JP2018094930A - タイヤの設計方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】充填剤を含むゴム組成物からなるタイヤ部材における充填剤の配向方向に応じてタイヤを作製することができるタイヤの設計方法を提供する。【解決手段】実施形態に係るタイヤの設計方法では、充填剤を含有するゴム組成物を押し出して成形されるタイヤ部材又は該タイヤ部材に相当するゴム試験片にX線を照射してX線小角散乱測定を実施することにより、前記タイヤ部材における充填剤の配向方向を求め、求めた配向方向に応じてタイヤでの前記タイヤ部材の押出方向の向きを設定する。例えば、タイヤ部材がトレッドゴムであり、トレッドゴムの押出方向をタイヤ周方向に垂直な方向に設定する。【選択図】図3
Description
本発明は、タイヤの設計方法に関し、また、タイヤ及びその製造方法に関する。
タイヤを構成するタイヤ部材として、トレッドゴムのようなゴム組成物からなるものには、補強剤としてカーボンブラックやシリカなどの充填剤が配合されている。かかるタイヤ部材は充填剤の配向方向により物性が異なることから、充填剤の配向方向を制御してタイヤを作製することが望ましい。
ゴムの配向に関する技術として、特許文献1には、配向の影響を打ち消して無配向状態での応力とひずみの挙動を推測するために、ゴムシート押出時の伸長方向に対して傾けて切り出した試験片を用いて伸長試験を行うことが開示されている。また、特許文献2には、タイヤのトレッド溝底部位の配向性を評価するために、溝底部位を含む試験片を切り出して引き裂き試験を行い、その引き裂き特性の異方性に基づいて配向性を評価する方法が開示されている。これらの文献では、ゴム分子鎖の配向性を問題としており、充填剤の配向方向については検討されていない。
一方、従来、高分子材料中の散乱体の構造情報を取得する方法として、X線小角散乱測定が知られており、高分子材料の反発弾性率などの物性を評価することが提案されている(特許文献3)。しかしながら、X線小角散乱測定により充填剤の配向方向を求めて、それに基づきタイヤを設計することは開示されていない。
本発明は、タイヤ部材における充填剤の配向方向に応じてタイヤを作製することができるタイヤの設計方法を提供することを目的とする。
本実施形態に係るタイヤの設計方法は、充填剤を含有するゴム組成物を押し出して成形されるタイヤ部材又は該タイヤ部材に相当するゴム試験片にX線を照射してX線小角散乱測定を実施することにより、前記タイヤ部材における充填剤の配向方向を求め、求めた配向方向に応じてタイヤでの前記タイヤ部材の押出方向の向きを設定するものである。
一実施形態において、前記X線小角散乱測定により充填剤の配向方向とともに配向度を求め、タイヤを成形するタイヤ部材として配向度が20〜50%のものを用いてもよい。また、一実施形態において、前記タイヤ部材がトレッドゴムであり、前記トレッドゴムの押出方向をタイヤ周方向に垂直な方向に設定してもよい。
一実施形態に係るタイヤは、充填剤を含有するトレッドゴムを備えるタイヤにおいて、前記トレッドゴムは、前記充填剤の配向方向がタイヤ周方向と平行であり、かつ前記充填剤の配向度が20〜50%であるものである。
一実施形態に係るタイヤの製造方法は、充填剤を含有するゴム組成物からなるトレッドゴムを押し出し、押出方向がタイヤ周方向に対して垂直になるように前記トレッドゴムを設置したグリーンタイヤを成形し、前記グリーンタイヤを加硫成形するものである。
本実施形態によれば、X線小角散乱測定により充填剤の配向方向を求めるので、求めた配向方向に応じてタイヤ部材を物性上有利な向きでタイヤ内に設置することができ、タイヤの物性向上に有利である。
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
本実施形態に係るタイヤの設計方法は、タイヤを構成する少なくとも1つの部材であるタイヤ部材を、その押出方向をどちらに向けてタイヤに設置するかを定めるための方法である。そのため、タイヤの製造工程を決定する方法であるともいえる。なお、タイヤ部材の形状を含むその他の設計事項については、公知の設計方法を適用すればよい。
本実施形態では、充填剤を含有するゴム組成物を押し出して成形されるタイヤ部材又は該タイヤ部材に相当するゴム試験片にX線を照射してX線小角散乱測定を実施することにより、前記タイヤ部材における充填剤の配向方向を求め、求めた配向方向に応じてタイヤでの前記タイヤ部材の押出方向の向きを設定する。
タイヤ部材は、充填剤を含有するゴム組成物からなるものであり、ゴム組成物を用いた押出成形によりタイヤ部材が作製される。タイヤ部材としては、トレッドゴム、サイドウォールゴム、ビードフィラー、インナーライナー、リムストリップ等が挙げられ、また、カーカスプライやベルトプライのようなゴム組成物中にコードが埋設されたものでもよい。トレッドゴムとしては、キャップゴムとベースゴムとの2層構造からなるもののそれぞれでもよく、また両者を一体に押し出したものでもよく、あるいはまた、単層構造のトレッドゴムでもよい。
タイヤ部材を形成するゴム組成物において、ゴム成分としては、ジエン系ゴムなどの各種ゴムポリマーを用いることができ、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)などが挙げられ、これらのゴムポリマーを単独又は2種類以上ブレンドしたものでもよい。
充填剤としては、例えば、カーボンブラック、シリカ、タルク、クレー、アルミナなどの各種充填剤が挙げられる。好ましくは、補強効果の高い、カーボンブラックやシリカなどの補強性充填剤であり、一実施形態としては、カーボンブラック及び/又はシリカである。充填剤の配合量は、特に限定されず、例えば、ゴム成分100質量部に対して10〜150質量部でもよく、20〜100質量部でもよく、30〜70質量部でもよい。
ゴム組成物は、充填剤の他、様々な配合剤を任意成分として含有してもよい。一実施形態として、シランカップリング剤、オイル等の軟化剤、老化防止剤、亜鉛華、ステアリン酸、ワックス、硫黄等の加硫剤、加硫促進剤など、通常ゴム工業で使用される各種配合剤を配合することができる。これら各成分の配合量は特に限定されない。
かかるゴム組成物は、バンバリーミキサーなどの混合機を用いて各成分を常法に従い混練することにより作製することができる。得られたゴム組成物は、押出機を用いて押し出すことにより、タイヤ部材に成形される。
X線小角散乱測定の対象とする測定試料としては、タイヤ部材自体を用いてもよく、あるいはまた、タイヤ部材に相当する、即ちタイヤ部材と同一視されるゴム試験片を用いてもよい。例えば、測定試料として、上記により押し出された未加硫のタイヤ部材を用いてもよく、また、押し出し後、加熱することで加硫してなる加硫後のタイヤ部材を用いてもよい。測定試料の形状は、X線が透過可能であれば、特に限定されないが、シート状であることが好ましい。そのため、一実施形態として、加硫後又は未加硫のタイヤ部材からシート状に切り出したものを測定試料として用いてもよい。一方、上記のタイヤ部材に相当するゴム試験片としては、タイヤ部材と同配合のゴム組成物を用いて、タイヤ部材と同等の条件で押し出し成形した加硫後又は未加硫のゴムが挙げられ、好ましくはX線測定しやすいようにシート状に押し出した加硫後又は未加硫のゴムシートを、測定試料とすることである。
X線小角散乱(SAXS:Small-angle X-ray Scattering)測定は、散乱角が数度以下の散乱X線を測定する手法であり、散乱角は通常10°以下である。X線小角散乱測定では、図1に示すように、測定試料にX線を照射すると、測定試料を構成する物質の電子密度を反映してX線が散乱され、その散乱の強度分布を表す二次元の散乱像が検出器にて得られる。
なお、本実施形態において、X線小角散乱測定を行う際に使用するX線としては、例えば1010(photons/s/mrad2/mm2/0.1%bw)以上の高輝度X線であることが好ましい。このようなX線を放射するシンクロトロンとしては、高輝度光科学研究センターのSPring−8などが挙げられる。また、X線小角散乱測定におけるカメラ長(即ち、測定試料から散乱X線の検出器までの距離)は、特に限定されず、例えば6〜16mでもよい。検出器としては、CCDカメラ等の一般的なX線検出器を用いることができる。
図2は、散乱像の一例を示したものである。散乱像は、散乱強度の大きさを示したものであり、ここでは白色に近いほど散乱強度が大きく、黒色に近いほど散乱強度が小さいことを示し、その等高線を白線(点線)で示している(図3において同じ)。従って、散乱中心から遠ざかるにつれて、散乱強度は小さくなる。なお、散乱中心(散乱像の中央の黒色部分)及びそこから下方に延びる黒色の線は、ビームストッパによる影の部分であり、散乱強度の大きさを示すものではない。
図2は、充填剤による配向を持たない無配向の散乱像を示している。充填剤は、その配合量が少ないと、図2に示すような括れを持たない散乱像が得られる。これに対し、充填剤の配合量が多くなると、充填剤の配向が強くなって、図3に示すように、散乱像は、充填剤の配向方向Eにおいて括れたような形状を示し、異方性(配向による散乱の角度依存性)を示す。すなわち、散乱中心を通る水平な赤道線上において、両側の散乱像が散乱中心に向かって狭まった形状を呈しており、散乱中心を通る赤道方向Eでは、これに垂直な子午線方向Mよりも、散乱強度の勾配が大きくなっている。
かかる充填剤の配向は、主としてタイヤ部材の押し出し成形時に形成されるものであり、図3に示す例では、充填剤が主として散乱像の赤道方向Eに並んだ形態となることで、周期構造による散乱強度の干渉が子午線方向Mに強く現れているので、赤道方向Eが配向方向となっている。そのため、タイヤ部材又はこれに相当するゴム試験片に対してX線小角散乱測定を実施して散乱像を取得することにより、得られた散乱像からタイヤ部材における充填剤の配向方向を求めることができる。本発明者は、この充填剤の配向方向がタイヤ部材の押出方向に垂直な方向であることを見出した。すなわち、タイヤ部材において、充填剤は押出方向とは垂直な方向に配向していることが判明した(図5参照)。これは、一般に押出方向に配向するゴム分子鎖の配向方向とは異なっており、本発明者によりはじめて見出されたものである。
本実施形態に係るタイヤの設計方法では、上記で求めた充填剤の配向方向に応じて、タイヤでのタイヤ部材の押出方向の向きを設定する。詳細には、充填剤の配向方向における機械特性と、配向方向に垂直な方向における機械特性とは異なり、配向方向における機械特性の方が良好である。このように配向方向によりタイヤ部材の機械特性が異なるため、タイヤになったときの主たる変形方向に対して、物性が良好な配向方向が一致するように、タイヤ部材の向きを設定する。充填剤の配向方向は、タイヤ部材の押出方向に垂直な方向であるため、主たる変形方向に対して垂直な方向に押出方向を設定する。これにより、タイヤ性能を向上することができる。
例えば、タイヤ部材がトレッドゴムの場合、図7に示すように、トレッドゴム11の押出方向をタイヤ周方向に垂直な方向(即ち、タイヤ軸方向)に設定することが好ましい。これにより、トレッドゴム11は、良好な機械特性を持つ配向方向がタイヤ周方向に平行になるので、タイヤ性能を向上することができる。
本実施形態に係るタイヤの設計方法では、上記のように散乱像から充填剤の配向方向を求めるとともに、充填剤の配向度を求めてもよい。充填剤の配向度は、図3に示すような二次元の散乱像において、配向による周期構造の大きさを算出し、その算出結果から散乱角2θを求めて、散乱中心から2θまでの範囲において得られる散乱強度を、散乱中心の周りの各角度で全周にわたって算出して、図4に示すような散乱中心の周り(この例では反時計回り)の角度に対する積分強度のグラフを求め、積分強度の山形のピークについての半値幅をWとして、次式により算出される。
配向度(%)={(180−W)/180}×100
配向度は20〜50%であることが好ましい。すなわち、本実施形態に係る設計方法では、配向度が20〜50%のタイヤ部材を用いて、該タイヤ部材をその配向方向に応じてタイヤでの向きを設定することが好ましい。配向度が20%以上であることにより、配向方向とこれに垂直な方向との間での機械特性の違いを大きくして、変形に対して物性が良好な方向におけるタイヤ性能の向上効果を高めることができる。また、配向度が50%以下であることにより、加工性の悪化を抑えることができる。配向度は、より好ましくは30〜45%である。
配向度は20〜50%であることが好ましい。すなわち、本実施形態に係る設計方法では、配向度が20〜50%のタイヤ部材を用いて、該タイヤ部材をその配向方向に応じてタイヤでの向きを設定することが好ましい。配向度が20%以上であることにより、配向方向とこれに垂直な方向との間での機械特性の違いを大きくして、変形に対して物性が良好な方向におけるタイヤ性能の向上効果を高めることができる。また、配向度が50%以下であることにより、加工性の悪化を抑えることができる。配向度は、より好ましくは30〜45%である。
次に、好ましい一実施形態に係るタイヤについて説明する。図6は、空気入りタイヤの一例を示したものであり、空気入りタイヤは、トレッド部1と、左右一対のサイドウォール部2,2と、左右一対のビード部3,3とからなり、一対のビード部3,3に埋設された一対のビードコア4,4間にトロイダル状に延在するカーカスプライ5が埋設され、トレッド部1におけるカーカスプライ5の半径方向外周側にベルト6が配されている。トレッド部1におけるベルト6の半径方向外周側には接地面を形成するトレッドゴム11が設けられ、サイドウォール部2におけるカーカスプライ5のタイヤ外面側にはサイドウォール部2のタイヤ外表面を形成するサイドウォールゴム21が設けられ、ビード部3におけるリムフランジとの接触領域を覆うようにビード部3のタイヤ外表面を形成するリムストリップ31が設けられている。また、ビード3には硬質ゴムからなるビードフィラー32が埋設されており、更にタイヤ内面にはその全体にわたってインナーライナー7が設けられている。
この実施形態では、トレッドゴム11において、充填剤の配向方向がタイヤ周方向と平行に設定されるとともに、充填剤の配向度が20〜50%の範囲内に設定されている。かかる実施形態に係る空気入りタイヤであると、所定の配向度を持つトレッドゴム11を、良好な機械特性を持つ配向方向がタイヤ周方向に平行になるように設置しているため、タイヤ性能を向上することができる。
この実施形態に係る空気入りタイヤを製造するに際しては、充填剤を含有するゴム組成物からなるトレッドゴム11を押し出す。その際、図7に示すように、その押出方向がタイヤ周方向に対して垂直になるようにトレッドゴム11を成形し、得られたトレッドゴム11を用いて、これを他のタイヤ部材と組み合わせてグリーンタイヤ(未加硫タイヤ)を成形する。その後、該グリーンタイヤを、例えば140〜180℃で加硫成形することにより、空気入りタイヤを製造することができる。
本実施形態に係るタイヤの種類としては、特に限定されず、乗用車用タイヤ、トラックやバスなどに用いられる重荷重用タイヤなどの各種の空気入りタイヤが挙げられる。
バンバリーミキサーを使用し、下記表1に示す配合(質量部)に従い、ゴム成分に配合剤を添加し混練して、未加硫ゴム組成物を調製した。
表1中の各成分の詳細は以下の通りである。
・NR:RSS#3
・シリカ:東ソー・シリカ(株)製「ニップシールAQ」
・シランカップリング剤:ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド
エボニック社製「Si69」
・亜鉛華:三井金属鉱業(株)製「亜鉛華1種」
・ステアリン酸:花王(株)製「ルナックS−20」
・硫黄:細井化学工業(株)製「ゴム用粉末硫黄150メッシュ」
・加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製「ノクセラーCZ」
・加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製「ノクセラーD」。
・シリカ:東ソー・シリカ(株)製「ニップシールAQ」
・シランカップリング剤:ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド
エボニック社製「Si69」
・亜鉛華:三井金属鉱業(株)製「亜鉛華1種」
・ステアリン酸:花王(株)製「ルナックS−20」
・硫黄:細井化学工業(株)製「ゴム用粉末硫黄150メッシュ」
・加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製「ノクセラーCZ」
・加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製「ノクセラーD」。
得られた未加硫ゴム組成物を用いて、押出機により厚さ1.2mmの未加硫ゴムシートを押し出し成形した。得られた未加硫ゴムシートを160℃×30分でプレス加硫して厚さ1.0mmのゴム試験片を作製した。
得られたゴム試験片を測定試料として用い、X線を照射してX線小角散乱測定を実施した。X線小角散乱測定の測定条件は、
・X線の波長:1.5Å
・カメラ長:6m
・qレンジ:0.005〜0.3nm−1
・X線照射時間:1秒
とした。
・X線の波長:1.5Å
・カメラ長:6m
・qレンジ:0.005〜0.3nm−1
・X線照射時間:1秒
とした。
X線小角散乱測定により取得した散乱像からシリカの配向方向を求めた。その結果、表1に示すように、無配向である比較例1を除いて、いずれも、散乱像が押出方向と垂直な方向において括れており、よって、押出方向に垂直な方向が配向方向になっていた(図5参照)。
また、散乱像からシリカの配向度を算出した。その結果、表1に示すように、配向度が0%である無配向の比較例1から、シリカの充填量が多くなるに従って、配向度が高くなっていた。
また、各ゴム試験片について、S300(300%引張応力)、TS(破断時応力)、EB(破断時伸び)、TR(引き裂き強さ)、E’(貯蔵弾性率)、及びtanδ(損失正接)を測定した。測定は、図5に示すように、押出方向を引張方向とする「引張方向1」と、配向方向を引張方向とする「引張方向2」とについて行い、引張方向2での値を、引張方向1での値を100としたときの指数で表示した。但し、tanδについては、測定値の逆数について、引張方向1での値を100として、引張方向2での値を表示した。そのため、tanδについては、表1中の値が大きいほどtanδが小さく、発熱しにくく良好であることを示す。各機械特性の測定方法は以下の通りである。
・S300,TS,EB:JIS K6251(ダンベル3号)に準拠して測定した。
・TR:JIS K6252(クレセント形)に準拠して測定した。
・E’,tanδ:東洋精機(株)製の粘弾性試験機を使用し、周波数10Hz、初期歪み10%、動歪み±5%、及び温度25℃の条件下で、E’とtanδを測定した。
結果は表1に示す通りである。比較例1では、シリカの配合量が少なく、無配向であった。比較例2では、シリカを増量することにより押出方向に垂直な方向に配向したが、配向度が小さく、そのため、配向方向と配向方向に垂直な方向とでの機械特性の違いが小さかった。
これに対し、実施例1,2では、シリカを更に増量したことにより配向度が大きくなり、配向方向における機械特性が配向方向に垂直な方向での機械特性に対して優れていた。そのため、これをトレッドゴムとして用いる際には、配向方向がタイヤ周方向となるように押出方向をタイヤ周方向に垂直な方向としてタイヤに設置することにより、タイヤ周方向を主たる変形方向とするトレッドゴムにおいて、配向方向における良好な機械特性を発揮することができ、タイヤ性能を向上できることが分かる。なお、比較例3では、配向度が大きすぎて、加工性に劣っていた。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその省略、置き換え、変更などは、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1…トレッド部、2…サイドウォール部、3…ビード部、4…ビードコア、5…カーカスプライ、6…ベルト、7…インナーライナー、11…トレッドゴム、21…サイドウォールゴム、31…リムストリップ、32…ビードフィラー
Claims (5)
- 充填剤を含有するゴム組成物を押し出して成形されるタイヤ部材又は該タイヤ部材に相当するゴム試験片にX線を照射してX線小角散乱測定を実施することにより、前記タイヤ部材における充填剤の配向方向を求め、求めた配向方向に応じてタイヤでの前記タイヤ部材の押出方向の向きを設定する、タイヤの設計方法。
- 前記X線小角散乱測定により充填剤の配向方向とともに配向度を求め、タイヤを成形するタイヤ部材として配向度が20〜50%のものを用いる、請求項1に記載のタイヤの設計方法。
- 前記タイヤ部材がトレッドゴムであり、前記トレッドゴムの押出方向をタイヤ周方向に垂直な方向に設定する、請求項1又は2に記載のタイヤの設計方法。
- 充填剤を含有するトレッドゴムを備えるタイヤにおいて、
前記トレッドゴムは、前記充填剤の配向方向がタイヤ周方向と平行であり、かつ前記充填剤の配向度が20〜50%である、タイヤ。 - 充填剤を含有するゴム組成物からなるトレッドゴムを押し出し、押出方向がタイヤ周方向に対して垂直になるように前記トレッドゴムを設置したグリーンタイヤを成形し、前記グリーンタイヤを加硫成形する、タイヤの製造方法。
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