JP6311399B2 - 熱硬化性樹脂組成物、およびその成形体 - Google Patents
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Description
また、パワーデバイスはサイズが大きいため、半導体の中でもより低い熱膨張率が求められる。
[1] 熱硬化性樹脂および硬化触媒を含む熱硬化性樹脂組成物であって、該熱硬化性樹脂組成物の硬化物は、70〜100℃の平均線膨張率(A1)と210〜240℃の平均線膨張率(A2)との比A2/A1が0.5以上2.0以下である熱硬化性樹脂組成物。[2] 上記硬化物の70〜240℃の平均線膨張率が300ppm/K以下である、[1]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[3] 上記熱硬化性樹脂がエポキシシリコーン樹脂を含む、[1]または[2]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[4] 上記エポキシシリコーン樹脂中のエポキシ基が脂環式エポキシを含む、[3]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[5] 上記硬化触媒が無機化合物を含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の熱硬化性
樹脂組成物。
[6] 上記硬化触媒がガリウム化合物を含む、[1]〜[5]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
[7] 酸無水物を含む、[1]〜[6]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
[8] 線膨張率が20ppm/K以下の無機フィラーを熱硬化性樹脂組成物中に50重量%以上含む、[1]〜[7]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
[9] 上記無機フィラーが球状フィラーである、[8]に記載の熱硬化性樹脂組成物。[10] 上記無機フィラーがシリカである、[8]または[9]記載の熱硬化性樹脂組成物。
[11] [1]〜[10]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物を硬化してなる成形体。
[12] [1]〜[10]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物を用いて封止してなるパワーデバイス。
以下の説明において、樹脂硬化物等の線膨張率に言及する場合、特に断らない限り、その平均線膨張率は、熱機械分析(TMA)装置を用いて、圧縮モードで、JIS K7197規格に準拠して測定した平均線膨張率(CTE)を意味する。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、硬化物としたときに、70〜100℃の平均線膨張率(A1)と210〜240℃の平均線膨張率(A2)との比A2/A1が0.5以上、好ましくは0.8以上、より好ましくは1.0以上である。一方で、2.0以下、好ましくは1.8以下、より好ましくは1.5以下である。この範囲の物性を満たすとき、パワーデバイスの動作により到達し得るような高温条件下であっても線膨張率の変化が小さいことから、使用時の発熱による反りやクラック発生を抑えられ、半導体デバイスの封止材料に好適に使用でき、特にパワーデバイスに好適に使用できる。A2/A1が2.0を超える場合、反りやクラックが生じやすい。また、A2/A1が0.5より小さいものは、製造が困難である。
以下、本発明の熱硬化性樹脂組成物を構成する各成分について説明する。
本発明に係る熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂、硬化触媒を含有する。
本発明の熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン骨格を主鎖に持つエポキシシリコーン樹脂等が挙げられる。
一般的なエポキシ樹脂は、通常、その硬化物のTgより低い温度で硬化する。エポキシ樹脂の熱力学特性や硬化挙動は非常に複雑で、また、その硬化物の平均線膨張率は温度範囲によって異なる。一般に、高分子中に枝分かれが多くなると平均線膨張率は大きくなる。共重合体では共重合体の組成等によっても熱膨張率は変化する。また、組成が同じでも結晶化度が大きくなると平均線膨張率は小さくなる。
シリコーン樹脂としては、熱硬化性のシリコーン樹脂であれば、特に限定されない。例えば、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等が挙げられる。
エポキシシリコーン樹脂は、分子中にエポキシ基を有し、エポキシ基はグリシジル基でも脂環式エポキシ基であってもよく、好ましくはシクロヘキシルエポキシ基を有する脂環式エポキシ基を含む。
本発明においては、エポキシシリコーン樹脂を用いることにより、A2/A1の値を前記範囲内に調整しやすくなる。また、熱硬化性樹脂組成物の粘度を抑え液状封止を可能とし、線膨張率が低く硬度が高い硬化物を得ることができ、好ましい。
以下、このエポキシシリコーン樹脂の各成分について説明する。
エポキシ化合物は、分子中にエポキシ基を有する化合物であり、好ましくはシクロヘキシルエポキシ基を有する脂環式エポキシ化合物である。典型的な脂環式エポキシ化合物の構造式を式(1)〜(3)に示す。
エポキシ基を有するケイ素含有化合物には、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メチル)ジメトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エチル)ジメトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メチル)ジエトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エチル)ジエトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシルエチル〕(メチル)ジメトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エチル)ジメトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メチル)ジエトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エチル)ジエトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メトキシ)ジメチルシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メトキシ)ジエチルシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エトキシ)ジメチルシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エトキシ)ジエチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メトキシ)ジメチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メトキシ)ジエチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エトキシ)ジメチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エトキシ)ジエチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(ジメチル)ジシロキサン、3−エポキシプロピル(フェニル)ジメトキシシランなどがある。
また、エポキシ基を含有するケイ素化合物には、式(14)で表されるオルガノポリシロキサンも含まれる。
(R11 3SiO1/2)a1(R12 2SiO2/2)b1(R13SiO3/2)c1(SiO4/2)d1(O1/2H)e1 ・・・(14)
ポキシシクロヘキシルアルキル基が例示される。
式(14)においてe1は0以上の整数であり、ケイ素原子に直接結合する水酸基(シラノール)の個数を表している。
(方法1)エポキシ基を有するシラン化合物と、エポキシ基を有しないシラン化合物および/またはそのオリゴマーとを、共加水分解および重縮合させる方法。
(方法2)ヒドロシリル基を有するポリシロキサンに、エポキシ基と炭素−炭素二重結合基を有する有機化合物を付加させる方法。
(方法3)炭素−炭素二重結合を含む有機基を有するポリシロキサンの該二重結合部分を酸化させて、エポキシ基に変換する方法。
上記方法1でポリシロキサン型のエポキシ化合物を製造する際に用いることのできる原料は次の通りである。
ラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メチル)ジメトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エチル)ジメトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メチル)ジエトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エチル)ジエトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メチル)ジメトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エチル)ジメトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メチル)ジエトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エチル)ジエトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メトキシ)ジメチルシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メトキシ)ジエチルシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エトキシ)ジメチルシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エトキシ)ジエチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メトキシ)ジメチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メトキシ)ジエチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エトキシ)ジメチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エトキシ)ジエチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(ジメチル)ジシロキサン、3−エポキシプロピル(フェニル)ジメトキシシランなどが例示される。
ガリウム化合物は、後段で詳述するシラノール源化合物から供給されるシラノールと組み合わされて、エポキシ化合物の自己重合反応の触媒として作用する成分である。
リウム(III)、酢酸ガリウム、硫酸ガリウム、硝酸ガリウム、オキシ酢酸ガリウム、トリエトキシガリウム、トリイソプロポキシガリウム、トリス(8−キノリノラト)ガリウム、シュウ酸ガリウム、エチルキサントゲン酸ガリウム、ジエチルエトキシガリウム、マレイン酸ガリウム等。n−オクチル酸、2−エチルヘキサン酸、ナフテン酸などの長鎖カルボン酸のガリウム塩等。
O−ケトフェノール型化合物は、次の式(18)で表される化合物である。
式(18)の化合物の具体例としては、サリチルアルデヒド、エチル−O−ヒドロキシフェニルケトン等が挙げられる。
キレート配位子を有するガリウム錯体はガリウム化合物の好適例であり、その中でもガリウムアセチルアセトネートは特に好適に使用することができる。
Ga触媒を用いるとAl触媒に比べて硬化物の加熱による重量減少が少ない。特に硬化物がシロキサン構造を含む場合にはAl触媒に比べて硬化物の加熱による重量減少が少ない。
具体的には、150〜200℃×500時間で、重量減少が加熱前の20重量%以下が好ましく、10重量%以下が更に好ましい。
シラノール源化合物はシラノールの供給源たる化合物である。シラノールは、前述のガリウム化合物と組み合わされて、エポキシ化合物の自己重合反応の触媒として作用する。
シラノール源化合物の他の一例は、水酸基が結合したケイ素原子を有する、式(19)で表されるオルガノポリシロキサンである。
(R21 3SiO1/2)a2(R22 2SiO2/2)b2(R23SiO3/2)c2(SiO4/2)d2(O1/2H)e2 ・・・(19)
式(19)において、R21、R22、R23はそれぞれ独立して1価の有機基を示す。
香族基を有するものであることが好ましい。
ては、酸、塩基の他、金属触媒を用いることができ、ガリウムアセチルアセトネートのようなガリウム化合物を用いることもできる。
また、ガリウム化合物とシラノール源化合物の含有比は重量比で1:0.05〜0.001:100が好ましく、より好ましくは1:10〜0.01:100である。
ラノールとアルコキシ基の間の脱アルコール縮合反応の触媒にもなるので、オルガノポリシロキサン構造部分にシラノールとアルコキシ基を導入した場合も同様の効果が得られる。
硬化触媒は、熱硬化性樹脂を硬化させ得る化合物であれば特に限定されず、3級アミン、イミダゾール、ルイス酸、無機化合物等が挙げられる。強い触媒活性が必要であることから、好ましく無機化合物であり、さらに好ましくはガリウム化合物またはインジウム化合物であり、特に好ましくはガリウム化合物である。硬化触媒としてガリウム化合物を用いることで、硬化物のA2/A1の値を前記範囲内に調整しやすくなる。
本発明の実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物には、上述の成分の他に、物性改善、機能付与等の観点から、分散剤、酸化防止剤、消泡剤、着色剤、変性剤、レベリング剤、光拡散剤、熱伝導性、難燃剤、反応性または非反応性の希釈剤、接着、密着性向上剤等の添加剤または各種フィラーをさらに含有してもよい。
フィラーとしては、一般的な有機フィラー、無機フィラーのいずれも使用することがで
きる。有機フィラーとしては、スチレン系ポリマー粒子、メタクリレート系ポリマー粒子、エチレン系ポリマー粒子、プロピレン系ポリマー粒子、ポリアミド系等の合成ポリマー粒子、デンプン、木粉等の天然物、変性されていてもよいセルロース、各種有機顔料などが挙げられる。無機フィラーとしては、無機物もしくは無機物を含む化合物であれば特に限定されないが、具体的に例えば、石英、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ等のシリカ系無機フィラー、アルミナ、ジルコン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミ、炭化ケイ素、ガラス繊維、ガラスフレーク、アルミナ繊維、炭素繊維、マイカ、黒鉛、カーボンブラック、フェライト、グラファイト、ケイソウ土、白土、クレー、タルク、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マンガン、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、チタン酸カリウム、ケイ酸カルシウム、無機バルーン、銀粉等を挙げることができる。
Analyzer CILAS 1064(CILAS社製、1064型)を用いて測定し、1〜10μmに少なくとも1つ、10〜100μmに少なくとも1つのピークトップをもつことが望ましい。また、ナノサイズの超微粒子を含んでいても構わない。
本発明の実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物には、使用環境下での黄変を抑制するために、酸化防止剤を含有させることができる。
ガリウム化合物と、シラノール源化合物から供給されるシラノールの触媒作用を阻害しない限りにおいて、通常のエポキシ樹脂硬化に使用される触媒を併用することができる。例えば、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、シクロヘキシルジメチルアミン、トリエタノールアミン等の3級アミン類;2−メ
チルイミダゾール、2−n−ヘプチルイミダゾール、2−n−ウンデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−n−ウンデシルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジ(ヒドロキシメチル)イミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−フェニル−4,5−ジ〔(2’−シアノエトキシ)メチル〕イミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−n−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテート、1−(2−シアノエチル)−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾリウムトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−〔2 ’−メチルイミダゾリル−(1’)〕エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2’−n−ウンデシルイミダゾリル)エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−〔2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)〕エチル−s−トリアジン、2−メチルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダゾリル−(1’)〕エチル−s−トリアジンのイソシアヌル酸付加物等のイミダゾール類;ジフェニルフォスフィン、トリフェニルフォスフィン、亜リン酸トリフェニル等の有機リン系化合物;ベンジルトリフェニルフォスフォニウムクロライド、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムブロマイド、メチルトリフェニルフォスフォニウムブロマイド、エチルトリフェニルフォスフォニウムブロマイド、n−ブチルトリフェニルフォスフォニウムブロマイド、テトラフェニルフォスフォニウムブロマイド、エチルトリフェニルフォスフォニウムヨーダイド、エチルトリフェニルフォスフォニウムアセテート、メチルトリブチルフォスフォニウムジメチルフォスフェート、テトラブチルフォスフォニウムジエチルフォスフォジチオネート、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムベンゾトリアゾレート、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムテトラフルオロボレート、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルフォスフォニウムテトラフェニルボレート等の4級フォスフォニウム塩類;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7やその有機酸塩等のジアザビシクロアルケン類;オクチル酸亜鉛、アクチル酸錫、アルミニウムアセチルアセトン錯体等の有機金属化合物;テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩類;三フッ化ホウ素、ホウ酸トリフェニル等のホウ素化合物;塩化亜鉛、塩化第二錫等の金属ハロゲン化合物のほか、ジシアンジアミドやアミンとエポキシ樹脂との付加物等のアミン付加型促進剤等の高融点分散型潜在性硬化促進剤;前記イミダゾール類、有機リン系化合物や4級フォスフォニウム塩類等の硬化促進剤の表面をポリマーで被覆したマイクロカプセル型潜在性硬化促進剤;アミン塩型潜在性硬化剤促進剤;ガリウム化合物以外のルイス酸塩、ブレンステッド酸塩等の高温解離型の熱カチオン重合型潜在性硬化促進剤等の潜在性硬化促進剤等を挙げることができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、熱硬化性樹脂と硬化剤との反応を促進させるために硬化助剤を含有させることができる。硬化助剤としては、アミン、ポリアミド樹脂、酸無水物、フェノール等が挙げられる。線膨張率の低減、重合速度の制御、粘度の低減の観点から、酸無水物を用いることが好ましい。酸無水物としては、脂肪族酸無水物、脂環式酸無水物、芳香族酸無水物、ハロゲン系酸無水物等が挙げられる。該樹脂組成物を光半導体デバイスに使用する場合には、耐光性の観点から脂環式カルボン酸無水物を使用することが好ましい。
酸無水物の含有量としては特に制限はないが、多すぎると酸無水物のTgが、得られる硬化物の線膨張率に影響を与える場合がある。
また、前記脂環式カルボン酸無水物は、硬化反応を実質的に妨げない限り、適宜に化学的に変性して使用することもできる。
酸無水物を含有することで、エポキシ反応速度の制御、ハンドリング、レベリングの向上、着色防止等の効果が得られる場合がある。酸無水物の含有量としては特に制限はないが、エポキシ量に対して1.5当量以下であることが好ましい。より好ましくは1当量以下、更に好ましくは0.8当量以下である。
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、金属部品や無機フィラーに対する接着性を良好にするためにシランカップリング剤を含有させることができる。
ガリウム化合物と、シラノール源化合物から供給されるシラノールの触媒作用によるエポキシの反応を阻害しない限りにおいて、通常のシラノール硬化に使用される触媒を併用することができる。
具体例として、脱水・脱アルコール縮合反応触媒が挙げられる。前記反応触媒には、有機金属錯体触媒、金属と有機酸の塩、ルイス酸・ルイス塩基触媒からなる群から選ばれる少なくとも1つを含有することが好ましい。脱水・脱アルコール縮合反応触媒に含まれる
金属成分としては、Sn、Zn、Fe、Ti、Zr、Bi、Hf、Y、Al、B、Gaなどから選ばれる1以上を用いるのが好ましく、中でもSn、Ti、Al、Zn、Zr、Hf、Gaは反応活性が高いという点で好ましく、発光デバイス用部材として用いる場合に電極腐食や光吸収が少なく適度な触媒活性を有し、ジメチルポリシロキサン鎖の不要な切断劣化が起こりにくいZrやHfが特に好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂と硬化触媒と、必要に応じてフィラー、希釈剤、酸化防止剤などのその他の成分を混合することにより製造することができる。
この熱硬化性樹脂組成物は、1液硬化型であってもよく、保存安定性を考慮して2液硬化型としてもよい。
本発明に係る熱硬化性樹脂組成物は、その硬化機構の少なくとも一部に、硬化触媒による熱硬化性樹脂の自己重合反応が関与するものである。この熱硬化性樹脂組成物は、該自己重合反応のみにより硬化するものであり得るが、限定されるものではない。
本発明に係る熱硬化性樹脂組成物は流動性を有するので、成形方法は限定されず、金型を用いて成形してもよく、ポッティングにも用いることができる。
本発明の実施形態に係る上記熱硬化性樹脂組成物を硬化させ成形体を得るために行う加熱の方法は、特に限定されるものではなく、例えば、熱風循環式加熱、赤外線加熱、高周波加熱等の従来公知の方法を採用することができる。
熱処理条件は、熱硬化性樹脂組成物を所望の硬化状態にすることができればよく、特に制限はない。
例えば、樹脂組成物を含有する液と硬化触媒を含有する液をそれぞれ作製し、その後混合して混合液を作製し、次いでこの混合液を硬化温度に保持することにより硬化させればよい。硬化温度は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、更に好ましくは150℃以上である。
硬化温度を、最初は100℃付近とし、次いで150℃付近に上げることにより、組成物中の残留溶媒や溶存水蒸気による発泡を防ぐことができる。また、深部と表面の硬化速度差を小さくできるので、表面が平滑でシワの無い、外観の良好な硬化物を得ることが出来る。深部と表面の硬化速度差が小さいと、硬化状態が均一となるので硬化物中における内部応力の発生が抑制され、ひいてはクラックの発生が防止できる。
本発明の実施形態に係る上記熱硬化性樹脂組成物の用途は特に限定されず、LEDデバイスのような発光デバイスを含む各種の半導体デバイスに、封止材等として用いることができる。
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン64.8g、トリメチルエトキシシラン40.1g、イソプロピルアルコール45gおよび1N塩酸24.39gを混合し、室温で3時間撹拌し、さらに水酸化カリウム1.51gとイソプロピルアルコール148gを加えてイソプロピルアルコール還流条件で4時間加熱撹拌操作を行った。その後、リン酸二水素ナトリウム水溶液(10重量%)で反応液を中和してから、洗浄後の水が中性になるまで水洗後、減圧下で揮発成分を除去して、Mw=1000のポリシロキサンEpSi−1を得た。
上記EpSi−1を3.00g、酸無水物リカシッドMH‐700(新日本理化株式会社製)0.16g、式(25)で表される水酸基が結合したケイ素原子を両末端に有する、ポリスチレン換算の重量平均分子量900のポリメチルフェニルシロキサン(BLUESTAR SILICONES社製 FLD516)にガリウムアセチルアセトナート(Strem Chemicals, Inc.社製)2重量%を溶解した液(Ga(acac)3溶液)0.025gを加えて撹拌、混合を行い、硬化性組成物1を得た。硬化性組成物1の組成を表2に示す。
上記EpSi−1を0.76g、アルキルグリシジルエーテル YED216D(三菱化学株式会社製)0.09g、真球状フィラーHL−3100(株式会社龍森製)7.4gを撹拌し、混合した。その後、酸無水物リカシッドMH‐700(新日本理化株式会社製)0.14g、ガリウムアセチルアセトナート(Strem Chemicals, Inc.社製)2重量%を溶解した液(Ga(acac)3溶液)0.025gを加えて撹拌、混合を行い、硬化性組成物2を得た。硬化性組成物2の組成を表2に示す。
硬化性組成物2について、実施例1に準じ、加熱処理して硬化物を作製し、得られた硬化物の線膨張率を測定した。測定結果より求められた70〜100℃の平均線膨張率(A1)と、210〜240℃の平均線膨張率(A2)、およびその比であるA2/A1を表3に示す。
上記EpSi−1を0.76g、アルキルグリシジルエーテル YED216D(三菱化学株式会社製)0.09g、真球状フィラーHL−3100(株式会社龍森製)7.4gを撹拌し、混合した。その後、熱潜在カチオン重合開始剤サンエイドSI−B3(三新化学工業株式会社製)0.0083gを加えて撹拌、混合を行い、硬化性組成物3を得た。硬化性組成物3の組成を表2に示す。
硬化性組成物3について、実施例1に準じ、加熱処理して硬化物を作製し、得られた硬化物の線膨張率を測定した。測定結果より求められた70〜100℃の平均線膨張率(A1)と、210〜240℃の平均線膨張率(A2)、およびその比であるA2/A1を表3に示す。
E828US(三菱化学株式会社製 ビスフェノールA型エポキシ樹脂)3.24g、
変性芳香族アミン硬化剤 キュアW(三菱化学株式会社製)0.76gを撹拌、混合を行い、硬化性組成物4を得た。硬化性組成物4の組成を表2に示す。
硬化性組成物4について、実施例1に準じ加熱処理して硬化物を作製し、得られた硬化物の線膨張率を測定した。測定結果より求められた70〜100℃の平均線膨張率(A1)と、210〜240℃の平均線膨張率(A2)、およびその比であるA2/A1を表3に示す。
線膨張率は、JIS K7197に準拠して、熱機械分析装置としてTMA/SS6100(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)を用いて、圧縮モードで、表1に示す温度プログラムで測定し、プログラム3での膨張率からA1、A2を算出した。
Claims (9)
- 熱硬化性樹脂および硬化触媒を含む熱硬化性樹脂組成物であって、前記熱硬化性樹脂はエポキシシリコーン樹脂を含み、前記硬化触媒はガリウム化合物を含み、該熱硬化性樹脂組成物の硬化物は、70〜100℃の平均線膨張率(A1)と210〜240℃の平均線膨張率(A2)との比A2/A1が0.5以上2.0以下である熱硬化性樹脂組成物。
- 上記硬化物の70〜240℃の平均線膨張率が300ppm/K以下である、請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 上記エポキシシリコーン樹脂中のエポキシ基が脂環式エポキシを含む、請求項1または2記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 酸無水物を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 線膨張率が20ppm/K以下の無機フィラーを熱硬化性樹脂組成物中に50重量%以上含む、請求項1〜4のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 上記無機フィラーが球状フィラーである、請求項5に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 上記無機フィラーがシリカである、請求項5または6記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物を硬化してなる成形体。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物を用いて封止してなるパワーデバイス。
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