JP6394378B2 - 耐摩耗鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、耐摩耗鋼板およびその製造方法に関する。
土木または鉱山用の建設機械等の大型の産業機械の構成部材には、優れた耐摩耗性および靭性が要求される。そこで、従来、産業機械の構成部材としての利用を考慮して、耐摩耗性および靭性を向上させた種々の鋼材が提案されている。
例えば、特許文献1には、高硬度かつ高靭性の耐摩耗鋼の製造方法が開示されている。特許文献1の製造方法では、化学組成を所定の範囲に調整した鋼スラブを、所定の条件で熱間圧延および熱処理する。
特許文献2には、靭性および耐遅れ破壊性に優れた耐摩耗鋼材の製造方法が開示されている。特許文献2の製造方法では、化学組成を所定の範囲に調整した鋼材を、オーステナイト未再結晶温度域で圧下してオーステナイト粒の形態を制御した後、直ちに焼入れする。
特許文献3には、耐応力腐食割れ性に優れた耐摩耗鋼板の製造方法が開示されている。特許文献3の製造方法では、化学組成を所定の範囲に調整した鋼片を、熱間圧延した後、所定の温度および時間で再加熱する。
特開平09−118950号公報 特開2002−80930号公報 特開2012−214890号公報
ところで、近年、寒冷地における鉱山等の開発が活発となり、これに伴って寒冷地で使用される産業機械の需要が増加している。そこで、このような寒冷地での産業機械の利用を考慮し、耐摩耗鋼板にも低温靭性が求められている。
上述の特許文献1〜3においても、耐摩耗鋼の靭性向上のための技術が開示されている。しかしながら、特許文献1に記載の技術は、寒冷地での耐摩耗鋼の使用を考慮したものではない。そのため、寒冷地での耐摩耗鋼の使用を考慮した場合には、特許文献1の技術によって十分な靭性を確保できるとはいえない。また、特許文献2および3に記載の技術は、寒冷地での使用を考慮しているものの、低温靭性と溶接性の両立を考慮したものではない。
本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、加工性および溶接性に優れ、かつ寒冷地においても十分な靭性を有する耐摩耗鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために研究を重ねた結果、次の(a)〜(e)の知見を得た。
(a)上述のように、産業機械の構成部材として使用される耐摩耗鋼板には、低温靭性が要求される。一般に、鋼の靭性は硬度が高くなるほど低下する傾向にあるので、耐摩耗鋼板において十分な低温靭性を得るためには、硬度を低くすることが好ましい。また、部品形状に加工する際のことを考慮すると、耐摩耗鋼板には優れた機械加工性も要求される。この点からも、耐摩耗鋼板の硬度を低くすることが好ましい。しかしながら、上記構成部材として用いられる耐摩耗鋼板では、耐摩耗性を十分に確保するために、一定の硬度が必要となる。そこで、本発明者らは、耐摩耗鋼板における耐摩耗性、低温靭性、加工性および硬度の関係について種々検討した。その結果、優れた耐摩耗性、低温靭性および加工性の並立が可能な硬度範囲が存在することを見出した。具体的には、耐摩耗鋼板の表面硬度を、ブリネル硬度でHBW400〜500にする必要があることを見出した。
(b)耐摩耗鋼板の硬度を制御するためには、C含有量を制御すればよい。ただし、耐摩耗鋼板において優れた靭性を安定して得るためには、硬度制御だけでは十分でなく、焼入性も制御しなければならない。その理由は、以下の通りである。鋼の耐摩耗性を低コストで向上させるためには、ミクロ組織をマルテンサイト主体の組織とすることが一般的である。しかしながら、焼入れの不足によって上部ベイナイト組織が生成すると、耐摩耗鋼板の靭性が大きく劣化する。このため、耐摩耗鋼板において優れた靭性を安定して得るためには、焼入性を向上させる必要がある。
(c)寒冷地での使用に適した低温靭性を有する耐摩耗鋼板、具体的には、シャルピー衝撃試験において−40(−40℃での吸収エネルギー)で27J以上の値を示す耐摩耗鋼板を得るためには、Caを含有させる必要がある。Caは、靭性低下の原因となるMnSの生成を抑制することができ、耐摩耗鋼板の低温靭性の向上に大きく寄与する元素である。ただし、Ca含有量の増加に伴って溶接性が低下するため、Ca含有量は適切な範囲に制御する必要がある。
(d)NbおよびTiは、焼入性の向上に寄与する。ただし、NbおよびTiを過剰に含有させると耐摩耗鋼板の低温靭性が著しく低下するので、Nb含有量およびTi含有量は適切な範囲に制御する必要がある。一方、上述したように、Caは低温靭性の改善のために含有させるが、過剰に含有させると溶接性が著しく低下する。本発明では、これらの元素の含有量をそれぞれ制御することによって、低温靭性および溶接性を両立させることができる。
(e)具体的には、耐摩耗鋼板の化学組成は、質量%で、C:0.15〜0.25%、Si:0.50〜1.20%、Mn:0.80〜1.50%、Cr:0.20〜1.20%、Nb:0.001〜0.050%、Ti:0.0050〜0.050%、Ca:0.0005〜0.008%、B:0.0005〜0.0025%、sol.Al:0.010〜0.10%、Cu:0〜1.00%、Ni:0〜1.00%、Mo:0〜1.00%、V:0〜0.02%、残部:Feおよび不純物とし、不純物としてのP、S、およびNを、それぞれP:0.015%以下、S:0.004%以下、およびN:0.005%以下とする。さらに、上記化学組成が、下記の(i)式を満足する。
0.070≦(5×Nb+2×Ti+10×Ca)≦0.250 ・・・(i)
ただし、(i)式において、各元素記号は耐摩耗鋼板に含まれる各元素の質量%での含有量を示す。
本発明は上記知見に基づいてなされたものであり、下記の耐摩耗鋼板およびその製造方法を要旨とする。
(1)化学組成が、質量%で、
C:0.15〜0.25%、
Si:0.50〜1.20%、
Mn:0.80〜1.50%、
Cr:0.20〜1.20%、
Nb:0.001〜0.050%、
Ti:0.0050〜0.050%、
Ca:0.0005〜0.008%、
B:0.0005〜0.0025%、
sol.Al:0.010〜0.10%、
Cu:0〜1.00%、
Ni:0〜1.00%、
Mo:0〜1.00%、
V:0〜0.02%、
残部:Feおよび不純物であり、
不純物としてのP、S、およびNが、それぞれP:0.015%以下、S:0.004%以下、およびN:0.005%以下であり、
下記(i)式を満足し、
表面硬度がブリネル硬度でHBW400〜500である、耐摩耗鋼板。
0.070≦(5×Nb+2×Ti+10×Ca)≦0.250 ・・・(i)
ただし、(i)式において、各元素記号は耐摩耗鋼板に含まれる各元素の質量%での含有量を示す。
(2)前記化学組成が、質量%で、
Cu:0.20〜1.00%、
Ni:0.20〜1.00%、
Mo:0.10〜1.00%、および
V:0.005〜0.02%
から選択された1種以上を含有する、上記(1)の耐摩耗鋼板。
(3)ミクロ組織が、マルテンサイトを主体とし、ラスがセメンタイトを内包するベイナイトを面積率で2〜8%含む、上記(1)または(2)の耐摩耗鋼板。
(4)上記(1)または(2)の化学組成を有するスラブを900〜1200℃に加熱する加熱工程、
前記加熱後のスラブを、圧延開始温度が1000℃以下で、圧延完了温度が(Ar点−100℃)以上かつ(Ar点+150℃)以下となるように圧延して圧延材を得る圧延工程、
前記圧延材を冷却する第1冷却工程、
前記冷却後の圧延材を、Ac点以上かつ950℃以下の温度に再加熱する再加熱工程、および
前記再加熱後の圧延材をAc点以上の温度から冷却速度10.0℃/s以上で200℃以下まで冷却する第2冷却工程を備える、耐摩耗鋼板の製造方法。
(5)上記(1)または(2)の化学組成を有するスラブを900〜1200℃に加熱する加熱工程、
前記加熱後のスラブを、圧延開始温度が1000℃以下で、圧延完了温度がAr点以上かつ(Ar点+150℃)以下となるように圧延して圧延材を得る圧延工程、および
前記圧延材をAr点以上の温度から冷却速度3.0℃/s以上で200℃以下まで冷却する冷却工程を備える、耐摩耗鋼板の製造方法。
本発明によれば、溶接性および加工性に優れ、かつ寒冷地においても十分な靭性を有する耐摩耗鋼板が得られる。
ラスがセメンタイトを内包する場合を説明するための図である。
1.耐摩耗鋼板の化学組成
まず、本発明に係る耐摩耗鋼板の化学組成について説明する。なお、以下の説明において、各元素の含有量を示す「%」は「質量%」を意味する。
C:0.15〜0.25%
Cは、耐摩耗鋼板の表面硬度の向上に最も有効な元素であり、安価である。C含有量が0.15%未満であると、他の合金元素の含有量を増やして硬度を補う必要が生じるので、製造コストが増加する。一方、C含有量が0.25%を超えると硬度が高くなりすぎて、靭性が劣化する。したがって、C含有量を0.15〜0.25%とする。C含有量の下限は好ましくは0.17%である。C含有量の上限は好ましくは0.22%である。
Si:0.50〜1.20%
Siは、耐摩耗鋼板の表面硬度の向上に寄与する元素である。ただし、Si含有量が0.50%未満では、上記の効果を十分に得られない。一方、Si含有量が1.20%を超えると靭性が劣化する。したがって、Si含有量を0.50〜1.20%とする。Si含有量の下限は好ましくは0.55%である。Si含有量の上限は好ましくは1.00%、より好ましくは0.80%である。
Mn:0.80〜1.50%
Mnは、焼入性を向上させることによって、耐摩耗鋼板の表面硬度を向上させる元素である。ただし、Mn含有量が0.80%未満では、他の合金元素の含有量を増やして硬度を補う必要が生じるので、製造コストが増加する。一方、Mn含有量が1.50%を超えると靭性が著しく損なわれる。したがって、Mn含有量を0.80〜1.50%とする。Mn含有量の下限は好ましくは0.85%である。Mn含有量の上限は好ましくは1.30%である。
Cr:0.20〜1.20%
Crは、焼入性を向上させることによって、耐摩耗鋼板の硬度および靭性を向上させる元素である。ただし、Cr含有量が0.20%未満では上記効果を十分に得られない。一方、Cr含有量が1.20%を超えると靭性が著しく損なわれる。したがって、Cr含有量を0.20〜1.20%とする。Cr含有量の下限は好ましくは0.40%である。Cr含有量の上限は好ましくは1.00%である。
Nb:0.001〜0.050%
Nbは、スラブ加熱時だけでなく、焼入れ時にも結晶粒の粗大化を抑制するので、破面単位の微細な鋼材の製造に有効な元素である。また、Nbは、耐摩耗鋼板の焼入性を向上させることによって、ミクロ組織をマルテンサイトを主体とする組織にするのに有効な元素である。ただし、Nb含有量が0.001%未満では上記の効果を十分に得られない。一方、Nb含有量が0.050%を超えると、上記の効果が飽和するだけでなく溶接性が著しく劣化する。したがって、Nb含有量を0.001〜0.050%とする。Nb含有量の下限は好ましくは0.010%である。Nb含有量の上限は好ましくは0.040%である。
Ti:0.0050〜0.050%
Tiは、脱酸元素として有効であり、かつ窒化物を生成することによってスラブ加熱時の結晶粒の細粒化に有効な元素である。また、Tiは、耐摩耗鋼板の焼入性を向上させることによって、ミクロ組織をマルテンサイトを主体とする組織にするのに有効な元素である。ただし、Ti含有量が0.0050%未満では上記の効果を十分に得られない。一方、Ti含有量が0.050%を超えると、Tiが形成する炭化物によって靭性が著しく劣化する。したがって、Ti含有量を0.0050〜0.050%とする。Ti含有量の下限は好ましくは0.0080%である。Ti含有量の上限は好ましくは0.040%である。
Ca:0.0005〜0.008%
Caは、MnSの生成を抑制し、靭性の低下を抑えることができる元素である。靭性低下を招くMnSの生成を抑制するにはS含有量を低下させることも有効であるが、S含有量の低下には一定の限界がある。そこで、本発明では、Caを含有させることによってCaSを生成し、MnSの生成を抑制する。ただし、Ca含有量が0.0005%未満では上記の効果を十分に得られない。一方、Ca含有量が0.008%を超えると、溶接性が低下する。したがって、Ca含有量を0.0005〜0.008%とする。Ca含有量の下限は好ましくは0.0015%である。Ca含有量の上限は好ましくは0.005%である。
上述のように、本発明では、耐摩耗鋼板の焼入性を高めてミクロ組織をマルテンサイト主体の組織とするためにNbおよびTiを含有させる。その一方で、NbおよびTiを過剰に含有させると、耐摩耗鋼板の低温靭性を低下させる。そこで、本発明では、NbおよびTiによって低下する低温靭性を、Caを含有させることによって補填している。しかしながら、上述のように、Caを過剰に含有させると溶接性が著しく低下する。そこで、本発明では、Nb、TiおよびCaによる上述の効果を最大限に発揮して優れた低温靭性および溶接性を両立できるように、Nb、TiおよびCaの含有量を制御している。具体的には、本発明では、下記の(i)式を満足するように、Nb、TiおよびCaの含有量を制御する。
0.070≦(5×Nb+2×Ti+10×Ca)≦0.250 ・・・(i)
ただし、(i)式において、各元素記号は耐摩耗鋼板に含まれる各元素の質量%での含有量を示す。
B:0.0005〜0.0025%
Bは、焼入性を著しく向上させる極めて重要な元素である。ただし、B含有量が0.0005%未満では上記の効果を十分に得られない。一方、B含有量が0.0025%を超えると、靭性が著しく劣化する。したがって、B含有量を0.0005〜0.0025%とする。B含有量の下限は好ましくは0.0008%である。B含有量の上限は好ましくは0.0020%である。
sol.Al:0.010〜0.10%
sol.Al(酸可溶性Al)は、スラブ加熱時にAlNを生成することにより、初期オーステナイト粒の過成長を効果的に抑制することができる元素である。ただし、sol.Al含有量が0.010%未満では、上記の効果を十分に得られない。一方、sol.Al含有量が0.10%を超えると、靭性が著しく劣化する。したがって、sol.Al含有量を0.010〜0.10%とする。sol.Al含有量の下限は好ましくは0.030%である。sol.Al含有量の上限は好ましくは0.080%である。
本発明に係る耐摩耗鋼板には、上記の成分のほか、必要に応じて、下記に示すCu、Ni、MoおよびVのうちから選んだ1種以上を含有させることができる。
Cu:0〜1.00%
Cuは、耐摩耗鋼板の強度および耐食性を向上させる効果を有する。しかしながら、Cu含有量が1.00%を超えると、上記の効果が飽和して経済性が低下する。したがって、含有させる場合のCu含有量の上限を1.00%とする。Cuによる上記の効果を確実に得たい場合には、Cuを0.20%以上含有させるのが好ましい。
Ni:0〜1.00%
Niは、固溶状態において耐摩耗鋼板のマトリックス(生地)の靭性を向上させる効果を有する。しかしながら、Ni含有量が1.00%を超えると、上記の効果が飽和して経済性が低下する。したがって、含有させる場合のNi含有量の上限を1.00%とする。Niによる上記の効果を確実に得たい場合には、Niを0.20%以上含有させるのが好ましい。
Mo:0〜1.00%
Moは、耐摩耗鋼板の強度および靭性を向上させる効果を有する。しかしながら、Mo含有量が1.00%を超えると、本発明に係る耐摩耗鋼板を溶接継手の母材として用いた場合に、特にHAZの硬度が高くなって靭性および溶接性が損なわれる。したがって、含有させる場合のMo含有量の上限を1.00%とする。Moによる上記の効果を確実に得たい場合には、Moを0.10%以上含有させるのが好ましい。
V:0〜0.02%
Vは、耐摩耗鋼板の強度を向上させる効果を有する。しかしながら、V含有量が0.02%を超えると、上記の効果が飽和するだけでなく、溶接性が劣化する。したがって、含有させる場合のV含有量の上限を0.02%とする。Vによる上記の効果を確実に得たい場合には、Vを0.005%以上含有させるのが好ましい。
本発明に係る耐摩耗鋼板は、上記の元素を含有し、残部はFeおよび不純物からなる。「不純物」とは、鋼を工業的に製造する際に、鉱石、スクラップ等の原料その他の要因により混入する成分を意味する。不純物のうち、P、SおよびNについては、その含有量を厳密に制限する必要がある。
P:0.015%以下
Pは、結晶粒界に偏析して耐摩耗鋼板の耐遅れ破壊性および靭性を劣化させる。このため、P含有量はできるだけ低いことが望ましい。特に、P含有量が0.015%を超えると、上記の悪影響が顕著になるため、P含有量は0.015%以下に限定する。
S:0.004%以下
Sは、耐摩耗鋼板の延性および靭性を劣化させる。このため、S含有量はできるだけ低いことが望ましい。特に、S含有量が0.004%を超えると、上記の悪影響が顕著になるため、S含有量は0.004%以下に限定する。
N:0.005%以下
Nは、耐摩耗鋼板の靭性を劣化させる。このため、N含有量はできるだけ低いことが望ましい。特に、N含有量が0.005%を超えると、上記の悪影響が顕著になるため、N含有量は0.005%以下に限定する。
2.耐摩耗鋼板の硬度
本発明に係る耐摩耗鋼板は、たとえば、産業機械の構成部材(ショベルカーのショベル等)として用いられる。耐摩耗鋼板の表面硬度がブリネル硬度でHBW400未満であると、上記構成部材として利用する場合に必要となる耐摩耗性を得ることができない。一方、耐摩耗鋼板を上記構成部材の形状にする際に、耐摩耗鋼板には、旋削および穿孔等の機械加工が施される。したがって、耐摩耗鋼板には、優れた加工性が要求される。耐摩耗鋼板の加工性には、表面硬度が大きく影響する。具体的には、耐摩耗鋼板の表面硬度がブリネル硬度でHBW500を超えると、硬すぎて機械加工が困難になる。したがって、耐摩耗鋼板の表面硬度をブリネル硬度でHBW400〜500とする。表面硬度の下限は好ましくはHBW410である。表面硬度の上限は好ましくはHBW470である。
3.ミクロ組織
本発明に係る耐摩耗鋼板が優れた靭性を発揮するためには、板厚中心部までマルテンサイトを主体としたミクロ組織とすることが好ましい。しかしながら、マルテンサイト組織は、耐摩耗鋼板の加工性を低下させる原因にもなる。このような加工性の低下を抑制するためには、ミクロ組織にベイナイトを含有させることが好ましい。より具体的には、ミクロ組織が、ラスがセメンタイトを内包するベイナイト(以下、特定ベイナイトと称する。)を含有していることが好ましい。ただし、ミクロ組織において、特定ベイナイトの面積率が2%未満であると、上記の効果を十分に得られない。一方、ミクロ組織において、特定ベイナイトの面積率が8%を超えると耐摩耗性が悪化するおそれがある。したがって、特定ベイナイトの面積率は、2〜8%であることが好ましい。なお、ラスがセメンタイトを内包する場合とは、図1に示すように、ラス内に位置しかつラス界面に接していないセメンタイトのベイナイトに占める割合が面積率で1%以上ある状態をいう。ベイナイトにおいてラスがセメンタイトを内包する場合には、セメンタイトが拡散性水素のトラップサイトとして作用するので、水素脆化割れを抑制できる。
なお、本発明においてマルテンサイトを主体とするミクロ組織とは、面積率で70%以上のマルテンサイトを含むミクロ組織のことをいう。各組織(マルテンサイトおよびベイナイト等)の面積率は、以下のようにして測定することができる。まず、耐摩耗鋼板の板厚方向における中心部から組織観察用の試料を切り出す。そして、切り出した試料の切断面をナイタールエッチングした後、該切断面を光学顕微鏡を用いて500倍の倍率で観察することによって、各組織の面積率を求める。
ミクロ組織において、上述のマルテンサイトおよびベイナイト以外に、不可避的に他の組織、たとえば、残留オーステナイト等が含まれてもよい。ただし、耐摩耗性および加工性の観点から、不可避的組織は、面積率で5%未満とすることが好ましい。なお、特定ベイナイトを含有する上記のミクロ組織は、たとえば、下記の製造方法によって耐摩耗鋼板を製造することによって実現できる。
4.耐摩耗鋼板の製造方法
本発明に係る耐摩耗鋼板は、下記の再加熱焼入れ法または直接焼入れ法を利用して製造することができる。なお、製造方法についての下記の説明において、スラブおよび圧延材の温度は、表面温度のことを意味する。
(A)再加熱焼入れ法(RQ)
まず、上述の化学組成を有するスラブを、900〜1200℃に加熱する(加熱工程)。次に、加熱後のスラブを1000℃以下の温度で圧延する(圧延工程)。圧延工程では、(Ar点−100℃)以上かつ(Ar点+150℃)以下の温度で圧延を完了する。その後、圧延工程で得られた圧延材を冷却する(第1冷却工程)。次に、圧延材を、Ac点以上かつ950℃以下の温度に再加熱する(再加熱工程)。その後、圧延材を冷却速度3.0℃/s以上で200℃以下まで冷却する(第2冷却工程)。これにより、本発明に係る耐摩耗鋼板が得られる。
なお、スラブの製造方法は特に限定されない。したがって、通常行われる製造方法、たとえば連続鋳造法によりスラブを製造することができる。次に、再加熱焼入れ法の各工程について詳しく説明する。
(加熱工程)
加熱工程においてスラブを900℃以上に加熱することによって、スラブの組織をオーステナイト変態させて均一な組織とすることができる。加熱工程においてスラブの加熱温度を高くする程、スラブは軟化し、スラブの変形抵抗が低下する。これにより、次工程の圧延工程での圧延が容易になる。しかし、加熱温度を高くすると、加熱炉でのエネルギー消費量が大きくなり、製造コストが増加するとともに、自然環境にも好ましくない。そこで、加熱温度の上限を1200℃とする。スラブの加熱温度の好ましい上限は1150℃であり、好ましい下限は1000℃である。なお、スラブの中央部まで温度を均一化するために、加熱工程におけるスラブの加熱時間は、2h以上とすることが好ましい。
(圧延工程)
圧延工程では、1000℃以下の温度でスラブの熱間圧延を開始する。1000℃以下で圧延することによって、再結晶による結晶粒の細粒化を促進することができる。これにより、耐摩耗鋼板の靭性を向上できる。加熱工程におけるスラブの加熱温度が1000℃よりも高い場合には、スラブの温度が1000℃以下に低下してから圧延を開始する。
熱間圧延の完了温度(仕上温度)がAr点よりも低い場合には、熱間圧延後の圧延材を冷却(たとえば、水冷)しても、焼きが十分に入らずに、十分なマルテンサイト組織を得ることができない。この点について、再加熱焼入れ法では、圧延材を冷却した後に再加熱するので、圧延完了温度がAr点よりも低くても、再加熱後に冷却することによって十分なマルテンサイト組織を得ることができる。ただし、圧延完了温度が低くなりすぎると、スラブの変形抵抗が大きくなって圧延が困難になる。したがって、圧延完了温度の下限は(Ar点−100℃)とした。圧延完了温度の好ましい下限はAr点である。一方、圧延完了温度が高すぎると、結晶粒を十分に細粒化できない。したがって、圧延完了温度の上限は(Ar点+150℃)とした。圧延完了温度の好ましい上限は、800℃である。
(第1冷却工程)
第1冷却工程における冷却方法は特に制限されず、水冷でもよく、空気中での放冷でもよい。また、冷却終了温度も特に限定されない。第1冷却工程では、圧延材が、たとえば、冷却速度1.0℃/s以上で400℃以下まで冷却される。
(再加熱工程)
再加熱工程では、圧延材をAc点以上かつ950℃以下の温度に再加熱する。再加熱温度をAc点以上とするのは、第2冷却工程での冷却開始温度をAc点以上とするためである。第2冷却工程での冷却開始温度については後述する。なお、再加熱が終了した後、第2冷却工程が開始されるまでに圧延材の温度が低下する場合がある。この点を考慮すると、再加熱温度の下限は(Ac点+50℃)とすることが好ましい。一方、再加熱工程のコスト削減および時間短縮の観点から、再加熱温度の上限は950℃とした。再加熱温度の好ましい上限は900℃である。
(第2冷却工程)
第2冷却工程では、圧延材を、Ac点以上の温度から冷却速度3.0℃/s以上で200℃以下まで冷却する。第2冷却工程における圧延材の冷却開始温度をAc点以上にすることによって、オーステナイト単相領域から冷却を開始できる。これにより、十分なマルテンサイト組織を得ることができ、耐摩耗鋼板において十分な硬度および靭性を確保できる。冷却方式は特に制限されず、水冷またはミスト冷却等の種々の冷却方式を利用できる。
(B)直接焼入れ法(DQ)
次に、直接焼入れ法について説明する。なお、直接焼入れ法を利用する場合も、再加熱焼入れ法を利用する場合と同様に、スラブの製造方法は特に限定されない。
まず、上述の化学組成を有するスラブを、900〜1200℃に加熱する(加熱工程)。次に、加熱後のスラブを1000℃以下の温度で圧延する(圧延工程)。圧延工程では、Ar点以上かつ(Ar点+150℃)以下の温度で圧延を完了する。その後、圧延工程で得られた圧延材を、Ar点以上の温度から冷却速度3.0℃/s以上で200℃以下まで冷却する(冷却工程)。これにより、本発明に係る耐摩耗鋼板が得られる。
次に、直接焼入れ法の各工程について詳しく説明する。なお、加熱工程については、上述の再加熱焼入れ法の加熱工程と同様であるので、説明を省略する。
(圧延工程)
圧延工程では、上述の再加熱焼入れ法の圧延工程と同様の理由により、1000℃以下の温度でスラブの熱間圧延を開始する。圧延の完了温度(仕上温度)がAr点よりも低い場合には、次工程の冷却工程において、冷却開始温度がAr点よりも低くなる。この場合、次工程の冷却工程において圧延材を冷却(水冷)しても、焼きが十分に入らずに、十分なマルテンサイト組織を得ることができない。したがって、圧延完了温度の下限はAr点とした。なお、圧延が完了した後、冷却工程が開始されるまでに圧延材の温度が低下する場合がある。この点を考慮すると、圧延完了温度の下限は(Ar点+50℃)とすることが好ましい。これにより、次工程の冷却工程において、圧延材の冷却開始温度をより確実にAr点以上にできる。その結果、十分なマルテンサイト組織を得ることができる。圧延完了温度の上限は、再加熱焼入れ法の圧延工程と同様に(Ar点+150℃)であり、好ましい上限は、850℃である。
(冷却工程)
冷却工程では、圧延材を、Ar点以上の温度から冷却速度3.0℃/s以上で200℃以下まで冷却する。冷却開始温度をAr点以上にすることによって、オーステナイト単相領域から冷却を開始できるので、十分なマルテンサイト組織を得ることができる。また、圧延材を200℃以下まで冷却することによって、十分に焼きを入れることができる。これらの結果、耐摩耗鋼板において十分な硬度および靭性を確保できる。冷却速度は、圧延材に焼きを入れる観点から高い方が好ましく、5.0℃/s以上であることが好ましい。冷却速度の上限は特にないが、現在の冷却装置の最大冷却速度を考えれば、最大でも60.0℃/s程度となる。冷却方式は特に制限されず、水冷またはミスト冷却等の種々の冷却方式を利用できる。
なお、上述の再加熱焼入れ法および直接焼入れ法において、任意の工程と工程との間、または任意の工程中に、脱スケール、歪矯正、または温度均一化加熱などの処理を行ってもよい。本発明に係る耐摩耗鋼板は、上述の方法で製造した後、焼戻しを行うことなく使用することができる。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
まず、表1,2に示す化学組成および特性を有するスラブ1〜54からそれぞれ、表3,4に示す製造条件で、所定の板厚の鋼板1〜54(本発明例:鋼板1〜32、比較例:鋼板33〜54)を作製した。なお、全ての鋼板において、焼戻し処理は行っていない。
Figure 0006394378
Figure 0006394378
Figure 0006394378
Figure 0006394378
上述の各鋼板について、表面のブリネル硬度を測定するとともに、シャルピー衝撃試験、曲げ試験および溶接性試験を行った。また、各鋼板のミクロ組織を観察し、旧オーステナイト粒径(旧γ粒径)、マルテンサイトおよび特定ベイナイトの面積率を求めた。その結果を下記の表5に示す。なお、ブリネル硬度は、直径10mmの圧子を用いて3000kgf(29400N)の試験荷重で測定した。シャルピー衝撃試験(JIS Z 2242)は、鋼板の表面から1/4t(tは板厚)の位置において圧延方向と平行な方向に採取した試験片(JIS Z 2202 4号試験片)を用いて、−40℃で実施した。そして、−40で27J以上の吸収エネルギーを示した試験片を、低温靭性に優れると判断した。曲げ試験(JIS Z 2248)では、各鋼板から圧延方向と平行な方向に採取した試験片(JIS Z 2204 1号試験片)を用いた。そして、板厚tの3倍の曲げ半径(すなわち、曲げ半径3t)で試験片を曲げて、割れの発生の有無を確認した。溶接性試験では、重ね継手溶接割れ試験方法(JIS Z 3154)にて熱影響部の割れの有無を確認した。ミクロ組織は、各鋼板から組織観察用の試料を切り出し、試料の切断面をナイタールエッチングした後、光学顕微鏡を用いて500倍の倍率で観察した。
Figure 0006394378
表5に示した結果から分かるように、本発明例に係る鋼板1〜32では、シャルピー衝撃試験において十分な吸収エネルギーを示し、かつ、曲げ試験および溶接性試験において割れが発生しなかった。すなわち、本発明例に係る鋼板1〜32では、寒冷地での使用に適した低温靭性を得ることができるとともに、良好な機械加工性および溶接性も得られた。また、本発明例に係る鋼板1〜32は、表面のブリネル硬度がHBW400以上であり、十分な耐摩耗性を有している。
一方、比較例に係る鋼板33は、C含有量が0.31%であり、本発明で規定する上限値(0.25%)を超えていた。このため、表面硬度がHWB552であり、本発明で規定する上限値(HWB500)を超えて高くなった。その結果、優れた低温靭性および加工性を得られなかった。
比較例に係る鋼板34は、Mn含有量が0.72%であり、本発明で規定する下限値(0.80%)に満たなかった。このため、表面硬度がHWB388と低く、十分な耐摩耗性が得られなかった。また、優れた低温靭性が得られなかった。
比較例に係る鋼板35は、Mn含有量が1.60%であり、本発明で規定する上限値(1.50%)を超えていた。このため、鋼板35では、優れた低温靭性が得られなかった。
比較例に係る鋼板36は、Nb含有量が0.052%であり、本発明で規定する上限値(0.050%)を超えていた。さらに、(5×Nb+2×Ti+10×Ca)の値が0.325であり、0.250を超えて、(i)式を満たしていなかった。このため、優れた低温靭性が得られなかった。また、溶接性試験でも割れが発生した。
比較例に係る鋼板37は、Si含有量が0.21%であり、本発明で規定する下限値(0.50%)に満たなかった。このため、表面硬度がHWB392と低く、十分な耐摩耗性が得られなかった。また、優れた低温靭性が得られなかった。
比較例に係る鋼板38は、Cr含有量が0.18%であり、本発明で規定する上限値(0.20%)に満たなかった。このため、優れた低温靭性が得られなかった。
比較例に係る鋼板39は、Caが添加されておらず、Ca含有量が本発明で規定する下限値(0.0005%)に満たなかった。このため、優れた低温靭性を得られなかった。また、表面硬度もHBW389と低く、十分な耐摩耗性を得られなかった。
比較例に係る鋼板40は、B含有量が0.0050%であり、本発明で規定する上限値(0.0025%)を超えていた。このため、優れた低温靭性を得られなかった。また、表面硬度もHBW367と低くなり、十分な耐摩耗性を得られなかった。
比較例に係る鋼板41は、(5×Nb+2×Ti+10×Ca)の値が0.301であり、0.250を超えて、(i)式を満たしていなかった。このため、優れた低温靭性が得られなかった。
比較例に係る鋼板42は、(5×Nb+2×Ti+10×Ca)の値が0.060であり、0.070に満たず、(i)式を満たしていなかった。このため、優れた低温靭性が得られなかった。
比較例に係る鋼板43は、Ti含有量が0.0048%であり、本発明で規定する下限値(0.0050%)に満たなかった。このため、優れた低温靭性が得られなかった。
比較例に係る鋼板44は、表面硬度がHBW387と低く、十分な耐摩耗性を得られなかった。また、鋼板44の圧延完了温度は930℃であり、本発明に係る製造方法の要件を満たしていなかった。具体的には、圧延完了温度が919℃(=Ar点+150℃)を超えていた。このため、優れた低温靭性が得られなかった。
比較例に係る鋼板45は、表面硬度がHBW360と低く、十分な耐摩耗性を得られなかった。また、鋼板45の冷却開始温度は750℃であり、本発明に係る製造方法の要件を満たしていなかった。具体的には、冷却開始温度が769℃(=Ar点)未満であった。このため、優れた低温靭性が得られなかった。
比較例に係る鋼板46は、表面硬度がHBW375と低く、十分な耐摩耗性を得られなかった。また、鋼板46の冷却停止温度は300℃であり、本発明に係る製造方法の要件を満たしていなかった。具体的には、冷却停止温度が200℃を超えていた。このため、優れた低温靭性が得られなかった。
比較例に係る鋼板47は、表面硬度がHBW361と低く、十分な耐摩耗性を得られなかった。また、鋼板47の再加熱工程における加熱温度は850℃であり、本発明に係る製造方法の要件を満たしていなかった。具体的には、加熱温度が、857℃(=Ac点)未満であった。このため、優れた低温靭性が得られなかった。
比較例に係る鋼板48,49は、Si含有量が共に1.45%であり、本発明で規定する上限値(1.20%)を超えていた。このため、鋼板48,49では、優れた低温靭性が得られなかった。
比較例に係る鋼板50は、Ca含有量が0.0004%であり、本発明で規定する下限値(0.0005%)に満たなかった。このため、優れた低温靭性を得られなかった。
比較例に係る鋼板51は、Cr含有量が1.30%であり、本発明で規定する上限値(1.20%)を超えていた。このため、鋼板51では、優れた低温靭性が得られなかった。
比較例に係る鋼板52は、B含有量が0.0300%であり、本発明で規定する上限値(0.0025%)を超えていた。このため、鋼板52では、優れた低温靭性が得られなかった。
比較例に係る鋼板53は、Ti含有量が0.0540%であり、本発明で規定する上限値(0.050%)を超えていた。このため、鋼板53では、優れた低温靭性が得られなかった。
比較例に係る鋼板54は、sol.Al含有量が0.108%であり、本発明で規定する上限値(0.10%)を超えていた。このため、鋼板54では、優れた低温靭性が得られなかった。
本発明によれば、溶接性および加工性に優れ、かつ寒冷地においても十分な靭性を有する耐摩耗鋼板が得られる。本発明に係る耐摩耗鋼板は、寒冷地においても優れた靭性および耐摩耗性が要求される部材、たとえば、土木または鉱山用の建設機械等の大型の産業機械の構成部材として好適に利用できる。

Claims (5)

  1. 化学組成が、質量%で、
    C:0.15〜0.25%、
    Si:0.50〜1.20%、
    Mn:0.80〜1.50%、
    Cr:0.20〜1.20%、
    Nb:0.001〜0.050%、
    Ti:0.0050〜0.050%、
    Ca:0.0005〜0.008%、
    B:0.0005〜0.0025%、
    sol.Al:0.010〜0.10%、
    Cu:0〜1.00%、
    Ni:0〜1.00%、
    Mo:0〜1.00%、
    V:0〜0.02%、
    残部:Feおよび不純物であり、
    不純物としてのP、S、およびNが、それぞれP:0.015%以下、S:0.004%以下、およびN:0.005%以下であり、
    下記(i)式を満足し、
    表面硬度がブリネル硬度でHBW400〜500であり、
    ミクロ組織が、マルテンサイトの面積率が90%以上、残部がベイナイト及び不可避的組織であり、前記ベイナイトはラスがセメンタイトを内包し、
    旧オーステナイト粒径が32μm以上である、耐摩耗鋼板。
    0.070≦(5×Nb+2×Ti+10×Ca)≦0.250 ・・・(i)
    ただし、(i)式において、各元素記号は耐摩耗鋼板に含まれる各元素の質量%での含有量を示す。
  2. 前記化学組成が、質量%で、
    Cu:0.20〜1.00%、
    Ni:0.20〜1.00%、
    Mo:0.10〜1.00%、および
    V:0.005〜0.02%
    から選択された1種以上を含有する、請求項1に記載の耐摩耗鋼板。
  3. ミクロ組織が、マルテンサイトの面積率が90%以上であり、ラスがセメンタイトを内包するベイナイトを面積率で2〜8%含む、請求項1または2に記載の耐摩耗鋼板。
  4. 請求項1または2に記載の化学組成を有するスラブを900〜1200℃に加熱する加熱工程、
    前記加熱後のスラブを、圧延開始温度が1000℃以下で、圧延完了温度が(Ar点−100℃)以上かつ(Ar点+150℃)以下となるように圧延して圧延材を得る圧延工程、
    前記圧延材を冷却する第1冷却工程、
    前記冷却後の圧延材を、Ac点以上かつ950℃以下の温度に再加熱する再加熱工程、および
    前記再加熱後の圧延材をAc点以上の温度から冷却速度10.0℃/s以上で200℃以下まで冷却する第2冷却工程を備える、請求項1〜3のいずれかに記載の耐摩耗鋼板の製造方法。
  5. 請求項1または2に記載の化学組成を有するスラブを900〜1200℃に加熱する加熱工程、
    前記加熱後のスラブを、圧延開始温度が1000℃以下で、圧延完了温度がAr点以上かつ(Ar点+150℃)以下となるように圧延して圧延材を得る圧延工程、および
    前記圧延材をAr点以上の温度から冷却速度3.0℃/s以上で200℃以下まで冷却する冷却工程を備える、請求項1〜3のいずれかに記載の耐摩耗鋼板の製造方法。
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