5)、1−ブタノール(9.9)、t−ブチルアルコール(10.5)、アセトニトリル(11.8)、1,2−エタンジオール(14.7)、N,N−ジメチルホルムアミド(11.5)、ジメチルスルホキシド(12.8)、酢酸(12.4)、ニトロベンゼン(11.1)、ニトロメタン(11.0)、1,2−ジクロロエタン(9.7)、ジクロロメタン(9.6)、クロロベンゼン(9.6)、ブロモベンゼン(9.9)、ジオキサン(9.8)、炭酸プロピレン(13.3)、ピリジン(10.4)、二硫化炭素(10.0)、及びこれらの溶媒の混合溶媒が挙げられる。ここで、2種の溶媒(溶媒1、溶媒2とする)を混合してなる混合溶媒について説明すると、該混合溶媒の溶解度パラメーター(δm)は、δm1×φ12×φ2により求めることとする(δ1は溶媒1の溶解度パラメーター、φ1は溶媒1の体積分率、δ2は溶媒2の溶解度パラメーター、φ2は溶媒2の体積分率である。)
溶液からの成膜方法としては、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビア印刷法、グラビア印刷法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法、ノズルコート法等の塗布法が挙げられる。
電子注入層の膜厚としては、用いる重合体(共役高分子化合物)によって最適値が異なるため、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよく、ピンホールが発生しない厚さが必要である。素子の駆動電圧を低くする観点からは、該膜厚は、1nm〜1μmであることが好ましく、2nm〜500nmであることがより好ましく、2nm〜200nmであることがさらに好ましい。発光層を保護する観点からは、該膜厚は、10nm〜1μmであることが好ましく、50nm〜1μmであることがさらに好ましく、100nm〜1μmであることがさらに好ましい。
前記電子注入層4が積層された後に、電子輸送層を設ける構成も可能であるが、本実施の形態では、電子輸送層は形成されずに、各画素(R画素31,G画素32及びB画素33)が位置する電子注入層4上に発光層(R発光層61,G発光層62及びB発光層63)が設けられている。
(電子輸送材料)
電子輸送層を形成する場合、電子輸送材料としては公知のものが使用でき、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン若しくはその誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、ナフトキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン若しくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン若しくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体等が例示される。
これらのうち、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体が好ましく、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ポリキノリンがさらに好ましい。
電子輸送層の成膜法としては特に制限はないが、低分子電子輸送材料では、粉末からの真空蒸着法、又は溶液若しくは溶融状態からの成膜による方法が、高分子電子輸送材料では溶液又は溶融状態からの成膜による方法がそれぞれ例示される。溶液又は溶融状態からの成膜時には、高分子バインダーを併用してもよい。本発明では、これらの中でも、溶液若しくは溶融状態からの成膜による方法、すなわち塗布による方法が好ましい。溶液から電子輸送層を成膜する方法としては、前述の溶液から正孔輸送層を成膜する方法と同様の成膜法が挙げられる。
電子輸送層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って、該電子輸送層の膜厚としては、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
(撥液パターン)
上記R発光層61,G発光層62及びB発光層63を形成する前に撥液パターン5を形成する。撥液パターン5は、画素を除く領域、すなわち上記R発光層61,G発光層62及びB発光層63をが設けられるべき領域を除く領域に、設けられる。換言すると、上記R発光層61,G発光層62及びB発光層63は、撥液パターン5が形成された領域を除く領域に設けられる。撥液パターン5は、たとえば所定の反応性界面活性組成物をパターンに成膜したものである(図2の態様に対応)。また例えば撥液性を示す材料を転写することによって、撥液パターン5を形成することもできる(図3の態様に対応)。撥液パターン5の開口部は各画素領域に対応し、下層の電子注入層4が露出している。撥液パターン5は、その開口部から露出する電子注入層4よりも撥液性を示す。
(反応性界面活性組成物)
反応性界面活性組成物(以下、RSAと略記する場合もある)は、感光性組成物の一種である。RSAを露光すると、RSAの少なくとも1つの物理的性質および/または化学的性質が変化し、露光した領域と露光していない領域とで物理的な差が生じる。RSAで処理すると、処理される材料の表面エネルギーが低下する。
RSAは、1つの実施形態では、光硬化性組成物である。この場合、露光すると、RSAは、液体媒体に対する可溶性または分散性の増加、粘着性の低下、柔軟性の低下、流動性の低下が生じる。
また、RSAは、1つの実施形態では、光軟化性組成物である。この場合、露光すると、RSAは、液体媒体に対する可溶性または分散性の低下、粘着性の増加、柔軟性の増加、流動性の増加が生じうる。
露光に使用される光は、RSAの物理的変化を生じさせるあらゆる種類の光であってよく、たとえば赤外線、可視光線、紫外線、およびそれらの組み合わせから選択される。
RSAを露光した後に、露光した部位、または露光していない部位を除去することを、以下「現像」と呼ぶ。現像はあらゆる周知の技術によって行うことができる。このような技術は、フォトレジスト技術分野において広範に使用されている。現像技術の例としては、液体媒体による処理、吸収材料による処理、粘着性材料による処理などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
RSAは、1つの実施形態では、1つまたは複数の感光性材料から実質的になる。また、RSAは、1つの実施形態では、露光すると、硬化する、あるいは液体媒体に対する可溶性、膨潤性、または分散性が低下する、あるいは粘着性または吸収性が低下する材料から実質的になる。また、RSAは、1つの実施形態では、光重合性基を有する材料から実質的になる。このような基の例としては、オレフィニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、およびビニルエーテル基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、RSAは、1つの実施形態では、架橋を生じさせることができる2つ以上の重合性基を有する。また、RSAは、1つの実施形態では、露光すると、軟化する、あるいは液体媒体に対する可溶性、膨潤性、または分散性が増加する、あるいは粘着性または吸収性が増加する材料から実質的になる。また、RSAは、1つの実施形態では、200〜300nmの範囲内の波長を有するUV線に露光すると主鎖が分解する少なくとも1つのポリマーから実質的になる。このような分解が生じるポリマーの例としては、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリケトン、ポリスルホン、それらのコポリマー、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
RSAは、1つの実施形態では、少なくとも1つの反応性材料と少なくとも1つの感光性材料とから実質的になる。この感光性材料は、露光すると、反応性材料の反応を開始する活性種を生成する。感光性材料の例としては、フリーラジカル、酸、またはそれらの組み合わせを生成する材料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、RSAは、1つの実施形態では、反応性材料は重合性または架橋性である。材料の重合または架橋反応は、活性種によって開始または触媒される。感光性材料は、RSAの全重量を基準にして、一般に0.001%〜10.0%の量で存在する。
RSAは、1つの実施形態では、露光すると、硬化する、あるいは液体媒体に対する可溶性、膨潤性、または分散性が低下する、あるいは粘着性または吸収性が低下する材料から実質的になる。また、RSAは、1つの実施形態では、反応性材料がエチレン性不飽和化合物であり、感光性材料がフリーラジカルを生成する。エチレン性不飽和化合物としては、アクリレート、メタクリレート、ビニル化合物、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。フリーラジカルを生成するあらゆる周知の種類の感光性材料を使用することができる。フリーラジカルを生成する感光性材料の例としては、キノン類、ベンゾフェノン類、ベンゾインエーテル類、アリールケトン類、過酸化物、ビイミダゾール類、ベンジルジメチルケタール、ヒドロキシルアルキルフェニルアセトフォン、ジアルコキシアセトフェノン、トリメチルベンゾイルホスフィンオキシド誘導体、アミノケトン類、ベンゾイルシクロヘキサノール、メチルチオフェニルモルホリノケトン類、モルホリノフェニルアミノケトン類、αハロゲンアセトフェノン類、オキシスルホニルケトン類、スルホニルケトン類、オキシスルホニルケトン類、スルホニルケトン類、ベンゾイルオキシムエステル類、チオキサントロン類、カンファーキノン類、ケトクマリン類、およびミヒラーケトンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。あるいは、感光性材料は、複数の化合物の混合物であって、その1つが、光によって活性化する増感剤によって活性化するとフリーラジカルが得られる化合物であってもよい。1つの実施形態においては、感光性材料は、可視光線または紫外線に対して反応する。
RSAは、1つの実施形態では、1つまたは複数の架橋性基を有する化合物である。架橋性基は、二重結合、三重結合、二重結合を形成可能な前駆体、または複素環式付加重合性基を含有する部分を有することができる。架橋性基の例の一部としては、例えば、ベンゾシクロブテンから水素原子を1つ除いた基、アジ基、エポキシ基、ジ(ヒドロカルビル)アミノ基、シアネートエステル基、ヒドロキシ基、グリシジルエーテル基、C〜C10アルキルアクリロイル基、C〜C10アルキルメタクリロイル基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、アルキニル基、マレイミド基、ナジイミド基、トリ(C〜C)アルキルシロキシ基、トリ(C〜C)アルキルシリル基、およびそれらのハロゲン化誘導体が挙げられる。1つの実施形態においては、架橋性基は、ビニルベンジル基、p−エテニルフェニル基、パーフルオロエテニル基、パーフルオロエテニルオキシ基、ベンゾ−3,4−シクロブタン−1−イル基、およびp−(ベンゾ−3,4−シクロブタン−1−イル)フェニル基からなる群より選択される。
1つの実施形態においては、反応性材料は、酸によって開始された重合を進行させることができ、感光性材料は酸を生成する。このような反応性材料の例としてはエポキシが挙げられるが、これに限定されるものではない。酸を生成する感光性材料の例としては、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェートなどのスルホニウム塩およびヨードニウム塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
RSAは、1つの実施形態では、露光すると、軟化する、あるいは液体媒体に対する可溶性、膨潤性、または分散性が増加する、あるいは粘着性または吸収性が増加する材料から実質的になる。1つの実施形態においては、反応性材料がフェノール樹脂であり、感光性材料がジアゾナフトキノンである。
当該技術分野において周知である他の感光性系も同様に使用することができる。
RSAは、1つの実施形態では、フッ素化材料を含む。また、RSAは、1つの実施形態では、1つまたは複数のフルオロアルキル基を有する不飽和材料を含む。1つの実施形態においては、これらのフルオロアルキル基は2〜20個の炭素原子を有する。また、RSAは、1つの実施形態では、フッ素化アクリレート、フッ素化エステル、またはフッ素化オレフィンモノマーである。RSA材料として使用可能な市販材料の例としては、デュポン社より入手可能なフッ素化不飽和エステルモノマーであるゾニル(Zonyl)(登録商標)8857A、およびシグマ−アルドリッチ・カンパニー(Sigma−Aldrich Co.)(ミズーリ州セントルイス(St.Louis,MO))より入手可能なアクリル酸3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ヘンエイコサフルオロドデシル(H2C=CHCO2CH2CH2(CF29CF3)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
RSAは、1つの実施形態では、フッ素化マクロモノマーである。ここでいう用語「マクロモノマー」は、主鎖の末端または側鎖の末端に存在する複数の反応性基を有するオリゴマー材料を意味する。ある実施形態においては、マクロモノマーの分子量が、1000を超え、ある実施形態においては2000を超え、ある実施形態においては5000を超える。ある実施形態においては、マクロモノマーの主鎖が、エーテルセグメントおよびパーフルオロエーテルセグメントを含む。ある実施形態においては、マクロモノマーの主鎖が、アルキルセグメントおよびパーフルオロアルキルセグメントを含む。ある実施形態においては、マクロモノマーの主鎖が、部分フッ素化アルキルセグメントまたは部分フッ素化エーテルセグメントを含む。ある実施形態においては、マクロモノマーが、1つまたは2つの末端重合性基または末端架橋性基を有する。
RSAは、1つの実施形態では、反応性基と第2の種類の官能基とを有する材料を含む。第2の種類の官能基は、RSAの物理的加工特性または光物理的性質を変更するために存在することができる。加工特性を変更する基の例としては、アルキレンオキシド基などが挙げられる。光物理的性質を変更する基の例としては、カルバゾール基、トリアリールアミノ基、またはオキサジアゾール基などが挙げられる。
1つの実施形態においては、露光すると、RSAは下にある領域と反応する。この反応の厳密な機構は、使用される材料に依存する。露光した後、好適な現像手段によって未露光領域のRSAが除去される。ある実施形態においては、RSAは未露光領域でのみ除去される。ある実施形態においては、RSAは、露光領域においても部分的に除去され、それらの領域内ではより薄い層が残留する。ある実施形態においては、露光領域において残留するRSAは50Å未満の厚さとなる。ある実施形態においては、露光領域中に残留するRSAは、厚さが実質的に単層である。
(発光層)
上述のように、前記電子注入層4が積層された後に、上記RSAを用いた撥液パターン5が形成され、この撥液パターン5を利用して各画素(R画素31,G画素32及びB画素33)が位置する電子注入層4上に発光層(R発光層61,G発光層62及びB発光層63)が設けられている。発光層を形成するための発光材料としては、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の発光材料が用いられる。図示の実施形態は、フルカラー表示を行う場合であり、その発光波長帯域が光の三原色にそれぞれ対応して形成される。すなわち、発光波長帯域が赤色に対応したR発光層61、緑色に対応したG発光層62、青色に対応したB発光層63の三つの発光層により、1画素が構成され、これらが所定の強度で発光することにより、有機ELディスプレイ装置が全体としてフルカラー表示する。
(発光層を構成する材料)
発光層は、本発明においては有機発光層であることが好ましく、通常、主として蛍光またはりん光を発光する有機物(低分子化合物及び/又は高分子化合物)と、これを補助するドーパントとから形成される。本発明において用いることができる発光層を形成する材料としては、例えば以下のものが挙げられる。
(色素系材料)
色素系材料としては、例えば、シクロペンダミン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体化合物、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、ピロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマーなどが挙げられる。
(金属錯体系材料)
金属錯体系材料としては、例えば、イリジウム錯体、白金錯体等の三重項励起状態からの発光を有する金属錯体、アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾリル亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロピウム錯体など、中心金属に、Al、Zn、BeなどまたはTb、Eu、Dy、Irなどの希土類金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造などを有する金属錯体などを挙げることができる。
(高分子系材料)
高分子系材料としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、上記色素体や金属錯体系発光材料を高分子化したものなどが挙げられる。
上記発光性材料のうち、青(B)色に発光する材料としては、ジスチリルアリーレン誘導体、オキサジアゾール誘導体、およびそれらの重合体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも高分子材料のポリビニルカルバゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体やポリフルオレン誘導体などが好ましい。
また、緑(G)色に発光する材料としては、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、およびそれらの重合体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも高分子材料のポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などが好ましい。
また、赤(R)色に発光する材料としては、クマリン誘導体、チオフェン環化合物、およびそれらの重合体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることが出来る。なかでも高分子材料のポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリフルオレン誘導体などが好ましい。
(ドーパント材料)
発光層中に発光効率の向上や発光波長を変化させるなどの目的で、ドーパントを添加することができる。このようなドーパントとしては、例えば、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾロン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾンなどを挙げることができる。なお、このような発光層の厚さは、通常約20〜2000Åである。
(発光層の成膜方法)
有機物を含む発光層の成膜方法としては、溶液から成膜する塗布法、真空蒸着法、転写法などを用いることができる。本発明では、これらの中でも、塗布法が好ましい。溶液からの成膜に用いる溶媒の具体例としては、後述の溶液から正孔輸送層を成膜する際に正孔輸送材料を溶解させる溶媒と同様の溶媒が挙げられる。
塗布法としては、スピンコート、ディップコート、インクジェット、フレキソ印刷、グラビア印刷、スリットコートなどの印刷法を適宜用いることができる。また、昇華性の低分子化合物の場合は、真空蒸着法を用いることができる。なお本実施形態では3種類の発光層を形成するため、上述の塗布法のうちで、インキの塗り分けが可能な塗布法が適宜選択される。さらには、レーザーによる転写や熱転写により、所望のところのみに発光層を形成する方法も用いることができる。
上記R発光層61,G発光層62及びB発光層63の各層の上には正孔輸送層7及び正孔注入層8がこの順に積層されている。
(正孔輸送層)
正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体などが例示される。
これらの中で、正孔輸送層7に用いる正孔輸送材料として、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミン化合物基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体等の高分子正孔輸送材料が好ましく、さらに好ましくはポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体である。低分子の正孔輸送材料の場合には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
正孔輸送層7の成膜の方法に制限はないが、低分子正孔輸送材料では、高分子バインダーとの混合溶液からの成膜による方法が例示される。また、高分子正孔輸送材料では、溶液からの成膜による方法が例示される。
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、正孔輸送材料を溶解させるものであれば特に制限はない。該溶媒として、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒が例示される。
溶液からの成膜方法としては、溶液からのスピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。なお本インキを塗り分ける場合には、上述の塗布法のうちで、インキの塗り分けが可能な塗布法が適宜選択される。
混合する高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また可視光に対する吸収が強くないものが好適に用いられる。該高分子バインダーとして、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサン等が例示される。
正孔輸送層7の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って、該正孔輸送層の膜厚としては、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
(正孔注入層)
正孔注入層8は、陽極と正孔輸送層との間、または陽極と発光層との間に設けることができる。正孔注入層8の形成工程では、正孔注入層8を溶液からの成膜により形成する。溶液からの成膜としては、例えば、インクジェット法などの塗布による方法を用いる。塗布による方法により、正孔注入層形成材料を前記正孔輸送層7上に選択的に塗布する。その後、乾燥処理および熱処理を行い、正孔注入層8を形成する。正孔注入層6の形成材料としては、前述のように、フェニルアミン系、スターバースト型アミン系、フタロシアニン系、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウム等の酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、ポリチオフェン誘導体等を水やイソプロピルアルコールなどの極性溶媒に溶解させたものを用いる。
なお、上述の構成において、電子注入層に続いて、発光層、正孔輸送層、正孔注入層などの有機層を順に形成する場合、特に、隣接する両方の層を塗布法によって形成する場合には、先に塗布した層が後から塗布する層の溶液に含まれる溶媒に溶解して積層構造を作製できなくなることがある。この場合には、下層を溶媒不溶化する方法を用いることができる。溶媒不溶化する方法としては、高分子化合物に架橋基を付け、架橋させて不溶化する方法;芳香族ビスアジドに代表される芳香環を有する架橋基を持った低分子化合物を架橋剤として混合し、架橋させて不溶化する方法;アクリレート基に代表される芳香環を有しない架橋基を持った低分子化合物を架橋剤として混合し、架橋させて不溶化する方法;下層を紫外光に感光させて架橋させ、上層の製造に用いる有機溶媒に対して不溶化する方法;下層を加熱して架橋させ、上層の製造に用いる有機溶媒に対して不溶化する方法等が挙げられる。下層を加熱する場合の加熱の温度は通常100℃〜300℃であり、時間は通常1分〜1時間である。
また、架橋以外で下層を溶解させずに積層するその他の方法として、隣り合った層の製造に異なる極性の溶液を用いる方法があり、たとえば、下層に水溶性の高分子化合物を用い、上層に油溶性の高分子化合物を用いて、塗布しても下層が溶解しないようにする方法等がある。
(陽極)
上述のように、各画素に正孔注入層8を形成した後、本実施形態では正孔注入層8の上に全画素に共通に陽極材料を真空蒸着法等により成膜して、陽極9が形成される。
(陽極材料)
陽極9を透明電極、または、半透明電極から構成する場合は、電気伝導度の高い金属酸化物、金属硫化物や金属の薄膜を用いることができ、透過率が高いものが好適に利用でき、用いる有機層により適宜、選択して用いる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、およびそれらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等からなる導電性ガラスを用いて作成された膜(NESAなど)や、金、白金、銀、銅等が用いられ、ITO、インジウム・亜鉛・オキサイド、酸化スズが好ましい。作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が挙げられる。また、該陽極として、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などの有機の透明導電膜を用いてもよい。
陽極の膜厚は、光の透過性と電気伝導度とを考慮して、適宜選択することができるが、例えば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
[有機ELディスプレイ装置の製造方法(第1の実施形態)]
次に、本発明に係る有機ELディスプレイ装置の製造方法の第1の実施形態を図2−12〜図2−8を参照して説明する。
(基板の準備)
図2−1に示すように、表面に不図示の駆動回路部と陰極(画素電極)2が形成された基板1を準備する。
複数の陰極(画素電極)2は、R画素31、G画素32、B画素33を構成するパターンに対応して、先に列挙した陰極材料から選択した一種の材料を蒸着などにより、基板1の上に堆積することにより形成する。なお、陰極2を2層以上の積層構造とする場合もある。
(電子注入層の形成)
次に、図2−2に示すように、前記陰極2がパターン形成された基板1上に、全画素に共通して電子注入層4を形成する。本発明においては、電子注入層は、上述したイオン性ポリマーを用いて、溶液から成膜する。
電子注入層4を形成する方法としては、例えば、前記イオン性ポリマーを含有する溶液を用いて成膜する前述の方法を用いる。
電子注入層4の膜厚としては、先に述べたように、好ましくは、1nm〜1μmに調整する。
(撥液パターンの形成)
次に、図2−3に示すように、先に述べた反応性界面活性組成物(RSA)から選ばれた一種、例えば、デュポン社製のフッ素化不飽和エステルモノマーであるゾニル(Zonyl)(登録商標)8857Aを用いて、前記電子注入層4の全面にプライマ層53を形成する。
次に、図2−4に示すように、下層の陰極2に対応する部分に光が照射されるパターンに成形されたマスクを用いて、前記プライマ層53を露光する。
露光されて液体媒体に可溶となった部分を液体媒体により除去する(現像処理)。
上記現像処理により、図2−5に示すように、電子注入層4の上に撥液パターン5が形成される。撥液パターン5の開口内部52は各画素領域に対応し、下層の電子注入層4が露出している部分である。撥液パターン5は電子注入層4よりも撥液性を示すため、開口内部52は、撥液パターン5に対して親液性を有している(以下、開口内部52を親液部52と記す場合もある)。
(発光層の形成)
次に、図2−6に示すように、上記撥液パターン5を利用して各画素(R画素31,G画素32及びB画素33)が位置する電子注入層4上に発光層(R発光層61,G発光層62及びB発光層63)を形成する。
発光層を形成するための発光材料としては、先に述べたように、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の発光材料を用いる。用いる発光材料は、先の述べた発光材料から適宜に選択する。発光層は上述の方法によって形成される。なお塗布法によって形成される場合、親液部52に供給されたインキは親液部52中を濡れ広がるが、撥液パターン5には弾かれるため、親液部52上にのみ発光層が形成される。
(正孔輸送層及び正孔注入層の形成)
次に、図2−7に示すように、上記R発光層61,G発光層62及びB発光層63の各層の上に、正孔輸送層7及び正孔注入層8をこの順に積層する。
(正孔輸送層の形成)
先に述べた正孔輸送材料から選択した一種の材料が低分子正孔輸送材料である場合は、高分子バインダーとの混合溶液からの成膜による方法を用い、高分子正孔輸送材料である場合は、溶液からの成膜による方法を用いる。正孔輸送層は上述の方法によって形成される。なお塗布法によって形成される場合、発光層上に供給されたインキは発光層上を濡れ広がるが、撥液パターン5には弾かれるため、発光層上にのみ正孔輸送層が形成される。
(正孔注入層の形成)
前記正孔輸送層7の上に正孔注入層8を形成する。正孔注入層は上述の方法によって形成される。なお塗布法によって形成される場合、正孔輸送層上に供給されたインキは正孔輸送層上を濡れ広がるが、撥液パターン5には弾かれるため、正孔輸送層上にのみ正孔注入層が形成される。
(陽極の作成)
次に、図2−8に示すように、前記正孔注入層8の上に全画素に共通に、先の述べた陽極材料から選択した一種の材料を、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等から選択した一種の方法を用いて成膜して、陽極9を形成する。陽極9の膜厚としては、先に述べたように、10nm〜10μmに、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmに調整する。
以上により、図1に示した一実施形態の有機ELディスプレイ装置が形成される。
以上に詳述したように、有機ELディスプレイ装置の製造方法の第1の実施形態では、電子注入性を有し、かつ常圧程度の雰囲気中で安定で、溶媒により溶液とすることのできるイオン性ポリマーから電子注入層を形成する点と、撥液パターンを用いて各色の発光層を選択的に積層する点とに特徴がある。斯かる特徴構成によれば、有機ELディスプレイ装置を構成する有機EL素子の有機層の形成を全て常圧程度の雰囲気中にて溶液からの成膜により行うことができ、それにより、製造プロセスが簡略化され、製造コストを低減することができる。また、基板サイズの制限がなくなるので、大画面ディスプレイの製造が可能となる。
[有機ELディスプレイ装置の製造方法(第2の実施形態)]
次に、本発明に係る有機ELディスプレイ装置の製造方法の第2の実施形態を図3−1〜図3−11を参照しつつ説明する。
基板の準備(図3−1)から電子注入層の形成(図3−2)までの工程は、前述の実施の形態と同じなので、説明を省略する。
(撥液パターンの形成)
次に、図3−3に示すように、前記基板1とは別体の板状の支持部材10を用意する。用意した支持部材10の表面に樹脂層11を積層する。この樹脂層11は、例えば、ポリイミド系樹脂を主成分とするフォトレジスト材料の塗膜を露光して硬化することにより形成する。
次に、図3−4に示すように、前記樹脂層11の上に所定のパターンの開口部を有するマスク12を設置する。該マスク12の複数の開口部は、前記基板1上に形成した陰極(画素電極)2に概略一致する大きさ及びパターンに形成されている。次に、マスク12を介してフッ素含有ガスプラズマ13を照射する。前記フッ素含有ガスとしては例えばCFを用いる。
前記フッ素含有ガスプラズマ13を照射後、マスク12を除去する。その結果、図3−5に示すように、前記樹脂層11の上に撥液性のパターン5aが形成される。
次に、図3−6に示すように、基板1上の電子注入層4に対して支持部材10上のパターン5aを対向させ、基板1上の各陰極2の上にパターン10の開口部が位置するように位置決めして、基板1と支持部材10を当接させる。
基板1と支持部材10を当接させた後、図3−7に示すように、当接面を加熱して支持部材10の樹脂層11上の撥液性のパターン5aを、基板1の電子注入層4の上に転写する。
撥液性のパターン5aを基板1の電子注入層4上に転写した後、支持部材10を離間すると、図3−8に示すように、基板1の電子注入層4上に撥液パターン5が形成される。
発光層の形成(図3−9)、正孔輸送層及び正孔注入層の形成(図3−10)並びに陽極の作成(図3−11)は、前述の実施形態と同様なので、説明を省略する。
以上により、図1に示した一実施形態の有機ELディスプレイ装置が形成される。
[有機ELディスプレイ装置の構成(他の一実施形態)]
次に、本発明に係る有機ELディスプレイ装置の他の一実施形態の概略構成を図4を参照しつつ説明する。本形態では、前述の実施形態の撥液パターン5にかえて、バンクを形成する。なお各部材を構成する材料および各部材の製法は前述の実施の形態と同じなので説明を省略する場合がある。
画素電極2が形成された基板1の表面には、各画素電極2を覆うように第1のバンク層501が形成されるとともに、複数の画素電極2の隣接間に連続した複数の第2のバンク層502が形成されている。前記複数の第2のバンク層502は、図4の平面に直交する方向に互いにほぼ平行に配列される。
前記第1のバンク層501は有機物または無機物によって構成される。有機物としてはアクリル樹脂、フェノール樹脂、およびポリイミド樹脂などが用いられる。また、無機物としてはSiOxやSiNxなどが用いられる。
前記第2のバンク層502は有機物または無機物によって構成される。有機物としてはアクリル樹脂、フェノール樹脂、およびポリイミド樹脂などが用いられる。また、無機物としてはSiOxやSiNxなどが用いられる。
有機物によって構成されるバンクは、一般に無機物によって構成されるバンクに比べて撥液性を示す。第2のバンク層502は、当該バンク層502に囲まれた領域に供給されるインキを保持し、外に溢れ出ることを防ぐために、撥液性を示すことが好ましい。他方第1のバンク層501は、供給されたインキが当該バンク層501上を濡れ広がることが好ましいため、親液性を示すことが好ましい。そのため本形態では、第1のバンク層501は無機物によって構成され、第2のバンク層502は有機物によって構成される。
前記第1のバンク層501の開口内部が、画素領域を構成する。第2のバンク層502は、第1のバンク層501に対して高さ寸法が大きく、複数形成された第2のバンク層502は、互いにほぼ並行に配置されており、隣接間には、第1のバンク層501により画成された複数の画素領域が一列に配置される。この一列に配置された複数の画素領域に、RGBのいずれかの発光材料が一括して塗布される。この一括塗布が第2のバンク層502によって可能となっている。
前記第1のバンク層501によって囲まれた各画素電極2の露出表面(画素領域)上には、通常、電子注入層4が形成される。電子注入層4の上に電子輸送層を設ける場合もある。
電子注入層4、発光層61、発光層62、発光層63は、それぞれ前記第1のバンク層501の開口内部上に形成される。これらは前述の方法によって形成される。
正孔輸送層、正孔注入層8は、図4に示す実施形態では、複数の画素に亘って、全面に形成されている。なお正孔輸送層および正孔注入層8も、前記第1のバンク層501の開口内部上のみに、選択的に形成してもよい。
正孔注入層8を形成した後、正孔注入層8の上に全画素に共通に陽極材料を真空蒸着法等により成膜して、陽極9が形成される。
[有機ELディスプレイ装置の製造方法(第3の実施形態)]
次に、図4に示した構成の有機ELディスプレイ装置の製造方法の一実施形態(第3の実施形態)を図4を参照して説明する。
まず、複数の画素電極2をその表面上に形成した基板1を用意する。
次に、画素電極2が形成された基板1の表面に、各画素電極2を囲むように第1のバンク層501を形成し、続いて、複数の画素電極2の隣接間に連続した複数の第2のバンク層502を形成する。前記複数の第2のバンク層502は、図4の平面に直交する方向に互いにほぼ平行に配列する。
前記第1のバンク層501は、各画素電極2に対して一部が開口して、各画素電極2の表面を露出するように形成する。次いで、第1のバンク層501により周囲を囲まれた複数の画素電極2の隣接間に連続した複数の第2のバンク層502を形成する。前記複数の第2のバンク層502の配置パターンは、図4の平面に直交する方向に互いにほぼ平行である。
第1のバンク層501、第2の有機バンク層502の形成方法としては、無機材料を使用する場合は、蒸着法により形成し、有機材料を使用する場合、例えばアクリル樹脂やポリイミド樹脂などのレジストを溶媒に溶解したものを、スピンコート法、ディップコート法などの各種塗布法により塗布して有機質層を形成する。本発明では、有機材料を用いた塗布による方法が好ましい。なお、該有機質層の構成材料は、後述するインクの溶媒に溶解せず、しかもエッチングなどによってパターニングし易いものであればどのようなものでもよい。
第1のバンク層501はたとえば無機材料を全面に成膜し、これをフォトリソグラフィ技術を用いてパターニングすることによって形成される。
第2のバンク層502を形成する有機質層は、複数の画素電極2の隣接間に連続してインクジェットにより塗布するか、一面に塗布した後にフォトリソグラフィ技術、エッチング技術を用いてパターニングする。
次いで、バンク層の表面に、親液性を示す領域と、撥液性を示す領域とを形成する。本実施形態においては、プラズマ処理によって各領域を形成する場合を説明する。そのプラズマ処理は、予備加熱工程と、第2のバンク層502上面および開口部の壁面ならびに画素電極2の露出面および第1のバンク層501の上面をそれぞれ親液性にする親インク化工程と、第2のバンク層502の上面および開口部の壁面を撥液性にする撥インク化工程と、冷却工程とによって構成される。
具体的には、基材(バンク層などを含む基板1)を所定温度、例えば70〜80℃程度に加熱し、次いで親インク化工程として大気圧下で酸素を反応ガスとするプラズマ処理(Oプラズマ処理)を行う。次いで、撥インク化工程として大気圧下で4フッ化メタンを反応ガスとするプラズマ処理(CFプラズマ処理)を行い、その後、プラズマ処理のために加熱された基材を室温まで冷却する。なお4フッ化メタンを反応ガスとするプラズマ処理では、有機物からなる第2のバンク層502が選択的に撥液化される。これによって親液性および撥液性が上述の所望部分に付与される。
次いで、電子注入層、発光層となる材料を含むインキを順次第2のバンク層502に囲まれた領域に供給し、これを固化することによって、電子注入層、発光層を順次形成する。
つぎに、正孔輸送層、正孔注入層となる材料を含むインキを順次全面に供給し、これを固化することによって、正孔輸送層、正孔注入層を順次形成する。
次に、前記正孔注入層8の上に全画素に共通に、先の述べた陽極材料から選択した一種の材料を、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等から選択した一種の方法を用いて成膜して、陽極9を形成する。陽極9の膜厚としては、先に述べたように、10nm〜10μmに、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmに調整する。
以上により、図4に示した構造の有機ELディスプレイ装置が形成される。
なお本実施形態では、電子注入層を形成する工程の前に、画素を除く領域にバンクを形成するが、他の実施形態では、電子注入層を形成した後に、この電子注入層上において画素を除く領域にバンクを形成してもよい。この場合、バンクを形成する際に電子注入層が現像液などに溶解することを防ぐために、電子注入層を予め現像液等に不溶化しておくことが好ましい。電子注入層の不溶化は、たとえば重合性化合物を重合することによって行うことができる。
以上に詳述したように、有機ELディスプレイ装置の製造方法の第3の実施形態では、電子注入性を有し、かつ大気中で安定で、極性溶媒により溶液とすることのできるイオン性ポリマーから電子注入層を形成する点と、バンクを用いて各色の発光層を選択的に積層する点とに特徴がある。斯かる特徴構成によれば、有機ELディスプレイ装置を構成する有機EL素子の有機層の形成を全て大気中にて溶液からの成膜により行うことができ、それにより、製造プロセスが簡略化され、製造コストを低減することができる。また、基板サイズの制限がなくなるので、大画面ディスプレイの製造が可能となる。
1 基板
2 画素電極(陰極)
31 R画素
32 G画素
33 B画素
4 電子注入層
5a 撥液性のパターン
5 撥液パターン
61 R発光層
62 G発光層
63 B発光層
7 正孔輸送層
8 正孔注入層
9 陽極
501 第1のバンク層
502 第2のバンク層

Claims (4)

  1. 陽極及び陰極と、これら電極間に位置する発光層と、前記陰極と発光層の間に位置する電子注入層を含む有機エレクトロルミネッセンス素子からなる複数の画素を有してなる有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の製造方法であって、
    各画素に対応する複数の陰極が形成された基板の当該陰極上に、イオン性ポリマーを含む溶液を塗布し、成膜することにより電子注入層を形成する工程と、
    前記電子注入層の上に直接または他の層を介して、画素パターンに対応して発光材料を含む溶液を塗布し、成膜することにより発光層を形成する工程と、
    前記発光層あるいは発光層と他の層とが順次に形成された基板上に陽極材料を成膜することにより陽極を形成する工程と、
    を含む有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の製造方法。
  2. 前記発光層を形成する工程は、画素を除く領域に撥液パターンを形成し、該撥液パターンの開口内部に発光材料を含む溶液を塗布し、成膜することにより複数の発光層を形成する工程である、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の製造方法。
  3. 画素を除く領域にバンクを形成する工程を有する、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の製造方法。
  4. 請求項1〜3の製造方法によって製造されうる有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置。
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