JP2010274742A - タイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】タイヤの加硫時間を短縮し、タイヤ表面部の過加硫を抑制する。
【解決手段】示差走査型熱量計(DSC)によって60〜230℃の温度範囲内で測定された反応熱量が15J/g以上であり、反応開始温度が100℃以上である組成物を塗布した部材を内部に有することを特徴とするタイヤ(1)である。
【選択図】図1
【解決手段】示差走査型熱量計(DSC)によって60〜230℃の温度範囲内で測定された反応熱量が15J/g以上であり、反応開始温度が100℃以上である組成物を塗布した部材を内部に有することを特徴とするタイヤ(1)である。
【選択図】図1
Description
本発明は、加硫時間を短縮し、耐摩耗性を向上したタイヤに関するものである。
通常、タイヤの製法においては、いくつかのゴム部材を重ね合わせてタイヤ形状に形成した生タイヤを、加硫機に装着し、内側をブラダーなどで膨らました後、高内圧、高温下で一定時間加硫する加硫工程を行う。この加硫工程により、ゴムの弾性および強度を得ることができる。その際、加熱方法としては、熱板、熱風等による方法が一般的である。
しかしながら、上記の加熱方法では、タイヤの中心部までの熱伝導に時間がかかるため、中心部を最適な加硫状態に仕上げようとすると、加硫時間が長くなることによってタイヤの表面部が過加硫となり、耐久性や耐摩耗性などの諸性能を損ねてしまうという問題があった。
タイヤ表面部の過加硫を防ぐ手段として、予め生タイヤを予熱することによって加硫時においてタイヤの熱伝導を早くする手法(例えば特許文献1および2)、予熱に誘導加熱を用いる手法(例えば特許文献3および4)、予めタイヤのゴム部材を予備加硫する手法(例えば特許文献5)がある。
しかし、生タイヤを予熱する手法では、生タイヤを予熱するために時間がかかる。また、予熱に誘導加熱を用いる手法では、誘導加熱により金属物が発熱するため、生タイヤ中のスチールコード部分などが局所的に過熱され、スチールコードとゴムとの接着性が低下するおそれがある。また、ゴム中に金属短繊維などの誘電粉を混合する手法では、この誘電粉によってタイヤの破壊特性が低下するおそれがある。さらに、タイヤのゴム部材を予備加硫させる手法では、ゴム部材の予備加硫に時間がかかる。
加えて、いずれの手法においても、生タイヤの予熱またはゴム部材の予備加硫を行うのに特別な装置を要し、タイヤの製造設備および製造方法が複雑化するために、コストがかかってしまう。
そこで、本発明の目的は、上記課題に鑑み、特別な装置を必要とすることなく、加硫時間を短縮してタイヤ表面部の過加硫を防止し、以って耐摩耗性を向上したタイヤを提供することにある。
本発明者は、加硫中に発生するゴムの加硫反応の熱を利用し、熱伝導を補助することに着眼し、加硫中により多くの熱を発生する組成物を生タイヤに内在させることによって、生タイヤの内部を効果的に加熱することが可能であることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明のタイヤは、示差走査型熱量計(DSC)によって60〜230℃の温度範囲内で測定された反応熱量が15J/g以上であり、反応開始温度が100℃以上である組成物を塗布した部材を内部に有することを特徴とする。
ここで、上記「部材」とは、タイヤの構造に含まれる材料全て、例えば、トレッドゴム、トレッドベースゴム、サイドゴムおよびスティフナーゴムなどのゴム部材や、ベルト、カーカスプライ、ビードコアなどの、ゴム以外の材料より成る部材を含む。また、上記「塗布」とは、上記部材の表面の一部または表面全体に上記組成物を付着させることを言う。
本発明の好適例においては、前記組成物において、前記反応熱量が20〜500J/gである。
本発明の他の好適例においては、前記組成物において、前記反応開始温度が120℃以上である。
本発明によれば、特別な装置を必要とすることなく、タイヤの加硫時間を短縮することが可能である。また、タイヤ表面部の過加硫が防止されることによってタイヤの耐摩耗性の低下が抑制される。即ち、耐摩耗性に優れたタイヤを提供することが可能である。
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明のタイヤは、示差走査型熱量計(DSC)によって60〜230℃の温度範囲内で測定された反応熱量が15J/g以上であり、反応開始温度が100℃以上である組成物を塗布した部材を内部に有することを特徴とする。
一般に、タイヤの加硫工程では、タイヤの表面部ほど早く加硫が進行し、タイヤの表面から内部に行くに従って加硫の進行が遅くなる。そこで、周囲のゴムよりも反応熱量の大きな上記の組成物を部材に塗布し、タイヤの内部に配置することにより、上記組成物の反応熱を以って該部分の加硫を促進し、タイヤの加硫時間を短縮することが可能である。
また、タイヤの加硫時間を短縮したことにより、タイヤ表面部の過加硫が抑制され、過加硫によるタイヤの性能低下、具体的には耐久性および耐摩耗性の低下の抑制が可能である。
なお、上記組成物の反応熱量が高いほど加硫時間の短縮に効果的であるが、塗布する部材に要求される種々の特性、例えば、弾性率、ヒステリシスロス特性、破壊特性等への影響を考慮すると、20〜500J/gの範囲内であることが好ましい。
また、反応開始温度が100℃未満であると、タイヤ成型に使用するためのゴム部材を加工する工程で組成物が加硫してしまい、好ましくない場合がある。より良好な加工性を確保する観点から、反応開始温度は120℃以上であるのが好ましい。
ここで、本発明において、示差走査型熱量計(DSC)による反応熱量および反応開始温度の測定は、以下のようにして行われる。好ましくは、6〜10mgの組成物のペレットの試料を示差走査型熱量計中に置く。それから試料を3℃/分で加熱し、200〜230℃の最終温度まで到達させる。反応熱量は、典型的には120℃〜175℃で最大となり、60℃と230℃の温度間に現れる試料の反応ピーク下の面積として記録され、反応熱の尺度としてジュールで測定される。また、反応開始温度は、反応ピークの立ち上がりの温度として測定される。
上記のような反応熱量と反応開始温度を有する組成物を得るには、硫黄の配合量を増量したり、加硫促進剤としてチウラム系化合物を使用することが考えられる。チウラム系化合物としては、テトラキス(2−エチルヘキシル)チラウムジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等が挙げられる。
本発明に用いる組成物には、ゴム成分が用いられても良く、その際、用いるゴム成分は特に限定されず、天然ゴムや合成ジエン系ゴムが挙げられる。合成ジエン系ゴムとしては、例えばポリイソプレン合成ゴム(IR)、シス−1,4−ポリブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)等が挙げられる。これらのゴムは、一種でも二種以上のブレンドでもよい。
また、本発明に用いる組成物には、前記各成分の他に、通常ゴム業界で用いられるカーボンブラック等の無機充填剤、軟化剤、粘着付与剤、老化防止剤、その他の加硫促進剤等の各種配合剤を適宜配合することができる。
本発明のタイヤにおいて、上記組成物を塗布する部材としては、トレッドゴム、サイドゴム、ベルト、カーカスプライ、トレッドベースゴム、ビード部におけるスティフナーゴム、ベルト層間のゴム、トレッドとベルトとの間のクッションゴム、ベルトとカーカスプライとの間のゴム等が挙げられる。
また、上記組成物をタイヤの部材に適用する際には、ゲージが厚いものほど上述した本発明の効果、すなわち加硫時間短縮効果が高く、最も熱が伝わらないタイヤ内部中心やその近傍の部材に上記組成物を適用すれば、本発明の効果がより得られることとなる。そのため、上記組成物を上記部材の中でも、ベルト、カーカスプライ、トレッドベースゴム、スティフナーゴム、ベルト層間のゴム、トレッドとベルトとの間のクッションゴム、ベルトとカーカスプライとの間のゴム等に適用するのが好ましい。
また、本発明のタイヤは、常法によってロールなどの開放式混練機やバンバリーミキサーなどの密閉式混練機等の混練り機械を用いて混練りすることによって得られた上記組成物をタイヤの部材に塗布した後、該部材をタイヤ内部に配置した生タイヤを形成し、加硫を行うことで得ることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。
図1は、後述の評価に供するタイヤの構造を示す幅方向断面図である。図示例では、タイヤ1は、一対のビード部8間にトロイダル状に跨るカーカス4を骨格とし、ビード部8のビードコア2からタイヤ径方向に延びるスティフナー3を具え、カーカス4のクラウン部の径方向外側にベルト7およびトレッド10を配置する。尚、前記ベルト7は、傾斜ベルト層5a,5bおよび周方向ベルト層6より成る。
図1は、後述の評価に供するタイヤの構造を示す幅方向断面図である。図示例では、タイヤ1は、一対のビード部8間にトロイダル状に跨るカーカス4を骨格とし、ビード部8のビードコア2からタイヤ径方向に延びるスティフナー3を具え、カーカス4のクラウン部の径方向外側にベルト7およびトレッド10を配置する。尚、前記ベルト7は、傾斜ベルト層5a,5bおよび周方向ベルト層6より成る。
表1に示す配合処方の組成物を混練して得、下記の方法によって反応熱量および反応開始温度を測定した。また、図1に示す構造に従って、上記組成物をショルダ部9のベースゴムまたはビード部8のスティフナー3に塗布したサイズ11R22.5のトラック・バス用ラジアルタイヤを試作し、試作タイヤを作製する際に要した加硫時間、試作タイヤのドラム耐久性および耐摩耗性を下記の方法によって評価した。評価結果を表1に示す。
(1)反応熱量および反応開始温度
セイコーインスツル株式会社製示差走査熱量計を用いて、各組成物の試料
10mgを3℃/分で加熱し、温度60〜230℃における反応熱量および反応開始温度を測定した。
セイコーインスツル株式会社製示差走査熱量計を用いて、各組成物の試料
10mgを3℃/分で加熱し、温度60〜230℃における反応熱量および反応開始温度を測定した。
(2)加硫時間
試作タイヤを加硫した際の加硫最遅延部の加硫度の変化を測定し、その加硫最遅延部の加硫度を比較例に合わせて加硫時間を求めて、比較例の加硫時間を100として指数表示した。指数値が低いほど加硫時間が短く、好ましいことを示す。
試作タイヤを加硫した際の加硫最遅延部の加硫度の変化を測定し、その加硫最遅延部の加硫度を比較例に合わせて加硫時間を求めて、比較例の加硫時間を100として指数表示した。指数値が低いほど加硫時間が短く、好ましいことを示す。
(3)ドラム耐久性
リム組みした試作タイヤに正規内圧を充填して荷重6000kgfを負荷したドラム上走行試験において、ビード部故障(プライ端またはワイヤチェーファー端のセパレーション)等によって走行不能になるまでの走行距離を測定した。結果は、比較例1の測定結果を100として指数表示した。指数値が高いほどドラム耐久性に優れていることを示す。
リム組みした試作タイヤに正規内圧を充填して荷重6000kgfを負荷したドラム上走行試験において、ビード部故障(プライ端またはワイヤチェーファー端のセパレーション)等によって走行不能になるまでの走行距離を測定した。結果は、比較例1の測定結果を100として指数表示した。指数値が高いほどドラム耐久性に優れていることを示す。
(4)耐摩耗性
試験タイヤを積載重量10tのトラックに装着し、25km走行後、溝深さの平均値から1mm摩耗当たりの走行距離を算出した。結果は、比較例1の走行距離を100として指数表示した。指数値が大きいほど耐摩耗性に優れていることを示す。
試験タイヤを積載重量10tのトラックに装着し、25km走行後、溝深さの平均値から1mm摩耗当たりの走行距離を算出した。結果は、比較例1の走行距離を100として指数表示した。指数値が大きいほど耐摩耗性に優れていることを示す。
*1 天然ゴム RSS#3.
*2 N330.
*3 N,N’-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド,大内新興化学工業株式会社製.
*4 N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド
*5 テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド,大内新興化学工業株式会社製.
*6 6C,N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン.
*2 N330.
*3 N,N’-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド,大内新興化学工業株式会社製.
*4 N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド
*5 テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド,大内新興化学工業株式会社製.
*6 6C,N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン.
表1に示すように、DSCで測定された反応熱量および反応開始温度が本発明で規定する範囲内である組成物を塗布した部材を配置した実施例1および2は、比較例1および2に対比して加硫時間を短縮していることがわかる。また、実施例1および2は、ドラム耐久性につき、比較例タイヤ1および2に対し同等の結果を示しており、耐摩耗性につき、比較例タイヤ1および2に対し優れた結果を示している。
上記結果から、本発明により、タイヤの加硫時間を短縮することができ、また、タイヤ表面の過加硫を抑制することによって、耐久性を損ねることなく耐摩耗性を向上したタイヤを提供することができたと言える。
0 タイヤの赤道面
1 タイヤ
2 ビードコア
3 スティフナー
4 カーカス
5a 傾斜ベルト層
5b 傾斜ベルト層
6 周方向ベルト層
7 ベルト
8 ビード部
9 ショルダ部
10 トレッド
1 タイヤ
2 ビードコア
3 スティフナー
4 カーカス
5a 傾斜ベルト層
5b 傾斜ベルト層
6 周方向ベルト層
7 ベルト
8 ビード部
9 ショルダ部
10 トレッド
Claims (3)
- 示差走査型熱量計(DSC)によって60〜230℃の温度範囲内で測定された反応熱量が15J/g以上であり、反応開始温度が100℃以上である組成物を表面に塗布した部材を内部に有することを特徴とするタイヤ。
- 前記組成物において、前記反応熱量が20〜500J/gである請求項1記載のタイヤ。
- 前記組成物において、前記反応開始温度が120℃以上である請求項1記載のタイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009128117A JP2010274742A (ja) | 2009-05-27 | 2009-05-27 | タイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009128117A JP2010274742A (ja) | 2009-05-27 | 2009-05-27 | タイヤ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010274742A true JP2010274742A (ja) | 2010-12-09 |
Family
ID=43422123
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009128117A Withdrawn JP2010274742A (ja) | 2009-05-27 | 2009-05-27 | タイヤ |
Country Status (1)
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2009
- 2009-05-27 JP JP2009128117A patent/JP2010274742A/ja not_active Withdrawn
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