JP2016117879A - 液状樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】多くのシリカフィラーを含み、線膨張率が低い樹脂組成物であって、ある程度の流動性を有し、ポッティングの際のハンドリングが良好であり、且つ応力を緩和することでクラックの生じにくい、封止用樹脂組成物を提供する。
【解決手段】シリカフィラー、マトリクス樹脂及び硬化剤を含む、液状樹脂組成物であって、前記組成物は、前記フィラーを75重量%以上含み、且つ、前記マトリクス樹脂は、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする、液状樹脂組成物により解決することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、半導体デバイスなどの封止材として好適に用いられる液状樹脂組成物に関する。
パワーデバイスの封止材には、絶縁性・熱信頼性に加え、低い線膨張率が求められる。これは、線膨張率が高い樹脂を封止材として用いる場合、パワーデバイスからの熱により封止樹脂が膨張し、封止樹脂が割れたりすることを防ぐためである。そして、線膨張率を下げるために、半導体封止材に充填剤(フィラー)を加えることが一般的に行われている(例えば、特許文献1又は2)。
特開2004−27005号公報 特開2009−67890号公報
デバイス封止は、樹脂の種類により封止方法が異なる。エポキシ系の樹脂で封止する際にはトランスファー成形などによる封止が行われ、シリコーン系樹脂ではポッティングによる封止が行われている。いずれの方法にしても封止樹脂には流動性が必要となる。一方、前述の通り、封止樹脂の線膨張率を下げるためには、シリカフィラーなどの充填剤を多く含有させる必要がある。しかし、シリカフィラーの量を増加させると、封止樹脂組成物の流動性が低くなり、成形時のハンドリングが非常に困難になるという問題があった。特にポッティングによる封止の際にはある程度の流動性が必要であるところ、一般的にシリカフィラーを70重量%以上含有させると、粘度が高くなりすぎて流動性を失い、ポッティングによる封止が不能な状態となる。すなわち、ポッティングによる封止に適した、線膨張率が低い液状の樹脂組成物の提供はできないのが現状であった。
また、線膨張率を下げても、基材との線膨張差による応力によりクラックを生じやすい傾向にある。さらに、硬化時の応力が封止樹脂中に残っていると長期使用や使用時の温度変化によるクラックを生じやすい傾向にある。
本発明は、シリカフィラーを多く含む樹脂組成物であっても、ある程度の流動性を有し、且つ応力を緩和することでクラックの生じにくい樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、シリカフィラーを高濃度で配合させた樹脂組成物、具体的にはシリカフィラーを75重量%以上含有した樹脂組成物に、熱可塑性樹脂を加えることで、流動性が確保でき、且つ応力を緩和することでクラックの生じにくい液状樹脂組成物を提供できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]シリカフィラー及びマトリクス樹脂を含む液状樹脂組成物であって、前記組成物は、前記フィラーを75重量%以上含み、且つ前記マトリクス樹脂は、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする、液状樹脂組成物。
[2]前記組成物の30℃での粘度が50,000cp以下であることを特徴とする液状樹脂組成物。
[3]前記熱硬化性樹脂がエポキシシリコーン樹脂を含むことを特徴とする液状樹脂組成物。
[4]前記熱可塑性樹脂が、前記熱硬化性樹脂に不溶であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の液状樹脂組成物。
[5]前記熱可塑性樹脂の最大伸び率が10%以上であることを特徴とする液状樹脂組成物。
[6]前記熱可塑性樹脂がポリアミド樹脂であることを特徴とする液状樹脂組成物。
[7]前記熱可塑性樹脂の平均粒径が200μm以下であることを特徴とする液状樹脂組成物。
[8]シリカフィラーを80重量%以上含むことを特徴とする液状樹脂組成物。
[9]液状樹脂組成物には、ガリウム化合物及びシラノール源を含むことを特徴とする液状樹脂組成物。
[10]熱可塑性樹脂の含量が0.005%〜2.0%であることを特徴とする液状樹脂組成物。
[11]前記液状樹脂組成物の硬化物は、25℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上1.0×1010Pa以下であり、且つ70〜210℃の平均線膨張率が100ppm/K以下であることを特徴とする、液状樹脂組成物。
[12]前記液状樹脂組成物により封止されてなる、半導体デバイス。
本発明によれば、シリカフィラーを75重量%以上含有する液状樹脂組成物であっても、流動性が確保でき、且つ応力を緩和することでクラックの生じにくい樹脂組成物を提供することができる。すなわち、硬化した際の線膨張率が非常に低いにもかかわらず、組成物としては流動性を有し、ポッティングによる封止にも対応可能であり、且つ応力を緩和することでクラックの生じにくい樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明を実施形態に即して詳細に説明する。ただし、本発明は本明細書に明示的又は黙示的に記載された実施形態に限定されるものではない。
以下の説明において、樹脂組成物の粘度に言及する場合、JISZ 8803−2011に準拠して、振動式粘度計を用いて、30℃で測定された粘度を意味する。
また、以下の説明において、樹脂組成物の硬化物の平均線膨張率に言及する場合、熱機械分析(TMA)装置を用いて、圧縮モードで、JIS K7197規格に準拠して測定した平均線膨張率(CTE)を意味する。
1.液状樹脂組成物
本発明の第一の実施態様である液状樹脂組成物は、マトリクス樹脂に加えて、シリカフィラーを75重量%以上含むことを特徴とする。
本実施態様において液状とは、常温常圧(1atm、30℃)において流動性を有することをいう。より具体的には、組成物を45°傾けた場合、その形状を10分以上保持できず、形状の変化を生じることをいう。更に具体的には、30℃、1atmにおいて、通常粘度が80,000cp以下であり、50,000cp以下であることが好ましく、40,000cp以下であることがより好ましく、30,000cp以下であることが更に好ましい。この範囲の物性を満たすことにより、特にポッティングによる封止においてハンドリングが容易となる。
以下、液状樹脂組成物に含まれる成分について説明する。
1−1.シリカフィラー
本実施態様に係る液状樹脂組成物では、シリカフィラーを75重量%以上含有するものである。樹脂組成物の硬化物の線膨張率を低くするという観点から、好ましくは80重量%以上、より好ましくは85重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上である。
通常の樹脂組成物では、フィラーの添加量が増加すると、組成物の粘度上昇が顕著になる。本発明においては、シリカフィラーの形状、粒子表面官能基の種類などにより、粒子間並びに粒子及びエポキシ樹脂間等からなる組成物を構成する物質間の相互作用を制御し、シリカフィラーを75重量%以上と高濃度含有した組成物においても、高い流動性を保持することができる。そのため、液状樹脂組成物としてポッティングの際のハンドリングが容易となる。
本発明において、シリカフィラーとは、石英、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカなどのシリカ系無機フィラーなどのフィラーをいう。
粘度制御の観点から、形状は、繊維状、不定形のものよりも、球状のものが好ましい。ここで球状とは、真球状であってもよく、楕円状であってもよく、卵形などを含む略球状を意味し、具体的にはアスペクト比(長径と短径の比)が通常1.3以下であり、好ましくは1.2以下、より好ましくは1.1以下である。
添加量を増やす手段として、粒径分布の制御を用いることができる。すなわち、粒径の異なるフィラーを混合することで、より高い充填率が得られる。
平均粒子径は、Particle Size Analyzer CILAS 1064を用いて測定され、その平均粒子径は、0.1μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましい。また、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましい。
表面積としては、0.2m/g以上が好ましく0.5m/g以上がより好ましく、15m/g以下が好ましく、10m/g以下がより好ましい。
また、シリカフィラーは適宜、表面処理がされていてもよい。表面処理としては、アルキル化処理、トリメチルシリル化処理、シリコーン処理、シランカップリング剤による処理などが挙げられるが、特に限定されるものではない。表面処理により、粒子表面官能基の種類を制御することができる。粘度を低減させる観点から、グリシジル化処理されたフィラーを用いることが好ましい。シリカフィラーは、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
1−2.マトリクス樹脂1:熱硬化性樹脂
本実施態様に含まれるマトリクス樹脂は、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂を含む。熱硬化性樹脂としては特段限定されないが、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン、熱硬化性ポリイミド、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性シリコーン樹脂、エポキシシリコーン樹脂などが用いられる。これらのうちエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、エポキシシリコーン樹脂が好ましく、特にエポキシシリコーン樹脂を含むマトリクス樹脂が好適に用いられる。
熱硬化性樹脂の含有量としては、粘度低減及び硬化性の観点から、液状樹脂組成物全量を100重量%としたときに、3重量%以上が好ましく、5重量%以上がより好ましい。また、25重量%以下が好ましく、23重量%以下がより好ましい。
以下、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂及びエポキシシリコーン樹脂について説明する。
1)エポキシ樹脂
エポキシ樹脂とは、分子内に2個以上のオキシラン環(エポキシ基)を有する化合物の
総称である。但し、本発明では、後述するエポキシシリコーン樹脂は、エポキシ樹脂とは区別されるものである。好適には、シクロヘキシルエポキシ基等の脂環式エポキシ基を有する脂環式エポキシ化合物、またはグリシジル意を有する化合物が用いられる。
典型的な脂環式エポキシ化合物の構造例を式(1)〜(2)及び(31)に示す。
Figure 2016117879
[Rは置換されていても良い一価の炭化水素基を示す。]
エポキシ化合物はグリシジル基を有する化合物であってもよいが、脂環式エポキシ化合物に比べて自己重合反応の活性が低い場合がある。
グリシジル基を有するエポキシ化合物の好適例として、式(4)〜式(8)に示すような脂環構造を含むグリシジルエーテル、又はエステル化合物、式(9)に示すような脂環構造を含まないグリシジルエーテル化合物、式(11)に示すようなイソシアヌル酸骨格を有するグリシジルアミド化合物がある。
Figure 2016117879
[式(9)中、Rは置換されていても良い脂肪族、脂環式または芳香族系の二価の炭化水素基を示す。]
Figure 2016117879
また、エポキシ化合物は、芳香族エポキシ化合物であってもよい。かかるエポキシ化合物の例としては、式(12)に示すようなビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールAD、テトラメチルビスフェノールS、テトラフルオロビスフェノールAなどのビスフェノール類をグリシジル化したビスフェノール型エポキシ樹脂、式(13)に示すようなビフェニル型のエポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどの2価のフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタンなどのトリスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどのテトラキスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック、臭素化ビスフェノールAノボラック、フェノールジシクロペンタジエンノボラック、フェノールジフェニルノボラックなどのノボラック類をグリシジル化したノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられる。
Figure 2016117879
Figure 2016117879
[式(13)中、Rは炭素数1〜12の変性されていても良い炭化水素基またはハロゲン基を示す。]
エポキシ化合物は、芳香族エポキシ化合物を水素化して得られる脂環構造を有するエポキシ化合物であってもよい。これらのエポキシ化合物は一種または二種以上を組み合わせて使用しても良い。
2)シリコーン樹脂
シリコーン樹脂としては、熱硬化性のシリコーン樹脂であれば、特に限定されない。例えば、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサンなどが挙げられる。硬化機構として、縮合型、付加型、UV型など特に限定されない。
シリコーン樹脂の分子量としては、取扱い性、粘度低減の観点から、GPCにより測定された平均分子量(Mw)が500以上であることが好ましく、700以上であることがより好ましい。また、100,000以下であることが好ましく、50,000以下であることがより好ましい。
3)エポキシシリコーン樹脂
エポキシシリコーン樹脂は、分子中にエポキシ基を有する。エポキシ基はグリシジル基でも脂環式エポキシ基であってもよく、好ましくはシクロヘキシルエポキシ基を有する脂環式エポキシ基を含む。マトリクス樹脂に含まれる熱硬化性樹脂としては特にエポキシシリコーン樹脂を含むものが好ましい。
エポキシシリコーン樹脂の分子量としては、取扱い性、粘度低減の観点から、GPCにより測定された平均分子量(Mw)が300以上であることが好ましく、500以上であることがより好ましく、700以上であることが更に好ましい。また、10万以下であることが好ましく、5万以下であることがより好ましい。エポキシシリコーン樹脂の含有量としては、粘度低減の観点から、液状樹脂組成物全量を100重量%としたときに、0.1重量%以上が好ましく、1重量%以上がより好ましい。また、25重量%以下が好ましく、20重量%以下がより好ましい。
以下、このエポキシシリコーン樹脂の各成分について説明する。
エポキシシリコーン樹脂は、エポキシ基を有するケイ素含有化合物である。ケイ素含有化合物とは、シラン化合物やシロキサン化合物である。
エポキシ基を有するケイ素含有化合物には、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メチル)ジメトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エチル)ジメトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メチル)ジエトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エチル)ジエトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシルエチル〕(メチル)ジメトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エチル)ジメトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メチル)ジエトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エチル)ジエトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メトキシ)ジメチルシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メトキシ)ジエチルシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エトキシ)ジメチルシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エトキシ)ジエチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メトキシ)ジメチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メトキシ)ジエチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エトキシ)ジメチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エトキシ)ジエチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(ジメチル)ジシロキサン、1,3−ビス(3− グリシドキシプロピル)1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、(3−グリシドキシ プロピル)ペンタメチルジシロキサン、3−エポキシプロピル(フェニル)ジメトキシシランなどがある。
また、エポキシ基を含有するケイ素化合物には、式(14)で表されるオルガノポリシロキサンも含まれる。
(R11 SiO1/2a1(R12 SiO2/2b1(R13SiO3/2c1(SiO4/2d1(O1/2H)e1 ・・・(14)
式(14)において、R11、R12、R13はそれぞれ独立して1価の有機基を示し、かつ、1分子中において少なくとも1つがエポキシ基を含む有機基である。
式(14)において、R11 SiO1/2はMユニット、R12 SiO2/2はDユニット、R13SiO3/2はTユニット、SiO4/2はQユニットを、それぞれ表している。a1、b1、c1及びd1は、それぞれが0以上の整数であり、かつ、a1+b1+c1+d1≧3である。
式(14)において、R11、R12、R13は、好ましくは、炭素数1〜10の炭化水素基であり、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基などのアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基などのアリール基;ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、ノナフルオロブチルエチル基などの置換アルキル基が挙げられる。
式(14)において、エポキシ基を含む有機基としては、2,3−エポキシプロピル基、3,4−エポキシブチル基、4,5−エポキシペンチル基などのエポキシアルキル基;2−グリシドキシエチル基、3−グリシドキシプロピル基、4−グリシドキシブチル基などのグリシドキシアルキル基;β−(又は2−)(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、γ−(又は3−)(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基などのエポキシシクロヘキシルアルキル基が例示される。
式(14)においてe1は0以上の整数であり、ケイ素原子に直接結合する水酸基(シラノール)の個数を表している。
エポキシ化合物は、ケイ素原子に結合する加水分解性基を有するものであって、該加水分解性基を加水分解したときに、式(14)で表されるオルガノポリシロキサン(ただし、e1≧1)を生じる化合物であってもよい。換言すれば、式(14)で表されるオルガノポリシロキサン(ただし、e1≧1)において、ケイ素原子に直接結合した水酸基の全部又は一部を加水分解性基に置き換えた化合物であってもよい。
ここで、加水分解性基とは、加水分解によってケイ素原子に結合した水酸基(シラノール)を生じる基であり、具体例としては、ヒドロキシ基、アルコキシ基、水素、アセトキシ基、エノキシ基、オキシム基、ハロゲン基が挙げられる。好ましい加水分解性基はアルコキシ基であり、特に炭素数1〜3のアルコキシ基、すなわち、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基である。
上記式(14)で表されるオルガノポリシロキサン型のエポキシ化合物は、例えば、次の方法で製造することができる。
(方法1)エポキシ基を有するシラン化合物と、エポキシ基を有しないシラン化合物及び/又はそのオリゴマーとを、共加水分解及び重縮合させる方法。
(方法2)ヒドロシリル基を有するポリシロキサンに、エポキシ基と炭素−炭素二重結合基を有する有機化合物を付加させる方法。
(方法3)炭素−炭素二重結合を含む有機基を有するポリシロキサンの該二重結合部分を酸化させて、エポキシ基に変換する方法。
上記方法1でポリシロキサン型のエポキシ化合物を製造する際に用いることのできる原料は次の通りである。
Mユニットを導入するための原料としては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルシラノールなどが例示される。
Dユニットを導入するための原料としては、ジメチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジ
メチルジエトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン及びこれらの加水分解縮合物(オリゴマー)が例示される。
両末端に水酸基を有するジアルキルシロキサンオリゴマーとして、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ジメチルシロキサン−ジフェニルシロキサン共重合体、ポリジフェニルシロキサンなどの両末端をシラノール変性した化合物が市販されている。
Tユニットを導入するための原料としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン及びこれらの加水分解縮合物が例示される。
Qユニットを導入するための原料としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン及びこれらの加水分解縮合物が例示される。
エポキシ基を導入するための原料としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メチル)ジメトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)( エチル)ジメトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メチル)ジエトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エチル)ジエトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メチル)ジメトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エチル)ジメトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メチル)ジエトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エチル)ジエトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メトキシ)ジメチルシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メトキシ)ジエチルシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エトキシ)ジメチルシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エトキシ)ジエチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メトキシ)ジメチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メトキシ)ジエチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エトキシ)ジメチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エトキシ)ジエチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(ジメチル)ジシロキサン、1,3−ビス(3− グリシドキシプロピル)1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、(3−グリシドキシ プロピル)ペンタメチルジシロキサン、3−エポキシプロピル(フェニル)ジメトキシシランなどが例示される。
マトリクス樹脂中の熱硬化性樹脂としては、上述した樹脂から1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。粘度低減の観点から、エポキシシリコーン樹脂を含むことが好ましい。
1−3.マトリクス樹脂2:熱可塑性樹脂
本実施態様に含まれるマトリクス樹脂は、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂を含む。熱可塑性樹脂としては特段限定されないが、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリスチレン,ポリ塩化ビニル、(メタ)アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体などビニル系ポリマー,ポリ乳酸樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル,ナイロン、ポリアミドアミンなどのポリアミド、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルベンザール、ポリビニルブチラール樹脂などのポリビニルアセタール樹脂、アイオノマー樹脂、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネイト、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、ABS樹脂、LCP(液晶ポリマー)、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、エラストマー、またはこれらの樹脂の変性品などがあげられる。また、デンプン、木粉などの天然物、変性されていてもよいセルロースなどが挙げられる。
これらのうち、特にナイロンなどのポリアミド樹脂、セルロース樹脂などが好ましく、特にナイロンなどのポリアミド樹脂が好ましい。
また、熱可塑性樹脂は伸び性がある方が好ましい。伸び性があることで応力を緩和することができ、クラックを抑制する。
熱可塑性樹脂の最大伸び率は5%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましい。熱可塑性樹脂の最大伸び率はJIS K7113またはASTM D638に準拠した測定方法で測定した値とする。
また、熱可塑性樹脂はマトリクス樹脂中の熱硬化性樹脂に不溶であることが好ましい。熱硬化性樹脂に不溶とは、マトリクス樹脂中の熱硬化性樹脂の成分に可溶な成分が10%未満、好ましくは5%未満、より好ましくは3%未満、更に好ましくは1%未満であることをいう。
熱可塑性樹脂が熱硬化性樹脂に不溶であることで、液状樹脂組成物の粘度が上がることを防ぎ、レベリング性を向上させることができる。
また、熱硬化性樹脂に不溶な熱可塑性樹脂を大量の無機フィラーと同時に混合することで、熱可塑性で伸びのよくなる成分相を効率よく樹脂組成物中に分散でき、応力を緩和しやすい。
熱可塑性樹脂相を効率よく分散させるために、熱可塑性樹脂の粒子径は小さい方がのぞましい。平均粒径は500μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましく、100μm以下が更に好ましい。
マトリクス樹脂中の熱可塑性樹脂の含量は液状樹脂組成物中の0.001%〜10.0%であることが好ましく、0.003%〜5.0%であることがより好ましく、0.005%〜2.0%であることが更に好ましい。
1−4.硬化触媒及び硬化剤
本発明の液状樹脂組成物は、必要に応じて硬化剤および/または硬化触媒を含んでもよい。硬化剤および/または硬化触媒はマトリクス樹脂の種類により適宜含有させればよい。 マトリクス樹脂に熱硬化性樹脂を用いる場合、熱硬化性樹脂を硬化させ得る化合物であれば硬化触媒は特に限定されない。以下、エポキシ樹脂又はエポキシシリコーン樹脂、シリコーン樹脂について硬化触媒と硬化剤の例を示す。
1)エポキシ樹脂又はエポキシシリコーン樹脂の硬化触媒
マトリクス樹脂としてエポキシ樹脂及び/又はエポキシシリコーン樹脂を用いる場合、通常のエポキシ樹脂硬化に使用される触媒を使用することができる。例えば、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、シクロヘキシルジメチルアミン、トリエタノールアミンなどの3級アミン類;2−メチルイミダゾール、2−n−ヘプチルイミダゾール、2−n−ウンデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−n−ウンデシルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジ(ヒドロキシメチル)イミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−フェニル−4,5−ジ〔(2’−シアノエトキシ)メチル〕イミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−n−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテート、1−(2−シアノエチル)−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾリウムトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−〔2 ’
−メチルイミダゾリル−(1’)〕エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2 ’−n−ウンデシルイミダゾリル)エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−〔2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)〕エチル−s−トリアジン、2−メチルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダゾリル−(1’)〕エチル−s−トリアジンのイソシアヌル酸付加物などのイミダゾール類;ジフェニルフォスフィン、トリフェニルフォスフィン、亜リン酸トリフェニルなどの有機リン系化合物;ベンジルトリフェニルフォスフォニウムクロライド、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムブロマイド、メチルトリフェニルフォスフォニウムブロマイド、エチルトリフェニルフォスフォニウムブロマイド、n−ブチルトリフェニルフォスフォニウムブロマイド、テトラフェニルフォスフォニウムブロマイド、エチルトリフェニルフォスフォニウムヨーダイド、エチルトリフェニルフォスフォニウムアセテート、メチルトリブチルホスホニウムジメチルホスフェート、テトラブチルホスホニウムジエチルホスホジチオネート、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムベンゾトリアゾレート、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムテトラフルオロボレート、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルフォスフォニウムテトラフェニルボレートなどの4級フォスフォニウム塩類;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7やその有機酸塩などのジアザビシクロアルケン類;オクチル酸亜鉛、アクチル酸錫、アルミニウムアセチルアセトン錯体、ガリウム化合物、インジウム化合物などの有機金属化合物;テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイドなどの4級アンモニウム塩類;三フッ化ホウ素、ホウ酸トリフェニルなどのホウ素化合物;塩化亜鉛、塩化第二錫などの金属ハロゲン化合物のほか、ジシアンジアミドやアミンとエポキシ樹脂との付加物などのアミン付加型促進剤などの高融点分散型潜在性硬化促進剤;前記イミダゾール類、有機リン系化合物や4級フォスフォニウム塩類などの硬化促進剤の表面をポリマーで被覆したマイクロカプセル型潜在性硬化促進剤;アミン塩型潜在性硬化剤促進剤;ガリウム化合物以外のルイス酸塩、ブレンステッド酸塩などの高温解離型の熱カチオン重合型潜在性硬化促進剤などの潜在性硬化促進剤などを挙げることができる。
これらのうち、強い触媒活性が必要であることから、好ましくは無機化合物であり、さらに好ましくはガリウム化合物又はインジウム化合物であり、特に好ましくはガリウム化合物である。
なかでも特に好ましいのは、ガリウムアセチルアセトネート、及び酢酸ガリウムである。
ガリウム化合物は、後段で詳述するシラノール源化合物から供給されるシラノールと組み合わされて、エポキシ化合物の自己重合反応の触媒として作用する成分である。ガリウム化合物としては、金属原子としてガリウムを含む化合物であれば特に限定されるものではなく、酸化物、塩、キレート錯体など、各種形態のものを使用することができる。キレート配位子を有するガリウム錯体、酢酸ガリウム、オキシ酢酸ガリウム、トリエトキシガリウム、トリス(8−キノリノラト)ガリウム、シュウ酸ガリウム、エチルキサントゲン酸ガリウム、ジエチルエトキシガリウム、マレイン酸ガリウム、n−オクチル酸、2−エチルヘキサン酸、ナフテン酸などの長鎖カルボン酸のガリウム塩等を例示することができる。
キレート配位子としては、β−ジケトン型化合物及びo−ケトフェノール型化合物が挙げられる。β−ジケトン型化合物には、次の式(15)〜式(17)に示す構造を有するものがある。
Figure 2016117879
式(15)〜式(17)において、Rはアルキル基又はハロゲン置換アルキル基を表している。
式(15)の化合物の具体例としてはアセチルアセトン、トリフルオロアセチルアセトン、ペンタフルオロアセチルアセトン、ヘキサフルオロアセチルアセトンなどが、式(16)の化合物の具体例としてはエチルアセトアセテートなどが、式(17)の化合物の具体例としてはジエチルマロネートなどが挙げられる。
o−ケトフェノール型化合物は、次の式(18)で表される化合物である。
Figure 2016117879
式(18)において、R’は水素原子、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基又はアルコキシ基を表している。
式(18)の化合物の具体例としては、サリチルアルデヒド、エチル−O−ヒドロキシフェニルケトンなどが挙げられる。
キレート配位子を有するガリウム錯体はガリウム化合物の好適例であり、その中でもガリウムアセチルアセトネートは特に好適に使用することができる。2種類以上のガリウム化合物を任意に組み合わせて用いることもできる。
Ga触媒を用いるとAl触媒に比べて硬化物の加熱による重量減少が少ない。特に硬化物がシロキサン構造を含む場合にはAl触媒に比べて硬化物の加熱による重量減少が少ない。
具体的には、150〜200℃×500時間で、重量減少が加熱前の20重量%以下が好ましく、10重量%以下が更に好ましい。
ガリウム化合物は、エポキシ化合物100重量部に対して通常0.001重量部以上、好ましくは0.01重量部以上、また5.0重量部以下、好ましくは1.0重量部以下である。
シラノール源化合物は、シラノールの供給源たる化合物である。シラノールは、前述のガリウム化合物と組み合わされて、エポキシ化合物の自己重合反応の触媒として作用する。
シラノールの役割は、エポキシ化合物の自己重合反応の開始に必要なカチオン源であると考えられる。シラノール源化合物のケイ素原子にフェニル基などの芳香族基が結合している場合には、この芳香族基はシラノール水酸基の酸性度を高める働き、つまり、シラノールのカチオン源としての作用を強める働きをしていると考えられる。
シラノール源化合物は、潜在的なシラノール源であってもよい。例えば、加水分解性基が結合したケイ素原子を有しており、該加水分解基が加水分解されたときにシラノールを生じる化合物である。加水分解性基の具体例としては、ヒドロキシ基、アルコキシ基、水素、アセトキシ基、エノキシ基、オキシム基、ハロゲン基が挙げられる。好ましい加水分解性基はアルコキシ基であり、特に炭素数1〜3のアルコキシ基、すなわち、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基である。
シラノール源化合物の一例は、フェニルジメチルシラノール、ジフェニルメチルシラノール、トリフェニルシラノール、ジヒドロキシジフェニルシラン(ジフェニルジシラノール)、トリメチルシラノール、トリエチルシラノール、ジヒドロキシジメチルシラン、トリヒドロキシメチルシランなどの水酸基が結合したケイ素原子を有するモノシラン化合物である。
シラノール源化合物の他の一例は、水酸基が結合したケイ素原子を有する、式(19)で表されるオルガノポリシロキサンである。
(R21 SiO1/2a2(R22 SiO2/2b2(R23SiO3/2c2(SiO4/2d2(O1/2H)e2 ・・・(19)
式(19)において、R21、R22、R23はそれぞれ独立して1価の有機基を示す。
式(19)において、R21 SiO1/2はMユニット、R22 SiO2/2はDユニット、R23SiO3/2はTユニット、SiO4/2はQユニットを、それぞれ表している。a2、b2、c2及びd2は、それぞれが0以上の整数であり、かつ、a2+b2+c2+d2≧3である。e2は1以上の自然数であり、ケイ素原子に直接結合する水酸基(シラノール)の個数を表している。
式(19)のR21、R22、R23は、通常、炭素数1〜10の炭化水素基であり、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基などのアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基などのアリール基;ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、ノナフルオロブチルエチル基などの置換アルキル基が挙げられる。
シラノール源化合物は、ケイ素原子に結合する加水分解性基を有するものであって、該加水分解性基を加水分解したときに、式(19)で表されるオルガノポリシロキサンを生じる化合物であってもよい。換言すれば、式(19)で表されるオルガノポリシロキサンにおいて、ケイ素原子に直接結合した水酸基の全部又は一部を加水分解性基に置き換えた化合物であってもよい。
シラノール源化合物がオルガノポリシロキサンであり、これを、シロキサン構造を含まないエポキシ化合物と共に用いる場合には、該オルガノポリシロキサンと該エポキシ化合物との相溶性を確保する観点から、該オルガノポリシロキサンはケイ素原子に結合した芳香族基を有するものであることが好ましい。
シラノール源化合物がオルガノポリシロキサンである場合、その重量平均分子量については、熱硬化性樹脂組成物の硬化中あるいは硬化後に揮発しないように、500以上であることが好ましく、700以上であることがより好ましい。一方、重合度が高過ぎると粘度が高くなって取り扱い性が悪くなることから、該重量平均分子量は20,000以下であることが好ましく、15,000以下であることがより好ましい。
好適な実施形態では、シラノール源化合物は水酸基又は加水分解性基が結合したケイ素
原子を1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサン又はシラン化合物であってもよい。かかるシラノール源化合物は、加熱されたときにガリウム化合物の作用により重縮合して高分子量化するので、硬化後にブリードアウトすることがない。
シラノール源化合物として好適に使用できるオルガノポリシロキサンとして、上記式(20)〜式(23)で表される構造を有するものが挙げられる。
Figure 2016117879
Figure 2016117879
式(22)で表されるオルガノポリシロキサンは、式(20)で表される化合物と式(24)で表される化合物(ジヒドロキシジメチルシラン又は両末端に水酸基を有するポリジメチルシロキサン)とを、重縮合することにより得ることができる。重縮合触媒としては、酸、塩基の他、金属触媒を用いることができ、ガリウムアセチルアセトネートのようなガリウム化合物を用いることもできる。
式(23)で表されるオルガノポリシロキサンは、式(21)で表される化合物と式(24)で表される化合物とを、重縮合することにより得ることができる。重縮合触媒としては、酸、塩基の他、金属触媒を用いることができ、ガリウムアセチルアセトネートのようなガリウム化合物を用いることもできる。
Figure 2016117879
式(20)〜式(24)において、m、n、M、N、m1、m2は、それぞれ、1以上の整数である。これらの数を大きくし過ぎた場合、すなわちポリシロキサンの重合度を高くし過ぎた場合、粘度が高くなり過ぎてハンドリングが容易でなくなる他、シラノールの含有率が下がるために触媒能が低下する傾向が生じることに注意すべきである。ハンドリング性の観点からは、当該オルガノポリシロキサンの粘度あるいは当該オルガノポリシロキサンを用いて得られる液状樹脂組成物の粘度が、30℃、1atmにおいて、50,0
00cp以下、好ましくは40,000cp以下、より好ましくは30,000cp以下、更に好ましくは20,000cp以下、特に好ましくは15,000cp以下、最も好ましくは10,000cp以下となるように、その重合度を設定することが好ましい。
式(20)〜式(23)で表されるオルガノポリシロキサンから選ばれる1種以上を、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシランなどの3官能シラン化合物とともに重縮合させて得られるオルガノポリシロキサンも、シラノール源化合物の好適例である。重縮合触媒としては、酸、塩基の他、金属触媒を用いることができ、ガリウムアセチルアセトネートのようなガリウム化合物を用いることもできる。かかるオルガノポリシロキサンは、更に酸、塩基又はガリウム化合物などの金属化合物のような縮合触媒を作用させることにより硬化する性質を有する。シラノール源として、モノシラン化合物とオルガノポリシロキサンを併せて用いてもよい。
シラノール源化合物は、エポキシ化合物100重量部に対して通常0.05重量部以上、好ましくは0.5重量部以上、また500重量部以下、好ましくは200重量部以下である。
また、ガリウム化合物とシラノール源化合物の含有比は重量比で1:0.05〜0.001:100が好ましく、より好ましくは1:10〜0.01:100である。
熱硬化性樹脂組成物における硬化触媒の含有量は、熱硬化性樹脂組成物100重量%に対して0.03重量%〜0.3重量%となるように調製することが好ましい。
エポキシシリコーン樹脂においては、エポキシ化合物とシラノール源化合物のいずれか一方、又は両方が、オルガノポリシロキサン構造部分を有し得る。その場合に、オルガノポリシロキサン構造部分にシラノールを導入すると、ガリウム化合物がシラノール間の脱水縮合触媒として作用するので、エポキシ化合物の自己重合反応とシラノール縮合反応の両方が硬化に関与する、耐熱性の良好な熱硬化性樹脂組成物が得られる。ガリウム化合物はシラノールとアルコキシ基の間の脱アルコール縮合反応の触媒にもなるので、オルガノポリシロキサン構造部分にシラノールとアルコキシ基を導入した場合も同様の効果が得られる。 熱硬化性樹脂がシラノール基を有する場合、ガリウム化合物はシロキサン縮合の触媒にもなり、架橋系が同時に進行するので好ましい。また、シロキサンやシリカとの相性が良好であり、シリカの分散に寄与する。さらに、エポキシシリコーンをガリウム触媒で反応させると、得られる硬化物の線膨張率が広い範囲で一定になる。
他の一例では、エポキシ化合物が有するオルガノポリシロキサン構造部分とシラノール源化合物が有するオルガノポリシロキサン構造部分の一方にヒドロシリル基、他方にビニルシリル基を導入するとともに、白金化合物のようなヒドロシリル化反応触媒を添加することにより、エポキシ化合物の自己重合反応とヒドロシリル化反応の両方が硬化に関与する、硬化性の良好な熱硬化性樹脂組成物が得られる。
あるいは、エポキシ化合物とシラノール源化合物のいずれか一方又は両方が有するオルガノポリシロキサン構造部分にヒドロシリル基を導入するとともに、ビニルシリル基を有するオルガノポリシロキサンとヒドロシリル化反応触媒を添加することによっても、エポキシ化合物の自己重合反応とヒドロシリル化反応の両方が硬化に関与する熱硬化性樹脂組成物が得られる。この例を変形して、エポキシ化合物とシラノール源化合物のいずれか一方又は両方が有するオルガノポリシロキサン構造部分にビニルシリル基を導入し、添加するオルガノポリシロキサンをヒドロシリル基が導入されたものとしてもよい。
2)エポキシ樹脂又はエポキシシリコーン樹脂の硬化剤
エポキシ基との反応により架橋物を形成する硬化剤としては、アミン、ポリアミド樹脂、酸無水物、フェノールなどが挙げられる。線膨張率の低減、重合速度の制御、粘度の低
減の観点から、酸無水物を用いることが好ましい。酸無水物としては、脂肪族酸無水物、脂環式酸無水物、芳香族酸無水物、ハロゲン系酸無水物などが挙げられる。該樹脂組成物を光半導体デバイスに使用する場合には、耐光性の観点から脂環式カルボン酸無水物を使用することが好ましい。
酸無水物の含有量としては特に制限はないが、多すぎると酸無水物のTgが、得られる硬化物の線膨張率に影響を与える場合がある。
脂環式カルボン酸無水物としては、例えば、式(25)〜式(30)で表される化合物や、4−メチルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルナジック酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物のほか、α−テルピネン、アロオシメンなどの共役二重結合を有する脂環式化合物と無水マレイン酸とのディールス・アルダー反応生成物やこれらの水素添加物などを挙げることができる。
Figure 2016117879
なお、前記ディールス・アルダー反応生成物やこれらの水素添加物としては、任意の構造異性体及び任意の幾何異性体を使用することができる。
また、前記脂環式カルボン酸無水物は、硬化反応を実質的に妨げない限り、適宜に化学的に変性して使用することもできる。
酸無水物を含有することで、エポキシ反応速度の制御、ハンドリング、レベリングの向上、着色防止などの効果が得られる場合がある。酸無水物の含有量としては特に制限はないが、エポキシ量に対して1.5当量以下であることが好ましい。より好ましくは1当量以下、更に好ましくは0.8当量以下、更に好ましくは0.6当量以下である。
3)シリコーン樹脂の硬化触媒
マトリクス樹脂としてシリコーン樹脂を用いる場合、硬化触媒としては金属化合物などが挙げられる。金属化合物としては、ジルコニウム、ハフニウム、イットリウム、スズ、亜鉛、チタン又はガリウムの、キレート錯体、有機酸塩、無機塩又はアルコキシドなどを用いることができる。硬化物の線膨張係数の観点から、上述したガリウム化合物を用いることが好ましい。
1−5.その他
本発明の実施形態に係る液状樹脂組成物には、上述の成分の他に、物性改善、機能付与などの観点から、分散剤、酸化防止剤、消泡剤、着色剤、変性剤、レベリング剤、光拡散剤、熱伝導性、難燃剤、反応性又は非反応性の希釈剤、接着、密着性向上剤などの添加剤又は各種フィラーをさらに含有してもよい。
1)酸化防止剤
本発明の実施形態に係る液状樹脂組成物には、使用環境下での黄変を抑制するために、酸化防止剤を含有させることができる。フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、ヒンダードアミン系などが好適に用いられるが、n中でも、フェノール水酸基の片側あるいは両側のオルト位にアルキル基を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤が特に好適に用いられる。
2)シランカップリング剤
本発明の液状樹脂組成物には、金属部品や無機フィラーに対する接着性を良好にするためにシランカップリング剤を含有させることができる。具体例として、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
3)フィラー
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、シリカフィラー以外のフィラーを一定量添加することができる。上記フィラーとしては、一般的な有機フィラー、無機フィラーのいずれも使用することができる。有機フィラーとしては、スチレン系ポリマー粒子、メタクリレート系ポリマー粒子、エチレン系ポリマー粒子、プロピレン系ポリマー粒子、ポリアミド系などの合成ポリマー粒子、デンプン、木粉などの天然物、変性されていてもよいセルロース、各種有機顔料などが挙げられる。
無機フィラーとしては、無機物もしくは無機物を含む化合物であれば特に限定されないが、具体的には例えば、アルミナ、ジルコン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミ、炭化ケイ素、ガラス繊維、ガラスフレーク、アルミナ繊維、炭素繊維、マイカ、黒鉛、カーボンブラック、フェライト、グラファイト、ケイソウ土、白土、クレー、タルク、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マンガン、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、チタン酸カリウム、ケイ酸カルシウム、無機バルーン、銀粉などを挙げることができる。
シリカ以外の添加フィラーとしては、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、上記フィラーにも適宜表面処理をほどこしてもよい。表面処理としては、アルキル化処理、トリメチルシリル化処理、シリコーン処理、シランカップリング剤による処理などが挙げられるが、特に限定されるものではない。
フィラーを用いることにより、粘度の低減に加え、得られる成形体の強度、硬度、弾性率、熱膨張率、熱伝導率、放熱性、電気的特性、光の反射率、難燃性、耐火性、チキソトロピー性、及びガスバリア性などの諸物性を改善することができる。
2.樹脂組成物の製造方法
本発明の液状樹脂組成物は、マトリクス樹脂、シリカフィラー及び硬化剤と、必要に応じてシリカフィラー以外のフィラー、希釈剤、酸化防止剤などのその他の成分を混合することにより製造することができる。シリカフィラーの混合の順序としては、特に限定されないが、混合時の発熱による硬化反応の進行を防ぐため、ガリウム化合物、シラノール源化合物、その他のエポキシ樹脂硬化に使用される触媒の非存在下でエポキシ化合物と混合することが望ましい。
シリカフィラーを混合する手段としては、特に限定されるものではないが、具体的に例えば、2本ロールあるいは3本ロール、遊星式撹拌脱泡装置、ホモジナイザー、ディゾル
バー、プラネタリーミキサーなどの撹拌機、プラストミルなどの溶融混練機などが挙げられる。混合は、常温で行ってもよいし加熱して行ってもよく、また、常圧下で行ってもよいし減圧状態で行ってもよい。混合する際の温度が高いと、成形する前に組成物が硬化する場合がある。
この樹脂組成物は、1液硬化型であってもよく、保存安定性を考慮して2液硬化型としてもよい。
3.樹脂硬化物
本実施態様に係る樹脂組成物は、シリカフィラーが75重量%以上含有されていることから、その硬化物の線膨張率は非常に低く、70〜100℃における平均線膨張率が通常100ppm/K以下であることが好ましく、75ppm/K以下であることがより好ましく、50ppm/K以下であることが更に好ましく、40ppm/K以下であることが更に好ましく、30ppm/K以下であることが特に好ましい。
また、210〜240℃における平均線膨張率が通常100ppm/K以下であり、75ppm/K以下であることが好ましく、50ppm/K以下であることがより好ましい。
また、70〜210℃の平均線膨張率が100ppm/K以下であることが好ましく、50ppm/K以下であることがより好ましく、40ppm/K以下であることが更に好ましい。
また、25℃貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上1.0×1010Pa以下であることが好ましく、1.0×10Pa以上1.0×1010Pa以下であることが更に好ましい。25℃での貯蔵弾性率が1.0×1010Pa以上であると応力緩和が十分でなく、クラック発生の要因となる。1.0×10Pa未満であると組成物の機械的強度が十分でなく、振動によるワイヤー倒れ等の懸念がある。
線膨張率が小さく、貯蔵弾性率が小さいことで硬化時や温度変化における基板との線膨張差による応力を低減でき、クラック発生が抑制できる。
4.封止方法
本発明の液状樹脂組成物は、半導体デバイスの封止材として使用することが好適であるが、封止の方法は通常行われる方法で行えばよい。
封止の方法としては、例えばトランスファー成形やポッティングなどが挙げられる。本発明の樹脂組成物は常温で流動性のある液状樹脂組成物であるので、中でも、ポッティングに好適に用いられる。具体的には、樹脂組成物を含有する液と硬化触媒を含有する液をそれぞれ作製し、その後混合して混合液を作製し、ポッティングに供することができる。ハウジング内に部品を置き、これに上記混合液を注型する。次いで、硬化させる。用いるマトリクス樹脂により、室温硬化あるいは加熱硬化すればよい。加熱硬化には、例えば、熱風循環式加熱、赤外線加熱、高周波加熱などの従来公知の方法を採用することができる。熱処理条件は、樹脂組成物を所望の硬化状態にすることができればよく、マトリクス樹脂、触媒濃度や当該組成物で形成しようとする部材の厚みなどに応じて定めればよい。
本発明のマトリクス樹脂は熱硬化性樹脂を含む。硬化温度を、最初は100℃付近とし、次いで150℃付近に上げることにより、組成物中の残留溶媒や溶存水蒸気による発泡を防ぐことができる。また、深部と表面の硬化速度差を小さくできるので、表面が平滑でシワの無い、外観の良好な硬化物を得ることができる。深部と表面の硬化速度差が小さいと、硬化状態が均一となるので硬化物中における内部応力の発生が抑制され、ひいてはクラックの発生が防止できる。
5.液状樹脂組成物の用途
本発明の実施形態に係る上記樹脂組成物の用途は特に限定されず、LEDデバイスのような発光デバイスを含む各種の半導体デバイスに、封止材などとして用いることができる。また、本発明の樹脂組成物を硬化させた成形体は、シリカフィラーを75重量%以上含むので高温でも低い熱膨張率を有し、かつ応力を緩和することでクラックの生じにくく信頼性に優れるので、特にパワーデバイスに好適に使用される。パワーデバイスとしては、例えば、整流、周波数変換、レギュレータ、インバータなどとして使用されるものが挙げられる。本発明の液状樹脂組成物は、組成物としては流動性を有し、ポッティングによる封止にも好適に用いることができ、硬化物とした際の線膨張率が非常に低いので、幅広いサイズのパワーデバイスに好適に使用できる。家電機器、コンピュータなどのパワーデバイスに用いることもできるし、自動車、鉄道車両や変電所の制御用などの大型のパワーデバイスに用いることもできる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
<エポキシシリコーン樹脂の合成>
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン16.30g、トリメチルエトキシシラン5.22g、両末端シラノール型ジメチルシロキサン(モメンティブ社製XC96−723)69.27g、イソプロピルアルコール17.57g及び1N塩酸9.48gを混合し、室温で3時間撹拌し、さらに水酸化カリウム0.60gとイソプロピルアルコール19.91gとトルエン39.75gを加えてイソプロピルアルコール還流条件で4時間加熱撹拌操作を行った。その後、リン酸二水素ナトリウム水溶液(10重量%)で反応液を中和してから、洗浄後の水が中性になるまで水洗後、減圧下で揮発成分を除去して、Mw=1000のポリシロキサンEPSi−1を得た。
[実施例1]
上記EPSi−1を1.0g、エポキシ樹脂jER871(三菱化学社製)を1.4g、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−216L)を0.4g、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジエポキシステアリル(新日本理化社製サンソサイザーE−PO)を1.0g及びナイロン12微粒子(東レ株式会社 SP−500 平均粒径5μm 球状)を0.2g及び真球状フィラーHL−3100(株式会社龍森製)39.65gをプラネタリーミキサー(THIKY社製Planetary Vacuum Mixer ARV−300 )を用いて撹拌し、混合した。
その後、酸無水物系硬化剤 MH700(新日本理化社製)0.348g、ポリスチレン換算の重量平均分子量約900の両末端ヒドロキシ基ポリメチルフェニルシロキサン FLD516(BLUESTARS SILICONES社製)にガリウムアセチルアセトネート(Strem Chemicals,Inc.製)2重量%を溶解した液(Ga(acac)溶液)0.138gを加えて撹拌、混合を行い、組成物を得た。
次いで、該組成物に以下の表1に示す化合物を添加し、(THIKY社製Planetary Vacuum Mixer ARV−300)を用いて撹拌、混合し、樹脂組成物1を得た。
[比較例1]
ナイロン12微粒子を添加しなかった以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物2を得た。
<組成物の粘度の評価>
得られた組成物(約6g)を6ccの軟膏容器に入れ、株式会社セコニック製振動式粘度系(型式:VM‐10A‐H)を用いて、40〜20℃において、粘度を測定した。2
5℃での粘度計表示値を比重で割った値を測定値として表1に示す。
<硬化物の貯蔵弾性率の評価>
6gの組成物1を内径5mmφのアルミ皿に入れ、オーブンにて、80℃で30分間、120℃で60分間、150℃で60分間、及び180℃で180分間の条件で順次加熱して硬化を行い、得られた硬化物の貯蔵弾性率をJIS K7244に準拠して、熱機械分析装置としてエスアイアイ・ナノテクノロジー(株) EXSTAR DMS/6100を用いて、引っ張りモードで、周波数1Hzで−70℃〜200℃を4℃/分の昇温条件で測定した。25℃での貯蔵弾性率の結果を表1に示す。
<硬化物の線膨張率測定>
6gの組成物1を内径5mmφのアルミ皿に入れ、オーブンにて、80℃で30分間、120℃で60分間、150℃で60分間、及び180℃で180分間の条件で順次加熱して硬化を行い、得られた硬化物の線膨張率をJIS K7197に準拠して、熱機械分析装置としてエスアイアイ・ナノテクノロジー社製 TMA/SS6100を用いて、圧縮モードで、70℃〜210℃における平均線膨張率を測定した。下記昇温/降温プログラムのstep3部分をデータとして使用した。結果を表1に示す。
(分析条件)
サンプル形状:3mm×3mm 厚み1mm〜3mm
SSプログラム −49.01mN 一定
Step1:40〜220℃ 5min保持 5℃/min
Step2:220〜−80℃ 5min保持 50℃/min
Step3:−80〜220℃ 5min保持 5℃/min
<ヒートショック試験結果>
ニッケルメッキを施した銅張窒化ケイ素基板(京セラ社製 KO−PWR110682)の周囲に枠を作製し、基板上に約34〜38gの液状樹脂組成物を流し込み、80℃で30分間、120℃で60分間、150℃で60分間、及び180℃で180分間の条件で順次加熱して硬化を行った。硬化後、周囲の枠を外し、封止済み基板サンプルを得た。このサンプルを用いてヒートショック試験を行った。エスペック社製 冷熱衝撃装置TSA−41L−Aを用いて、175℃高温さらし30分、常温さらし1分、−40℃低温さらし30分を1サイクルとし、70回ごとにサンプルを取り出し、組成物にクラック、剥がれが生じていないか目視で確認した。
結果を表1に示す。
Figure 2016117879
熱可塑性樹脂を含まない組成物2は、ヒートショック280回でクラックが入ったが、熱可塑性樹脂を含む組成物1は350回でクラックが見られなかった。この結果から、組成物1は、熱可塑性樹脂を含むことにより応力が緩和され、クラックの生じにくい封止用樹脂組成物となったと考えられる。
[実施例2]
表2に示す重量%で、X−22−169A(信越化学社製)、BY−16−201(カルビノール変性ポリシロキサン 東レダウコーニング社製)、ナイロン12微粒子(東レ株式会社 SP−500 平均粒径5μm 球状)、及び真球状フィラーHL−3100(株式会社龍森製)を、THIKY社製Planetary Vacuum Mixer
ARV−300 を用いて撹拌し、混合した。
その後、非環状カルボン酸無水物オクタン酸無水物(東京化成社製)を加え、両末端ヒドロキシ基ポリメチルフェニルシロキサン YF3804(モメンティブ社製)にガリウムアセチルアセトネート(Strem Chemicals, Inc.社製)、ジフェニルシランジオール(東京化成社製)を溶解した液を加えてさらに撹拌、混合を行い、樹脂組成物3を得た。
樹脂組成物3の粘度の評価、流動性の評価及びヒートショック試験は以下の通り行った。
<粘度の評価>
粘度は、Shear rate0.009s−1時の粘度とし、以下のように定義する。
レオメータVISCOANALYSER(Reologica Inst. A.B.社製)で樹脂組成物の粘度を測定した。測定条件は温度を25℃、使用プレートをΦ20パラレルプレート、ギャップを0.800mm、プレシェア条件を0.1(1/s) で60秒、平衡時間(測定前の待ち時間)を25.0秒、ディレイタイム(データを取り込まない時間)40秒、積算時間(データを取り込む時間)80秒、測定せん断速度範囲;0.001〜600(1/s)とした。測定手順としては、樹脂組成物を試料ステージに適量載せて、治具を降下し、上記条件でせん断速度を上昇させた時の粘度を測定することで、0.009s−1時の粘度を算出した。
<流動性の評価>
本実施態様において、流動性を以下のように定義する。持手付アルミカップ No.2(アズワン社製)に樹脂組成物を2g秤量し、25℃において90度に傾けた際に30分以上樹脂が形態を保持できないことをいう。
<ヒートショック試験>
銅張窒化ケイ素基板(京セラ社製 KO−PWR110682)の上に基板の大きさに合わせて作製したステンレス製の角注状の枠を置き、耐熱性の粘着テープで基板と枠を固定した。枠で囲まれた基板上に約17〜19gの液状樹脂組成物を流し込み、80℃で30分間、120℃で60分間、150℃で60分間、及び180℃で180分間の条件で順次加熱して硬化を行った。硬化後、周囲の枠を外さずに、このサンプルを用いてヒートショック試験を行った。エスペック社製 冷熱衝撃装置TSA−41L−Aを用いて、175℃高温さらし30分、常温さらし1分、−40℃低温さらし30分を1サイクルとし、70回ごとにサンプルを取り出し、組成物にクラック、剥がれが生じていないか上面から目視で確認した。
[実施例3及び4、比較例2]
表2に示す重量%で、樹脂組成物4〜6を得た。当該組成物について、実施例2の方法に準拠し、粘度の評価、流動性の評価及びヒートショック試験を行った。結果は表2に示す。
Figure 2016117879
熱可塑性樹脂を含まない組成物6(比較例2)は、ヒートショック210回でクラックが入ったが、熱可塑性樹脂を含む組成物3〜5(実施例2〜4)は210回でクラックが見られなかった。この結果から、組成物3〜5は、熱可塑性樹脂を含むことにより応力が
緩和され、クラックの生じにくい封止用樹脂組成物となったと考えられる。
本発明により提供される液状樹脂組成物は、その用途が特に制限されるものではなく、何れの用途に用いても良いが、半導体素子の封止の用途に好適に使用することができ、特にパワーデバイスに好適に使用できる。

Claims (12)

  1. シリカフィラー及びマトリクス樹脂を含む液状樹脂組成物であって、
    前記組成物は、前記フィラーを75重量%以上含み、
    且つ、前記マトリクス樹脂は、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする、液状樹脂組成物。
  2. 前記組成物の30℃での粘度が50,000cp以下であることを特徴とする、請求項1記載の液状樹脂組成物。
  3. 前記熱硬化性樹脂がエポキシシリコーン樹脂を含むことを特徴とする、請求項1又は2記載の液状樹脂組成物。
  4. 前記熱可塑性樹脂が、前記熱硬化性樹脂に不溶であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の液状樹脂組成物。
  5. 前記熱可塑性樹脂の最大伸び率が10%以上であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の液状樹脂組成物。
  6. 前記熱可塑性樹脂がポリアミド樹脂であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の液状樹脂組成物。
  7. 前記熱可塑性樹脂の平均粒径が200μm以下であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の液状樹脂組成物。
  8. シリカフィラーを80重量%以上含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の液状樹脂組成物。
  9. 液状樹脂組成物には、ガリウム化合物及びシラノール源を含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の液状樹脂組成物。
  10. 熱可塑性樹脂の含量が0.005%〜2.0%であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の液状樹脂組成物。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の液状樹脂組成物の硬化物は、25℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上1.0×1010Pa以下であり、且つ70〜210℃の平均線膨張率が100ppm/K以下であることを特徴とする、液状樹脂組成物。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の液状樹脂組成物により封止されてなる、半導体デバイス。
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