JP6405663B2 - 熱硬化性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
すなわち本発明は、以下に存する。
(1)エポキシシロキサン化合物、ガリウム化合物、シラノール源化合物及びジグリシジルエステル型エポキシ化合物を含有する、熱硬化性樹脂組成物。
(2)ジグリシジルエステル型エポキシ化合物が、分子量が3,000以下である、上記(1)の熱硬化性樹脂組成物。
(3)ジグリシジルエステル型エポキシ化合物が、フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジルからなる群から選ばれる少なくともひとつである(1)又は(2)の熱硬化性樹脂組成物。
(4)ジグリシジルエステル型エポキシ化合物が、シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジルである上記(1)〜(3)のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
(5)上記(1)〜(4)のいずれかの組成物において、さらに硬化剤を含むことを特徴とする、熱硬化性樹脂組成物。
(6)上記(1)〜(4)のいずれかの組成物において、さらにフェノール樹脂を含むことを特徴とする、熱硬化性樹脂組成物。
(7)上記(1)〜(6)のいずれかの組成物を熱硬化した熱硬化性樹脂硬化物。
1.熱硬化性樹脂組成物
本発明の第一において、熱硬化性樹脂組成物は、(A)エポキシシロキサン化合物、(B)ガリウム化合物、(C)シラノール源化合物及び(D)グリシジルエステル型エポキシ化合物を含有する。
この熱硬化性樹脂組成物には、必要に応じて上記(A)〜(E)以外の成分を含有させてもよい。
以下、この熱硬化性樹脂組成物の各成分について説明する。
本発明のエポキシシロキサン化合物は、式(1)で表されるオルガノポリシロキサンも含まれる。
(R11 3SiO1/2)a1(R12 2SiO2/2)b1(R13SiO3/2)c1(SiO4/2)d1(O1/2H)e1 ・・・(1)
式(1)において、R11、R12、R13はそれぞれ独立して1価の有機基を示し、かつ、1分子中において少なくとも1つがエポキシ基を含む有機基である。
式(1)において、R11、R12、R13は、好ましくは、炭素数1〜10の炭化水素基であり、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基などのアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基などのアリール基;ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、ノナフルオロブチルエチル基などの置換アルキル基が挙げられる。
チル基、γ−(または3−)(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基などのエポキシシクロヘキシルアルキル基が例示される。反応性の観点からは、脂環式のエポキシが好適に使用される。
エポキシ化合物は、ケイ素原子に結合する加水分解性基を有するものであって、該加水分解性基を加水分解したときに、式(1)で表されるオルガノポリシロキサン(ただし、e1≧1)を生じる化合物であってもよい。換言すれば、式(1)で表されるオルガノポリシロキサン(ただし、e1≧1)において、ケイ素原子に直接結合した水酸基の全部または一部を加水分解性基に置き換えた化合物であってもよい。
(方法1)エポキシ基を有するシラン化合物と、エポキシ基を有しないシラン化合物および/またはそのオリゴマーとを、共加水分解および重縮合させる方法。
(方法2)ヒドロシリル基を有するポリシロキサンに、エポキシ基と炭素−炭素二重結合基を有する有機化合物を付加させる方法。
(方法3)炭素−炭素二重結合を含む有機基を有するポリシロキサンの該二重結合部分を酸化させて、エポキシ基に変換する方法。
Mユニットを導入するための原料としては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルシラノールなどが例示される。
両末端に水酸基を有するジアルキルシロキサンオリゴマーとして、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ジメチルシロキサン−ジフェニルシロキサン共重合体、ポリジフェニルシロキサンなどの両末端をシラノール変性した化合物が市販されている。
Qユニットを導入するための原料としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシランおよびこれらの加水分解縮合物が例示される。
ラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メチル)ジメトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)( エチル)ジメトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メチル)ジエトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エチル)ジエトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシルエチル〕(メチル)ジメトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エチル)ジメトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メチル)ジエトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エチル)ジエトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メトキシ)ジメチルシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メトキシ)ジエチルシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エトキシ)ジメチルシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エトキシ)ジエチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メトキシ)ジメチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メトキシ)ジエチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕( エトキシ)ジメチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕( エトキシ)ジエチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(ジメチル)ジシロキサン、3−エポキシプロピル(フェニル)ジメトキシシランなどが例示される。
ガリウム化合物は上記触媒作用を示すものであればよく、次の候補化合物から選択することができる:キレート配位子を有するガリウム錯体、酢酸ガリウム、オキシ酢酸ガリウム、トリエトキシガリウム、トリス(8−キノリノラト)ガリウム、シュウ酸ガリウム、エチルキサントゲン酸ガリウム、ジエチルエトキシガリウム、マレイン酸ガリウム等。n−オクチル酸、2−エチルヘキサン酸、ナフテン酸などの長鎖カルボン酸のガリウム塩等。
式(15)の化合物の具体例としてはアセチルアセトン、トリフルオロアセチルアセトン、ペンタフルオロアセチルアセトン、ヘキサフルオロアセチルアセトン等が、式(16)の化合物の具体例としてはエチルアセトアセテート等が、式(17)の化合物の具体例としてはジエチルマロネート等が挙げられる。
式(18)の化合物の具体例としては、サリチルアルデヒド、エチル−O−ヒドロキシフェニルケトン等が挙げられる。
キレート配位子を有するガリウム錯体はガリウム化合物の好適例であり、その中でもガリウムアセチルアセトネートは特に好適に使用することができる。
Ga触媒を用いるとAl触媒に比べて硬化物の加熱による重量減少が少ない。特に硬化物がシロキサン構造を含む場合にはAl触媒に比べて硬化物の加熱による重量減少が少ない。
好ましく、10質量%以下が更に好ましい。
ガリウム化合物は、エポキシ化合物100重量部に対して通常0.001重量部以上、好ましくは0.01重量部以上、また5.0重量部以下、好ましくは1.0重量部以下である。
シラノール源化合物はシラノールの供給源たる化合物である。シラノールは、前述のガリウム化合物と組み合わされて、エポキシ化合物の自己重合反応の触媒として作用する。
シラノールの役割は、エポキシ化合物の自己重合反応の開始に必要なカチオン源であると考えられる。シラノール源化合物のケイ素原子にフェニル基等の芳香族基が結合している場合には、この芳香族基はシラノール水酸基の酸性度を高める働き、つまり、シラノールのカチオン源としての作用を強める働きをしていると考えられる。
(R21 3SiO1/2)a2(R22 2SiO2/2)b2(R23SiO3/2)c2(SiO4/2)d2(O1/2H)e2 ・・・(19)
式(19)において、R21、R22、R23はそれぞれ独立して1価の有機基を示す。
において、ケイ素原子に直接結合した水酸基の全部または一部を加水分解性基に置き換えた化合物であってもよい。
シラノール源化合物がオルガノポリシロキサンである場合、その重量平均分子量については、熱硬化性樹脂組成物の硬化中あるいは硬化後に揮発しないように、500以上であることが好ましく、700以上であることがより好ましい。一方、重合度が高過ぎると粘度が高くなって取り扱い性が悪くなることから、該重量平均分子量は20,000以下であることが好ましく、15,000以下であることがより好ましい。
シラノール源化合物として好適に使用できるオルガノポリシロキサンとして、上記式(2)、式(20)〜式(23)で表される構造を有するものが挙げられる。
4)で表される化合物(ジヒドロキシジメチルシランまたは両末端に水酸基を有するポリジメチルシロキサン)とを、重縮合することにより得ることができる。重縮合触媒としては、酸、塩基の他、金属触媒を用いることができ、ガリウムアセトアセトネートのようなガリウム化合物を用いることもできる。
また、ガリウム化合物とシラノール源化合物の含有比は重量比で1:0.05〜0.001:100が好ましく、より好ましくは1:10〜0.01:100である。
グリシジルエステル型エポキシ化合物は、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有するモノマー、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有するモノマーを単独あるいは他のモノマーと共重合して得られる重量平均分子量500〜200000のポリマー、又はエピクロロヒドリンと、下記一般式(1)で表される化合物との反応生成物等をいう。
(式中のrは1〜8の整数であり、Raは炭素数2〜30の炭化水素基(β5)、炭素数2〜30のエーテル酸素(−O−)と炭化水素基のみからなる基、イソシアヌレート環、又はイソシアヌレート環と炭化水素基のみからなる基のいずれかである。)
エピクロロヒドリンと一般式(I)で表される化合物との反応は、エピクロロヒドリンと一般式(I)の化合物のカルボキシル基とが付加反応して得られるクロロヒドリンを、水酸化ナトリウム等の塩基で閉環しグリシジルエステル型エポキシ樹脂を得ることができる。また、グリシジルエステル型エポキシ樹脂のエポキシ基の一部を開環重合させたエポキシ樹脂も使用することができる。
上述したグリシジルエステル型のエポキシ化合物の具体例としては、例えばフタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジル、ステアリン酸グリシジル、パルミチン酸グリシジル、オレイン酸グリシジル,リノール酸グリシジル,リノレン酸グリシジル、ネオデカン酸グリシジル、トリアルキル酢酸グリシジルエステル、3級カルボン酸グリシジルエステル(新日鉄住金化学社製 ネオトートSなど)、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。
上記化合物の分子量としては、150以上、好ましくは250以上、また3,000以下、好ましくは2,000以下である。上述の範囲であれば、組成物を硬化した硬化物がにヒビ等を生じる傾向が軽減できる。
(E)脂環式エポキシ化合物
脂環式エポキシ化合物は、分子中に脂環式エポキシ基を有する化合物であり、好ましくはシクロヘキシルエポキシ基を有する脂環式エポキシ化合物である。典型的な脂環式エポ
キシ化合物の構造例を式(1)〜(3)に示す。
ガリウム化合物と、シラノール源化合物から供給されるシラノール基の触媒作用でエポキシシロキサンを硬化させる場合、グリシジルエステル型エポキシ化合物または脂環式エポキシ化合物を同時に硬化させることで反応が良好に進行し、耐熱性の良い架橋構造を形成すると考えられる。
(F)硬化剤
本発明の実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物には、硬化剤として酸無水物又はフェノール樹脂を含有させることができる。酸無水物の種類に特に制限はないが、耐光性の観点から脂環式カルボン酸無水物を使用することが好ましい。
また、前記脂環式カルボン酸無水物は、硬化反応を実質的に妨げない限り、適宜に化学的に変性して使用することもできる。
酸無水物を含有することで、エポキシ反応速度の制御、ハンドリング、レベリングの向上、着色防止等の効果が得られる場合がある。酸無水物の含有量としては特に制限はないが、エポキシ量に対して1.5当量以下であることが好ましい。より好ましくは1当量以下、更に好ましくは0.8当量以下である。
酸性水酸基が、フェノール性水酸基である場合、該フェノール性水酸基を含有する化合物は、水酸基の当量がエポキシの当量に対して1%以上、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上となるように添加する。また、水酸基の当量がエポキシの当量に対して200%以下、好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下で添加する。
ガリウム化合物と、シラノール源化合物から供給されるシラノール基の触媒作用を阻害しない限りにおいて、通常のエポキシ樹脂硬化に使用される触媒を併用することができる。例えば、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、シクロヘキシルジメチルアミン、トリエタノールアミン等の3 級アミン類;2−メチルイミダゾール、2−n−ヘプチルイミダゾール、2−n−ウンデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−n−ウンデシルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジ(ヒドロキシメチル)イミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−フェニル−4,5−ジ〔(2’−シアノエトキシ)メチル〕イミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−n−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテート、1−(2−シアノエチル)−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾリウムトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−〔2 ’−メチルイミダゾリル−(1′)〕エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2 ’−n−ウンデシルイミダゾリル)エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−〔2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1′)〕エチル−s−トリアジン、2−メチルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダゾリル−(1′)〕エチル−s−トリアジンのイソシアヌル酸付加物等のイミダゾール類;ジフェニルフォスフィン、トリフェニルフォスフィン、亜リン酸トリフェニル等の有機リン系化合物;ベンジルトリフェニルフォスフォニウムクロライド、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムブロマイド、メチルトリフェニルフォスフォニウムブロマイド、エチルトリフェニルフォスフォニウムブロマイド、n−ブチルトリフェニルフォスフォニウムブロマイド、テトラフェニルフォスフォニウムブロマイド、エチルトリフェニルフォスフォニウムヨーダイド、エチルトリフェニルフォスフォニウムアセテート、メチルトリブチルホスホニウムジメチルホスフェート、テトラブチルホスホニウムジエチルホスホジチオネート、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムベンゾトリアゾレート、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムテトラフルオロボレート、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルフォスフォニウムテトラフェニルボレート等の4 級フォスフォニウム塩類;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7やその有機酸塩等のジアザビシクロアルケン類;オクチル酸亜鉛、アクチル酸錫、アルミニウムアセチルアセトン錯体等の有機金属化合物;テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩類;三フッ化ホウ素、ホウ酸トリフェニル等のホウ素化合物;塩化亜鉛、塩化第二錫等の金属ハロゲン化合物のほか、ジシアンジアミドやアミンとエポキシ樹脂との付加物等のアミン付加型促進剤等の高融点分散型潜在性硬化促進剤; 前記イミダゾール類、有機リン系化合物や4級フォスフォニウム塩類等の硬化促進剤の表面をポリマーで被覆したマイクロカプセル型潜在性硬化促進剤;
アミン塩型潜在性硬化剤促進剤; ガリウム化合物以外のルイス酸塩、ブレンステッド酸塩等の高温解離型の熱カチオン重合型潜在性硬化促進剤等の潜在性硬化促進剤等を挙げることができる。
本発明の組成物では、ガリウム化合物と、シラノール源化合物から供給されるシラノール基の触媒作用を阻害しない限りにおいて、通常のシラノール硬化に使用される触媒を併用することができる。
具体例として、脱水・脱アルコール縮合反応触媒が挙げられる。前記反応触媒には、有
機金属錯体触媒、金属と有機酸の塩、ルイス酸・ルイス塩基触媒からなる群から選ばれる少なくとも1つを含有することが好ましい。脱水・脱アルコール縮合反応触媒に含まれる金属成分としては、Sn、Zn、Fe、Ti、Zr、Bi、Hf、Y、Al、B、Gaなどから選ばれる1以上を用いるのが好ましく、中でもSn、Ti、Al、Zn、Zr、Hf、Gaは反応活性が高いという点で好ましく、発光デバイス用部材として用いる場合に電極腐食や光吸収が少なく適度な触媒活性を有し、ジメチルポリシロキサン鎖の不要な切断劣化が起こりにくいZrやHfが特に好ましい。
本発明の実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物には、使用環境下での黄変を抑制するために、酸化防止剤を含有させることができる。また、上述したTEMPO等のヒドロキシラジカルと併用することにより、耐熱安定性の効果が期待できる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、ヒンダードアミン系等が好適に用いられるが、なかでも、フェノール水酸基の片側あるいは両側のオルト位にアルキル基を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤が特に好適に用いられる。
FF,IRGANOX 1035,IRGANOX 1035 FF,IRGANOX
1076,IRGANOX 1076 FD,IRGANOX 1076 DWJ,IRGANOX 1098,IRGANOX 1135,IRGANOX 1330,IRGANOX 1726,IRGANOX 1425 WL,IRGANOX 1520 L,IRGANOX 245,IRGANOX 245 FF,IRGANOX 259,IRGANOX 3114,IRGANOX 5057,IRGANOX 565,IRGAMOD 295 ,IRGAFOS 168,IRGAFOS38,
IRGASTAB PUR 68,IRGASTAB FS 042,IRGASTAB
FS 301 FF,IRGASTAB FS 110 FS ,IRGASTAB FS 210 FF ,IRGASTAB FS 410 FF,IRGANOX E 201 ,IRGANOX MD 1024,等があげられる。
酸化防止剤の組成物に対する添加量は、選択した酸化防止剤の種類、上述した効果を奏する範囲を考慮し、適宜選択されるが、例えば0.03%以上、好ましくは0.1%以上、また10%以下、好ましくは5%以下である。
フィラーとしては、一般的な有機フィラー、無機フィラーのいずれも使用することができる。有機フィラーとしては、スチレン系ポリマー粒子、メタクリレート系ポリマー粒子、エチレン系ポリマー粒子、プロピレン系ポリマー粒子、ポリアミド系等の合成ポリマー粒子、デンプン、木粉等の天然物、変性されていてもよいセルロース、各種有機顔料などが挙げられる。無機フィラーとしては、無機物もしくは無機物を含む化合物であれば特に限定されないが、具体的に例えば、石英、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ等のシリカ系無機フィラー、アルミナ、ジルコン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミ、炭化ケイ素、ガラス繊維、ガラスフレーク、アルミナ繊維、炭素繊維、マイカ、黒鉛、カーボンブラック、フェライト、グラファイト、ケイソウ土、白土、クレー、タルク、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マンガン、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、チタン酸カリウム、ケイ酸カルシウム、無機バルーン、銀粉等を挙げることができる。
フィラーの添加量は特に限定されない。
フィラーの混合の順序としては、特に限定されないが、混合時の発熱による硬化反応の進行を防ぐため、ガリウム化合物、シラノール源化合物、その他のエポキシ樹脂硬化に使用される触媒の非存在下でエポキシ化合物と混合することが望ましい。
本発明の実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物には、上述の成分の他に、物性改善、機能付与等の観点から、酸化防止剤、分散剤、消泡剤、着色剤、変性剤、レベリング剤、光拡散剤、熱伝導性、難燃剤、反応性または非反応性の希釈剤、接着、密着性向上剤等の添加剤、シランカップリング剤等をさらに含有してもよい
2.熱硬化性樹脂組成物の製造方法
本発明の実施形態に係る上記熱硬化性樹脂組成物は、上述した成分を混合することにより製造することができる。
本発明の実施形態に係る上記熱硬化性樹脂組成物を硬化させるために行う加熱の方法は、特に限定されるものではなく、例えば、熱風循環式加熱、赤外線加熱、高周波加熱等の従来公知の方法を採用することができる。
熱処理条件は、熱硬化性樹脂組成物を所望の硬化状態にすることができればよく、特に制限はない。
<合成例1>
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン64.8g、トリ
メチルエトキシシラン40.1g、イソプロピルアルコール45g及び1N塩酸24.39gを混合し、室温で3h攪拌し、さらに水酸化カリウム1.51gとイソプロピルアルコール148gを加えてイソプロピルアルコールの還流条件で4時間過熱攪拌操作を行った。その後、リン酸二水素ナトリウム水溶液(10質量%)で反応液を中和してから、洗浄後の水が中性になるまで水洗後、減圧下で揮発成分を除去してMw=1000のエポキシシロキサン化合物(エポキシシリコーン)EPSi−1を得た。
組成物液として上記EPSi−1、添加剤として1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジル(グリシジルエステル型エポキシ樹脂:DGCHDCと略す)、真球状フィラーHL−3100(龍森社製)を表1に示す重量比で撹拌、混合を行った。
この液に、硬化剤として酸無水物MH700(新日本理化社製)、ポリスチレン換算の重量平均分子量約900のポリメチルフェニルシロキサン(BLUESTARS SILICONES社製 FLD516)に、ガリウムアセチルアセトナート2wt%を溶解した液を表1に示す重量比で加えた。
加熱硬化後、アルミ皿から剥がし、2〜2.6gに切断し、これを175℃の耐熱試験にかけた。100h後または500h後に硬化物の外観を観察した。
実施例1において、グリシジルエステル型エポキシ樹脂の代わりに、YED216D(三菱化学社製 アルキルジグリシジルエーテル)を添加し、表1に示す組成物を調製した。調製した組成物は実施例1と同様に硬化し、硬化物の外観を観察した。
<実施例3、4>
本実施例では実施例1及び2の組成物において、硬化剤として添加した酸無水物の代わりに、フェノール系硬化剤MEH−8000H(明和化成社製 アリルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂)を添加した。さらに酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤:IRGANOX 1010(BASF社製)及びリン系加工熱安定剤:IRAGAFOS 168(BASF社製))を添加し、表1に示す組成物を調製した。調製した組成物は実施例1と同様に硬化し、硬化物の外観を観察した。
実施例3において、グリシジルエステル型エポキシ樹脂の代わりに、YED216D(三菱化学社製 アルキルジグリシジルエーテル)を添加し、表1に示す組成物を調製した。調製した組成物は実施例3と同様に硬化し、硬化物の外観を観察した。
結果、グリシジルエステル型エポキシ樹脂を添加した組成物を硬化した硬化物は、耐熱試験後にヒビを生じにくい傾向が見られた。
Claims (7)
- エポキシシロキサン化合物、ガリウム化合物、シラノール源化合物及びジグリシジルエステル型エポキシ化合物を含有する、熱硬化性樹脂組成物。
- ジグリシジルエステル型エポキシ化合物が、分子量が3,000以下である、請求項1記載の熱硬化性樹脂組成物。
- ジグリシジルエステル型エポキシ化合物が、フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジルからなる群から選ばれる少なくともひとつである請求項1又は2記載の熱硬化性樹脂組成物。
- ジグリシジルエステル型エポキシ化合物が、シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジルである請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物において、さらに酸無水物を含むことを特
徴とする、熱硬化性樹脂組成物。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物において、さらにフェノール樹脂を含むこ
とを特徴とする、熱硬化性樹脂組成物。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物を熱硬化した熱硬化性樹脂硬化物。
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