JP6393035B2 - タイヤの摩擦力評価方法 - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤのトレッドゴムの摩擦力等を適切に評価するのに役立つ方法に関する。
従来、タイヤの製造工程では、先ず、トレッドゴムを含む各構成部材を互いに貼り合わせて、未加硫の生タイヤが形成される。次に、未加硫の生タイヤが、金型内で加硫成形されることにより、タイヤが製造される。
特開2006−160236号公報
生タイヤのトレッドゴムには、例えば、ステアンリン酸等の油脂成分が配合されている。この油脂成分は、加硫成形時の加熱によって、タイヤのトレッドゴムの接地面に浮き出し、該接地面に多く存在する傾向がある。このような油脂成分を主体的に含む接地面の付着物は、トレッドゴムの動的摩擦係数を低下させる傾向がある。このため、トレッドゴムの摩擦力を適切に評価することが難しいという問題があった。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、タイヤのトレッドゴムの摩擦力を適切に評価するのに役立つ方法を提供することを主たる目的としている。
本発明は、タイヤの摩擦力を評価するための方法であって、動的摩擦係数測定装置を準備する工程、前記タイヤの表面を含むように、前記タイヤを切り出した第1ゴムサンプルを準備する工程、前記第1ゴムサンプルの前記表面を、動的摩擦係数測定対象面に押し当てて、相対移動させることにより、前記第1ゴムサンプルの動的摩擦係数の測定を複数回行う工程、及び測定された前記動的摩擦係数が実質的に一定になるまでの測定回数を調べる工程を含むことを特徴とする。
本発明は、タイヤの摩擦力を評価するための方法であって、動的摩擦係数測定装置を準備する工程、前記タイヤの表面を含むように、前記タイヤを切り出した第1ゴムサンプルを準備する工程、前記タイヤの前記表面を含まないように、前記タイヤを切り出した第2ゴムサンプルを準備する工程、前記第1ゴムサンプルの前記表面を、動的摩擦係数測定対象面に押し当てて、相対移動させることにより、前記第1ゴムサンプルの動的摩擦係数の測定を複数回行う工程、前記第2ゴムサンプルを、動的摩擦係数測定対象面に押し当てて、相対移動させることにより、前記第2ゴムサンプルの動的摩擦係数の測定を1回のみ行う工程、及び前記第1ゴムサンプルの測定された前記動的摩擦係数が、前記第2ゴムサンプルの測定された前記動的摩擦係数に実質的に一致するまでの測定回数を調べる工程を含むことを特徴とする。
本発明に係る前記タイヤの摩擦力評価方法は、前記タイヤの前記表面は、前記タイヤのトレッドゴムの接地面である請求項1又は2に記載のタイヤの摩擦力評価方法であるのが望ましい。
本発明は、タイヤの摩擦力を評価するための方法であって、動的摩擦係数測定装置を準備する工程、前記タイヤのゴムと同じ配合からなるゴムシートを加熱して、前記ゴムに配合されている油脂成分を表面に浮き出させた第3ゴムサンプルを準備する工程、前記第3ゴムサンプルの前記表面を、動的摩擦係数測定対象面に押し当てて、相対移動させることにより、前記第3ゴムサンプルの動的摩擦係数の測定を複数回行う工程、及び測定された前記動的摩擦係数が実質的に一定になるまでの測定回数を調べる工程を含むことを特徴とする。
本発明に係る前記タイヤの摩擦力評価方法は、前記動的摩擦係数を複数回測定する工程において、前記ゴムサンプルの移動速度は、いずれも同一範囲であるのが望ましい。
本発明に係る前記タイヤの摩擦力評価方法は、前記測定回数に基づいて、前記タイヤのゴムに配合される油脂成分を含む付着物の取れやすさを予測する工程を含むのが望ましい。
本発明に係る前記タイヤの摩擦力評価方法は、前記測定回数に基づいて、前記タイヤの摩擦測定試験までに必要な前記タイヤの慣らし走行の回数を予測する工程を含むのが望ましい。
請求項1のタイヤの摩擦力評価方法は、動的摩擦係数測定装置を準備する工程、及び、タイヤの表面を含むように、タイヤを切り出した第1ゴムサンプルを準備する工程を含んでいる。この第1ゴムサンプルの表面には、例えば、タイヤの表面に浮き出す油脂成分を含む付着物を有する。この付着物は、動的摩擦係数を低下させるものである。
請求項1のタイヤの摩擦力評価方法は、第1ゴムサンプルの表面を、動的摩擦係数測定対象面に押し当てて、相対移動させることにより、第1ゴムサンプルの動的摩擦係数の測定を複数回行う工程、第1ゴムサンプルの動的摩擦係数を複数回測定する工程、及び、測定された動的摩擦係数が実質的に一定になるまでの測定回数を調べる工程を含んでいる。従って、請求項1のタイヤの摩擦力評価方法では、測定を繰り返すことによって付着物を表面から除去し、動的摩擦係数を低下させる付着物の影響がなくなるまでの測定回数を求めることができる。この測定回数に基づいて、例えば、タイヤの慣らし走行が実施されることにより、トレッドゴムの接地面に多く存在する付着物を効果的に除去でき、動的摩擦係数を正確に測定することができる。従って、請求項1のタイヤの摩擦力評価方法では、タイヤの摩擦力を適切に評価するのに役立つ。
請求項2のタイヤの摩擦力評価方法は、動的摩擦係数測定装置を準備する工程、タイヤの表面を含むように、タイヤを切り出した第1ゴムサンプルを準備する工程、及び、タイヤの表面を含まないように、タイヤを切り出した第2ゴムサンプルを準備する工程を含んでいる。この第1ゴムサンプルの表面は、例えば、タイヤの表面に浮き出す油脂成分等の付着物が含まれる。一方、第2ゴムサンプルの表面には、付着物は含まれない。
請求項2のタイヤの摩擦力評価方法は、第1ゴムサンプルの表面を、動的摩擦係数測定対象面に押し当てて、相対移動させることにより、第1ゴムサンプルの動的摩擦係数の測定を複数回行う工程、第2ゴムサンプルを、動的摩擦係数測定対象面に押し当てて、相対移動させることにより、第2ゴムサンプルの動的摩擦係数の測定を1回のみ行う工程、及び、第1ゴムサンプルの測定された動的摩擦係数が、第2ゴムサンプルの測定された動的摩擦係数に実質的に一致するまでの測定回数を調べる工程を含んでいる。
第2ゴムサンプルの動的摩擦係数は、付着物の影響を受けない動的摩擦係数である。従って、請求項2のタイヤの摩擦力評価方法は、第1ゴムサンプルの測定された動的摩擦係数が、第2ゴムサンプルの動的摩擦係数に実質的に一致するまで、第1ゴムサンプルの測定を繰り返すことによって第1ゴムサンプルの付着物を表面から除去し、動的摩擦係数を低下させる付着物の影響がなくなるまでの測定回数を求めることができる。この測定回数に基づいて、例えば、タイヤの慣らし走行が実施されることにより、トレッドゴムの接地面に多く存在する付着物を効果的に除去でき、動的摩擦係数を正確に測定することができる。従って、請求項2のタイヤの摩擦力評価方法では、タイヤの摩擦力を適切に評価するのに役立つ。
請求項4のタイヤの摩擦力評価方法には、動的摩擦係数測定装置を準備する工程、及び、タイヤのゴムと同じ配合からなるゴムシートを加熱して、ゴムに配合されている油脂成分を表面に浮き出させた第3ゴムサンプルを準備する工程を含んでいる。このような第3ゴムサンプルの表面は、タイヤの表面を再現することができる。
請求項4のタイヤの摩擦力評価方法では、第3ゴムサンプルの表面を、動的摩擦係数測定対象面に押し当てて、相対移動させることにより、第3ゴムサンプルの動的摩擦係数の測定を複数回行う工程、及び、測定された動的摩擦係数が実質的に一定になるまでの測定回数を調べる工程を含んでいる。従って、請求項4のタイヤの摩擦力評価方法では、測定を繰り返すことによって付着物を表面から除去し、動的摩擦係数を低下させる付着物の影響がなくなるまでの測定回数を求めることができる。この測定回数に基づいて、例えば、タイヤの慣らし走行が実施されることにより、トレッドゴムの接地面に多く存在する付着物を効果的に除去でき、動的摩擦係数を正確に測定することができる。従って、請求項4のタイヤの摩擦力評価方法では、タイヤの摩擦力を適切に評価するのに役立つ。
また、請求項4のタイヤの摩擦力評価方法では、加硫後のタイヤのゴムを再現した第3ゴムサンプルが用いられるため、例えば、タイヤを製造する前に、摩擦力を早期に発揮しうるゴムの配合を評価することができる。
本実施形態の評価方法によって摩擦力等が評価されるタイヤの一例を示す断面図である。 本実施形態の評価方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 本実施形態の動的摩擦係数測定装置を概念的に示す斜視図である。 (a)は、回転手段を上昇させた測定装置を示す断面図、(b)は、回転手段を下降させた測定装置を示す断面図である。 図3の測定装置の底面図である。 ゴムサンプルの斜視図である。 第1ゴムサンプル及び第2ゴムサンプルを切り出す工程を説明する斜視図である。 第1ゴムサンプルが取り付けられた測定装置を示す部分断面図である。 第1ゴムサンプルの動的摩擦係数と、第1ゴムサンプルの移動速度との関係を示すグラフである。 本発明の他の実施形態の評価方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 第2ゴムサンプルが取り付けられた測定装置を示す部分断面図である。 動的摩擦係数と、移動速度との関係を示すグラフである。 本発明のさらに他の実施形態の評価方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 第3ゴムサンプルの斜視図である。 第3ゴムサンプルが取り付けられた測定装置を示す部分断面図である。 第3ゴムサンプルの動的摩擦係数と、第3ゴムサンプルの移動速度との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
本実施形態のタイヤの摩擦力評価方法(以下、単に「評価方法」ということがある)は、タイヤのトレッドゴムの摩擦力等を適切に評価するための方法である。
図1は、本実施形態の評価方法によって摩擦力等が評価されるタイヤの一例を示す断面図である。本実施形態のタイヤ1は、例えば乗用車用タイヤとして構成されている。タイヤ1は、トレッド部2からサイドウォール部3を経てビード部4のビードコア5に至るカーカス6と、このカーカス6のタイヤ半径方向外側かつトレッド部2の内部に配されるベルト層7とが設けられている。
トレッド部2には、路面に接地する接地面9と、該接地面9から凹む溝10とが設けられている。また、前記溝10は、例えば、タイヤ周方向に連続してのびる少なくとも1本、本実施形態では5本の主溝10a、及び、該主溝10aと交わる向きにのびる複数の横溝(図示省略)が設けられる。
カーカス6は、少なくとも1枚以上、本実施形態では1枚のカーカスプライ6Aで構成されている。このカーカスプライ6Aは、トレッド部2からサイドウォール部3を経てビード部4のビードコア5に至る本体部6aと、この本体部6aに連なりビードコア5の廻りをタイヤ軸方向内側から外側に折り返された折返し部6bとを含んでいる。この本体部6aと折返し部6bとの間には、ビードコア5からタイヤ半径方向外側にのびるビードエーペックスゴム8が配されている。また、カーカスプライ6Aは、タイヤ赤道Cに対して、例えば75〜90度の角度で配列されたカーカスコードを有している。
ベルト層7は、ベルトコードを、タイヤ周方向に対して、例えば10〜35度の角度で傾けて配列した内、外2枚のベルトプライ7A、7Bから構成されている。これらのベルトプライ7A、7Bは、ベルトコードが互いに交差する向きに重ね合わされている。
このようなタイヤ1の製造工程では、慣例に従って、先ず、トレッド部2のトレッドゴム2gを含む各構成部材を互いに貼り合わせて、未加硫の生タイヤ(図示省略)が形成される。次に、未加硫の生タイヤが、金型(図示省略)内で加硫成形されることにより、タイヤ1が製造される。
生タイヤのトレッドゴム(図示省略)を含むゴム部材には、例えば、ステアンリン酸、老化防止剤、又は、WAX等の油脂成分が配合されている。これらの油脂成分は、加硫成形時の加熱によって、タイヤ1のトレッドゴム2gの接地面9に浮き出し、該接地面9に多く存在する傾向がある。このような油脂成分を主体的に含む接地面9の付着物は、トレッドゴム2gの動的摩擦係数(μ)を低下させる傾向がある。このため、このような付着物が多く存在した状態では、トレッドゴム2gの本来の摩擦力を適切に評価することが難しいという問題がある。
本発明の評価方法では、タイヤ1の接地面9の付着物を考慮して、トレッドゴム2gの摩擦力等が評価される。図2には、本実施形態の評価方法の具体的な処理手順が示される。
本実施形態では、先ず、動的摩擦係数測定装置(以下、単に「測定装置」ということがある)11が準備される(工程S1)。図3は、本実施形態の測定装置11を概念的に示す斜視図、図4は、測定装置11の断面図、図5は、測定装置11の底面図である。本実施形態の測定装置11は、基体12と、基体12に固定される昇降手段13と、該昇降手段13に支持される回転手段14とを含んで構成されている。
図4(a)に示されるように、基体12は、水平にのびる上板部12aと、上板部12aの端部から下方にのびる側板部12bと、側板部12bの下端に設けられる脚部12cとを含んで構成されている。また、上板部12aは、平面視において、略矩形状に形成されている。このような基体12は、例えば、路面等の動的摩擦係数測定対象面(以下、単に「測定対象面」ということがある。)16の上に載置される。また、基体12には、上板部12aと側板部12bとで囲まれた空間部17が設けられている。この空間部17は、基体12の下方で開口している。
昇降手段13は、基体12の上板部12aから上方に突出するシリンダ13aと、シリンダ13aから上下方向に伸縮するロッド13bと、ロッド13bを伸縮させる電動機(図示省略)とを含んで構成されている。また、昇降手段13には、ロッド13bの上端側と、回転手段14との間を水平にのびるアーム13cが設けられる。このような昇降手段13は、ロッド13bの伸縮によって、回転手段14を上下方向に昇降させることができる。
回転手段14は、円盤状に形成された回転盤14aと、回転盤14aの中央部から上方にのびる回転軸14bとを含んで構成される。回転盤14aは、基体12の空間部17に配置される。回転軸14bは、上板部12aから上方に突出してのびている。また、回転手段14は、回転軸14bの上端に固着される電動機14cが設けられる。電動機14cは、ブラケットを介して、昇降手段13のアーム13cに固着される。このような回転手段14は、電動機14c及び回転軸14bを介して、回転盤14aを垂直軸周りに回転させることができる。
図5に示されるように、回転盤14aの下面には、例えば、ゴム材料からなるゴムサンプル18が取り付けられる。本実施形態では、同一のゴムサンプル18が複数個(本実施形態では、2個)取り付けられている。これらのゴムサンプル18は、回転盤14aの回転方向において、等間隔に配置されている。
図6は、ゴムサンプル18の斜視図である。本実施形態のゴムサンプル18は、例えば、平面視略矩形の板状(シート状)に形成されているが、ブロック状に形成されてもよい。シート状に形成されたゴムサンプル18の各寸法については、テスト条件に応じて適宜設定できる。本実施形態のゴムサンプル18は、例えば、長手方向の長さL1aが、例えば5mm〜30mm程度、短手方向の長さL1bが5mm〜30mm程度、及び、厚さW1が0.5mm〜10.0mm程度に設定される。図5に示されるように、ゴムサンプル18は、例えば、固着具(図示省略)や接着剤等を介して、回転盤14aに固定される。ゴムサンプル18の重心18gと、回転軸14bとの距離(回転半径)L2は、例えば、10mm〜500mmに設定される。また、回転手段14には、ゴムサンプル18の動的摩擦係数の測定するためのセンサー(図示省略)が設けられている。
このような測定装置11を用いた動的摩擦係数の測定方法について説明する。
図4(a)及び図5に示されるように、本実施形態の測定方法では、先ず、ゴムサンプル18が回転盤14aの下面に取り付けられる。次に、測定装置11が、路面等の測定対象面16の上に載置される。次に、図4(b)に示されるように、ゴムサンプル18を測定対象面16から浮かせた状態で、電動機14cの駆動によって、回転盤14aが垂直水平軸回りに回転される。次に、電動機14cの駆動が止められ、慣性力で回転している回転盤14aが昇降手段13によって下降され、ゴムサンプル18が測定対象面16に押し当てられる。これにより、測定装置11は、ゴムサンプル18を測定対象面16に押し当てて、測定対象面16に対して相対移動させることができる。従って、測定装置11は、ゴムサンプル18と測定対象面16との間に摩擦を生じさせることができ、ゴムサンプル18の測定対象面16に対する動的摩擦係数を測定することができる。また、回転盤14aの回転は、ゴムサンプル18と測定対象面16との摩擦によって減速し、その後、停止する。このため、測定装置11は、電動機14cによって回転された初期の移動速度から回転盤14aが停止するまでの動的摩擦係数を、段階的に測定することができる。また、測定された動的摩擦係数は、例えば、図示しないディスプレイ等の出力装置を介して表示される。
このような測定装置11については、適宜選択することができる。例えば、日邦産業(株)製のD.F.テスター(ダイナミック・フリクション・テスター)Sタイプを用いることができる。
次に、第1ゴムサンプルが準備される(工程S2)。図7は、第1ゴムサンプル18A及び第2ゴムサンプル18Bを切り出す工程を説明する斜視図である。第1ゴムサンプル18Aは、タイヤ1の表面1sを含むように、タイヤ1から切り出される。本実施形態の表面1sは、トレッドゴム2gの接地面9である。従って、第1ゴムサンプル18Aは、接地面9を含むように、タイヤ1のトレッドゴム2gから切り出される。本実施形態の第1ゴムサンプル18Aは、図6に示したゴムサンプル18と同様に、平面視略矩形の板状に形成される。
第1ゴムサンプル18Aの表面(図において、上面)18Asは、トレッドゴム2gの接地面9である。この表面18Asには、タイヤ1の表面に浮き出す油脂成分を含む付着物を有している。第1ゴムサンプル18Aの長手方向の長さ、短手方向の長さ、及び、厚さについては、図6に示したゴムサンプル18と同一範囲が望ましい。
次に、第1ゴムサンプル18Aの動的摩擦係数が測定される(工程S3)。この工程S3では、図4(a)、(b)に示した測定方法に基づいて、第1ゴムサンプル18Aの動的摩擦係数が測定される。本実施形態の測定対象面16は、タイヤ1の慣らし走行、及び、動的摩擦係数が測定される路面16sである。
図8は、第1ゴムサンプル18Aが取り付けられた測定装置11を示す部分断面図である。本実施形態の工程S3は、先ず、第1ゴムサンプル18Aが回転盤14aの下面に取り付けられる。このとき、第1ゴムサンプル18Aの表面18As(図8に示す)は、図において下方、即ち、測定対象面16側に向かって取り付けられる。次に、測定装置11が測定対象面16の上に載置され、ゴムサンプル18Aが予め定められた移動速度になるまで、回転盤14aを回転させる。次に、回転盤14aが慣性力で回転している状態で、第1ゴムサンプル18Aの表面18Asが、測定対象面16に押し当てられ、測定対象面16に対して相対移動される。これにより、予め定められた移動速度から停止するまでの第1ゴムサンプル18Aの動的摩擦係数が測定される。本実施形態の工程S3では、このような第1ゴムサンプル18Aの動的摩擦係数の測定が、複数回行われる。
工程S3では、各回の第1ゴムサンプル18Aの動的摩擦係数の測定結果が出力される。図9は、第1ゴムサンプル18Aの動的摩擦係数と、第1ゴムサンプル18Aの移動速度との関係を示すグラフである。
なお、各回の第1ゴムサンプル18Aの移動速度は、いずれも同一範囲に設定される。さらに、本実施形態では、各回の第1ゴムサンプル18Aへの荷重も、いずれも同一範囲に設定される。これにより、各回のゴムサンプル18の測定条件を一定にすることができるため、各回の動的摩擦係数を精度良く求めることができる。
第1ゴムサンプル18Aの各回の移動速度は、例えば、18km/h〜0km/h(停止)の範囲が望ましい。なお、第1ゴムサンプル18Aの各回の移動速度は、1km/h〜20km/hの範囲で段階的に増加させてもよい。また、動的摩擦係数を複数回測定する工程S3において、第1ゴムサンプル18Aの各回の移動距離は、例えば、0.1km〜2.0kmに設定されるのが望ましい。
第1ゴムサンプル18Aへの荷重は、例えば、0.5N〜50Nが望ましい。なお、荷重が0.5N未満であると、第1ゴムサンプル18Aを測定対象面16に安定して押し当てることができず、測定結果にバラつきが生じるおそれがある。逆に、荷重が50Nを超えても、第1ゴムサンプル18Aと測定対象面16との摩擦が過度に大きくなり(第1ゴムサンプル18Aが測定対象面16の凹凸に引っかかり)、測定結果にバラつきが生じるおそれがある。このような観点より、荷重は、好ましくは5N以上が望ましく、また、好ましくは30N以下が望ましい。
次に、測定された動的摩擦係数が実質的に一定になるまでの測定回数が調べられる(工程S4)。図9に示したグラフでは、測定回数が増加するにしたがって、第1ゴムサンプル18Aの動的摩擦係数が増加していることが確認できる。これは、測定を繰り返すことにより、第1ゴムサンプル18Aの表面18Asから、付着物が除去されて、第1ゴムサンプル18Aの本来の動的摩擦係数を徐々に発揮していることを示していると考えられる。
さらに、本実施形態では、4回目の動的摩擦係数と、5回目の動的摩擦係数とが、実質的に一定であることが確認できる。これは、4回目の測定時において、第1ゴムサンプル18Aの表面から付着物が完全に除去されて、第1ゴムサンプル18Aの本来の動的摩擦係数を発揮しているとみなすことができる。従って、工程S4は、第1ゴムサンプル18Aにおいて、付着物の影響がなくなるまでの測定回数(本実施形態では、4回)を求めることができる。
本明細書において、「動的摩擦係数が実質的に一定である」とは、一方の動的摩擦係数(本実施形態では、4回目の動的摩擦係数)の平均値と、他方の動的摩擦係数(本実施形態では、5回目の動的摩擦係数)の平均値との差が、0.005μ以下の場合を意味している。また、動的摩擦係数の平均値は、第1ゴムサンプル18Aの移動速度が1km/h〜10km/hの範囲で計算されるのが望ましい。なお、移動速度が10km/hを超えると、第1ゴムサンプル18Aの変形が過度に大きくなり、動的摩擦係数の平均値を精度よく測定できないおそれがある。逆に、移動速度が1km/h未満であっても、第1ゴムサンプル18Aと測定対象面16との摩擦が過度に大きくなり、動的摩擦係数の平均値を精度よく測定できないおそれがある。
工程S4では、第1ゴムサンプル18Aの動的摩擦係数が実質的に一定になるまでの測定回数から、タイヤ1のトレッドゴム2g(図1に示す)の付着物の取れやすさが予測されるのが望ましい。即ち、前記測定回数が少ない場合は、タイヤ1のトレッドゴム2gの付着物が取れやすいと予測することができる。一方、前記測定回数が多い場合は、タイヤ1のトレッドゴム2gの付着物が取れにくいと予測することができる。このように、付着物の取れやすさが予測されることにより、トレッドゴム2gの配合を、付着物の取れやすい配合に調整することができる。
また、タイヤ1の慣らし走行では、接地面9(図1に示す)と路面16sとの摩擦により、トレッドゴム2gの付着物が除去される。このため、動的摩擦係数が実質的に一定になるまでの測定回数と、トレッドゴム2gの付着物を除去するのに必要な慣らし走行の回数とは、互いに相関があると考えられる。また、タイヤ1の慣らし走行は、付着物を除去して、タイヤ1の本来の摩擦力を発揮させるのに重要である。従って、工程S4では、動的摩擦係数が実質的に一定になるまでの測定回数に基づいて、タイヤ1の摩擦測定試験までに必要なタイヤ1の慣らし走行の回数が予測されるのが望ましい。
前記測定回数が多い場合は、トレッドゴム2g(図1に示す)の付着物が取れにくいため、タイヤ1の慣らし走行の回数を多くする必要があると予測できる。一方、前記測定回数が少ない場合は、トレッドゴム2gの付着物が取れやすいため、タイヤ1の慣らし走行の回数を少なくできると予測できる。従って、本実施形態では、付着物を効果的に除去しつつ、タイヤ1の慣らし走行が過度に実施されるのを防ぐことができる。
なお、本実施形態の慣らし走行では、慣らし走行時のタイヤ1の荷重が、第1ゴムサンプル18Aへの荷重と同一範囲に設定されるのが望ましい。これにより、測定対象面16において、慣らし走行でのタイヤ1の摩耗量と、第1ゴムサンプル18Aの摩耗量とを近似させることができる。なお、慣らし走行時のタイヤ1の各回の走行距離、慣らし走行の速度、及び、第1ゴムサンプル18Aの各回の移動距離は、例えば、タイヤ1の構造や、ゴムの配合に基づいて、適宜設定されるのが望ましい。
次に、予測された慣らし走行の回数に基づいて、タイヤ1(図1に示す)の慣らし走行が実施される(工程S5)。本実施形態の工程S5では、上記した条件(慣らし走行の各回の走行距離、及び、速度等)に基づいて、タイヤ1の慣らし走行が、予測された回数分実施される。これにより、工程S5では、トレッドゴム2gの付着物を効果的に除去することができる。
次に、タイヤ1の摩擦測定試験が実施される(工程S6)。本実施形態では、工程S5の慣らし走行によってトレッドゴム2gの付着物が除去されているため、動的摩擦係数を正確に測定することができる。従って、本実施形態の評価方法では、タイヤ1の摩擦力を適切に評価するのに役立つ。なお、タイヤの摩擦測定試験は、適宜実施することができる。本実施形態では、例えば、(株)ティ アンド ティ製のトラクションバスを用いて、タイヤ1の摩擦測定試験が実施される。
図10には、本発明の他の実施形態の評価方法の具体的な処理手順が示される。
この実施形態の評価方法では、先ず、前実施形態の評価方法と同様に、図3〜図5に示した動的摩擦係数測定装置11が準備され(工程S1)、図7に示した第1ゴムサンプル18Aが準備される(工程S2)。次に、この実施形態の評価方法では、第2ゴムサンプルが準備される(工程S3)。
図7に示されるように、第2ゴムサンプル18Bは、タイヤ1の表面1sを含まないように、タイヤ1の内部から切り出される。タイヤ1の表面1sは、トレッド部2の接地面9である。従って、第2ゴムサンプル18Bは、接地面9を含まないように、タイヤ1のトレッドゴム2gの内部から切り出される。なお、第2ゴムサンプル18Bは、トレッド部2の接地面9から深さが0.5mm〜8.0mmのゴム部分が切り出されるのが望ましい。これにより、油脂成分を含む付着物が、第2ゴムサンプル18Bの表面に付着するのを防ぐことができる。
この実施形態の第2のゴムサンプル18は、図6に示したゴムサンプル18と同様に、平面視略矩形の板状に形成される。また、第2ゴムサンプル18Bの長手方向の長さ、短手方向の長さ、及び、厚さについては、ゴムサンプル18と同一範囲が望ましい。
次に、前実施形態の評価方法と同様に、第1ゴムサンプル18Aの動的摩擦係数が測定される(工程S4)。次に、この実施形態の評価方法では、第2ゴムサンプル18Bの動的摩擦係数が測定される(工程S5)。
図11は、第2ゴムサンプル18Bが取り付けられた測定装置11を示す部分断面図である。工程S5では、第2ゴムサンプル18Bを、測定対象面16に押し当てて、動的摩擦係数が測定される。なお、この実施形態の測定対象面16は、第1ゴムサンプル18Aと同様に、タイヤ1の慣らし走行、及び、動的摩擦係数が測定される路面16sである。
工程S5では、第1ゴムサンプル18Aの動的摩擦係数の測定方法と同様に、先ず、第2ゴムサンプル18Bが回転盤14aの下面に取り付けられる。なお、第2ゴムサンプル18Bには、付着物を有するトレッドゴム2gの接地面9(図7に示す)が含まれていないため、取り付ける向きは指定されない。
次に、測定装置11が測定対象面16の上に載置され、第2ゴムサンプル18Bが予め定められた移動速度になるまで、回転盤14aを回転させる。次に、回転盤14aが慣性力で回転している状態で、第2ゴムサンプル18Bが測定対象面16に押し当てられ、測定対象面16に対して相対移動される。これにより、第2ゴムサンプル18Bの動的摩擦係数が測定される。本実施形態では、第2ゴムサンプル18Bの動的摩擦係数の測定が1回のみ行われる。なお、第2ゴムサンプル18Bの移動速度、移動距離、及び、第2ゴムサンプル18Bへの荷重は、第1ゴムサンプル18A(図8に示す)の移動速度、移動距離、及び、第1ゴムサンプル18Aへの荷重と同一範囲が望ましい。
工程S4及び工程S5では、各回で測定された第1ゴムサンプル18Aの動的摩擦係数、及び、第2ゴムサンプル18Bの動的摩擦係数の測定結果が出力される。図12は、ゴムサンプルの動的摩擦係数と、ゴムサンプルの移動速度との関係を示すグラフである。
次に、第1ゴムサンプル18Aの測定された前記動的摩擦係数が、第2ゴムサンプル18Bの測定された動的摩擦係数に実質的に一致するまでの測定回数が調べられる(工程S6)。図12のグラフに示されるように、測定回数が増加するにしたがって、第1ゴムサンプル18Aの動的摩擦係数が増加していることが確認できる。さらに、本実施形態では、4回目の第1ゴムサンプル18Aの動的摩擦係数と、第2ゴムサンプル18Bの動的摩擦係数とが、実質的に一致している。第2ゴムサンプル18Bの動的摩擦係数は、付着物の影響を受けない動的摩擦係数である。このため、4回目の測定時には、第1ゴムサンプル18Aの表面から付着物が完全に除去されて、第1ゴムサンプル18Aの本来の動的摩擦係数が発揮されているとみなすことができる。従って、工程S6は、第1ゴムサンプル18Aにおいて、付着物の影響がなくなるまでの測定回数(本実施形態では、4回)を求めることができる。
本明細書において、「動的摩擦係数が実質的に一致する」とは、第1ゴムサンプル18Aの動的摩擦係数(本実施形態では、4回の第1ゴムサンプル18の動的摩擦係数)の平均値と、第2ゴムサンプル18Bの動的摩擦係数の平均値との差が、0.005μ以下である場合を意味している。また、動的摩擦係数の平均値は、移動速度が、1km/h〜10km/hの範囲で計算されるのが望ましい。
工程S6では、前実施形態の評価方法と同様に、動的摩擦係数が実質的に一致するまでの測定回数から、タイヤ1のトレッドゴム2g(図1に示す)の付着物の取れやすさが予測されるのが望ましい。さらに、工程S6では、動的摩擦係数が実質的に一致するまでの測定回数に基づいて、タイヤ1の摩擦測定試験までに必要なタイヤ1の慣らし走行の回数が予測されるのが望ましい。
次に、前実施形態の評価方法と同様に、予測された慣らし走行の回数に基づいて、タイヤ1の慣らし走行が実施された後に(工程S7)、タイヤ1の摩擦測定試験が実施される(工程S8)。この実施形態の評価方法では、前実施形態の評価方法と同様に、工程S7の慣らし走行によってトレッドゴム2gの付着物を除去した後に、タイヤ1の摩擦測定試験が実施されるため、タイヤの摩擦力を適切に評価するのに役立つ。なお、慣らし走行の各回の走行距離、速度、及び、慣らし走行時のタイヤ1の荷重は、前実施形態の評価方法と同一の範囲に設定されるのが望ましい。
図13には、本発明のさらに他の実施形態の評価方法の具体的な処理手順が示される。
この実施形態の評価方法では、先ず、前実施形態までの評価方法と同様に、図3〜図5に示した動的摩擦係数測定装置11が準備される(工程S1)。次に、第3ゴムサンプル18Cが準備される(工程S2)。
図14は、第3ゴムサンプル18Cの斜視図である。第3ゴムサンプル18Cは、タイヤ1のゴム(本実施形態では、図1に示したトレッドゴム2g)と同じ配合からなるゴムシート(図示省略)を加熱したものである。ゴムシートは、例えば、ゴム押出機から押出し成形された未加硫のゴムシートである。ここで、「未加硫の状態」とは、完全な加硫に至っていない全ての態様を含むもので、いわゆる半加硫の状態は「未加硫の状態」に含まれる。このゴムシートは、例えば、プレス加硫機(図示省略)によって加硫成形される。この加硫時の加熱によって、ゴムに配合されている油脂成分を、表面18Csに浮き出させた第3ゴムサンプル18Cを製造することができる。なお、第3ゴムサンプル18Cの表面18Csとは、プレス加硫機の金型によって直接加熱された側の面である。このような第3ゴムサンプル18Cは、図7に示したタイヤ1のトレッドゴム2g(第1ゴムサンプル18A)を再現することができる。
また、ゴムシートへの加熱は、タイヤ1の加硫時の条件に応じて、適宜設定することができる。本実施形態では、例えば、160℃〜180℃において、15分〜25分間加熱されるのが望ましい。また、第3ゴムサンプル18Cは、図6に示したゴムサンプル18と同様に、平面視略矩形の板状に形成される。また、第3ゴムサンプル18Cの長手方向の長さ、短手方向の長さ、及び、厚さについては、上述のゴムサンプル18と同一範囲が望ましい。
次に、第3ゴムサンプル18Cの動的摩擦係数が測定される(工程S3)。図15は、第3ゴムサンプル18Cが取り付けられた測定装置11を示す部分断面図である。この工程S3では、第3ゴムサンプル18Cの表面18Csを、測定対象面16に押し当てて、動的摩擦係数が測定される。本実施形態の測定対象面16は、前実施形態までの評価方法と同様に、タイヤ1の慣らし走行、及び、動的摩擦係数が測定される路面16sである。
本実施形態の工程S3は、上述した測定方法に基づいて、先ず、第3ゴムサンプル18Cが回転盤14aの下面に取り付けられる。このとき、第3ゴムサンプル18Cの表面18Csは、図において下方、即ち、測定対象面16側に向かって取り付けられる。次に、測定装置11が測定対象面16の上に載置され、第3ゴムサンプル18Cが予め定められた移動速度になるまで、回転盤14aを回転させる。次に、回転盤14aが慣性力で回転している状態で、第3ゴムサンプル18Cが測定対象面16に押し当てられ、測定対象面16に対して相対移動される。これにより、第3ゴムサンプル18Cの動的摩擦係数が測定される。本実施形態の工程S3では、このような第3ゴムサンプル18Cの動的摩擦係数の測定が複数回行われる。なお、動的摩擦係数を複数回測定する工程S3において、第3ゴムサンプル18Cの移動速度、移動距離、及び、第3ゴムサンプル18Cへの荷重は、いずれも同一範囲であるのが望ましい。また、各回の第3ゴムサンプル18Cの移動速度、移動距離、及び、第3ゴムサンプル18Cへの荷重は、第1ゴムサンプル18A(図8に示す)の移動速度、移動距離、及び、第1ゴムサンプル18Aへの荷重と同一範囲が望ましい。
工程S3では、各回の第3ゴムサンプル18Cの動的摩擦係数の測定結果が出力される。図16は、第3ゴムサンプル18Cの動的摩擦係数と、第3ゴムサンプル18Cの移動速度との関係を示すグラフである。
次に、測定された動的摩擦係数が実質的に一定になるまでの測定回数が調べられる(工程S4)。図16のグラフでは、測定回数が増加するにしたがって、第3ゴムサンプル18Cの動的摩擦係数が増加していることが確認できる。これは、測定を繰り返すことにより、第3ゴムサンプル18Cの表面18Cs(図14に示す)から、付着物が除去されて、第3ゴムサンプル18Cの本来の動的摩擦係数を徐々に発揮していることを示していると考えられる。
さらに、本実施形態では、3回目の動的摩擦係数と、4回目の動的摩擦係数とが、実質的に一定であることが確認できる。これは、3回目の測定時において、第3ゴムサンプル18Aの表面18Csから付着物が除去されて、第3ゴムサンプル18Cの本来の動的摩擦係数を徐々に発揮しているとみなすことができる。従って、工程S4は、第3ゴムサンプル18Cにおいて、付着物の影響がなくなるまでの測定回数(本実施形態では、3回)を求めることができる。
工程S4では、前実施形態までの評価方法と同様に、動的摩擦係数が実質的に一定になるまでの測定回数から、タイヤ1のトレッドゴム2gの付着物の取れやすさが予測されるのが望ましい。さらに、工程S4では、動的摩擦係数が実質的に一定になるまでの測定回数に基づいて、タイヤ1の摩擦測定試験までに必要なタイヤ1の慣らし走行の回数が予測されるのが望ましい。本実施形態では、加硫後のタイヤ1のトレッドゴム2gを再現した第3ゴムサンプル18Cが用いられるため、例えば、タイヤ1を実際に製造する前に、摩擦力を早期に発揮しうるゴムの配合を評価することができる。
次に、前実施形態までの評価方法と同様に、予測された慣らし走行の回数に基づいて、タイヤ1の慣らし走行が実施され(工程S5)、さらに、タイヤ1の摩擦測定試験が実施される(工程S6)。この実施形態の評価方法では、前実施形態までの評価方法と同様に、工程S5の慣らし走行によってトレッドゴム2gの付着物を除去した後に、タイヤ1の摩擦測定試験が実施されるため、タイヤ1の摩擦力を適切に評価するのに役立つ。なお、慣らし走行の各回の走行距離、速度、及び、慣らし走行時のタイヤ1の荷重は、前実施形態までの評価方法と同一の範囲に設定されるのが望ましい。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図2に示した手順に従って、配合の異なるトレッドゴムを有する4つのタイヤから、第1ゴムサンプルがそれぞれ準備された。これらの第1ゴムサンプルの動的摩擦係数が複数回測定され、測定された動的摩擦係数が実質的に一定になるまでの測定回数が調べられた。そして、測定回数に基づいて、タイヤの摩擦測定試験までに必要なタイヤの慣らし走行の回数(タイヤの動的摩擦係数がピークになるまでの回数)が予測された(実施例1〜実施例4)。
また、図10に示した手順に従って、配合の異なるトレッドゴムを有する2つのタイヤから、第1ゴムサンプル及び第2ゴムサンプルがそれぞれ準備された。第1ゴムサンプル及び第2ゴムサンプルの動的摩擦係数が測定され、第1ゴムサンプルの測定された動的摩擦係数が、第2ゴムサンプルの測定された動的摩擦係数に実質的に一致するまでの測定回数が調べられた。そして、測定回数に基づいて、タイヤの摩擦測定試験までに必要なタイヤの慣らし走行の回数(タイヤの動的摩擦係数がピークになるまでの回数)が予測された(実施例5、実施例6)。
さらに、図13に示した手順に従って、配合が異なる4枚のゴムシートを加熱して、第3ゴムサンプルが準備された。これらの第3ゴムサンプルの動的摩擦係数が複数回測定され、測定された動的摩擦係数が実質的に一定になるまでの測定回数が調べられた。そして、測定回数に基づいて、タイヤの摩擦測定試験までに必要なタイヤの慣らし走行の回数(タイヤの動的摩擦係数がピークになるまでの回数)が予測された。さらに、4枚のゴムシートとそれぞれ同一配合のトレッドゴムを有するタイヤが4つ製造された(実施例7〜実施例10)。
そして、実施例1〜実施例10のタイヤを、下記リムにリム組みし、内圧180kPaを充填して、慣らし走行時の動的摩擦係数の測定が複数回実施された。そして、各実施例1〜実施例10のタイヤにおいて、動的摩擦係数がピークとなるまでの慣らし走行の回数が求められた。共通仕様は、次のとおりである。
タイヤサイズ:195/65R15
リムサイズ:15×6J
動的摩擦係数測定対象面:ウエットアスファルト路面
各ゴムサンプル:
長手方向の長さL1a:20mm
短手方向の長さL1b:15mm
厚さW1:1mm
第3ゴムサンプル:
プレス加硫:170℃(20分間)
老化処理:50℃の室内で2週間放置
ゴムサンプルの動的摩擦係数の測定
動的摩擦係数測定装置:日邦産業(株)製のD.F.テスターSタイプ
移動速度:18km/h〜0km/h
荷重:2kN
気温:25℃
各回のタイヤの動的摩擦係数の測定
摩擦測定試験装置:(株)ティ アンド ティ製のトラクションバス
速度:65km/h
荷重:5kN
気温:25℃
また、実施例1〜実施例10のトレッドゴムの配合の詳細については、次のとおりである。
スチレンブタジエンゴム(SBR):旭化成ケミカルズ(株)製のE15
カーボン:昭和キャボット(株)製のカーボンブラックN326
シリカ:デグサ(株)製のUltrasil VN3
オイル:(株)ジャパンエナジー社製のプロセスX−260(アロマ系オイル)
カップリング剤:デグサ(株)製のテトラスルフィドシラン(Si69)
ステアリン酸:日本油脂(株)製のステアリン酸「椿」
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛
老化防止剤:住友化学工業(株)製のアンチゲン6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックN
粉末硫黄:軽井沢硫黄(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤CZ:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ
加硫促進剤DPG:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD
各実施例1〜実施例10のテスト結果、及び、トレッドゴムの配合については、表1に示す。
Figure 0006393035
テストの結果、実施例1〜10で予測されたタイヤの慣らし走行の回数(タイヤの動的摩擦係数がピークになるまでの回数)と、実施例1〜10のタイヤの動的摩擦係数がピークとなるまでの慣らし走行の回数との相関係数は、0.9であった。このため、実施例1〜10の評価方法では、予測された回数に基づいて、タイヤの慣らし走行が実施されることにより、トレッドゴムの接地面に多く存在する付着物を効果的に除去でき、動的摩擦係数を正確に測定しうることが確認できた。従って、本発明の評価方法では、タイヤのトレッドゴムの摩擦力等を適切に評価するのに役立つことが確認できた。
また、実施例7〜10では、トレッドゴムと同じ配合からなる第3ゴムサンプルを用いて、動的摩擦係数を低下させる付着物の影響がなくなるまでの測定回数を求めることができるため、タイヤを製造する前に、早期に摩擦力を発揮しうるゴムの配合を評価しうることが確認できた。
1 タイヤ
11 動的摩擦係数測定装置
16 動的摩擦係数測定対象面
18A 第1ゴムサンプル

Claims (5)

  1. タイヤの摩擦力を評価する前に行う慣らし走行の前に行う方法であって、
    前記タイヤの接地面である表面を含むように、前記タイヤのトレッドゴムを切り出した第1ゴムサンプルを準備する工程、
    前記第1ゴムサンプルの前記表面を、動的摩擦係数測定対象面に押し当てて、相対移動させることにより、前記第1ゴムサンプルの動的摩擦係数の測定を複数回行う工程、及び
    測定された前記動的摩擦係数が実質的に一定になるまでの測定回数を調べる工程を含むことを特徴とする方法。
  2. タイヤの摩擦力を評価する前に行う慣らし走行の前に行う方法であって、
    前記タイヤの接地面である表面を含むように、前記タイヤのトレッドゴムを切り出した第1ゴムサンプルを準備する工程、
    前記タイヤの前記接地面を含まないように、前記タイヤのトレッドゴムの内部を切り出した第2ゴムサンプルを準備する工程、
    前記第1ゴムサンプルの前記表面を、動的摩擦係数測定対象面に押し当てて、相対移動させることにより、前記第1ゴムサンプルの動的摩擦係数の測定を複数回行う工程、
    前記第2ゴムサンプルを、動的摩擦係数測定対象面に押し当てて、相対移動させることにより、前記第2ゴムサンプルの動的摩擦係数の測定を1回のみ行う工程、及び
    前記第1ゴムサンプルの測定された前記動的摩擦係数が、前記第2ゴムサンプルの測定された前記動的摩擦係数に実質的に一致するまでの測定回数を調べる工程を含むことを特徴とする方法。
  3. 前記タイヤの前記表面は、前記タイヤのトレッドゴムの接地面である請求項1又は2に記載の方法。
  4. タイヤの摩擦力を評価する前に行う慣らし走行の前に行う方法であって、
    前記タイヤのトレッドゴムと同じ配合からなるゴムシートをプレス加硫機の金型によって加熱して、前記トレッドゴムに配合されている油脂成分を前記金型によって直接加熱された表面に浮き出させた第3ゴムサンプルを準備する工程、
    前記第3ゴムサンプルの前記表面を、動的摩擦係数測定対象面に押し当てて、相対移動させることにより、前記第3ゴムサンプルの動的摩擦係数の測定を複数回行う工程、及び
    測定された前記動的摩擦係数が実質的に一定になるまでの測定回数を調べる工程を含むことを特徴とする方法。
  5. 前記動的摩擦係数を複数回測定する工程において、前記ゴムサンプルの移動速度は、いずれも同一範囲である請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
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