JP7331566B2 - タイヤ部材の物性予測方法 - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤ部材の物性予測方法に関する。詳細には、本発明は、加硫後のタイヤ部材の物性予測方法に関する。
タイヤ製造工程では、複数のタイヤ部材からなる未加硫タイヤ(グリーンタイヤ)が、加硫機中の金型内で加熱及び加圧される。グリーンタイヤの内面及び外面からの加熱により加硫反応が進行し、所定の加硫時間を経て加硫ゴムからなるタイヤ部材を備えたタイヤが得られる。
タイヤ諸性能の向上を目的として、各タイヤ部材をなす加硫ゴムについて、種々の組成が検討されている。組成の変更にあわせて、適正な加硫条件を決定する必要がある。また、最適加硫条件の決定は、省エネルギー及び製造効率の面でも有用である。
従来、試験用のタイヤを製造した後、このタイヤを解体して、各タイヤ部材の物性を実際に測定することにより、最適加硫条件を決定していた。この方法によれば、加硫ゴムの組成を変更する毎に、実タイヤ製造、解体及び物性測定をおこない、その測定結果を考慮してさらに加硫温度及び加硫時間を変更する必要がある。このような手法は、多くの時間と費用とを要するため、効率的ではない。
実タイヤの製造を要しない方法として、ラボ用の加硫プレス機を利用する方法が知られている。この方法では、金型に投入した未加硫ゴムを、加硫プレス機で加熱及び加圧して作成した試験片の物性を測定することにより、加硫後のタイヤ部材の物性が予測される。
前述の加硫プレス機を利用して得られる予測結果は、実際に製造されたタイヤの物性値と相関しない場合がある。従来提案された物性予測方法による予測精度は、充分満足できるものではない。タイヤ開発上、加硫後のタイヤ部材の物性を正確に予測する方法が求められている。
本発明の目的は、加硫後のタイヤ部材の物性を精度よく、かつ効率的に予測する方法の提供である。
加硫プレスを用いた従来の方法では、試験片の作成時に、タイヤ製造時の加硫条件に近似した条件が採用されている。しかし、実際のタイヤでは、タイヤ部材毎にその形状や厚みが異なるため、各タイヤ部材が受ける熱履歴は厳密には同じではない。また、例えば、厚みのあるタイヤ部材では、熱源である金型からの距離に応じて昇温速度が変動する。そのため、タイヤ部材内部において経時的に温度分布が生じ、熱履歴が異なる領域が発生すると考えられる。
加硫プレス機による方法では、通常、試験片の内部と外面とで温度差が極力少なくなるように、厚みの薄い試験片が選択される。従って、加硫プレス機で得られる試験片には、タイヤ製造時の熱履歴が厳密に反映されていないと考えられる。本発明者らは、鋭意検討の結果、従来の方法における予測精度低下の要因が、試験片が受けた熱履歴と、実タイヤにおけるタイヤ部材が受けた熱履歴との相違にあることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明に係るタイヤ部材の物性予測方法は、
(1)タイヤ製造時にタイヤ部材が受ける熱履歴を示す温度-時間曲線を得る第一工程、
(2)未加硫ゴムからなる試験片を準備する第二工程、
(3)温度-時間曲線に従って、少なくとも1秒毎に、この試験片の温度を制御してこの試験片を加硫して、加硫試験片を得る第三工程
及び
(4)この加硫試験片の粘弾性測定をおこなって、未加硫ゴムを用いて得られるタイヤ部材の物性を予測する第四工程
を有している。
好ましくは、この物性予測方法では、第一工程において、複数のタイヤ部材を組み合わせてなるグリーンタイヤを準備する。このグリーンタイヤを加硫機中で加熱及び加圧する際に、各タイヤ部材の温度を計測して、温度-時間曲線を得る。
好ましくは、第四工程で得る粘弾性測定値は損失正接(tanδ)である。
本発明に係る物性予測方法では、タイヤ製造時に各タイヤ部材が受ける熱履歴を厳密に再現した加硫試験片が得られる。この加硫試験片を測定して得られる粘弾性測定値は、実際に製造されたタイヤにおける各タイヤ部材の物性と、高い精度で相関する。この物性予測方法によれば、加硫後のタイヤ部材の物性を、精度よく、かつ効率的に予測することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る物性予測方法のフローチャートである。 図2は、図1の物性予測方法を適用して製造されるタイヤの一実施例を示す断面図である。 図3は、図1の第一工程で得られる温度-時間曲線の一例である。 図4は、実施例及び比較例で得た損失正接(tanδ)を、それぞれのECUに対してプロットしたグラフである。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。なお、本願明細書において、加硫とは、ゴム分子鎖内又はゴム分子鎖間に架橋点を形成して、三次元網目構造を形成する反応を意味する。本願明細書における加硫には、所謂硫黄加硫の他に、金属酸化物、有機過酸化物、有機アミン化合物等による架橋も含まれる。
図1は、本発明の一実施形態に係る物性予測方法を示すフローチャートである。図示される通り、この製造方法は、第一工程、第二工程、第三工程及び第四工程を含む。第一工程では、タイヤ製造時にタイヤ部材が受ける熱履歴を示す温度-時間曲線を取得する。第二工程では、未加硫ゴムからなる試験片を準備する。第三工程では、第一工程で取得した温度-時間曲線に従って、少なくとも1秒毎に、試験片の温度を制御して、この試験片を加硫する。第四工程では、加硫後の試験片(以下、加硫試験片と称する)の粘弾性測定をおこない、得られた測定値から、第二工程で準備した組成の未加硫ゴムを用いて得られるタイヤ部材の物性を予測する。
この物性予測方法では、第一工程において、タイヤ製造時に各タイヤ部材が受ける熱履歴を示す温度-時間曲線が取得される。この温度-時間曲線に従って、少なくとも1秒毎に温度制御して、未加硫ゴムからなる試験片を加硫することにより、タイヤ製造時に受ける熱履歴を厳密に再現した加硫試験片が得られる。この加硫試験片の粘弾性測定値は、実際に製造されたタイヤにおけるタイヤ部材の物性と、高い精度で相関する。この物性予測方法によれば、加硫後のタイヤ部材の物性を、精度よく、かつ効率的に予測することができる。また、この物性予測方法を適用することにより、種々の組成のタイヤ部材の最適加硫条件が効率的に決定される。これにより、タイヤ諸性能及び生産効率の向上が可能となる。
本発明に係る物性予測方法を適用して製造するタイヤの種類及び形状は、特に限定されない。例えば、この実施形態に係る物性予測方法は、図2に断面図として示されたタイヤ2の製造に適用される。
図2において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ2の周方向である。一点鎖線CLはタイヤ2の赤道面を表わす。なお、図2において、各タイヤ部材はその断面の輪郭のみが示されている。
このタイヤ2は、タイヤ部材として、トレッド4、一対のサイドウォール6、一対のビード8、カーカス10、ベルト12、バンド14及びインナーライナー16を備えている。このタイヤ2は、空気入りタイヤである。
トレッド4は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド4は、トレッド面20を備えている。トレッド面20には、溝22が刻まれている。トレッド4は、加硫ゴムからなる。
それぞれのサイドウォール6は、トレッド4の端から半径方向略内向きに延びている。それぞれのビード8は、サイドウォール6の半径方向内側に位置している。ビード8は、コア24と、このコア24から半径方向外向きに延びるエイペックス26とを備えている。カーカス10は、カーカスプライ28からなる。カーカスプライ28は、両ビード8の間に架け渡されており、トレッド4及びサイドウォール6に沿っている。カーカスプライ28は、コア24の周りを、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。
ベルト12は、トレッド4の半径方向内側に位置しカーカス10と積層されている。このベルト12は、内側層12a及び外側層12bからなる。バンド14は、ベルト12の半径方向外側に積層されている。図示されていないが、このバンド14は、コードとトッピングゴムとからなる。コードは実質的に周方向に延びており、螺旋状に巻かれている。バンド14は、いわゆるジョイントレス構造を有する。インナーライナー16は、カーカス10の半径方向内側に位置してカーカス10の内面に接合されている。
詳細には、本発明に係る物性予測方法は、タイヤ2を構成する種々のタイヤ部材に適用されうる。この物性予測方法が適用可能なタイヤ部材の種類及び形状は、特に限定されない。例えば、この実施形態では、タイヤ2のトレッド4に適用される。
以下、この物性予測方法をトレッド4に適用する場合を例として、本発明の具体的な実施形態を説明するが、本発明は、この実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲内で種々の変更が可能である。
この実施形態における第一工程では、タイヤ2の製造時に、トレッド4が受ける熱履歴を示す温度-時間曲線を取得する。トレッド4の温度-時間曲線を取得する方法は特に限定されない。例えば、所定の組成で未加硫ゴムを調製し、この未加硫ゴムをトレッド4の形状に押出加工し、このトレッド4を他のタイヤ部材と組み合わせることにより、グリーンタイヤを準備する。このグリーンタイヤを金型内に設置した後、加硫機中で加熱及び加圧する際に、図2に符号A-Dとして示された位置に対応する部位に取り付けた温度計(センサー)で、その温度変化を計測することにより、各部位における温度-時間曲線を取得してもよい。
第一工程において、タイヤの製造に使用する装置及び設備に特に制限はない。従来から使用されている装置及び設備が、この製造方法においても使用される。また、グリーンタイヤを加硫する方法も特に限定されず、例えば金型を熱源とした外側からの加熱及びプラダーを介した内側からの加熱により加硫する方法が用いられうる。加硫時の温度及び圧力についても特に制限はなく、通常、製造に適用される温度及び圧力が適宜選択される。例えば、好ましい加硫温度としては、120℃以上200℃以下であり、より好ましくは140℃以上180℃以下である。
各部位において計測した温度を、加硫時間に対してプロットして得られた温度-時間曲線A-Dが、図3に例示されている。この温度-時間曲線A-Dには、トレッド4の各部位における熱履歴が、精密に反映されている。この観点から、温度計測間隔は、6秒以下が好ましく、5秒以下がより好ましい。
本発明において、温度変化を計測する位置及びその数は、特に限定されず、タイヤ部材の形状に応じて適宜選択される。熱履歴の検出精度の観点から、タイヤ部材の厚み方向、長さ方向又は幅方向において、間隔をあけて選択した少なくとも2の部位で、加硫中の温度変化を計測することが好ましい。
本発明の効果が得られる限り、第一工程において、シミュレーションを利用して、タイヤ部材の所定の部位における温度-時間曲線を取得してもよい。シミュレーションの利用により、温度-時間曲線を取得する第一工程においても、実タイヤの製造が不要となるため、好ましい。
第二工程では、未加硫ゴムからなる試験片を準備する。本発明において、この試験片を準備する方法は特に限定されない。例えば、基材ゴムと、通常タイヤ分野で使用される各種添加剤とを、所定の組成に従ってオープンロール、バンバリーミキサー等に投入して混練することにより未加硫ゴムを調整し、この未加硫ゴムから所定量を採取して試験片を準備してもよい。
本発明において、未加硫ゴムに配合される基材ゴム及び各種添加剤の種類は、特に限定されない。好ましい基材ゴムとして、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エポキシ化天然ゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンスチレンゴム等が例示される。二種以上の基剤ゴムを併用してもよい。基材ゴムとともに配合される添加剤の例として、カーボンブラック、シリカ等の充填剤、シランカップリング剤、オイル、ワックス、酸化亜鉛、老化防止剤、加工助剤、樹脂、加硫剤、加硫促進剤及び加硫促進助剤が挙げられる。本発明の効果が阻害されない限り、本願明細書にて明示されない他の添加剤を使用することも可能である。
第二工程で準備する未加硫ゴムの組成にも、特に制限はない。この実施形態では、トレッド4に用いられる組成が採用される。未加硫ゴム調整時の混練条件は、組成に応じて適宜選択される。例えば、加硫剤及び加硫促進剤以外の添加剤を配合する場合、好ましい混練温度は50℃以上200℃以下であり、より好ましくは80℃以上180℃以下である。また、加硫剤及び加硫促進剤を配合する場合の混練温度は100℃以下が好ましく、80℃以下がより好ましい。混練時間は、通常30秒以上30分以下である。
所定の組成で調整された未加硫ゴムから採取する試験片の量は、第三工程の加硫試験又は第四工程の粘弾性測定に必要な量であれば、特に限定されない。好ましくは、第一工程で取得した温度-時間曲線の数に応じて、複数の試験片を採取する。組成の異なる未加硫ゴムから、それぞれ複数の試験片を採取してもよい。
第三工程は、第二工程で準備した試験片を加硫して加硫試験片を得る工程である。本発明に係る物性予測方法では、第一工程で取得した温度-時間曲線に従って、少なくとも1秒毎に、試験片の温度を制御して、この試験片を加硫する。これにより得られる加硫試験片には、温度-時間曲線を取得したタイヤ部材の各部位における熱履歴が、精密に再現される。
第三工程における試験片の加硫には、既知の加硫試験機が使用される。少なくとも1秒毎の温度制御が可能であれば、加硫試験機の種類は特に限定されない。例えば、JIS K6300-2:2001「未加硫ゴム-物理特性-第2部:振動式加硫試験機による加硫特性の求め方」に記載されている加硫試験機が、好適に用いられうる。具体例としては、モンテック社製のラバープロセスアナライザー(商品名「D-RPA3000」)が挙げられる。
第四工程は、第三工程で得た加硫試験片の粘弾性測定をおこなって、この粘弾性測定値から、この加硫試験片と同じ組成の加硫ゴムからなるタイヤ部材の物性を予測する工程である。
この実施形態の第四工程では、加硫試験片の30℃における損失正接(tanδ)を測定する。この加硫試験片には、タイヤ2の製造時にトレッド4が受けた熱履歴が、少なくとも1秒毎という精密さで再現されている。この加硫試験片の損失正接(tanδ)と、トレッド4の損失正接(tanδ)とは、高い精度で相関する。この物性予測方法によれば、加硫後のトレッド4の損失正接(tanδ)を、精度よく、かつ効率的に予測することができる。また、トレッド4の損失正接(tanδ)は、タイヤ2のグリップ性能に寄与する。従って、この物性予測方法を適用することにより、グリップ性能に優れたトレッド用加硫ゴムの組成、さらにはその最適加硫条件を、効率的に決定することができる。
粘弾性測定には、既知の粘弾性測定装置が使用される。粘弾性測定方法及び測定条件は、例えば、JIS K6300-2:2001「未加硫ゴム-物理特性-第2部:振動式加硫試験機による加硫特性の求め方」の記載に準じて適宜選択される。例えば、第三工程で例示したラバープロセスアナライザー(商品名「D-RPA3000」)は、未加硫ゴムからなる試験片を加硫するとともに、その粘弾性測定を実施する機能を有していることから、好適に用いられうる。
本発明の効果が得られる限り、第四工程で測定する粘弾性測定値の種類は特に限定されない。この物性予測方法を適用するタイヤ部材の種類及び所望のタイヤ性能に応じて、適宜選択される。所望のタイヤ性能に寄与する粘弾性測定値を選択して、この物性予測方法を適用することにより、優れたタイヤ性能を発現するための加硫ゴムの組成を、効率的に選択することができる。この選択された組成の加硫ゴムを用いて各タイヤ部材を組み合わせることにより、性能に優れたタイヤを製造することができる。
本発明では、タイヤ2の各部材の寸法及び角度は、タイヤ2が正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤ2に空気が充填され、タイヤ2に正規荷重が負荷された状態で測定される。本明細書において正規リムとは、タイヤ2が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規内圧とは、タイヤ2が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。乗用車用タイヤ2の場合は、内圧が180kPaの状態で、寸法及び角度が測定される。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例]
図2に示されたタイヤ部材を既知のタイヤ成形機上で貼り合わせることにより、グリーンタイヤ(サイズ195/65R15)を準備した。このグリーンタイヤを金型に設置して、170℃で15分間加硫した。加硫中、図2に符号A-Dとして示された部位に温度センサーを埋設(タイヤ表面からの深さ1mm)して、その温度変化を6秒毎に計測した。各部位における測定温度を、それぞれ加硫時間に対してプロットすることにより、温度-時間曲線を作成した。得られた温度-時間曲線A-Dが図3に示されている。
下表1に示された組成に従って、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を、容量1.7Lのバンバリーミキサー(神戸製鋼社製)に投入して、150℃で3分間、混練した。得られた混練物をバンバリーミキサーから取り出して、表1に示された量の硫黄及び加硫促進剤をそれぞれ添加した後、オープンロールを用いて、80℃で3分間混練することにより、未加硫ゴムを得た。
Figure 0007331566000001
表1に記載された化合物の詳細は、以下の通りである。
SBR:日本ゼオン(株)製の変性スチレンブタジエンゴム(ビニル含量31質量%、スチレン含量41質量%、Mw:9.4万、Mn4.3万、Mw/Mn:2.2)
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製の商品名「ショウブラックN330」(NSA:79m2/g
シリカ:エボニックデグッサ社製のVN3(NSA:175m/g)
カップリング剤:エボニックデグッサ社製のシランカップリング剤ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、商品名「Si266」
オイル:出光興産(株)製の商品名「ダイアナプロセスNH-70S」
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華2種
老化防止剤:住友化学(株)製のN-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン、商品名「アンチゲン6C」
ワックス:日本精蝋(株)製の商品名「オゾエース0355」
硫黄:三新化学工業(株)製の5%オイル処理硫黄
加硫促進剤:TBBS(NS):大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS
得られた未加硫ゴムから、試験片(5g)を採取した。この試験片を、図2の温度-時間曲線Bに従って加硫した。その後、得られた加硫試験片の30℃における損失正接(tanδ)を測定した。加硫及び測定は、モンテック社製のラバープロセスアナライザー(商品名「D-RPA3000」)を使用して、下記条件によりおこなった。得られた結果が、下表2に示されている。温度-時間曲線Bに従って加硫した加硫試験片の30℃における損失正接(tanδ)は、0.192であった。
加硫時間:30分間
加硫時の温度制御:1秒間隔
初期歪み:10%、振幅:±2.0%、周波数:10Hz
変形モード:引張、測定温度:30℃
次に、下式に基づいて、温度-時間曲線Aに従って加硫したときの等価加硫量(ECU)を算出した。
ECU=(t/t)×exp[-(E/R)×(1/T-1/T)]
ここで、tは基準時間(分)であり、tは加硫時間(分)であり、Eは活性化エネルギー(kJ/mol)であり、Rは気体定数(8.31J/mol)であり、Tは基準温度(K)であり、Tは加硫中の測定温度(K)である。基準温度(T)141.7℃、基準時間(t)1分、活性化エネルギー(E)83.72kJ/molとして算出した等価加硫量(ECU)が、下表2に示されている。
同様に、温度-時間曲線A、C及びDに従って、未加硫ゴムから採取した試験片を加硫した。その後、得られた各加硫試験片の30℃における損失正接(tanδ)を測定した。測定された損失正接(tanδ)と、温度-時間曲線A、C及びDについて算出された等価加硫量(ECU)とが、それぞれ下表2に示されている。各損失正接(tanδ)を等価加硫量(ECU)に対してプロットしたグラフが、図4として示されている。
[比較例]
実施例と同様にして、表1に示された組成の未加硫ゴムを準備した。この未加硫ゴムから、試験片(50g)を採取した。この試験片を、モンテック社製の加硫プレス機(商品名「LP3000」)を用いて、170℃で12分間加硫した。得られた加硫試験片の30℃における損失正接(tanδ)を、TA Instruments社製の粘弾性測定装置を用いて測定した。測定条件は、実施例で前述した測定条件と同じである。また、170℃で12分間加硫した場合の等価加硫量(ECU)を算出した。得られた結果が下表2及び図4に示されている。
Figure 0007331566000002
[参考例]
実施例と同様にして、表1に示された組成の未加硫ゴムを準備した。この未加硫ゴムをトレッドの形状に押出加工し、他のタイヤ部材と組み合わせて、グリーンタイヤ(サイズ195/65R15)を得た。このグリーンタイヤを金型に設置して、170℃で15分間加硫することにより、図2の基本構成を備えたタイヤを製造した。
次いで、図2に符号Bとして示される部位から試験片を採取して、30℃における損失正接(tanδ)を測定した。測定にはTA Instruments社製の粘弾性測定装置を使用した。測定条件は、実施例で前述した測定条件と同じである。得られた損失正接(tanδ)は、0.195であった。
(まとめ)
図4に示される通り、比較例と実施例とでは、等価加硫量が同等であっても、損失正接(tanδ)が異なっている。この結果は、従来の加熱プレス機による方法で得られた比較例の物性値が、タイヤ製造時の熱履歴を再現した実施例の物性値とは異なる傾向を有することを示している。このことから、加硫後のタイヤ部材の物性に対して、そのタイヤ部材が加硫時に受ける熱履歴による影響が大きいことがわかる。
実施例において、温度-時間曲線Bに従って加硫することにより、図2の符号Bで示される部位の熱履歴を受けた加硫試験片の損失正接(tanδ)は、0.192であった。また、参考例において、実際に製造したタイヤの、符号Bで示された部位から採取した試験片の損失正接(tanδ)は、0.195であった。この結果から、本発明に係る予測方法によって、タイヤ部材の物性を精度よく予測できることがわかる。
以上説明された方法は、未加硫ゴムを加熱及び加圧して得られる種々のゴム製品の物性予測方法として適用されうる。
2・・・タイヤ
4・・・トレッド
6・・・サイドウォール
8・・・ビード
10・・・カーカス
12・・・ベルト
12a・・・内側層
12b・・・外側層
14・・・バンド
16・・・インナーライナー
20・・・トレッド面
22・・・溝
24・・・コア
26・・・エイペックス
28・・・カーカスプライ

Claims (2)

  1. 複数のタイヤ部材を組み合わせてなるグリーンタイヤを準備し、このグリーンタイヤを加硫機中で加熱及び加圧する際に、各タイヤ部材の温度を計測して、タイヤ製造時にタイヤ部材が受ける熱履歴を示す温度-時間曲線を得る第一工程と、
    未加硫ゴムからなる試験片を準備する第二工程と、
    上記温度-時間曲線に従って、少なくとも1秒毎に、上記試験片の温度を制御してこの試験片を加硫して、加硫試験片を得る第三工程と、
    上記加硫試験片の粘弾性測定をおこなって、上記未加硫ゴムを用いて得られるタイヤ部材の物性を予測する第四工程と、
    を有しており、
    上記第一工程における温度計測間隔が6秒以下である、タイヤ部材の物性予測方法。
  2. 上記粘弾性測定値が、損失正接(tanδ)である請求項1に記載の物性予測方法。
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