JP6299328B2 - 熱硬化性樹脂組成物、その製造方法、樹脂硬化物の製造方法、および、エポキシ化合物の自己重合を発生させる方法 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物、その製造方法、樹脂硬化物の製造方法、および、エポキシ化合物の自己重合を発生させる方法 Download PDF

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Description

本発明は、新規な熱硬化性樹脂組成物、その製造方法、樹脂硬化物の製造方法、および、エポキシ化合物の自己重合を発生させる方法に関する。
発光ダイオード(LED)等の半導体デバイスの封止材料として、また、白色LED等において蛍光体を担持するマトリックスとして、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂(ポリシロキサン樹脂ともいう)が用いられている。また、シリコーン樹脂にエポキシ樹脂をハイブリッド化したエポキシ−シリコーン樹脂も開発されている(特許文献1、2、3)。さらには、用途に応じて、上記の樹脂にシリカ等の添加物を混合することも検討されている。
エポキシ樹脂の代表的な硬化剤として、ポリアミン系硬化剤、カルボン酸無水物系硬化剤、フェノール樹脂系硬化剤がよく知られている。これらの硬化剤はエポキシ基と反応する官能基を有する化合物である。その他の硬化剤として、エポキシ基の自己重合反応(開環を伴うカチオン重合反応)を触媒するタイプのものがある。この種の硬化剤として、シラノールと、金属錯体(Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、AlまたはZrを含む錯体)とを組合せたものが知られている(特許文献4、5)。
縮合硬化型のシリコーン樹脂のための硬化触媒としてガリウム化合物が知られている(特許文献6)。
特開平8−41168号公報 特開2007−332314号公報 特開2012−92172号公報 特開昭56−18643号公報 特公昭58−017537号公報 特開2010−111756号公報
本発明の主たる目的は、エポキシ化合物を用いた新規な熱硬化性樹脂組成物、その製造方法、エポキシ化合物を用いた新規な樹脂硬化物の製造方法、および、エポキシ化合物の自己重合を発生させるための新規な方法の、少なくともいずれかを提供することにある。さらには新規な熱硬化性樹脂組成物の提供に新たに機能付与された硬化物の提供に資する樹脂組成物の提供を目的とする。
本発明者らは、2官能の脂環式エポキシ化合物に対して触媒量のガリウムアセチルアセトネートと、シラノールを含有する化合物とを添加した組成物が熱硬化性を示すことを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は以下に存する。
(1)エポキシ化合物と、ガリウム化合物と、シラノール源化合物とを含有する熱硬化性樹脂組成物。
(2)エポキシ化合物に、ガリウム化合物およびシラノール源化合物を混合するステップを有する、熱硬化性樹脂組成物の製造方法。
(3)エポキシ化合物を、ガリウム化合物およびシラノールの存在下で加熱するステップを含む、樹脂硬化物の製造方法。
(4)エポキシ化合物の自己重合を発生させる方法であって、ガリウム化合物およびシラノールを触媒として添加するステップを含む方法。
本発明によれば、エポキシ化合物を用いた新規な熱硬化性樹脂組成物、その製造方法、エポキシ化合物を用いた新規な樹脂硬化物の製造方法、および、エポキシ化合物の自己重合を発生させるための新規な方法の、少なくともいずれかが提供される。そのような組成物の提供により、硬化物としては、高強度、耐熱性、幅広い温度領域での安定した線膨張率および弾性といった機能を付与することができる。
サンプル1のH−NMRスペクトルを示す。 サンプル2のH−NMRスペクトルを示す。 サンプル3のH−NMRスペクトルを示す。 サンプル4のH−NMRスペクトルを示す。 本発明の熱硬化性樹脂組成物を用いて製造することのできる半導体発光デバイスの一態様を表す断面図である。
以下、本発明を実施の形態に即して説明するが、本発明は本明細書に明示的または黙示的に記載された実施の形態により限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない限りにおいて種々に変更して実施することができる。
1.熱硬化性樹脂組成物
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、(A)エポキシ化合物、(B)ガリウム化合物、および(C)シラノール源化合物を含有する。この熱硬化性樹脂組成物には、必要に応じて上記(A)〜(C)以外の成分を含有させてもよい。
この熱硬化性樹脂組成物は、その硬化機構の少なくとも一部に、ガリウム化合物とシラノール源化合物から供給されるシラノールとによって触媒されるエポキシ化合物の自己重合反応が関与するものである。この熱硬化性樹脂組成物は、該自己重合反応のみにより硬化するものであり得るが、限定されるものではない。
以下、この熱硬化性樹脂組成物の各成分について説明する。
1.1(A)エポキシ化合物
エポキシ化合物は、分子中にエポキシ基を有する化合物であり、好ましくはシクロヘキシルエポキシ基を有する脂環式エポキシ化合物である。典型的な脂環式エポキシ化合物の構造例を式(1)〜(3)に示す。
Figure 0006299328
エポキシ化合物はグリシジル基を有する化合物であってもよいが、脂環式エポキシ化合物に比べて自己重合反応の活性が低い場合がある。
グリシジル基を有するエポキシ化合物の好適例として、式(4)〜式(8)に示すような脂環構造を含むグリシジルエーテル、またはエステル化合物、式(9)に示すような脂環構造を含まないグリシジルエーテル化合物、式(10)に示すようなジシロキサン骨格を有するグリシジルエーテル化合物、式(11)に示すようなイソシアヌル酸骨格を有するグリシジルアミド化合物がある
Figure 0006299328
Figure 0006299328
また、エポキシ化合物は、芳香族エポキシ化合物であってもよい。かかるエポキシ化合物の例としては、式(12)に示すようなビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールAD、テトラメチルビスフェノールS、テトラフルオロビスフェノールAなどのビスフェノール類をグリシジル化したビスフェノール型エポキシ樹脂、式(13)に示すようなビフェニル型のエポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン等の2価のフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン等のトリスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のテトラキスフェノール類をグリシジル化したエポ
キシ樹脂、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールA、ノボラック、臭素化ビスフェノールAノボラック等のノボラック類をグリシジル化したノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
Figure 0006299328
エポキシ化合物は、芳香族エポキシ化合物を水素化して得られる脂環構造を有するエポキシ化合物であってもよい。
エポキシ化合物は、エポキシ基を有するケイ素含有化合物であってもよい。ケイ素含有化合物とは、シラン化合物やシロキサン化合物である。
エポキシ基を有するケイ素含有化合物には、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メチル)ジメトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エチル)ジメトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メチル)ジエトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エチル)ジエトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシルエチル〕(メチル)ジメトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エチル)ジメトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メチル)ジエトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エチル)ジエトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メトキシ)ジメチルシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メトキシ)ジエチルシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エトキシ)ジメチルシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エトキシ)ジエチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メトキシ)ジメチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メトキシ)ジエチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕( エトキシ)ジメチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕( エトキシ)ジエチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(ジメチル)ジシロキサン、3−エポキシプロピル(フェニル)ジメトキシシランなどがある。
また、エポキシ基を含有するケイ素化合物には、式(14)で表されるオルガノポリシロキサンも含まれる。
(R11 SiO1/2a1(R12 SiO2/2b1(R13SiO3/2c1(SiO4/2d1(O1/2H)e1 ・・・(14)
式(14)において、R11、R12、R13はそれぞれ独立して1価の有機基を示し、かつ、1分子中において少なくとも1つがエポキシ基を含む有機基である。
式(14)において、R11 SiO1/2はMユニット、R12 SiO2/2はDユニット、R13SiO3/2はTユニット、SiO4/2はQユニットを、それぞれ表している。a1、b1、c1およびd1は、それぞれが0以上の整数であり、かつ、a1
+b1+c1+d1≧3である。
式(14)において、R11、R12、R13は、好ましくは、炭素数1〜10の炭化水素基であり、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基などのアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基などのアリール基;ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、ノナフルオロブチルエチル基などの置換アルキル基が挙げられる。
式(14)において、エポキシ基を含む有機基としては、2,3−エポキシプロピル基、3,4−エポキシブチル基、4,5−エポキシペンチル基などのエポキシアルキル基;2−グリシドキシエチル基、3−グリシドキシプロピル基、4−グリシドキシブチル基などのグリシドキシアルキル基;β−(または2−)(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、γ−(または3−)(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基などのエポキシシクロヘキシルアルキル基が例示される。
式(14)においてe1は0以上の整数であり、ケイ素原子に直接結合する水酸基(シラノール)の個数を表している。
エポキシ化合物は、ケイ素原子に結合する加水分解性基を有するものであって、該加水分解性基を加水分解したときに、式(14)で表されるオルガノポリシロキサン(ただし、e1≧1)を生じる化合物であってもよい。換言すれば、式(14)で表されるオルガノポリシロキサン(ただし、e1≧1)において、ケイ素原子に直接結合した水酸基の全部または一部を加水分解性基に置き換えた化合物であってもよい。
ここで、加水分解性基とは、加水分解によってケイ素原子に結合した水酸基(シラノール)を生じる基であり、具体例としては、ヒドロキシ基、アルコキシ基、水素、アセトキシ基、エノキシ基、オキシム基、ハロゲン基が挙げられる。好ましい加水分解性基はアルコキシ基であり、特に炭素数1〜3のアルコキシ基、すなわち、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基である。
上記式(14)で表されるオルガノポリシロキサン型のエポキシ化合物は、例えば、次の方法で製造することができる。
(方法1)エポキシ基を有するシラン化合物と、エポキシ基を有しないシラン化合物および/またはそのオリゴマーとを、共加水分解および重縮合させる方法。
(方法2)ヒドロシリル基を有するポリシロキサンに、エポキシ基と炭素−炭素二重結合基を有する有機化合物を付加させる方法。
(方法3)炭素−炭素二重結合を含む有機基を有するポリシロキサンの該二重結合部分を酸化させて、エポキシ基に変換する方法。
上記方法1でポリシロキサン型のエポキシ化合物を製造する際に用いることのできる原料は次の通りである。
Mユニットを導入するための原料としては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルシラノールなどが例示される。
Dユニットを導入するための原料としては、ジメチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシランおよびこれらの加水分解縮合物(オリゴマー)が例示される。
両末端に水酸基を有するジアルキルシロキサンオリゴマーとして、ポリジメチルシロキ
サン、ポリメチルフェニルシロキサン、ジメチルシロキサン−ジフェニルシロキサン共重合体、ポリジフェニルシロキサンなどの両末端をシラノール変性した化合物が市販されている。
Tユニットを導入するための原料としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシランおよびこれらの加水分解縮合物が例示される。
Qユニットを導入するための原料としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシランおよびこれらの加水分解縮合物が例示される。
エポキシ基を導入するための原料としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メチル)ジメトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)( エチル)ジメトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メチル)ジエトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エチル)ジエトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシルエチル〕(メチル)ジメトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エチル)ジメトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メチル)ジエトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エチル)ジエトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メトキシ)ジメチルシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メトキシ)ジエチルシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エトキシ)ジメチルシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エトキシ)ジエチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メトキシ)ジメチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メトキシ)ジエチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕( エトキシ)ジメチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕( エトキシ)ジエチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(ジメチル)ジシロキサン、3−エポキシプロピル(フェニル)ジメトキシシランなどが例示される。
1.2(B)ガリウム化合物
ガリウム化合物は、後段で詳述するシラノール源化合物から供給されるシラノールと組み合わされて、エポキシ化合物の自己重合反応の触媒として作用する成分である。
ガリウム化合物は上記作用を示すものであればよく、次の候補化合物から選択することができる:キレート配位子を有するガリウム錯体、酢酸ガリウム、オキシ酢酸ガリウム、トリエトキシガリウム、トリス(8−キノリノラト)ガリウム、シュウ酸ガリウム、エチルキサントゲン酸ガリウム、ジエチルエトキシガリウム、マレイン酸ガリウム等。n−オクチル酸、2−エチルヘキサン酸、ナフテン酸などの長鎖カルボン酸のガリウム塩等。
キレート配位子としては、β−ジケトン型化合物と、o−ケトフェノール型化合物が挙げられる。β−ジケトン型化合物には、次の式(15)〜式(17)に示す構造を有するものがある。
Figure 0006299328
式(15)〜式(17)において、Rはアルキル基、またはハロゲン置換アルキル基を表している。
式(15)の化合物の具体例としてはアセチルアセトン、トリフルオロアセチルアセトン、ペンタフルオロアセチルアセトン、ヘキサフルオロアセチルアセトン等が、式(16)の化合物の具体例としてはエチルアセトアセテート等が、式(17)の化合物の具体例としてはジエチルマロネート等が挙げられる。
O−ケトフェノール型化合物は、次の式(18)で表される化合物である。
Figure 0006299328
式(18)において、R’は水素原子、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基またはアルコキシ基を表している。
式(18)の化合物の具体例としては、サリチルアルデヒド、エチル−O−ヒドロキシフェニルケトン等が挙げられる。
キレート配位子を有するガリウム錯体はガリウム化合物の好適例であり、その中でもガリウムアセチルアセトネートは特に好適に使用することができる。
Ga触媒を用いるとAl触媒に比べて硬化物の加熱による重量減少が少ない。特に硬化物がシロキサン構造を含む場合にはAl触媒に比べて硬化物の加熱による重量減少が少ない。
具体的には、150〜200℃×500時間で、重量減少が加熱前の20質量%以下が好ましく、10質量%以下が更に好ましい。
(B)ガリウム化合物は、(A)エポキシ化合物100重量部に対して通常0.001重量部以上、好ましくは0.01重量部以上、また5.0重量部以下、好ましくは1.0重量部以下である。
1.3(C)シラノール源化合物
シラノール源化合物はシラノールの供給源たる化合物である。シラノールは、前述のガリウム化合物と組み合わされて、エポキシ化合物の自己重合反応の触媒として作用する。
シラノールの役割は、エポキシ化合物の自己重合反応の開始に必要なカチオン源であると考えられる。シラノール源化合物のケイ素原子にフェニル基等の芳香族基が結合している場合には、この芳香族基はシラノール水酸基の酸性度を高める働き、つまり、シラノールのカチオン源としての作用を強める働きをしていると考えられる。
シラノール源化合物は、潜在的なシラノール源であってもよい。例えば、加水分解性基が結合したケイ素原子を有しており、該加水分解基が加水分解されたときにシラノールを生じる化合物である。加水分解性基の具体例としては、ヒドロキシ基、アルコキシ基、水素、アセトキシ基、エノキシ基、オキシム基、ハロゲン基が挙げられる。好ましい加水分解性基はアルコキシ基であり、特に炭素数1〜3のアルコキシ基、すなわち、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基である。
シラノール源化合物の一例は、フェニルジメチルシラノール、ジフェニルメチルシラノール、トリフェニルシラノール、ジヒドロキシジフェニルシラン(ジフェニルジシラノール)、トリメチルシラノール、トリエチルシラノール、ジヒドロキシジメチルシラン、トリヒドロキシメチルシランなどの水酸基が結合したケイ素原子を有するモノシラン化合物である。
シラノール源化合物の他の一例は、水酸基が結合したケイ素原子を有する、式(19)で表されるオルガノポリシロキサンである。
(R21 SiO1/2a2(R22 SiO2/2b2(R23SiO3/2c2(SiO4/2d2(O1/2H)e2 ・・・(19)
式(19)において、R21、R22、R23はそれぞれ独立して1価の有機基を示す。
式(19)において、R21 SiO1/2はMユニット、R22 SiO2/2はDユニット、R23SiO3/2はTユニット、SiO4/2はQユニットを、それぞれ表している。a2、b2、c2およびd2は、それぞれが0以上の整数であり、かつ、a2+b2+c2+d2≧3である。e2は1以上の自然数であり、ケイ素原子に直接結合する水酸基(シラノール)の個数を表している。
式(19)のR21、R22、R23は、通常、炭素数1〜10の炭化水素基であり、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基などのアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基などのアリール基;ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、ノナフルオロブチルエチル基などの置換アルキル基が挙げられる。
シラノール源化合物は、ケイ素原子に結合する加水分解性基を有するものであって、該加水分解性基を加水分解したときに、式(19)で表されるオルガノポリシロキサンを生じる化合物であってもよい。換言すれば、式(19)で表されるオルガノポリシロキサンにおいて、ケイ素原子に直接結合した水酸基の全部または一部を加水分解性基に置き換えた化合物であってもよい。
シラノール源化合物がオルガノポリシロキサンであって、これをシロキサン構造を含まないエポキシ化合物と共に用いる場合には、該オルガノポリシロキサンと該エポキシ化合
物との相溶性を確保する観点から、該オルガノポリシロキサンはケイ素原子に結合した芳香族基を有するものであることが好ましい。
シラノール源化合物がオルガノポリシロキサンである場合、その重量平均分子量については、熱硬化性樹脂組成物の硬化中あるいは硬化後に揮発しないように、500以上であることが好ましく、700以上であることがより好ましい。一方、重合度が高過ぎると粘度が高くなって取り扱い性が悪くなることから、該重量平均分子量は20,000以下であることが好ましく、15,000以下であることがより好ましい。
好適な実施形態では、シラノール源化合物は水酸基または加水分解性基が結合したケイ素原子を1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサンまたはシラン化合物であってもよい。かかるシラノール源化合物は、加熱されたときにガリウム化合物の作用により重縮合して高分子量化するので、硬化後にブリードアウトすることがない。
シラノール源化合物として好適に使用できるオルガノポリシロキサンとして、上記式(2)、式(20)〜式(23)で表される構造を有するものが挙げられる。
Figure 0006299328
式(22)で表されるオルガノポリシロキサンは、式(2)で表される化合物と式(24)で表される化合物(ジヒドロキシジメチルシランまたは両末端に水酸基を有するポリジメチルシロキサン)とを、重縮合することにより得ることができる。重縮合触媒としては、酸、塩基の他、金属触媒を用いることができ、ガリウムアセトアセトネートのようなガリウム化合物を用いることもできる。
式(23)で表されるオルガノポリシロキサンは、式(21)で表される化合物と式(24)で表される化合物とを、重縮合することにより得ることができる。重縮合触媒としては、酸、塩基の他、金属触媒を用いることができ、ガリウムアセトアセトネートのようなガリウム化合物を用いることもできる。
Figure 0006299328
式(20)〜式(24)において、m、n、M、N、m1、m2は、それぞれ、1以上の整数である。これらの数を大きくし過ぎた場合、すなわちポリシロキサンの重合度を高くし過ぎた場合、粘度が高くなり過ぎてハンドリングが容易でなくなる他、シラノールの含有率が下がるために触媒能が低下する傾向が生じることに注意すべきである。ハンドリング性の観点からは、当該オルガノポリシロキサンの粘度あるいは当該オルガノポリシロキサンを用いて得られる熱硬化性樹脂組成物の粘度が10000mPa・s以下、特に5000mPa・s以下となるように、その重合度を設定することが好ましい。
式(2)、式(20)〜式(23)で表されるオルガノポリシロキサンから選ばれる1種以上を、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシランなどの3官能シラン化合物とともに重縮合させて得られるオルガノポリシロキサンも、(C)シラノール源化合物の好適例である。重縮合触媒としては、酸、塩基の他、金属触媒を用いることができ、ガリウムアセトアセトネートのようなガリウム化合物を用いることもできる。かかるオルガノポリシロキサンは、更に酸、塩基またはガリウム化合物などの金属化合物のような縮合触媒を作用させることにより硬化する性質を有する。シラノール源として、モノシラン化合物とオルガノポリシロキサンを併せて用いてもよい。
(C)シラノール源化合物は、(A)エポキシ化合物100重量部に対して通常0.05重量部以上、好ましくは0.5重量部以上、また500重量部以下、好ましくは200重量部以下である。
また、(B)ガリウム化合物と(C)シラノール源化合物の含有比は重量比で1:0.05〜0.001:100が好ましく、より好ましくは1:10〜0.01:100である。
1.4 エポキシシリコーン樹脂
本発明の実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物においては、エポキシ化合物とシラノール源化合物のいずれか一方、または両方が、オルガノポリシロキサン構造部分を有し得る。その場合に、オルガノポリシロキサン構造部分にシラノールを導入すると、ガリウム化合物がシラノール間の脱水縮合触媒として作用するので、エポキシ化合物の自己重合反応とシラノール縮合反応の両方が硬化に関与する、耐熱性の良好な熱硬化性樹脂組成物が得られる。ガリウム化合物はシラノールとアルコキシ基の間の脱アルコール縮合反応の触媒にもなるので、オルガノポリシロキサン構造部分にシラノールとアルコキシ基を導入した場合も同様の効果が得られる。
他の一例では、エポキシ化合物が有するオルガノポリシロキサン構造部分とシラノール源化合物が有するオルガノポリシロキサン構造部分の一方にヒドロシリル基、他方にビニルシリル基を導入するとともに、白金化合物のようなヒドロシリル化反応触媒を添加することにより、エポキシ化合物の自己重合反応とヒドロシリル化反応の両方が硬化に関与する、硬化性の良好な熱硬化性樹脂組成物が得られる。
あるいは、エポキシ化合物とシラノール源化合物のいずれか一方または両方が有するオルガノポリシロキサン構造部分にヒドロシリル基を導入するとともに、ビニルシリル基を有するオルガノポリシロキサンとヒドロシリル化反応触媒を添加することによっても、エポキシ化合物の自己重合反応とヒドロシリル化反応の両方が硬化に関与する熱硬化性樹脂組成物が得られる。この例を変形して、エポキシ化合物とシラノール源化合物のいずれか一方または両方が有するオルガノポリシロキサン構造部分にビニルシリル基を導入し、添加するオルガノポリシロキサンをヒドロシリル基が導入されたものとしてもよい。
1.5 その他の成分
本発明の実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物には、上述の成分の他に、物性改善、機能付与等の観点から、分散剤、酸化防止剤、消泡剤、着色剤、変性剤、レベリング剤、光拡散剤、熱伝導性、難燃剤、反応性または非反応性の希釈剤、接着、密着性向上剤等の添加剤または各種フィラーをさらに含有してもよい。
1.5.1 フィラー
フィラーとしては、一般的な有機フィラー、無機フィラーのいずれも使用することができる。有機フィラーとしては、スチレン系ポリマー粒子、メタクリレート系ポリマー粒子、エチレン系ポリマー粒子、プロピレン系ポリマー粒子、ポリアミド系等の合成ポリマー粒子、デンプン、木粉等の天然物、変性されていてもよいセルロース、各種有機顔料などが挙げられる。無機フィラーとしては、無機物もしくは無機物を含む化合物であれば特に限定されないが、具体的に例えば、石英、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ等のシリカ系無機フィラー、アルミナ、ジルコン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミ、炭化ケイ素、ガラス繊維、ガラスフレーク、アルミナ繊維、炭素繊維、マイカ、黒鉛、カーボンブラック、フェライト、グラファイト、ケイソウ土、白土、クレー、タルク、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マンガン、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、チタン酸カリウム、ケイ酸カルシウム、無機バルーン、銀粉等を挙げることができる。
これらは、単独で用いてもよく、2種類以上併用してもよい。また、適宜表面処理をほどこしてもよい。表面処理としては、アルキル化処理、トリメチルシリル化処理、シリコーン処理、シランカップリング剤による処理等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
フィラーの添加量は特に限定されない。
フィラーを用いることにより、得られる成形体の強度、硬度、弾性率、熱膨張率、熱伝導率、放熱性、電気的特性、光の反射率、難燃性、耐火性、チキソトロピー性、およびガスバリア性等の諸物性を改善することができる。
フィラーの混合の順序としては、特に限定されないが、混合時の発熱による硬化反応の進行を防ぐため、ガリウム化合物、シラノール源化合物、その他のエポキシ樹脂硬化に使用される触媒の非存在下でエポキシ化合物と混合することが望ましい。
フィラーを混合する手段としては、特に限定されるものではないが、具体的に例えば、2本ロールあるいは3本ロール、遊星式撹拌脱泡装置、ホモジナイザー、ディゾルバー、プラネタリーミキサー等の撹拌機、プラストミル等の溶融混練機等が挙げられる。混合は
、常温で行ってもよいし加熱して行ってもよく、また、常圧下で行ってもよいし減圧状態で行ってもよい。混合する際の温度が高いと、成型する前に組成物が硬化する場合がある。
本樹脂組成物を封止材として使用する場合、隣接する部材との間に生じる熱膨張率差を抑えることを主目的として、無機フィラー、特に、シリカ微粒子を添加することがある。添加量を増やすことでより高い効果が得られ、エポキシ樹脂100重量部に対し、40重量部以上、好ましくは70重量部以上、さらに好ましくは80重量部以上の添加が望ましい。添加量を増やす手段として、粒径分布の制御がよく用いられる。粒径の異なるフィラーを混合することで、より高い充填率が得られる。
また、添加量が増加すると、組成物の粘度上昇が顕著になる。用途、成型法によっては、粘度上昇を抑制する必要があるが、その場合、フィラーの形状、表面構造が大きく影響する。形状は、繊維状、不定形のものよりも、球状のものを選択することで、粘度を低く抑えることが出来る。また、粒子表面官能基の種類、量により、粒子間および粒子−エポキシ樹脂等からなるマトリックス組成物間の相互作用を制御し、適当な粘度を得ることが出来る。
1.5.2 酸化防止剤
本発明の実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物には、使用環境下での黄変を抑制するために、酸化防止剤を含有させることができる。
フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、ヒンダードアミン系等が好適に用いられるが、なかでも、フェノール水酸基の片側あるいは両側のオルト位にアルキル基を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤が特に好適に用いられる。
1.5.3 エポキシ樹脂の硬化触媒
ガリウム化合物と、シラノール源化合物から供給されるシラノールの触媒作用を阻害しない限りにおいて、通常のエポキシ樹脂硬化に使用される触媒を併用することができる。例えば、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、シクロヘキシルジメチルアミン、トリエタノールアミン等の3 級アミン類;2−メチルイミダゾール、2−n−ヘプチルイミダゾール、2−n−ウンデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−n−ウンデシルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジ(ヒドロキシメチル)イミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−フェニル−4,5−ジ〔(2’−シアノエトキシ)メチル〕イミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−n−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテート、1−(2−シアノエチル)−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾリウムトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−〔2 ’−メチルイミダゾリル−(1′)〕エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2 ’−n−ウンデシルイミダゾリル)エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−〔2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1′)〕エチル−s−トリアジン、2−メチルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダゾリル−(1′)〕エチル−s−トリアジンのイソシアヌル酸付加物等のイミダゾール類;ジフェニルフォスフィン、トリフェニルフォスフィン、亜リン酸トリフェニル等の有機リン系化合物;ベンジルトリフェニルフォスフォニウムクロライド、テトラ−n−ブチルフォスフ
ォニウムブロマイド、メチルトリフェニルフォスフォニウムブロマイド、エチルトリフェニルフォスフォニウムブロマイド、n−ブチルトリフェニルフォスフォニウムブロマイド、テトラフェニルフォスフォニウムブロマイド、エチルトリフェニルフォスフォニウムヨーダイド、エチルトリフェニルフォスフォニウムアセテート、メチルトリブチルホスホニウムジメチルホスフェート、テトラブチルホスホニウムジエチルホスホジチオネート、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムベンゾトリアゾレート、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムテトラフルオロボレート、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルフォスフォニウムテトラフェニルボレート等の4 級フォスフォニウム塩類;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7やその有機酸塩等のジアザビシクロアルケン類;オクチル酸亜鉛、アクチル酸錫、アルミニウムアセチルアセトン錯体等の有機金属化合物;テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩類;三フッ化ホウ素、ホウ酸トリフェニル等のホウ素化合物;塩化亜鉛、塩化第二錫等の金属ハロゲン化合物のほか、ジシアンジアミドやアミンとエポキシ樹脂との付加物等のアミン付加型促進剤等の高融点分散型潜在性硬化促進剤; 前記イミダゾール類、有機リン系化合物や4級フォスフォニウム塩類等の硬化促進剤の表面をポリマーで被覆したマイクロカプセル型潜在性硬化促進剤; アミン塩型潜在性硬化剤促進剤; ガリウム化合物以外のルイス酸塩、ブレンステッド酸塩等の高温解離型の熱カチオン重合型潜在性硬化促進剤等の潜在性硬化促進剤等を挙げることができる。
1.5.4 酸無水物
本発明の実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物には、硬化助剤として酸無水物を含有させることができる。酸無水物の種類に特に制限はないが、該樹脂組成物を光半導体デバイスに使用する場合には、耐光性の観点から脂環式カルボン酸無水物を使用することが好ましい。
脂環式カルボン酸無水物としては、例えば、式(25)〜式(30)で表される化合物や、4−メチルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルナジック酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物のほか、α−テルピネン、アロオシメン等の共役二重結合を有する脂環式化合物と無水マレイン酸とのディールス・アルダー反応生成物やこれらの水素添加物等を挙げることができる。
Figure 0006299328
なお、前記ディールス・アルダー反応生成物やこれらの水素添加物としては、任意の構造異性体および任意の幾何異性体を使用することができる。
また、前記脂環式カルボン酸無水物は、硬化反応を実質的に妨げない限り、適宜に化学的に変性して使用することもできる。
酸無水物を含有することで、エポキシ反応速度の制御、ハンドリング、レベリングの向上、着色防止等の効果が得られる場合がある。酸無水物の含有量としては特に制限はないが、エポキシ量に対して1.5当量以下であることが好ましい。より好ましくは1当量以下、更に好ましくは0.8当量以下である。
1.5.5 シランカップリング剤
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、金属部品や無機フィラーに対する接着性を良好にするためにシランカップリング剤を含有させることができる。
具体例として、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
1.5.6 シラノールの縮合触媒
ガリウム化合物と、シラノール源化合物から供給されるシラノールの触媒作用によるエポキシの反応を阻害しない限りにおいて、通常のシラノール硬化に使用される触媒を併用することができる。
具体例として、脱水・脱アルコール縮合反応触媒が挙げられる。前記反応触媒には、有機金属錯体触媒、金属と有機酸の塩、ルイス酸・ルイス塩基触媒からなる群から選ばれる少なくとも1つを含有することが好ましい。脱水・脱アルコール縮合反応触媒に含まれる金属成分としては、Sn、Zn、Fe、Ti、Zr、Bi、Hf、Y、Al、B、Gaなどから選ばれる1以上を用いるのが好ましく、中でもSn、Ti、Al、Zn、Zr、Hf、Gaは反応活性が高いという点で好ましく、発光デバイス用部材として用いる場合に電極腐食や光吸収が少なく適度な触媒活性を有し、ジメチルポリシロキサン鎖の不要な切断劣化が起こりにくいZrやHfが特に好ましい。
2.熱硬化性樹脂組成物の製造方法
本発明の実施形態に係る上記熱硬化性樹脂組成物は、上記成分(A)〜(C)と、必要に応じてフィラー、希釈剤、酸化防止剤などのその他の成分を混合することにより製造することができる。
この熱硬化性樹脂組成物は、保存安定性を考慮して2液硬化型としてもよい。
2液硬化型とする場合は、例えば、A液をエポキシ化合物を含む液とし、B液をガリウム化合物とシラノール源化合物を含む液とすることができる。また、A液をエポキシ化合物とシラノール源化合物を含む液とし、B液をガリウム化合物を含む液とすることもできる。また、A液をエポキシ化合物とガリウム化合物を含む液とし、B液をシラノール源化合物を含む液とすることもできる。
3.熱硬化性樹脂組成物の硬化方法
本発明の実施形態に係る上記熱硬化性樹脂組成物を硬化させるために行う加熱の方法は、特に限定されるものではなく、例えば、熱風循環式加熱、赤外線加熱、高周波加熱等の従来公知の方法を採用することができる。
熱処理条件は、熱硬化性樹脂組成物を所望の硬化状態にすることができればよく、特に制限はない。
4.熱硬化性樹脂組成物の用途
本発明の実施形態に係る上記熱硬化性樹脂組成物の用途は特に限定されず、LEDデバイスのような発光デバイスを含む各種の半導体デバイスに、封止材等として用いることができる。
発光デバイスにおいては、例えば、半導体発光素子の封止材料、半導体発光素子をパッケージ、リードフレーム等に固定するための接着剤(ダイボンド剤)、パッケージを構成する構造材料、高反射コーティング材など、各種の用途に使用することができる。
用途に応じて、その他の成分を添加することができ、例えば、波長変換素子として用いる場合は蛍光体、フュームドシリカ、球状シリカなどを添加できる。ダイボンド剤として用いる場合は熱伝導剤、フュームドシリカなどを添加できる。パッケージ用の構造材料や高反射コーティング材として用いる場合はチタニア粒子やアルミナ粒子などを添加することができる。
LEDデバイスは、例えば図5に断面図を示す様に、LED素子1、樹脂成形体2、ボンディングワイヤ3、蛍光体を含有する封止材4、リードフレーム5から構成される。
LED素子1は、近紫外領域、紫領域または青領域の波長の光を発するInGaN系LEDである。
樹脂成形体2はリードフレーム5と共に成形されており、カップ型を呈している。
リードフレーム5は導電性の金属からなり、構造部材であると同時に、外部からLEDデバイスに供給される電流をLED素子1に伝える役割を果たす。
ボンディングワイヤ3は、LED素子1とリードフレームの一方側とを電気的に接続している。
LED素子1は導電性粒子の添加により導電性を付与されたダイボンド剤を用いてリードフレームの他方側に接着固定されたうえ、蛍光体を混合した封止材4により封止されている。
本発明の実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物は、図5に示すLEDデバイスにおいて、樹脂成形体2、封止材4、およびダイボンド剤(図示せず)の材料として用いることができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。まず、熱硬化性樹脂組成物の硬化機構の同定を行った。
1.硬化機構の同定
ガリウム化合物およびシラノール源化合物の存在下でエポキシ化合物を加熱したときに生じる反応の同定を試みた。以下に詳細を記す。
1.1 材料
エポキシ化合物として、シクロヘキセンオキシド(和光純薬工業社製)を用いた。この化合物は単官能エポキシ化合物であり、重合したときに3次元架橋構造を形成しない。
ガリウム化合物としては、ガリウムアセチルアセトネートを用いた。
シラノールとしては、式(31)で表される、水酸基が結合しているケイ素原子を両末端に有する、ポリスチレン換算の重量平均分子量約900のポリメチルフェニルシロキサン(BLUESTARS SILICONES社製 FLD516:以下、SOL−1と称す)を用いた。
Figure 0006299328
1.2 サンプル
下記のようにしてサンプル1〜4を準備した。
5.03gのシクロヘキセンオキシドに0.59gのSOL−1を加え混合することによりサンプル1を得た。
シュレンク管を用いて、サンプル1(5.03gのシクロヘキセンオキシドと0.59gのSOL−1の混合物)を窒素気流下、120℃で7時間撹拌することによりサンプル2を得た。
シュレンク管を用いて、5.00gのシクロヘキセンオキシドに0.002gのガリウムアセチルアセトネート(Ga(acac))を加えた混合物を窒素気流下、120℃で7時間撹拌することによりサンプル3を得た。
0.047gのガリウムアセトアセトナートを2.36gのSOL−1に溶解して2.0%のGa(acac)3溶液を得た。
シュレンク管を用いて、5.02gのシクロヘキセンオキシドに、上述のGa(acac)溶液0.104gと、0.498gのSOL−1を加えた混合物を窒素気流下、120℃で7時間撹拌することによりサンプル4を得た。
サンプル4におけるSOL−1の含有量はサンプル1および2と同じく、シクロヘキセンオキシド100重量部に対して12重量部である。また、サンプル4におけるGa(acac)の含有量はサンプル3と同じく、シクロヘキセンオキシド100重量部に対して0.04重量部である。
1.3 測定
サンプル1〜4のそれぞれについて、H−NMR分光法を用いてエポキシ基の反応率を評価するとともに、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィ)によりシクロヘキセンオキシドの重合体が含有されるか否かを調べた。
H−NMRスペクトルの測定はブルカーバイオスピン(株)製AVANCE400を用いて、磁場400MHz、温度25℃という条件で行った。溶媒には重クロロホルムを用い、試料濃度は約5wt%とした。基準物質にはテトラメチルシランを用いた。
1.4 H−NMR分光分析結果
サンプル1〜4のH−NMRスペクトルを、図1〜4にそれぞれ示す。
シクロヘキセンオキシドのエポキシメチン基に由来する3.1ppmのシグナル、および、シクロヘキセンオキシドのメチレン基に由来する1〜2ppmのシグナル群は、4つのサンプルの全てで観測された。
サンプル1、2および4では、SOL−1のメチル基に由来する0〜0.4ppmのシグナル、および、SOL−1のフェニル基に由来する7.0〜7.6ppmのシグナルが観測された。
サンプル4では3.4ppmにオキシメチン基に由来するシグナルが観測された。3.1ppmのシグナルと3.4ppmのシグナルの積分強度比から、シクロヘキセンオキシドのエポキシ基の反応率(エポキシメチンからオキシメチンへの転化率)は38%と見積
もられた。
1.5 GPC結果
サンプル1および2ではGPCチャートにシクロヘキセンオキシド単量体のピークとSOL−1のピークが現れた。また、サンプル3ではシクロヘキセンオキシド単量体のピークのみが観察された。
一方、サンプル4ではGPCチャートにシクロヘキセンオキシドの重合体のピークが観測され、その重量平均分子量(Mw)は1800であった。
1.6 考察
GPC結果は、ガリウムアセチルアセトネートおよびSOL−1の存在下で加熱処理を行ったサンプル4においてのみ、シクロヘキセンオキシドの重合が起こったことを示している。そして、H−NMRスペクトルにオキシメチン基に由来するシグナル(3.4ppm)が観測されたのは、そのサンプル4のみであった。このことは、ガリウムアセチルアセトネートおよびSOL−1の存在下で生じたシクロヘキセンオキシドの重合反応が、エポキシ基の開環を伴う自己重合反応であった可能性が高いことを示している。
[実施例1〜4、比較例1〜3]
1.硬化性の評価
1.1 材料
この実験では以下に記す材料を使用した。
<2官能エポキシ化合物>
2官能エポキシ化合物として、式(32)で表される構造を有する3,4−エポキシシクロヘキシルメチル‐3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート[(株)ダイセル製 CEL2021P]を用いた(以下ではこの化合物をEPC−1と略して呼ぶ)。
Figure 0006299328
<ガリウム化合物>
ガリウム化合物としては、3価ガリウムのアセチルアセトン錯体であるガリウムアセチルアセトネート(Strem Chemicals, Inc.製)を用いた。この化合物は、ガリウムトリアセチルアセトネート、トリス(アセチルアセトナト)ガリウム、トリス(2,4−ペンタンジオナト)ガリウムなどとも呼ばれることがある。また、Ga(acac)と表記されることがある。
<シラノール>
3種類のシラノール化合物を用いた。
一番目のシラノール化合物は、式(33)で表される、水酸基が結合したケイ素原子を両末端に有する、ポリスチレン換算の重量平均分子量約900のポリメチルフェニルシロキサン(BLUESTAR SILICONES社製 FLD516)である(以下ではこの化合物をSOL−1と略して呼ぶ)。
Figure 0006299328
二番目のシラノール化合物は、ジヒドロキシジフェニルシラン[信越化学工業(株)製
LS−4320]である(以下ではこの化合物をSOL−2と略して呼ぶ)。
三番目のシラノール化合物は、式(34)で表される、水酸基が結合したケイ素原子を両末端に有する、ポリスチレン換算の重量平均分子量約500のポリジメチルシロキサン[モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン(同)製 XC96−723]である(以下ではこの化合物をSOL−3と略して呼ぶ)。
Figure 0006299328
1.2 組成物
上記材料を組み合わせて、表1に組成を示す7種類のエポキシ組成物(組成物1〜7)を調製した。
Figure 0006299328
なお、表1において、Ga(acac)溶液とは、0.047gのガリウムアセチルアセトネートを2.36gのSOL−1に溶解して得た、2.0重量%のガリウムアセチルアセトネート溶液である。
組成物1及び2の調製時にはこのGa(acac)溶液をEPC−1と混合したのに対し、組成物3〜5の調製時には固体のガリウムアセチルアセトネートを直接EPC−1に溶解させた。なお、EPC−1の量を基準としたガリウムアセチルアセトネートの使用量は、組成物1〜5のいずれにおいても同じである。
1.3 硬化性の評価
硬化性を評価するために、表1に示す7種類のエポキシ組成物に対して下記の熱処理を
行いゲル化率を測定した。
ゲル化率については、EPC−1がTHF(テトラヒドロフラン)に対して高い溶解性を示すことから、熱処理後のエポキシ組成物に含まれるTHF不溶成分の重量比とすることにした。
熱処理およびゲル化率測定の手順は下記の通りである。
<熱処理>
約2gのエポキシ組成物を内径5cmのアルミカップに入れ、恒温槽中にて、まず120℃で30分間保持し、次いで150℃で150分間保持した。
<ゲル化率の測定>
上記熱処理後のエポキシ組成物1.0gに対し50gのTHF(テトラヒドロフラン)を加え、室温下で撹拌した。1時間の撹拌後、THFに溶解しなかった成分を吸引濾過によって回収し、80℃にて真空乾燥したうえでその重量を測定した。このTHF不溶成分の重量を、THFを加える前のエポキシ組成物の重量(1.0g)で除算することにより、ゲル化率を算出した。
<熱処理後の流動性の評価>
エポキシ組成物が入ったアルミカップを恒温槽から取り出し、温度が室温まで下がったところで該アルミカップを約45度傾けたときに、内部のエポキシ組成物が流動した場合には「流動性あり」、流動しなかった場合には「流動性なし」と判定した。
結果は表2に示す。
Figure 0006299328
1.4 考察
表2に示すように、熱処理により流動性が喪失したのは組成物1〜4であり、これらの組成物においてはゲル化率が90%を超える値となった。
組成物1〜4の共通点は、ガリウムアセチルアセトネートとシラノールの両方を含有することである。
対照的に、ガリウムアセチルアセトネートを含有するがシラノールを含有しない組成物5、シラノールを含有するがガリウムアセチルアセトネートを含有しない組成物6及び7は、熱処理の後も流動性を保ったままであり、ゲル化率も0%であった。
この結果は、ガリウムアセチルアセトネートおよびシラノールの両方の存在が、2官能エポキシ化合物であるEPC−1が重合して3次元架橋構造を形成するための必要十分条件であることを証拠付けるものといえる。
補足すると、ガリウムアセチルアセトネートに触媒されるSOL−1、SOL−2及び
SOL−3の重縮合が主たる要因となって、組成物1〜4が熱硬化した可能性は無いと考えられる。その理由として、組成物1〜4におけるSOL−1、SOL−2及びSOL−3の含有量が、重量比でEPC−1の10分の1以下であることが挙げられる。また、SOL−1、SOL−2及びSOL−3はいずれも1分子中のシラノール水酸基の数が2個であり、重縮合しても3次元架橋構造を形成しない化合物であることが挙げられる。ただし、組成物1〜4において、SOL−1、SOL−2及びSOL−3の重縮合が生じた可能性を否定するものではない。
[実施例5〜9]
<合成例1>
Mw=900のヒドロキシ末端メチルフェニルポリシロキサン23.0g、エポキシ基含有アルコキシシランとして2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン60g、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン0.250g、トルエン50gを混合した後、50℃で9時間加熱攪拌操作を行った。その後、リン酸二水素ナトリウム水溶液(10質量%)で反応液を中和してから、洗浄後の水が中性になるまで水洗後、減圧下で揮発成分を除去してポリシロキサンEPSi−1を得た。
<合成例2>
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン64.8g、トリメチルエトキシシラン40.1g、イソプロピルアルコール45g及び1N塩酸24.39gを混合し、室温で3h攪拌し、さらに水酸化カリウム1.51gとイソプロピルアルコール148gを加えてイソプロピルアルコールの還流条件で4時間過熱攪拌操作を行った。その後、リン酸二水素ナトリウム水溶液(10質量%)で反応液を中和してから、洗浄後の水が中性になるまで水洗後、減圧下で揮発成分を除去してMw=1000のポリシロキサンEPSi−2を得た。
また、式(35)で表される構造を有するYX−4000H(三菱化学株式会社製)を用いた。(以下ではこの化合物をEPC−2と呼ぶ)
Figure 0006299328
上記材料を組み合わせて、表3に組成を示す5種類のエポキシ組成物(組成物8〜12)を調製した。
Figure 0006299328
フィラーは真球状フィラーMSR−SF630(株式会社龍森製)を用いた。
流動性の評価は、上述の実施例1に準じて行った。また、本実施例では、熱処理後の硬度も測定した。硬度の測定は、JIS K6253に準拠して、硬度計としてアスカーゴム硬度計A型(高分子計器株式会社製測定器)を、荷重器としてゴム硬度計用定圧荷重器CL−150(高分子計器株式会社製)を用いて、ショアA硬さを測定した。
Figure 0006299328
表4に示すように、熱処理により組成物8〜12は流動性を喪失し、これらの組成物の熱処理後の硬度(shoreA)は90を超える値となった。
<合成例3>
Mw=900のヒドロキシ末端メチルフェニルポリシロキサン50.0g、エポキシ基含有アルコキシシランとして2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン3.45g、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン0.250g、トルエン5.94gを混合した後、50℃で9時間加熱攪拌操作を行った。その後、リン酸二水素ナトリウム水溶液(10質量%)で反応液を中和してから、洗浄後の水が中性になるまで水洗後、減圧下で揮発成分を除去してMw=20000のポリシロキサン(A)−1を得た。
得られたポリシロキサン(A)−1は式(36)において、a=0、b=0.963、c=0.0367、d=0であった。
(RSiO1/2)a(RSiO2/2)b(RSiO3/2)c(SiO4/2)d(O1/2)e ・・・(36)
<合成例4>
Mw=900のヒドロキシ末端メチルフェニルポリシロキサン50.0g、フェニルトリメトキシシラン0.91g、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン0.25g、トルエン21.8gを混合した後、80℃で6時間加熱攪拌操作を行った。その後、リン酸二水素ナトリウム水溶液(10質量%)で反応液を中和してから、洗浄後の水が中性になるまで水洗後、減圧下で揮発成分を除去してMw=13000のポリシロキサン(B)−1を得た。
得られたポリシロキサン(B)−1は式(37)において、al=0、bl=0.987、cl=0.0132、dl=0であった。
(R10SiO1/2)al(R1112SiO2/2)bl(R13SiO3/2)cl(SiO4/2)dl(O1/214)el ・・・(37)
<合成例5>
Mw=900のヒドロキシ末端メチルフェニルポリシロキサン40.0g、エポキシ基含有アルコキシシランとして2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン7.90g、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン0.400g、2−プロパノール17.0gを混合した後、80℃で5時間加熱攪拌操作を行った。その後、リン酸二水素ナトリウム水溶液(10質量%)で反応液を中和してから、洗浄後の水が中性になるまで水洗後、減圧下で揮発成分を除去してMw=2500のポリシロキサン(A)−2を得た。
得られたポリシロキサン(A)−2は前記式(36)において、a=0、b=0.902、c=0.0984、d=0であった。
[実施例10〜14、比較例4,5]
以下に示す各成分を表5に示す割合で配合し、以下に示す方法にしたがって熱硬化性樹脂組成物を調製した。なお、各成分としては、以下に示すものを用いた。
(A) エポキシ基を有するポリシロキサン
(A)−1:合成例3で作成したポリシロキサン
(A)−2:合成例5で作成したポリシロキサン
(B) 芳香族基を有するポリシロキサン
(B)−1:合成例4で作成したポリシロキサン
(B)−2:ヒドロキシ末端メチルフェニルポリシロキサン(Mw=900)
(C) ガリウム化合物((C)−2はその他の硬化触媒)
(C)−1:ガリウムアセチルアセトナート
(C)−2:アルミニウムエチルアセチルアセトナート
(D) 酸無水物化合物
(D)−1:4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸/ヘキサヒドロ無水フタル酸混合物 MH700(新日本理化株式会社)
(表5において、fの値は、組成物中のエポキシ総量に対する酸無水物のモル比を示す。)
(E) エポキシ化合物
(E)−1:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3′4′−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート
上述のエポキシ基を有するポリシロキサン、芳香族基を有するポリシロキサン、酸無水物化合物、エポキシ化合物を、表5に示す割合(重量比)で配合し、室温、大気雰囲気下で混合し、全体が均一になるまで撹拌を行ったのちに、(C)ガリウム化合物を加えてさらに撹拌をおこなった。
得られた液を80℃で0.5時間、次いで、150℃で2.5時間加熱し、硬化試験を行った。
Figure 0006299328
表5に記載の熱硬化性樹脂組成物は上述の方法により硬化し、得られた硬化物の硬化状態を観察した。結果は表6に示す。
Figure 0006299328
表6の結果から明らかなとおり、(C)−1:ガリウムアセチルアセトナートの代わりに(C)−2 :アルミニウムエチルアセチルアセトナートを用いた組成物では、膜の硬化が不良であったり、硬化反応が早すぎて、室温での攪拌時にゲル化が認められた。
<合成例6>
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン37.6g、Mw=700のヒドロキシ末端ジメチルポリシロキサン14.6g、イソプロピルアルコール22.5g及び1N塩酸11.00gを混合し、室温で3h攪拌し、さらに水酸化カリウム0.74gとイソプロピルアルコール160gを加えてイソプロピルアルコールの還流条件で4時間過熱攪拌操作を行った。その後、リン酸二水素ナトリウム水溶液(10質量%)で反応液を中和してから、洗浄後の水が中性になるまで水洗後、減圧下で揮発成分を除去してMw=2000のポリシロキサンEPSi−3を得た。
上述のポリシロキサン、酸無水物化合物を、表7に示す通りに配合し、室温、大気雰囲気下で混合し、全体が均一になるまで撹拌を行ったのちに、ガリウム化合物またはアルミニウム化合物を加えてさらに撹拌をおこなった。
Figure 0006299328
得られた液を80℃で0.5時間、次いで、150℃で2.5時間加熱し、硬化試験を行った。
流動性およびゲル化率の評価は、上述の実施例1に準じて行った。
結果を表8に示す。
Figure 0006299328
表8の結果から明らかな通り、ガリウムアセチルアセトナートの代わりに酢酸ガリウムを用いても硬化状態は良好であったが、アルミニウムエチルアセチルアセトナートを用いた組成物では、硬化反応が早すぎて、室温での攪拌時にゲル化が認められた。また、ガリウムアセチルアセトナートを除いた場合には加熱後も流動性を保ったままであり、ゲル化率も0%であった。
<合成例7>
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン64.8g、トリメチルエトキシシラン40.1g、イソプロピルアルコール45g及び1N塩酸24.39gを混合し、室温で3h攪拌し、さらに水酸化カリウム1.51gとイソプロピルアルコール148gを加えてイソプロピルアルコールの還流条件で4時間過熱攪拌操作を行った。その後、リン酸二水素ナトリウム水溶液(10質量%)で反応液を中和してから、洗浄後の水が中性になるまで水洗後、減圧下で揮発成分を除去してMw=1000のポリシロキサンEPSi−4を得た。
<実施例19―21、比較例8>
合成例7で作製したEPSi−4、ポリスチレン換算の重量平均分子量約900のポリメチルフェニルシロキサン(BLUESTAR SILICONES社製 FLD516)、トリエトキシガリウム、酸無水物MH700(新日本理化社製)、及び脂環式エポキシC2021P(ダイセル社製)を表1の割合(重量比)で混合した。
Figure 0006299328
得られた液を80℃で0.5時間、次いで、150℃で2.5時間加熱し、硬化試験を行った。
結果は表10に示した。
Figure 0006299328
以上より、トリエトキシガリウム及びシラノールによりエポキシの硬化触媒となることがわかった。
1 LED素子
2 樹脂成形体
3 ボンディングワイヤ
4 封止材
5 リードフレーム

Claims (12)

  1. エポキシ化合物と、ガリウムトリアセチルアセトネートと酢酸ガリウムを除くガリウム
    化合物と、シラノール源化合物とを含有し、該エポキシ化合物が、エポキシ基を2個以上
    有する脂環式エポキシ化合物を含み、該ガリウム化合物が、キレート配位子を有するガリ
    ウム錯体、オキシ酢酸ガリウム、トリエトキシガリウム、トリス(8−キノリノラト)ガ
    リウム、シュウ酸ガリウム、エチルキサントゲン酸ガリウム、ジエチルエトキシガリウム
    、マレイン酸ガリウム、長鎖カルボン酸のガリウム塩から選ばれるガリウム化合物であり
    、該シラノール源化合物がシラノール基を2個以上有するシラン化合物であることを特徴
    とする熱硬化性樹脂組成物。
  2. 上記キレート配位子がβ−ジケトン型化合物又はo−ケトフェノール型化合物である
    請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  3. 上記シラノール源化合物がオルガノポリシロキサンを含む、請求項1または請求項2に
    記載の熱硬化性樹脂組成物。
  4. 上記ガリウム化合物が、トリエトキシガリウムを含む、請求項1〜のいずれかに記載
    の熱硬化性樹脂組成物。
  5. エポキシ化合物に、ガリウムトリアセチルアセトネートと酢酸ガリウムを除くガリウム
    化合物およびシラノール源化合物を混合するステップを有し、該エポキシ化合物が、エポ
    キシ基を2個以上有する脂環式エポキシ化合物を含み、該ガリウム化合物が、キレート配
    位子を有するガリウム錯体、オキシ酢酸ガリウム、トリエトキシガリウム、トリス(8−
    キノリノラト)ガリウム、シュウ酸ガリウム、エチルキサントゲン酸ガリウム、ジエチル
    エトキシガリウム、マレイン酸ガリウム、長鎖カルボン酸のガリウム塩から選ばれるガリ
    ウム化合物であり、該シラノール源化合物がシラノール基を2個以上有するシラン化合物
    であることを特徴とする、熱硬化性樹脂組成物の製造方法。
  6. 上記キレート配位子がβ−ジケトン型化合物又はo−ケトフェノール型化合物である
    請求項に記載の製造方法。
  7. 上記シラノール源化合物がオルガノポリシロキサンを含む、請求項またはに記載の
    製造方法。
  8. 上記ガリウム化合物が、トリエトキシガリウムを含む、請求項のいずれかに記載
    の製造方法。
  9. エポキシ化合物を、ガリウムトリアセチルアセトネートと酢酸ガリウムを除くガリウム
    化合物およびシラノール源化合物の存在下で加熱するステップを含み、該エポキシ化合物
    が、エポキシ基を2個以上有する脂環式エポキシ化合物を含み、該ガリウム化合物が、
    キレート配位子を有するガリウム錯体、オキシ酢酸ガリウム、トリエトキシガリウム、ト
    リス(8−キノリノラト)ガリウム、シュウ酸ガリウム、エチルキサントゲン酸ガリウム
    、ジエチルエトキシガリウム、マレイン酸ガリウム、長鎖カルボン酸のガリウム塩から選
    ばれるガリウム化合物であり、該シラノール源化合物がシラノール基を2個以上有するシ
    ラン化合物であることを特徴とする、樹脂硬化物の製造方法。
  10. 上記キレート配位子がβ−ジケトン型化合物又はo−ケトフェノール型化合物である
    請求項9に記載の製造方法。
  11. 上記シラノール源化合物の供給源としてオルガノポリシロキサンを用いる、請求項
    たは10に記載の製造方法。
  12. 上記ガリウム化合物として、トリエトキシガリウムを含む請求項11のいずれかに
    記載の製造方法。
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