(実施の形態)
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置や接続形態、組立や製造の工程(ステップ)又は工程の順序等は、一例であって本発明を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
(建物ユニット)
まず、本発明の実施の形態に係る建物ユニット1の構成について、図1〜図3を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る建物ユニットを屋内側の面から見たときの斜視図である。図2は、同建物ユニットの建築構造及び設備を示す図であり、図1に示される建物ユニットの壁下地材を透過して示している。図3は、同建物ユニットを屋外側の面から見たときの斜視図である。
図1に示される建物ユニット1は、建物(建築物)の一部を構成するものであり、建築現場以外で予め組み立てられた1つ又は複数のユニット(単位ユニット)と、建物に関する種々の設備とを有する。本実施の形態における建物ユニット1は、当該建物ユニット1をコアとして建物を建築するためのコアユニットである。建物は、例えば住宅であるが、店舗、工場又は倉庫等の非住宅であってもよい。
建物ユニット1のサイズは、一例として、平面サイズが3460mm×1820mm(2坪)で、全高が3600mmである。なお、図1に示される一点破線は、建物ユニット1を用いて建物を建築する際の当該建物における建築構造体(図1では7本の梁)を示している。
建物ユニット1は、例えば2階建て以上の住宅の一部を構成する住宅ユニットであり、複数階の各々の階を構成する単位ユニットを複数個積み上げて構成されている。本実施の形態における建物ユニット1は、2階建て住宅の一部を構成するものであり、図1〜図3に示すように、第1ユニット11及び第2ユニット12の2つの単位ユニットを積み重ねることによって構成されている。
図2に示すように、建物ユニット1は、さらに、第1ユニット11と第2ユニット12の間に配置されるスペーサ80を有する。
また、建物ユニット1は、単位ユニットごとに工場(敷地や建屋)等の建築現場以外の場所で予め組み立てられている。つまり、第1ユニット11及び第2ユニット12の各々は、例えば工場等で予め組み立てられている。このように、第1ユニット11及び第2ユニットは工場等で各種設備が予め組み込まれた工業化ユニットであるので、高品質かつ高機能のユニットを低コストで製造することができる。また、スペーサ80についても、第1ユニット11及び第2ユニット12と同様に、工場等の建築現場以外の場所で予め組み立てられている。
工場で組み立てられた第1ユニット11及び第2ユニット12とスペーサ80とは、トラック等によって建築現場に運搬され、建築現場で積み重ねられて連結固定される。具体的には、建築現場において、第1ユニット11の上にスペーサ80を載置し、さらに、スペーサ80の上に第2ユニット12を載置する。積み上げられた、第1ユニット11、スペーサ80及び第2ユニット12は、ボルト等を用いて互いに連結固定される。このように、スペーサ80は、建築現場において第1ユニット11と第2ユニット12の間に配置される。
第1ユニット11は、複数階のうちの一の階を構成する単位ユニットであり、本実施の形態では、建物ユニット1の1階部分を構成する下ユニットである。第2ユニット12は、複数階のうちの他の階を構成するユニットであり、本実施の形態では、建物ユニット1の2階部分を構成する上ユニットである。つまり、第2ユニット12は、第1ユニット11の上方の階を構成するユニットであり、本実施の形態では、第1ユニット11の直上階を構成するユニットである。
第1ユニット11及び第2ユニット12の高さは、第1ユニット11及び第2ユニット12を各ユニット単位でトラック等の運搬車両の荷台に載せたときに、道路交通法の高さ制限を超えないような高さに設定されている。本実施の形態において、第1ユニット11の高さと第2ユニット12の高さは同じであり、一例として全高2800mmである。
第1ユニット11は、例えば木造軸組構法による建築構造体(軸組構造体)11aを有する。第2ユニット12は、第1ユニット11と同様に、例えば木造軸組構法による建築構造体(軸組構造体)12aを有する。建築構造体11a及び12aは、複数の柱や梁等の建材からなる軸組と、根太等の建材からなる床組とによって構成されており、工場等の建築現場以外の場所において予め組み立てられている。
なお、建築構造体11a及び12aは、少なくとも柱を有していればよく、梁は建築現場で組み合わせる場合もあり必ずしも必要ではない。この場合、複数の柱を梁以外で固定しておくことが好ましく、例えば、壁下地材等の下地材(構造用合板等)等を複数の柱に架することで複数の柱を固定することができる。
第1ユニット11と第2ユニット12との固定は、例えばボルトとナットとを用いて行うことができる。この場合、第1ユニット11における建築構造体11aの梁と第2ユニット12における建築構造体12aの梁とに複数のボルトを貫通させて、ナットで締め付けることによって第1ユニットと第2ユニットとを連結固定することができる。
以下、第1ユニット11及び第2ユニット12の構成について、図1〜図3を参照しながら、図4〜図7を用いて詳細に説明する。図4は、図1に示される建物ユニットに設置された各種設備を示す図である。図5は、第1ユニットの平面断面図であり、図6は、第2ユニットの平面断面図であり、図7は、第1ユニット及び第2ユニットの側断面図である。
なお、図4等において、各種配管に付した符号については同種の配管全てに付したものではなく、同種の配管であっても符号を付していないものも存在する。また、各図において、建築構造体11a及び12aにおける梁や柱の本数及び形状は、厳密に一致していない場合がある。
図1、図3、図5〜図7に示すように、第1ユニット11及び第2ユニット12は、壁下地材13(外壁下地材13a、内壁下地材13b)、天井下地材14及び床下地材15を有する。壁下地材13、天井下地材14及び床下地材15は、例えば、構造用合板、ボード又はパネル等の板材であり、建築構造体11a及び12aに取り付けられている。建築構造体11a及び12aとスペーサ80とは、壁下地材13によって覆われており、壁下地材13を取り付けた後は外からは見えなくなっている。
一例として、図1及び図3に示すように、建築構造体11a及び12aの4つの外側面のうち、後述する凹部16が形成された一の外側面には外壁下地材13aが取り付けられており、それ以外の3つの外側面には内壁下地材13bが取り付けられている。
なお、本実施の形態における第1ユニット11及び第2ユニット12では、壁下地材13、天井下地材14及び床下地材15は、建築構造体11a及び12aの施工の際に、工場で予め取り付けられているが、工場ではなく建築現場で取り付けてもよい。つまり、建物ユニット1は、図2に示すように、壁下地材13、天井下地材14及び床下地材15がなく、建築構造体11a及び12aと設備とのみによって構成されていてもよい。
また、外壁下地材13aを取り付けた後に、さらに、外壁下地材13aに、板壁、塗壁又は張壁等の外壁を施工してもよい。同様に、内壁下地材13b及び天井下地材14を取り付けた後に、内壁下地材13b及び天井下地材14に、クロスやタイル等の内装材を施工してもよいし、床下地材15を取り付けた後に、床下地材15にフローリングや畳等の床材を施工してもよい。なお、外壁、内装材及び床材の施工は、工場で予め行ってもよいし、建築現場で行ってもよい。
その他に、本実施の形態では、図1に示すように、第1ユニット11には、引き戸等の室内ドア21aと、上下階空気循環ダクト44(第1空気循環ダクト44a)に接続された換気孔22aとが設けられている。さらに、第1ユニット11には、図3に示すように、第1給排気ダクト45aに接続された換気孔を覆う屋外フード23aが設けられている。
また、図1に示すように、第2ユニット12には、引き戸等の室内ドア21bと、上下階空気循環ダクト44(第2空気循環ダクト44b)に接続された換気孔22bとが設けられている。さらに、第2ユニット12には、図3に示すように、第2給排気ダクト45bに接続された4つの換気孔を覆う4つの屋外フード23bと、ユニットバス32の窓24bが設けられている。
次に、建物ユニット1に設置される設備について、詳細に説明する。
建物ユニット1は、水廻り設備、空調設備及び電気設備等の設備(住宅設備)を有しており、これらの設備は、工場等の建築現場以外の場所で建物ユニット1に予め設置される。なお、建物ユニット1は、これらの設備の少なくとも1つを有していればよい。
水廻り設備としては、例えば、ユニットバス(浴室)、トイレ、洗面台及びキッチン等の室内に設置されてユーザが使用する設備機器、水を湯に変える給湯器(給湯システム)、並びに、天井裏や床下、壁内等のパイプスペースに設置される配水管(排水管、給水管及び給湯管)等が挙げられる。
空調設備としては、例えば、室内に設置されるエアコン等の空調室内機、屋外に設置される空調室外機、及び、天井裏等に設置される熱交換器等の設備機器、並びに、パイプスペースに設置されるダクト等の各種配管等が挙げられる。
電気設備としては、分電盤、情報盤、設備機器を操作するための操作盤、創蓄連携機器(創蓄連携システム)、及び、照明等の設備機器、並びに、スイッチ、コンセント及び配線(情報配線、電気配線)等の配線設備等が挙げられる。分電盤、情報盤、操作盤、創蓄連携機器、照明、スイッチ及びコンセントは、屋内に設置される。また、情報配線や電気配線等の配線は、天井裏や床下、壁内等に設置される。
本実施の形態における建物ユニット1は、水廻り設備を集約させた水廻りコア部に住宅の主要な設備機器をまとめた構成となっている。これにより、住宅に設置する設備機器の大半を建物ユニット1(本実施の形態では2坪)に収めることができるので、小さな住宅でも広い居住空間を確保することができる。
具体的には、図2、図4、図5〜図7に示すように、建物ユニット1は、水廻り設備として、トイレ31、ユニットバス32、洗面台33、給湯管34、給水管35、及び、排水管36を有する。
トイレ31、ユニットバス32及び洗面台33は、給湯管34によって給湯器60の貯湯タンクと配管接続されている。また、トイレ31、ユニットバス32及び洗面台33は、給水管35及び排水管36に配管接続されている。
より具体的には、図4、図5及び図7に示すように、1階部分を構成する第1ユニット11に、第1給湯管(下給湯管)34a、第1給水管(下給水管)35a及び第1排水管(下排水管)36aが設置されている。一方、図4、図6及び図7に示すように、2階部分を構成する第2ユニット12には、トイレ31、ユニットバス32、洗面台33、第2給湯管(下給湯管)34b、第2給水管(下給水管)35b及び第2排水管(下排水管)36bが設置されている。なお、図4に示すように、本実施の形態では、第2ユニット12には洗濯機37が設置されており、洗濯機37には第2給水管35bが配管接続されている。
これらの水廻り設備は、工場において予め建築構造体11a又は12aに組み込まれている。また、水廻り設備は、建築現場における現場施工により、給水管35を介して上水道に配管接続されるとともに、排水管36を介して下水道に配管接続される。なお、建物ユニット1は、これらの水廻り設備の少なくとも1つを有していればよい。また、これら以外に、キッチン等の他の水廻り設備を有していてもよい。
また、図4に示すように、建物ユニット1は、空調設備として、エアコン(空調室内機)41と、エアコン室外機(空調室外機)42と、全熱交換器43と、上下階空気循環ダクト44と、給排気ダクト45と、冷媒管46と、ドレイン管47とを有する。
エアコン41とエアコン室外機42とは冷媒管46によって配管接続されている。また、エアコン41及びエアコン室外機42にはドレイン管47が配管接続されており、エアコン使用時に発生する不要な水はこのドレイン管47を通じて建物ユニット1の外部に排出される。
より具体的には、図4及び図7に示すように、1階部分を構成する第1ユニット11に、第1空気循環ダクト(下空気循環ダクト)44a、第1給排気ダクト(下給排気ダクト)45a、第1冷媒管(下冷媒管)46a及び第1ドレイン管(下ドレイン管)47aが設置されている。一方、図4及び図7に示すように、第2ユニット12には、全熱交換器43、第2空気循環ダクト(上空気循環ダクト)44b、第2給排気ダクト(上給排気ダクト)45b、第2冷媒管(上冷媒管)46b及び第2ドレイン管(上ドレイン管)47bが設置されている。
これらの空調設備は、工場において予め建築構造体11a又は12aに組み込まれている。なお、建物ユニット1は、これらの空調設備の少なくとも1つを有していればよく、また、これら以外の空調設備を有していてもよい。
また、図4に示すように、建物ユニット1は、電気設備として、分電盤51と、情報盤52と、操作盤53と、創蓄連携機器54とを有する。図示しないが、建物ユニット1は、電気設備として、照明、スイッチ、コンセント及び配線(情報配線、電気配線)等も有する。
より具体的には、図4、図5及び図7に示すように、1階部分を構成する第1ユニット11に、分電盤51、情報盤52、操作盤53及び創蓄連携機器54が設置されている。分電盤51、情報盤52、情報盤52及び創蓄連携機器54は、第1ユニット11に設けられた収納室17に集約収納されている。収納室17は、第1ユニット11の凹部16の横に設けられている。
これらの電気設備は、工場において予め建築構造体11a又は12aに組み込まれている。なお、建物ユニット1は、これらの電気設備の少なくとも1つを有していればよく、また、これら以外の電気設備を有していてもよい。
このように、水廻り設備、空調設備及び電気設備は、第1ユニット11及び第2ユニット12の両方に設置されていてもよいが、いずれか一方のみに設置されていてもよい。つまり、水廻り設備、空調設備及び電気設備は、全ての階に設置されていてもよいし、いずれか1つの階にのみ設置されていてもよいし、あるいは、2階建て以上の場合は、全ての階ではないが、複数の階に設置されていてもよい。また、水廻り設備を2階以上の部屋に設置する場合、水廻り設備は、下層階に配管された配水管に接続される。
さらに、本実施の形態における建物ユニット1は、CO2を冷媒とするヒートポンプを利用した給湯設備(給湯システム)を有する。図3及び図4に示すように、この給湯設備は、室外機として、貯湯タンク及びヒートポンプユニットを内蔵する給湯器60を有している。つまり、給湯器60は、屋外に設置される。室内に設置された水廻り設備は、給湯管34によって給湯器60内の貯湯タンクに配管接続されている。なお、図示しないが、ヒートポンプユニットは、貯湯タンクと配水管によって接続された水熱交換器と、水熱交換器と冷媒管によって接続された空気熱交換器とを有する。
さらに、本実施の形態における建物ユニット1は、図3及び図4に示すように、電気設備と電気配線によって接続された蓄電装置(パワーステーション)70を有する。蓄電装置70に蓄電された電力は、必要に応じて電気配線によって各電気設備に供給される。蓄電装置70は、室外機であり、屋外に設置される。
第1ユニット11の各種配管は、第2ユニット12の各種配管に対応しており、第1ユニット11と第2ユニット12とを積み重ねたときに、第1ユニット11の配管と第2ユニット12の配管とが配管接続される。具体的には、第1給湯管34a、第1給水管35a、第1排水管36a、第1空気循環ダクト44a、第1給排気ダクト45a、第1冷媒管46a及び第1ドレイン管47aのそれぞれが、第2給湯管34b、第2給水管35b、第2排水管36b、第2空気循環ダクト44b、第2給排気ダクト45b、第2冷媒管46b及び第2ドレイン管47bのそれぞれに配管接続される。
この場合、第1給湯管34a、第1給水管35a及び第1排水管36aの各々が、第2給湯管34b、第2給水管35b及び第2排水管36bの各々と配管接続されて、各々が一続きの配管として、給湯管34、給水管35及び排水管36が構成される。なお、給湯管34、給水管35及び排水管36は、必要に応じて複数本ずつ設けられていてもよい。
同様に、第1空気循環ダクト44aと第2空気循環ダクト44bとが連結されて1つの上下階空気循環ダクト44が構成され、第1給排気ダクト45aと第2給排気ダクト45bとが連結されて1つの給排気ダクト45が構成される。また、第1冷媒管46aと第2冷媒管46bとが連結されて1つの冷媒管46が構成され、第1ドレイン管47aと第2ドレイン管47bとが連結されて1つのドレイン管47が構成される。なお、冷媒管46には、冷媒が充填封止される。
このように、本実施の形態では、給湯管34、給水管35、排水管36、上下階空気循環ダクト44、給排気ダクト45、冷媒管46及びドレイン管47は、上下階を連通するように上下階にわたって配管されている。
また、エアコン室外機42、給湯器60及び蓄電装置70等の室外機は、屋外に設置される。これらの室外機は、建築現場で各設備に接続される。例えば、エアコン室外機42は、冷媒管46及びドレイン管47によってエアコン41と接続される。また、給湯器60の貯湯タンクは、給湯管34によって水廻り設備(ユニットバス、トイレ、洗面等)に接続される。蓄電装置70は、電気配線によって各種電気設備に接続される。
図3〜図5に示すように、建物ユニット1は、屋内側に凹むように構成された凹部16を有する。凹部16は、住宅の最上階以外の階に設けられ、本実施の形態では、1階部分を構成する第1ユニット11に設けられている。また、凹部16は、第1ユニット11の外側面の一部を凹ませるように設けられている。具体的には、凹部16は、第1ユニット11の外側面のうち上部18aと対向する一対の側壁18bとを残してそれ以外の部分を凹ませるように設けられている。凹部16における屋内側への凹み量(後退量)は、例えば600mmである。
凹部16は、建物ユニット1を構成する建築構造の一部を屋内側に凹ませることによって構成された空間領域である。本実施の形態において、凹部16は、建築構造体11aの骨組みによって構成されている。具体的には、建築構造体11aの一部に軸組及び床組が存在しない箇所を設けることによって凹部16を形成している。なお、建物ユニット1において、凹部16が形成された外側面は、屋外側の面である。つまり、凹部16の内面には外壁が施される。
そして、このように構成される凹部16には、室外機が設置される。具体的には、図3〜図5に示すように、凹部16には、エアコン室外機42、給湯器60及び蓄電装置70が凹部16のスペース内に収まるようにして凹部16に収納されている。このように、凹部16は、住宅設備の室外機を設置するためのスペースとして用いることができる。本実施の形態において、凹部16内には、建物ユニット1に組み込まれた設備に接続された全ての室外機が配置されている。なお、室外機の凹部16への設置は、例えば、建築現場で行われる。このように、凹部16に室外機を設置することによって、室外機を屋外に設置することで敷地内の空きスペースが狭くなることを回避でき、敷地内の空きスペースを有効利用することができる。
また、本実施の形態では、凹部16の上には上面部として上部18aが存在し、上部18aがひさしとして機能する。これにより、室外機にフード等を設けなくても、室外機を凹部16に設置することで、室外機が風雨や直射日光に曝されることを抑えることができるので、室外機が故障したり寿命が短くなったり機能性能が低下したりすることを抑制できる。
また、図3及び図5に示すように、本実施の形態において、凹部16には、屋内に通じる扉19が設けられている。これにより、扉19を通じて屋内と屋外の出入りを行うことができる。また、室外機を凹部16に設置する際、屋内に運んだ室外機を扉を通じて屋外に運び出すことができる。したがって、住宅の外壁と土地境界とのスペースが狭くて屋外から室外機を凹部16に運搬することができない場合であっても、扉19を通じて室外機を屋内から屋外に運び出すことができるので、容易に室外機を凹部に設置することができる。
ここで、スペーサ80について、図8を用いて詳細に説明する。図8は、本発明の実施の形態に係る建物ユニット1に用いられるスペーサの構成を示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は(a)のA−A線における断面図である。
図8(a)に示すように、スペーサ80は、枠体を有する。具体的には、図8の(a)〜(c)に示すように、スペーサ80は、ロ字状に配置された4本の木材からなる枠体と、枠体を構成する一対の木材を架するように配置された1本の木材からなる梁(横架材)とによって構成されている。
上述のとおり、スペーサ80は、図2及び図7に示すように、第1ユニット11と第2ユニット12の間に配置される。具体的には、スペーサ80は、第1ユニット11の建築構造体11aにおける第2ユニット12側の外枠を構成する梁(横架材)と第2ユニット12の建築構造体12aにおける第2ユニット12側の外枠を構成する梁(横架材)とに挟持される。
そして、スペーサ80は、第1ユニット11を構成する梁及び第2ユニット12を構成する梁の少なくとも一方に固定される。本実施の形態において、スペーサ80は、第1ユニット11を構成する梁及び第2ユニット12を構成する梁の両方に固定されている。
また、本実施の形態では、スペーサ80は、第2ユニット12の床面の高さを調整するための高さ調整部材として用いることができる。つまり、第1ユニット11と第2ユニット12との間にスペーサ80を挿入することによって、第2ユニット12の床面の高さをスペーサ80の高さ(厚み)の分だけ底上げすることができる。
さらに、第2ユニット12の床面の高さを複数段階で調整できるように、予め高さの異なる複数のスペーサ80(高さ調整部材)が用意されているとよい。これにより、スペーサ80の高さに応じて、第2ユニット12の床面の高さを調整することができる。例えば、5cmきざみで高さの異なる複数のスペーサ80を作製しておいてもよい。なお、第1ユニット11と第2ユニット12との間に複数のスペーサ80を積み上げることでも、第2ユニット12の床面の高さを調整することができる。
なお、スペーサ80を用いて第2ユニット12の高さを高くした場合、建物ユニット1の各種配管(給湯管34、給水管35、排水管36、上下階空気循環ダクト44、給排気ダクト45、冷媒管46、ドレイン管47等)の高さ方向の長さを長くする必要がある。この場合、配管の一部を蛇腹構造等の伸縮構造にしておくことによって、第2ユニット12の高さが高くなっても、この伸縮構造を伸すことによって、別途配管を継ぐことなく配管の長さを長くすることができる。
また、図8に示すスペーサ80を備える建物ユニット1を用いて在来工法で住宅を建てる場合、スペーサ80には建築現場で施工される建築構造体が接続されていてもよく、例えば、図9に示すように、スペーサ80に梁3Xを接続してもよい。
以上、本実施の形態に係る建物ユニット1によれば、建築現場において、第1ユニット11と第2ユニット12との間にスペーサ80を配置することができる。
これにより、運搬車両における道路交通法規による高さ制限を受けて、第1ユニット11及び第2ユニット12の高さを高くできなかった場合等でも、第1ユニット11と第2ユニット12との間にスペーサ80を挿入することによって、第2ユニット12の床面の高さを底上げして第2ユニット12の床面の高さを調整することができる。
したがって、工場で組み立てられた第1ユニット11及び第2ユニット12を建築現場に運搬して建物ユニット1を組み立てて当該建物ユニット1に他の建築構造体(現場施工される建築構造体)を組み合わせて住宅等の建物を完成させる場合であっても、現場施工された他の建築構造体の2階の床面の高さと第2ユニット12の床面の高さとを容易に一致させることができる。
このように、本実施の形態における建物ユニット1によれば、建物ユニット1と現場施工された建築構造体とをうまく適合させることができる。
なお、本実施の形態において、工場で組み立てられた建物ユニット1の梁と現場施工された建築構造体の梁とは、別体としたが、一体であってもよい。
この場合、現場施工される建築構造体における梁等をスペーサの一部として予め工場で接続してあってもよい。例えば、図9に示される梁3Xをスペーサ80の一部として予め工場で連結しておいてもよい。あるいは、梁3Xを後付けするのではなく、図10A及び図10Bに示されるスペーサ80Aのように、建築現場で梁として用いる部分として一部が突出するように、スペーサの枠体の建築材として長尺状の木材等を用いてもよい。具体的には、第1ユニット11と第2ユニット12との間に配置されたスペーサ80Aは、当該スペーサ80Aの一部が第1ユニット11及び第2ユニット12から水平方向に突出するよう延設された構成となっている。これにより、スペーサ80Aのうち突出した部分を現場施工する建築構造体の梁として用いることができるので、建物ユニット1と現場施工された建築構造体とを一層うまく適合させることができる。言い換えると、スペーサ80Aは、建物ユニット1をコアとして建築現場で施工される建築構造体における梁の一部となっている。
なお、スペーサ80Aとして、木材の梁の上下を金属のパーツで挟み込んで強化した構成のものを用いてもよい。
(建物)
次に、本発明の実施の形態に係る建物2の構成について、図11を用いて説明する。図11は、本発明の実施の形態に係る建物の構成を示す図であり、(a)は2階間平面図、(b)は1階平面図、(c)は側断面図、(d)は正面断面図、(e)は側面図、(f)は正面図である。
建物2は、例えば、住宅敷地内に建築された一般住宅であり、図11に示すように、運搬されて建築現場に設置された建物ユニット1と、建物ユニット1をコアとして建築現場で施工された建築構造体3とを備える。
建物ユニット1を建てる際、必要に応じて、スペーサ80又は80A(不図示)を配置すればよい。また、建築構造体3は、在来工法で施工される。つまり、建物ユニット1以外は、在来工法で施工される。
なお、建物ユニット1は、図11に示すように、建物2の後ろ側の中央部に設けられているが、建物2の角部に設置されていてもよい。
(建物ユニットを用いた建物の建て方)
次に、本発明の実施の形態に係る建物ユニット1を用いた建物2の建て方について、図12A〜図12Fを用いて説明する。図12A〜図12Fは、本発明の実施の形態に係る建物ユニットを用いた建物の建て方を説明するための図である。なお、建物2は、図11と同様に、一般住宅である。
まず、第1ユニット11及び第2ユニット12の各々とスペーサ80とを工場等で予め組み立てておく。そして、第1ユニット11及び第2ユニット12の各々とスペーサ80とをトラック又はトレーラー等の運搬車両によって工場から建築現場まで運搬する。このように、第1ユニット11及び第2ユニット12を1つのユニット単位で運搬することによって、トラック等の運搬車両で運搬する場合であっても道路交通法の高さ制限を超えることなく運搬することができる。
図12Aに示すように、建築現場では基礎工事の施工が行われており、住宅敷地内に基礎3aが築かれている。また、屋外の配管工事の施工も行われている。なお、基礎3aにはアンカーボルトが固定されている。
次に、図12Bに示すように、建築現場に運搬された第1ユニット11をクレーン100によって基礎3aの所定の位置に設置する。このとき、第1ユニット11は、基礎3aのアンカーボルトに固定される。
次に、図12Cに示すように、第2ユニット12をクレーム100によって第1ユニット11の上に設置する。このとき、第2ユニット12の床面の高さを底上げする場合等、必要に応じて、第1ユニット11と第2ユニット12との間にスペーサ80を配置する。なお、スペーサ80に代えてスペーサ80Aを用いてもよい。また、第2ユニット12と第1ユニット11とについてはスペーサ80を介してボルト等を用いて連結固定する。これにより、基礎3aの上において建物ユニット1が完成する。
次に、図12Dに示すように、建物ユニット1をコアとして住宅を構成する建築構造体を施工する。本実施の形態における建築構造体は、木造軸組構法によって施工される。具体的には、クレーン100によって基礎3aに柱及び梁等の建築材3bを設置して固定する。このとき、建物ユニット1にも梁が連結される。また、床板等も設置する。
次に、図12Eに示すように、屋根工事の施工を行って、梁等の建築材3a及び建物ユニット1の上に屋根3cを設置する。また、外壁工事等の施工も行って、建築構造体に外壁を設置する。
次に、図12Fに示すように、内装工事や設備工事等の周辺工事の施工を行う。これにより、建物2が完成する。また、室外機を設置して建物2の設備に接続する。
(変形例等)
以上、本発明に係る建物ユニット及び建物等について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態において、スペーサ80は、第1ユニット11及び第2ユニット12と別体としたが、第1ユニット11又は第2ユニット12と一体としてもよい。この場合、スペーサ80は、第1ユニット11又は第2ユニット12を構成する梁となる。
また、上記実施の形態において、給湯管34、給水管35、排水管36、上下階空気循環ダクト44、冷媒管46及びドレイン管47は、第1ユニット11と第2ユニット12とで2つに分離したが、分離することなく、1本の配管であってもよい。
また、上記実施の形態において、建物ユニット1は、第1ユニット11と第2ユニット12との2つのユニットを上下に積み重ねた構成としたが、これに限らない。例えば、建物ユニット1は、3つ以上のユニットを積み重ねてもよいし、複数のユニットを2次元的に配置してもよいし、これらの組み合わせであってもよい。
また、上記実施の形態において、建物ユニット1は、エアコン41及びエアコン室外機42と洗濯機37の家電製品を工場で予め設置したが、これに限るものではない。例えば、家電製品は、必ずしも工場で設置する必要はなく、建物2の完成後に取り付けてもよい。また、工場で予め設置する場合であっても、家電製品は、エアコン41や洗濯機37に限るものではなく、他の家電製品を予め工場で設置してもよい。特に、同じメーカーの家電製品を予め工場で設置することによって、建物ユニット1全体としての品質及び機能を向上させることができるとともに、低コスト化を図ることができる。
また、上記実施の形態では、給湯器(給湯システム)60として電気式給湯器を例にとって説明したが、これに限らない。例えば、給湯器として、電気式給湯器に代えて、燃料電池式給湯器又はガス式給湯器を用いてもよい。なお、いずれの方式の場合も、貯湯タンクを有する。
また、上記実施の形態において、建物ユニット1及び建物2の構法は、木造軸組構法としたが、これに限るものではなく、木造枠組構法、2×4工法又は鉄骨造等の他の構法(工法)を用いてもよい。
その他、実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。