以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であって本発明を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1に係るマットレス1及び電動ベッド2について説明する。
[マットレス]
まず、本発明の実施の形態1に係るマットレス1の構成について、図1A、図1B及び図2を用いて説明する。図1Aは、本発明の実施の形態1に係るマットレスを斜め上方から見たときの斜視図である。図1Bは、本発明の実施の形態1に係るマットレスを反転させたときに斜め上方から見たときの斜視図である。図2は、本発明の実施の形態1に係るマットレスの分解斜視図である。なお、本実施の形態において、マットレスの長さ方向(長手方向)をX方向とし、マットレスの幅方向(短手方向)をY方向とし、鉛直方向をZ方向としている。
図1A、図1B及び図2に示すように、マットレス1は、裏面層10と、裏面層10の上に配置された中間層20と、中間層20の上に配置された表面層30とを備える。つまり、マットレス1は、裏面層10(下層)と中間層20(中層)と表面層30(下層)との3層の積層体からなる積層マットレスである。
マットレス1は、全体形状が平板状の直方体であり、平面視形状が矩形状となっている。また、裏面層10、中間層20及び表面層30は、いずれも外形が同じ形状で、外形寸法も同じである。
本実施の形態におけるマットレス1は、ベッド用マットレスであり、後述するように、回動可能に連結された第1ボトム及び第2ボトムを有するベッドに載置される。この場合、マットレス1は、直接ベッドに敷かれてもよいし、布カバー等を被せてからベッドに敷かれてもよい。ベッドを利用する利用者は、マットレス1に横たわって寝姿勢をとる。
次に、裏面層10、中間層20及び表面層30の詳細な構成について、図1A、図1B及び図2を参照しながら、図3、図4A、図4B、図5及び図6を用いて説明する。図3は、本発明の実施の形態1に係るマットレスにおける裏面層の背面図(裏面側から見た平面図)である。また、図4Aは、図3のA−A’線における同裏面層の断面図であり、図4Bは、図3のB−B’線における同裏面層の断面図である。図5は、本発明の実施の形態1に係るマットレスにおける中間層の上面図である。図6は、本発明の実施の形態1に係るマットレスにおける表面層の上面図である。
まず、裏面層10について説明する。裏面層10は、マットレス1をベッドに載置した場合に最もベッド側に位置する第1の層である。裏面層10は、当該マットレス1の最もベッド側の面である裏面10aを有する。つまり、裏面層10の裏面10aは、直接的又は布カバー等を介して間接的に、ベッドに載置される面である。なお、裏面10aとは反対側の面は、中間層20が配置される面であって中間層20との接合面である。
裏面層10は、発泡ウレタンからなる発泡ウレタン層である。本実施の形態における裏面層(発泡ウレタン層)10は、厚みt10が30mmで、密度ρ10が30kg/m3で、40%硬さH10が210N/314cm2である。
図1A、図1B及び図3に示すように、裏面層10は、全体形状が平板状の直方体であり、平面視形状が矩形状となっている。本実施の形態では、図3に示すように、裏面層10のX方向(縦)の長さL10は1910mmであり、裏面層10のY方向(横)の長さW10は910mmである。
裏面層10の裏面10aには、第1凹部11が形成されている。第1凹部11は、少なくとも1つ以上形成されていればよい。本実施の形態において、第1凹部11は複数形成されている。
複数の第1凹部11は、後述するように、ベッドにおける膝ボトムと足ボトムとの連結部分に対応する箇所に形成される。したがって、複数の第1凹部11は、裏面層10の中央の位置よりも利用者の足側の位置に形成される。
本実施の形態において、複数の第1凹部11の各々は、マットレス1の短手方向(ベッドの短手方向)に沿って裏面層10の一方の側端縁から他方の側端縁にわたって連続的に形成されている。具体的には、各第1凹部11は、裏面層10の幅全体にわたって直線状に形成された溝である。したがって、各第1凹部11は、裏面層10の両側面の各々を開放するように形成されている。一例として、第1凹部11は、5本形成されている。
図3に示すように、5本の第1凹部11は、裏面層10における長手方向の頭側端縁から距離L11aと距離L11bとの間の領域A11に形成されている。本実施の形態において、距離L11aは1500mmで、距離L11bは1210mmであり、領域A11の長さは290mmである。
各第1凹部11の開口幅は、20mm以上である。本実施の形態において、各第1凹部11の開口幅は同じにしている。また、図4Aに示すように、第1凹部11の断面形状は、矩形である。したがって、各第1凹部11において、幅(溝幅)は深さ方向に一定で、開口幅と底面幅とは同じ長さになっている。なお、第1凹部11の断面形状は、逆三角形又は逆台形であってもよい。
さらに、複数の第1凹部11は、一定の間隔で形成されている。具体的には、各第1凹部11の幅w11を30mmとし、隣り合う2つの第1凹部11の間隔s11を35mmとしている。つまり、長さが290mmの領域A11に、5本の第1凹部11が65mm間隔で形成されている。
各第1凹部11の深さは、10mm以上である。図4Aに示すように、本実施の形態では、各第1凹部11の深さは同じ長さにしている。具体的には、各第1凹部11の深さd11は20mmである。
また、裏面層10の裏面10aには、さらに、第2凹部12が形成されている。第2凹部12は、少なくとも1つ以上形成されていればよい。本実施の形態において、第2凹部12は複数形成されている。
複数の第2凹部12は、後述するように、ベッドにおける腰ボトムに対応する箇所に形成される。したがって、複数の第2凹部12は、マットレス1に横たわる利用者の腰部分に対応する位置に形成される。
本実施の形態において、複数の第2凹部12は、第1凹部11と同様に、マットレス1の短手方向(ベッドの短手方向)に沿って裏面層10の一方の側端縁から他方の側端縁にわたって連続的に形成されている。具体的には、各第2凹部12も、裏面層10の幅全体にわたって直線状に形成された溝である。したがって、各第2凹部12についても、裏面層10の両側面の各々を開放するように形成されている。一例として、第2凹部12は、7本形成されている。
図3に示すように、7本の第2凹部12は、裏面層10における長手方向の頭側端縁から距離L12aと距離L12bとの間の領域A12に形成されている。本実施の形態において、距離L12aは1000mmで、距離L12bは700mmであり、領域A12の長さは300mmである。
各第2凹部12の開口幅は、第1凹部11と同様に、20mm以上にするとよい。本実施の形態において、各第2凹部12の開口幅は同じにしている。また、図4Bに示すように、第2凹部12の断面形状は矩形である。したがって、各第2凹部12において、幅(溝幅)は深さ方向に一定で、開口幅と底面幅とは同じ長さになっている。なお、第2凹部12の断面形状は、逆三角形又は逆台形であってもよい。
さらに、複数の第2凹部12は、一定の間隔で形成されている。具体的には、長さが300mmの領域A12に、7本の第2凹部12が50mm間隔で形成されている。つまり、第2凹部12の開口幅は第1凹部11の開口幅よりも小さくするとともに、第2凹部12の間隔(ピッチ)を第1凹部11の間隔(ピッチ)よりも小さくしている。これにより、腰ボトムの湾曲変位に対して所望に連動させることができる。
各第2凹部12の深さは、第1凹部11と同様に、10mm以上である。図4Bに示すように、本実施の形態では、各第2凹部12の深さd12は同じであり、例えば20mmである。
次に、中間層20について説明する。中間層20は、裏面層10と表面層30とに挟まれた第2の層である。図1A、図1B及び図5に示すように、中間層20は、全体形状が平板状の直方体であり、平面視形状が矩形状となっている。本実施の形態において、中間層20のX方向(縦)の長さL20は1910mmであり、中間層20のY方向(横)の長さW20は910mmである。
図2に示すように、中間層20は、ポリエステル樹脂等の樹脂素材からなる三次元網状構造体の中央部21と、平面視において中央部21を囲むように配置された周辺部22とを有する。中央部21は、中間層20の主領域であり、周辺部22よりも広い領域となっている。
中央部21は、全体形状が平板状の直方体であり、平面視形状が矩形状となっている。本実施の形態では、図5に示すように、中央部21のX方向(縦)の長さL21は1710mmであり、中央部21のY方向(横)の長さW21は530mmである。また、本実施の形態における中央部21は、厚みt21が30mm又は35mmで、密度ρ21が50kg/m3である。
中央部21は、例えば無数の糸状の樹脂繊維がランダムに絡み合うように形成された三次元網状のスプリング構造であるので、通気性、高反発性(クッション性)及び耐久性等の性能を有する。このように、三次元網状構造体である中央部21は、通気性を有するのでムレにくく、高反発性を有するので寝返りを打ちやすく、耐久性を有するので繰り返し圧縮に耐えることができる。なお、中央部21を構成する糸状の樹脂繊維としては、パイプ状に形成された中空の糸状の樹脂繊維を用いてもよい。これにより、より体圧分散性を確保しつつ、適度な硬さも確保できる。
周辺部22は、頭側周辺部22aと、足側周辺部22bと、右側周辺部22cと、左側周辺部22dとの4つの直方体部材によって構成されている。頭側周辺部22a、足側周辺部22b、右側周辺部22c及び左側周辺部22dは、それぞれ中央部21の4辺のうちの、頭側の辺、足側の辺、右側の辺及び左側の辺に接するように配置されている。このように、周辺部22は、中央部21の端部周辺を囲むように枠状に設けられており、利用者の端座位に対応する箇所に配設される。
図5に示すように、頭側周辺部22a及び足側周辺部22bのX方向(縦)の長さL22は100mmであり、頭側周辺部22a及び足側周辺部22bのY方向(横)の長さは、中央部21のY方向(横)の長さW21と同じで530mmである。また、右側周辺部22c及び左側周辺部22dのX方向(縦)の長さは中間部20のX方向(縦)の長さL20と同じで1910mmであり、右側周辺部22c及び左側周辺部22dのY方向(横)の長さW22は190mmである。
周辺部22は、発泡ウレタンからなる発泡ウレタン層である。つまり、頭側周辺部22a、足側周辺部22b、右側周辺部22c及び左側周辺部22dの素材は、いずれも同じ発泡ウレタン層である。本実施の形態における周辺部(発泡ウレタン層)22は、厚みt22が35mmで、密度ρ22が43kg/m3で、40%硬さH22が300N/314cm2である。つまり、周辺部22の密度ρ22は、中央部21の密度ρ21よりも小さい。
次に、表面層30について説明する。表面層30は、マットレス1をベッドに載置した場合に、最も利用者側に位置する第3の層である。つまり、マットレス1に横たわる利用者は、表面層30の表面上に横たわる。
表面層30は、発泡ウレタンからなる発泡ウレタン層である。本実施の形態における表面層(発泡ウレタン層)30は、厚みt30が20mmで、密度ρ30が30kg/m3で、40%硬さH30が110N/314cm2である。
図1A、図1B及び図6に示すように、表面層30は、全体形状が平板状の直方体であり、平面視形状が矩形状となっている。本実施の形態では、図6に示すように、表面層30のX方向(縦)の長さL30は1910mmであり、表面層30のY方向(横)の長さW30は910mmである。
このように構成されるマットレス1において、裏面層10、中間層20(中央部21、周辺部22)及び表面層30における各層の厚みは、上述のように、t10=30mm、t21=30mm又は35mm、t22=35mm、t30=20mmとなっている。つまり、表面層30の厚み(t3)が最も薄く、中間層20の厚み(t21、t22)が裏面層10の厚み(t1)と同等以上となっている。
また、裏面層10、中間層20(中央部21、周辺部22)及び表面層30における各層の密度は、上述のように、ρ10=30kg/m3、ρ21=50kg/m3、ρ22=43kg/m3、ρ3=30kg/m3となっている。つまり、裏面層10の密度(ρ10)と表面層30の密度(ρ30)とが同じで、中間層20の密度(ρ21、ρ22)は、裏面層10の密度(ρ10)及び表面層30の密度(ρ30)よりも大きくなっている。さらに、中間層20においては、中央部21の密度(ρ21)が周辺部22の密度(ρ22)よりも大きくなっている。
また、裏面層10、中間層20(中央部21、周辺部22)及び表面層30における各層の硬さは、H10=210N/314cm2、H22=300N/314cm2、H30=110N/314cm2となっている。つまり、中間層20の周辺部22が最も硬く、次に、裏面層10、表面層30の順で硬くなっている。このように、中間層20の周辺部22が非常に硬く、次に、裏面層10が硬く、表面層30は柔らかい、という関係になっている。
このように積層された裏面層10と中間層20と表面層30とは、接着剤によって固定することができる。この場合、例えば、発泡ウレタン層部分のみを接着剤で接着してもよいし、発泡ウレタン層だけではなく中間層20の中央部21(三次元網状構造体)についても接着剤で接着してもよい。
[ベッド]
次に、本発明の実施の形態1に係る電動ベッド2の全体構成について、図7を用いて説明する。図7は、本発明の実施の形態1に係る電動ベッドの斜視図である。なお、本実施の形態において、ベッドの長手方向(ベッドの長さ方向)をX方向とし、ベッドの短手方向(ベッドの幅方向)をY方向とし、鉛直方向をZ方向としている。
電動ベッド2は、病院、介護施設又は家庭において、要介護者又は患者等が利用するベッドであって、図7に示すように、利用者(人体)を支持するボトム210と、ボトム210の姿勢及び高さを調節する調節機構220と、ベッドフレーム230と、調節機構220に動作指令を与えるためのリモコン等の操作部(不図示)とを備える。なお、図示していないが、ボトム210の上には、上記のマットレス1が例えば布カバーを被せた状態で配置される。
ボトム210は、複数に分割されており、互いにヒンジ(蝶番)等で回動可能に順次連結された複数の部位(ボトム)からなる。図7に示すように、ボトム210は、例えば4つに分割されており、背ボトム211と、腰ボトム212と、膝ボトム213と、足ボトム(脚ボトム)214とを有する。
背ボトム211は、ベッドの利用者の背中部分に対応する位置に配置される。腰ボトム212は、ベッドの利用者の腰部分に対応する位置に配置される。膝ボトム213は、ベッドの利用者の大腿部分に対応する位置に配置される。足ボトム214は、ベッドの利用者の下腿部分に対応する位置に配置される。
調節機構220は、操作部から送られてくる動作指令に従ってボトム210の姿勢及び高さを調節する機構である。この調節機構220は、制御回路と、その制御回路による制御の下で動作する電動アクチュエータ(モータ等)と、電動アクチュエータによって可動するリンク機構(背上げリンク機構、膝上げリンク機構等)とを備える。
ベッドフレーム230は、例えば、ボトム210を支持するメインフレームと、ベッドを利用する利用者の頭側に設けられたヘッドボードと、その利用者の足側に設けられたフットボードとを備える。
このように構成される電動ベッド2では、背ボトム211、腰ボトム212、膝ボトム213及び足ボトム214の各ボトムの連結部分(ヒンジ)を支点としてギャッジ動作を行うことによって、ベッドの利用者の起き上がり動作を補助する。例えば、背ボトム211が背上げリンク機構によって可動するとともに、膝ボトム213及び足ボトム214が膝上げリンク機構によって可動する。これにより、ボトム210は、図8に示すような姿勢に変形する。
具体的には、まず、図7に示すように、背ボトム211、腰ボトム212、膝ボトム213及び足ボトム214が水平状態のボトム210の上にマットレス(不図示)を介して利用者が寝ているときに、ボトム210の背上げのギャッジ動作を行うための操作ボタンが押下されると、調節機構220の膝上げリンク機構が動作して、膝ボトム213と足ボトム214とが山形に起き上がるように傾斜する。
次いで、膝ボトム213及び足ボトム214の傾斜動作中に、調節機構220の背上げリンク機構が動作して、背ボトム211が起き上がるように傾斜する。その後、膝ボトム213及び足ボトム214は、最大膝上げ位置まで起き上がっていくと同時に、背ボトム211も最大背上げ位置まで起き上がっていく。これにより、ボトム210の背上げが完了する。このように、本実施の形態では、背上げに膝上げを連動させて利用者の起き上がり動作を補助している。
このとき、本実施の形態における腰ボトム212は、複数のユニット体212aが遊嵌した状態で連結されてなる連結ユニットを有する。これにより、背上げのギャッジ動作を行うと(つまり、背上げリンク機構によって背ボトム211が起き上がっていくと)、背ボトム211にヒンジで連結された腰ボトム212は、連結ユニットにおける各ユニット体212aがギャッジ動作に連動して少しずつ変位する。この結果、腰ボトム212は、図8に示すように、下に凸となるように適度な曲率で湾曲する。
[作用効果]
次に、本実施の形態におけるマットレス1の作用効果について、図9を用いて説明する。図9は、図7に示す電動ベッドのボトムに本実施の形態のマットレスを載置した場合における背上げ後の利用者の起き上がり状態を示す側面図である。なお、図9では、マットレス1を覆う布カバーを省略している。
図9に示すように、マットレス1は、背ボトム211、腰ボトム212、膝ボトム213及び足ボトム214の姿勢変形と連動して屈曲する。
具体的には、ギャッジ動作における膝ボトム213及び足ボトム214の姿勢変形に連動して、マットレス1における膝ボトム213と足ボトム214との連結部分に対応する箇所も山形に屈曲する。つまり、マットレス1における利用者の膝部分が上に凸となるように湾曲する。
この場合、本実施の形態では、マットレス1の裏面層10の裏面10aにおける膝ボトム213と足ボトム214との連結部分に対応する箇所には複数の第1凹部11が形成されており、複数の第1凹部11の各々は、深さが10mm以上、かつ、開口幅が20mm以上となっている。
これにより、マットレス1における膝ボトム213と足ボトム214との連結部分に対応する箇所は、ギャッジ動作における膝ボトム213及び足ボトム214の姿勢変形に連動して変形する。
本実施の形態では、ギャッジ動作によって膝ボトム213及び足ボトム214が上に凸となるように傾斜してボトム210が屈曲するので、図9に示すように、マットレス1は、このボトム210の屈曲形状に合った形で屈曲する。つまり、ボトム210のライン形状に合った形でマットレス1の自然なラインを形成することができる。このため、電動ベッド2のギャッジ動作においてマットレス1にしわやたるみ等が発生するといったことを抑制できる。
図10Aは、図9に示す状態のマットレス1の第1凹部11の周辺の断面図である。図10Aに示すように、ボトム210の屈曲形状に追従する形でマットレス1が湾曲変形していることが分かる。
なお、第1凹部11は、ボトム210が屈曲変形する前の状態においては(つまり、背ボトム211、腰ボトム212、膝ボトム213及び足ボトム214が平坦の状態においては)開口しており、ボトム210が屈曲変形するに従ってその開口幅が小さくなっていく。
このように、本実施の形態におけるマットレス1によれば、ギャッジ動作の膝上げによるボトム210の姿勢変形に精度良く追従させることができるので、優れたギャッジ性が得られる。したがって、寝心地のよいマットレスを実現できる。
また、本実施の形態において、第1凹部11は、電動ベッド2の短手方向に沿って裏面層10の一方の側端縁から他方の側端縁にわたって連続的に形成された溝であって、裏面層10の両側面の各々が開放するように形成されている。
これにより、マットレス1が屈曲しやすくなるので、マットレス1における膝ボトム213と足ボトム214との連結部分に対応する箇所は、膝ボトム213及び足ボトム214の姿勢変形に一層連動して変形する。したがって、ギャッジ動作の膝上げによるボトム210の姿勢変形にさらに精度良く追従させることができ、ギャッジ性に一層優れたマットレスを実現できる。
また、本実施の形態では、裏面層10と中間層20と表面層30との3層構造となっており、しかも、裏面層10と表面層30とこれらに挟まれる中間層20の周辺部22とが発泡ウレタンからなり、かつ、中間層20の中央部21が樹脂素材からなる三次元網状構造体からなる。さらに、周辺部22の密度は、中央部21の密度よりも小さい。
これにより、ギャッジ性だけではなく、体圧分散性、高反発性及び通気性にも優れたマットレスを実現できる。
しかも、中間層20の中央部21を樹脂素材からなる三次元網状構造体とし、それ以外の部分を発泡ウレタンとすることによって、中央部21が柔らかくなり過ぎることを抑制できる。
中間層20の周辺部22を発泡ウレタンにすることで利用者はマットレス1に腰掛けたときに端座位をとりやすいが、この場合、中央部21が柔らかすぎるとマットレス1に深く腰掛けたときにマットレスの周辺部と中央部とで硬度差が大きいので利用者の姿勢が安定しなくなる。このため、マットレス1に腰掛けた利用者は、起き上がりから立ち上がりの連動動作をスムーズに行うことができなくなる。
これに対して、本実施の形態では、中間層20の中央部21を樹脂素材からなる三次元網状構造体としているので、マットレス1の中央部は柔らかくなりすぎずに適度な硬さになる。このため、マットレス1に腰掛けた利用者は、端座位をとりやすく、かつ、中央部でも姿勢が安定する。したがって、マットレス1に腰掛けた利用者は、起き上がりから立ち上がりの連動動作をスムーズに行うことができる。
なお、本実施の形態では、マットレス1の端座位部分として、頭側周辺部22aと足側周辺部22bと右側周辺部22cと左側周辺部22dとの4つの発泡ウレタンからなる周辺部22を設けている。
また、本実施の形態では、ギャッジ動作における腰ボトム212の姿勢変形に連動して、マットレス1における腰ボトム212に対応する箇所も屈曲する。つまり、マットレス1における利用者の腰部分が下に凸となるように湾曲する。
この場合、本実施の形態では、マットレス1の裏面層10の裏面10aにおける腰ボトム212に対応する箇所には複数の第2凹部12が形成されている。
これにより、マットレス1における腰ボトム212に対応する箇所は、ギャッジ動作における腰ボトム212の姿勢変形に連動して変形する。本実施の形態では、ギャッジ動作によって腰ボトム212が下に凸となるように湾曲するので、図9に示すように、マットレス1は、この腰ボトム212の湾曲形状に合った形で湾曲する。したがって、さらにボトム210のライン形状に合った形でマットレス1の自然なラインを形成することができる。
図10Bは、図9に示す状態のマットレス1の第2凹部12の周辺の断面図である。図10Bに示すように、腰ボトム212の湾曲形状に追従する形でマットレス1が湾曲変形していることが分かる。
なお、第2凹部12は、ボトム210が屈曲変形する前の状態においては(つまり、背ボトム211、腰ボトム212、膝ボトム213及び足ボトム214が平坦の状態においては)開口しており、ボトム210が屈曲変形するに従ってその開口幅が大きくなっていく。
このように、本実施の形態では、ギャッジ動作の背上げによるボトム210の姿勢変形にも精度良く追従させることができる。したがって、さらにギャッジ性を向上させることができるので、一層寝心地の良いマットレスを実現できる。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2に係るマットレス1A及び電動ベッド2Aについて説明する。
[マットレス]
まず、本発明の実施の形態2に係るマットレス1Aの構成について、図11、図12、図13及び図14を用いて説明する。図11は、本発明の実施の形態2に係るマットレスを斜め上方から見たときの斜視図である。図12は、本発明の実施の形態2に係るマットレスにおける裏面層の背面図(裏面側から見た平面図)である。図13は、本発明の実施の形態2に係るマットレスにおける中間層の上面図である。図14は、本発明の実施の形態2に係るマットレスにおける表面層の上面図である。
図11に示すように、本実施の形態に係るマットレス1Aは、実施の形態1におけるマットレス1に対して、さらに、第1切り込み部13、第2切り込み部23及び第3切り込み部33が設けられた構成となっている。
図12に示すように、第1切り込み部13(第1カット部)は、裏面層10に一対形成されている。一対の第1切り込み部13は、一方が裏面層10の右側端部に形成され、他方が裏面層10の左側端部に形成されている。また、一対の第1切り込み部13は対向するように形成されている。
一対の第1切り込み部13の各々は、裏面層10における長手方向の頭側端縁から所定の位置に形成されている。本実施の形態において、各第1切り込み部13は、裏面層10における頭側端縁から距離L13の位置に形成されている。距離L13は、例えば570mmである。
さらに、一対の第1切り込み部13の各々は、裏面層10の厚さ方向(マットレス1Aの厚さ方向)に連通し、かつ、裏面層10の側端縁(マットレス1Aの側端縁)から内方に向かって切り欠かれている。本実施の形態において、各第1切り込み部13における裏面層10の側端縁からの切り欠き長さは190mmである。なお、各第1切り込み部13は、Y方向と平行に直線状に形成されている。
図13に示すように、第2切り込み部23(第2カット部)は、中間層20に一対形成されている。一対の第2切り込み部23は、一方が中間層20の右側周辺部22cに形成され、他方が中間層20の左側周辺部22dに形成されている。また、一対の第2切り込み部23は対向するように形成されている。
一対の第2切り込み部23の各々は、中間層20における長手方向の頭側端縁から所定の位置に形成されている。本実施の形態において、各第2切り込み部23は、中間層20における頭側端縁から距離L23の位置に形成されている。距離L23は、例えば570mmである。
さらに、一対の第2切り込み部23は、中間層20の厚さ方向(マットレス1Aの厚さ方向)に連通し、かつ、中間層20の側端縁(マットレス1Aの側端縁)から内方に向かって切り欠かれている。本実施の形態において、一対の第2切り込み部23の一方は、右側周辺部22cを上下に分断するように形成されており、一対の第2切り込み部23の他方は、左側周辺部22dを上下に分断するように形成されている。つまり、本実施の形態において、各第2切り込み部23における中間層20の側端縁からの切り欠き長さは190mmである。なお、各第2切り込み部23は、Y方向と平行に直線状に形成されている。
図14に示すように、第3切り込み部33(第3カット部)は、表面層30に一対形成されている。一対の第3切り込み部33は、一方が表面層30の右側端部に形成され、他方が表面層30の左側端部に形成されている。また、一対の第3切り込み部33は対向するように形成されている。
一対の第3切り込み部33の各々は、表面層30における長手方向の頭側端縁から所定の位置に形成されている。本実施の形態において、各第3切り込み部33は、表面層30における頭側端縁から距離L33の位置に形成されている。距離L33は、例えば570mmである。
さらに、一対の第3切り込み部33の各々は、表面層30の厚さ方向(マットレス1Aの厚さ方向)に連通し、かつ、表面層30の側端縁(マットレス1Aの側端縁)から内方に向かって切り欠かれている。本実施の形態において、各第3切り込み部33における表面層30の側端縁からの切り欠き長さは190mmである。なお、各第3切り込み部33は、Y方向と平行に直線状に形成されている。
このように、第1切り込み部13、第2切り込み部23及び第3切り込み部33は、マットレス1Aの同じ位置(L13=L23=L33=570mm)及び同じ長さ(190mm)で形成されているので、図11に示すように、マットレス1Aにおける1つの切り込み部として一体化されている。つまり、第1切り込み部13、第2切り込み部23及び第3切り込み部33は、マットレス1Aの厚み方向に連続して形成されている。
なお、本実施の形態において、第1切り込み部13、第2切り込み部23及び第3切り込み部33は、一定の切り込み幅を有するようにマットレス1Aの一部を除くように切り欠いて形成されているが、単にマットレス1Aを切断するように形成されていてもよい。後者の場合、第1切り込み部13、第2切り込み部23及び第3切り込み部33は、ボトム210が屈曲変形する前の状態においては(つまり、背ボトム211、腰ボトム212、膝ボトム213及び足ボトム214が平坦の状態においては)開口していていない。
[ベッド]
次に、本発明の実施の形態2に係る電動ベッド2Aの全体構成について、図15を用いて説明する。図15は、本発明の実施の形態2に係る電動ベッドの斜視図である。
図15に示すように、本実施の形態における電動ベッド2Aでは、実施の形態1と同様に、ボトム210Aが、背ボトム211Aと、腰ボトム212Aと、膝ボトム213と、足ボトム214との4つに分割されている。
本実施の形態では、利用者の上半身を支持する背ボトム211Aがさらに電動ベッド2の幅方向に分割されており、右側背ボトム211a、中央背ボトム211b及び左側背ボトム211cで構成される。
右側背ボトム211aと中央背ボトム211bとは、ヒンジ等で回動可能に連結され、同様に、左側背ボトム211cと中央背ボトム211bとは、ヒンジ等で回動可能に連結されている。つまり、右側背ボトム211aは、中央背ボトム211bに対して、上方に傾斜する方向に回動可能に中央背ボトム211bと連結されている。同様に、左側背ボトム211cも、中央背ボトム211bに対して、上方に傾斜する方向に回動可能に中央背ボトム211bと連結されている。なお、背ボトム211Aのうち、中央背ボトム211bが腰ボトム212Aと連結されている。
また、本実施の形態において、腰ボトム212Aは、膝ボトム213及び足ボトム214と同様に板部材としているが、実施の形態1と同様に、背上げのギャッジ動作に連動して湾曲する腰ボトム212を用いてもよい。
このように構成されるボトム210Aにおいて、背ボトム211Aが下降しているときには、背ボトム211A(右側背ボトム211a、中央背ボトム211b及び左側背ボトム211c)は平坦面を形成している。
そして、背上げのギャッジ動作によって背ボトム211Aが起き上がると、背ボトム211の傾斜角度が大きくなるに従って、中央背ボトム211bに対する右側背ボトム211a及び左側背ボトム211cの傾斜角度が大きくなっていく。つまり、背ボトム211Aの両サイド部分をなす右側背ボトム211a及び左側背ボトム211cが利用者に向かって起き上がっていく。
このように、本実施の形態における電動ベッド2Aは、ギャッジ動作によって背ボトム211Aがサイドアップするように構成されている。
[作用効果]
次に、本実施の形態におけるマットレス1Aの作用効果について、図16を用いて説明する。図16は、図15に示す電動ベッドのボトムに本実施の形態のマットレスを載置した場合における背上げ時の状態を示す斜視図である。なお、図16では、マットレス1Aを覆う布カバーを省略している。
本実施の形態でも、マットレス1Aは、背ボトム211A、腰ボトム212A、膝ボトム213及び足ボトム214の姿勢変形と連動して屈曲する。
本実施の形態でも、マットレス1Aの裏面層10の裏面10aにおける膝ボトム213と足ボトム214との連結部分に対応する箇所には、複数の第1凹部11が形成されている。
これにより、マットレス1Aにおける膝ボトム213と足ボトム214との連結部分に対応する箇所は、ギャッジ動作における膝ボトム213及び足ボトム214の姿勢変形に連動して変形する。
また、本実施の形態でも、マットレス1Aの裏面層10の裏面10aにおける腰ボトム212Aに対応する箇所には、複数の第2凹部12が形成されている。
これにより、マットレス1Aにおける腰ボトム212Aに対応する箇所は、ギャッジ動作における腰ボトム212の姿勢変形に連動して湾曲する。
さらに、本実施の形態におけるマットレス1Aには、当該マットレス1Aの厚さ方向に連通し、かつ、マットレス1Aの側端縁から内方に向かって切り欠くように、第1切り込み部13、第2切り込み部23及び第3切り込み部33が設けられている。しかも、第1切り込み部13、第2切り込み部23及び第3切り込み部33は、背ボトム211Aにおける中央背ボトム211bと右側背ボトム211aとの第1連結部分と、背ボトム211Aにおける中央背ボトム211bと左側背ボトム211cとの第2連結部分とに対応する箇所に設けられている。
これにより、図16に示すように、マットレス1Aにおける背ボトム211Aの上記第1連結部分及び上記第2連結部分に対応する箇所は、背上げのギャッジ動作における背ボトム211Aのサイドアップによる姿勢変形(すなわち、右側背ボトム211a及び左側背ボトム211cが中央背ボトム211bに対する傾斜角度が大きくなっていくこと)に連動して変形する。したがって、ボトム210Aのライン形状に合った形でマットレス1Aの自然なラインを形成することができる。
図17は、図16に示す状態のマットレス1Aの切り込み部(第1切り込み部13、第2切り込み部23、第3切り込み部33)の周辺の斜視図である。図17に示すように、背ボトム211Aの姿勢変形(つまり、中央背ボトム211bに対する右側背ボトム211aの傾斜角度の変化)に追従する形でマットレス1Aが変形していることが分かる。
このように、本実施の形態におけるマットレス1Aによれば、サイドアップ機能を有する背ボトム211Aを有する電動ベッド2Aであっても、背上げ及び膝上げのギャッジ動作によるボトム210Aの姿勢変形に精度良く追従させることができる。これにより、優れたギャッジ性が得られるので、寝心地のよいマットレスを実現できる。
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3に係るマットレス1Bについて説明する。
まず、本発明の実施の形態3に係るマットレス1Bの構成について、図18を用いて説明する。
図18に示すように、本実施の形態に係るマットレス1Bは、実施の形態1におけるマットレス1に対して、頭側周辺部22aと足側周辺部22bの密度を、右側周辺部22cと左側周辺部22dの密度より小さくしている。
マットレスは使用後、洗浄や乾燥等の作業を行い、繰り返し使用することが想定されるものである。ここで、頭側周辺部22aと足側周辺部22bの密度を右側周辺部22cと左側周辺部22dの密度より小さくすることにより、頭側から足側あるいは足側から頭側へ向けての通気性がよくなり、乾燥時間をより少なくすることができる。
なお、本実施の形態におけるマットレス1Bは、実施の形態1における電動ベッド2等に適用することができる。
(その他変形例等)
以上、本発明に係るマットレス及びベッドについて、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態において、マットレス1、1A及び1Bに複数の第1凹部11と複数の第2凹部12をそれぞれ形成したが、少なくともいずれか一方の凹部が少なくとも1つ以上あればよい。この場合、凹部を形成しない箇所には、凹部を形成する代わりに線状に連続切り込み部(第4切り込み部)を少なくとも1つ以上設けてもよい。つまり、連続切り込み部は、裏面層10の裏面10aにおいて、マットレスの短手方向に沿って裏面層10の一方の側端縁から他方の側端縁にわたって連続的に直線状に形成されている。連続切り込み部は、裏面層10の厚み方向に貫通していてもよいし貫通していなくてもよい。また、連続切り込み部は、一定の切り込み幅を有するようにマットレスの一部を除くように形成されていてもよいが、単にマットレスを切断するように形成されていてもよい。後者の場合、連続切り込み部は、ボトム210が屈曲変形する前の状態(ボトム210が平坦の状態)においては開口していないが、ボトム210が屈曲変形するに従って連続切り込み部は開口するように変形する。
また、マットレス1、1A及び1Bは電動ベッドに載置したが、マットレス1、1A及び1Bは非電動のボトムが変形するベッドにも適用することができる。
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。