JP2017156276A - ゴム部材の氷上グリップ性能評価方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ゴム部材の氷上でのグリップ性能を正確に評価する。【解決手段】 評価対象の被検査ゴム部材8を氷結路面6に摺動させて、氷上でのグリップ性能を評価するための方法である。本発明の評価方法では、被検査ゴム部材8の摺動に先立ち、氷結路面6を研磨する研磨工程を含んでいる。【選択図】図1
Description
本発明は、ゴム部材の氷上でのグリップ性能を評価するための方法に関する。
従来、路面とタイヤに用いられるゴムとの間の摩擦係数を測定して、グリップ性能を評価する方法が提案されている。下記特許文献1では、ゴム部材を路面に摺動させて、ゴム部材の動的摩擦係数を測定する摩擦試験装置が開示されている。
ところで、氷結路面は、ドライ路面やウェット路面とは異なり、ゴム部材との摩擦や、気温等の影響を受けて、部分的に溶解する。この部分的な溶解により、氷結路面の表面形状が時々刻々と変化するため、ゴム部材のグリップ性能を正確に評価することが難しいという問題があった。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、被検査ゴム部材の摺動に先立ち、前記氷結路面を研磨することを基本として、ゴム部材の氷上でのグリップ性能を正確に評価することができる方法を提供することを主たる目的としている。
本発明は、評価対象の被検査ゴム部材を氷結路面に摺動させて、氷上でのグリップ性能を評価するための方法であって、前記被検査ゴム部材の摺動に先立ち、前記氷結路面を研磨する研磨工程を含むことを特徴とする。
本発明に係る前記氷上グリップ性能評価方法において、前記研磨工程は、0.1〜10μmの表面粗さを有する研磨部材を、前記氷結路面に摺動させるのが望ましい。
本発明に係る前記氷上グリップ性能評価方法において、前記研磨工程は、前記研磨部材を第1方向に研磨させ、前記被検査ゴム部材を、前記第1方向に摺動させる摺動工程を含むのが望ましい。
本発明に係る前記氷上グリップ性能評価方法において、前記摺動工程は、前記被検査ゴム部材を、前記研磨部材で研磨された研磨面からはみ出すことなく摺動させるのが望ましい。
本発明に係る前記氷上グリップ性能評価方法において、前記氷結路面に当接する前記被検査ゴム部材の接触面は、少なくとも一本の溝が設けられているのが望ましい。
本発明に係る前記氷上グリップ性能評価方法において、前記溝は、前記第1方向に対して交わる方向にのびているのが望ましい。
本発明は、評価対象の被検査ゴム部材を氷結路面に摺動させて、氷上でのグリップ性能を評価するための方法である。このゴム部材の氷上グリップ性能評価方法は、被検査ゴム部材の摺動に先立ち、氷結路面を研磨する研磨工程を含んでいる。
このような研磨工程により、一定の表面形状に研磨された氷結路面に、被検査ゴム部材を摺動させることができる。従って、本発明の評価方法は、被検査ゴム部材の氷上でのグリップ性能を正確に評価することができる。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
本実施形態のゴム部材の氷上グリップ性能評価方法(以下、単に「評価方法」ということがある)は、評価対象の被検査ゴム部材を氷結路面に摺動させて、氷上でのグリップ性能を評価するための方法である。本実施形態の評価方法では、動的摩擦係数を測定するための摩擦試験装置が用いられる。図1は、本実施形態の摩擦試験装置Tdを概念的に示す斜視図である。図2(a)、(b)は、図1の摩擦試験装置Tdの断面図である。図3は、図1の摩擦試験装置Tdの底面図である。
本実施形態のゴム部材の氷上グリップ性能評価方法(以下、単に「評価方法」ということがある)は、評価対象の被検査ゴム部材を氷結路面に摺動させて、氷上でのグリップ性能を評価するための方法である。本実施形態の評価方法では、動的摩擦係数を測定するための摩擦試験装置が用いられる。図1は、本実施形態の摩擦試験装置Tdを概念的に示す斜視図である。図2(a)、(b)は、図1の摩擦試験装置Tdの断面図である。図3は、図1の摩擦試験装置Tdの底面図である。
本実施形態の摩擦試験装置Tdは、基体2と、基体2に固定される昇降手段3と、該昇降手段3に支持される回転手段4とを含んで構成されている。
図1及び図2(a)に示されるように、基体2は、水平にのびる上板部2aと、上板部2aの端部から下方にのびる側板部2bと、側板部2bの下端に設けられる脚部2cとを含んで構成されている。上板部2aは、平面視において、略矩形状に形成されている。本実施形態の基体2は、氷結路面6の上に載置される。また、基体2には、上板部2aと側板部2bとで囲まれた空間部7が設けられている。空間部7は、基体2の下方で開口している。
昇降手段3は、基体2の上板部2aから上方に突出するシリンダ3aと、シリンダ3aから上下方向に伸縮するロッド3bと、ロッド3bを伸縮させる電動機(図示省略)とを含んで構成されている。また、昇降手段3には、ロッド3bの上端側と、回転手段4との間を水平にのびるアーム3cが設けられる。このような昇降手段3は、ロッド3bの伸縮によって、回転手段4を上下方向に昇降させることができる。
回転手段4は、円盤状に形成された回転盤4aと、回転盤4aの中央部から上方にのびる回転軸4bとを含んで構成される。回転盤4aは、基体2の空間部7に配置されている。回転軸4bは、上板部2aから上方に突出してのびている。また、回転手段4は、回転軸4bの上端に固着される電動機4mが設けられる。電動機4mは、ブラケットを介して、昇降手段3のアーム3cに固着される。このような回転手段4は、電動機4m及び回転軸4bを介して、回転盤4aを垂直軸周りに回転させることができる。また、回転手段4には、被検査ゴム部材8の動的摩擦係数の測定するためのセンサー(図示省略)が設けられている。
図1乃至図3に示されるように、本実施形態の回転盤4aの下面には、被検査ゴム部材8を取り付けるためのサンプル台9が設けられている。本実施形態では、2個のサンプル台9が取り付けられている。これらのサンプル台9は、回転盤4aの回転方向において、等間隔に配置されている。
図4は、サンプル台9及び被検査ゴム部材8を拡大して示す側面図である。図5は、サンプル台9及び被検査ゴム部材8を拡大して示す底面図である。図5に示されるように、サンプル台9は、平面視略矩形状に形成されている。図3に示されるように、各サンプル台9は、回転盤4aの半径方向に対して、直交する方向にのびている。図4に示されるように、サンプル台9の長手方向の長さL1aは、例えば、5〜30mm程度である。サンプル台9の厚さW1は、例えば、0.5〜10.0mm程度である。図5に示されるように、サンプル台9の短手方向の長さL1bは、例えば、5〜30mm程度である。
このような摩擦試験装置Tdとして、例えば、日邦産業(株)製のD.F.テスター(ダイナミック・フリクション・テスター)Sタイプが用いられうる。なお、摩擦試験装置Tdを用いた動的摩擦係数の測定方法については、後述する。
図4及び図5に示されるように、本実施形態の被検査ゴム部材8は、平面視矩形のブロック状に形成されている。被検査ゴム部材8の各寸法については、テスト条件に応じて適宜設定することができる。図4に示されるように、被検査ゴム部材8は、例えば、厚さW2が5.0〜10.0mm程度に設定される。図5に示されるように、被検査ゴム部材8の長手方向の長さL2aは、例えば、20〜50mm程度に設定される。被検査ゴム部材8の短手方向の長さL2bは、例えば、10〜30mm程度に設定される。
図5に示されるように、本実施形態では、各被検査ゴム部材8の長手方向と、サンプル台9の長手方向に対して直交する方向とが同一となるように、各サンプル台9に取り付けられている。被検査ゴム部材8の長手方向の長さL1aは、サンプル台9の短手方向の長さL1bよりも大きい。また、被検査ゴム部材8の長手方向の中央部と、サンプル台9の短手方向の中央部とを一致させている。これにより、被検査ゴム部材8は、サンプル台9から幅方向両外側に、はみ出して配置されている。図3に示されるように、各被検査ゴム部材8の重心8gと回転軸4bとの距離(回転半径)R2は、例えば、10〜500mmに設定される。
図4に示されるように、被検査ゴム部材8は、例えば、サンプル台9の長手方向において、下方に凸となるように湾曲した取付部材12を介して、サンプル台9に取り付けられている。これにより、被検査ゴム部材8は、その短手方向において、中央部が下方に凸となるように湾曲している。これにより、図5において、氷結路面6(図2に示す)に当接する接触面8sが二点鎖線で示されるように、被検査ゴム部材8の底面の一部のみを、氷結路面6(図2に示す)に接触させることができる。本実施形態の接触面8sは、被検査ゴム部材8が摺動される第1方向D1において、後方に偏って設定されている。
本実施形態の被検査ゴム部材8の接触面8sは、少なくとも一本の溝11が設けられている。本実施形態の溝11は、被検査ゴム部材8の長手方向に沿ってのびている。本実施形態では、被検査ゴム部材8の長手方向に離間して配置された一対の溝11、11が、被検査ゴム部材8の短手方向に2組配置されている。
次に、摩擦試験装置Tdを用いた本実施形態の評価方法について説明する。図6は、本実施形態の評価方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。本実施形態の評価方法では、被検査ゴム部材8の摺動に先立って、氷結路面6が研磨される(研磨工程S1)。本実施形態の研磨工程S1では、研磨部材15を氷結路面6に摺動させて、氷結路面6が研磨される。本実施形態の研磨工程S1において、研磨部材15の摺動には、図1に示した摩擦試験装置Tdが用いられる。従って、例えば、研磨するための装置等(図示省略)を別途用意する必要がないため、氷結路面6を容易に研磨することができる。
図7は、サンプル台9及び研磨部材15を拡大して示す側面図である。図8は、サンプル台9及び研磨部材15を拡大して示す底面図である。研磨部材15は、図4及び図5に示した被検査ゴム部材8と同様に、平面視矩形のブロック状に形成されている。研磨部材15の各寸法については、テスト条件に応じて適宜設定することができる。図7に示されるように、研磨部材15の厚さW4は、被検査ゴム部材8の厚さW2(図4に示す)と同一に設定されている。
図8に示されるように、本実施形態の研磨部材15は、その長手方向の長さL4aが、被検査ゴム部材8の長手方向の長さL2a(図5に示す)よりも大に設定されている。他方、研磨部材15の短手方向の長さL4bは、被検査ゴム部材8の短手方向の長さL2b(図5に示す)と同一に設定されている。
図7に示されるように、研磨部材15は、被検査ゴム部材8(図4に示す)と同様に、取付部材12を介して、サンプル台9に取り付けられている。これにより、研磨部材15は、その短手方向において、中央部が下方に凸となるように湾曲している。これにより、図8において、氷結路面6(図2に示す)に当接する接触面15sが二点鎖線で示されるように、研磨部材15の底面の一部のみを、氷結路面6(図2に示す)に接触させることができる。これにより、研磨部材15の接地圧が上昇し、高い研磨効果を得ることができる。このような作用を効果的に発揮させるために、本実施形態の接触面15sの短手方向の長さL5bと、研磨部材15の短手方向の長さL4bとの比L5b/L4bは、20%〜50%に設定されるのが望ましい。
本実施形態の研磨部材15の接触面15sには、被検査ゴム部材8のような溝11(図5に示す)が設けられていない。このため、接触面15sの全面を、氷結路面6(図2に示す)に当接させることができる。
研磨部材15を構成する材料としては、適宜採用することができる。本実施形態の研磨部材15は、ゴムによって形成されている。本実施形態の研磨部材15のゴムは、例えば、ゴム成分として、改質天然ゴム(HPNR)、非改質天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などが使用され、カーボンブラック及び/又は白色充填剤とを含むゴムが用いられる。このようなゴムが研磨部材15として用いられることにより、氷結路面6(図2に示す)の温度変化に伴う摩擦係数の変動が抑制されうる。
図9は、研磨工程S1の処理手順の一例を示すフローチャートである。本実施形態の研磨工程S1では、先ず、摩擦試験装置Td(図1に示す)に、研磨部材15が取り付けられる(工程S11)。図8に示されるように、工程S11では、被検査ゴム部材8(図3及び図5に示す)と同様に、各研磨部材15の長手方向と、サンプル台9の長手方向に対して直交する方向とが同一となるように、各サンプル台9に取り付けられる。
上述したように、研磨部材15の長手方向の長さL4aは、サンプル台9の短手方向の長さL1bよりも大に設定されている。また、研磨部材15の長手方向の中央部と、サンプル台9の短手方向の中央部とを一致させている。これにより、研磨部材15は、被検査ゴム部材8と同様に、サンプル台9から幅方向両外側にはみ出して配置される。各研磨部材15の重心(図示省略)と回転軸4b(図3に示す)との距離(図示省略)は、各被検査ゴム部材8の重心8gと回転軸4bとの距離(回転半径)R2(図3に示す)と同一に設定される。
図10(a)、(b)は、研磨工程S1を説明する摩擦試験装置Tdの断面図である。次に、研磨工程S1では、図10(a)に示されるように、摩擦試験装置Tdが、氷結路面6の上に載置される(工程S12)。次に、研磨工程S1では、研磨部材15を氷結路面6に押し当てて、図10(b)に示されるように、研磨部材15を電動機4mによって回転させる(工程S13)。これにより、工程S13では、研磨部材15が氷結路面6に押し当てられた状態で、回転盤4aが第1方向(垂直水平軸回り)D1に回転される。これにより、研磨部材15を第1方向D1に研磨させることができる。研磨部材15と氷結路面6との摩擦により、氷結路面6の表面の凹凸を無くすことができる。しかも、本実施形態の研磨工程S1では、研磨部材15に、外力(本実施形態では、電動機4mのトルク)が継続的に与えられた状態で、氷結路面6が研磨される。これにより、氷結路面6の表面を効果的に研磨することができる。図7に示されるように、本実施形態の研磨部材15は、厚さW4を有するブロック状のゴムによって形成されている。このため、研磨部材15は、氷結路面6の凹凸に対して柔軟に変形でき、氷結路面6を効果的に研磨することができる。
研磨部材15と氷結路面6との摩擦によって生じる熱により、氷結路面6の表面の一部が溶解する。この氷結路面6の表面の溶解によって生じる水膜は、研磨部材15の摺動によって引き伸ばされ、断熱膨張によって再凍結する。従って、研磨工程S1では、時々刻々と変化する氷結路面6の表面形状を、一定の表面形状(鏡面状)に研磨することができる。本実施形態の研磨部材15の接触面15sには、被検査ゴム部材8のような溝11(図5に示す)が設けられていない。このため、研磨部材15は、氷結路面6の水膜を吸収することなく、効果的に引き伸ばすことができる。
図8に示されるように、本実施形態の研磨部材15は、サンプル台9の幅方向両外側に、はみ出して配置されている。このため、例えば、研磨部材15の長さL2aとサンプル台9の長さL1bとが同一に設定された被検査ゴム部材16(図13に示す)に比べて、氷結路面6を広範囲に研磨することができる。
本実施形態では、研磨部材15を、複数回に亘って回転させている。これにより、氷結路面6の同一軌道上を、研磨部材15に繰り返し摺動させることができる。従って、氷結路面6の表面形状を効果的に研磨することができる。なお、研磨部材15の回転数については、氷結路面6の表面形状に応じて、適宜設定することができる。本実施形態の研磨部材15の回転数は、例えば、10〜15回転程度である。
氷結路面6を効果的に研磨するために、研磨部材15の移動速度は、1〜10km/hに設定されるのが望ましい。なお、移動速度が1km/h未満であると、氷結路面6を十分に研磨できないおそれがある。逆に、移動速度が10km/hを超えると、氷結路面6が過度に削られ、平坦(鏡面状)に研磨できないおそれがある。このような観点より、より好ましい移動速度は、2〜7km/hである。同様に、研磨部材15に作用させる荷重Fは、5〜20Nに設定されるのが望ましい。
氷結路面6を効果的に研磨するために、本実施形態の研磨部材15の接触面15sの表面粗さRaは、0.1〜10μmに設定されるのが望ましい。なお、表面粗さRaが0.1μm未満であると、氷結路面6を十分に研磨できないおそれがある。逆に、表面粗さRaが10μmを超えると、氷結路面6が過度に削られ、平坦(鏡面状)に研磨できないおそれがある。接触面15sの表面粗さRaは、例えば、研磨部材15の金型の成形面(やすり部分)の粗さを変更することによって調整することができる。本明細書において、「表面粗さRa」とは、日本工業規格JISB0601:2001「製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−用語、定義及び表面性状パラメータ」において規定された、輪郭曲線の算術平均高さ(粗さ曲線の算術平均粗さ)で表される。
研磨部材15のガラス転移点(Tg)は、−5℃未満であるのが望ましい。このような研磨部材15が用いられることにより、−1〜−10℃の範囲での氷結路面6の温度変化に起因する研磨部材15の摩擦係数の変動を低減することができるため、氷結路面6を効果的に研磨することができる。なお、研磨部材15のガラス転移点は、好ましくは、−20℃未満である。
研磨部材15について、−20℃での貯蔵弾性率E’aと、0℃での貯蔵弾性率E’bとの変化率(E’a−E’b)/E’aは、50%以下に設定されるのが望ましい。これにより、氷結路面6から伝達される外力に対する研磨部材15のひずみの変化を小さくできるため、氷結路面6を効果的に研磨することができる。本明細書において、「貯蔵弾性率E’」は、岩本製作所製の粘弾性スペクトロメータ「VESF−3型」を用いて、測定温度70℃、周波数10Hz、初期歪み10%、動的歪み2%で測定した値である。
次に、本実施形態の評価方法では、被検査ゴム部材8を氷結路面6に摺動させて、動的摩擦係数を測定する(測定工程S2)。図11は、本実施形態の測定工程S2の処理手順の一例を示すフローチャートである。図12は、氷結路面6を摺動する被検査ゴム部材8の平面図である。
測定工程S2では、先ず、図2(a)に示されるように、摩擦試験装置Tdに、被検査ゴム部材8が取り付けられる(工程S21)。本実施形態の工程S21では、先ず、サンプル台9から研磨部材15(図10(b)に示す)が取り外された後に、被検査ゴム部材8がサンプル台9に取り付けられる。
図5に示されるように、本実施形態の被検査ゴム部材8は、各被検査ゴム部材8の長手方向と、サンプル台9の長手方向に対して直交する方向とが同一となるように、各サンプル台9に取り付けられる。これにより、被検査ゴム部材8は、サンプル台9よりも幅方向両外側にはみ出して配置される。
次に、測定工程S2では、図2(a)に示されるように、摩擦試験装置Tdが、氷結路面6の上に載置される(工程S22)。図3に示されるように、本実施形態の工程S22において、回転盤4aの回転中心4cは、研磨工程S1の回転盤4aの回転中心4c(図示省略)と、同一の位置に配置される。これにより、図12に示されるように、後述する摺動工程S24において、研磨部材15で研磨された研磨面21の上に、被検査ゴム部材8を摺動させることができる。
次に、図2(a)に示されるように、測定工程S2では、被検査ゴム部材8を氷結路面6から浮かせた状態で、被検査ゴム部材8を回転させる(工程S23)。工程S23では、電動機4mの駆動によって、被検査ゴム部材8が、垂直水平軸回り(第1方向D1)に回転される。工程S23において、被検査ゴム部材8の移動速度は、14〜18km/hに維持される。
次に、測定工程S2では、被検査ゴム部材8を氷結路面6に摺動させて、動摩擦係数を測定する(摺動工程S24)。摺動工程S24では、先ず、電動機4mの駆動が止められる。これにより、回転盤4aは、第1方向D1に、惰性力で回転する。次に、図2(b)に示されるように、摺動工程S24では、惰性力で回転する回転盤4aが、昇降手段3によって下降される。これにより、摺動工程S24では、被検査ゴム部材8を惰性力で回転させた状態で、氷結路面6に第1方向D1へ摺動させている。
被検査ゴム部材8と氷結路面6との摩擦により、被検査ゴム部材8の移動速度が小さくなり、その後、停止する。このため、摩擦試験装置Tdは、電動機4mによって回転された初期の移動速度から回転盤4aが停止するまでにおいて、被検査ゴム部材8の動的摩擦係数を、段階的に測定することができる。また、摺動前の被検査ゴム部材8の移動速度(本実施形態では、16km/h)と、停止時の被検査ゴム部材8の移動速度(0km/h)との略中間の移動速度(本実施形態では、10km/h)においてのみ、被検査ゴム部材8の動的摩擦係数が測定されてもよい。
測定された動的摩擦係数は、例えば、図示しないディスプレイ等の出力装置を介して表示される。さらに、測定された動的摩擦係数は、例えば、図示しないコンピュータ等の演算装置を用いて、演算処理される。
本実施形態の評価方法では、測定工程S2に先立って、研磨工程S1が実施される。このため、一定の表面形状に研磨された氷結路面6に、被検査ゴム部材8を摺動させることができる。従って、本実施形態の評価方法は、氷結路面6の表面形状に応じて、動的摩擦係数がバラつくのを抑制することができるため、被検査ゴム部材8の氷上でのグリップ性能を正確に評価することができる。これにより、例えば、配合が異なる複数の被検査ゴム部材8について、氷上でのグリップ性能を正確に比較することができる。また、本実施形態の評価方法では、タイヤ等のゴム製品を製造することなく、氷上でのグリップ性能を検証することができるため、ゴム製品の開発コストの増加を防ぐことができる。
図4に示されるように、本実施形態の被検査ゴム部材8は、厚さW2を有するブロック状に形成されている。このため、被検査ゴム部材8は、例えば、シート状に形成された被検査ゴム部材16(図13に示す)に比べて、氷結路面6に柔軟に追従することができる。このため、本実施形態では、氷結路面6の表面形状によって生じがちな動的摩擦係数のバラつき(誤差)を抑制することができる。
図12において、研磨部材15(図8に示す)で研磨された研磨面21が二点鎖線で示される。上述したように、本実施形態の研磨部材15の長手方向の長さL4a(図8(a)に示す)は、被検査ゴム部材8の長手方向の長さL2a(図5に示す)よりも大に設定されている。これにより、研磨部材15で研磨された研磨面21から、被検査ゴム部材8をはみ出すことなく摺動させることができる。従って、本実施形態の評価方法では、動的摩擦係数のバラつきを効果的に抑制することができるため、被検査ゴム部材8の氷上でのグリップ性能を、より正確に評価することができる。
このような作用を効果的に発揮させるために、被検査ゴム部材8の長手方向の長さL2aは、研磨部材15の長手方向の長さL4aの70%〜90%に設定されるのが望ましい。なお、被検査ゴム部材8の長さL2aが、研磨部材15の長さL4aの90%を超えると、上記作用を効果的に発揮できないおそれがある。逆に、被検査ゴム部材8の長さL2aが、研磨部材15の長さL4aの70%未満であると、被検査ゴム部材8の動的摩擦係数の絶対値が検出下限付近となり、動的摩擦係数のバラつきを十分に抑制できないおそれがある。
被検査ゴム部材8の動的摩擦係数のバラつきをより効果的に抑制するためには、被検査ゴム部材8の動的摩擦係数の絶対値を大きくすることが重要である。これは、動的摩擦係数の絶対値を大きくすると、動的摩擦係数を、一定の範囲に収束できるためである。なお、氷上での被検査ゴム部材8の動的摩擦係数μ'は、下記式(1)で表される。
μ'=(η・v・A)/(Fw・h) …(1)
ここで、
η:水の粘性
v:被検査ゴム部材の滑り速度
A:被検査ゴム部材の接触面の面積
w:被検査ゴム部材に作用する荷重
h:水膜の厚さ
μ'=(η・v・A)/(Fw・h) …(1)
ここで、
η:水の粘性
v:被検査ゴム部材の滑り速度
A:被検査ゴム部材の接触面の面積
w:被検査ゴム部材に作用する荷重
h:水膜の厚さ
図5に示されるように、本実施形態の被検査ゴム部材8は、長手方向の長さL2aが、サンプル台9の短手方向の長さL1bよりも大に設定されている。これにより、本実施形態の被検査ゴム部材8の接触面8sの面積は、例えば、サンプル台9の短手方向の長さL1bと同一の長さL2aに形成された被検査ゴム部材16の接触面16s(図13(b)に示す)の面積に比べて大に設定されている。上記式(1)によると、大きな面積Aに設定されている被検査ゴム部材8の動的摩擦係数μ’は、小さな面積Aに設定されている被検査ゴム部材16(図13(b)に示す)の動的摩擦係数μ’に比べて大きくなる。従って、本実施形態の被検査ゴム部材8は、図13(b)に示した被検査ゴム部材16に比べて、動的摩擦係数のバラつきを小さくすることができる。
このような作用を効果的に発揮させるために、被検査ゴム部材8の接触面8sの面積Aは、100〜200mm2に設定されるのが望ましい。なお、被検査ゴム部材8の接触面8sの面積Aが100mm2未満であると、上記作用を十分に発揮できないおそれがある。逆に、被検査ゴム部材8の接触面8sの面積Aが200mm2を超えると、被検査ゴム部材8の動的摩擦係数が過度に大きくなり、氷上でのグリップ性能を正確に評価できないおそれがある。このような観点より、接触面8sの面積Aは、より好ましくは110mm2以上であり、また、より好ましくは160mm2以下である。
図5に示されるように、本実施形態では、被検査ゴム部材8の底面の一部のみが、氷結路面6(図2に示す)に接触する接触面8sとして設定されている。これにより、被検査ゴム部材8の接地圧が上昇し、動的摩擦係数の絶対値を大きくすることができる。このような作用を効果的に発揮させるために、本実施形態の接触面8sの短手方向の長さL3bと、被検査ゴム部材8の短手方向の長さL2bとの比L3b/L2bは、20%〜50%に設定されるのが望ましい。
本実施形態の被検査ゴム部材8の接触面8sは、少なくとも一本の溝11が設けられている。このような溝11により、被検査ゴム部材8の接触面8sと、氷結路面6(図2(b)に示す)との摩擦によって生じた水膜を吸い上げることができる。従って、被検査ゴム部材8の接触面8sと氷結路面6とが、水膜を介して接触することを防ぐことができるため、上記式(1)において、水膜の厚さhを小さくすることができる。これにより、被検査ゴム部材8の動的摩擦係数の絶対値を大きくできるため、動的摩擦係数のバラつきを効果的に抑制することができる。
本実施形態の溝11は、被検査ゴム部材8の長手方向に沿ってのびている。これにより、溝11は、第1方向D1に対して交わる方向にのびているため、水膜を効果的に吸い上げることができる。このような作用を効果的に発揮させるために、溝11は、第1方向D1に直交するのが望ましい。
本実施形態では、被検査ゴム部材8の長手方向に離間して配置された一対の溝11、11が、被検査ゴム部材8の短手方向に2組配置されている。これにより、溝11は、被検査ゴム部材8の長手方向の広範囲に亘って、水膜をより確実に吸い上げることができる。
被検査ゴム部材8の長手方向に離間して配置された1組の溝11、11の長さL8aの合計長さは、被検査ゴム部材8の長手方向の長さL1aの50%〜95%に設定されるのが望ましい。なお、一対の溝11、11の合計長さは、被検査ゴム部材8の長さL1aの50%未満であると、氷結路面6の水膜を十分に吸い上げできないおそれがある。逆に、一対の溝11、11の合計長さが、被検査ゴム部材8の長さL1aの95%を超えると、摺動時の被検査ゴム部材8の変形が大きくなり、被検査ゴム部材8の動的摩擦係数を正確に測定できないおそれがある。このような観点より、一対の溝11、11の合計長さは、好ましくは、被検査ゴム部材8の長さL1aの70%〜90%である。
同様の観点より、溝11の総面積は、20〜40mm2に設定されるのが望ましい。また、溝11の幅W8は、0.1〜2.0mmに設定されるのが望ましい。さらに、溝11の深さ(図示省略)は、1.0〜5.0mmに設定されるのが望ましい。
被検査ゴム部材8の短手方向で隣り合う溝11、11の間隔D8は、1.0〜5.0mmに設定されるのが望ましい。なお、隣り合う溝11、11の間隔D8が5.0mmを超えると、第1方向D1において、氷結路面6の水膜を効果的に吸い上げできないおそれがある。逆に、隣り合う溝11、11の間隔D8が1.0mm未満であると、摺動時の被検査ゴム部材8の変形が大きくなるおそれがある。このような観点より、隣り合う溝11、11の間隔D8は、好ましくは4.0mm以下が望ましく、また、好ましくは、2.0mm以上が望ましい。なお、間隔D8は、隣り合う溝11、11の溝中心線(図示省略)間で測定されるものとする。
本実施形態では、被検査ゴム部材8の長手方向に離間して配置された一対の溝11、11が設けられる態様が例示されたが、これに限定されるわけではない。例えば、被検査ゴム部材8の長手方向に連続する一本の溝11で形成されてもよい。この場合、一本の溝11の長さL8bは、上記範囲に設定されるのが望ましい。このような溝11は、被検査ゴム部材8の長手方向に連続してのびるため、氷結路面6の水膜を効果的に吸い上げることができる。
図2(b)に示されるように、被検査ゴム部材8に作用させる荷重Fzについては、適宜設定することができる。荷重Fzは、摩擦試験装置の検出下限荷重Ffrに対して大きいのが望ましい。このように、検出下限荷重Ffrに対して大きな荷重Fzが設定されることにより、摩擦係数が低下しやすい氷結路面6において、被検査ゴム部材8の動的摩擦係数を確実に測定することができる。なお、検出下限荷重Ffrは、摩擦試験装置Tdに予め定められている。
また、測定工程S2において、被検査ゴム部材8を氷結路面6上で摺動させる雰囲気の湿度が大きいと、引き伸ばされた水膜が再氷結し難くなり、被検査ゴム部材8の動的摩擦係数のバラつきやすくなる。このような観点より、測定工程S2の湿度(気温−5℃)は、好ましくは70%以下であり、より好ましくは30%以下である。
次に、測定工程S2では、被検査ゴム部材8を氷結路面6に摺動させた回数(以下、単に「摺動回数」ということがある。)が、予め定められた回数に達したか否かが判断される(工程S25)。工程S25では、被検査ゴム部材8の摺動回数が、予め定められた回数に達した場合(工程S25で、「Y」)、次の工程S3が実行される。他方、被検査ゴム部材8の摺動回数が、予め定められた回数に達していない場合(工程S25で、「N」)、工程S23〜工程S25が再度実施される。これにより、測定工程S2では、被検査ゴム部材8を氷結路面6に複数回摺動させて、各回の動的摩擦係数が測定されうる。
被検査ゴム部材8の摺動回数の増加に伴って、氷結路面6も研磨される。このため、動的摩擦係数を、一定の範囲(値)に収束させることができる。従って、被検査ゴム部材8の動的摩擦係数のバラつきを防ぐことができ、氷上でのグリップ性能を正確に評価することができる。このような作用を効果的に発揮させるために、被検査ゴム部材8の摺動回数は、好ましくは3回以上であり、また、好ましくは8回以下である。
次に、評価方法では、被検査ゴム部材8の動的摩擦係数が、良好か否かが判断される(工程S3)。本実施形態の工程S3では、複数回測定された動的摩擦係数のうち、最後に測定された動的摩擦係数に基づいて、被検査ゴム部材8の良否が判断される。これにより、一定範囲に収束した動的摩擦係数に基づいて、被検査ゴム部材8の良否が判断されるため、氷上でのグリップ性能を正確に評価することができる。
工程S3において、被検査ゴム部材8の動的摩擦係数が良好と判断された場合、被検査ゴム部材8に基づいて、タイヤ等のゴム製品が製造される(工程S4)。逆に、被検査ゴム部材8の動的摩擦係数が良好でないと判断された場合、新たな被検査ゴム部材8を製造し(工程S5)、研磨工程S1、測定工程S2及び工程S3が再度実行される。これにより、本実施形態の評価方法では、氷上でのグリップ性能に優れるゴム部材を、確実に製造することができる。
研磨工程S1と測定工程S2との間には、研磨部材15の摺動によって溶解した水膜を再凍結させるための待機時間が設定されるのが望ましい。このような待機時間が設定されることにより、研磨部材15の摺動によって引き伸ばされた水膜を確実に凍結させることができる。従って、測定工程S2では、同一条件の氷結路面6に、被検査ゴム部材8を摺動させることができるため、氷上でのグリップ性能を正確に評価することができる。なお、待機時間については、氷結路面6の表面の状態に応じて、適宜設定することができる。本実施形態の待機時間は、例えば、1〜3分程度に設定されるのが望ましい。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。例えば、本実施形態の測定工程S2では、被検査ゴム部材8の摺動が複数回実行される態様が示されたが、このような態様に限定されるわけではない。例えば、被検査ゴム部材8の摺動が1回のみ行われてもよい。
下記の仕様に基づいて、研磨部材及び被検査ゴム部材として用いられるゴム組成物が製造された。ゴム組成物の製造方法は、公知の方法を採用することができる。例えば、下記の各成分をバンバリーミキサー、及び、オープンロール等のゴム混練装置を用いて混練することにより、未加硫の各ゴム組成物が製造される。未加硫の各ゴム組成物は、170゜Cの温度で20分間プレス加硫され、研磨部材及び被検査ゴム部材に形成された。
ゴム組成物の配合については、次のとおりである。
天然ゴム:40質量部(RSS#3)
ブタジエンゴム:60質量部(宇部興産(株)製のBR150B)
カーボン:6質量部(三菱化学(株)製のダイアブラックN22O)(窒素吸着比表面積:145m2/g)
シリカ:64質量部(デグサ(株)製のUltrasil VN3)
カップリング剤:4質量部(デグサ(株)製のテトラスルフィドシラン(Si69))
オイル:13質量部((株)ジャパンエナジー社製のプロセスX−260(アロマオイル))
レジン:9質量部(日塗化学(株)製のニットレジン クマロン V120)
ワックス:10質量部(大内新興化学工業(株)製のサンノックN)
老化防止剤:3質量部(住友化学工業(株)製のアンチゲン6C)
加工助剤:2質量部
脂肪酸:2質量部(日本油脂(株)製のステアリン酸「椿」)
亜鉛華:2質量部(三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛)
硫黄:1質量部(軽井沢硫黄(株)製の粉末硫黄)
加硫促進剤:5質量部(大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ)
天然ゴム:40質量部(RSS#3)
ブタジエンゴム:60質量部(宇部興産(株)製のBR150B)
カーボン:6質量部(三菱化学(株)製のダイアブラックN22O)(窒素吸着比表面積:145m2/g)
シリカ:64質量部(デグサ(株)製のUltrasil VN3)
カップリング剤:4質量部(デグサ(株)製のテトラスルフィドシラン(Si69))
オイル:13質量部((株)ジャパンエナジー社製のプロセスX−260(アロマオイル))
レジン:9質量部(日塗化学(株)製のニットレジン クマロン V120)
ワックス:10質量部(大内新興化学工業(株)製のサンノックN)
老化防止剤:3質量部(住友化学工業(株)製のアンチゲン6C)
加工助剤:2質量部
脂肪酸:2質量部(日本油脂(株)製のステアリン酸「椿」)
亜鉛華:2質量部(三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛)
硫黄:1質量部(軽井沢硫黄(株)製の粉末硫黄)
加硫促進剤:5質量部(大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ)
図6、図8及び図11に示した処理手順に従って、研磨部材を用いて氷結路面を研磨した後に、研磨した氷結路面に被検査ゴム部材を摺動させて、氷上でのグリップ性能が評価された(実施例1〜実施例16)。また、比較のために、研磨部材で研磨していない氷結路面に、被検査ゴム部材を摺動させて、氷上でのグリップ性能が評価された(比較例)。
氷上でのグリップ性能の評価は、実施例及び比較例の被検査ゴム部材が3個ずつ用意され、それぞれの被検査ゴム部材の動的摩擦係数が6回ずつ測定された。そして、6回目の動的摩擦係数について、3つの被検査ゴム部材の変動係数CV値が計算された。評価は、3つの被検査ゴム部材の変動係数CVが5%のものを100とする指数で表示している。数値が大きいほど、3つの被検査ゴム部材のバラつきが小さく良好である。なお、70以上であれば、氷上でのグリップ性能を問題なく評価できる。なお、共通仕様は以下のとおりである。
摩擦試験装置:日邦産業(株)製のD.F.テスターSタイプ
検出下限荷重Ffr:10N
氷結路面:
表面温度:−1.0±0.2℃
気温:−5℃
研磨部材:
短手方向の長さL4b:20mm
厚さW4:10mm
接触面の短手方向の長さL5b/L4b:33%
荷重F:15N
移動速度:7km/h
回転数:10回
被検査ゴム部材:
短手方向の長さL2b:15mm
接触面の短手方向の長さL3b/L2b:33%
荷重:15N
移動速度:16〜0km/h
荷重Fz:15N
テストの結果を表1に示す。
摩擦試験装置:日邦産業(株)製のD.F.テスターSタイプ
検出下限荷重Ffr:10N
氷結路面:
表面温度:−1.0±0.2℃
気温:−5℃
研磨部材:
短手方向の長さL4b:20mm
厚さW4:10mm
接触面の短手方向の長さL5b/L4b:33%
荷重F:15N
移動速度:7km/h
回転数:10回
被検査ゴム部材:
短手方向の長さL2b:15mm
接触面の短手方向の長さL3b/L2b:33%
荷重:15N
移動速度:16〜0km/h
荷重Fz:15N
テストの結果を表1に示す。
テストの結果、実施例は、比較例に比べて、バラつきが小さくなることを確認できた。また、実施例の変動係数CVの指数は、70以上であるため、ゴム部材の氷上でのグリップ性能を正確に評価することができた。
6 氷結路面
8 被検査ゴム部材
8 被検査ゴム部材
Claims (6)
- 評価対象の被検査ゴム部材を氷結路面に摺動させて、氷上でのグリップ性能を評価するための方法であって、
前記被検査ゴム部材の摺動に先立ち、前記氷結路面を研磨する研磨工程を含むことを特徴とするゴム部材の氷上グリップ性能評価方法。 - 前記研磨工程は、0.1〜10μmの表面粗さを有する研磨部材を、前記氷結路面に摺動させる請求項1記載の氷上グリップ性能評価方法。
- 前記研磨工程は、前記研磨部材を第1方向に研磨させ、
前記被検査ゴム部材を、前記第1方向に摺動させる摺動工程を含む請求項2記載のゴム部材の氷上グリップ性能評価方法。 - 前記摺動工程は、前記被検査ゴム部材を、前記研磨部材で研磨された研磨面からはみ出すことなく摺動させる請求項3記載のゴム部材の氷上グリップ性能評価方法。
- 前記氷結路面に当接する前記被検査ゴム部材の接触面は、少なくとも一本の溝が設けられている請求項1乃至4のいずれかに記載のゴム部材の氷上グリップ性能評価方法。
- 前記溝は、前記第1方向に対して交わる方向にのびている請求項5記載のゴム部材の氷上グリップ性能評価方法。
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KR102063866B1 (ko) * | 2018-07-24 | 2020-01-08 | 넥센타이어 주식회사 | 제동 성능 시험 장치 및 제동 성능 시험 방법 |
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