JP2018162426A - 高難燃性・高信頼性を有する液状熱硬化性樹脂組成物およびその成形体 - Google Patents

高難燃性・高信頼性を有する液状熱硬化性樹脂組成物およびその成形体 Download PDF

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ティ キム フォン ダオ
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俊行 田中
章則 木村
Akinori Kimura
章則 木村
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Abstract

【課題】 難燃性が高いパワーデバイス用に適した封止材とそれを用いた半導体デバイスを提供すること。【解決手段】 熱硬化性樹脂と無機フィラーと硬化触媒を含む熱硬化性樹脂組成物であって、非ハロゲン有機難燃剤を含有し、かつ無機フィラーを70重量%以上含み、有機溶剤の含有量が1%以下であり、かつ60℃で液状があることを特徴とする難燃性熱硬化性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、半導体デバイスなどの封止材として好適に用いられる高難燃性・高信頼性液状熱硬化性樹脂組成物に関する。
半導体素子を保護するための封止材としてエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂組成物が一般に使用されている。これらの樹脂に関しては、半導体素子からの発熱に耐える強度と耐久性が求められてきた。
特に電力制御に用いられるパワーデバイスと呼ばれる素子においては、絶縁性・熱信頼性に加え、低い線膨張率も求められる。このため充填剤(フィラー)を半導体封止材全体の70重量%以上加えることが一般的に行われている。
このパワーデバイスの封止は、樹脂の種類により封止方法が異なる。エポキシ系の樹脂で封止する際にはトランスファー成形などによる封止が行われ、シリコーン系樹脂ではポッティングによる封止が行われている。いずれの方法にしても封止樹脂には流動性が必要となる。一方、前述の通り、封止樹脂の線膨張率を下げるためには、シリカフィラーなどの充填剤無機フィラーを多く含有させる必要がある。しかし、シリカ無機フィラーの量を増加させると、封止樹脂組成物の流動性が低くなる。無機フィラーを高充填率で含有してもある程度流動性を有するものが求められている。
また樹脂組成物の難燃化に関しては、各種の難燃剤の添加が行われており、もっとも一般的なものは金属水酸化物系の難燃剤を添加するものである。この例としては、プリント基板用途であるが、この動作原理は、加熱されたときに水酸化物が脱水吸熱反応により、冷却効果と、発生した水分による燃焼ガス希釈効果、酸化物による断熱効果により燃焼を抑制するものである。また無機物としては三酸化アンチモンに代表される酸化物系の難燃剤が知られている。また、有機物の難燃剤としては、ハロゲン系の有機難燃剤、リン酸系などの有機難燃剤、窒素系有機難燃剤等が知られている。これらの例としては特許文献1などが挙げられる。
特開2016-141757号公報
近年、パワーデバイスの大型化、取り扱う電力量の増加は著しく、より高温に耐え、かつ地震あるいは周囲から発火してしまった場合に備え、封止材の難燃化が求められている。しかしながらもともと封止材の7割以上、多くの場合には8割以上がフィラーであるパ
ワーデバイス用の封止材においては、難燃性に関してはこれまであまり問題になっておらず、熱伝導性を挙げて発生した熱をデバイス外に逃がす検討はされても、一旦発火した後に燃え広がらないようにする検討はほとんど行われていなかった。また、難燃剤を添加すると、もとよりフィラー量の多いパワーデバイス用の封止材においては、更に難燃剤を添加すると粘度が著しく上昇し、これは、使用される樹脂がエポキシ系樹脂の場合に多く用いられるトランスファー成形を用いた封止の場合であっても、シリコーン系樹脂の場合に多く用いられるポッティングを用いた封止の場合であっても、粘度の著しい上昇を招き、成形性が大幅に悪化しやすいという課題があった。特にポッティングを用いた封止に用いる場合、使用温度での流動性が重要である。そしてこれを避けるために溶剤等を加えるこ
とも行われているが、近年パワーデバイスが大型化しており、今までよりサイズが大きいため硬化後封止材内部に溶媒が残りやすく、また加熱時に溶媒揮発による泡や欠陥を生じて封止材の性能を損なったり、寿命等を低下させたり、難燃性に影響を与える恐れがあった。また前述の水酸化物系、あるいはハロゲン系の難燃剤を添加すると、成形時、あるいはパワーデバイスが使用されている状況では、熱により分解が起こって水やハロケ゛ンが発生し、パワーデバイスとしての耐久性が悪化しやすいなどの課題が発生しやすいため、難燃性の検討は難しく、進んでいなかった。
そこで本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、無機フィラーを高濃度で配合させた樹脂組成物、具体的には無機フィラーを70重量%以上含有した樹脂組
成物であっても、非ハロケ゛ン有機難燃剤、好ましくはリン系の有機難燃剤を添加することにより、増粘による取扱い性の悪化や、半導体素子としての寿命の悪化等を起こすことなく、難燃性を向上させることができることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、
(1)熱硬化性樹脂と無機フィラーと硬化触媒を含む熱硬化性樹脂組成物であって、非ハロケ゛ン有機難燃剤を含有し、かつ無機フィラーを70重量%以上含み、有機溶剤の含有量が1%以下であり、かつ60℃で液状であることを特徴とする難燃性熱硬化性樹脂組成物、
(2)前記非ハロゲン有機難燃剤がリンを含有する(1)に記載の難燃性熱硬化性樹脂組成物、
(3)前記非ハロゲン有機難燃剤が、リン−窒素難燃剤を含む(1)又は(2)に記載の難燃性熱硬化性樹脂組成物。
(4)前記非ハロゲン有機難燃剤が、液状の非ハロゲン有機難燃剤を含む(3)に記載の難燃性熱硬化性樹脂組成物。
(5)前記熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である(1)乃至(4)のいずれかに記載の難燃性熱硬化性樹脂組成物、
(6)前記熱硬化性樹脂がエポキシシリコーン樹脂である(1)乃至(5)のいずれかに記載の難燃性熱硬化性樹脂組成物、
(7)前記非ハロゲン有機難燃剤の添加量が、樹脂成分に対して20wt%以上、100wt%以下である(1)乃至(6)のいずれかに記載の難燃性熱硬化性樹脂組成物、
(8)(1)乃至(7)のいずれかに記載の難燃性熱硬化性樹脂組成物を硬化させた成形体、
(9)(1)乃至(7)のいずれかに記載の難燃性熱硬化性樹脂組成物を用いて封止された半導体デバイス、
(10)前記半導体デバイスがパワーデバイスである(9)記載の半導体デバイス、
に存する。
本発明によれば、無機フィラーを70重量%以上含有する液状樹脂組成物であって、難燃性を向上させると同時にポッティング等による封止の際の流動性、取り扱い性に優れ、且つ半導体素子の寿命等にも影響を与えにくい熱硬化性樹脂組成物を提供することができ、特にパワーデバイス用の半導体の封止に有効である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂と無機フィラーと硬化触媒と非ハロケ゛ン有機難燃剤を必須成分とするものである。
本発明において用いられる非ハロゲン有機難燃剤としては、公知の各種のものを使用することができ、リン系有機難燃剤、窒素系有機難燃剤(メラミンシアヌレート、トリアジン化合物、グアニジン化合物)、シリコン系有機難燃剤(シリコンポリマー)等が挙げら
れる。
このなかでも、好ましくはリンを含有する非ハロゲン有機難燃剤が、ラジカルトラップ効果、酸化反応抑制効果に優れ、好ましい。
リンを含有する非ハロゲン有機難燃剤の例として、リン−窒素系難燃剤、リン酸エステル系難燃剤(例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、各種縮合リン酸エステルなどを含むもの)、ポリリン酸塩などの有機リン系化合物等が挙げられる。
リンを含有する非ハロゲン有機難燃剤としては、特にリン−窒素系難燃剤が、窒素による酸素濃度希釈効果も得られ、難燃性向上の効果が大きいため好ましい。このリン−窒素系難燃剤の好適な例としては、フェノキシホスファゼン、メチルフェノキシフォスファゼン、アミノフォスファゼン等のようなフォスファゼン化合物、N , N -ジエチルフォスフ
ァミドのようなリン酸アミド、ポリ( N , N -ジエチルフォスファミド)のようなポリリン酸アミド、リン酸グアニジン、リン酸グアニル尿素、メラミンポリホスフェート、ポリリン酸アンモニウムなどを挙げることができる。
また、リンを含有する非ハロゲン有機難燃剤としては、常温において固体のものと液状のものを混合して用いることが好ましい。
リン―窒素系難燃剤のほとんどは常温において固体のため、多く添加すると増粘の恐れがあるものの難燃性改善効果が大きいというメリットがあり、液状のリンを含有する非ハロゲン有機難燃剤は、難燃性改善効果は固体のものに比べると小さいものの、低粘度化効果に優れている。しかし、液状の難燃剤を多く添加すると、硬化後の硬化物が脆くなる可能性がある。従って、より高い難燃性と硬化物の特性を満たすためには、固体と液状のリンを含有する非ハロゲン有機難燃剤を併用することが好ましい。
そして好ましい液状のリンを含有する非ハロゲン有機難燃剤としては、リン酸エステル系難燃剤が好ましく用いられる。また好適に用いられる液状の難燃剤の具体例を挙げればトリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリクレジルホスフェート(TCP)、トリキシレニルホスフェート(TXP)、クレジルジフェニルホスフェート(CDP)、クレジル2、6-キシレニルホスフェート(PX−110)、2-エチルヘキシルジフェ
ニルホスフェート、1,3フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)等が挙げられ、好ましい固体のリン系難燃剤としては、トリフェニルホスフェート(TPP)、1,3フェニレンビス(ジ2,6キシレニルホスフェート)、フェノキシホスファゼン、メチルフェノキシフォスファゼン、アミノフォスファゼン等のようなフォスファゼン化合物、N , N -ジエチルフォスファミドのようなリン酸アミ
ド、ポリ( N , N -ジエチルフォスファミド)などが挙げられる。
これら液状の非ハロゲン有機難燃剤と固体の非ハロゲン有機難燃剤の混合比は、特に限定されないが、より高い難燃性と封止材として好ましい硬化物の物性を得るためには、1:0.1〜1:10の範囲が好ましい。
そして非ハロゲン系難燃剤の使用量は、使用する場面に要求される十分な難燃性と、物性を満たす量を選定すればよく、具体的には樹脂成分に対して、下限値として10重量%以上が好ましく、特に20重量%以上が好ましい。また上限値としては200重量%以下が好ましく、特に100重量%以下が、好ましい。
次に、本発明において用いられる熱硬化性樹脂は、熱硬化性のものであれば特に限定されず、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、熱硬化性ポリイミド樹脂、熱硬化性シリコーン樹脂、
エポキシシリコーン樹脂などを用いることができる。これらのうちエポキシ樹脂、シリコーン樹脂が好ましく、特にエポキシシリコーン樹脂が好適に用いられる。本明細書において樹脂とはモノマーを含む概念であり、エポキシ樹脂にはモノマーであるエポキシ化合物を含む概念である。以下に本発明に使用されるエポキシ樹脂について記載する。
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂は、分子内に2個以上のオキシラン環(エポキシ基)を有する化合物の総称である。但し、本発明では、後述するエポキシシリコーン樹脂を含む概念としてエポキシ樹脂と呼称している。本発明に用いられるエポキシ樹脂は、好適には、シクロヘキシルエポキシ基等の脂環式エポキシ基を有する脂環式エポキシ化合物、またはグリシジル基を有する化合物が用いられる。
典型的な脂環式エポキシ化合物の構造例を式(1)〜(3)に示す。
Figure 2018162426
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Figure 2018162426
[式(1)〜(3)中、R1は置換されていても良い脂肪族、脂環式、または芳香族系の一価の炭化水素基を示し、R2は二価の炭化水素基を示す。]
エポキシ化合物はグリシジル基を有する化合物であってもよいが、脂環式エポキシ化合物に比べて自己重合反応の活性が低い場合がある。
グリシジル基を有するエポキシ化合物の好適例として、式(4)〜式(7)に示すような脂環構造を含むグリシジルエーテル、又はエステル化合物、式(8)〜式(10)に示すような脂環構造を含まないグリシジルエーテル化合物、式(11)に示すようなイソシアヌル酸骨格を有するグリシジルアミド化合物がある。
Figure 2018162426
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[式(4)〜(11)中、R2は二価の炭化水素基を示す。]
また、エポキシ化合物は、芳香族エポキシ化合物であってもよい。かかるエポキシ化合物の例としては、式(12)に示すようなビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールAD、テトラメチルビスフェノールS、テトラフルオロビスフェノールAなどのビスフェノール類をグリシジル化したビスフェノール型エポキシ樹脂、式(13)に示すようなビフェニル型のエポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどの2価のフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタンなどのトリスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどのテトラキスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック、臭素化ビスフェノールAノボラック、フェノールジシクロペンタジエンノボラッ
ク、フェノールジフェニルノボラックなどのノボラック類をグリシジル化したノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられる。
Figure 2018162426
[式(12)中、Rは置換されていても良い脂肪族、脂環式、または芳香族系の二価の炭化水素基を示す。]
Figure 2018162426
[式(13)中、R1は炭素数1〜12の変性されていても良い一価の炭化水素基またはハロゲン基を示し、R2は置換されていても良い脂肪族、脂環式、または芳香族系の二価の炭化水素基を示す。]
エポキシ化合物は、芳香族エポキシ化合物を水素化して得られる脂環構造を有するエポキシ化合物であってもよい。これらのエポキシ化合物は一種または二種以上を組み合わせて使用しても良い。
続いてエポキシシリコーン樹脂について説明する。
(エポキシシリコーン樹脂)
エポキシシリコーン樹脂は、分子中にエポキシ基を有する。エポキシ基はグリシジル基でも脂環式エポキシ基であってもよく、好ましくはシクロヘキシルエポキシ基を有する脂環式エポキシ基を含む。マトリクス樹脂に含まれる熱硬化性樹脂としては特にエポキシシリコーン樹脂を含むものが好ましい。
エポキシシリコーン樹脂は、エポキシ基を有するケイ素含有化合物である。ケイ素含有化合物とは、シラン化合物やシロキサン化合物である。
エポキシ基を有するケイ素含有化合物には、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メチル)ジメトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エチル)ジメトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メチル)ジエトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エチル)ジエトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシルエチル〕(メチル)ジメトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エチル)ジメトキシシラン、〔2−(
3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メチル)ジエトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エチル)ジエトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メトキシ)ジメチルシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メトキシ)ジエチルシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エトキシ)ジメチルシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エトキシ)ジエチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メトキシ)ジメチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メトキシ)ジエチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エトキシ)ジメチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エトキシ)ジエチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(ジメチル)ジシロキサン、1,3−ビス(3− グリシドキシプロピル)1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、(3−グリシドキシ プロピル)ペンタメチルジシロキサン、3−エポキシプロピル(フェニル)ジメトキシシランなどがある。
また、エポキシ基を含有するケイ素化合物には、式(14)で表されるオルガノポリシロキサンも含まれる。
(R11 SiO1/2a1(R12 SiO2/2b1(R13SiO3/2c1(SiO4/2d1(O1/2H)e1 ・・・(14)
式(14)において、R11、R12、R13はそれぞれ独立して1価の有機基を示し、かつ、1分子中において少なくとも1つがエポキシ基を含む有機基である。
式(14)において、R11 SiO1/2はMユニット、R12 SiO2/2はDユニット、R13SiO3/2はTユニット、SiO4/2はQユニットを、それぞれ表している。a1、b1、c1及びd1は、それぞれが0以上の整数であり、かつ、a1+b1+c1+d1≧2である。
式(14)において、R11、R12、R13は、好ましくは、炭素数1〜10の炭化水素基であり、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基などのアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基などのアリール基;ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、ノナフルオロブチルエチル基などの置換アルキル基が挙げられる。
式(14)において、エポキシ基を含む有機基としては、2,3−エポキシプロピル基、3,4−エポキシブチル基、4,5−エポキシペンチル基などのエポキシアルキル基;2−グリシドキシエチル基、3−グリシドキシプロピル基、4−グリシドキシブチル基などのグリシドキシアルキル基;β−(又は2−)(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、γ−(又は3−)(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基などのエポキシシクロヘキシルアルキル基が例示される。
式(14)においてe1は0以上の整数であり、ケイ素原子に直接結合する水酸基(シラノール)の個数を表している。
エポキシ基を含有するケイ素化合物としては、ケイ素原子に結合する加水分解性基を有するものであって、該加水分解性基を加水分解したときに、式(14)で表されるオルガノポリシロキサン(ただし、e1≧1)を生じる化合物であってもよい。換言すれば、式(14)で表されるオルガノポリシロキサン(ただし、e1≧1)において、ケイ素原子に直接結合した水酸基の全部又は一部を加水分解性基に置き換えた化合物であってもよい。
ここで、加水分解性基とは、加水分解によってケイ素原子に結合した水酸基(シラノール)を生じる基であり、具体例としては、ヒドロキシ基、アルコキシ基、水素、アセトキシ基、エノキシ基、オキシム基、ハロゲン基が挙げられる。好ましい加水分解性基はアル
コキシ基であり、特に炭素数1〜3のアルコキシ基、すなわち、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基である。
上記式(14)で表されるオルガノポリシロキサン型のエポキシ化合物は、例えば、次の方法で製造することができる。
(方法1)エポキシ基を有するシラン化合物と、エポキシ基を有しないシラン化合物及び/又はそのオリゴマーとを、共加水分解及び重縮合させる方法。
(方法2)ヒドロシリル基を有するポリシロキサンに、エポキシ基と炭素−炭素二重結合基を有する有機化合物を付加させる方法。
(方法3)炭素−炭素二重結合を含む有機基を有するポリシロキサンの該二重結合部分を酸化させて、エポキシ基に変換する方法。
上記方法1でポリシロキサン型のエポキシ化合物を製造する際に用いることのできる原料は次の通りである。
Mユニットを導入するための原料としては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルシラノールなどが例示される。
Dユニットを導入するための原料としては、ジメチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン及びこれらの加水分解縮合物(オリゴマー)が例示される。
両末端に水酸基を有するジアルキルシロキサンオリゴマーとして、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ジメチルシロキサン−ジフェニルシロキサン共重合体、ポリジフェニルシロキサンなどの両末端をシラノール変性した化合物が市販されている。
Tユニットを導入するための原料としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン及びこれらの加水分解縮合物が例示される。
Qユニットを導入するための原料としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン及びこれらの加水分解縮合物が例示される。
エポキシ基を導入するための原料としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メチル)ジメトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)( エチル)ジメトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メチル)ジエトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エチル)ジエトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メチル)ジメトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エチル)ジメトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メチル)ジエトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エチル)ジエトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メトキシ)ジメチルシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メトキシ)ジエチルシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エトキシ)ジメチルシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エトキシ)ジエチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メトキシ)ジメチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メトキシ)ジエチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エトキシ)ジメチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)
エチル〕(エトキシ)ジエチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(ジメチル)ジシロキサン、1,3−ビス(3− グリシドキシプロピル)1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、(3−グリシドキシ プロピル)ペンタメチルジシロキサン、3−エポキシプロピル(フェニル)ジメトキシシランなどが例示される。
マトリクス樹脂中の熱硬化性樹脂としては、上述した樹脂から1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。硬化物の耐熱性の観点から、エポキシシリコーン樹脂を含むことが好ましい。
(硬化触媒)
本発明に用いられる硬化触媒としては、通常のエポキシ樹脂硬化に使用される触媒を併用することができる。例えば、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、シクロヘキシルジメチルアミン、トリエタノールアミン等の3級アミン類;2−メチルイミダゾール、2−n−ヘプチルイミダゾール、2−n−ウンデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−n−ウンデシルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジ(ヒドロキシメチル)イミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−フェニル−4,5−ジ〔(2’−シアノエトキシ)メチル〕イミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−n−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテート、1−(2−シアノエチル)−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾリウムトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−〔2 ’−メチルイミダゾリル−(1’)〕エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2 ’−n−ウンデシルイミダゾリル)エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−〔2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)〕エチル−s−トリアジン、2−メチルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダゾリル−(1’)〕エチル−s−トリアジンのイソシアヌル酸付加物等のイミダゾール類;ジフェニルフォスフィン、トリフェニルフォスフィン、亜リン酸トリフェニル等の有機リン系化合物;ベンジルトリフェニルフォスフォニウムクロライド、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムブロマイド、メチルトリフェニルフォスフォニウムブロマイド、エチルトリフェニルフォスフォニウムブロマイド、n−ブチルトリフェニルフォスフォニウムブロマイド、テトラフェニルフォスフォニウムブロマイド、エチルトリフェニルフォスフォニウムヨーダイド、エチルトリフェニルフォスフォニウムアセテート、メチルトリブチルホスホニウムジメチルホスフェート、テトラブチルホスホニウムジエチルホスホジチオネート、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムベンゾトリアゾレート、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムテトラフルオロボレート、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルフォスフォニウムテトラフェニルボレート等の4級フォスフォニウム塩類;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7やその有機酸塩等のジアザビシクロアルケン類;オクチル酸亜鉛、アクチル酸錫、アルミニウムアセチルアセトン錯体等の有機金属化合物;テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩類;三フッ化ホウ素、ホウ酸トリフェニル等のホウ素化合物;塩化亜鉛、塩化第二錫等の金属ハロゲン化合物のほか、ジシアンジアミドやアミンとエポキシ樹脂との付加物等のアミン付加型促進剤等の高融点分散型潜在性硬化促進剤;前記イミダゾール類、有機リン系化合物や4級フォスフォニウム塩類等の硬化促進剤の表面をポリマーで被覆したマイクロカプセル型潜在性硬化促進剤;アミン塩型潜在性硬化剤促進剤;ルイス酸塩、ブレンステッド酸塩等の高温
解離型の熱カチオン重合型潜在性硬化促進剤等の潜在性硬化促進剤等を挙げることができる。
これらのうち、強い触媒活性が必要であることから、好ましくは無機化合物であり、さらに好ましくはガリウム化合物又はインジウム化合物であり、特に好ましくはガリウム化合物である。
なかでも特に好ましいのは、ガリウムアセチルアセトネート、及び酢酸ガリウムである。
ガリウム化合物は、エポキシ化合物の自己重合反応の触媒として作用する成分である。ガリウム化合物としては、金属原子としてガリウムを含む化合物であれば特に限定されるものではなく、酸化物、塩、キレート錯体など、各種形態のものを使用することができる。キレート配位子を有するガリウム錯体、酢酸ガリウム、オキシ酢酸ガリウム、トリエトキシガリウム、トリス(8−キノリノラト)ガリウム、シュウ酸ガリウム、エチルキサントゲン酸ガリウム、ジエチルエトキシガリウム、マレイン酸ガリウム、n−オクチル酸、2−エチルヘキサン酸、ナフテン酸などの長鎖カルボン酸のガリウム塩等を例示することができる。
キレート配位子としては、β−ジケトン型化合物及びo−ケトフェノール型化合物が挙げられる。β−ジケトン型化合物には、次の式(15)〜式(17)に示す構造を有するものがある。
Figure 2018162426
式(15)〜式(17)において、Rはアルキル基又はハロゲン置換アルキル基を表している。
式(15)の化合物の具体例としてはアセチルアセトン、トリフルオロアセチルアセトン、ペンタフルオロアセチルアセトン、ヘキサフルオロアセチルアセトンなどが、式(16)の化合物の具体例としてはエチルアセトアセテートなどが、式(17)の化合物の具体例としてはジエチルマロネートなどが挙げられる。
o−ケトフェノール型化合物は、次の式(18)で表される化合物である。
Figure 2018162426
式(18)において、R’は水素原子、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基又はアルコキシ基を表している。
式(18)の化合物の具体例としては、サリチルアルデヒド、エチル−O−ヒドロキシ
フェニルケトンなどが挙げられる。
キレート配位子を有するガリウム錯体はガリウム化合物の好適例であり、その中でもガリウムアセチルアセトネートは特に好適に使用することができる。2種類以上のガリウム化合物を任意に組み合わせて用いることもできる。
Ga触媒を用いるとAl触媒に比べて硬化物の加熱による重量減少が少ない。特に硬化物がシロキサン構造を含む場合にはAl触媒に比べて硬化物の加熱による重量減少が少ない。
具体的には、150〜200℃×500時間で、重量減少が加熱前の20重量%以下が好ましく、10重量%以下が更に好ましい。
ガリウム化合物は、エポキシ化合物100重量部に対して通常0.001重量部以上、好ましくは0.01重量部以上、また5.0重量部以下、好ましくは1.0重量部以下である。
エポキシシリコーン樹脂とする場合には、シラノール源化合物を使用してもよい。シラノール源化合物は、シラノールの供給源たる化合物である。シラノールは、前述のガリウム化合物と組み合わされて、エポキシ化合物の自己重合反応の触媒として作用する。
シラノールの役割は、エポキシ化合物の自己重合反応の開始に必要なカチオン源であると考えられる。シラノール源化合物のケイ素原子にフェニル基などの芳香族基が結合している場合には、この芳香族基はシラノール水酸基の酸性度を高める働き、つまり、シラノールのカチオン源としての作用を強める働きをしていると考えられる。
シラノール源化合物は、潜在的なシラノール源であってもよい。例えば、加水分解性基が結合したケイ素原子を有しており、該加水分解基が加水分解されたときにシラノールを生じる化合物である。加水分解性基の具体例としては、ヒドロキシ基、アルコキシ基、水素、アセトキシ基、エノキシ基、オキシム基、ハロゲン基が挙げられる。好ましい加水分解性基はアルコキシ基であり、特に炭素数1〜3のアルコキシ基、すなわち、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基である。
シラノール源化合物の一例は、フェニルジメチルシラノール、ジフェニルメチルシラノール、トリフェニルシラノール、ジヒドロキシジフェニルシラン(ジフェニルシランジオール)、トリメチルシラノール、トリエチルシラノール、ジヒドロキシジメチルシラン、トリヒドロキシメチルシランなどの水酸基が結合したケイ素原子を有するモノシラン化合物である。
シラノール源化合物の他の一例は、水酸基が結合したケイ素原子を有する、式(19)で表されるオルガノポリシロキサンである。
(R21 SiO1/2a2(R22 SiO2/2b2(R23SiO3/2c2(SiO4/2d2(O1/2H)e2 ・・・(19)
式(19)において、R21、R22、R23はそれぞれ独立して1価の有機基を示す。
式(19)において、R21 SiO1/2はMユニット、R22 SiO2/2はDユニット、R23SiO3/2はTユニット、SiO4/2はQユニットを、それぞれ表している。a2、b2、c2及びd2は、それぞれが0以上の整数であり、かつ、a2+b2+c2+d2≧2である。e2は1以上の自然数であり、ケイ素原子に直接結合する水酸基(シラノール)の個数を表している。
式(19)のR21、R22、R23は、通常、炭素数1〜10の炭化水素基であり、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシ
ル基、ヘプチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基などのアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基などのアリール基;ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、ノナフルオロブチルエチル基などの置換アルキル基が挙げられる。
シラノール源化合物は、ケイ素原子に結合する加水分解性基を有するものであって、該加水分解性基を加水分解したときに、式(19)で表されるオルガノポリシロキサンを生じる化合物であってもよい。換言すれば、式(19)で表されるオルガノポリシロキサンにおいて、ケイ素原子に直接結合した水酸基の全部又は一部を加水分解性基に置き換えた化合物であってもよい。
シラノール源化合物がオルガノポリシロキサンであり、これを、シロキサン構造を含まないエポキシ化合物と共に用いる場合には、該オルガノポリシロキサンと該エポキシ化合物との相溶性を確保する観点から、該オルガノポリシロキサンはケイ素原子に結合した芳香族基を有するものであることが好ましい。
シラノール源化合物がオルガノポリシロキサンである場合、その重量平均分子量については、熱硬化性樹脂組成物の硬化中あるいは硬化後に揮発しないように、500以上であることが好ましく、700以上であることがより好ましい。一方、重合度が高過ぎると粘度が高くなって取り扱い性が悪くなることから、該重量平均分子量は20,000以下であることが好ましく、15,000以下であることがより好ましい。
好適な実施形態では、シラノール源化合物は水酸基又は加水分解性基が結合したケイ素原子を1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサン又はシラン化合物であってもよい。かかるシラノール源化合物は、加熱されたときにガリウム化合物の作用により重縮合して高分子量化するので、硬化後にブリードアウトすることがない。
シラノール源化合物として好適に使用できるオルガノポリシロキサンとして、上記式(20)〜式(23)で表される構造を有するものが挙げられる。
Figure 2018162426
Figure 2018162426
式(22)で表されるオルガノポリシロキサンは、式(20)で表される化合物と式(24)で表される化合物(ジヒドロキシジメチルシラン又は両末端に水酸基を有するポリジメチルシロキサン)とを、重縮合することにより得ることができる。重縮合触媒としては、酸、塩基の他、金属触媒を用いることができ、ガリウムアセチルアセトネートのようなガリウム化合物を用いることもできる。
式(23)で表されるオルガノポリシロキサンは、式(21)で表される化合物と式(24)で表される化合物とを、重縮合することにより得ることができる。重縮合触媒としては、酸、塩基の他、金属触媒を用いることができ、ガリウムアセチルアセトネートのようなガリウム化合物を用いることもできる。
Figure 2018162426
式(20)〜式(24)において、m、n、M、N、m1、m2は、それぞれ、1以上の整数である。これらの数を大きくし過ぎた場合、すなわちポリシロキサンの重合度を高くし過ぎた場合、粘度が高くなり過ぎてハンドリングが容易でなくなる他、シラノールの含有率が下がるために触媒能が低下する傾向が生じることに注意すべきである。ハンドリング性の観点からは、当該オルガノポリシロキサンの粘度あるいは当該オルガノポリシロキサンを用いて得られる樹脂組成物の粘度が、30℃、1atmにおいて、50,000cp以下、好ましくは40,000cp以下、より好ましくは30,000cp以下、更に好ましくは20,000cp以下、特に好ましくは15,000cp以下、最も好ましくは10,000cp以下となるように、その重合度を設定することが好ましい。
式(20)〜式(23)で表されるオルガノポリシロキサンから選ばれる1種以上を、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシランなどの3官能シラン化合物とともに重縮合させて得られるオルガノポリシロキサンも、シラノール源化合物の好適例である。重縮合触媒としては、酸、塩基の他、金属触媒を用いることができ、ガリウムアセチルアセトネートのようなガリウム化合物を用いることもできる。かかるオルガノポリシロキサンは、更に酸、塩基又はガリウム化合物などの金属化合物のような縮合触媒を作用させることにより硬化する性質を有する。シラノール源として、モノシラン化合物とオルガノポリシロキサンを併せて用いてもよい。
シラノール源化合物は、エポキシ化合物100重量部に対して通常0.05重量部以上、好ましくは0.5重量部以上、また500重量部以下、好ましくは200重量部以下で
ある。
また、ガリウム化合物とシラノール源化合物の含有比は重量比で1:0.05〜0.001:100が好ましく、より好ましくは1:10〜0.01:100である。
熱硬化性樹脂組成物における硬化触媒の含有量は、熱硬化性樹脂組成物100重量%に対して0.03重量%〜0.3重量%となるように調製することが好ましい。
エポキシシリコーン樹脂においては、エポキシ化合物とシラノール源化合物のいずれか一方、又は両方が、オルガノポリシロキサン構造部分を有し得る。その場合に、オルガノポリシロキサン構造部分にシラノールを導入すると、ガリウム化合物がシラノール間の脱水縮合触媒として作用するので、エポキシ化合物の自己重合反応とシラノール縮合反応の両方が硬化に関与する、耐熱性の良好な熱硬化性樹脂組成物が得られる。ガリウム化合物はシラノールとアルコキシ基の間の脱アルコール縮合反応の触媒にもなるので、オルガノポリシロキサン構造部分にシラノールとアルコキシ基を導入した場合も同様の効果が得られる。
熱硬化性樹脂がシラノール基を有する場合、ガリウム化合物はシロキサン縮合の触媒にもなり、架橋系が同時に進行するので好ましい。また、シロキサンやシリカとの相性が良好であり、シリカの分散に寄与する。さらに、エポキシシリコーンをガリウム触媒で反応させると、得られる硬化物の線膨張率が広い範囲で一定になる。
他の一例では、エポキシ化合物が有するオルガノポリシロキサン構造部分とシラノール源化合物が有するオルガノポリシロキサン構造部分の一方にヒドロシリル基、他方にビニルシリル基を導入するとともに、白金化合物のようなヒドロシリル化反応触媒を添加することにより、エポキシ化合物の自己重合反応とヒドロシリル化反応の両方が硬化に関与する、硬化性の良好な熱硬化性樹脂組成物が得られる。
あるいは、エポキシ化合物とシラノール源化合物のいずれか一方又は両方が有するオルガノポリシロキサン構造部分にヒドロシリル基を導入するとともに、ビニルシリル基を有するオルガノポリシロキサンとヒドロシリル化反応触媒を添加することによっても、エポキシ化合物の自己重合反応とヒドロシリル化反応の両方が硬化に関与する熱硬化性樹脂組成物が得られる。この例を変形して、エポキシ化合物とシラノール源化合物のいずれか一方又は両方が有するオルガノポリシロキサン構造部分にビニルシリル基を導入し、添加するオルガノポリシロキサンをヒドロシリル基が導入されたものとしてもよい。
(硬化剤)
エポキシ基との反応により架橋物を形成する硬化剤としては、アミン、ポリアミド樹脂、酸無水物、フェノールなどが挙げられる。線膨張率の低減、重合速度の制御、粘度の低減の観点から、酸無水物を用いることが好ましい。酸無水物としては、脂肪族酸無水物、脂環式酸無水物、芳香族酸無水物、ハロゲン系酸無水物などが挙げられる。該樹脂組成物を光半導体デバイスに使用する場合には、耐光性の観点から脂環式カルボン酸無水物を使用することが好ましい。
酸無水物の含有量としては特に制限はないが、多すぎると酸無水物のTgが、得られる硬化物の線膨張率に影響を与える場合がある。
脂環式カルボン酸無水物としては、例えば、式(25)〜式(30)で表される化合物や、4−メチルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルナジック酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物のほか、α−テルピネン、アロオシメンなどの共役二重結合を有する脂環式化合物と無水マレイン酸とのディールス・アルダー反応生成物やこれらの水素添加物などを挙げることができる。
Figure 2018162426
なお、前記ディールス・アルダー反応生成物やこれらの水素添加物としては、任意の構造異性体及び任意の幾何異性体を使用することができる。
また、前記脂環式カルボン酸無水物は、硬化反応を実質的に妨げない限り、適宜に化学的に変性して使用することもできる。
酸無水物を含有することで、エポキシ反応速度の制御、ハンドリング、レベリングの向上、着色防止などの効果が得られる場合がある。酸無水物の含有量としては特に制限はないが、エポキシ量に対して1.5当量以下であることが好ましい。より好ましくは1当量以下、更に好ましくは0.8当量以下、更に好ましくは0.6当量以下である。
(無機フィラー)
本発明に用いられる無機フィラーとしては、無機物もしくは無機物を含む化合物であれば特に限定されず、封止材に用いられる各種のフィラーが使用することができる。具体的に例えば、石英、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ等のシリカ系無機フィラー、アルミナ、ジルコン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミ、炭化ケイ素、ガラス繊維、ガラスフレーク、アルミナ繊維、炭素繊維、マイカ、黒鉛、カーボンブラック、フェライト、グラファイト、ケイソウ土、白土、クレー、タルク、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マンガン、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、チタン酸カリウム、ケイ酸カルシウム、無機バルーン、銀粉等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上併用してもよい。また、適宜表面処理をほどこしてもよい。表面処理としては、アルキル化処理、トリメチルシリル化処理、シリコーン処理、シランカップリング剤による処理等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
この無機フィラーの使用量は、組成物全体に対し70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、より好ましくは85重量%以上である。
フィラーの量が増大するにつれ、組成物としての粘度が上昇しやすく、成形性が低下することがある。このような場合には、繊維状、不定形のものよりも、球状のものを選択することで、粘度を低く抑えることが出来る。また、粒子表面官能基の種類、量により、粒子間および粒子−樹脂の相互作用を制御し、粘度をコントロールすることもできる。
無機フィラーを混合する手段としては、特に限定されるものではないが、具体的に例えば、2本ロールあるいは3本ロール、遊星式撹拌脱泡装置、ホモジナイザー、ディゾルバー、プラネタリーミキサー等の撹拌機、プラストミル等の溶融混練機等が挙げられる。混合は、常温で行ってもよいし加熱して行ってもよく、また、常圧下で行ってもよいし減圧状態で行ってもよい。混合時の温度に関しては、成型する前に組成物が硬化しない範囲で行えばよい。
(その他の成分)
本発明の実施形態に係る樹脂組成物には、上述の成分の他に、物性改善、機能付与などの観点から、分散剤、酸化防止剤、消泡剤、着色剤、変性剤、レベリング剤、光拡散剤、熱伝導性、反応性又は非反応性の希釈剤、接着、密着性向上剤などの添加剤又は各種フィラーをさらに含有してもよい。
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、無機フィラー以外のフィラーを一定量添加することができる。上記フィラーとしては、一般的な有機フィラー等が挙げられる。有機フィラーとしては、スチレン系ポリマー粒子、メタクリレート系ポリマー粒子、エチレン系ポリマー粒子、プロピレン系ポリマー粒子、ポリアミド系などの合成ポリマー粒子、デンプン、木粉などの天然物、変性されていてもよいセルロース、各種有機顔料などが挙げられる。
フィラーを用いることにより、粘度の低減に加え、得られる成形体の強度、硬度、弾性率、熱膨張率、熱伝導率、放熱性、電気的特性、光の反射率、難燃性、耐火性、チキソトロピー性、及びガスバリア性などの諸物性を改善することができる。
(有機溶剤)
本発明においては、本発明の効果を阻害しない範囲において有機溶媒を添加してもよいが、その上限は組成物全体に対し、1重量%以下、もっとも好ましくは実質的に含有しないことである。有機溶剤の種類に関しても、本発明の効果を阻害しない範囲で特に限定されない。
有機溶剤を多く含むと、厚みのある封止材、特に近年の大型化したパワーデバイスにおいては、硬化後封止材内部に溶媒が残りやすく、また加熱時に溶媒揮発による泡や欠陥を生じて封止材の性能を損なったり、寿命等を低下させたり、難燃性に影響を与える恐れがある。具体的には硬化時の厚さが1cmを超えるような場合に本発明は特に好適に使用できる。
(60℃で液状)
本発明の樹脂組成物は、ポッティング等が容易に行え、かつ熱硬化が進みにくい60℃において、液状であることを特徴とする。より好ましくは40℃で液状であることであり、最も好ましくは室温(25℃)で液状、つまりポッティングが可能な粘度を有していることである。
(製造方法)
本発明の実施形態に係る上記熱硬化性樹脂組成物は、上記本発明の必須成分と、必要に応じて希釈剤、酸化防止剤などのその他の成分を混合することにより製造することができる。この熱硬化性樹脂組成物は、保存安定性を考慮して2液硬化型としてもよい。
(硬化方法)
本発明の実施形態に係る上記熱硬化性樹脂組成物を硬化させるために行う加熱の方法は、特に限定されるものではなく、例えば、熱風循環式加熱、赤外線加熱、高周波加熱等の従来公知の方法を採用することができる。
熱処理条件は、熱硬化性樹脂組成物を所望の硬化状態にすることができればよく、特に制限はない。
(硬化物の物性)
本発明の硬化物は、基材や枠との線膨張差を少なくして温度変化による応力を抑えるため、その線膨張係数が70℃〜210℃の範囲で、100ppm/K以下であることが好ましく、80ppm/K以下であることがさらに好ましく、50ppm/K以下であることが
最も好ましい。この点から、無機フィラーの混合割合を組成物全体の90重量%以上にすることが好ましい。平均線膨張率の下限は特に限定されないが、樹脂組成物の硬化物に隣接する部材(パターンやワイヤ等に用いられるアルミや銅等の金属、基板に用いられるセラミック等)の線膨張率と同程度の値にすることが好ましい。
また、半導体デバイス用の封止材として、エポキシ硬化系やシリコーンゲル系の欠点を改善し、基材や枠と封止材の間に発生した内部応力を抑えながら、機械的信頼性も維持できるために、25℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上×1011Pa以下であるが、その下限は、好ましくは2.5×10Pa以上、より好ましくは5.0×10Pa以上、さらに好ましくは7.5×10Pa以上、さらに好ましくは1.0×10Pa以上、特に好ましくは2.5×10Pa以上、最も好ましくは5.0×10Pa以上であり、また上限は、好ましくは7.5×1011Pa以下、より好ましくは5.0×1011Pa以下、さらに好ましくは4.0×1011Pa以下、特に好ましくは3.0×1011Pa以下である。
<硬化物の物性測定>
下記実施例および比較例で得られた硬化物の物性を次のとおり測定した。
・平均線膨張率測定
厚さ1〜2mmの板状の硬化物から、3×3mmに切り出し、測定用サンプルとした。
平均線膨張率は、JIS K7197に準拠して、熱機械分析装置としてEXSTAR
TMA/SS6100(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を用いて、圧縮モードで、表1に示す温度プログラムで測定し、プログラム3の70℃〜210℃での平均線膨張率を算出した。
Figure 2018162426
・貯蔵弾性率(E’)測定
厚さ1〜2mmの板状の硬化物から、長さ15mm、幅5mmの短冊状に切り出し、測定用サンプルとした。
弾性率は、JIS K7244に準拠して、熱機械分析装置としてEXSTAR DMS/6100(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を用いて、引っ張りモードで、周波数:1Hzで下記表2に示す温度プログラムで測定し、プログラム1における25℃での貯蔵弾性率を算出した。
Figure 2018162426
難燃性評価:
難燃性は、UL94Vに準拠して、下記の条件に従って測定が行われた。
状態調節:23±2℃・50±5%RHx48h
試験環境:23℃・45%RH
試験片寸法:125mmx13mmx5mm
垂直に保持した試料の下端に10秒間ガスバーナーの炎を接炎させる。燃焼が3秒以内に止
まったならば、さらに10秒間接炎させる。
判定基準
V−2:いずれの接炎の後も、30秒以上燃焼を続ける試料がない。
5個の試料に対する 10回の接炎に対する総燃焼時間が 250秒を超えない。
固定用クランプの位置まで燃焼する試料がない。
試料の下方に置かれた脱脂綿を発火させる 燃焼する粒子の落下が許容される

2回目の接炎の後、60秒以上赤熱を続ける試料がない。
V−1:いずれの接炎の後も、30秒以上燃焼を続ける試料がない。
5個の試料に対する 10回の接炎に対する総燃焼時間が 250秒を超えない。
固定用クランプの位置まで燃焼する試料がない。
試料の下方に置かれた脱脂綿を発火させる 燃焼する粒子を落下させる試料が
ない。
2回目の接炎の後、60秒以上赤熱を続ける試料がない。
V−0:いずれの接炎の後も、10秒以上燃焼を続ける試料がない。
5個の試料に対する 10回の接炎に対する総燃焼時間が 50秒を超えない。
固定用クランプの位置まで燃焼する試料がない。
試料の下方に置かれた脱脂綿を発火させる 燃焼する粒子を落下させる試料が
ない。
2回目の接炎の後、30秒以上赤熱を続ける試料がない
(実施例)
以下本発明を実施例を用いてより詳細に説明するが、本発明はその用紙を越えない限り、実施例に限定されるものではない。
〈実施例1〉
X−22−169(信越化学社製)を1.4g、真球状フィラーHL−3100(株式会社龍森製)30g、EX321L(ナガセケムテックス社製)を0.375g、有機ナイ
ロン粒子SP−500(東レ社製)を0.1g、酸無水物MH700(新日本理化社製)0.3
96g、両末端ヒドロキシ基ポリメチルフェニルシロキサン YF3804(モメンティブ社製)0.052g、ガリウムアセチルアセトネート(Strem Chemicals, Inc.社製)0.0022g、ジフェニルシランジオール(東京化成社製)0.0054gをTHIKY社製Planetary Vacuum Mixer ARV−300 を用いて撹拌、混合し、組成物を得た。
得られた組成物は、60℃での流動性を観察した。
硬化物の平均線膨張率と貯蔵弾性率を測定するため、得られた硬化性組成物を5mmφのアルミ皿に4.0〜6.0g取り、オーブンで硬化条件:80℃30min,120℃60min,180℃300minの加熱硬化を行い、厚み約1〜2mm板状の硬化物を得た。
アルミ皿から剥がした板状の硬化物の70℃〜210℃の領域における平均線膨張率と25℃での貯蔵弾性率を上記の物性測定法で測定した。
また、難燃性評価を測定するため、得られた硬化性組成物をサイズ100mmx150
mmの金属製板と外部サイズ100mmx150mm、内部サイズ80mmx135mmの金属製枠をくみ合わせた金型に100〜120g注入し、オーブンで硬化条件:80℃30min,120℃60min,180℃300minの加熱硬化を行い、80mmx135mmx5mmサイズの板状の硬化物を得た。得られた板状の硬化物から13mmx125mmx5mmサイズの棒状の硬化物5本を切り出し、難燃性の測定を行った。得ら
れた結果を表3に示す。
[実施例2〜4]、[比較例1〜2]
実施例1の方法に準拠し、表1に示す化合物を添加し、樹脂組成物を得た。
実施例1の手順と同様に、60℃での流動性を観察し、70℃〜210℃の領域における平均線膨張率と25℃での貯蔵弾性率、難燃性を測定した。
得られた結果を表3に示す。
Figure 2018162426
表3の結果から明らかなとおり、実施例1〜3で得られた組成物は、60℃における流動性があり、硬化物の難燃性はV−1やV−0をクリア出来ており、25℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa〜1.0×1110Paであり、70℃〜210℃の平均線膨張率が100ppm/K以下の条件を満たした。実施例1でリン・窒素系有機難燃剤単独で使用して得られた組成物の難燃性と比較すると、実施例2〜3でリン・窒素系有機難燃剤と液状のリン系有機難燃剤を併用して得られた組成物の難燃性の方が優れている。
比較例1で得られた組成物は、難燃剤使用しないため、硬化物の難燃性が不適合であった。また、比較例2で得られた組成物は、水酸化マグネシウムを難燃剤として添加したことで組成物の60℃における流動性がなかった。さらに、組成物が増粘してしまい、難燃
剤を多く添加することが出来ないため、硬化物の難燃性も不適合であった。
本発明は、パワーデバイス等の無機フィラーを多く含有し、かつ難燃性が要求される封止材として使用することができる。

Claims (10)

  1. 熱硬化性樹脂と無機フィラーと硬化触媒を含む熱硬化性樹脂組成物であって、非ハロゲン有機難燃剤を含有し、かつ無機フィラーを70重量%以上含み、有機溶剤の含有量が1%以下であり、かつ60℃で液状があることを特徴とする難燃性熱硬化性樹脂組成物。
  2. 前記非ハロゲン有機難燃剤がリンを含有する請求項1に記載の難燃性熱硬化性樹脂組成物。
  3. 前記非ハロゲン有機難燃剤が、リン−窒素難燃剤を含む請求項1又は2に記載の難燃性熱硬化性樹脂組成物。
  4. 前記非ハロゲン有機難燃剤が、液状の非ハロゲン有機難燃剤を含む請求項1乃至3のいずれかに記載の難燃性熱硬化性樹脂組成物。
  5. 前記熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である請求項1乃至4のいずれかに記載の難燃性熱硬化性樹脂組成物。
  6. 前記熱硬化性樹脂がエポキシシリコーン樹脂である請求項1乃至5のいずれかに記載の難燃性熱硬化性樹脂組成物。
  7. 前記非ハロゲン有機難燃剤の添加量が、樹脂成分に対して20wt%以上、100wt%以下である請求項1乃至6のいずれかに記載の難燃性熱硬化性樹脂組成物。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載の難燃性熱硬化性樹脂組成物を硬化させた成形体。
  9. 請求項1乃至7のいずれかに記載の難燃性熱硬化性樹脂組成物を用いて封止された半導体デバイス。
  10. 前記半導体デバイスがパワーデバイスである請求項9記載の半導体デバイス。
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