JP6311399B2 - 熱硬化性樹脂組成物、およびその成形体 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物、およびその成形体 Download PDF

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Description

本発明は、熱硬化性樹脂組成物に関する。さらに、該樹脂組成物を硬化してなる成形体に関する。
半導体デバイスの封止材料には、使用時の発熱による反りやクラック発生を抑えるため、低熱膨張率が求められる。特に、パワーデバイスでは、高圧高電流での使用が繰り返されるため、低い熱膨張率が要求される温度範囲が広いうえに、熱およびパワーサイクル性も求められる。さらに、現在、開発が進められている次世代の化合物半導体(GaNやSiN等)では、周辺部材に要求される耐熱温度が現行のSiより高く、250℃程度と予想されている。
また、パワーデバイスはサイズが大きいため、半導体の中でもより低い熱膨張率が求められる。
一般的なエポキシ硬化物は、熱膨張率は常温付近では低いが、ガラス転移温度(Tg)以上で大きくなる。そこで、反りの抑制と高信頼性化の手段として、例えば、高Tg化によるアプローチがなされている(特許文献1参照)。特許文献1には、特定の硬化剤構成を用いることにより、硬化物を高Tg化し、成形時の高温での流動性を維持しつつ、反りを抑制することが記載されている。しかしながら、高Tg化はモノマーの融点の上昇や硬化物の脆化などを伴うことが多い。
特開2000−169670号公報
本発明の主たる目的は、半導体デバイスの封止材料に好適に使用でき、特にパワーデバイスであっても、反りや割れの生じない、高い信頼性を有する熱硬化性樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため、熱硬化性樹脂の構造と線膨張率について検討したところ、硬化した際にTg以下の特定の温度、およびTg以上の特定の温度において、線膨張率の変化が極めて小さい樹脂組成物を見出した。そして、当該樹脂組成物を封止材として用いることで、高温に達するパワーデバイスに適用した場合であっても高い信頼性が得られることに想到した。すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1] 熱硬化性樹脂および硬化触媒を含む熱硬化性樹脂組成物であって、該熱硬化性樹脂組成物の硬化物は、70〜100℃の平均線膨張率(A1)と210〜240℃の平均線膨張率(A2)との比A2/A1が0.5以上2.0以下である熱硬化性樹脂組成物。[2] 上記硬化物の70〜240℃の平均線膨張率が300ppm/K以下である、[1]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[3] 上記熱硬化性樹脂がエポキシシリコーン樹脂を含む、[1]または[2]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[4] 上記エポキシシリコーン樹脂中のエポキシ基が脂環式エポキシを含む、[3]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[5] 上記硬化触媒が無機化合物を含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の熱硬化性
樹脂組成物。
[6] 上記硬化触媒がガリウム化合物を含む、[1]〜[5]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
[7] 酸無水物を含む、[1]〜[6]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
[8] 線膨張率が20ppm/K以下の無機フィラーを熱硬化性樹脂組成物中に50重量%以上含む、[1]〜[7]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
[9] 上記無機フィラーが球状フィラーである、[8]に記載の熱硬化性樹脂組成物。[10] 上記無機フィラーがシリカである、[8]または[9]記載の熱硬化性樹脂組成物。
[11] [1]〜[10]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物を硬化してなる成形体。
[12] [1]〜[10]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物を用いて封止してなるパワーデバイス。
本発明によれば、半導体デバイスの封止材料に好適に使用でき、特にパワーデバイスであっても、反りや割れの生じない、高い信頼性を有する熱硬化性樹脂組成物が提供される。
以下、本発明を実施形態に即して詳細に説明する。ただし、本発明は本明細書に明示的または黙示的に記載された実施形態に限定されるものではない。
以下の説明において、樹脂硬化物等の線膨張率に言及する場合、特に断らない限り、その平均線膨張率は、熱機械分析(TMA)装置を用いて、圧縮モードで、JIS K7197規格に準拠して測定した平均線膨張率(CTE)を意味する。
1.熱硬化性樹脂組成物の硬化物
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、硬化物としたときに、70〜100℃の平均線膨張率(A1)と210〜240℃の平均線膨張率(A2)との比A2/A1が0.5以上、好ましくは0.8以上、より好ましくは1.0以上である。一方で、2.0以下、好ましくは1.8以下、より好ましくは1.5以下である。この範囲の物性を満たすとき、パワーデバイスの動作により到達し得るような高温条件下であっても線膨張率の変化が小さいことから、使用時の発熱による反りやクラック発生を抑えられ、半導体デバイスの封止材料に好適に使用でき、特にパワーデバイスに好適に使用できる。A2/A1が2.0を超える場合、反りやクラックが生じやすい。また、A2/A1が0.5より小さいものは、製造が困難である。
硬化物を得るための硬化の方法、硬化温度等については、特に限定されず、熱硬化樹脂組成物の種類に応じて既知の方法で行うことができる。
また、本発明においては、熱硬化性樹脂組成物の硬化物の70〜240℃の平均線膨張率が300ppm/K以下が好ましく、200ppm/K以下がより好ましく、100ppm/K以下がさらに好ましく、50ppm/K以下が特に好ましく、30ppm/K以下が最も好ましい。このような本発明に係る熱硬化性樹脂組成物を硬化してなる成形体は、広い温度範囲でほぼ一定の平均線膨張率を有し、かつ、高温でかなり低い熱膨張率を有することから、信頼性に優れ、高温高圧電流下での使用に耐え得ることができるので、パワーデバイスの封止材としての用途に好適に使用可能である。また、成形体を得るための製造時において流動性を有し、取扱い性に優れるため、半導体デバイスの封止材料として好適に使用できる。
熱可塑性樹脂組成物の硬化物のTgは、低温側、高温側ともに、熱硬化性樹脂の種類、官能基の種類、量、硬化剤の種類等により調整することができる。
以下、本発明の熱硬化性樹脂組成物を構成する各成分について説明する。
2.熱硬化性樹脂組成物
本発明に係る熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂、硬化触媒を含有する。
本発明の熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン骨格を主鎖に持つエポキシシリコーン樹脂等が挙げられる。
2.1 エポキシ樹脂
一般的なエポキシ樹脂は、通常、その硬化物のTgより低い温度で硬化する。エポキシ樹脂の熱力学特性や硬化挙動は非常に複雑で、また、その硬化物の平均線膨張率は温度範囲によって異なる。一般に、高分子中に枝分かれが多くなると平均線膨張率は大きくなる。共重合体では共重合体の組成等によっても熱膨張率は変化する。また、組成が同じでも結晶化度が大きくなると平均線膨張率は小さくなる。
エポキシ樹脂としては、熱硬化性樹脂であれば特に制限はされないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール型エポキシ樹脂または4,4’−ビフェノール型エポキシ樹脂のようなビフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレンジオール型エポキシ樹脂、トリスフェニロールメタン型エポキシ樹脂、テトラキスフェニロールエタン型エポキシ樹脂、およびフェノールジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂の芳香環を水素化したエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂など室温で液状の公知のエポキシ樹脂が挙げられる。また、必要に応じて、上記以外のエポキシ樹脂を一定量併用することができる。
2.2 シリコーン樹脂
シリコーン樹脂としては、熱硬化性のシリコーン樹脂であれば、特に限定されない。例えば、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等が挙げられる。
2.3 エポキシシリコーン樹脂
エポキシシリコーン樹脂は、分子中にエポキシ基を有し、エポキシ基はグリシジル基でも脂環式エポキシ基であってもよく、好ましくはシクロヘキシルエポキシ基を有する脂環式エポキシ基を含む。
本発明においては、エポキシシリコーン樹脂を用いることにより、A2/A1の値を前記範囲内に調整しやすくなる。また、熱硬化性樹脂組成物の粘度を抑え液状封止を可能とし、線膨張率が低く硬度が高い硬化物を得ることができ、好ましい。
このエポキシシリコーン樹脂は、その硬化機構の少なくとも一部に、ガリウム化合物とシラノール源化合物から供給されるシラノールとによって触媒されるエポキシ化合物の自己重合反応が関与するものである。このエポキシシリコーン樹脂は、該自己重合反応のみにより硬化するものであり得るが、限定されるものではない。
以下、このエポキシシリコーン樹脂の各成分について説明する。
2.3−1エポキシ化合物
エポキシ化合物は、分子中にエポキシ基を有する化合物であり、好ましくはシクロヘキシルエポキシ基を有する脂環式エポキシ化合物である。典型的な脂環式エポキシ化合物の構造式を式(1)〜(3)に示す。
Figure 0006311399
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エポキシ化合物はグリシジル基を有する化合物であってもよいが、脂環式エポキシ化合物に比べて自己重合反応の活性が低い場合がある。
グリシジル基を有するエポキシ化合物の好適例として、式(4)〜式(8)に示すような脂環構造を含むグリシジルエーテル、またはエステル化合物、式(9)に示すような脂環構造を含まないグリシジルエーテル化合物、式(10)に示すようなジシロキサン骨格を有するグリシジルエーテル化合物、式(11)に示すようなイソシアヌル酸骨格を有するグリシジルアミド化合物がある。式(9)において、Rは炭素数1〜20のアルキレン基を表している。
Figure 0006311399
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また、エポキシ化合物は、芳香族エポキシ化合物であってもよい。かかるエポキシ化合物の例としては、式(12)に示すようなビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールAD、テトラメチルビスフェノールS、テトラフルオロビスフェノールAなどのビスフェノール類をグリシジル化したビスフェノール型エポキシ樹脂、式(13)に示すようなビフェニル型のエポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン等の2価のフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン等のトリスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のテトラキスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールA、ノボラック、臭素化ビスフェノールAノボラック等のノボラック類をグリシジル化したノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。式(13)において、Rは独立して水素、炭素数1〜3のアルキル基、又はフェニル基を表している。
Figure 0006311399
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エポキシ化合物は、芳香族エポキシ化合物を水素化して得られる脂環構造を有するエポキシ化合物であってもよい。
エポキシ化合物は、エポキシ基を有するケイ素含有化合物であってもよい。ケイ素含有化合物とは、シラン化合物やシロキサン化合物である。
エポキシ基を有するケイ素含有化合物には、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メチル)ジメトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エチル)ジメトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メチル)ジエトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エチル)ジエトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシルエチル〕(メチル)ジメトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エチル)ジメトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メチル)ジエトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エチル)ジエトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メトキシ)ジメチルシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メトキシ)ジエチルシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エトキシ)ジメチルシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エトキシ)ジエチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メトキシ)ジメチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メトキシ)ジエチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エトキシ)ジメチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エトキシ)ジエチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(ジメチル)ジシロキサン、3−エポキシプロピル(フェニル)ジメトキシシランなどがある。
また、エポキシ基を含有するケイ素化合物には、式(14)で表されるオルガノポリシロキサンも含まれる。
(R11 SiO1/2a1(R12 SiO2/2b1(R13SiO3/2c1(SiO4/2d1(O1/2H)e1 ・・・(14)
式(14)において、R11、R12、R13はそれぞれ独立して1価の有機基を示し、かつ、1分子中において少なくとも1つがエポキシ基を含む有機基である。
式(14)において、R11 SiO1/2はMユニット、R12 SiO2/2はDユニット、R13SiO3/2はTユニット、SiO4/2はQユニットを、それぞれ表している。a1、b1、c1およびd1は、それぞれが0以上の整数であり、かつ、a1+b1+c1+d1≧3である。
式(14)において、R11、R12、R13は、好ましくは、炭素数1〜10の炭化水素基であり、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基などのアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基などのアリール基;ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、ノナフルオロブチルエチル基などの置換アルキル基が挙げられる。
式(14)において、エポキシ基を含む有機基としては、2,3−エポキシプロピル基、3,4−エポキシブチル基、4,5−エポキシペンチル基などのエポキシアルキル基;2−グリシドキシエチル基、3−グリシドキシプロピル基、4−グリシドキシブチル基などのグリシドキシアルキル基;β−(または2−)(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、γ−(または3−)(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基などのエ
ポキシシクロヘキシルアルキル基が例示される。
式(14)においてe1は0以上の整数であり、ケイ素原子に直接結合する水酸基(シラノール)の個数を表している。
エポキシ化合物は、ケイ素原子に結合する加水分解性基を有するものであって、該加水分解性基を加水分解したときに、式(14)で表されるオルガノポリシロキサン(ただし、e1≧1)を生じる化合物であってもよい。換言すれば、式(14)で表されるオルガノポリシロキサン(ただし、e1≧1)において、ケイ素原子に直接結合した水酸基の全部または一部を加水分解性基に置き換えた化合物であってもよい。
ここで、加水分解性基とは、加水分解によってケイ素原子に結合した水酸基(シラノール)を生じる基であり、具体例としては、ヒドロキシ基、アルコキシ基、水素、アセトキシ基、エノキシ基、オキシム基、ハロゲン基が挙げられる。好ましい加水分解性基はアルコキシ基であり、特に炭素数1〜3のアルコキシ基、すなわち、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基である。
上記式(14)で表されるオルガノポリシロキサン型のエポキシ化合物は、例えば、次の方法で製造することができる。
(方法1)エポキシ基を有するシラン化合物と、エポキシ基を有しないシラン化合物および/またはそのオリゴマーとを、共加水分解および重縮合させる方法。
(方法2)ヒドロシリル基を有するポリシロキサンに、エポキシ基と炭素−炭素二重結合基を有する有機化合物を付加させる方法。
(方法3)炭素−炭素二重結合を含む有機基を有するポリシロキサンの該二重結合部分を酸化させて、エポキシ基に変換する方法。
上記方法1でポリシロキサン型のエポキシ化合物を製造する際に用いることのできる原料は次の通りである。
Mユニットを導入するための原料としては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルシラノールなどが例示される。
Dユニットを導入するための原料としては、ジメチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシランおよびこれらの加水分解縮合物(オリゴマー)が例示される。
両末端に水酸基を有するジアルキルシロキサンオリゴマーとして、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ジメチルシロキサン−ジフェニルシロキサン共重合体、ポリジフェニルシロキサンなどの両末端をシラノール変性した化合物が市販されている。
Tユニットを導入するための原料としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシランおよびこれらの加水分解縮合物が例示される。
Qユニットを導入するための原料としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシランおよびこれらの加水分解縮合物が例示される。
エポキシ基を導入するための原料としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メチル)ジメトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エチル)ジメトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メチル)ジエトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エチル)ジエトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メチル)ジメトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エチル)ジメトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メチル)ジエトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エチル)ジエトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メトキシ)ジメチルシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メトキシ)ジエチルシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エトキシ)ジメチルシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エトキシ)ジエチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メトキシ)ジメチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メトキシ)ジエチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エトキシ)ジメチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エトキシ)ジエチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(ジメチル)ジシロキサン、3−エポキシプロピル(フェニル)ジメトキシシランなどが例示される。
2.3−2ガリウム化合物
ガリウム化合物は、後段で詳述するシラノール源化合物から供給されるシラノールと組み合わされて、エポキシ化合物の自己重合反応の触媒として作用する成分である。
ガリウム化合物は上記作用を示すものであればよく、次の候補化合物から選択することができる:キレート配位子を有するガリウム錯体、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガリウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸ガ
リウム(III)、酢酸ガリウム、硫酸ガリウム、硝酸ガリウム、オキシ酢酸ガリウム、トリエトキシガリウム、トリイソプロポキシガリウム、トリス(8−キノリノラト)ガリウム、シュウ酸ガリウム、エチルキサントゲン酸ガリウム、ジエチルエトキシガリウム、マレイン酸ガリウム等。n−オクチル酸、2−エチルヘキサン酸、ナフテン酸などの長鎖カルボン酸のガリウム塩等。
キレート配位子としては、β−ジケトン型化合物と、o−ケトフェノール型化合物が挙げられる。β−ジケトン型化合物には、次の式(15)〜式(17)に示す構造を有するものがある。
Figure 0006311399
式(15)〜式(17)において、Rは独立してアルキル基、またはハロゲン置換アルキル基を表している。
式(15)の化合物の具体例としてはアセチルアセトン、トリフルオロアセチルアセトン、ペンタフルオロアセチルアセトン、ヘキサフルオロアセチルアセトン等が、式(16)の化合物の具体例としてはエチルアセトアセテート等が、式(17)の化合物の具体例としてはジエチルマロネート等が挙げられる。
O−ケトフェノール型化合物は、次の式(18)で表される化合物である。
Figure 0006311399
式(18)において、R’は独立して水素原子、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基またはアルコキシ基を表している。
式(18)の化合物の具体例としては、サリチルアルデヒド、エチル−O−ヒドロキシフェニルケトン等が挙げられる。
キレート配位子を有するガリウム錯体はガリウム化合物の好適例であり、その中でもガリウムアセチルアセトネートは特に好適に使用することができる。
Ga触媒を用いるとAl触媒に比べて硬化物の加熱による重量減少が少ない。特に硬化物がシロキサン構造を含む場合にはAl触媒に比べて硬化物の加熱による重量減少が少ない。
具体的には、150〜200℃×500時間で、重量減少が加熱前の20重量%以下が好ましく、10重量%以下が更に好ましい。
ガリウム化合物は、エポキシ化合物100重量部に対して通常0.001重量部以上、好ましくは0.01重量部以上、また5.0重量部以下、好ましくは1.0重量部以下である。
2.3−3 シラノール源化合物
シラノール源化合物はシラノールの供給源たる化合物である。シラノールは、前述のガリウム化合物と組み合わされて、エポキシ化合物の自己重合反応の触媒として作用する。
シラノールの役割は、エポキシ化合物の自己重合反応の開始に必要なカチオン源であると考えられる。シラノール源化合物のケイ素原子にフェニル基等の芳香族基が結合している場合には、この芳香族基はシラノール水酸基の酸性度を高める働き、つまり、シラノールのカチオン源としての作用を強める働きをしていると考えられる。
シラノール源化合物は、潜在的なシラノール源であってもよい。例えば、加水分解性基が結合したケイ素原子を有しており、該加水分解基が加水分解されたときにシラノールを生じる化合物である。加水分解性基の具体例としては、ヒドロキシ基、アルコキシ基、水素、アセトキシ基、エノキシ基、オキシム基、ハロゲン基が挙げられる。好ましい加水分解性基はアルコキシ基であり、特に炭素数1〜3のアルコキシ基、すなわち、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基である。
シラノール源化合物の一例は、フェニルジメチルシラノール、ジフェニルメチルシラノール、トリフェニルシラノール、ジヒドロキシジフェニルシラン(ジフェニルジシラノール)、トリメチルシラノール、トリエチルシラノール、ジヒドロキシジメチルシラン、トリヒドロキシメチルシランなどの水酸基が結合したケイ素原子を有するモノシラン化合物である。
シラノール源化合物の他の一例は、水酸基が結合したケイ素原子を有する、式(19)で表されるオルガノポリシロキサンである。
(R21 SiO1/2a2(R22 SiO2/2b2(R23SiO3/2c2(SiO4/2d2(O1/2H)e2 ・・・(19)
式(19)において、R21、R22、R23はそれぞれ独立して1価の有機基を示す。
式(19)において、R21 SiO1/2はMユニット、R22 SiO2/2はDユニット、R23SiO3/2はTユニット、SiO4/2はQユニットを、それぞれ表している。a2、b2、c2およびd2は、それぞれが0以上の整数であり、かつ、a2+b2+c2+d2≧3である。e2は1以上の自然数であり、ケイ素原子に直接結合する水酸基(シラノール)の個数を表している。
式(19)のR21、R22、R23は、通常、炭素数1〜10の炭化水素基であり、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基などのアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基などのアリール基;ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、ノナフルオロブチルエチル基などの置換アルキル基が挙げられる。
シラノール源化合物は、ケイ素原子に結合する加水分解性基を有するものであって、該加水分解性基を加水分解したときに、式(19)で表されるオルガノポリシロキサンを生じる化合物であってもよい。換言すれば、式(19)で表されるオルガノポリシロキサンにおいて、ケイ素原子に直接結合した水酸基の全部または一部を加水分解性基に置き換えた化合物であってもよい。
シラノール源化合物がオルガノポリシロキサンであって、これをシロキサン構造を含まないエポキシ化合物と共に用いる場合には、該オルガノポリシロキサンと該エポキシ化合物との相溶性を確保する観点から、該オルガノポリシロキサンはケイ素原子に結合した芳
香族基を有するものであることが好ましい。
シラノール源化合物がオルガノポリシロキサンである場合、その重量平均分子量については、熱硬化性樹脂組成物の硬化中あるいは硬化後に揮発しないように、500以上であることが好ましく、700以上であることがより好ましい。一方、重合度が高過ぎると粘度が高くなって取り扱い性が悪くなることから、該重量平均分子量は20,000以下であることが好ましく、15,000以下であることがより好ましい。
好適な実施形態では、シラノール源化合物は水酸基または加水分解性基が結合したケイ素原子を1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサンまたはシラン化合物であってもよい。かかるシラノール源化合物は、加熱されたときにガリウム化合物の作用により重縮合して高分子量化するので、硬化後にブリードアウトすることがない。
シラノール源化合物として好適に使用できるオルガノポリシロキサンとして、式(20)〜式(23)で表される構造を有するものが挙げられる。
Figure 0006311399
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式(22)で表されるオルガノポリシロキサンは、式(24)で表される化合物と式(25)で表される化合物とを、重縮合することにより得ることができる。重縮合触媒としては、酸、塩基の他、金属触媒を用いることができ、ガリウムアセチルアセトネートのようなガリウム化合物を用いることもできる。
式(23)で表されるオルガノポリシロキサンは、式(21)で表される化合物と式(24)で表される化合物とを、重縮合することにより得ることができる。重縮合触媒とし
ては、酸、塩基の他、金属触媒を用いることができ、ガリウムアセチルアセトネートのようなガリウム化合物を用いることもできる。
Figure 0006311399
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式(20)〜式(25)において、m、n、M、N、m1、m2は、それぞれ、1以上の整数である。これらの数を大きくし過ぎた場合、すなわちポリシロキサンの重合度を高くし過ぎた場合、粘度が高くなり過ぎてハンドリングが容易でなくなる他、シラノールの含有率が下がるために触媒能が低下する傾向が生じることに注意すべきである。ハンドリング性の観点からは、当該オルガノポリシロキサンの粘度あるいは当該オルガノポリシロキサンを用いて得られる熱硬化性樹脂組成物の粘度が10000mPa・s以下、特に5000mPa・s以下となるように、その重合度を設定することが好ましい。
式(20)〜式(23)で表されるオルガノポリシロキサンから選ばれる1種以上を、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシランなどの3官能シラン化合物とともに重縮合させて得られるオルガノポリシロキサンも、シラノール源化合物の好適例である。重縮合触媒としては、酸、塩基の他、金属触媒を用いることができ、ガリウムアセチルアセトネートのようなガリウム化合物を用いることもできる。かかるオルガノポリシロキサンは、更に酸、塩基またはガリウム化合物などの金属化合物のような縮合触媒を作用させることにより硬化する性質を有する。シラノール源として、モノシラン化合物とオルガノポリシロキサンを併せて用いてもよい。
シラノール源化合物は、エポキシ化合物100重量部に対して通常0.05重量部以上、好ましくは0.5重量部以上、また500重量部以下、好ましくは200重量部以下である。
また、ガリウム化合物とシラノール源化合物の含有比は重量比で1:0.05〜0.001:100が好ましく、より好ましくは1:10〜0.01:100である。
上述のエポキシ化合物、ガリウム化合物、およびシラノール源化合物から得られたエポキシシリコーン樹脂においては、エポキシ化合物とシラノール源化合物のいずれか一方、または両方が、オルガノポリシロキサン構造部分を有し得る。その場合に、オルガノポリシロキサン構造部分にシラノールを導入すると、ガリウム化合物がシラノール間の脱水縮合触媒として作用するので、エポキシ化合物の自己重合反応とシラノール縮合反応の両方が硬化に関与する、耐熱性の良好な熱硬化性樹脂組成物が得られる。ガリウム化合物はシ
ラノールとアルコキシ基の間の脱アルコール縮合反応の触媒にもなるので、オルガノポリシロキサン構造部分にシラノールとアルコキシ基を導入した場合も同様の効果が得られる。
他の一例では、エポキシ化合物が有するオルガノポリシロキサン構造部分とシラノール源化合物が有するオルガノポリシロキサン構造部分の一方にヒドロシリル基、他方にビニルシリル基を導入するとともに、白金化合物のようなヒドロシリル化反応触媒を添加することにより、エポキシ化合物の自己重合反応とヒドロシリル化反応の両方が硬化に関与する、硬化性の良好な熱硬化性樹脂組成物が得られる。
あるいは、エポキシ化合物とシラノール源化合物のいずれか一方または両方が有するオルガノポリシロキサン構造部分にヒドロシリル基を導入するとともに、ビニルシリル基を有するオルガノポリシロキサンとヒドロシリル化反応触媒を添加することによっても、エポキシ化合物の自己重合反応とヒドロシリル化反応の両方が硬化に関与する熱硬化性樹脂組成物が得られる。この例を変形して、エポキシ化合物とシラノール源化合物のいずれか一方または両方が有するオルガノポリシロキサン構造部分にビニルシリル基を導入し、添加するオルガノポリシロキサンをヒドロシリル基が導入されたものとしてもよい。
2.4 硬化触媒
硬化触媒は、熱硬化性樹脂を硬化させ得る化合物であれば特に限定されず、3級アミン、イミダゾール、ルイス酸、無機化合物等が挙げられる。強い触媒活性が必要であることから、好ましく無機化合物であり、さらに好ましくはガリウム化合物またはインジウム化合物であり、特に好ましくはガリウム化合物である。硬化触媒としてガリウム化合物を用いることで、硬化物のA2/A1の値を前記範囲内に調整しやすくなる。
ガリウム化合物としては、2.3−2にて上述したように、金属原子としてガリウムを含む化合物であれば特に限定されるものではなく、酸化物、塩、キレート錯体など、各種形態のものを使用することができる。具体的には、ガリウムアセチルアセトネート、酢酸ガリウム、オキシ酢酸ガリウム、トリエトキシガリウム、トリス(8−キノリノラト)ガリウム、シュウ酸ガリウム、エチルキサントゲン酸ガリウム、ジエチルエトキシガリウム、マレイン酸ガリウム等が例示される。なかでも特に好ましいのは、ガリウムアセチルアセトネート、および酢酸ガリウムである。2種類以上のガリウム化合物を任意に組み合わせて用いることもできる。
熱硬化性樹脂がシラノール基を有する場合、ガリウム化合物はシロキサン縮合の触媒にもなり、架橋系が同時に進行するので好ましい。また、シロキサンやシリカとの相性が良好であり、シリカの分散に寄与する。さらに、エポキシシリコーンをガリウム触媒で反応させると、得られる硬化物の線膨張率が広い範囲で一定になる。
熱硬化性樹脂組成物における硬化触媒の含有量は、熱硬化性樹脂組成物100重量%に対して0.03重量%〜0.3重量%となるように調製することが好ましい。
2.5 その他の成分
本発明の実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物には、上述の成分の他に、物性改善、機能付与等の観点から、分散剤、酸化防止剤、消泡剤、着色剤、変性剤、レベリング剤、光拡散剤、熱伝導性、難燃剤、反応性または非反応性の希釈剤、接着、密着性向上剤等の添加剤または各種フィラーをさらに含有してもよい。
2.5−1 フィラー
フィラーとしては、一般的な有機フィラー、無機フィラーのいずれも使用することがで
きる。有機フィラーとしては、スチレン系ポリマー粒子、メタクリレート系ポリマー粒子、エチレン系ポリマー粒子、プロピレン系ポリマー粒子、ポリアミド系等の合成ポリマー粒子、デンプン、木粉等の天然物、変性されていてもよいセルロース、各種有機顔料などが挙げられる。無機フィラーとしては、無機物もしくは無機物を含む化合物であれば特に限定されないが、具体的に例えば、石英、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ等のシリカ系無機フィラー、アルミナ、ジルコン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミ、炭化ケイ素、ガラス繊維、ガラスフレーク、アルミナ繊維、炭素繊維、マイカ、黒鉛、カーボンブラック、フェライト、グラファイト、ケイソウ土、白土、クレー、タルク、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マンガン、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、チタン酸カリウム、ケイ酸カルシウム、無機バルーン、銀粉等を挙げることができる。
これらは、単独で用いてもよく、2種類以上併用してもよい。また、適宜表面処理をほどこしてもよい。表面処理としては、アルキル化処理、トリメチルシリル化処理、シリコーン処理、シランカップリング剤による処理等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
フィラーを用いることにより、得られる成形体の強度、硬度、弾性率、熱膨張率、熱伝導率、放熱性、電気的特性、光の反射率、難燃性、耐火性、チキソトロピー性、およびガスバリア性等の諸物性を改善することができる。
フィラーの混合の順序としては、特に限定されないが、混合時の発熱による硬化反応の進行を防ぐため、ガリウム化合物、シラノール源化合物、その他のエポキシ樹脂硬化に使用される触媒の非存在下でエポキシ化合物と混合することが望ましい。
フィラーを混合する手段としては、特に限定されるものではないが、具体的に例えば、2本ロールあるいは3本ロール、遊星式撹拌脱泡装置、ホモジナイザー、ディゾルバー、プラネタリーミキサー等の撹拌機、プラストミル等の溶融混練機等が挙げられる。混合は、常温で行ってもよいし加熱して行ってもよく、また、常圧下で行ってもよいし減圧状態で行ってもよい。混合する際の温度が高いと、成型する前に組成物が硬化する場合がある。
フィラーの添加量は特に限定されないが、得られる硬化物の線膨張率の観点から、線膨張率が20ppm/K以下の無機フィラーを熱硬化性樹脂組成物中に50重量%以上含むことが好ましく、70重量%以上含むことがさらに好ましく、80重量%以上含むことがより好ましい。添加量を増やす手段として、粒径分布の制御を用いることができる。すなわち、粒径の異なるフィラーを混合することで、より高い充填率が得られる。フィラーの粒径分布は、レーザー散乱・回折式粒度分布測定装置としてParticle Size
Analyzer CILAS 1064(CILAS社製、1064型)を用いて測定し、1〜10μmに少なくとも1つ、10〜100μmに少なくとも1つのピークトップをもつことが望ましい。また、ナノサイズの超微粒子を含んでいても構わない。
また、添加量が増加すると、組成物の粘度上昇が顕著になる。用途、成型法によっては、粘度上昇を抑制する必要があるが、その場合、フィラーの形状、表面構造が大きく影響する。形状は、繊維状、不定形のものよりも、球状のものを選択することで、粘度を低く抑えることが出来る。また、粒子表面官能基の種類、量により、粒子間および粒子−エポキシ樹脂等からなるマトリックス組成物間の相互作用を制御し、適当な粘度を得ることが出来る。ここで、球状とは、真球状であってもよく、楕円状であってもよく、卵形等を含む略球状を意味し、具体的にはアスペクト比(長径と短径の比)が通常2以下であり、好ましくは1.5以下である。
2.5−2 酸化防止剤
本発明の実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物には、使用環境下での黄変を抑制するために、酸化防止剤を含有させることができる。
フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、ヒンダードアミン系等が好適に用いられる。フェノール系酸化防止剤とヒンダードアミン系はラジカル補足剤として作用する。リン系酸化防止剤は過酸化物分解剤として機能する。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)]メタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)が挙げられる。
ヒンダードアミン系は、ニトロキシラジカルの酸化体がラジカルを補足することで安定化すると考えられる。ニトロキシフリーラジカル化合物としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル(TEMPO)、2,2,6,6−テトラエチル−1−ピペリジニルオキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−オキソ−1−ピペリジニルオキシラジカル、2,2,5,5−テトラメチル−1−ピロリジニルオキシラジカル、1,1,3,3−テトラメチル−2−イソインドリニルオキシラジカル、N,N−ジ−t−ブチルアミンオキシラジカル等が挙げられる。ヒンダードアミン系は、リン系の酸化防止剤と併用すると相乗効果を示し、耐候性が向上する。
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルフォスフェート、トリイソデシルフォスフェート、イソデシルジフェニルフォスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルフォスフェート、トリスノニルフェニルフォスフェート、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスフェート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−フォスフェートが挙げられる。
なかでも、フェノール水酸基の片側あるいは両側のオルト位にアルキル基を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤が特に好適に用いられる。ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、[3−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパノイルオキシ]−2,2−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパノイルオキシメチル]プロピル]3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが挙げられる。
2.5−3 エポキシ樹脂の硬化触媒
ガリウム化合物と、シラノール源化合物から供給されるシラノールの触媒作用を阻害しない限りにおいて、通常のエポキシ樹脂硬化に使用される触媒を併用することができる。例えば、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、シクロヘキシルジメチルアミン、トリエタノールアミン等の3級アミン類;2−メ
チルイミダゾール、2−n−ヘプチルイミダゾール、2−n−ウンデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−n−ウンデシルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジ(ヒドロキシメチル)イミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−フェニル−4,5−ジ〔(2’−シアノエトキシ)メチル〕イミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−n−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテート、1−(2−シアノエチル)−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾリウムトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−〔2 ’−メチルイミダゾリル−(1’)〕エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2’−n−ウンデシルイミダゾリル)エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−〔2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)〕エチル−s−トリアジン、2−メチルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダゾリル−(1’)〕エチル−s−トリアジンのイソシアヌル酸付加物等のイミダゾール類;ジフェニルフォスフィン、トリフェニルフォスフィン、亜リン酸トリフェニル等の有機リン系化合物;ベンジルトリフェニルフォスフォニウムクロライド、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムブロマイド、メチルトリフェニルフォスフォニウムブロマイド、エチルトリフェニルフォスフォニウムブロマイド、n−ブチルトリフェニルフォスフォニウムブロマイド、テトラフェニルフォスフォニウムブロマイド、エチルトリフェニルフォスフォニウムヨーダイド、エチルトリフェニルフォスフォニウムアセテート、メチルトリブチルフォスフォニウムジメチルフォスフェート、テトラブチルフォスフォニウムジエチルフォスフォジチオネート、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムベンゾトリアゾレート、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムテトラフルオロボレート、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルフォスフォニウムテトラフェニルボレート等の4級フォスフォニウム塩類;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7やその有機酸塩等のジアザビシクロアルケン類;オクチル酸亜鉛、アクチル酸錫、アルミニウムアセチルアセトン錯体等の有機金属化合物;テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩類;三フッ化ホウ素、ホウ酸トリフェニル等のホウ素化合物;塩化亜鉛、塩化第二錫等の金属ハロゲン化合物のほか、ジシアンジアミドやアミンとエポキシ樹脂との付加物等のアミン付加型促進剤等の高融点分散型潜在性硬化促進剤;前記イミダゾール類、有機リン系化合物や4級フォスフォニウム塩類等の硬化促進剤の表面をポリマーで被覆したマイクロカプセル型潜在性硬化促進剤;アミン塩型潜在性硬化剤促進剤;ガリウム化合物以外のルイス酸塩、ブレンステッド酸塩等の高温解離型の熱カチオン重合型潜在性硬化促進剤等の潜在性硬化促進剤等を挙げることができる。
2.5−4 硬化助剤
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、熱硬化性樹脂と硬化剤との反応を促進させるために硬化助剤を含有させることができる。硬化助剤としては、アミン、ポリアミド樹脂、酸無水物、フェノール等が挙げられる。線膨張率の低減、重合速度の制御、粘度の低減の観点から、酸無水物を用いることが好ましい。酸無水物としては、脂肪族酸無水物、脂環式酸無水物、芳香族酸無水物、ハロゲン系酸無水物等が挙げられる。該樹脂組成物を光半導体デバイスに使用する場合には、耐光性の観点から脂環式カルボン酸無水物を使用することが好ましい。
酸無水物の含有量としては特に制限はないが、多すぎると酸無水物のTgが、得られる硬化物の線膨張率に影響を与える場合がある。
脂環式カルボン酸無水物としては、例えば、式(26)〜式(31)で表される化合物や、4−メチルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルナジック酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物のほか、α−テルピネン、アロオシメン等の共役二重結合を有する脂環式化合物と無水マレイン酸とのディールス・アルダー反応生成物やこれらの水素添加物等を挙げることができる。
Figure 0006311399
なお、前記ディールス・アルダー反応生成物やこれらの水素添加物としては、任意の構造異性体および任意の幾何異性体を使用することができる。
また、前記脂環式カルボン酸無水物は、硬化反応を実質的に妨げない限り、適宜に化学的に変性して使用することもできる。
酸無水物を含有することで、エポキシ反応速度の制御、ハンドリング、レベリングの向上、着色防止等の効果が得られる場合がある。酸無水物の含有量としては特に制限はないが、エポキシ量に対して1.5当量以下であることが好ましい。より好ましくは1当量以下、更に好ましくは0.8当量以下である。
2.5−5 シランカップリング剤
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、金属部品や無機フィラーに対する接着性を良好にするためにシランカップリング剤を含有させることができる。
具体例として、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
2.5−6 シラノールの縮合触媒
ガリウム化合物と、シラノール源化合物から供給されるシラノールの触媒作用によるエポキシの反応を阻害しない限りにおいて、通常のシラノール硬化に使用される触媒を併用することができる。
具体例として、脱水・脱アルコール縮合反応触媒が挙げられる。前記反応触媒には、有機金属錯体触媒、金属と有機酸の塩、ルイス酸・ルイス塩基触媒からなる群から選ばれる少なくとも1つを含有することが好ましい。脱水・脱アルコール縮合反応触媒に含まれる
金属成分としては、Sn、Zn、Fe、Ti、Zr、Bi、Hf、Y、Al、B、Gaなどから選ばれる1以上を用いるのが好ましく、中でもSn、Ti、Al、Zn、Zr、Hf、Gaは反応活性が高いという点で好ましく、発光デバイス用部材として用いる場合に電極腐食や光吸収が少なく適度な触媒活性を有し、ジメチルポリシロキサン鎖の不要な切断劣化が起こりにくいZrやHfが特に好ましい。
3. 熱硬化性樹脂組成物の製造方法
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂と硬化触媒と、必要に応じてフィラー、希釈剤、酸化防止剤などのその他の成分を混合することにより製造することができる。
この熱硬化性樹脂組成物は、1液硬化型であってもよく、保存安定性を考慮して2液硬化型としてもよい。
4. 熱硬化性樹脂組成物の硬化方法および硬化物
本発明に係る熱硬化性樹脂組成物は、その硬化機構の少なくとも一部に、硬化触媒による熱硬化性樹脂の自己重合反応が関与するものである。この熱硬化性樹脂組成物は、該自己重合反応のみにより硬化するものであり得るが、限定されるものではない。
本発明に係る熱硬化性樹脂組成物は流動性を有するので、成形方法は限定されず、金型を用いて成形してもよく、ポッティングにも用いることができる。
本発明の実施形態に係る上記熱硬化性樹脂組成物を硬化させ成形体を得るために行う加熱の方法は、特に限定されるものではなく、例えば、熱風循環式加熱、赤外線加熱、高周波加熱等の従来公知の方法を採用することができる。
熱処理条件は、熱硬化性樹脂組成物を所望の硬化状態にすることができればよく、特に制限はない。
例えば、樹脂組成物を含有する液と硬化触媒を含有する液をそれぞれ作製し、その後混合して混合液を作製し、次いでこの混合液を硬化温度に保持することにより硬化させればよい。硬化温度は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、更に好ましくは150℃以上である。
硬化温度に保持する時間(硬化時間)は触媒濃度や当該組成物で形成しようとする部材の厚みなどに応じて定める。通常1時間以上、好ましくは2時間以上、更に好ましくは4時間以上である。
硬化温度を、最初は100℃付近とし、次いで150℃付近に上げることにより、組成物中の残留溶媒や溶存水蒸気による発泡を防ぐことができる。また、深部と表面の硬化速度差を小さくできるので、表面が平滑でシワの無い、外観の良好な硬化物を得ることが出来る。深部と表面の硬化速度差が小さいと、硬化状態が均一となるので硬化物中における内部応力の発生が抑制され、ひいてはクラックの発生が防止できる。
5. 熱硬化性樹脂組成物の用途
本発明の実施形態に係る上記熱硬化性樹脂組成物の用途は特に限定されず、LEDデバイスのような発光デバイスを含む各種の半導体デバイスに、封止材等として用いることができる。
本発明の実施形態に係る上記熱硬化性樹脂組成物の硬化物は、線膨張率が広い温度範囲で一定であり、低い熱膨張率を有し、信頼性に優れるので、特にパワーデバイスに好適に使用される。本発明の実施形態に係る上記熱硬化性樹脂組成物を用いて封止してなるパワーデバイスは、広い温度範囲でほぼ一定の平均線膨張率を有する硬化物により封止されており、機械的信頼性が高く、高温高圧電流下での使用に耐え得ることができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
<エポキシシリコーン樹脂の合成>
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン64.8g、トリメチルエトキシシラン40.1g、イソプロピルアルコール45gおよび1N塩酸24.39gを混合し、室温で3時間撹拌し、さらに水酸化カリウム1.51gとイソプロピルアルコール148gを加えてイソプロピルアルコール還流条件で4時間加熱撹拌操作を行った。その後、リン酸二水素ナトリウム水溶液(10重量%)で反応液を中和してから、洗浄後の水が中性になるまで水洗後、減圧下で揮発成分を除去して、Mw=1000のポリシロキサンEpSi−1を得た。
[実施例1]
上記EpSi−1を3.00g、酸無水物リカシッドMH‐700(新日本理化株式会社製)0.16g、式(25)で表される水酸基が結合したケイ素原子を両末端に有する、ポリスチレン換算の重量平均分子量900のポリメチルフェニルシロキサン(BLUESTAR SILICONES社製 FLD516)にガリウムアセチルアセトナート(Strem Chemicals, Inc.社製)2重量%を溶解した液(Ga(acac)溶液)0.025gを加えて撹拌、混合を行い、硬化性組成物1を得た。硬化性組成物1の組成を表2に示す。
3〜4.5gの硬化性組成物1を内径5mmφのアルミ皿に入れ、オーブンにて、80℃で30分間、120℃で120分間、150℃で60分間、および200℃で60分間の条件で順次加熱して硬化を行い、得られた硬化物の線膨張率を測定した。測定結果より求められた70〜100℃の平均線膨張率(A1)と、210〜240℃の平均線膨張率(A2)、およびその比であるA2/A1を表3に示す。
[実施例2]
上記EpSi−1を0.76g、アルキルグリシジルエーテル YED216D(三菱化学株式会社製)0.09g、真球状フィラーHL−3100(株式会社龍森製)7.4gを撹拌し、混合した。その後、酸無水物リカシッドMH‐700(新日本理化株式会社製)0.14g、ガリウムアセチルアセトナート(Strem Chemicals, Inc.社製)2重量%を溶解した液(Ga(acac)溶液)0.025gを加えて撹拌、混合を行い、硬化性組成物2を得た。硬化性組成物2の組成を表2に示す。
硬化性組成物2について、実施例1に準じ、加熱処理して硬化物を作製し、得られた硬化物の線膨張率を測定した。測定結果より求められた70〜100℃の平均線膨張率(A1)と、210〜240℃の平均線膨張率(A2)、およびその比であるA2/A1を表3に示す。
[実施例3]
上記EpSi−1を0.76g、アルキルグリシジルエーテル YED216D(三菱化学株式会社製)0.09g、真球状フィラーHL−3100(株式会社龍森製)7.4gを撹拌し、混合した。その後、熱潜在カチオン重合開始剤サンエイドSI−B3(三新化学工業株式会社製)0.0083gを加えて撹拌、混合を行い、硬化性組成物3を得た。硬化性組成物3の組成を表2に示す。
硬化性組成物3について、実施例1に準じ、加熱処理して硬化物を作製し、得られた硬化物の線膨張率を測定した。測定結果より求められた70〜100℃の平均線膨張率(A1)と、210〜240℃の平均線膨張率(A2)、およびその比であるA2/A1を表3に示す。
[比較例1]
E828US(三菱化学株式会社製 ビスフェノールA型エポキシ樹脂)3.24g、
変性芳香族アミン硬化剤 キュアW(三菱化学株式会社製)0.76gを撹拌、混合を行い、硬化性組成物4を得た。硬化性組成物4の組成を表2に示す。
硬化性組成物4について、実施例1に準じ加熱処理して硬化物を作製し、得られた硬化物の線膨張率を測定した。測定結果より求められた70〜100℃の平均線膨張率(A1)と、210〜240℃の平均線膨張率(A2)、およびその比であるA2/A1を表3に示す。
[線膨張率の測定]
線膨張率は、JIS K7197に準拠して、熱機械分析装置としてTMA/SS6100(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)を用いて、圧縮モードで、表1に示す温度プログラムで測定し、プログラム3での膨張率からA1、A2を算出した。
Figure 0006311399
Figure 0006311399
Figure 0006311399
表3に示す結果から明らかな通り、本発明の組成物の硬化物の平均線膨張率は、A1とA2がほぼ同じであり、A2/A1が0.95〜1.11である。すなわち70℃〜240℃の平均線膨張率がほぼ一定である。一方、比較例の平均線膨張率はA1とA2との値が大きく異なり、A2/A1は3.38と大きかった。
本発明により提供される熱硬化性樹脂組成物、および、該熱硬化性樹脂組成物を硬化してなる成形体は、その用途が特に制限されるものではなく、何れの用途に用いても良いが、特に半導体素子の封止の用途に好適に使用することができる。

Claims (9)

  1. 熱硬化性樹脂および硬化触媒を含む熱硬化性樹脂組成物であって、前記熱硬化性樹脂はエポキシシリコーン樹脂を含み、前記硬化触媒はガリウム化合物を含み、該熱硬化性樹脂組成物の硬化物は、70〜100℃の平均線膨張率(A1)と210〜240℃の平均線膨張率(A2)との比A2/A1が0.5以上2.0以下である熱硬化性樹脂組成物。
  2. 上記硬化物の70〜240℃の平均線膨張率が300ppm/K以下である、請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  3. 上記エポキシシリコーン樹脂中のエポキシ基が脂環式エポキシを含む、請求項1または2記載の熱硬化性樹脂組成物。
  4. 酸無水物を含む、請求項1〜のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
  5. 線膨張率が20ppm/K以下の無機フィラーを熱硬化性樹脂組成物中に50重量%以上含む、請求項1〜のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
  6. 上記無機フィラーが球状フィラーである、請求項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  7. 上記無機フィラーがシリカである、請求項または記載の熱硬化性樹脂組成物。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物を硬化してなる成形体。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物を用いて封止してなるパワーデバイス。
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