JP6397684B2 - 落下物の防護構造の構築工法、及び落下物の防護構造 - Google Patents
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Description
しかし、このようなコンクリート構造物は、落石などの衝撃力(エネルギー)を、当該構造物における山側(傾斜面側)の面で直接受けることを前提として設計されているため、次のような課題がある。
(1)コンクリート構造物が落石等の衝撃を直接受けるため、耐力がある程度の上限に制限される。すなわち、許容できる衝撃の上限が必ずしも十分でない場合がある。
(2)コンクリート構造物において、落石の衝撃を直接受けた部分に、局部的な陥没などの損傷が生じる可能性がある。損傷部ではコンクリート構造物の耐力が低下することが考えられる。
段構造体を複数段に積層することによって、コンクリート構造物の受撃面に沿って擁壁を構築する工程を備え、
各段の前記段構造体は、各々の上部が開口していてハニカム状に配列され且つ互いに一体化された可撓性の複数のセルからなるセル集合体と、前記セル集合体の各セル内に充填された中詰材と、を有する落下物の防護構造の構築工法を提供する。
コンクリート構造物と、
前記コンクリート構造物の受撃面に沿って構築された擁壁と、
を備え、
前記擁壁は、複数段に積層された段構造体を有し、
各段の前記段構造体は、各々の上部が開口していてハニカム状に配列され且つ互いに一体化された可撓性の複数のセルからなるセル集合体と、前記セル集合体の各セル内に充填された中詰材と、を有する落下物の防護構造を提供する。
図1は第1の実施形態に係る落下物の防護構造の側断面図である。
図2は第1の実施形態に係る落下物の防護構造の段構造体21を構成するセル集合体60を示す図である。このうち図2(a)はセル集合体60を展張した状態での平面図、図2(b)はセル集合体60を展張した状態での斜視図、(c)はセル集合体60を展張した状態での側断面図である。
擁壁20は、複数段に積層された段構造体21を有している。
各段の段構造体21は、各々の上部が開口していてハニカム状に配列され且つ互いに一体化された可撓性の複数のセル61からなるセル集合体60と、セル集合体60の各セル61内に充填された中詰材70と、を有する。
以下、詳細に説明する。
一方、矢印A方向に対する反対方向であるB方向には、防護構造による保護対象物(例えば、道路など)が存在する。
つまり、擁壁20の各段を構成する段構造体21が、その上段ほど山側から遠ざかるように、上段に向けて徐々にコンクリート構造物10側にセットバックしている。
なお、本実施形態の場合、受撃面25の勾配(法面勾配)は、例えば、擁壁20の下端から上端に亘って一定とすることができる。
受撃面25の勾配は、特に限定されないが、例えば、直壁から1:1.0の範囲とすることが好ましく、このような勾配とすることにより、落石等の落下物が受撃面25を駆け上がって乗り越えてしまうことを好適に抑制できる。
なお、例えば、擁壁20の最上段を構成する段構造体21の背面が、コンクリート構造物10の受撃面15の上端部に対して接している構造とすることができる。
特に、擁壁20の構築予定部の地盤表面が平坦でない場合に、基礎部40の上面が略水平となるように基礎部40を設けることにより、擁壁20を水平な平坦面上に安定的に構築することができる。
なお、本実施形態のように受撃面15が直壁であり、擁壁20の背面(コンクリート構造物10側の面)が逆勾配を持つ場合、裏込め材30の奥行き寸法(図1の矢印A方向及びB方向における寸法)は、裏込め材30の下部から上部に向けて徐々に狭くなっている。
セル集合体60は、複数のストリップ材6(帯状体)を相互に並列に配置し、隣り合うストリップ材6どうしを複数箇所の接合部62において相互に接合することにより構成されている。
図2の例では、4枚のストリップ材6(ストリップ材6a、6b、6c、6d)をこの順で互いに並列に配置し、そのうち互いに隣り合うストリップ材6どうしが、それらの長手方向(図2の矢印C方向に相当)において一定間隔で配置された接合部62の各々において相互に接合されている。
これら接合部62のうち、一の接合部62から、矢印C方向において当該一の接合部62の隣に位置する他の接合部62までの範囲の一対のストリップ材6により個々のセル61が構成されている。
複数のストリップ材6のうち、互いに隣り合う第1のストリップ材(例えばストリップ材6a)と第2のストリップ材6(例えばストリップ材6b)とは、矢印C方向において一定間隔で配置された接合部62(第1接合部)の各々において相互に接合されている。また、第2のストリップ材6と、第2のストリップ材6に対して第1のストリップ材6とは反対側に隣接する第3のストリップ材6(例えばストリップ材6c)とは、矢印C方向において一定間隔で配置された接合部62(第2接合部)の各々において相互に接合されている。
ここで、第2接合部の各々は、矢印C方向において隣り合う第1接合部の中間に位置する。
このため、図2に示すようにセル集合体60を展張した状態では、各セル61は、ハニカム状に配列される。
各ストリップ材6には、必要に応じて、排水用の孔67が形成されている。
本実施形態に係る落石防護堤の補強工法は、段構造体21を複数段に積層することによって、コンクリート構造物10の受撃面15に沿って擁壁20を構築する工程を備えている。
各段の段構造体21は、各々の上部が開口していてハニカム状に配列され且つ互いに一体化された可撓性の複数のセル61からなるセル集合体60と、セル集合体60の各セル61内に充填された中詰材70と、を有する。
以下、詳細に説明する。
なお、中詰材70の粒度が基礎部40の材料(砕石等)よりも細かい場合、基礎部40の上に不織布等を敷いた上にセル集合体60を配置して、当該セル集合体60の各セル61内に中詰材70を充填する。これにより、中詰材70がセル61の下にこぼれてしまうことを抑制する。
次に、1段目の段構造体21の上面と同じ高さまで、裏込め材30を形成する。
次に、2段目の段構造体21の上面と同じ高さまで、裏込め材30を形成(充填)する。
こうして、擁壁20及び裏込め材30を形成し、保護構造を構築することができる。
よって、擁壁20によってコンクリート構造物10を保護することができるため、落下物の防護構造のより大きな耐力を得ることができるとともに、コンクリート構造物10の損傷を抑制することができるので、防護構造の耐久年数の延長も期待できる。
また、擁壁20は、可撓性のセル集合体60を有する段構造体21を積層することにより構成されているため、適度なクッション性を有している。よって、擁壁20により落下物の衝撃を吸収することができ、且つ、擁壁20自体の損傷の抑制も期待できる。
特に、中詰材70が砕石などのように、セル61内である程度自由に移動できるものである場合、擁壁20のクッション性をより好適に得ることができる。
そして、擁壁20のクッション性により落下物の運動エネルギーを低減させることができるため、落下物が防護構造を乗り越えてしまうことを好適に抑制することができる。
また、擁壁20のクッション性により落下物の運動の方向も分散させることができるため、落下物が一方向に大きなエネルギーで移動してしまうことも抑制できる。
よって、擁壁20によってコンクリート構造物10を保護することができるため、落下物の防護構造のより大きな耐力を得ることができるとともに、コンクリート構造物10の損傷を抑制することができる。
図3は第2の実施形態に係る落下物の防護構造の側断面図である。
図4は第2の実施形態に係る落下物の防護構造の段構造体21を構成するセル集合体60を示す図である。このうち図4(a)はセル集合体60を展張した状態での平面図、図4(b)はセル集合体60を展張した状態での斜視図、(c)はセル集合体60を展張した状態での側断面図である。
すなわち、セル集合体60を構成するストリップ材6のうち、ストリップ材6c及びストリップ材6dの上下寸法は、第1の上下寸法に設定され、ストリップ材6a及びストリップ材6bの上下寸法は、第2の上下寸法に設定されている。
ストリップ材6a〜6dは、図4(b)における下端の位置は揃っているが、上端の位置については、ストリップ材6a及び6bの上端位置よりもストリップ材6c及び6dの上端位置の方が高くなっている。
なお、セル集合体60は、第1セル群63と第2セル群64との間に、第3セル群65を有している。第3セル群65を構成する各セル61は、第1セル群63側の半部の上下寸法は、第1セル群63の各セル61と等しく、第2セル群64側の半部の上下寸法は、第2セル群64の各セル61と等しい。
すなわち、一のセル集合体60の第1セル群63の上に他のセル集合体60の第2セル群64が位置するとともに、一のセル集合体60の第2セル群64の上に他のセル集合体60の第1セル群63が位置するように、セル集合体60を交互に天地を逆転させて積層することにより構成されている。
これにより、図3に示す構造の擁壁20を構築する。
よって、界面23において上下に隣接する段構造体21どうしが、界面23において相互に噛み合った構造となるため、界面23における段構造体21どうしの摩擦力(摩擦抵抗)を高めることができる。よって、段構造体21どうしが界面23において前後に位置ずれしてしまうことを抑制できる。
より具体的には、例えば、落下物の衝撃によって、一部の段構造体21の位置が、あたかもだるま落としのように矢印B方向にずれてしまう現象(以下、だるま落とし現象と称する)の発生を好適に抑制することができる。
よって、擁壁20の安定性を向上することができる。
図5は第3の実施形態に係る落下物の防護構造の側断面図である。
図6は第3の実施形態に係る落下物の防護構造の正面図である。
杭81は、例えば、棒状の本体部81aと、本体部81aよりも大径で本体部81aの上端に形成された頭部81bと、を有している。ただし、杭81は、頭部を有していない単なる棒状のものであっても良い。
図6に示すように、杭81は、正面視において分散して複数箇所に設けることが好ましい。
そして、その段階での最上段に位置する段構造体21の上面と同じ高さまで形成された裏込め材30に対して、アンカーピン82bを打設することにより、ジオグリッド82aの後端を裏込め材30に固定する。
以上の工程を繰り返すことにより、図5及び図6に示す構造の防護構造を構築することができる。
これにより、上記のだるま落とし現象の発生をより確実に抑制することができる。
図7は第4の実施形態に係る落下物の防護構造の側断面図である。
本実施形態に係る落下物の防護構造は、以下に説明する点で、上記の第3の実施形態に係る落下物の防護構造と相違し、その他の点では、上記の第3の実施形態に係る落下物の防護構造と同様に構成されている。
なお、図7においては、ジオグリッド82a及びアンカーピン82bを示していないが、本実施形態でも、第3の実施形態と同様に、ジオグリッド82a及びアンカーピン82bを設けても良いし、ジオグリッド82a及びアンカーピン82bは省略しても良い。
擁壁20を構築する工程では、一のセル集合体60と他のセル集合体60とを相互に前後にオフセットして配置することにより、一のセル集合体60の第1セル群63と、一のセル集合体60の第2セル群64と、他のセル集合体60の第1セル群63と、他のセル集合体60の第2セル群64と、の交差部に間隙22を形成する。
そして、杭81を設ける工程では、杭81の頭部81bが間隙22に配置されるように、杭81を設ける。
なお、本実施形態に係る落下物の防護構造の構築工法は、その他の点については、上記の第3の実施形態に係る落下物の防護構造の構築工法と同様である。
すなわち、本実施形態の場合、杭81の頭部81bが間隙22に配置された構造を実現できるため、擁壁20内における空隙を抑制し、擁壁20の安定性をより向上することができる。
図8は第5の実施形態に係る落下物の防護構造の側断面図である。
一方、第2部分25bの勾配は、1:1.0よりも急勾配である。
一例として、第1部分25aの勾配は1:0.3とし、第2部分25bの勾配は1:0.1とすることができる。
具体的には、本実施形態の場合、第1部分25aを構築するときの各段の段構造体21のセットバック量(オフセット量)よりも、第2部分25bを構築するときの各段の段構造体21のセットバック量を小さくする。
これにより、図8に示す落下物の防護構造が得られる。
これにより、擁壁20と衝突して運動の方向が上向きに変わった落下物を第2部分25bによって止めることができるため、落下物が受撃面25を駆け上がって乗り越えてしまうことをより確実に抑制することができる。
図9は第6の実施形態に係る落下物の防護構造の側断面図である。
図13は第6の実施形態の変形例に係る落下物の防護構造の側断面図である。
本実施形態に係る落下物の防護構造は、以下に説明する点で、上記の第5の実施形態に係る落下物の防護構造と相違し、その他の点では、上記の第5の実施形態に係る落下物の防護構造と同様に構成されている。
なお、裏込め材30は、擁壁20において前面が第1部分25aとなっている部分と、コンクリート構造物10の受撃面15との間の部分では、当該裏込め材30の下部から上部に向けて、奥行き寸法が徐々に狭くなっている。
ただし、図13に示す変形例の構造のように、各段の段構造体21は、図4に示す構造のセル集合体60を用いて構成することもできる。
具体的には、本実施形態の場合、第2部分25bを構築するときには、各段の段構造体21を鉛直に積層する。
これにより、図9又は図13に示す落下物の防護構造が得られる。
これにより、擁壁20と衝突して運動の方向が上向きに変わった落下物を第2部分25bによってより確実に止めることができるため、落下物が受撃面25を駆け上がって乗り越えてしまうことをより確実に抑制することができる。
図10は第7の実施形態に係る落下物の防護構造の側断面図である。
本実施形態に係る落下物の防護構造は、以下に説明する点で、上記の第6の実施形態に係る落下物の防護構造と相違し、その他の点では、上記の第6の実施形態に係る落下物の防護構造と同様に構成されている。
なお、裏込め材30は、擁壁20において前面が第2部分25bとなっている部分と、コンクリート構造物10の受撃面15との間の部分では、当該裏込め材30の上部に向けて、奥行き寸法が徐々に広がっている。
一例として、第1部分25aの勾配を1:0.3とし、第2部分25bの勾配を1:0.3の逆勾配とすることができる。
具体的には、本実施形態の場合、オーバーハング部である第2部分25bを形成するときには、以下に詳述するようにして、各段の段構造体21を積層する。
網部材91は、第1網状部91aと、第2網状部91bとを有している。
第1網状部91aは、平板状の網状体からなる。
第2網状部91bは、平板状又は曲面状の網状体からなる。
第2網状部91bは、第1網状部91aの一端部(図11(a)における左端部)に連接されている。すなわち、第1網状部91aと第2網状部91bとは相互に一体的に形成されている。
第1網状部91aと第2網状部91bとは、互いに交差している。例えば、第1網状部91aと第2網状部91bの双方が平板状の場合、図9(a)に示すように第1網状部91aと第2網状部91bとが相互に直交した構造とすることができる。
網部材91は、例えば、その全体が、鋼製の網(金網)からなる。
本実施形態の場合、擁壁を構築する工程では、段構造体21aよりも段構造体21bが部分的に前方に迫り出した状態となるように、段構造体21aの上に段構造体21bを積層することにより、第2部分25bの少なくとも一部分をオーバーハングした状態とする。
更には、段構造体21bの上に積層される段構造体21も、順次、下側に隣接する段構造体21よりも部分的に前方に迫り出した状態となるように、各段構造体21を積層することにより、複数段の段構造体21からなるオーバーハング部を形成することができる。
不織布又は織布92は、網状体91において段構造体21aよりも前方に迫り出した部分から充填物(後述するコンクリート又はモルタル93、或いは、中詰材70)がこぼれ落ちるのを抑制するためのものである。
なお、コンクリート又はモルタル93は、セル集合体60bの前側の2列程度の各セル61に充填し、且つ、これらセル61の高さの半分程度の深さまで充填する。
その後、セル集合体60bの上端まで、上記の各実施形態と同様の中詰材70を充填する。
これにより、段構造体21bが形成される。
第1網状部91aは、段構造体(第1の段構造体)21aと段構造体(第2の段構造体)21bとの間に介装され、且つ、第1段構造体よりも部分的に前方に迫り出している。
第2網状部91bは、第1網状部91aの前端より起立しているとともに第2の段構造体の前面に沿って配置されている。
不織布又は織布92は、第1網状部91aの上面から第2網状部91bの背面に亘って配置されている。
そして、第2の段構造体を構成するセル集合体60の前部には中詰材70の一部を構成するコンクリート又はモルタル93が充填されている。
図14に示す変形例の構造のように、各段の段構造体21は、図4に示す構造のセル集合体60を用いて構成することもできる。
これにより、擁壁20と衝突して運動の方向が上向きに変わった落下物を第2部分25bによってより確実に止めることができるため、落下物が受撃面25を駆け上がって乗り越えてしまうことをより確実に抑制することができる。
図12は第8の実施形態に係る落下物の防護構造の側断面図である。
本実施形態に係る落下物の防護構造は、以下に説明する点で、上記の第7の実施形態に係る落下物の防護構造と相違し、その他の点では、上記の第7の実施形態に係る落下物の防護構造と同様に構成されている。
なお、裏込め材30は、擁壁20において前面がオーバーハング部251bとなっている部分と、コンクリート構造物10の受撃面15との間の部分では、当該裏込め材30の上部に向けて、奥行き寸法が徐々に広がっている。
その後は、上記の第7の実施形態において第2部分25b(オーバーハング部)を形成する工程と同様に、オーバーハング部251bを形成する。
これにより、図12に示す落下物の防護構造が得られる。
なお、擁壁20は、その受撃面25は、オーバーハング部251bと第1部分25aとの間に直壁構造の直壁部251aを有する構造であるため、擁壁20をより安定的な構造とすることができる。
図15は第9の実施形態に係る落下物の防護構造の側断面図である。
これに対し、本実施形態の場合、各段の段構造体21は、図4に示す構造のセル集合体60を二列分(前側に一列と後側に一列で合計二列)有する。
図16は第10の実施形態に係る落下物の防護構造の側断面図である。
好ましくは、コンクリート構造物10と嵩上げコンクリート11とを合わせたコンクリート構造物のトータルの奥行き寸法が、コンクリート構造物10の奥行き寸法よりも大きくなるように、嵩上げコンクリート11が形成されている。この場合、具体的には、例えば、コンクリート構造物10の上面及び受撃面15を覆うように嵩上げコンクリート11が形成されている。
すなわち、既設のコンクリート構造物10では高さが不足する場合に、コンクリート構造物10を上記の嵩上げコンクリート11により嵩上げした上で、擁壁20を形成するので、既設のコンクリート構造物10の高さでは落下物を堰き止めることができない場合においても、落下物を堰き止めることができる。
図17は第11の実施形態に係る落下物の防護構造の側断面図である。
これに対し、本実施形態の場合、擁壁20の背面の勾配が、コンクリート構造物10の受撃面15の勾配と整合している。すなわち、擁壁20の背面の勾配は、コンクリート構造物10の受撃面15の勾配と同じ勾配(ただし逆勾配)となっている。
この場合、裏込め材30は省略しても良い。ただし、段構造体21の背面は、受撃面15と近接を繰り返す波形形状となっており、部分的に受撃面15と段構造体21の背面との間には、少なくとも部分的に間隙が生じている。このため、この間隙に裏込め材30を充填しても良い。
すなわち、擁壁20の背面の勾配が、コンクリート構造物10の受撃面15の勾配と整合しているので、擁壁20背面がより直接的にコンクリート構造物10により支えられた構造となるので、擁壁20の安定性がより向上する。
このセル集合体60は、第1セル群63及び第2セル群64がそれぞれ一列に配置された複数のセル61からなり、且つ、第1セル群63と第2セル群64との間に一列の第3セル群65(図4参照)を有している。
図18(b)に示すセル集合体60は、図19(b)に示すように積層することによって直壁構造を構成したり、図20(b)に示すように積層することによって法面勾配を形成したりすることができる。
すなわち、図21(a)に示すセル構造体60は、第1の高さに配置された複数のセル61からなる第1セル群63と、第1の高さとは異なる第2の高さに配置された複数のセル61からなる第2セル群64と、を相互に隣接した配置で備えている。
図21(a)に示すセル構造体60を用いて擁壁20を構築する場合、図22(a)及び図23(a)に示すように、一のセル集合体60の第1セル群63の上に他のセル集合体60の第1セル群63又は第2セル群64のうちの一方が位置するとともに、一のセル集合体60の第2セル群64の上に他のセル集合体60の第1セル群63又は2セル群64の他方が位置するように、セル集合体60を積層する。
図21(b)に示すセル集合体60は、図22(b)に示すように積層することによって直壁構造を構成したり、図23(b)に示すように積層することによって法面勾配を形成したりすることができる。
なお、図21(b)に示すセル構造体60を用いて擁壁20を構築する場合も、一のセル集合体60の第1セル群63の上に他のセル集合体60の第1セル群63又は第2セル群64のうちの一方が位置するとともに、一のセル集合体60の第2セル群64の上に他のセル集合体60の第1セル群63又は2セル群64の他方が位置するように、セル集合体60を積層する。
10 コンクリート構造物
11 嵩上げコンクリート構造物
15 受撃面
20 擁壁
21 段構造体
21a 第1の段構造体
21b 第2の段構造体
22 間隙
23 界面
23a 高段部
23b 低段部
24 界面
25 受撃面
25a 第1部分
25b 第2部分
251a 直壁部
251b オーバーハング部
30 裏込め材
40 基礎部
60(60a、60b) セル集合体
61 セル
62 接合部
63 第1セル群
64 第2セル群
65 第3セル群
67 孔
70 中詰材
81 杭(棒状補強材)
81a 本体部
81b 頭部
82a ジオグリッド
82b アンカーピン
91 網部材
91a 第1網状部
91b 第2網状部
92 不織布又は織布
93 コンクリート又はモルタル
Claims (13)
- 段構造体を複数段に積層することによって、コンクリート構造物の受撃面に沿って擁壁を構築する工程を備え、
各段の前記段構造体は、各々の上部が開口していてハニカム状に配列され且つ互いに一体化された可撓性の複数のセルからなるセル集合体と、前記セル集合体の各セル内に充填された中詰材と、を有し、
前記擁壁を構築する工程では、
前記擁壁の受撃面が、第1部分と、前記第1部分よりも急勾配で且つ前記第1部分よりも上方に位置する第2部分と、を含むように、且つ、前記第2部分の少なくとも一部分がオーバーハングした状態となるように、前記擁壁を構築し、
第1の前記段構造体よりも第2の前記段構造体が部分的に前方に迫り出した状態となるように、前記第1の段構造体の上に前記第2の段構造体を積層することにより、前記第2部分の少なくとも一部分をオーバーハングした状態とし、
且つ、
前記第1の段構造体を形成する工程と、
平板状の網状体からなる第1網状部と、前記第1網状部の一端部に連接されているとともに前記第1網状部に対して交差している網状体からなる第2網状部と、を有する網部材を配置する工程であって、前記第1網状部が前記第1の段構造体よりも部分的に前方に迫り出すとともに前記第2網状部が前記第1網状部の前端より起立した状態で前記網部材を前記第1の段構造体の上に配置する工程と、
前記網状体よりも目の細かい不織布又は織布を前記第1網状部の上面から前記第2網状部の背面に亘って配置する工程と、
前記第2の段構造体を構成する前記セル集合体の前部が前記不織布又は織布を間に挟んで前記網部材に沿って位置するように、前記第2の段構造体を構成する前記セル集合体を前記第1の段構造体の上に配置する工程と、
前記第2の段構造体を構成する前記セル集合体の前部に前記中詰材の一部を構成するコンクリート又はモルタルを充填する工程と、
をこの順に行う落下物の防護構造の構築工法。 - 前記擁壁を構築する工程では、前記第2部分の少なくとも一部分が鉛直面となるように、前記擁壁を構築する請求項1に記載の落下物の防護構造の構築工法。
- 前記擁壁を構築する工程では、上下に隣接する前記段構造体どうしの界面のうち、少なくとも1つの界面が、高段部と、前記高段部に対して前記コンクリート構造物側に隣接していて前記高段部よりも低段に位置する低段部と、を有するように、前記擁壁を構築する請求項1又は2に記載の落下物の防護構造の構築工法。
- 前記セル集合体は、
第1の上下寸法を有し且つ互いに同じ高さに配置された複数の前記セルからなる第1セル群と、
前記第1の上下寸法よりも短い第2の上下寸法を有し且つ互いに同じ高さに配置された複数の前記セルからなる第2セル群と、
を相互に隣接した配置で備え、
前記擁壁を構築する工程では、
一の前記セル集合体の前記第1セル群の上に他の前記セル集合体の前記第2セル群が位置するとともに、前記一のセル集合体の前記第2セル群の上に前記他のセル集合体の前記第1セル群が位置するように、前記セル集合体を交互に天地を逆転させて積層する請求項3に記載の落下物の防護構造の構築工法。 - 前記セル集合体は、
第1の高さに配置された複数の前記セルからなる第1セル群と、
前記第1の高さとは異なる第2の高さに配置された複数の前記セルからなる第2セル群と、
を相互に隣接した配置で備え、
前記擁壁を構築する工程では、
一の前記セル集合体の前記第1セル群の上に他の前記セル集合体の前記第1セル群又は前記第2セル群のうちの一方が位置するとともに、前記一のセル集合体の前記第2セル群の上に前記他のセル集合体の前記第1セル群又は前記2セル群の他方が位置するように、前記セル集合体を積層する請求項3に記載の落下物の防護構造の構築工法。 - 前記擁壁を構築する工程は、
相互に隣接する複数の前記段構造体を貫通する棒状補強材を設ける工程を有する請求項1乃至5の何れか一項に記載の落下物の防護構造の構築工法。 - 段構造体を複数段に積層することによって、コンクリート構造物の受撃面に沿って擁壁を構築する工程を備え、
各段の前記段構造体は、各々の上部が開口していてハニカム状に配列され且つ互いに一体化された可撓性の複数のセルからなるセル集合体と、前記セル集合体の各セル内に充填された中詰材と、を有し、
前記擁壁を構築する工程では、上下に隣接する前記段構造体どうしの界面のうち、少なくとも1つの界面が、高段部と、前記高段部に対して前記コンクリート構造物側に隣接していて前記高段部よりも低段に位置する低段部と、を有するように、前記擁壁を構築し、
前記セル集合体は、
第1の上下寸法を有し且つ互いに同じ高さに配置された複数の前記セルからなる第1セル群と、
前記第1の上下寸法よりも短い第2の上下寸法を有し且つ互いに同じ高さに配置された複数の前記セルからなる第2セル群と、
を相互に隣接した配置で備え、
前記擁壁を構築する工程では、
一の前記セル集合体の前記第1セル群の上に他の前記セル集合体の前記第2セル群が位置するとともに、前記一のセル集合体の前記第2セル群の上に前記他のセル集合体の前記第1セル群が位置するように、前記セル集合体を交互に天地を逆転させて積層し、
さらに、前記擁壁を構築する工程は、相互に隣接する複数の前記段構造体を貫通する棒状補強材を設ける工程を有し、
前記棒状補強材は、
棒状の本体部と、
前記本体部よりも大径で前記本体部の上端に形成された頭部と、
を有し、
前記擁壁を構築する工程では、
前記一のセル集合体と前記他のセル集合体とを相互に前後にオフセットして配置することにより、前記一のセル集合体の前記第1セル群と、前記一のセル集合体の前記第2セル群と、前記他のセル集合体の前記第1セル群と、前記他のセル集合体の前記第2セル群と、の交差部に間隙を形成し、
前記棒状補強材を設ける工程では、前記棒状補強材の前記頭部が前記間隙に配置されるように、前記棒状補強材を設ける落下物の防護構造の構築工法。 - 段構造体を複数段に積層することによって、コンクリート構造物の受撃面に沿って擁壁を構築する工程を備え、
各段の前記段構造体は、各々の上部が開口していてハニカム状に配列され且つ互いに一体化された可撓性の複数のセルからなるセル集合体と、前記セル集合体の各セル内に充填された中詰材と、を有し、
前記擁壁を構築する工程では、上下に隣接する前記段構造体どうしの界面のうち、少なくとも1つの界面が、高段部と、前記高段部に対して前記コンクリート構造物側に隣接していて前記高段部よりも低段に位置する低段部と、を有するように、前記擁壁を構築し、
前記セル集合体は、
第1の高さに配置された複数の前記セルからなる第1セル群と、
前記第1の高さとは異なる第2の高さに配置された複数の前記セルからなる第2セル群と、
を相互に隣接した配置で備え、
前記擁壁を構築する工程では、
一の前記セル集合体の前記第1セル群の上に他の前記セル集合体の前記第1セル群又は前記第2セル群のうちの一方が位置するとともに、前記一のセル集合体の前記第2セル群の上に前記他のセル集合体の前記第1セル群又は前記2セル群の他方が位置するように、前記セル集合体を積層し、
さらに、前記擁壁を構築する工程は、相互に隣接する複数の前記段構造体を貫通する棒状補強材を設ける工程を有し、
前記棒状補強材は、
棒状の本体部と、
前記本体部よりも大径で前記本体部の上端に形成された頭部と、
を有し、
前記擁壁を構築する工程では、
前記一のセル集合体と前記他のセル集合体とを相互に前後にオフセットして配置することにより、前記一のセル集合体の前記第1セル群と、前記一のセル集合体の前記第2セル群と、前記他のセル集合体の前記第1セル群と、前記他のセル集合体の前記第2セル群と、の交差部に間隙を形成し、
前記棒状補強材を設ける工程では、前記棒状補強材の前記頭部が前記間隙に配置されるように、前記棒状補強材を設ける落下物の防護構造の構築工法。 - 前記コンクリート構造物の受撃面と前記擁壁との間に、砕石、砂又は現地発生土からなる充填材を充填する工程を備える請求項1乃至8の何れか一項に記載の落下物の防護構造の構築工法。
- 前記コンクリート構造物は、既設のものである請求項1乃至9の何れか一項に記載の落下物の防護構造の構築工法。
- コンクリート構造物と、
前記コンクリート構造物の受撃面に沿って構築された擁壁と、
を備え、
前記擁壁は、複数段に積層された段構造体を有し、
各段の前記段構造体は、各々の上部が開口していてハニカム状に配列され且つ互いに一体化された可撓性の複数のセルからなるセル集合体と、前記セル集合体の各セル内に充填された中詰材と、を有し、
前記擁壁の受撃面は、第1部分と、前記第1部分よりも急勾配で且つ前記第1部分よりも上方に位置する第2部分と、を含んでおり、かつ、前記第2部分の少なくとも一部分がオーバーハングした状態となっており、
第1の前記段構造体よりも第2の前記段構造体が部分的に前方に迫り出した状態となるように、前記第1の段構造体の上に前記第2の段構造体を積層することにより、前記第2部分の少なくとも一部分がオーバーハングした状態になっており、
平板状の網状体からなる第1網状部と、前記第1網状部の一端部に連接されているとともに前記第1網状部に対して交差している網状体からなる第2網状部と、を有する網部材が、前記第1網状部が前記第1の段構造体よりも部分的に前方に迫り出すとともに前記第2網状部が前記第1網状部の前端より起立した状態で前記第1の段構造体の上に配置されており、
前記網状体よりも目の細かい不織布又は織布が前記第1網状部の上面から前記第2網状部の背面に亘って配置されており、
前記第2の段構造体を構成する前記セル集合体の前部が前記不織布又は織布を間に挟んで前記網部材に沿って位置するように、前記第2の段構造体を構成する前記セル集合体が前記第1の段構造体の上に配置されており、
前記第2の段構造体を構成する前記セル集合体の前部に前記中詰材の一部を構成するコンクリート又はモルタルが充填されている、落下物の防護構造。 - コンクリート構造物と、
前記コンクリート構造物の受撃面に沿って構築された擁壁と、
を備え、
前記擁壁は、複数段に積層された段構造体を有し、
各段の前記段構造体は、各々の上部が開口していてハニカム状に配列され且つ互いに一体化された可撓性の複数のセルからなるセル集合体と、前記セル集合体の各セル内に充填された中詰材と、を有し、
上下に隣接する前記段構造体どうしの界面のうち、少なくとも1つの界面が、高段部と、前記高段部に対して前記コンクリート構造物側に隣接していて前記高段部よりも低段に位置する低段部と、を有しており、
前記セル集合体では、
第1の上下寸法を有し且つ互いに同じ高さに配置された複数の前記セルからなる第1セル群と、
前記第1の上下寸法よりも短い第2の上下寸法を有し且つ互いに同じ高さに配置された複数の前記セルからなる第2セル群と、
が相互に隣接した配置になっており、
一の前記セル集合体の前記第1セル群の上に他の前記セル集合体の前記第2セル群が位置するとともに、前記一のセル集合体の前記第2セル群の上に前記他のセル集合体の前記第1セル群が位置するように、前記セル集合体が交互に天地を逆転させて積層されており、
さらに、相互に隣接する複数の前記段構造体を貫通する棒状補強材を有しており、
前記棒状補強材は、
棒状の本体部と、
前記本体部よりも大径で前記本体部の上端に形成された頭部と、
を有し、
前記一のセル集合体と前記他のセル集合体とが相互に前後にオフセットして配置されることにより、前記一のセル集合体の前記第1セル群と、前記一のセル集合体の前記第2セル群と、前記他のセル集合体の前記第1セル群と、前記他のセル集合体の前記第2セル群と、の交差部には間隙が形成されており、
前記棒状補強材の前記頭部が前記間隙に配置されている落下物の防護構造。 - コンクリート構造物と、
前記コンクリート構造物の受撃面に沿って構築された擁壁と、
を備え、
前記擁壁は、複数段に積層された段構造体を有し、
各段の前記段構造体は、各々の上部が開口していてハニカム状に配列され且つ互いに一体化された可撓性の複数のセルからなるセル集合体と、前記セル集合体の各セル内に充填された中詰材と、を有し、
上下に隣接する前記段構造体どうしの界面のうち、少なくとも1つの界面が、高段部と、前記高段部に対して前記コンクリート構造物側に隣接していて前記高段部よりも低段に位置する低段部と、を有しており、
前記セル集合体では、
第1の高さに配置された複数の前記セルからなる第1セル群と、
前記第1の高さとは異なる第2の高さに配置された複数の前記セルからなる第2セル群と、
が相互に隣接した配置になっており、
一の前記セル集合体の前記第1セル群の上に他の前記セル集合体の前記第1セル群又は前記第2セル群のうちの一方が位置するとともに、前記一のセル集合体の前記第2セル群の上に前記他のセル集合体の前記第1セル群又は前記2セル群の他方が位置しており、
さらに、相互に隣接する複数の前記段構造体を貫通する棒状補強材を有しており、
前記棒状補強材は、
棒状の本体部と、
前記本体部よりも大径で前記本体部の上端に形成された頭部と、
を有し、
前記一のセル集合体と前記他のセル集合体とが相互に前後にオフセットして配置されることにより、前記一のセル集合体の前記第1セル群と、前記一のセル集合体の前記第2セル群と、前記他のセル集合体の前記第1セル群と、前記他のセル集合体の前記第2セル群と、の交差部には間隙が形成されており、
前記棒状補強材の前記頭部が前記間隙に配置されている落下物の防護構造。
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