<リモートフォスファー型半導体発光装置の製法>
以下、図1に示す半導体装置を例にとって、本発明を実施するための形態について説明する。なお本発明は、この図示例のものに限定されるものではなく、課題を解決するための手段に記載した範囲内で図示例を適宜変更することは可能である。本発明の一例として示す図1は、リモートフォスファー型半導体装置1の製法を説明するための概略断面図であり、この図示例の装置1では、回路6を備えた基板5の表面(底部)に、半導体発光素子2と、この素子2取り囲む側壁体11とが取り付けられており、該側壁体11に囲まれた部分はカップ又はキャビティ7と称される。本発明のリモートフォスファー型半導体発光装置の製法では、基板5の表面に該当する前記底部に半導体発光素子を配置したカップ又はキャビティ7に、蛍光体4と透明樹脂を含む封止剤組成物3を注入する工程(例えば、図1(a)など)、封止面(開口部)8が鉛直下側となるようにカップ又はキャビティ7を有する基板5を保持して蛍光体4を沈降させつつ、封止面8を開放した状態で封止剤組成物3を硬化させる工程(例えば、図1(b)、(c)など)を含み、封止剤組成物(又は硬化した封止樹脂)3の体積が、カップ又はキャビティの容積に対して0.9〜1.1倍であるところに特徴を有する。
本発明のリモートフォスファー型半導体発光装置に用いられる半導体発光素子としては、図示例のものに限定されず、半導体発光装置のLEDとして汎用されているもの等を用いることができる。例えば、放射した光により蛍光体を励起して可視光を発光させるものであり、青色発光タイプのLEDや紫外発光タイプのLEDなどが挙げられる。本発明の半導体発光装置においては、1つの半導体発光装置あたりに複数個の同一または異なる種類のLEDを実装してもよい。
半導体発光素子が配置されるカップ又はキャビティ(以下、カップ等と称する場合がある)を有する基板としては、従来LED基板やLEDパッケージとして用いられているものであれば使用でき、特に限定されないが、例えば、端部にカップが設けられたリードフレームと、これと対を成すリードフレームとが継ぎ部を介して1個以上連結された基板や(砲弾型LED用基板)、大型の絶縁基板上に電極パターンや反射板(リフレクタ)等と共に半導体発光素子が配置されるキャビティが1個以上形成されたパッケージ基板(表面実装型LED用基板)等が好適に用いられる。したがって、一対のリードフレームを1個以上有する基板を使用すれば砲弾型LED用部材が得られ、大型の絶縁基板上に1個以上のキャビティを有するパッケージ基板を使用すれば表面実装型LEDが得られる。また、上記パッケージ基板にリフレクタ部が形成されている場合には、リフレクタ部を有する表面実装型LEDが得られる。なお上記砲弾型LED用部材は、カップ内に配置した半導体発光素子を樹脂で封止した後、さらにその周りを透明樹脂でモールドすれば砲弾型LEDとなる。このとき使用する透明樹脂は特に限定されず、半導体発光素子の封止に使用した樹脂と同じものを使用してもよく、また砲弾型LEDの製造に使用される従来公知の透明樹脂を使用してもよい。
半導体発光素子等が配置されるカップ又はキャビティは、透明樹脂に対する濡れ性が適度なものであるのが好ましい。より具体的には、上記カップ又はキャビティに透明樹脂を滴下したときの接触角が70°以上であるのが好ましく、より好ましくは75°以上であり、さらに好ましくは80°以上である。接触角が低過ぎると(濡れ性が高い)、封止面が鉛直下側となるように基板を維持する際に、カップ等内に注入された封止剤組成物を保持できず、半導体発光素子を封止し難くなる虞がある。接触角の上限は特に限定されないが、あまりにも高すぎると封止面が曲面になる虞があるので、130°以下であればよい。好ましくは125°以下であり、さらに好ましくは120°以下である。なお、カップ又はキャビティ内にリフレクタが形成されている場合は、リフレクタの透明樹脂に対する接触角が上記範囲内であるのが好ましい。
カップ等の材質は透明樹脂の濡れ性(接触角)が上記範囲内になるものであれば特に限定されないが、例えば、芳香族ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート樹脂等が挙げられる。カップ等は、基板と同一の材料で形成されていてもよく、あるいは基板とは異なる材料で基板上に形成されたものであってもよい。リフレクタの材質としては、リフレクタを構成する材料として公知のものはいずれも使用できる。なおリフレクタがカップ等内に形成されている場合は、リフレクタが上記材料で形成されているのが好ましい。この場合、カップ等は上記以外の材料で形成されていてもよい。
カップ又はキャビティ7の開口8の面積は30mm2以下であるのが好ましい。より好ましくは25mm2以下であり、さらに好ましくは20mm2以下である。開口面積が大きすぎると、封止面を鉛直下側に向けた際に、カップ等内に注入した封止剤組成物が流出し、カップ等内の蛍光体量が減少したり、封止剤組成物量の減少により蛍光体と半導体発光素子間の距離が短くなる結果、半導体発光素子から発せられる熱により蛍光体の劣化が促進されて、色むらが発生する虞があり、また封止剤組成物量が少ない場合には半導体発光素子の封止すら不十分となる虞がある。一方、開口面積の下限は特に限定されず、カップ等内に配置する半導体発光素子や反射板、電極等のサイズに応じて適宜決定すればよいが例えば、5mm2以上であるのが好ましく、より好ましくは7mm2以上であり、さらに好ましくは10mm2以上である。開口面積が小さすぎる場合には、封止剤組成物の注入が困難になる場合がある。
カップ又はキャビティ7の開口部8の平面形状は特に限定されず、円形、楕円形、多角形など様々な形状をとり得る。なおカップ又はキャビティは、その封止面(開口部平面)8の外周上の2点を結んだ線分の内、最も長い線分の長さaと、最も短い線分の長さbとの比a/bが1(a=b)〜100であるのが好ましい。より好ましくは1〜75であり、さらに好ましくは1〜50である。また、カップ又はキャビティの鉛直方向に平行な平面の形状(封止面が一辺を構成する)も特に限定されず、半円形、四角形、逆台形、椀状等の形状であってもよい。
本発明では、カップ又はキャビティ7の底部に半導体発光素子2を配置し、ここに、蛍光体4と透明樹脂を含む封止剤組成物3を注入する(注入工程)(例えば、図1(a))。
封止剤組成物3は、その体積がカップ又はキャビティの容積に対して0.9倍以上、1.1倍以下となるように注入する。より好ましくは0.95倍以上、1.07倍以下であり、さらに好ましくは0.97倍以上、1.04倍以下である。封止剤組成物3の注入量が多すぎると、封止面8を鉛直下側に向けたときに(例えば、図1(b)参照)注入した封止剤組成物がカップ等の外部に凸状に盛り上がり封止面8が曲面になる虞や、基板上に流延して硬化した樹脂の除去や、バリ取りが必要となり製造工程が煩雑になる虞がある。また、封止剤組成物がカップ等7の外部に流延すると所期の蛍光体量を維持できず、カップ間の蛍光体量にバラツキが生じる結果、半導体発光装置間で色斑が発生する虞がある。一方、封止剤組成物3の注入量は少なすぎても封止面8が略水平とならない、半導体発光素子2と蛍光体4間の距離を十分に確保できず、蛍光体4の劣化を抑制し難くなるといった問題が生じる虞がある。
封止剤組成物3を構成する透明樹脂は、E型粘度計により測定される温度23℃における粘度が0.2Pa・s以上、300Pa・s以下であるのが好ましい。より好ましくは0.5Pa・s以上、200Pa・s以下であり、さらに好ましくは1.0Pa・s以上、100Pa・s以下である。
粘度が低すぎると、封止面8を鉛直下側に向けたときに(例えば、図1(b)参照)封止剤組成物3が流れ出て半導体発光素子をカップ等7内に封止できなくなる虞や、蛍光体4が凝集してしまう虞がある。一方粘度が高すぎるとカップ等7内への注入が困難になったり、注入時に空気を巻き込んでしまうなど、封止剤組成物3のハンドリング性が悪化する虞がある。
透明樹脂は、上記粘度を有するものであればよいが、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、及び多面体構造ポリシロキサンよりなる群から選択される1種以上の樹脂であるのが好ましい。透明樹脂については後述する。
次いで、封止剤組成物3を注入したカップ等7を備えた基板5を、封止面が鉛直下側となるように保持して(例えば、図1(b)参照)蛍光体を沈降させつつ封止面8を開放した状態で封止剤組成物3を硬化させる(硬化工程)(例えば、図1(c)参照)。
上述の通り、本発明で用いる透明樹脂は、特定の粘度を有し、またカップ等7と特定の関係を有するため、封止面8が鉛直下側となるように基板5を保持しても封止剤組成物3がカップ等7から流れ出ることがない。したがって、一定時間封止面8を鉛直下側に向けた状態で基板5を維持することで、封止剤組成物3中に分散した蛍光体4を封止面8側に沈降させることができ、半導体発光素子2から離れた位置に蛍光体4を存在させた状態で封止剤組成物3の硬化反応を実施できるので、容易にリモートフォスファー構造を実現できる。また、本発明によれば、蛍光体を含有する封止剤組成物3で半導体発光素子2の封止を行うため、半導体発光素子2を封止する層9と蛍光体を含有する層(蛍光体濃化層)10との間に界面が生じることもない。
なお、封止面8が鉛直下側となるように基板5を保持する手段は特に限定されず、従来公知の手段を採用すればよい。
蛍光体4の沈降速度は特に限定されないが、30秒/mm〜240分/mmとするのが好ましく、より好ましくは60秒/mm〜200分/mm、さらに好ましくは120秒/mm〜300秒/mmである。蛍光体4の沈降速度は速すぎても遅すぎても、理想的なリモートフォスファー構造が実現し難くなる傾向があり、その結果、発光素子2の光と蛍光体4の光の混色具合が不均一になって、半導体発光装置間で色むらが発生する虞がある。
本発明では、封止面8を開放した状態、すなわち他の部材と接触させることなく封止剤組成物3を硬化させるため、硬化後の封止面8は略水平となる。ここで「略水平」とは、硬化後の樹脂の体積がカップ又はキャビティの容積と等しく(0.9〜1.1倍)、硬化樹脂の上面外周部が、カップ又はキャビティの側壁の上端と接している状態を意味する。この場合、硬化樹脂の上面は膨出もへこみもしていない。上記封止面の表面粗さは、算術平均粗さ(Ra)で50μm以下であるのが好ましい。
封止剤組成物3の硬化条件は特に限定されず、用いるヒドロシリル化触媒(後述する)の量及び反応性基の量、その他、封止剤組成物の配合物の組み合わせや注入量に応じて適宜決定すればよい。例えば、硬化温度は30℃〜400℃とするのが好ましく、より好ましくは50℃〜250℃であり、さらに好ましくは60℃〜200℃である。硬化温度が高過ぎると、得られる硬化物に外観不良が生じる傾向があり、低いと硬化が不十分になる虞がある。また、硬化工程は、2段階以上の温度条件を組み合わせて実施してもよい。具体的には例えば、70℃、120℃、150℃の様に段階的に硬化温度を引き上げていくことで、良好な硬化物を得ることができるので好ましい。硬化時間は、硬化温度、用いるヒドロシリル化触媒(後述する)の量及び反応性基の量、その他、封止剤組成物の配合物の組み合わせにより適宜選択することができるが、あえて例示すれば、1分〜12時間、好ましくは10分〜8時間硬化反応を行うことにより、良好な硬化物を得ることができる。
硬化反応が完了すればリモートフォスファー型半導体発光装置1又はリモートフォスファー型半導体発光装置用部材が得られる。基板5が複数のカップ等を有する場合には、隣接するカップ7間で基板5を切断すればリモートフォスファー型半導体発光装置1が得られる。また、得られたリモートフォスファー型半導体発光装置用部材は更なる工程に供してリモートフォスファー型半導体発光装置1としてもよい。
<リモートフォスファー型半導体発光装置>
本発明に係るリモートフォスファー型半導体発光装置1とは、好ましくは上記製法により得られるものであって、カップ又はキャビティ7の底部に配置された半導体発光素子2と、このカップ又はキャビティに充填された、蛍光体4と透明樹脂とを含む封止樹脂3とを有している。そして、前記封止樹脂3は半導体発光素子2から離れた側に蛍光体4濃度の高い蛍光体濃化層10を有している。
このように、蛍光体4が半導体発光素子2から離れて存在しているため、半導体発光素子2から放出される熱による蛍光体4の劣化が少なく、経時的な色の変化も抑制される。
上記蛍光体濃化層10は、カップ等の深さを100%としたときに、封止面8からカップ底部5に向かって0%超、30%以下の領域を意味する。また、この蛍光体濃化層から切り出した試料を紫外可視吸光光度計で測定したときの吸光度At(400nm〜500nm)と、半導体発光素子近傍(封止面からカップ底部に向かって30%以上、100%未満の領域)から切り出した試料の吸光度Abとの比At/Abが1.5〜100であるのが好ましい。より好ましくは2〜80であり、さらに好ましくは5〜50である。
封止樹脂3の体積は、カップ又はキャビティの容積に対して0.9倍以上、1.1倍以下である。好ましくは0.95倍以上、1.07倍以下であり、より好ましくは0.97倍以上、1.04倍以下である。封止樹脂3の体積が大きすぎる場合は、カップ等の開口面8に対して封止面がカップ等7外部に凸状に盛り上がった形状、又は封止樹脂がカップ外部にまで流延して存在していることを意味する。斯かる場合、例えばディスプレイ等の画像表示装置のバックライト光源として使用した場合、半導体発光装置に導光板を近接させることができなかったり、また、カップ7外部に存在する封止樹脂を除去する必要があり、工程数の増加により製造コストが上昇する虞がある。
本発明に係る封止樹脂の封止面8は、他の部材と接触することなく硬化したままの状態である。他の部材と接触することなく硬化したままとは、封止面が封止樹脂の表面張力に応じた表面形状を有し、この液面の粗さに対応する表面粗さを有し、他の部材の表面形状が転写されていない状態のことを言う。封止面8に部材を接触させて硬化させる場合には当該部材の表面性状が封止面表面に転写される。その結果、封止面8はその表面に上記部材の表面性状に由来する凹凸を有するものとなる。封止面8に凹凸がある場合、例えば該面においてLEDの発光素子から出た光を後方散乱してしまい半導体発光装置の光取り出し効率が低下する場合がある。しかしながら本発明に係る封止面8は略水平であるためこのような不具合は生じ難い。
本発明のリモートフォスファー型光半導体装置1は従来公知の各種用途に用いることができる。具体的に、例えば、受発光デバイス液晶表示装置等のバックライト、照明、センサー光源、車両用計器光源、信号灯、表示灯、表示装置、面状発光体の光源、ディスプレイ、装飾、各種ライト等を挙げることができる。
<透明樹脂>
透明樹脂としては、半導体発光素子2の封止に用いられる透明樹脂であればいずれも使用でき特に制限はされないが、透明樹脂としては、熱硬化性樹脂が好ましく、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、多面体構造ポリシロキサンなどが好ましく使用できる。これらの透明樹脂は単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
2種以上の透明樹脂を併用する場合、その組み合わせは特に限定されず、所望の特性を有する硬化物が得られるように適宜選択すればよいが、例えば、シリコーン樹脂、及びエポキシ樹脂より選択される1種以上の樹脂と(以下、樹脂(A)と称する場合がある)、多面体構造ポリシロキサン(以下、多面体構造ポリシロキサン(B)と称する場合がある)とを組み合わせて用いると、LEDにディスペンスする際の液詰まりが抑制されるので好ましい。この場合、(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましく、1.0質量部以上がさらにより好ましい。0.1質量部未満の場合、LEDにディスペンスする際の液詰まりを抑制する効果が得られない。一方、25質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましく、5質量部以下がさらにより好ましい。25質量部を超えると硬化物にタックが生じたり、耐熱性、耐光性、ガスバリア性が低下する。
[エポキシ樹脂]
本発明におけるエポキシ樹脂としては、電子部品封止用エポキシ樹脂成形材料で一般に使用されているものを用いることができる。エポキシ樹脂として、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のフェノール類とアルデヒド類のノボラック樹脂をエポキシ化したもの;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂及びアルキル置換ビスフェノール等のジグリシジルエーテル;ジグリシジルイソシアヌレート、トリグリシジルイソシアヌレート、及び、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸又は1,4−シクロヘキサンジカルボン酸から誘導されるジカルボン酸ジグリシジルエステル;ジアミノジフェニルメタン及びイソシアヌル酸等のポリアミンとエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂;並びに脂環族エポキシ樹脂が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらのうち、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ジグリシジルイソシアヌレート、トリグリシジルイソシアヌレート、及び、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸又は1,4−シクロヘキサンジカルボン酸から誘導されるジカルボン酸ジグリシジルエステルが、比較的着色が少ないことから好ましく、硬化物の耐熱性の観点からは特にジグリシジルイソシアヌレート、トリグリシジルイソシアヌレートのようにトリアジン骨格を有するものを用いることが好ましい。
また、同様の理由から、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ナジック酸及びメチルナジック酸等のジカルボン酸とエポキシ基含有化合物とを用いたジグリシジルエステルも好適である。芳香環が水素化され、脂環式構造を有する核水素化トリメリット酸、核水素化ピロメリット酸等のグリシジルエステルも挙げられる。シラン化合物とエポキシ基含有化合物を有機溶媒、有機塩基及び水の存在下に加熱して、加水分解・縮合させることにより製造される、エポキシ基を有するポリオルガノシロキサンも挙げられる。
エポキシ樹脂は市販品を使用することもできる。例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートとして、セロキサイド2021、セロキサイド2021A、セロキサイド2021P(以上、(株)ダイセル製、商品名)、ERL4221、ERL4221D、ERL4221E(以上、ダウケミカル日本社製、商品名)を入手できる。また、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペートとして、ERL4299(ダウケミカル日本社製、商品名)、EXA7015(大日本インキ化学工業社製、商品名)を入手できる。更に、1−エポキシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサン又はリモネンジエポキシドとして、エピコートYX8000、エピコートYX8034、エピコートYL7170(以上、ジャパンエポキシレジン社製、商品名)、セロキサイド2081、セロキサイド3000、エポリードGT301、エポリードGT401、EHPE3150(以上、(株)ダイセル製)を入手できる。トリグリシジルイソシアヌレートとしてTEPIC(日産化学社製、商品名)を入手可能である。
また、熱硬化性樹脂にエポキシ樹脂を用いる場合は、エポキシ樹脂単独で熱硬化しても、添加剤として硬化剤や硬化促進剤を用いてもよいが、成形加工性の観点からは硬化剤及び硬化促進剤を併用することが好ましい。この場合の硬化剤としては、電子部品封止用エポキシ樹脂成形材料で一般に使用されている硬化剤を用いることができる。
このような硬化剤としては、エポキシ樹脂と反応するものであれば、特に限定されないが、着色の少ないものが好ましく、無色又は淡黄色であることがより好ましい。
このような硬化剤として、例えば、酸無水物系硬化剤、イソシアヌル酸誘導体系硬化剤、フェノール系硬化剤が挙げられる。
酸無水物系硬化剤としては、例えば、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ナジック酸、無水グルタル酸、無水ジメチルグルタル酸、無水ジエチルグルタル酸、無水コハク酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸が挙げられる。
イソシアヌル酸誘導体系硬化剤としては、1,3,5−トリス(1−カルボキシメチル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3−カルボキシプロピル)イソシアヌレート、1,3−ビス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートが挙げられる。
フェノール系硬化剤としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、テルペンジフェノール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン及び1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等の多価フェノール類等が挙げられる。
これらの硬化剤の中では、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水グルタル酸、無水ジメチルグルタル酸、無水ジエチルグルタル酸又は1,3,5−トリス(3−カルボキシプロピル)イソシアヌレートを用いることが好ましい。上記硬化剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせてもよい。
上述の硬化剤は、分子量が100〜400であることが好ましい。また、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の芳香環を有する酸無水物よりも、芳香環の不飽和結合のすべてを水素化した酸無水物が好ましい。酸無水物系硬化剤として、ポリイミド樹脂の原料として一般的に知られているような酸無水物を用いてもよい。
硬化剤の配合量は、エポキシ樹脂100質量部に対して、1〜150質量部であることが好ましく、50〜120質量部であることがより好ましい。
また、硬化剤は、エポキシ樹脂中のエポキシ基1当量に対して、当該エポキシ基と反応可能な硬化剤中の活性基(酸無水物基又は水酸基)が0.5〜0.9当量となるように配合することが好ましく、0.7〜0.8当量となることがより好ましい。上記活性基が0.5当量未満では、樹脂組成物の硬化速度が遅くなると共に、得られる硬化体のガラス転移温度が低くなり、充分な弾性率が得られ難くなる傾向がある。一方、上記活性基が0.9当量を超えると、硬化体の強度が低下する傾向がある。
また、硬化促進剤を用いてもよく、例えば、アミン化合物、イミダゾール化合物、有機リン化合物、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、第4級アンモニウム塩が挙げられる。これらのうち、アミン化合物、イミダゾール化合物又は有機リン化合物を用いることが好ましい。アミン化合物としては、例えば、1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、トリ−2,4,6−ジメチルアミノメチルフェノールが挙げられる。また、イミダゾール化合物として、例えば、2−エチル−4−メチルイミダゾールが挙げられる。更に、有機リン化合物としては、例えば、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラ−n−ブチルホスホニウム−o,o−ジエチルホスホロジチオエート、テトラ−n−ブチルホスホニウム−テトラフルオロボレート、テトラ−n−ブチルホスホニウム−テトラフェニルボレートが挙げられる。これら硬化促進剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記硬化促進剤の配合量は、エポキシ樹脂100質量部に対して、0.01〜8質量部であることが好ましく、0.1〜3質量部であることがより好ましい。硬化促進剤の配合量が、0.01質量部未満では、十分な硬化促進効果を得られない場合があり、8質量部を超えると、得られる硬化物に変色が見られる場合がある。
熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いた場合、必要に応じて配合される硬化剤及び硬化促進剤を含む熱硬化性樹脂の屈折率は、通常1.3〜1.6であり、1.4〜1.5のものを用いることが好ましい。
[シリコーン樹脂]
シリコーン樹脂としては、珪素原子を含む樹脂であれば特に限定はされない。シリコーン樹脂は、アルケニル基および/またはヒドロシリル基を1分子中に2個以上有するポリシロキサン化合物を主成分とする硬化性組成物であるのが好ましい。より好ましくは主成分が2種以上であり、アルケニル基を1分子中に2個以上有するポリシロキサン化合物と、ヒドロシリル基を1分子中に2個以上有するポリシロキサン化合物から構成されるシリコーン樹脂が、2液型硬化性組成物の保管安定性が良い点で好ましい。シリコーン樹脂に含まれるアルケニル基としてはビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等が例示されるが、耐熱性・耐光性の観点から、ビニル基が好ましい。
シリコーン樹脂の具体例としては付加型シリコーン樹脂や縮合型シリコーン樹脂が挙げられるが、硬化中のアウトガス発生が少ないという観点から付加型シリコーン樹脂を用いることが好ましい。付加型シリコーン樹脂は、例えばメチルシリコ−ン樹脂又はフェニルシリコーン樹脂である。耐熱性、耐光性、耐冷熱衝撃性をバランス良く備えているという観点からメチルシリコーン樹脂が好ましく、また、耐熱性、耐光性、ガスバリア性をバランス良く備えているという観点からはフェニルシリコーン樹脂が好ましい。
・メチルシリコーン樹脂
メチルシリコーン樹脂のポリシロキサン単位としては[SiO4/2]、[(CH3)SiO3/2]、[(CH3)2SiO2/2]、[(CH3)3SiO1/2]のメチルシロキサン単位により構成される。
メチルシリコーン樹脂の具体例としては、例えば、東レダウコーニング製のOE−6351、OE−6336、EG−6301、JCR−6140、JCR−6126、JCR−6122、JCR−6101、JCR−6115、JCR−6250、JCR−6109、JCR−6110、信越化学製のKER−2500、KER−2600、KER−2700などが挙げられる。
・フェニルシリコーン樹脂
フェニルシリコーン樹脂は下式のシロキサン単位から主に構成される、アルケニル基および/またはヒドロシリル基を1分子中に2個以上有するポリシロキサン化合物を主成分とする硬化性組成物である。フェニルシリコーン樹脂のシロキサン単位としては、必ずフェニルシロキサン単位を含む。
フェニルシリコーン樹脂の具体例としては、例えば、東レダウコーニング製のOE−6450、OE−6550、OE−6520、OE−6665、OE−6650、OE−6636、OE−6635、OE−6630、OE−6662、OE−6652、OE−7620、OE−7630、OE07640、JCR−6175、信越化学製のLPS−3600シリーズ、ASP−1111、ASP−1031、ASP−1120、KER−6000、KER−6100、KER−6110、KER−6150、KER−6200、KER−6075−F、KER−6020−Fなどが挙げられる。
・変性シリコーン樹脂
変性シリコーン樹脂とは、フェニル基およびメチル基以外の有機基を有するシリコーン樹脂である。変性シリコーン樹脂の具体例としては、例えば、信越化学製のSCR−1011、SCR1012、SCR−1016などが挙げられる。
[多面体構造ポリシロキサン(B)]
多面体構造ポリシロキサンとは多面体構造ポリシロキサン骨格を有するポリシロキサンである。多面体構造ポリシロキサンとしては、公知の多面体構造ポリシロキサンを広く使用することができ、一般式[RSiO3/2]cや一般式[R3SiO−SiO3/2]c(Rは任意の有機基、アルケニル基、水素原子であり、同一であっても異なっていてもよい。;cは6〜24の整数)で表されるシロキサン骨格から構成される多面体構造ポリシロキサンが例示されるが、その構造中に[R2SiO2/2]単位や[R3SiO1/2]単位を含む部分開裂型の多面体構造ポリシロキサンであってもよい。
本発明に用いられる多面体構造ポリシロキサン骨格を有するポリシロキサンは、アルケニル基および/またはヒドロシリル基を有する多面体構造ポリシロキサン化合物(a)と、必要に応じて(a)成分および/または(c)成分とヒドロシリル化反応可能なヒドロシリル基またはアルケニル基を1分子中に2個以上有する化合物(b)と、必要に応じて(a)成分および/または(b)成分とヒドロシリル化反応可能なアルケニル基またはヒドロシリル基を1分子中に1個有する化合物(c)をヒドロシリル化反応することにより得られる多面体構造ポリシロキサンであるのが好ましい。耐熱性、耐光性、ガスバリア性に優れた硬化物を与えるからである。
多面体構造ポリシロキサン(B)は、前述の(A)成分に混ぜて硬化させた場合に、得られる硬化物の強度や耐熱性、耐光性、ガスバリア性、タックの観点から、1分子中にヒドロシリル基および/またはアルケニル基を平均して1つ以上含有することが好ましい。
また、(A)成分としてフェニルシリコーン樹脂などの熱硬化性樹脂を用いる場合は、多面体構造ポリシロキサン(B)は、有機基を有する多面体構造ポリシロキサンが好ましい。多面体構造ポリシロキサンが有機基を有する場合には、蛍光体との吸着性が向上する傾向がある。
好ましい有機基としては脂環式の脂肪族炭化水素基、アリール基が挙げられる。これらの好ましい有機基は、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数の低い直鎖状の脂肪族炭化水素基と比べて、LEDへディスペンスする際の液詰まりが抑制される効果が高い。
好ましい脂環式の脂肪族炭化水素基としては、例えば、シクロヘキシル基、イソボルニル基、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル基、ジシクロペンテニル基、ジシクロペンタニル基、1−アダマンチル基、トリシクロペンタニル基、トリシクロペンテニル基、2,2-ジメチル−3−メチレン−ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ノルボルニル基などが挙げられる。好ましいアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、4−エチルフェニル基、2−プロピルフェニル基、3−プロピルフェニル基、4−プロピルフェニル基、3−イソプロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、2−ブチルフェニル基、3−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、3−イソブチルフェニル基、4−イソブチルフェニル基、3−tブチルフェニル基、4−tブチルフェニル基、3−ペンチルフェニル基、4−ペンチルフェニル基、3−ヘキシルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、3−シクロヘキシルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,3−ジエチルフェニル基、2,4−ジエチルフェニル基、2,5−ジエチルフェニル基、2,6−ジエチルフェニル基、3,4−ジエチルフェニル基、3,5−ジエチルフェニル基、ビフェニル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,4,5−トリメチルフェニル基等が挙げられる。中でも、耐熱・耐光性の観点から、フェニル基が好ましい例として挙げられる。これらは、単独で用いても良く、2種以上併用しても良い。
・アルケニル基および/またはヒドロシリル基を有する多面体構造ポリシロキサン化合物(a)
アルケニル基および/またはヒドロシリル基を有する多面体構造ポリシロキサン化合物(a)は、分子中にアルケニル基および/またはヒドロシリル基を有する多面体構造ポリシロキサン化合物であれば、特に限定はない。
アルケニル基および/またはヒドロシリル基を有する多面体構造ポリシロキサン化合物としては、具体的に例えば、以下の式
[R7SiO3/2]x[R8SiO3/2]y
(x+yは6〜24の整数;xは1以上の整数、yは0または1以上の整数;R7は水素原子、アルケニル基、又はアルケニル基を有する基;R8は、任意の有機基、または、他の多面体骨格ポリシロキサンと連結している基)で表されるシロキサン単位から構成されるアルケニル基および/またはヒドロシリル基を有する多面体構造ポリシロキサン化合物を好適に用いることができ、さらには、以下の式
[AR2 2SiO−SiO3/2]a[R3 3SiO−SiO3/2]b
(a+bは6〜24の整数、aは1以上の整数、bは0または1以上の整数;Aは、水素原子、アルケニル基;R2は、アルキル基またはアリール基;R3は、水素原子、アルキル基、アリール基、または、他の多面体骨格ポリシロキサンと連結している基)で表されるシロキサン単位から構成されるアルケニル基および/またはヒドロシリル基を有する多面体構造ポリシロキサン化合物が好ましいものとして例示される。
アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等が例示されるが、耐熱性・耐光性の観点から、ビニル基が好ましい。
R2は、アルキル基またはアリール基である。アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等が例示され、また、アリール基としては、フェニル基、トリル基等が例示される。R2としては、耐熱性・耐光性の観点から、メチル基が好ましい。
R3は、水素原子、アルキル基、アリール基、または、他の多面体骨格ポリシロキサンと連結している基である。アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等が例示され、また、アリール基としては、フェニル基、トリル基等が例示される。R3としては、耐熱性・耐光性の観点から、メチル基が好ましい。
aは1以上の整数であれば、特に制限はないが、得られる多面体構造ポリシロキサンによる蛍光体の凝集抑制効果、化合物の取り扱い性や得られる硬化物の物性の観点から、2以上が好ましく、3以上がより好ましく、6以上がさらに好ましい。また、bは、0または1以上の整数であれば、特に制限はない。
aとbの和(=a+b)は、6〜24の整数であるが、化合物の安定性、得られる硬化物の安定性の観点から、6〜12が好ましく、さらには、6〜10であることがより好ましい。
(a)成分の合成方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いて合成することができる。合成方法としては、例えば、R9SiXa 3(式中R9は、上述のR7、R8を表し、Xaは、ハロゲン原子、アルコキシ基等の加水分解性官能基を表す)のシラン化合物の加水分解縮合反応によって得られる。または、R9SiXa 3の加水分解縮合反応によって分子内に3個のシラノール基を有するトリシラノール化合物を合成したのち、さらに、同一もしくは異なる3官能性シラン化合物を反応させることにより閉環し、多面体構造ポリシロキサンを合成する方法も知られている。
その他にも、例えば、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシランを4級アンモニウムヒドロキシド等の塩基存在下で加水分解縮合させる方法が挙げられる。本合成方法においては、テトラアルコキシシランの加水分解縮合反応により、多面体構造を有するケイ酸塩が得られ、さらに得られたケイ酸塩をアルケニル基含有シリルクロライド等のシリル化剤と反応させることにより、多面体構造を形成するSi原子とアルケニル基とが、シロキサン結合を介して結合した多面体構造ポリシロキサンを得ることが可能となる。本発明においては、テトラアルコキシランの替わりに、シリカや稲籾殻等のシリカを含有する物質からも、同様の多面体構造ポリシロキサンを得ることが可能である。
また、アルケニル基および/またはヒドロシリル基を有する多面体構造ポリシロキサン化合物(a)のうち、アルケニル基とヒドロシリル基の両方を有する(a)成分を「アルケニル基およびヒドロシリル基を有する多面体構造ポリシロキサン化合物(a1)」、ヒドロシリル基を有さずアルケニル基を有する(a)を「アルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン化合物(a2)」、アルケニル基を有さずヒドロシリル基を有する(a)を「ヒドロシリル基を有する多面体構造ポリシロキサン化合物(a3)」と記載することもある。
・ヒドロシリル基またはアルケニル基を1分子中に2個以上有する化合物(b)
ヒドロシリル基またはアルケニル基を1分子中に2個以上有する化合物(b)は、分子中に2個以上のヒドロシリル基またはアルケニル基を有していれば特に制限はないが、得られる多面体構造ポリシロキサンの透明性、耐熱性、耐光性の観点から、ヒドロシリル基を1分子中に2個以上有する化合物であることが好ましく、さらには、ヒドロシリル基を1分子中に2個以上有する環状シロキサンあるいは直鎖状ポリシロキサンであることが好ましい。特に耐熱性、耐光性、ガスバリア性の観点からは、環状シロキサンであることが好ましい。
ヒドロシリル基を1分子中に2個以上有する直鎖状ポリシロキサンとしては、ジメチルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジフェニルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、メチルフェニルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたポリジメチルシロキサン、ジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたポリジフェニルシロキサン、ジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたポリメチルフェニルシロキサンなどが例示される。
特に、ヒドロシリル基を1分子中に2個以上有する直鎖状ポリシロキサンとしては、反応(変性)させる際の反応性や得られる硬化物の耐熱性、耐光性等の観点から、ジメチルハイドロジェンシリル基で分子末端が封鎖されたポリシロキサン、さらにはジメチルハイドロジェンシリル基で分子末端が封鎖されたポリジメチルシロキサンを好適に用いることができ、具体的に例えば、テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルトリシロキサンなどが、好ましい例として例示される。
ヒドロシリル基を1分子中に2個以上有する環状シロキサンとしては、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジハイドロジェン−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリハイドロジェン−1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタハイドロジェン−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロペンタシロキサン、1,3,5,7,9,11−ヘキサハイドロジェン−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロヘキサシロキサンなどが例示される。本発明における環状シロキサンとしては、工業的入手性および反応性、あるいは、得られる硬化物の耐熱性、耐光性等の観点から、具体的に例えば、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンを好適に用いることができる。
アルケニル基を1分子中に2個以上有する化合物(b)としては、後述する(C)硬化剤として用いられるものと同じものが使用できる。好ましくは、アルケニル基を2個以上有する環状シロキサンが挙げられる。
これら(b)成分である、ヒドロシリル基を1分子中に2個以上有する化合物は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、ヒドロシリル基またはアルケニル基を1分子中に2個以上有する化合物(b)のうち、アルケニル基を有さずヒドロシリル基を1分子中に2個以上有する化合物を「ヒドロシリル基を1分子中に2個以上有する化合物(b1)」と記載する場合がある。
・アルケニル基またはヒドロシリル基を1分子中に1個有する化合物(c)
アルケニル基またはヒドロシリル基を1分子中に1個有する化合物(c)は、前述のヒドロシリル基またはアルケニル基を1分子中に2個以上有する化合物(b)、または、アルケニル基および/またはヒドロシリル基を有する多面体構造または多分岐構造ポリシロキサン化合物(a)とヒドロシリル化反応する。(c)成分を用いることで、得られる硬化物の弾性率を低下させることができ、耐冷熱衝撃性を向上させることができる。
アルケニル基またはヒドロシリル基を1分子中に1個有する化合物(c)は、アルケニル基またはヒドロシリル基を1分子中に1個有する化合物であれば特に限定はされない。(c)成分としては、有機基を有する化合物であることが、得られる多面体構造ポリシロキサン(B)の蛍光体との吸着性が向上し、蛍光体の凝集が抑制されるためにLEDへディスペンスする際の液詰まりが抑制される点から好ましい。
好ましい有機基としては前述の脂環式の脂肪族炭化水素基、アリール基が挙げられる。これらの好ましい有機基は、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数の低い直鎖状の脂肪族炭化水素基と比べて、LEDへディスペンスする際の液詰まりが抑制される効果が高い。
アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等が例示されるが、耐熱性・耐光性の観点から、ビニル基が好ましい。
アルケニル基を1分子中に1個有する化合物の具体例としては、例えば、トリメチルビニルシラン、トリエチルビニルシラン、アリルトリメチルシラン、アリルトリエチルシラン等の炭素数の低いアルキル基を有する化合物、ジメチルフェニルビニルシラン、メチルジフェニルビニルシラン、トリフェニルビニルシラン、ジエチルフェニルビニルシラン、エチルジフェニルビニルシラン、アリルジメチルフェニルシラン、アリルメチルジフェニルシラン、アリルトリフェニルシラン、アリルジエチルフェニルシラン、アリルエチルジフェニルシラン等のアリール基を有する化合物、トリメトキシビニルシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、メトキシジメチルビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、エトキシジメチルビニルシラン、トリメトキシアリルシラン、ジメトキシメチルアリルシラン、メトキシジメチルアリルシラン、トリエトキシアリルシラン、ジエトキシメチルアリルシラン、エトキシジメチルアリルシラン等のアルコキシシリル基を有する化合物、カンフェン、ノルボルネン、ビニルシクロヘキセン、アリルシクロヘキセン等の脂環式の脂肪族炭化水素基を有する化合物などが挙げられる。
(c)成分は、耐熱性、耐光性の観点から、シラン、またはポリシロキサンを有するケイ素化合物を含有する基が好ましい。このような(c)成分が、アルケニル基を1分子中に1個有するシランである場合、例えば、トリメチルビニルシラン、トリエチルビニルシラン、アリルトリメチルシラン、アリルトリエチルシラン、ジメチルフェニルビニルシラン、メチルジフェニルビニルシラン、トリフェニルビニルシラン、ジエチルフェニルビニルシラン、エチルジフェニルビニルシラン、アリルジメチルフェニルシラン、アリルメチルジフェニルシラン、アリルトリフェニルシラン、アリルジエチルフェニルシラン、アリルエチルジフェニルシラン、トリメトキシビニルシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、メトキシジメチルビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、エトキシジメチルビニルシラン、トリメトキシアリルシラン、ジメトキシメチルアリルシラン、メトキシジメチルアリルシラン、トリエトキシアリルシラン、ジエトキシメチルアリルシラン、エトキシジメチルアリルシラン等が例示される。ガスバリア性や屈折率の観点からは1分子中に少なくともアリール基を1個以上含有していることが好ましく、該アリール基が直接ケイ素原子に結合していることが耐熱性、耐光性の観点からは好ましい。LEDへディスペンスする際の液詰まりが抑制され、耐熱性、耐光性の観点から、ジメチルフェニルビニルシラン、メチルジフェニルビニルシラン、トリフェニルビニルシランが好ましい例として挙げられる。
(c)成分がアルケニル基を1分子中に1個有するポリシロキサンである場合、アルケニル基を1個有する直鎖構造のポリシロキサン、分子末端にアルケニル基を1個有するポリシロキサン、アルケニル基を1個有する環状シロキサン等が例示される。
(c)成分が、アルケニル基を1分子中に1個有する直鎖構造のポリシロキサンである場合、具体的に例えば、ジメチルビニルシリル基とトリメチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたポリジメチルシロキサン、ジメチルビニルシリル基とトリメチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたポリメチルフェニルシロキサン、ジメチルビニルシリル基とトリメチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたポリジフェニルシロキサン、ジメチルビニルシリル基とトリメチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたジメチルシロキサン単位とメチルフェニルシロキサン単位との共重合体、ジメチルビニルシリル基とトリメチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたジメチルシロキサン単位とジフェニルシロキサン単位との共重合体、ジメチルビニルシリル基とトリメチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたメチルフェニルシロキサン単位とジフェニルシロキサン単位との共重合体等が例示される。
分子末端にアルケニル基を1個有するポリシロキサンである場合、具体的に例えば、先に例示したジメチルビニルシリル基とトリメチルシリル基で末端が1個ずつ封鎖されたポリシロキサン、[SiO4/2]単位、[SiO3/2]単位、[SiO2/2]単位、[SiO1/2]単位からなる群において選ばれる少なくとも1つのシロキサン単位および1つのジメチルビニルシロキサン単位からなるポリシロキサンなどが例示される。
(c)成分が、アルケニル基を1分子中に1個有する環状シロキサンである場合、具体的に例えば、1−ビニル−1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、1−ビニル−3−フェニル−1,3,5,5,7,7−ヘキサメチルシクロテトラシロキサン、1−ビニル−3,5−ジフェニル−1,3,5,7,7−ペンタメチルシクロテトラシロキサン、1−ビニル−3,5,7−トリフェニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン等が例示される。
(c)成分が、ヒドロシリル基を1分子中に1個有するシランである場合、例えば、トリメチルヒドロシラン、ジメチルフェニルヒドロシラン、メチルジフェニルヒドロシラン、トリフェニルヒドロシラン、トリエチルヒドロシラン、ジエチルフェニルヒドロシラン、エチルジフェニルヒドロシラン等が例示される。
(c)成分がヒドロシリル基を1分子中に1個有するポリシロキサンである場合、ヒドロシリル基を1個有する直鎖構造のポリシロキサン、分子末端にヒドロシリル基を1個有するポリシロキサン、ヒドロシリル基を1個有する環状シロキサン等が例示される。
ヒドロシリル基を1分子中に1個有するポリシロキサン化合物としては、例えば、ジメチルヒドロシリル基とトリメチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたポリジメチルシロキサン、ジメチルヒドロシリル基とトリメチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたポリメチルフェニルシロキサン、ジメチルヒドロシリル基とトリメチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたポリジフェニルシロキサン、ジメチルヒドロシリル基とトリメチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたジメチルシロキサン単位とメチルフェニルシロキサン単位との共重合体、ジメチルヒドロシリル基とトリメチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたジメチルシロキサン単位とジフェニルシロキサン単位との共重合体、ジメチルヒドロシリル基とトリメチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたメチルフェニルシロキサン単位とジフェニルシロキサン単位との共重合体等が例示される。
分子末端にヒドロシリル基を1個有するポリシロキサンである場合、具体的に例えば、先に例示したジメチルヒドロシリル基とトリメチルシリル基で末端が1個ずつ封鎖されたポリシロキサン、[SiO4/2]単位、[SiO3/2]単位、[SiO2/2]単位、[SiO1/2]単位からなる群において選ばれる少なくとも1つのシロキサン単位および1つのジメチルハイドロジェンシロキサン単位からなるポリシロキサンなどが例示される。
(c)成分が、ヒドロシリル基を1分子中に1個有する環状シロキサンである場合、具体的に例えば、1−ハイドロジェン−1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、1−ハイドロジェン−3−フェニル−1,3,5,5,7,7−ヘキサメチルシクロテトラシロキサン、1−ハイドロジェン−3,5−ジフェニル−1,3,5,7,7−ペンタメチルシクロテトラシロキサン、1−ハイドロジェン−3,5,7−トリフェニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン等が例示される。
これら(c)成分は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、アルケニル基またはヒドロシリル基を1分子中に1個有する化合物(c)のうち、ヒドロシリル基を有さずアルケニル基を1分子中に1個有する化合物を「アルケニル基を1分子中に1個有する化合物(c1)」と記載することもある。
[多面体構造ポリシロキサン(B)の合成]
本発明の半導体発光装置に用いられる多面体構造ポリシロキサン(B)は、後述のヒドロシリル化触媒の存在下、アルケニル基および/またはヒドロシリル基を有する多面体構造ポリシロキサン化合物(a)と、必要に応じて(a)成分および/または(c)成分とヒドロシリル化反応可能なヒドロシリル基またはアルケニル基を1分子中に2個以上有する化合物(b)と、必要に応じて(a)成分および/または(b)成分とヒドロシリル化反応可能なアルケニル基またはヒドロシリル基を1分子中に1個有する化合物(c)をヒドロシリル化反応することにより得られる。
多面体構造ポリシロキサンを得る方法としては、特に限定されず種々設定できるが、予め(a)成分と(b)成分を反応させた後に(c)成分を反応させても良いし、予め(c)成分と(b)成分を反応させた後に(a)成分を反応させても良いし、(a)成分と(c)成分を共存させて(b)成分と反応させても良い。各反応の終了後に、例えば減圧・加熱条件下にて、揮発性の未反応成分を留去し、目的物あるいは次のステップへの中間体として用いても良い。(c)成分と(b)成分のみが反応し、(a)成分を含まない化合物の生成を抑制するためには、(a)成分と(b)成分を反応させ、未反応の(b)成分を留去した後、(c)成分を反応させる方法が好ましい。(c)成分と(b)成分のみが反応し、(a)成分を含まない化合物の生成の抑制は耐熱性の観点から好ましい。
また、多面体構造ポリシロキサンを得る方法としては、(a)成分と(b)成分を反応させても良いし、(a)成分と(c)成分を反応させても良い。
こうして得られた多面体構造ポリシロキサン(B)は、(a)成分のアルケニル基に(b)のSiH基及び/又は(c)成分のSiH基が付加した結合、(b)成分のアルケニル基に(a)成分のSiH基及び/又は(c)成分のSiH基が付加した結合、(c)成分のアルケニル基に(a)成分のSiH基及び/又は(b)成分のSiH基が付加した結合を有する。また、多面体構造ポリシロキサンは、反応に用いた(a)成分のアルケニル基またはヒドロシリル基が一部残存してもよい。
(b)成分の添加量は、(a)成分が有するアルケニル基またはヒドロシリル基1個に対し、ヒドロシリル化反応する(b)成分のヒドロシリル基またはアルケニル基の数が2.5〜20個になるように用いることが好ましい。添加量が少ないと、架橋反応によりゲル化が進行するため、多面体構造ポリシロキサンのハンドリング性が劣る場合があり、添加量が多いと、硬化物の物性に悪影響を及ぼす場合がある。
(c)成分の添加量は、(a)成分または(b)成分が有するヒドロシリル基またはアルケニル基1個に対し、ヒドロシリル化反応する(c)成分のアルケニル基またはヒドロシリル基の数が0.1〜1個になるように用いることが好ましい。添加量が少ないとLEDへディスペンスする際の液詰まりを抑制する効果が低くなる場合がある。添加量が多いと、得られる硬化物の物性に悪影響を及ぼす場合がある。
多面体構造ポリシロキサン(B)の合成時に用いるヒドロシリル化触媒の添加量としては特に制限はないが、反応に用いる(a)成分、(b)成分及び(c)成分のアルケニル基1モルに対して10-1〜10-10モルの範囲で用いるのがよい。好ましくは10-4〜10-8モルの範囲で用いるのがよい。ヒドロシリル化触媒が多いと、ヒドロシリル化触媒の種類によっては、短波長の光に吸収を示すため、着色原因になったり、得られる硬化物の耐光性が低下する虞があり、また、硬化物が発泡する虞もある。また、ヒドロシリル化触媒が少ないと、反応が進まず、目的物が得られない場合がある。
ヒドロシリル化反応の反応温度としては、30〜400℃、さらに好ましくは、40〜250℃であることが好ましく、より好ましくは、45〜140℃である。温度が低すぎると反応が十分に進行せず、温度が高すぎると、ゲル化が生じ、ハンドリング性が悪化する場合がある。
このようにして得られた多面体構造ポリシロキサン(B)は、各種化合物、特にはシロキサン系化合物との相溶性を確保でき、さらに、分子内にヒドロシリル基が導入されていることから、各種アルケニル基を有する化合物と反応させることが可能となる。具体的には、後述の1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサン((C)硬化剤)と反応させることにより、硬化物を得ることができる。
また、本発明における多面体構造ポリシロキサン(B)は、温度20℃において液状とすることも可能である。多面体構造ポリシロキサン(B)を液状とすることで、ハンドリング性に優れることから好ましい。
本発明に係る多面体構造ポリシロキサン(B)は、式
[XR4 2SiO−SiO3/2]a[R5 3SiO−SiO3/2]b
[a+bは6〜24の整数、aは1以上の整数、bは0または1以上の整数;R4は、アルキル基またはアリール基;R5は、アルケニル基、水素原子、アルキル基、アリール基、または、他の多面体骨格ポリシロキサンと連結している基、Xは、下記一般式(1)あるいは一般式(2)のいずれかの構造を有し、Xが複数ある場合は一般式(1)あるいは一般式(2)の構造が異なっていても良くまた一般式(1)あるいは一般式(2)の構造が混在していてもよい。
{lは2以上の整数;mは0以上の整数;nは2以上の整数;Yは水素原子、アルケニル基、アルキル基、アリール基、もしくは、アルキレン鎖を介して多面体構造ポリシロキサンと結合している部位であり、同一であっても異なっていてもよい。;Zは、水素原子、アルケニル基、アルキル基、アリール基、もしくは、アルキレン鎖を介して多面体構造ポリシロキサンと結合している部位であり、同一であっても異なっていてもよい。ただし、YあるいはZの少なくとも1つは水素原子であり、少なくとも1つは下記一般式(3)の構造を有する。
−[CH2]l−R6 (3)
(lは2以上の整数;R6は有機ケイ素化合物を含有する基);Rはアルキル基またはアリール基}]
で表されるシロキサン単位から構成される多面体構造ポリシロキサンであってもよい。
ここで、R6はケイ素化合物を含有する基であれば特に限定はされないが、1分子中に少なくともアリール基を1個以上含有していることが、ガスバリア性や屈折率の観点から好ましく、さらには、該アリール基が直接ケイ素原子に結合していることが、耐熱性、耐光性の観点から、好ましい。
[封止剤組成物]
本発明法に用いられる封止剤組成物は、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、及び多面体構造ポリシロキサン(B)よりなる群から選択される1種以上の透明樹脂と、蛍光体、必要に応じて、ヒドロシリル化触媒、硬化遅延剤等を混合することにより得ることができる。
・蛍光体
蛍光体は上記発光素子の発する光を吸収して異なる波長の光を発生するものである。蛍光体としては、特に限定されず、一般的に公知の無機蛍光体や有機蛍光体を用いることができ、半導体発光装置が必要とする発光色を得るために任意のものを選択することができる。
具体的な蛍光体としては、例えば、YAG系蛍光体、LuAG系蛍光体、TAG系蛍光体、BOS系蛍光体、オルトシリケートアルカリ土類系蛍光体、α−サイアロン系蛍光体、β−サイアロン系蛍光体、CASN系蛍光体、SCASN系蛍光体、ニトリドおよびオキシニトリド系蛍光体などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。これら蛍光体は1種または2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いることができる。
蛍光体の粒径には特に制限はないが、中央粒径(D50)が、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは1μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは25μm以下である。中央粒径(D50)が小さいと、封止剤組成物中で蛍光体が凝集してしまう場合があり、中央粒径(D50)が大きいと、ディスペンサー等の閉塞が生じる場合がある。なお、中央粒径(D50)は体積基準の累積分布50%時の粒子径である。また蛍光体の粒度分布(QD)は、組成物中での粒子の分散状態をそろえるために小さい方が好ましいが、小さくするためには分級収率が下がってコストアップにつながるので、好ましくは0.03以上、より好ましくは0.05以上、さらに好ましくは0.07以上あり、好ましくは0.4以下、より好ましくは0.3以下、さらに好ましくは0.2以下である。また、蛍光体の形状は、特に限定されず、任意の形状のものを用いることが可能である。
蛍光体の使用量には特に制限は無く、半導体発光装置が必要とする発光色を得るために任意の量を使用することができるが、あえて例示するならば、封止剤組成物中に好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは2質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは35質量%以下である。蛍光体の使用量が少ないと、蛍光体による波長変換が不十分となり、目的とする発光色が得られなくなる場合があり、蛍光体の使用量が多いと、組成物のハンドリング性が低下したり、光学的な干渉作用により蛍光体の利用効率が低くなったりする虞がある。
蛍光体を封止剤組成物に混合・分散する方法としては、蛍光体の結晶構造に損傷を与えず蛍光体を均一に分散することが可能な方法であれば特に制限はなく、例えばミキサー、高速ディスパー、ホモジナイザー、3本ロール、2本ロール、ニーダー、ビーズミル等、従来公知の方法を用いることが出来る。上記の中でも特に、遊星攪拌ミキサー、3本ロール、2本ロール、など分散にあたり発熱の少ないものや混合機由来の金属磨耗粒子の混入が少ないものが好ましく、なかでも遊星攪拌ミキサーが蛍光体の損傷少なく脱泡しながら混合・分散できるので好ましい。これらの混合・分散方法は、一種のみ行ってもよく、また二種以上を組み合わせて行ってもよい。
・(C)硬化剤
封止剤組成物には硬化剤(C)を含めることができる。本発明における硬化剤(C)は、上記透明樹脂(A)や本発明の多面体構造ポリシロキサン(B)を硬化できるものであれば特に限定されるものではないが、中でも、1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサン(C1)や、有機化合物(C2)が、得られる硬化物のガスバリア性や、耐冷熱衝撃性の観点から好ましい。
(C1)1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサン
1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンのシロキサンのユニット数は、特に限定されないが、2個以上が好ましく、さらに好ましくは、2〜10個である。1分子中のシロキサンのユニット数が少ないと、組成物から揮発しやすくなり、硬化後に所望の物性が得られないことがある。また、シロキサンのユニット数が多いと、得られた硬化物のガスバリア性が低下する場合がある。
1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンは、アリール基を有していることが、ガスバリア性の観点から好ましい。また、アリール基を有する1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンは、耐熱性、耐光性の観点から、Si原子上に直接アリール基が結合していることが好ましい。また、アリール基は分子の側鎖または末端いずれにあってもよく、このようなアリール基含有ポリシロキサンの分子構造は限定されず、例えば直鎖状、分岐鎖状、一部分岐鎖状を有する直鎖状の他に、環状構造を有してもよい。
このようなアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、4−エチルフェニル基、2−プロピルフェニル基、3−プロピルフェニル基、4−プロピルフェニル基、3−イソプロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、2−ブチルフェニル基、3−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、3−イソブチルフェニル基、4−イソブチルフェニル基、3−t−ブチルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、3−ペンチルフェニル基、4−ペンチルフェニル基、3−ヘキシルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、3−シクロヘキシルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,3−ジエチルフェニル基、2,4−ジエチルフェニル基、2,5−ジエチルフェニル基、2,6−ジエチルフェニル基、3,4−ジエチルフェニル基、3,5−ジエチルフェニル基、ビフェニル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,4,5−トリメチルフェニル基、3−エポキシフェニル基、4−エポキシフェニル基、3−グリシジルフェニル基、4−グリシジルフェニル基等が挙げられる。中でも、耐熱・耐光性の観点から、フェニル基が好ましい例として挙げられる。これらは、単独で用いても良く、2種以上併用して用いてもよい。
1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンとしては、耐熱性、耐光性の観点から、アルケニル基を2個以上有する直鎖状ポリシロキサン、分子末端にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサン、アルケニル基を2個以上有する環状シロキサンなどが好ましい例として挙げられる。
アルケニル基を2個以上有する直鎖状ポリシロキサンの具体例としては、ジメチルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジフェニルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、メチルフェニルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリジメチルシロキサン、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリジフェニルシロキサン、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリメチルフェニルシロキサンなどが例示される。
分子末端にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンの具体例としては、先に例示したジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリシロキサン、ジメチルビニルシロキサン単位2つ以上とSiO2単位、SiO3/2単位、SiO単位からなる群において選ばれる少なくとも1つのシロキサン単位からなるポリシロキサンなどが例示される。
アルケニル基を2個以上有する環状シロキサン化合物としては、1,3,5,7−ビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−ビニル−1−フェニル−3,5,7−トリメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−ビニル−1,3−ジフェニル−5,7−ジメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−ビニル−1,5−ジフェニル−3,7−ジメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−ビニル−1,3,5−トリフェニル−7−メチルシクロテトラシロキサン、1−フェニル−3,5,7−トリビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3−ジフェニル−5,7−ジビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリビニル−1,3,5−トリメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタビニル−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9,11−ヘキサビニル−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロシロキサンなどが例示される。
これら1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンは、単独で用いても良く、2種類以上併用して用いてもよい。
(C2)有機化合物
本発明における(C2)成分は、具体的に例えば、透明樹脂成分との反応性を有し、耐熱性、耐光性、ガスバリア性を有する硬化物を与えることが可能となる。
本発明における有機化合物(C2)は、下記一般式(4)で表される有機化合物あるいは、(C2)成分の具体的な例として下記に示している有機化合物であれば特に限定はされない。
(式中R1は炭素数1〜50の一価の有機基または水素原子を表し、R1の少なくとも1つはアルケニル基を含み、それぞれのR1は異なっていても同一であってもよい。)
(C2)成分は、得られる硬化物の強度やガスバリア性、耐熱性、耐光性等の観点から、1分子中にアルケニル基を平均して2個以上含有していることが好ましく、より好ましくは2個含有することが好ましい。また、ガスバリア性の観点から、数平均分子量900未満であることが好ましい。
有機基にはヘテロ原子が含まれていてもよく、炭素数は好ましくは1〜8であり、より好ましくは1〜5である。具体的な有機基としては、アルキル基、アルケニル基、エポキシ基、アクリル基(アクリロイル基)またはこれらの基を2以上併せ持った基等が挙げられる。
(C2)成分の具体的な例としては、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、1,1,2,2−テトラアリロキシエタン、ジアリリデンペンタエリスリット、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルイソシアヌレート、ジアリルモノメチルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジメチルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン等が例示され、これらは単独で使用しても2種類以上を併用しても構わない。
上記具体例のうち、例えば組成物を基材と硬化させた場合の基材との接着性の観点からイソシアヌル酸誘導体を用いることが好ましく、さらに、耐熱性・耐光性のバランスの観点から、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルイソシアヌレート、ジアリルモノメチルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレートを用いることがより好ましく、例えば、耐クラック性、耐冷熱衝撃性の観点からジアリルモノメチルイソシアヌレートがさらに好ましい。
また、(C2)成分の骨格中にアルケニル基以外の官能基を有していても構わないが、透明樹脂との相溶性との観点から、メチル基、エチル基、プロピル基等の直鎖上の脂肪族炭化水素系基をはじめとする極性の低い官能基であるほうが好ましく、耐熱性、耐光性の観点から、特にメチル基が好ましい。
(C)成分の添加量は種々設定できるが、(C)成分に含まれるアルケニル基1個あたり、前述の多面体構造ポリシロキサン(B)に含まれるヒドロシリル基が0.3〜5個、好ましくは、0.5〜3個となる割合で添加されることが望ましい。アルケニル基の割合が少なすぎると、発泡等による外観不良が生じやすくなり、また、多すぎると、硬化物の物性に悪影響を及ぼす場合がある。
・ヒドロシリル化触媒
本発明で用いることができるヒドロシリル化触媒としては、通常ヒドロシリル化触媒として公知のものを選択でき、特に制限はない。
具体的に例示すれば、白金−オレフィン錯体、塩化白金酸、白金の単体、担体(アルミナ、シリカ、カーボンブラック等)に固体白金を担持させたもの;白金−ビニルシロキサン錯体、例えば、Ptn(ViMe2SiOSiMe2Vi)n、Pt〔(MeViSiO)4〕m;白金−ホスフィン錯体、例えば、Pt(PPh3)4、Pt(PBu3)4;白金−ホスファイト錯体、例えば、Pt〔P(OPh)3〕4、Pt〔P(OBu)3〕4(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは整数を表す)、Pt(acac)2、また、Ashbyらの米国特許第3159601及び3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、並びにLamoreauxらの米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラ−ト触媒も挙げられる。
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh3)3、RhCl3、Rh/Al2O3、RuCl3、IrCl3、FeCl3、AlCl3、PdCl2・2H2O、NiCl2、TiCl4、等が挙げられる。これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用しても構わない。触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体、Pt(acac)2等が好ましい。
・硬化遅延剤
硬化遅延剤は、封止剤組成物の保存安定性の改良あるいは、硬化過程でのヒドロシリル化反応性を調整するために用いることができる成分である。本発明においては、硬化遅延剤としては、ヒドロシリル化触媒による付加型硬化性組成物で用いられている公知のものが使用でき、具体的には脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が挙げられる。これらを単独使用、または2種以上併用してもよい。
前記の脂肪族不飽和結合を含有する化合物としては、具体的には3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン、3−ヒドロキシ−3−フェニル−1−ブチン、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等のプロパギルアルコール類、エン−イン化合物類、無水マレイン酸、マレイン酸ジメチル等のマレイン酸エステル類等が例示できる。
有機リン化合物としては、具体的にはトリオルガノフォスフィン類、ジオルガノフォスフィン類、オルガノフォスフォン類、トリオルガノフォスファイト類等が例示できる。
有機イオウ化合物としては、具体的にはオルガノメルカプタン類、ジオルガノスルフィド類、硫化水素、ベンゾチアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾールジサルファイド等が例示できる。
窒素含有化合物としては、具体的にはN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジブチルエチレンジアミン、N,N−ジブチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルエチレンジアミン、N,N−ジブチル−1,4−ブタンジアミン、2,2’−ビピリジン等が例示できる。
スズ系化合物としては、具体的にはハロゲン化第一スズ2水和物、カルボン酸第一スズ等が例示できる。
有機過酸化物としては、具体的にはジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、過安息香酸t−ブチル等が例示されうる。これらのうち、マレイン酸ジメチル、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノールが、特に好ましい硬化遅延剤として例示できる。
硬化遅延剤の添加量は、特に限定するものではないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対して10-1〜103モルの範囲で用いるのが好ましく、1〜100モルの範囲で用いるのがより好ましい。また、これらの硬化遅延剤は単独で使用してもよく、2種類以上組み合わせて使用してもよい。
本発明に用いられる封止剤組成物には、必要に応じて接着性付与剤を添加することができる。
接着性付与剤は、例えば、本発明における封止剤組成物(透明樹脂)と基材との接着性を向上する目的で用いるものであり、その様な効果があるものであれば特に制限はないが、シランカップリング剤が好ましい例として例示できる。
シランカップリング剤としては、分子中に有機基と反応性のある官能基と加水分解性のケイ素基を各々少なくとも1個有する化合物であれば特に限定されない。有機基と反応性のある基としては、取扱い性の点からエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基、カルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基が好ましく、硬化性及び接着性の点から、エポキシ基、メタクリル基、アクリル基が特に好ましい。加水分解性のケイ素基としては取扱い性の点からアルコキシシリル基が好ましく、反応性の点からメトキシシリル基、エトキシシリル基が特に好ましい。
好ましいシランカップリング剤としては、具体的には3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン等のエポキシ官能基を有するアルコキシシラン類:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等のメタクリル基あるいはアクリル基を有するアルコキシシラン類が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上併用してもよい。
シランカップリング剤の添加量としては、封止剤組成物100質量部に対して、0.05〜30質量部であることが好ましく、さらに好ましくは、0.1〜10質量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物の物性に悪影響を及ぼす場合がある。
また、接着性付与剤の効果を高めるために、公知の接着性促進剤を用いることもできる。接着性促進剤としては、エポキシ含有化合物、エポキシ樹脂、ボロン酸エステル化合物、有機アルミニウム化合物、有機チタン化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
・分散剤
封止剤組成物には、必要に応じて分散剤として、無機フィラーを添加することができる。無機フィラーを用いることにより、封止剤組成物の流動性を改善することができる。また得られる成形体の強度、硬度、弾性率、熱膨張率、熱伝導率、放熱性、電気的特性、光の反射率、難燃性、耐火性、およびガスバリア性等の諸物性を改善することができる。
無機フィラーは、無機物もしくは無機物を含む化合物であれば特に限定されないが、具体的に例えば、石英、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ等のシリカ系無機フィラー、アルミナ、ジルコン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミ、炭化ケイ素、ガラス繊維、ガラスフレーク、アルミナ繊維、炭素繊維、マイカ、黒鉛、カーボンブラック、フェライト、グラファイト、ケイソウ土、白土、クレー、タルク、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マンガン、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、チタン酸カリウム、ケイ酸カルシウム、無機バルーン、銀粉等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上併用してもよい。
無機フィラーは、適宜表面処理をほどこしてもよい。表面処理としては、アルキル化処理、トリメチルシリル化処理、シリコーン処理、シランカップリング剤による処理等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
無機フィラーの形状としては、破砕状、片状、球状、棒状等、各種用いることができる。無機フィラーの平均粒径や粒径分布は、特に限定されるものではないが、ガスバリア性の観点から、平均粒径が0.005〜50μmであることが好ましく、さらには0.01〜20μmであることがより好ましい。同様に、BET比表面積についても、特に限定されるものでないが、ガスバリア性の観点から、70m2/g以上であることが好ましく、100m2/g以上であることがより好ましく、さらに200m2/g以上であることが特に好ましい。
無機フィラーの添加量は特に限定されないが、封止剤組成物100質量部に対して、0.1〜1000質量部、よりこの好ましくは、0.5〜500質量部、さらに好ましくは、1〜100質量部である。無機フィラーの添加量が多いと、流動性が悪くなる場合があり、無機フィラーの添加量が少ないと、所望の物性が得られない場合がある。
無機フィラーを混合する手段としては、特に限定されるものではないが、具体的に例えば、2本ロールあるいは3本ロール、遊星式撹拌脱泡装置、ホモジナイザー、ディゾルバー、プラネタリーミキサー等の撹拌機、プラストミル等の溶融混練機等が挙げられる。無機フィラーの混合は、常温で行ってもよいし加熱して行ってもよく、また、常圧下で行ってもよいし減圧状態で行ってもよい。混合する際の温度が高いと、成型する前に組成物が硬化する場合がある。
また、封止剤組成物には、必要に応じて着色剤、耐熱性向上剤などの各種添加剤や反応制御剤、離型剤あるいは充填剤用分散剤などを任意で添加することができる。この充填剤用分散剤としては、例えば、ジフェニルシランジオール、各種アルコキシシラン、カーボンファンクショナルシラン、シラノール基含有低分子量シロキサンなどが挙げられる。なお、これら任意成分は、本発明の効果を損なわないように最小限の添加量に止めることが好ましい。
本発明に用いられる封止剤組成物は、上記した成分をロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどの混練機を用いたり、遊星式攪拌脱泡機を用いて均一に混合し、必要に応じ真空処理、加熱処理を施したりしてもよい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、実施例において「部」や「%」は質量基準である。
(重量平均分子量)
合成した反応物の重量平均分子量は、東ソー製 HLC−8220GPC(カラム:TSKgel SuperHZM−N(4本)+同HZ1000(1本) 内径4.6mm×15cm、溶媒:トルエン、流速:0.35ml/min)を用い、標準ポリスチレン換算法により測定した。
(多面体構造ポリシロキサン単位の分析)
(B)成分の多面体構造ポリシロキサン単位の分析は、VARIAN社製INOVAAS600を使用し、29Si−NMRにより測定した。多面体構造ポリシロキサン単位を含有する場合はシャープなピークが見られる。
(SiH価)
下記製造例で得られた化合物とジブロモエタンの混合物を重クロロホルムに溶解させた試料についてNMR測定(バリアン・テクノロジーズ・ジャパン・リミテッド製、300MHz NMR)を行い、得られた積分値を下記計算式(1)に代入してSiH価を算出した。
SiH価(mol/kg)=[化合物のSiH基に帰属されるピークの積分値]/[ジブロモエタンのメチル基に帰属されるピークの積分値]×4×[混合物中のジブロモエタン重量]/[ジブロモエタンの分子量]/[混合物中の化合物重量] (1)
(製造例1)
48%コリン水溶液(トリメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液)1262gにテトラエトキシシラン1083gを加え、室温で2時間激しく攪拌した。反応系内が発熱し、均一溶液になった段階で、攪拌を緩め、さらに12時間反応させた。その後、反応系内に生成した固形物に、メタノール1000mLを加え、均一溶液とした(メタノール溶液)。
次に、ジメチルビニルクロロシラン716g、トリメチルシリクロリド516gおよびヘキサン1942mLの混合溶液を激しく攪拌しながら、ここに予め調製しておいたメタノール溶液をゆっくりと滴下した。滴下終了後、1時間反応させた後、有機層を抽出、濃縮することにより、固形物を得た。次いで、生成した固形物をメタノール中で激しく攪拌することにより洗浄し、ろ別することにより、Si原子16個と、ビニル基4個を有するアルケニル基含有多面体構造ポリシロキサン系化合物であるテトラキス(ビニルジメチルシロキシ)テトラキス(トリメチルシロキシ)オクタシルセスキオキサン(Fw=1178.2)を白色固体として601g得た。
(製造例2)
製造例1で得られたアルケニル基含有多面体構造ポリシロキサン系化合物であるテトラキス(ビニルジメチルシロキシ)テトラキス(トリメチルシロキシ)オクタシルセスキオキサン100gと、ビニルジフェニルメチルシラン105.1g(使用した1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンのヒドロシリル基1個に対し、アルケニル基0.34個となる量)をトルエン420gに溶解させ、ここに白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有する白金ビニルシロキサン錯体、ユミコアプレシャスメタルズジャパン製、Pt−VTSC−3X)18.6μLを加えた。このようにして得られた溶液を、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン81.7g(使用したテトラキス(ビニルジメチルシロキシ)テトラキス(トリメチルシロキシ)オクタシルセスキオキサンのアルケニル基1個に対し、ヒドロシリル基4個となる量)とトルエン81.7gの溶液にゆっくりと滴下し、105℃で2時間反応させた。反応終了後、エチニルシクロヘキサノール35.5μL、マレイン酸ジメチル8.2μLを加え、トルエンを留去することにより、液状の多面体構造ポリシロキサン変性体280.1g(SiH価1.80mol/kg)を得た。
(配合例1)
製造例2で得られた多面体構造ポリシロキサン変性体10.0gに1,5−ジビニル−3,3−ジフェニル−1,1,5,5−テトラメチルトリシロキサン2.0gを加えた後、インテマティックス社製蛍光体(品番:EY4750)0.12gを添加した。その後、株式会社シンキー製のあわとり練太郎(登録商標)ARV−310を用いて真空撹拌3分を行うことで、有機変性された多面体構造ポリシロキサンと蛍光体を含有する硬化性組成物を作製した。
(実施例1)
株式会社ジェネライツ製12mil×13mil角青色LEDチップ(品番:B1213AAA0 S46B/C−19/20)を、金ワイヤーと信越化学工業株式会社製ダイボンド剤KER−3000を用い、株式会社エノモト製LEDパッケージ(品番:TOP LED 1−IN−1、キャビティのサイズ:4.8mm×2.72mmに実装した。
ここに配合例1で得られた組成物を、株式会社サンエイテック製ディスペンサー 1500シリーズ、サンエイテック社製3ccバレル−ピストンセット(品番:5109CP−B)、サンエイテック社製チップ(品番:5123−B)を用いて注入し(カップ又はキャビティの容積に対する組成物の体積:1.0倍、封止面が鉛直下側(重力方向)を向くようにLEDパッケージを固定した後、注入後30分以内に、対流式オーブンで90℃×3時間→120℃×2時間→170℃×1時間の条件でのステップキュアを開始した。
得られた半導体発光装置を評価用サンプルとして、大塚電子株式会社製全光束測定(φ300mm)システム(品番:HM−0930)を用いて、温度25℃、電流30mA、待機時間30秒の条件で通電して発光させ、その発光色の色度(CIE1931表色系)を測定し、測定したサンプル500個の発光色の色度の平均値と標準偏差を表1に記載した。
(実施例2)
ジェネライツ社製12mil×13mil角 青色LEDチップ(品番:B1213AAA0 S46B/C−19/20)を、金ワイヤーと信越化学社製ダイボンド剤KER−3000を用い、エノモト社製LEDパッケージ(品番:TOP LED 1−IN−1、キャビティのサイズ:4.8mm×2.72mm)に実装した。
ここにOE6630(東レ・ダウ社製のフェニルシリコーン)10gにインテマティックス社製蛍光体(品番:EY4750)1gを添加し、Thinky社製あわとり練太郎(登録商標)ARV−310を用いて真空撹拌3分を行った。得られた液体をサンエイテック社製ディスペンサー 1500シリーズ、サンエイテック社製3ccバレル−ピストンセット(品番:5109CP−B)、サンエイテック社製チップ(品番:5123−B)を用いて注入し(カップ又はキャビティの容積に対する組成物の体積:1.0倍)、封止面が重力方向を向くようにLEDパッケージを固定した後、注入後30分以内に、対流式オーブンで90℃×3時間→120℃×2時間→170℃×1時間の条件でのステップキュアを開始した。
得られた半導体発光装置を評価サンプルとし、大塚電子社製全光束測定(φ300mm)システム(品番:HM−0930)を用いて、温度25℃、電流30mA、待機時間30秒の条件で通電して発光させ、その発光色の色度を測定し、測定したサンプル500個の発光色の色度の平均値と標準偏差を表1に記載した。
(実施例3)
ジェネライツ社製12mil×13mil角 青色LEDチップ(品番:B1213AAA0 S46B/C−19/20)を、金ワイヤーと信越化学社製ダイボンド剤KER−3000を用い、エノモト社製LEDパッケージ(品番:TOP LED 1−IN−1、キャビティのサイズ:4.8mm×2.72mm)に実装した。
ここにSCR1016(信越化学社製の変性シリコーン樹脂)10gにインテマティックス社製蛍光体(品番:EY4750)1gを添加し、Thinky社製あわとり練太郎(登録商標)ARV−310を用いて真空撹拌3分を行った。
得られた液体をサンエイテック社製ディスペンサー 1500シリーズ、サンエイテック社製3ccバレル−ピストンセット(品番:5109CP−B)、サンエイテック社製チップ(品番:5123−B)を用いて注入し(カップ又はキャビティの容積に対する組成物の体積:1.0倍)、封止面が重力方向を向くようにLEDパッケージを固定した後、注入後30分以内に、対流式オーブンで90℃×3時間→120℃×2時間→170℃×1時間の条件でのステップキュアを開始した。
得られた半導体発光装置を評価サンプルとし、大塚電子社製全光束測定(φ300mm)システム(品番:HM−0930)を用いて、温度25℃、電流30mA、待機時間30秒の条件で通電して発光させ、その発光色の色度を測定し、測定したサンプル500個の発光色の色度の平均値と標準偏差を表1に記載した。
(比較例1)
ジェネライツ社製12mil×13mil角 青色LEDチップ(品番:B1213AAA0 S46B/C−19/20)を、金ワイヤーと信越化学社製ダイボンド剤KER−3000を用い、エノモト社製LEDパッケージ(品番:TOP LED 1−IN−1、キャビティのサイズ:4.8mm×2.72mm)に実装した。
ここに配合例1で得られた組成物を、サンエイテック社製ディスペンサー 1500シリーズ、サンエイテック社製3ccバレル−ピストンセット(品番:5109CP−B)、サンエイテック社製チップ(品番:5123−B)を用いて注入し(カップ又はキャビティの容積に対する組成物の体積:1.0倍)、そのままの状態、すなわち封止面が重力方向と逆を向くように(鉛直上向き)LEDパッケージを固定した後、注入後30分以内に、対流式オーブンで90℃×3時間→120℃×2時間→170℃×1時間の条件でのステップキュアを開始した。
得られた半導体発光装置を評価サンプルとし、大塚電子社製全光束測定(φ300mm)システム(品番:HM−0930)を用いて、温度25℃、電流30mA、待機時間30秒の条件で通電して発光させ、その発光色の色度を測定し、測定したサンプル500個の発光色の色度の平均値と標準偏差を表1に記載した。
(比較例2)
ジェネライツ社製12mil×13mil角 青色LEDチップ(品番:B1213AAA0 S46B/C−19/20)を、金ワイヤーと信越化学社製ダイボンド剤KER−3000を用い、エノモト社製LEDパッケージ(品番:TOP LED 1−IN−1、キャビティのサイズ:4.8mm×2.72mm)に実装した。
ここにOE6630(東レ・ダウ社製のフェニルシリコーン)10gにインテマティックス社製蛍光体(品番:EY4750)1gを添加し、Thinky社製あわとり練太郎(登録商標)ARV−310を用いて真空撹拌3分を行った。得られた液体をサンエイテック社製ディスペンサー 1500シリーズ、サンエイテック社製3ccバレル−ピストンセット(品番:5109CP−B)、サンエイテック社製チップ(品番:5123−B)を用いて注入し(カップ又はキャビティの容積に対する組成物の体積:1.0倍)、封止面が重力方向と逆を向くようにLEDパッケージを固定した後、注入後30分以内に、対流式オーブンで90℃×3時間→120℃×2時間→170℃×1時間の条件でのステップキュアを開始した。
得られた半導体発光装置を評価サンプルとし、大塚電子社製全光束測定(φ300mm)システム(品番:HM−0930)を用いて、温度25℃、電流30mA、待機時間30秒の条件で通電して発光させ、その発光色の色度を測定し、測定したサンプル500個の発光色の色度の平均値と標準偏差を表1に記載した。
(比較例3)
ジェネライツ社製12mil×13mil角 青色LEDチップ(品番:B1213AAA0 S46B/C−19/20)を、金ワイヤーと信越化学社製ダイボンド剤KER−3000を用い、エノモト社製LEDパッケージ(品番:TOP LED 1−IN−1、キャビティのサイズ:4.8mm×2.72mm)に実装した。
ここにSCR1016(信越化学社製の変性シリコーン樹脂)10gにインテマティックス社製蛍光体(品番:EY4750)1gを添加し、Thinky社製あわとり練太郎(登録商標)ARV−310を用いて真空撹拌3分を行った。
得られた液体をサンエイテック社製ディスペンサー 1500シリーズ、サンエイテック社製3ccバレル−ピストンセット(品番:5109CP−B)、サンエイテック社製チップ(品番:5123−B)を用いて注入し(カップ又はキャビティの容積に対する組成物の体積:1.0倍)、封止面が重力方向と逆を向くようにLEDパッケージを固定した後、注入後30分以内に、対流式オーブンで90℃×3時間→120℃×2時間→170℃×1時間の条件でのステップキュアを開始した。
得られた半導体発光装置を評価サンプルとし、大塚電子社製全光束測定(φ300mm)システム(品番:HM−0930)を用いて、温度25℃、電流30mA、待機時間30秒の条件で通電して発光させ、その発光色の色度を測定し、測定したサンプル500個の発光色の色度の平均値と標準偏差を表1に記載した。
表1中、δ(x)は半導体発光装置の発光色のxyY表色系の色度座標上におけるxの標準偏差、δ(y)は半導体発光装置の発光色のxyY表色系の色度座標上におけるyの標準偏差、a(x)は半導体発光装置の発光色のxyY表色系の色度座標上におけるxの平均値、a(y)は半導体発光装置の発光色のxyY表色系の色度座標上におけるyの平均値である。
表1に示すように、実施例1〜3の標準偏差δ(x)、δ(y)は共に比較例1〜3に比べて小さく、色のバラツキが小さいことがわかる。この結果より、実施例1〜3では、蛍光体が半導体発光素子から離れた位置に分散して存在していることが示唆される。