JP2557841Y2 - ユニットルームの設備配管接続構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、ユニットルームの設備
配管接続構造に関し、特に階上のユニットルームと階下
のユニットルームの設備配管を接続するユニットルーム
の設備配管接続構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、建築物の工期の短縮、現場施工の
容易化などの目的から、工業化住宅、特に工場において
ユニットルームを形成し、このユニットルームを建築現
場において組み立てて建物を形成するユニット工法が推
進されてきている。

【０００３】このユニット工法においては、ユニットル
ームを台所等として用いる場合、ユニットルーム内に流
し台などの水回り設備機器を予め工場において取り付け
るようにしている。

【０００４】そして、このようなユニットルームを上下
に積み重ねてアパート等を形成する場合、前記水回り設
備機器からの設備配管、例えば排水管を階上及び階下に
連続して取り付けるようにしている。

【０００５】この階上及び階下の排水管を連続させる場
合、従来では階上及び階下のユニットルームの対応位置
にそれぞれ上下方向にわたって排水管を配設し、階上の
ユニットルームの床パネルから排水管の下端を突出さ
せ、かつ階下のユニットルームの排水管の上端を階下の
ユニットルーム上端付近に位置させ、階下のユニットル
ームを予め建築現場に形成した基礎上に載置固定した
後、階上のユニットルームをクレーン等にて階下のユニ
ットルーム上に搬送位置させ、階上のユニットルームを
吊り下げた状態で階上のユニットルームの床より下方に
突出する排水管と、階下のユニットルームの排水管の上
端部とを位置決めし、この状態で階上のユニットルーム
を階下のユニットルーム上に載置することにより、両排
水管を接続するようにしていた。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】前記従来のユニットル
ームの排水管接続構造にあっては、階上のユニットルー
ムをクレーン等にて吊り下げた状態で、階上のユニット
ルームの排水管下端と、階下のユニットルームの排水管
上端の位置決めをしつつ、両排水管の接続を行なわなけ
ればならず、しかも階上のユニットルーム側の排水管の
下端は搬送用のトラックによって運搬される関係上、階
上のユニットルーム下面位置より下方に突出させること
ができないため、階下の天井付近における高所での作業
が余儀なくされ、しかもその作業は非常に困難なもので
あるという問題があった。

【０００７】また、前記排水管の接続には、前記位置決
め作業を行なうためのある程度広い作業スペ−スが必要
となり、狭いスペ−スでの接続作業はなし難いものであ
るという問題があった。

【０００８】本考案は、上記従来の問題点に鑑みてなさ
れたものであって、その目的は、高所での不自然な姿勢
による作業を行なう必要がなく、位置決め等の面倒な作
業もいらず簡単に設備配管の接続を行なうことのできる
ユニットルームの設備配管接続構造を提供することにあ
る。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本考案は、前記目的を達
成するためになしたもので、階上のユニットルームの床
パネルを貫通する設備配管と、階下のユニットルーム内
で上下方向に配設した設備配管の上端部とを接続するユ
ニットルームの設備配管接続構造において、前記階下の
ユニットルーム側の設備配管上端部を短く設定し、前記
階上のユニットルーム側の設備配管下端に、この設備配
管下端と階下のユニットルーム側の設備配管上端との間
より短い中間の設備配管を差込み接続し、前記中間の設
備配管の下端と、前記階下のユニットルーム側の設備配
管上端とを、接続具にて接続することを特徴としてい
る。

【００１０】

【作用】上記構成の設備配管接続構造にあっては、ま
ず、建築現場において、階下のユニットルームを予め形
成した基礎上に載置固定し、その階下のユニットルーム
の上部に階上のユニットルームを載置固定する。

【００１１】この場合、階下のユニットルームの設備配
管、例えば排水管の上端部が短く設定されているため、
階下のユニットルームの排水管の上端と階上のユニット
ルームの設備配管、例えば排水管の下端との間に距離が
存在するため、排水管の位置合せを行なうことなく階下
のユニットルームに対する階上のユニットルームの載置
固定を行なうことができる。

【００１２】次に、階下のユニットルーム側から中間の
設備配管、例えば排水管の上端部を階上のユニットルー
ムの排水管の下端内に差し込んで固着する。

【００１３】この場合、中間の排水管は、その下部をも
って階上のユニットルームの排水管の下端内に差し込め
ば良く、無理な姿勢で作業を行なうことがなく、容易に
接続がなし得る。

【００１４】次いで、階上のユニットルームの排水管の
下端に接続した中間の排水管の下端と、階下のユニット
ルームの排水管の上端に、接続具、例えば蛇腹状の排水
管の上下端部をかぶせれば、排水管の接続が容易になし
得ることとなる。

【００１５】このように、排水管の接続を中間の排水管
及び蛇腹状の排水管にて分割接続することにより、無理
な姿勢を強いられることなく、容易に接続ができ、しか
も接続のための特別のスペ−スを設ける必要もない。

【００１６】特に、この設備配管接続構造を台所の配管
設備に適用した場合には、前記中間の排水管の長さを階
下の吊り戸棚の長さより大きく形成することにより、前
記中間の排水管及び接続具、例えば蛇腹状の排水管等の
接続作業を、前記吊り戸棚とこの吊り戸棚の下方に位置
する流し台との開放された空間で楽に行うことができ、
従って狭い配管スペースでの配管が可能となる。

【００１７】

【実施例】以下、本考案の好適な実施例について、図面
を参照して詳細に説明する。

【００１８】図１〜図４は、本考案の一実施例に係るユ
ニットルームの排水管接続構造を示す図である。

【００１９】本実施例においては、１階のユニットルー
ム１０の上に、２階のユニットルーム１２を載置固定
し、２階建のアパートを形成する場合について示してい
る。

【００２０】１階のユニットルーム１０は、予め工場に
おいて、床パネル１４上に壁パネル１８を立設固定し、
この壁パネル１８の上部開口部分に天井材１９を取り付
けて箱状に形成されるようになっている。

【００２１】２階のユニットルーム１２は、１階のユニ
ットルーム１０と同様に、予め工場において、床パネル
１６上に壁パネル１８を立設固定し、この壁パネル１８
の上部開口部分に天井材１９を取り付けて箱状に形成さ
れるようになっている。

【００２２】また、これら１階及び２階のユニットルー
ム１０、１２は、台所として形成されており、それぞれ
玄関ドア２０、下駄箱２２、流し台２４、ガスコンロ２
６が１、２階のユニットルーム１０、１２とも、ほぼ同
位置に取り付けられるようになっている。また、流し台
２４に隣接するガスコンロ２６の上方側天井付近には、
吊戸棚２８及びレンジフ−ド３０がそれぞれ取り付けら
れるようになっている。

【００２３】そして、前記流し台２４及びガスコンロ２
６にて囲まれるコーナー部分に配管スペ−ス３２が形成
され、この配管スペ−ス３２の吊戸棚２８と流し台２４
との間は化粧板３４にて覆われるようになっている。

【００２４】そしてさらに、１階及び２階のユニットル
ーム１０、１２のコーナー部分に形成した配管スペ−ス
３２内に、それぞれ排水管３６、３８を配設するように
している。

【００２５】２階のユニットルーム１２の配管スペ−ス
３２に配設される排水管３８は、配管スペ−ス３２内で
上下方向に配設され、その上端が天井材１９を貫通し、
かつその下端が床パネル１６を貫通して２階のユニット
ルーム１２を構成する床パネル１６の下面と同一位置に
達するようになっている。尚、２階のユニットルーム１
２の床パネル１６の床材下部には排水管３６の下端４０
を突出させた状態で防音用の石膏ボ−ド４２及び断熱材
４４が予め取り付けられるようになっている。

【００２６】１階のユニットルーム１０の配管スペ−ス
３２に配設される排水管３６は、配管スペ−ス３２内で
上下方向に配設され、その下端部が床パネル１４を貫通
して外部の排水部分に接続されるようになっている。ま
た、この排水管３６の上端部は、前記２階のユニットル
ーム１２の排水管３８の下端４０よりも低く形成され
て、２階のユニットルーム１２を１階のユニットルーム
１０上に設置した状態において、２階のユニットルーム
１２の排水管３８の下端４０と、１階のユニットルーム
１０の排水管３６の上端４６との間にの距離Ｌが設けら
れるようになっている（図４参照）。そして、この排水
管３６の上端４６は、本実施例においては、吊戸棚３８
と流し台２４との間に位置する状態に設定される。

【００２７】そして、前記１階のユニットルーム１０の
排水管３６の上端４６と、２階のユニットルーム１２の
排水管３８の下端４０とを１階のユニットルーム１０の
吊戸棚２８の下方で中間の排水管４８と、蛇腹状の排水
管５０とを用いて接続するようにしている。

【００２８】中間の排水管４８は、２階のユニットルー
ム１２の排水管３８の下端４０と１階のユニットルーム
１０の排水管３６の上端４６間の距離より若干短く設定
されており、この中間の排水管４８の上端部を前記２階
のユニットルーム１２の排水管３８の下端４０内に、接
着剤等を塗布して差し込み接続するようにしている。

【００２９】蛇腹状の排水管５０は、その上下端部を前
記中間の排水管４８の下端及び１階のユニットルーム１
０の排水管３６の上端４６を覆うようにして取り付けら
れ、かつその上下端部を金属製の緊締バンド５２にて締
め付け接続するようになっている。

【００３０】次に、本実施例の排水管の接続状態につい
て説明する。

【００３１】先ず、建築現場において、１階のユニット
ルーム１０を予め形成した基礎５４上に載置固定し、そ
の１階のユニットルーム１０の上部に２階のユニットル
ーム１２を載置固定する。この場合、１階のユニットル
ーム１０の排水管３６の上端４６と、２階のユニットル
ーム１２の排水管３８の下端４０との間に距離Ｌが存在
するため、排水管３６、３８の位置合せを行なうことな
く１階のユニットルーム１０に対する２階のユニットル
ーム１２の載置固定を行なうことができる。

【００３２】次に、１階のユニットルーム１０の吊戸棚
２８の内部奥側の排水管スペース３２を介し、中間の排
水管４８の上端部外周に接着剤を塗布し、その上端部を
２階のユニットルーム１２の排水管３８の下端４０内に
差し込んで固着する。この場合、中間の排水管４８は、
その下部をもって２階のユニットルーム１２の排水管３
８の下端４０内に差し込めば良く、無理な姿勢で作業を
行なうことがなく、容易に接続がなし得る。

【００３３】次いで、２階のユニットルーム１２の排水
管３８の下端４０に接続した中間の排水管４８の下端
と、１階のユニットルーム１０の排水管３６の上端４６
に、蛇腹状の排水管５０の上下端部をかぶせ、この上下
端部を緊締バンド５２にて締め付ければ、排水管３６、
３８の接続が容易になし得ることとなる。

【００３４】このように、排水管３６、３８の接続を中
間の排水管４８及び蛇腹状の排水管５０にて分割接続す
ることにより、無理な姿勢を強いられることなく、容易
に接続ができ、しかも接続のための特別のスペ−スを設
ける必要もない。また、中間の排水管４８、排水管３６
及び蛇腹状の排水管５０の接続部分は、吊戸棚２８と流
し台２４との間のオープンスペースで行うことができる
ため、作業が容易である。

【００３５】本考案は、前記実施例に限定されるもので
はなく、その考案の要旨の範囲内において、各種の変形
が可能なものである。

【００３６】例えば、本実施例においては、１階のユニ
ットルーム１０と２階のユニットルーム１２の排水管３
６、３８の接続に例をとって示したが、２階と３階或は
それ以上の階のユニットルームの排水管の接続にも適用
し得るものである。

【００３７】

【考案の効果】以上説明したように、本考案のユニット
ルームの設備配管接続構造にあっては、階下のユニット
ルームを基礎上に載置固定し、その階下のユニットルー
ムの上部に階上のユニットルームを載置固定すれば、階
下のユニットルームの設備配管の上端部が短く設定され
ているため、階下のユニットルームの設備配管の上端と
階上のユニットルームの設備配管の下端との間に距離が
存在することとなり、従って設備配管の位置合せを行な
うことなく、かつ格別の作業スペースを要することな
く、階下のユニットルームに対する階上のユニットルー
ムの載置固定を行なうことができるという効果がある。

【００３８】また、階下のユニットルーム側から中間の
設備配管の上端部を階上のユニットルームの設備配管の
下端内に差し込んで固着すれば良く、無理な姿勢で作業
を行なう必要がなく、容易に接続がなし得るという効果
がある。

【００３９】さらに、階上のユニットルームの設備配管
の下端に接続した中間の設備配管の下端と、階下のユニ
ットルームの設備配管の上端に、接続具の上下端部をか
ぶせれば、設備配管の接続が容易になし得ることとな
り、両設備配管に若干の位置ずれがあっても接続具にて
吸収することができるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の排水管接続構造を用いたユニットルー
ムの状態を示す断面図である。

【図２】１階及び２階のユニットルームの横断面図であ
る。

【図３】本実施例の排水管接続構造を示す正面図であ
る。

【図４】図３の接続時の状態を示す分解正面図である。

【符合の説明】

１０ １階のユニットルーム １２ ２階のユニットルーム １４、１６ 床パネル ３２ 排水管スペ−ス ３６、３８ 排水管 ４０ 排水管の下端 ４６ 排水管の上端 ４８ 中間の排水管 ５０ 蛇腹状の排水管
ＭＨ０１５１０２

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 階上のユニットルームの床パネルを貫通
   する設備配管と、 階下のユニットルーム内で上下方向に配設した設備配管
   の上端部とを接続するユニットルームの設備配管接続構
   造において、 前記階下のユニットルーム側の設備配管上端部を短く設
   定し、 前記階上のユニットルーム側の設備配管下端に、この設
   備配管下端と階下のユニットルーム側の設備配管上端と
   の間より短い中間の設備配管を差込み接続し、前記中間
   の設備配管の下端と、前記階下のユニットルーム側の設
   備配管上端とを、接続具にて接続することを特徴とする
   ユニットルームの設備配管接続構造。
2. 【請求項２】 請求項１において、 前記設備配管接続構造は、台所を含むユニットルームの
   配管スペースに設置され、 前記中間の設備配管はその長さが階下のユニットルーム
   の吊り戸棚の長さより長く設定され、 前記中間の設備配管、接続具及び階下のユニットルーム
   側の設備配管上端とのジョイント作業が前記吊り戸棚と
   その下方に設置された流し台との間で行われることを特
   徴とするユニットルームの設備配管接続構造。