以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、実施の形態において、同一の記号及び同一の符号は同一または相当する機能部分を意味し、実施の形態及び変形例相互の同一の記号及び同一の符号は、それら実施の形態及び変形例に共通する機能部分であるから、ここでは重複する詳細な説明を省略する。
まず、本発明の実施の形態に係る防災頭巾兼用ランドセルカバー1の全体の構成について、主に、図1乃至図3を参照して説明する。
本実施の形態に係る防災頭巾兼用ランドセルカバー1は、主に、長方形状の表部材10及び表部材10に対向し表部材10の周囲の4辺のうちの短辺及び長辺の2辺の端部に縫合により接合している長方形状の裏部材20で構成されている。
長方形状の表部材10は、図4乃至図6に示すランドセル110の冠(かぶせ)111に装着した際にランドセル110の冠表111Fを覆うものであり、例えば、袋状に閉じられた表生地及びそれに対向する裏生地からなる外生地の中に緩衝材(クッション材)を入れて形成され、緩衝性(クッション性)を有するものである。
表部材10を形成する表生地及び裏生地からなる外生地は、1枚物の生地を袋状に形成してもよいし、2枚またはそれ以上の生地を縫い合わせて袋状に形成してもよい。例えば、長方形状に裁断した表生地となる1枚の布地と同じく長方形状に裁断した裏生地となる1枚の布地を端部で重ね合わせて両者をミシン糸で縫い合わせることで形成できる。端部に補強のためのパイピング処理を施してもよい。外生地の素材は、特に限定されないが、例えば、綿素材等を使用することで、汗等の吸収性に優れ洗濯も容易である。また、難燃性のアクリル、ポリエステル、アラミド等の素材を使用した場合には、防火、防炎、熱の遮断等に有用である。更に、撥水素材や防水素材の使用や撥水加工や防水加工を施した素材の使用では、雨天時等であっても水の染み込みが防止され、また、頭部に装着する雨避けとしての使用にも活用できる。袋状に閉じられる外生地の中には、例えば、発泡ウレタン、綿、フェルト、スポンジ、発泡ゴム、立体網状構造体、プラスチックパイプ等のクッション性を有する緩衝材が入れられる。
なお、外生地に緩衝性(クッション性)を有する布地を使用しても良く、所定の緩衝性を有する布地の使用によって、袋状とした外生地の中に入れる緩衝材を省略することも可能である。更には、袋状に閉じることなく緩衝性を有する布地を長方形状に裁断した一枚物で表部材10を形成してもよいし、緩衝性を有する布地を層状に重ねて接合することで表部材10を形成してもよい。
この表部材10の寸法形状は、図4乃至図6に示す既存のランドセル110の冠111の規格に対応し、既存のランドセル110の冠111の横幅寸法と同程度またはそれよりも若干大きく、また、冠111の縦幅寸法と同程度またはそれよりも若干小さく形成される。例えば、横幅が25〜32cm、縦幅が39〜46cm程度に形成される。
なお、ランドセル110の持ち主の識別、他者のランドセル110との区別を容易とするために、例えば、ランドセル110の冠111にランドセルカバーとして装着した際に意匠面となる表生地に、アルファベットや、数字や、文字や、リボン、星、花等の図形・ワンポイントマークや、絵等の装飾品を付加してもよい。これらの装飾品は表生地に直接縫付けてもよいし、接着布、ボタン等で着脱自在に取付けてもよいし、表生地に孔を設けその孔に嵌合させることで着脱自在に取付けるようにしてもよい。或いは、表生地を透明なビニルシートからなるポケット構造とし、その透明なポケット内に所望の柄が印刷されたシートや布地等を入れて使用者の好みに応じて意匠面をカスタマイズできるようにしてもよい。更には、視認性を高めるための反射材や発光材を設けてもよい。
また、この表部材10に対向させる長方形状の裏部材20は、図4乃至図6に示すランドセル110の冠111に装着した際にランドセル110の冠裏111Bを覆うものであり、通常、表部材10と同一寸法形状に形成され、表部材10と同様に緩衝性を有し、その構成は上記表部材10の説明が適用される。表部材10と裏部材20は同じ素材で統一してもよいし、異なる素材を使用してもよい。なお、例えば、ランドセル110の冠裏111B側において意匠面側となる表生地には、マスク、ホイッスル、防犯ブザー、鍵、小型GPS(Global Positioning System)機器等の小物収納用のポケットを設けてもよいし、ポケットをビニル等の透明に形成して、その中に、名前やクラス等が記載された用紙等の名札を入れて、持ち主の識別を容易とするようにしてもよい。特に、このような収納ポケットを設け、その中にマスクを常備しておくと、火災等の災害時にランドセルカバーから防災頭巾に切替える際、収納ポケットからマスクを取出して口に装着することで煙等の吸い込みを防止し、迅速な避難を可能とする。
そして、本実施の形態の防災頭巾兼用ランドセルカバー1においては、これら長方形状の表部材10及び長方形状の裏部材20が短辺及び長辺の2辺の端部でL字状に接合している。即ち、表部材10の周囲の4辺のうちの短辺及び長辺の2辺の端部が裏部材20の周囲の4辺のうちの短辺及び長辺の2辺の端部と縫合線32で縫合わされており、表部材10の一方の短辺の端部と裏部材20の一方の短辺の端部との縫合による接合で短辺側閉鎖端部31Sが形成され、また、表部材10の一方の長辺の端部と裏部材20の一方の長辺の端部との縫合による接合で長辺側閉鎖端部31Lが形成されている。
一方、表部材10の周囲の4辺のうち他方の短辺及び長辺の2辺の端部、並びに、裏部材20の周囲の4辺のうち他方の短辺及び長辺の2辺の端部は、縫合わされることなく自由端となっている。つまり、表部材10の周囲の4辺のうちの他方の短辺及び長辺の端部と裏部材20の周囲の4辺のうちの他方の短辺及び長辺の端部とは閉じられることなく、短辺側閉鎖端部31Sに対向する表部材10の反対側の短辺側端部71FS及び裏部材20の反対側の短辺側端部71BSは開放端となっており、また、長辺側閉鎖端部31Lに対向する表部材10の反対側の長辺側端部71FL及び裏部材20の反対側の長辺側端部71BLは開放端となっている。
また、本実施の形態の防災頭巾兼用ランドセルカバー1においては、裏部材20の短辺側閉鎖端部31S側に開口部50が設けられている。特に、本実施の形態において、開口部50は短辺側閉鎖端部31Sの端縁よりも内側で、例えば、端縁から1cm〜4cm離れた位置で、裏部材20の表裏を貫通する孔として形成されている。
この開口部50は、図4乃至図6に示すランドセル110の冠111の先端部側に設けられている差込ベロ部112が通されるものであり、冠111の先端側で延出している差込ベロ部112の横幅に応じた寸法で裏部材20の短辺方向に長く形成されている。図1乃至図8において、開口部50は、裏部材20の短辺側閉鎖端部31S側で短辺方向に長い楕円形状に形成されているが、即ち、楕円孔に切り欠いて形成されているが、スリット状に切り込みを入れて形成してもよいし、角孔に切り欠いて形成してもよい。開口部50の周囲はステッチ、パイピング、布等で補強してもよい。
更に、本実施の形態の防災頭巾兼用ランドセルカバー1においては、1対の面ファスナ(マジックテープ(登録商標))等の接着布からなる接合部材62a及び接合部材62bが表部材10及び裏部材20の内面側(裏面側)に取付けられている。即ち、裏部材20の内面側に短辺方向に長い長尺状の接着布からなる接合部材62bが設けられ、接着布からなる接合部材62bに対応して短辺方向に長い長尺状の接着布からなる接合部材62aが表部材10の内面側に設けられている。
本実施の形態において、この1対の接着布からなる接合部材62a,62bは、互いに対向関係にあり、接合部材62bが裏部材20の内面側であって短辺側閉鎖端部31側とは反対側の開口部50の近傍に短辺方向(横幅方向)に長く設けられており、また、接合部材62bに対応する所定位置で接合部材62aが表部材10の内面側に短辺方向に長く設けられている。なお、1対の接着布からなる接合部材62a,62bは、表部材10及び裏部材20の内面側に縫付けや接着剤等によって取付けられる。
このように本実施の形態の防災頭巾兼用ランドセルカバー1では、裏部材20の内面側において短辺側閉鎖端部31側とは反対側の開口部50の近傍に接着布からなる接合部材62bが設けられ、また、表部材20の内面側において接合部材62aに対応する接着布からなる接合部材62bが設けられており、これら1対の接着布からなる接合部材62a及び接合部材62bの接合によって表部材10の内面と裏部材20の内面の部分的な接合を可能とする。
これにより、開口部50を設けていても、後述する図7及び図8で示すように、防災頭巾として頭部に装着した際に開口部50よりも人体の頭部に近い側で接合部材62a及び接合部材62bの接合によって表部材10の内面と裏部材20の内面が部分的に接合されるから、落下物等が開口部50から進入して人体の頭部に到達するのを阻止できる。更に、接合部材62a及び接合部材62bの接合による表部材10の内面と裏部材20の内面の接合で、閉鎖されている短辺側閉鎖端部31と接合部材62a及び接合部材62bの接合部との間における強度の増大や衝撃時の表部材10と裏部材20の撓み変形により落下物等からの衝撃を吸収して緩和する効果が高められる。
加えて、本実施の形態の防災頭巾兼用ランドセルカバー1においては、表部材10の自由端側の長辺側端部71FL側と裏部材20の自由端側の長辺側端部71BL側で表部材10と裏部材20の間を接続する紐状体41が表部材10及び裏部材20に取付けられている。
本実施の形態において、紐状体41は、表部材10及び裏部材20の内面側(裏面側)において複数箇所設けた紐状またはテープ状のループ43に通すことによって、表部材10及び裏部材20の内面側に取付けられている。
具体的には、例えば、図2及び図3に示すように、表部材10の内面側において、自由端側の長辺側端部71FLの近く、横幅方向の中間部、及び長辺側閉鎖端部31Lの近くに紐状体41が通されるループ43を取付け、また、裏部材20の内面側においても、自由端側の長辺側端部71BFの近く、横幅方向の中間部の近くに紐状体41が通されるループ43を取付け、それらループ43に紐状体41を通すことによって表部材10及び裏部材20の内面側で表部材10及び裏部材20の横幅方向でそれらの内面周囲に紐状体41を配設する。
そして、この複数のループ43の位置は、例えば、表部材10及び裏部材20の内面側において自由端側の短辺側端部71FS,71BSの端縁から表部材10及び裏部材20の長手方向の全長に対し1/4〜1/3の程度の長さだけ内側に設けられる。例えば、短辺側端部71FS,71BSの端縁から5cm〜15cm程度離れた位置に設けられる。
こうしてループ43を介して表部材10と裏部材20の内面側に取付けられた紐状体41の長さ方向の両端部側は、紐止め具42の貫通孔に挿通されており、また、その端末で結び目を形成して紐止め具42の脱落を阻止している。紐状体41に取付けられた紐止め具42は、一般的に、コードストッパーと称されるものであり、押部42aを押すことで紐状体41に沿ってスライド移動を自在とし、押し操作の解除で紐状体41を締付けて紐状体41の任意の位置に係止されるものである。紐状体41の任意の位置での紐止め具42の係止により表部材10と裏部材20の間を架け渡す接続長さの調節を自在とし、表部材10と裏部材20の間の間隔を調節可能とする。
こうして、本実施の形態の防災頭巾兼用ランドセルカバー1においては、表部材10の自由端側の長辺側端部71FL側と裏部材20の自由端側の長辺側端部71BL側で表部材10と裏部材20の間が紐止め具42を介して紐状体41で接続され、更に、紐状体41に設けた紐止め具42をスライド移動させて紐状体41上での紐止め具42の係止位置(締付位置)の調節により表部材10と裏部材20の間を架け渡す接続長さが調節自在とされている。
これにより、後述する図5及び図6で示すように、ランドセル110の冠111にランドセルカバーとして装着した際でも、表部材10の自由端側の長辺側端部71FL側と裏部材20の自由端側の長辺側端部71BL側で表部材10と裏部材20の間の間隔を紐状体41及び紐止め具42で固定できるから、冠111に装着した表部材10及び裏部材20の位置ずれを防止して冠111に固定できる。
特に、本実施の形態では、表部材10及び裏部材20の内面側に取付けた複数のループ43に紐状体41を通すことによって表部材10及び裏部材20の横幅方向での内面周囲に紐状体41を取付けたことで、紐止め具42の紐状体41上の係止位置の調節によって表部材10及び裏部材20の内面周囲に配設した紐状体41により表部材10及び裏部材20をその横幅方向で締付け自在とする。したがって、ランドセル110の冠111に装着した表部材10及び裏部材20の冠111への締付け固定によってもより位置ずれが生じ難い堅固な固定を可能とする。
更に、本実施の形態では、このように表部材10の自由端側の長辺側端部71FL側と裏部材20の自由端側の長辺側端部71BL側で表部材10と裏部材20の間を接続する接続部材が紐状体41であるから、後述する図7及び図8で示すように、防災頭巾として人体の頭部に装着される際には、この紐状体41を装着者の顎にかける顎紐として機能させることができる。
即ち、本実施の形態の紐状体41は、上述したように、表部材10及び裏部材20の自由端側の短辺側端部71FS,71BSの端縁から所定距離離れた位置に設けられ、防災頭巾兼用ランドセルカバー1を防災頭巾として人体の頭部に装着した際には、装着者の顎にかける顎紐として機能する。そして、紐状体41に設けた紐止め具42の係止位置の調節により表部材10と裏部材20の間を架け渡す接続長さを調節自在であるから、装着者の顎の周囲の長さに対応して装着者の顎にかける長さ、締付力の調節を自在とする。
特に、本実施の形態では、表部材10及び裏部材20の内面側に取付けた複数のループ43に紐状体41を通すことによって表部材10及び裏部材20の横幅方向でそれら内面周囲に紐状体41を取付けたことで、紐状体41上の紐止め具42の係止位置の調節によって表部材10及び裏部材20の内面周囲に配設した紐状体41により表部材10及び裏部材20をその横幅方向で締付け自在とする。したがって、人体の頭部に装着した表部材10及び裏部材20の頭部への締付け固定によって、頭部の大きさに対応して表部材10及び裏部材20をよりフィットさせて落下や位置ずれが生じ難い固定、即ち、頭部に対しより堅固な固定を可能とする。
次に、このように構成された本実施の形態の防災頭巾兼用ランドセルカバー1の使用態様について、図4乃至図8を参照して説明する。
図4乃至図6で示すように、本実施の形態の防災頭巾兼用ランドセルカバー1をランドセルカバーとしてランドセル110に装着する際には、表部材10及び裏部材20の自由端側の短辺側端部71FS,71BSや長辺側端部71FL,71BLの開放端側を開いて、表部材10の内面側及び裏部材20の内面側の間にランドセル110の冠111をその先端側の差込ベロ部112側から挿入する。このとき、表部材10がランドセル110の冠表111F側に配置し、裏部材20がランドセル110の冠裏111B側に配置するようにする。そして、表部材10の内面側及び裏部材20の内面側の間に挿入された冠111の先端側の差込ベロ部112を、裏部材20に形成された開口部50に通し、裏部材20の内面側から外面側に開口部50から導出する。なお、紐状体41に設けた紐止め具42の係止位置の調節により表部材10の自由端側の長辺側端部71FL側と裏部材20の自由端側の長辺側端部71BL側を紐状体41が架け渡す接続長さを長くして表部材10及び裏部材20の間の間隔を緩めておくと、表部材10の内面側及び裏部材20の内面側の間にランドセル110の冠111をスムーズに通して、裏部材20の開口部50から冠111の先端側の差込ベロ部112を容易に引き出すことができる。
こうして、ランドセル110の冠111を表部材10及び裏部材20の短辺側端部71FS,71BSや長辺側端部71FL,71BLの開放端側から挿入して表部材10と裏部材20の間に入れ、そして、裏部材20の開口部50から冠111の先端側の差込ベロ部112を引き出すことによって、ランドセル110の冠111に対し表部材10及び裏部材20がそれを挟むように装着される。このとき、表部材10の自由端側の長辺側端部71FL側と裏部材20の自由端側の長辺側端部71BL側で表部材10と裏部材20の間が紐状体41で接続されていることで、表部材10と裏部材20の位置ずれを制限できる。即ち、この表部材10と裏部材20の間を接続している紐状体41の紐止め具42を、図5で示したように、表部材10の長辺側端部71FL側と裏部材20の長辺側端部71BL側に引き寄せた状態とし、表部材10の長辺側端部71FL側と裏部材20の長辺側端部71の間を紐状体41により架け渡す接続長さを短くして表部材10及び裏部材20の間の間隔を制限すると、表部材10及び裏部材20の移動がロックされる。
更に、本実施の形態では、表部材10及び裏部材20の内面側に取付けた複数のループ43に紐状体41を通すことによって表部材10と裏部材20の横幅方向の内面周囲に紐状体41を配設していることで、紐状体41上の紐止め具42の係止位置によって紐状体41により表部材10及び裏部材20をその横幅方向(短辺方向)で締付け自在である。即ち、紐止め具42を表部材10の長辺側端部71FL側と裏部材20の長辺側端部71BL側に強く引き寄せて表部材10及び裏部材20の横幅方向の距離を絞ることで、ランドセル110の冠111に対しその表裏に配置する表部材10及び裏部材20を締付けて、ランドセル110の冠111に対し表部材10及び裏部材20がより位置ずれし難い堅固な固定も可能である。
こうして、本実施の形態の防災頭巾兼用ランドセルカバー1によれば、表部材10及び裏部材20の短辺側端部71FS,71BSや長辺側端部71FL,71BLの開放端側からランドセル110の冠111を挿入し、裏部材20の開口部50から差込ベロ部112を引き出し、更に、紐状体41の紐止め具42を表部材10の長辺側端部71FL側と裏部材20の長辺側端部71BL側に引き寄せるのみの簡単な操作でランドセルカバーとしてランドセル110の冠111に容易に取付けることができる。
特に、本実施の形態の防災頭巾兼用ランドセルカバー1によれば、表部材10の自由端側の長辺側端部71FL側と裏部材20の自由端側の長辺側端部71BL側で表部材10と裏部材20の間を接続する接続部材が紐状体41であるから、冠111のサイズを問わずに、冠111に対し位置ずれし難い固定を可能とする。更に、紐状体41に紐止め部42を取付けたことで、紐状体41上で紐止め部42をスライドさせ任意の位置で係止させる簡単な操作で表部材10の長辺側端部71FL側と裏部材20の長辺側端部71の間を架け渡す接続長さの調節を自在とし、小さな子供でも簡単に表部材10と裏部材20の拘束間隔を決定して冠111に対し位置ずれし難い固定を可能とする。更に、紐状体41を表部材10及び裏部材20の横幅方向で内面周囲に取付けたことで、表部材10及び裏部材20をその横幅方向(短辺方向)で締付け自在であるから、紐止め部42の紐状体41上での係止位置の調節により、表部材10及び裏部材20の横幅方向の距離を絞り、ランドセル110の冠111に対し表部材10及び裏部材20がより位置ずれしない堅固な固定を可能とする。
そして、このように本実施の形態の防災頭巾兼用ランドセルカバー1が装着されたランドセル110の冠111は、本体部115の教科書等が収納される収納部の開口を閉じるように被せられ、防災頭巾兼用ランドセルカバー1の開口部50から引き出された冠111の差込ベロ部112の先端の錠前112aの孔を本体部115の底部に設けられた錠前の凸部に嵌めて錠前をロックすることで本体部115に固定される。
ここで、本実施の形態の防災頭巾兼用ランドセルカバー1によれば、後述するように防災頭巾として頭部の周囲を広範囲で覆うことができる面積を有するも、ランドセルカバーとしてはその面積を表部材10と裏部材20に分けて冠111の表裏に配置させる形態である。即ち、冠表111Fに表部材10を配置し、冠裏111Bに裏部材20を配置させるものである。したがって、表部材10及び裏部材20を重ねた全体では分厚い防災頭巾兼用ランドセルカバー1の厚みもランドセル110の冠表111Fに配置する表部材10とランドセル110の冠裏111Bに配置する裏部材20とに分散され、ランドセル110の冠裏111Bと本体部115との間に介在する裏部材20の厚みは表部材10及び裏部材20を重ねた全体の厚みよりも少ない略半分で済み、防災頭巾兼用ランドセルカバーカバー1を折り畳むことなく冠111に装着するから、既存のランドセル110の本体部115の下端の底部に設けた錠前(凸部)に対する冠111の先端側の錠前(孔)112aの係止位置に影響を与えない取付けを可能とし、既存のランドセルの使い勝手を損ねることはなく、冠裏111Bと本体部115との間に介在する裏部材20の厚みで本体部115や冠111に変形等を生じさせる恐れもない。特に、本実施の形態では、紐状体41を表部材10及び裏部材20の横幅方向に沿って内面の周囲に取付けたことで、表部材10及び裏部材20をその横幅方向で締付け自在であり、締付けによって厚みを絞れるから、ボリュームを抑えてよりコンパクトに収めた装着を可能とし、錠前の係止位置に与える影響を少なくできる。
そして、本実施の形態の防災頭巾兼用ランドセルカバー1によれば、ランドセルカバーとしてランドセル110の冠111に装着し、表部材10が冠表111Fを覆い、また、裏部材20が冠裏111Bを覆うことで、冠111の損傷や、紫外線による冠111の劣化等を避けることができる。更に、表部材10及び裏部材20が緩衝性を有することにより外力、衝撃を吸収して緩和できるから、外力によるランドセル110の損傷を効果的に防止できることに加え、小学生の身体に伝わる外力、衝撃を緩和して外力、衝撃から保護する効果を高めることができる。
加えて、本実施の形態の防災頭巾兼用ランドセルカバー1によれば、表部材10の一方の短辺側の端部の全長及び裏部材20の一方の短辺側の端部の全長が縫合線32にて縫合されて短辺側閉鎖端部31Sが形成されており、表部材10の一方の短辺側の端部及び裏部材20の一方の短辺側の端部がその全長で閉じられている。これより、図4で示すように、擦り切れ、傷付き等が生じやすい冠111の長方形部分の短辺端縁においてものその全長を短辺側閉鎖端部31Sで覆い、保護できる。
そして、このようにしてランドセル110の冠111に装着された防災頭巾兼用ランドセルカバー1をランドセル110から取外す際には、表部材10及び裏部材20の短辺側端部71FS,71BSや長辺側端部71FL,71BLの開放端側から表部材10及び裏部材20の間に挟まれている冠111を引き抜くことで取外すことができる。或いは、表部材10及び裏部材20の短編側閉鎖端部31S側を冠111の長手方向で引っ張ることで、冠111から取外すことができる。このとき、冠111への装着状態で、表部材10の自由端側の長辺側端部71FL側と裏部材20の自由端側の長辺側端部71BL側に引き寄せていた紐止め具42を移動させて表部材10及び裏部材20の間の間隔を緩めておくと、表部材10及び裏部材20の間からランドセル110の冠111をスムーズに引き抜くことができる。
こうして、本実施の形態の防災頭巾兼用ランドセルカバー1によれば、表部材10及び裏部材20の間から冠111を引き抜くのみの簡単な操作で裏部材20の開口部50に通していた差込ベロ部112も引き抜かれ、ランドセル110の冠111から容易に取外すことができる。このとき、紐止め具42をスライド移動させる操作で表部材10及び裏部材20の間隔を緩めておくと、表部材10及び裏部材20の間からランドセル110の冠111をスムーズに引き抜くことができる。
特に、紐止め具42の押し部42aの押し操作及びその解除を含むスライド移動の操作のみで表部材10及び裏部材20の間隔を緩めて表部材10及び裏部材20の間からランドセル110の冠111をスムーズに引き出すことができるから、小さな子供でも簡単に迅速な取外しが可能である。即ち、登下校中に地震等が発生した際でも、ランドセル110の冠111から防災頭巾兼用ランドセルカバー1を迅速に取外し、防災頭巾に転用させることが可能である。
そして、図7及び図8で示すように、本実施の形態の防災頭巾兼用ランドセルカバー1を防災頭巾として人体の頭部に装着する際には、表部材10及び裏部材20の内面側に設けた1対の接着布からなる接合部材62a及び接合部材62bを接合し、表部材10及び裏部材20の自由端側の短辺側端部71FS,71BSや長辺側端部71FL,71BLの開放端側から表部材10及び裏部材20の間に人体の頭部を挿入して表部材10及び裏部材20の間で人体の頭部を挟むように装着し、表部材10及び裏部材20によって頭部の周囲を覆う。このとき、表部材10及び裏部材20の間を接続している紐状体41に取付けた紐止め具42をスライド移動させる操作で表部材10及び裏部材20の間隔を緩めておくと、頭部の大きさに対応して表部材10及び裏部材20の間にスムーズに挿入することができる。
こうして表部材10と裏部材20の間に人体の頭部を配置したら、紐状体41を装着者の顎に対応させて、紐状体41に取付けた紐止め具42を任意の位置にスライド移動させることで紐状体41の表部材10と裏部材20の間を架け渡す接続長さを調節して装着者の顎にかける。これによって、防災頭巾兼用ランドセルカバー1を防災頭巾として頭部に装着した装着者が走った時等でも、頭巾がずれて落下することもなくなる。
特に、紐状体41を表部材10及び裏部材20の横幅方向に沿って内面の周囲に取付けたことで、紐止め具42の係止位置の調節によって表部材10及び裏部材20をその横幅方向(短辺方向)で締付け自在であり、表部材10及び裏部材20の間に配置された頭部の寸法形状に対して表部材10及び裏部材20の間をきつく締付けフィットさせる固定が可能であるから、表部材10及び裏部材20が頭部から外れたり位置ずれしたりするのを防止することができる。
また、本実施の形態では、紐止め具42の押部42aの押し操作及びその解除を含むスライド移動の操作のみで表部材10及び裏部材20の間隔の絞りが容易であり、小さな子供でも簡単かつ迅速に頭部に対して堅固な取付けを可能とする。即ち、緊急時でも速やかに頭部に対して堅固な取付けを可能とし、避難のために走ったときでも、防災頭巾が頭部から外れ難く、落下物等から常時頭部を保護できる態勢となる。
防災頭巾兼用ランドセルカバー1を防災頭巾として使用する態様としては、図7に示すように、表部材10及び裏部材20の短辺側端部71FS,71BSの開放端側から表部材10及び裏部材20の間に人体の頭部を挿入して、短辺側閉鎖端部31S側が人体の頭部の頭頂部側に位置し長辺側閉鎖端部31L側が人体の頭部の後頭部側に位置するように、防災頭巾兼用ランドセルカバー1の長手方向を頭部の上下方向に一致させる形態で被せてもよいし、図8に示すように、表部材10及び裏部材20の長辺側端部71FL,71BLの開放端側からから表部材10及び裏部材20の間に人体の頭部を挿入して、長辺閉鎖端部31L側が人体の頭部の頭頂部側に位置し短辺側閉鎖端部31S側が人体の頭部の後頭部側に位置するように、防災頭巾兼用ランドセルカバー1の長手方向を頭部の前後方向に一致させる形態で被せてもよい。
そして、このように、本実施の形態の防災頭巾兼用ランドセルカバー1によれば、ランドセル110の冠表111Fを覆う表部材10とランドセルの冠裏111Bを覆う裏部材20がL字状に周囲の2辺の端部で接合された構成によって、表部材10及び裏部材20の間に頭部を入れるものであるから、図7及び図8に示した何れの装着形態であっても、人体の頭部の前頭部側から頭頂部を介して後頭部側の範囲及び左側頭部側から頭頂部を介して右側頭部側の範囲にかけての広範囲に亘って頭部の周囲を保護できる。
特に、図7に示したように、表部材10及び裏部材20の短辺側端部71FS,71BSの開放端側から表部材10及び裏部材20の間に頭部を挿入して防災頭巾兼用ランドセルカバー1の長手方向が頭部の上下方向に一致する縦長に装着する形態では、頭部から首部や肩部まで広く覆うことができる。なお、この装着形態では、短辺側閉鎖端部31S側で接合された1対の接着布からなる接合部材62a及び接合部材62bの位置に頭部が到達しない程度の深さで装着される。短辺側閉鎖端部31S側とは反対側で開口部50の付近に接着布からなる接合部材62bが設けられそれに対応する位置の表部材10の内面側に接着布からなる接合部材62aが設けられているが、小学生の頭部のサイズであれば、図7に示すように、1対の接着布からなる接合部材62a及び接合部材62bの接合位置に到達しない程度の頭部の深さで十分に頭部の周囲を広範囲に亘って保護できる。
また、頭部の大きさが小さい低学年の子では、図8に示すように、表部材10及び裏部材20の長辺側端部71FL,71BLの開放端側から頭部を挿入して防災頭巾兼用ランドセルカバー1の長手方向が頭部の前後方向に一致する装着形態で、短辺側閉鎖端部31Sが後頭部側に位置するように被っても頭部全体をすっぽり覆うことができる。この場合には、顔の前面側の左右から表部材10及び裏部材20が突きだすから顔面側の保護が強化される。この装着形態では、短辺側閉鎖端部31S側で接合された1対の接着布からなる接合部材62a及び接合部材62bの位置に頭部が到達しない程度の奥行きで装着される。
特に、本実施の形態では、紐状体41が顎紐として機能し、紐状体41に設けた紐止め具42の係止位置の調節により顎の周囲の長さに対応して顎に掛けることができる。更に、紐状体41が表部材10及び裏部材20の横幅方向の内面周囲に取付けられていることで、紐状体41に設けた紐止め具42の係止位置の調節により表部材10及び裏部材20をその横幅方向で締付け自在であり表部材10及び裏部材20の間隔を絞ることができるから、頭部の寸法形状に対応して表部材10及び裏部材20をきつく締付けることができる。
よって、何れの装着形態を選択しても頭部の寸法形状に応じて表部材10及び裏部材20をフィットさせることができ、位置ずれし難い装着が可能であり、装着者の頭部のサイズ、使い勝手等に応じ装着形態を選択できる。そして、このように頭部の大きさにフィットする固定した取付けが可能であるから、走っても頭部からずれて落下することがない。両手が荷物等で塞がっているときでも、防災頭巾として頭部に装着した防災頭巾兼用ランドセルカバー1の落下を防止するために手で抑える必要もないから、迅速な避難を可能とする。
ここで、本実施の形態の防災頭巾兼用ランドセルカバー1では、ランドセルに装着する際に差込ベロ部112を通すための開口部50が設けられているが、防災頭巾として使用する際には、裏部材20の内面側で開口部50の近傍に短辺側閉鎖端部31側とは反対側に取付けられた接着布からなる接合部材62b及びそれに対応する表部材10の内面側に取付けられた接合部材62aを接合することにより、頭部に装着した際に開口部50よりも人体に近い側で、表部材10の内面と裏部材20の内面が部分的に接合されることで、落下物等が開口部50から進入し頭部に直撃する事態を避けることができる。
また、このように1対の接着布からなる接合部材62a及び接合部材62bの配置は、裏部材20の横幅方向(短辺方向)に長い開口部50の開口長さと同程度に設定しているも、表部材10及び裏部材20の横幅長さの全長に亘ることなく、表部材10及び裏部材20の横幅長さの一部である。即ち、1対の接着布からなる接合部材62a及び接合部材62bは表部材10及び裏部材20の横幅の全長を閉じるものではなく、表部材10及び裏部材20の横幅長さを部分的に閉鎖するものである。よって、表部材10及び裏部材20の間で頭部を挟む空間と、開口部50が設けられている短辺閉鎖端部31S側の空間とで連通する隙間が存在するから、開口部50による通気性も確保され、装着時に蒸れ難いものとなる。更に、防災頭巾として頭部への装着状態で、開口部50からの外部の音が聞き取りやすいものとなる。一方で開口部50が装着の耳の位置に当たらないから、爆音等の衝撃は緩和される。
更に、本実施の形態の防災頭巾兼用ランドセルカバー1では、このように短辺側閉鎖端部31S側で1対の接着布からなる接合部材62a及び接合部材62bによる表部材10及び裏部材20の部分的な接合個所が存在することで短辺側閉鎖端部31S側の強度の向上により短辺側閉鎖端部31S側での緩衝性(衝撃吸収性)が向上し、衝撃の緩和効果が高まる。よって、図7に示したように、短辺側閉鎖端部31S側が頭部の頭頂部に位置する装着形態では、頭部の頭頂部側の保護が強化され、図8に示したように、短辺側閉鎖端部31S側が頭部の後頭部側に位置する装着形態では、後頭部側の保護が強化される。
なお、表部材10及び裏部材20の間隔を緩める方向に紐止め具42をスライド移動させて表部材10及び裏部材20の間隔を緩めることで、頭部から防災頭巾兼用ランドセルカバー1を容易に取外すことができ、通常時は上述したようにランドセルカバーとして使用される。
特に、本実施の形態の防災頭巾兼用ランドセルカバー1によれば、紐止め具42のスライド操作のみで、表部材10及び裏部材20の間を架け渡す接続長さの調節、表部材10及び裏部材20の間隔調整が容易にできる。また、表部材10の内面及び裏部材20の内面を部分的に接合する接合部材62a及び接合部材62bが1対の接着布であるから、防災頭巾として使用する際の表部材10の内面及び裏部材20の内面の接合も容易である。
よって、ランドセルカバーとしてランドセル110の冠111に装着した状態からの取外し及び防災頭巾としての頭部へ装着する切替え操作が容易であり、地震、火災等の災害緊急時でも、ランドセルカバーから防災頭巾としての使用の切替えが極めて容易にできる。
なお、ここでは地震等の災害時に落下物等から頭部を保護する防災頭巾として使用される説明としたが、人体の頭部に装着して寒さ、風から守る防寒用、防風用の頭巾として使用してもよいし、表部材10及び裏部材20が防水、撥水性を有するものであれば、頭部に装着して雨避けや雪避けの雨具用の頭巾としても活用できる。更に、表部材10及び裏部材20が緩衝性を有するから、学校の椅子の座面に載置する座布団や椅子の背もたれクッション、災害発生時に避難場所で枕等としても快適に使用できる。
ところで、上記実施の形態では、表部材10の内面及び裏部材20の内面を接合する接合部材62a,62bとして1組の1対のマジックテープ(登録商標)からなる面ファスナ等の接着布を用い、表部材10及び裏部材20の横幅方向(短辺方向)に幅広としたが、本発明を実施する場合には、2組以上を使用し、所定の間隔で開口部50の近傍に配置するようにしてもよい。このような面ファスナ等と呼ばれる接着布を用いることで、ランドセルカバーとしてランドセル110の冠111に装着したときでも冠111を傷付け難く、また、防災頭巾として頭部に装着する際に、1対の接合部材62a,62bの接合が容易にできる。そして、防災頭巾として頭部に装着している際に頭部に接合部材62a,62bが接触したときでも頭部に異物感や違和感を与え難い。しかし、本発明を実施する場合には、表部材10の内面及び裏部材20の内面を接合する接合部材62a,62bは、1対のスナップボタン、ドット釦、線ファスナ等を用いてもよい。
また、上記実施の形態では、紐状体41の表部材10と裏部材20の内周囲への取付けは、表部材10の内面及び裏部材20の内面に取付けたループ43に紐状体41を挿通することによって取付けられているが、本発明を実施する場合には、表部材10及び裏部材20の外周囲に設けてもよいし、そのような取付手段に限定されず、例えば、接着布、スナップボタン、ドット釦等の接続具を使用して取付けてもよいし、表部材10及び裏部材20に紐状体41が挿入される袋状の紐通路を設け、その紐通路の中に紐状体41を挿入することで、表部材10と裏部材20の周囲に紐状体41を取付けるようにしてもよい。
次に、本実施の形態の変形例について説明する。
防災頭巾兼用ランドセルカバー1をランドセルカバーとして用いる際に、ランドセル110の差込ベロ部112が挿通される開口部50について、上記実施の形態では、短辺側閉鎖端部31S側の端縁よりも内側で裏部材20に形成されている。即ち、図1等に示すように、上記実施の形態では、表部材10の一方の短辺側の端部と裏部材20の一方の短辺側の端部とがそれらの略全長で縫合(縫合線32)されて短辺側閉鎖端部31Sが形成されており、表部材10の一方の短辺と裏部材20の一方の短辺との全長に亘る短辺側閉鎖端部31Sの端縁から所定距離離れた位置で裏部材20に開口部50が形成されている。
これに対し、変形例では、図9乃至図13に示すように、短辺側閉鎖端部31Sを形成する表部材10の一方の短辺側の端部と裏部材20の一方の短辺側の端部を短辺方向の中央側で部分的に縫合することなくその縫合しない箇所を開口部50Aとしている。
即ち、図9乃至図13に示す変形例の防災頭巾兼用ランドセルカバー1Aでは、表部材10の一方の短辺の端部と裏部材20の一方の短辺の端部とが短辺方向の両端部で縫合線32Aにて縫合されて、短辺方向の両端部側で短辺側閉鎖端部31Sが形成されるも、短辺の中央部では表部材10と裏部材20とが縫合により接合されることなく開口部50Aを形成している。なお、開口部50Aの周囲でステッチ、パイピング、布等の補強を施してもよい。
この変形例では、表部材10の一方の短辺の端部と裏部材20一方の短辺の端部を部分的に縫合により接合することなく開口部50Aを形成するものであるから、上記実施の形態の開口部50のように裏部材20を切り欠く手間が省け、防災頭巾兼用ランドセルカバー1Aの製造を容易とし、生産性の向上を図ることができる。
このように短辺側閉鎖端部31S側で表部材10の一方の短辺の端部と裏部材20一方の短辺の端部を部分的に縫合しないことで表部材10の一方の短辺の端部と裏部材20一方の短辺の端部の間に所定の開口部50Aを形成した変形例においては、表部材10の内面及び裏部材20の内面を部分的に接合する1対の接合部材62a,62bの位置は、図9等に示したように、開口部50Aのすぐ近くであってもよいし、上記実施の形態のように、短辺側閉鎖端部31Sから所定距離離れた位置であってもよい。このとき、1対の接合部材62a,62bによる表部材10の内面及び裏部材20の内面の部分的な接合は、1対の接合部材62a,62bによって表部材10及び裏部材20の横幅方向の全長を完全に閉じることなく、部分的に非接合箇所を設けておくことで、通気性及び外部の音の聞き取り易さを確保できる。
こうして、開口部50Aの近傍で1対の接合部材62a,62bを設けることによって、図12及び図13で示す防災頭巾として使用する際に1対の接合部材62a,62bにより部分的に表部材10の内面及び裏部材20内面が接合することで、開口部50Aから表部材10及び裏部材20の間に落下物等が進入して表部材10及び裏部材20の間に挿入されている頭部に直撃するのを阻止する。また、短辺側閉鎖端部31S側での表部材10の内面及び裏部材20内面の部分的な接合により短辺側閉鎖端部31S側での強度が高くなるから落下物等による衝撃を緩和する緩衝性が増大する。
ところで、上記実施の形態では、表部材10の内面及び裏部材20内面の周囲に所定間隔で設けた複数のループ43に紐状体41を通すことによって表部材10の内面及び裏部材20内面の周囲に紐状体41を取付け、また、紐状体41に紐止め具42を取付けて紐止め具42の係止位置の調節によって表部材10及び裏部材20の間を締付け自在とする構成である。
これに対し、変形例では、図9乃至図13に示すように、防災頭巾としての使用時に顎紐として機能させる1対の紐状体41A,41Bをホック45によって表部材10及び裏部材20に取付自在としている。
具体的には、表部材10の内面側であって、開放端側の長辺側端部71FL側にホック45の凸パーツ45aが取付られ、また、裏部材20の内面側であって、開放端側の長辺側端部71FL側にホック45の凸パーツ45aに対応するその対向位置で凹パーツ45bが取付けられている。表部材10の内面及び裏部材20の内面に取付られる1対の凸パーツ45a及び凹パーツ45bは、1対の紐状体41A,41Bが取付けられそれが顎紐として機能する位置であればよく、2組以上設けて1対の紐状体41A,41Bの取付位置を選択できるようにしてもよいし、1組であってもよい。例えば、図9乃至図13においては、1対の凸パーツ45a及び凹パーツ45bを表部材10及び裏部材20の内面側であって表部材10及び裏部材20の開放端側の長辺端部と短辺端部のが交差する角部(隅部)と、短辺側端部71FS,71BSの端縁から5cm〜15cm程度離れた位置との2箇所に設けている。
変形例では、このように開放端の長辺側端部71FL,71BL側で表部材10の内面及び裏部材20の内面にホック45の1対の凸パーツ45a及び凹パーツ45bが取付られていることで、図10に示すように、ランドセルカバーとしてランドセル110の冠111に装着する際に、紐状体41を取付けなくとも、1対の凸パーツ45a及び凹パーツ45bの接合により開放端の長辺側端部71FL,71BL側で表部材10及び裏部材20を接続することで、表部材10と裏部材20の移動を拘束し、位置ずれを防止できる。つまり、変形例では、ホック45の1対の凸パーツ45a及び凹パーツ45bを、表部材10及び裏部材20の開放端の長辺側端部71FL,71BL側で表部材10と裏部材20の間を接続する接続部材として機能させることができる。なお、上述したようにホック45を2組以上設けて、2箇所以上で接合することにより、ランドセルカバーとしてランドセル110の冠111に取付けた際の位置ずれの防止効果が高く、また、表部材10及び裏部材20の開放端側の角部の捲れ等を防止できる。
更に、変形例では、紐状体41Aの一端部に表部材10の内面に設けたホック45の凸パーツ45aに対応させるホック45の凹パーツ45cを取付け、ホック45の凸パーツ45a及び凹パーツ45cの接合によって表部材10に対し紐状体41Aを取付自在としている。また、紐状体41Bの一端部に裏部材20の内面に設けたホック45の凹パーツ45bに対応させるホック45の凸パーツ45dを取付け、ホック45の凹パーツ45b及び凸パーツ45dの接合によって裏部材20に対し紐状体41Bを取付自在としている。
これにより、図12及び図13で示すように、防災頭巾として頭部に装着する際には、表部材10に取付けた紐状体41A及び裏部材20に取付けた紐状体41Bを顎で結んで顎紐として機能させることができる。
この変形例では、ランドセルカバーとしての使用時には、1対の紐状体41A,Bをランドセルの本体部115等に収容しておき、或いは、表部材10及び裏部材20にポケット等を設けそこに紐状体41A,Bを収納しておき、防災頭巾としての使用時に、1対の紐状体41A,Bを表部材10及び裏部材20に取付けて顎紐として機能するようにしてもよいし、ランドセルカバーとしての使用時にも、1対の紐状体41A,Bをホック45によって表部材10や裏部材20に取付けて、表部材10及び裏部材20の開放端の長辺側端部71FL,71BL側で1対の紐状体41A,Bを結ぶことによって表部材10と裏部材20の間を接続し表部材10と裏部材20の移動を拘束して位置ずれを防止する接続部材として機能させてもよい。
特に、このようにランドセルカバーとしての使用時にも、紐状体41A,Bを表部材10及び裏部材20に取付けておくと、紐状体41A,Bも紛失し難く、更に、結ぶ位置の結び目の調節によって、表部材10と裏部材20の間を架け渡す接続長さが自在であるから、ランドセル110の冠111のサイズを問わず、ランドセル110の冠111に対し位置ずれし難い固定を可能とする。また、防災頭巾に切替える際でも、1対の紐状体41A,41Bの結びを解き、或いは緩めることで、表部材10と裏部材20の間からランドセル110の冠111を容易に引き抜くことができ、そして、表部材10と裏部材20の間に頭部を入れて1対の紐状体41A,41Bを顎にかけて前で結ぶことで容易かつ迅速に頭部から位置ずれし難い装着を可能とする。
更に、変形例においては、裏部材20の外面側であって開放端側の長辺側端部71BL側にもホック45が長辺方向の両端部に設けられている。具体的には、裏部材20の外面側であって開放端の長辺側端部71BL側において、長辺方向の一端部(角部)に紐状体41Aのホック45の凹パーツ45cに対応する凸パーツ45eが取付けられ、また、長辺方向の他端部(角部)に紐状体41Bのホック45の凸パーツ45dに対応する凹パーツ45fが取付けられている。これより、図11(b)に示すように、裏部材20の外面側の長辺側端部71BL側でその長辺方向の両端部に1対の紐状体41A,41Bを取付自在とし、1対の紐状体41A,41Bを介して椅子の座面に載置する座布団として椅子に固定することも可能である。
即ち、ランドセルカバーとしてランドセル110の冠111に装着した状態の防災頭巾兼用ランドセルカバー1Aを、学校では、ランドセル110から取外し、紐状体41Aをホック45の凹パーツ45c及び凸パーツ45eの接合によって裏部材20の長辺側端部71BLの長辺方向の一端部に取付け、また、紐状体41Bをホック45の凸パーツ45d及び凹パーツ45fの接合によって裏部材20の長辺側端部71BLの長辺方向の他端部に取付け、椅子の座面に対して略垂直に配設している背凭れの1対の支柱に1対の紐状体41A,Bを結んで椅子に取付けることで、防災頭巾兼用ランドセルカバー1Aを椅子の座面に載置する座布団として機能させることができる。
なお、本発明を実施する場合には、1対の紐状体41A,41Bの表部材10と裏部材20への取付けは、ホックに限定されず、例えば、面ファスナ等の接着布、スナップボタン、ドット釦等の接続具を使用して取付けてもよいし、表部材10と裏部材20に取付けたループに紐状体41A,41Bを通すことによって取付けてもよい。
ところで、上記実施の形態及び変形例においては、上記実施の形態の開口部50や変形例の開口部50Aから表部材10及び裏部材20の間に落下物等が進入して頭部に直撃するのを阻止する手段として1対の接合部材62a,62bによって部分的に表部材10の内面及び裏部材20内面を接合する手段を説明としたが、本発明を実施する場合には、例えば、上記実施の形態の開口部50に対し、裏部材20の外面側または内面側から開口部50を被覆部81,81Aで覆うことで、開口部50から表部材10及び裏部材20の間に落下物等が進入するのを阻止するようにしてもよい。
例えば、図14(a)に示すように、上記実施の形態の開口部50に対しては、裏部材20の外面側で略長方形状の布からなる被覆部81の長辺側の一端部を短辺側閉鎖端部31S側で開口部50の周縁部に縫付線81aにて縫付け、被覆部81の他端部側(長辺側)が自由端となるように被覆部81を取付ける。これよりランドセル110の差込ベロ部112が開口部50に通されて裏部材20の内面側から外面側に引き出されるときには、被覆部81が開口部50全体を覆うことなく被覆部81の自由端側が開放されて、そこからランドセル110の差込ベロ部112が引き出される。なお、ランドセルカバーとしてランドセル110の冠111への装着状態では、被覆部81は開口部50から裏部材20の内面及び表部材10の内面の間に入れ込んでおくことで目立なたくすることもできる。一方で、防災頭巾として使用する際には、短辺側閉鎖端部31S側から被覆部81が開口部50全体を覆うことで、開口部50から表部材10及び裏部材20の間に落下物等が進入して頭部に直撃するのを阻止できる。また、開口部50が被覆部81で密閉されるものではないから、通気性及び外部の音の聞き取り易さも確保される。なお、被覆部81の自由端側も面ファスナ等の接着布、ボタン、ドット釦等の接続具を使用して裏部材20に接合自在としてもよい。
また、例えば、図14(b)に示すように、実施の形態の開口部50に対しては、裏部材20の外面側で、開口部50の周縁部において短辺側閉鎖端部31S側とは反対側でボタン83を取付け、また、短辺側閉鎖端部31S側にボタン83に掛ける紐状のループ84を取付ける。これにより、防災頭巾として使用する際には、紐状のループ84をボタン83に掛けることで、短辺側閉鎖端部31S側で表部材10及び裏部材20が折曲げられ開口部50を覆う被覆部81Aを形成し、この被覆部81Aによって外面側に開口部50が表出しないから、落下物等が開口部50から進入して頭部に直撃するのを阻止できる。更に、表部材10及び裏部材20の折曲げによって強度も増し緩衝性も向上する。また、開口部50によって通気性及び外部の音の聞き取り易さも確保できる。
こうして、開口部50を被覆自在な被覆部81,81Aを有することでも、防災頭巾として頭部に装着した際に、被覆部81,81Aで開口部50を覆うことで、開口部50から落下物等が表部材10の内面と裏部材20の内面の間に進入し頭部に当たるのを阻止することができる。
更に、例えば、図15(a)に示すように、変形例のスリット状の開口部50Aに対しては、その周縁部にゴム91を取付けて開口部50Aの周囲を伸縮自在に形成してもよい。これにより、ランドセルカバーとしてランドセル110の冠111へ装着する際では、ゴム91の伸長によって開口部50Aを大きく開いてランドセル110の差込ベロ部112を通すことができる。一方で、防災頭巾として使用する際には、ランドセルカバーから防災頭巾に切替える際に何ら操作を必要とすることなく、ゴム91の本来の長さに収縮することで、開口部50Aの大きさが小さくなり、落下物等が進入し難いものとなる。また、小さい開口部50Aから通気性及び外部の音の聞き取り易さも確保される。
加えて、例えば、図15(b)に示すように、変形例のスリット状の開口部50Aに対しては、その周縁部にハード芯や硬質ボード等の芯材93を取付けて、開口部50Aの周囲の剛性、強度を高めてもよい。芯材93により開口部50A周囲の剛性、強度を高めることで、外力を受けたときでも開口部50Aが開口し難く開口変形を防止できるため、開口部Aに落下物等が進入し難いものとなる。また、開口部50Aにより通気性及び外部の音の聞き取り易さも確保される。
その他にも、例えば、スリット状の開口部50Aの周縁に1対の線ファスナを取付け開口部50Aを線ファスナで開閉自在にしてもよい。
また、上記緩衝性を有する表部材10及び裏部材20は、表生地及び裏生地からなる外生地に緩衝材を入れる説明としたが、本発明を実施する場合には、例えば、袋状のプラチック等からなる生地シートに空気等を封入することによって、空気等による緩衝性を有するものであってもよい。
以上説明したように、上記実施の形態の防災頭巾兼用ランドセルカバー1は、ランドセル110の冠表111Fを覆う緩衝性を有する長方形状の表部材10と、表部材10に対向し、ランドセル110の冠裏111Bを覆う緩衝性を有する長方形状の裏部材20と、表部材10の一方の長辺側の端部と裏部材20の一方の長辺側の端部が接合され、また、表部材10の一方の短辺側の端部と裏部材20の一方の短辺側の端部とが接合された閉鎖端部31S,31Lと、閉鎖端部31S,31Lを形成しない表部材10の他方の長辺側の端部71FS,71FL側及び裏部材20の他方の長辺側の端部71BS,71BL側で表部材10と裏部材20の間隔を調節自在に表部材10と裏部材20の間を接続する紐状体41及び紐止め具42とを具備する防災頭巾兼用ランドセルカバー1であって、表部材10と裏部材20が接合した短辺側の閉鎖端部31S側にランドセル110の差込ベロ部112が挿通される開口部50が表部材10及び裏部材20の短辺方向(横幅方向)に長く形成され、閉鎖端部31S,31Lを形成しない表部材10の他方の長辺側及び短辺側の端部71FL,71FSと裏部材20の他方の長辺側及び短辺側の端部71BL,71BSが開放端とされ、その開放端側から表部材10及び裏部材20の間にランドセル110の冠111を挿入自在とし、ランドセル110の冠表111F及び冠裏111Bを覆うランドセルカバーとしてランドセル110の冠111に装着自在であり、また、開放端側から表部材10及び裏部材20の間に頭部を挿入自在とし、頭部の周囲を保護する防災頭巾として頭部に装着自在であるものである。
また、上記変形例の防災頭巾兼用ランドセルカバー1Aは、ランドセル110の冠表111Fを覆う緩衝性を有する長方形状の表部材10と、表部材10に対向し、ランドセル110の冠裏111Bを覆う緩衝性を有する長方形状の裏部材20と、表部材10の一方の長辺側の端部と裏部材20の一方の長辺側の端部が接合され、また、表部材10の一方の短辺側の端部と裏部材20の一方の短辺側の端部とが接合された閉鎖端部31S,31Lと、閉鎖端部31S,31Lを形成しない表部材10の他方の長辺側の端部71FS,71FL側及び裏部材20の他方の長辺側の端部71BS,71BL側で表部材10と裏部材20の間を接続自在なホック45a,45bまたはホック45a,45bに取付けた1対の紐状体41A,41Bとを具備する防災頭巾兼用ランドセルカバー1であって、表部材10と裏部材20が接合した短辺側の閉鎖端部31S側にランドセル110の差込ベロ部112が挿通される開口部50Aが表部材10及び裏部材20の短辺方向(横幅方向)に長く形成され、閉鎖端部31S,31Lを形成しない表部材10の他方の長辺側及び短辺側の端部71FL,71FSと裏部材20の他方の長辺側及び短辺側の端部71BL,71BSが開放端とされ、その開放端側から表部材10及び裏部材20の間にランドセル110の冠111を挿入自在とし、ランドセル110の冠表111F及び冠裏111Bを覆うランドセルカバーとしてランドセル110の冠111に装着自在であり、また、開放端側から表部材10及び裏部材20の間に頭部を挿入自在とし、頭部の周囲を保護する防災頭巾として頭部に装着自在であるものである。
上記実施の形態及び変形例の防災頭巾兼用ランドセルカバー1,1Aによれば、表部材10の内面及び裏部材20の内面の間へのランドセル110の冠111の挿入によりランドセル110の冠表111Fを表部材10で覆い、ランドセル110の冠裏111Bを裏部材20で覆い、表部材10及び裏部材20の間でランドセル110の冠111を挟むようにしてランドセル110の冠111に装着される。そして、表部材10及び裏部材20の長辺側の開放端側、即ち、閉鎖端部を形成していない表部材の他方の長辺側の端部71FL側及び裏部材の他方の長辺側の端部71BL側で、上記実施の形態のおいては表部材10と裏部材20の間隔を調節自在に表部材10と裏部材20の間を接続する紐状体41及び紐止め具42によって、変形例においては表部材10と裏部材20の間を接続自在とするホック45a,45bの接合またはホック45a,45bに取付けた1対の紐状体41A,41Bの接続(結び)によって、表部材10と裏部材20の移動を拘束し表部材10及び裏部材20の位置ずれを防止する。また、表部材10の内面及び裏部材20の内面の間に挿入されたランドセル110の冠111は、その差込ベロ部112が、表部材10及び裏部材20が接合した短辺側の閉鎖端部31S側に設けた開口部50,50Aに通されて外面側に引き出され、ランドセル110の本体部115の下端側及び差込ベロ部112の先端側に設けた錠前(一対の固定具)によりランドセル110の本体部115に固定される。
このように、上記実施の形態及び変形例の防災頭巾兼用ランドセルカバー1,1Aによれば、ランドセル110の冠表111Fを表部材10で覆い、ランドセル110の冠裏111Bを裏部材20で覆うランドセルカバーとしてランドセル110の冠111に装着することで、ランドセル110の冠111の傷付き等の損傷を防止し、また、表部材10及び裏部材20が緩衝性を有するから、壁等にぶつかってランドセル110の冠111側が外力を受けたときでもランドセル110への衝撃及びランドセル110の装着者への衝撃を吸収し緩和できる。ランドセル110への装着によって、他のランドセル110と区別する識別性を持たせることも可能である。
また、地震等の災害時には、ランドセル110から取外し、即ち、表部材10及び裏部材20の間に入れられていたランドセル110の冠111を表部材10及び裏部材20の開放端側から外し、表部材10及び裏部材20の開放端から表部材10の内面及び裏部材20の内面の間に頭部を挿入することで、表部材10及び裏部材20によって頭部の周囲を覆い保護する防災頭巾として頭部に装着できる。
このように、上記実施の形態及び変形例の防災頭巾兼用ランドセルカバー1,1Aによれば、防災頭巾として頭部を覆う面積が表部材10と裏部材20とに分割されランドセルカバーとして装着の際には表部材10を冠表111Fに配置する一方で、裏部材20を冠裏111Bに配置して、表部材10及び裏部材20を重ねた全体では分厚い防災頭巾兼用ランドセルカバー1の厚みもランドセル110の冠表111F側に配置する表部材10とランドセル110の冠裏111B側に配置する裏部材20に分散され、ランドセル110の冠裏111Bと本体部115との間に介在する裏部材20の厚みは表部材10及び裏部材20を重ねた全体の厚みの半分で済み、折り畳むことなく冠111に装着するものであるから、既存のランドセル110の本体部115の下端側に設けた錠前に対する冠111の先端側の錠前112aの係止位置に影響を与えない取付けを可能とする。更に、表部材10及び裏部材20が接合した短辺側の閉鎖端部31S側に開口部50,50Aを設けそこにランドセル110の冠111の差込ベロ部112を通しており、また、表部材10及び裏部材20の長辺側の開放端71FL,71BL側でも、上記実施の形態においては紐状体41及び紐止め具42によって、変形例においてはホック45a,45bまたはホック45a,45bに取付けた1対の紐状体41A,41Bによって表部材10と裏部材20の間を接続するから、ランドセル110の冠111に対し位置ずれし難い固定を可能とする。
そして、頭部に装着する防災頭巾として、表部材10の一方の長辺側の端部と裏部材20の一方の長辺側との端部が接合され、また、表部材の一方の短辺側の端部と前記表部材の一方の短辺側の端部とが接合された表部材10と裏部材20の間に頭部を入れる装着形態であるから、緩衝性を有する表部材10及び裏部材20によって頭部の周囲全体を広くカバーでき保護力が高いものである。
こうして、上記実施の形態及び変形例の防災頭巾兼用ランドセルカバー1,1Aによれば、ランドセルカバーとして既存のランドセルに対してその機能を阻害することなく取付けでき、また、防災頭巾として頭部の周囲を広範囲で保護できる。
更に、上記実施の形態及び変形例の防災頭巾兼用ランドセルカバー1,1Aによれば、接続部材は表部材10及び裏部材に20に取付けられた紐状体41,41A,41Bで構成され、頭部に装着した際に紐状体41,41A,41Bが顎紐として機能する。
よって、防災頭巾として頭部に装着した際に、顎紐として紐状体41,41A,41Bを装着者の顎にかけることで、頭部からの落下や頭部からの位置ずれを防止できる。
特に、上記実施の形態の防災頭巾兼用ランドセルカバー1によれば、紐状体41に対し表部材10及び裏部材20の間を架け渡す接続長さを調節自在な調節部材としての紐止め具42を取付けたことから、紐状体41を結んだり及びその結びを解いたりする操作を必要とすることなく、調節部材としての紐止め具42によって表部材10及び裏部材20の間を架け渡す接続長さを調節自在とし、表部材10及び裏部材20の間隔を調節自在であるから、緊急時でもランドセル110からの取外しの作業及び頭部に装着し固定する作業を迅速に行うことができ、ランドセルカバーから防災頭巾への切替え操作を容易にできる。
そして、上記実施の形態及び変形例の防災頭巾兼用ランドセルカバー1,1Aによれば、開口部50,50Aの付近に表部材10と裏部材20を部分的に接合自在とする接着布からなる1対の接合部材62a,62bを具備するから、防災頭巾として頭部に装着した際に、表部材10と裏部材20を接着布からなる1対の接合部材62a,62bで部分的に接合することで、開口部50,50Aから落下物等が表部材10の内面と20裏部材の内面の間に進入して頭部に当たるのを阻止することができる。また、表部材10と裏部材20を接着布からなる1対の接合部材62a,62bで接合することでその部分の強度が増し、衝撃の緩和効果を高めることができる。
加えて、上記実施の形態の防災頭巾兼用ランドセルカバー1によれば、短辺側の閉鎖端部31Sが表部材10の短辺側の端部と裏部材20の短辺側の端部の全長が接合して閉じられており、開口部50は短辺側閉鎖端部31Sの端縁よりも内側で裏部材20に設けられている。
こうして、上記実施の形態の防災頭巾兼用ランドセルカバー1においては、開口部50が短辺側閉鎖端部31Sの端縁よりも内側で裏部材20に設けられ、短辺側閉鎖端部31Sは表部材10の短辺側の端部と裏部材20の短辺側の端部の全長が接合して閉じられていることから、ランドセル110の冠111に装着した際にランドセル110の冠111の長方形蓋の下辺の短辺の端縁の全長を覆うことができる。よって、損傷を受けやすい冠111の下辺の端縁であっても露出させることなくカバーできて、冠111の下辺の端縁の損傷を防止できる。
上記変形例の防災頭巾兼用ランドセルカバー1Aにおいては、開口部50Aが短辺側閉鎖端部31S側の表部材10の短辺側の端部と裏部材20の短辺側の端部間が部分的に接合されることなく表部材10の短辺側の端部と裏部材20の短辺側の端部の間の開口であることから、表部材10や裏部材20に切り込み等を入れて開口部を設ける必要がなく、縫製作業も容易となる。よって、製造の容易化、作業性の向上を可能とする。
なお、本発明を実施する場合、短辺側閉鎖端部31Sや長辺側閉鎖端部31Lは、表部材10の一方の長辺側の端部と裏部材20の一方の長辺側との端部を接合でき、また、表部材10の一方の短辺側の端部と裏部材20の一方の短辺側の端部とを接合でき閉鎖できる構成であれば、例えば、雄部材及び雌部材からなる1対の線ファスナ等によって開閉自在に閉じる構成としてもよい。1対の線ファスナ等を用いて、表部材10の一方の長辺側の端部と裏部材20の一方の長辺側との端部を接合及び分離自在とし、また、表部材10の一方の短辺側の端部と裏部材20の一方の短辺側の端部とを接合及び分離自在とする構成では、表部材10及び裏部材20を展開して、より広い面積で人体の一部を受ける座布団、枕、クッション等として活用しやすくなる。
また、上記説明では、ランドセル110の下端底部に錠前を設けたランドセル110に取付ける説明をしたが、冠111の1/2〜2/3の長さの、所謂、半かぶせ型のランドセル(錠前の位置が本体部115の中央部側)に取付けるものであっても、同様の構成を採用することができる。即ち、このような半かぶせ型のランドセルでは、開口部に錠前を通すことでランドセルの冠に装着されることになる。