JP2009078655A - タイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】インナーライナー割れの発生を抑制し、インナーライナーの厚みを低減することが可能なタイヤを提供する。
【解決手段】一枚以上のカーカスプライからなるラジアルカーカス4と、該カーカス4のタイヤ半径方向内側に配置されたインナーライナー6とを備えるタイヤにおいて、前記カーカス4のタイヤ半径方向最内側のカーカスプライと前記インナーライナー6との間、及び前記インナーライナー6のタイヤ半径方向内側の少なくとも一箇所に、少なくとも前記カーカス4のタイヤ半径方向最内側に位置するカーカスプライの周方向ジョイント端部10を覆うようにゴム補強層7を配置する。
【選択図】図2

Description

本発明は、インナーライナーを備えるタイヤに関し、特にインナーライナー割れの発生を抑制し、インナーライナーの厚みを低減することが可能なタイヤに関するものである。
従来、タイヤの内圧を保持するためにタイヤ内面にガスバリア層として配設されるインナーライナーには、ブチルゴムやハロゲン化ブチルゴム等を主原料とするゴム組成物が使用されている。また、これらブチル系ゴムの含有量を増加させることで、ゴム組成物の空気バリア性が更に向上するため、インナーライナーの厚みを低減することが可能である。しかしながら、かかるゴム組成物はゴム切れを起こし易く、また、該ゴム組成物をインナーライナーに用いてインナーライナーの厚みを低減した場合には、インナーライナー割れが発生する問題があった。
この問題に対し、特開2006−224853号公報(特許文献1)には、カーカスプライの周方向ジョイント端部と接触するインナーライナーへの応力集中を緩和し、インナーライナー割れの発生を抑制できる空気入りタイヤとして、少なくともインナーライナー側に位置するカーカスプライの周方向ジョイント端部に、末端ゴム部分を配設する空気入りタイヤが開示されている。
また、インナーライナー自体を改良することにより、ガスバリア性を向上させる技術も提案されている。例えば、特開2007−160980号公報(特許文献2)には、インナーライナーのジョイント部の接合強度を確保することにより、ガスバリア性を保持しつつ、エア入り不良等の不良の発生を低減できるインナーライナーとして、耐空気透過性に優れるブチルゴム系材からなる中間層に、粘着性に優れる天然ゴム系材からなる内層及び外層が配設されたインナーライナーが開示されている。
特開2006−224853号公報 特開2007−160980号公報
一般に、カーカスを形成するカーカスプライの周方向ジョイント端部は段差を形成しているため、この周方向ジョイント端部に接触するインナーライナーには、例えば、タイヤ成形時の拡張により応力が集中し、その結果、局所的収縮、即ちネッキングを起こし、インナーライナー割れの原因となる。また、本発明者らが検討したところ、このようなインナーライナー割れが起こらずとも、局所的収縮が発生することにより、その部分のインナーライナーの厚みが低くなり、その部分を起点として耐空気透過性を低減することが分かった。
そこで、本発明の目的は、従来とは全く異なる方法により、上記従来技術の問題を解決し、インナーライナー割れの発生を抑制し、インナーライナーの厚みを低減することが可能なタイヤを提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、カーカスのタイヤ半径方向最内側のカーカスプライとインナーライナーとの間及びインナーライナーのタイヤ半径方向内側の少なくとも一箇所に、カーカスプライの周方向ジョイント端部を覆うようにゴム補強層を配置することで、該周方向ジョイント端部に接触するインナーライナーへの応力集中を緩和し、インナーライナー割れの発生が抑制できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明のタイヤは、一枚以上のカーカスプライからなるラジアルカーカスと、該カーカスのタイヤ半径方向内側に配置されたインナーライナーとを備え、
前記カーカスのタイヤ半径方向最内側のカーカスプライと前記インナーライナーとの間、及び前記インナーライナーのタイヤ半径方向内側の少なくとも一箇所にゴム補強層を備え、
前記ゴム補強層が、少なくとも前記カーカスのタイヤ半径方向最内側に位置するカーカスプライの周方向ジョイント端部を覆うことを特徴とする。
なお、ゴム補強層が、カーカスのタイヤ半径方向最内側のカーカスプライとインナーライナーとの間に配置される場合は、カーカスのタイヤ半径方向最内側に位置するカーカスプライの周方向ジョイント端部を直接覆うことになり、一方、インナーライナーのタイヤ半径方向内側に配置される場合は、カーカスのタイヤ半径方向最内側に位置するカーカスプライの周方向ジョイント端部を間接的に覆うことになる。
本発明のタイヤの好適例においては、前記ゴム補強層の厚さが0.3〜1.0mmである。
本発明のタイヤの他の好適例においては、前記ゴム補強層に用いるゴム組成物のゴム成分が、前記インナーライナーに用いるゴム組成物のゴム成分と同一である。
本発明のタイヤは、前記ゴム補強層が、前記カーカスのタイヤ半径方向最内側のカーカスプライと前記インナーライナーとの間に配置されることが好ましい。
本発明のタイヤの他の好適例においては、前記インナーライナーに、ブチルゴム及び/又はハロゲン化ブチルゴムを含むゴム成分を含有してなるゴム組成物を用いる。ここで、前記インナーライナーに用いるゴム組成物は、更にカオリンクレーを含有することが好ましい。
本発明によれば、カーカスのタイヤ半径方向最内側のカーカスプライとインナーライナーとの間及びインナーライナーのタイヤ半径方向内側の少なくとも一箇所に、カーカスプライの周方向ジョイント端部を覆うようにゴム補強層を配置することで、インナーライナー割れの発生を抑制し、インナーライナーの厚みを低減することが可能なタイヤを提供することができる。
以下に、図を参照しながら、本発明のタイヤを詳細に説明する。図1は、本発明の空気入りタイヤの一例の断面図であり、図2は、本発明のタイヤのカーカスプライの周方向ジョイント端部を示す一例の断面図であり、図3は、本発明のタイヤのカーカスプライの周方向ジョイント端部を示す他の例の断面図である。なお、図1〜3において同じ符号は同じ部材であることを示す。
図1に示す本発明のタイヤは、一対のビード部1及び一対のサイドウォール部2と、両サイドウォール部2に連なるトレッド部3とを有し、上記一対のビード部1間にトロイド状に延在してこれら各部1,2,3を補強するラジアルカーカス4と、該カーカス4のクラウン部のタイヤ半径方向外側に位置するベルト5と、該カーカス4の内側のタイヤ内面に配置されたインナーライナー6とを備え、さらに上記カーカス4とインナーライナー6との間にゴム補強層7を備える。
なお、図示例のラジアルカーカス4は、一層のカーカスプライからなり、また、上記ビード部1内に夫々埋設した一対のビードコア8間にトロイド状に延在する本体部と、各ビードコア8の周りでタイヤ幅方向の内側から外側に向けて半径方向外方に巻上げた折り返し部とからなるが、本発明のタイヤにおいては、カーカスのプライ数及び構造は、特に限定されない。また、本発明のタイヤのラジアルカーカス4を構成するカーカスプライは、図2及び図3に示す通り、複数のコード4Aをコーティングゴム4Bで被覆してなる。更に、図示例のベルト5は、二枚のベルト層からなるが、本発明のタイヤにおいて、ベルトを構成するベルト層の枚数は、特に限定されない。また更に、図示例のタイヤは、上記ベルト5のタイヤ半径方向外側でベルト5の全体を覆うように配置されたベルト補強層9を備えるが、本発明のタイヤは、ベルト補強層9を有していなくてもよいし、他の構造のベルト補強層を備えることもできる。更にまた、本発明のタイヤは、リムガード等の公知のタイヤ部材を必要に応じて更に備えることができる。
また、図1に示すタイヤにおいて、ゴム補強層7は、カーカス4とインナーライナー6との間に配置されるが、本発明のタイヤはこれに限られず、カーカスのタイヤ半径方向最内側のカーカスプライとインナーライナーとの間、及びインナーライナーのタイヤ半径方向内側の少なくとも一箇所にゴム補強層を備えていればよい(図2及び図3参照)。更に、本発明のタイヤに用いるゴム補強層は、図2及び図3に示す通り、タイヤ周方向全体を覆う必要はなく、少なくともカーカス4のタイヤ半径方向最内側に位置するカーカスプライの周方向ジョイント端部10を覆っていればよい。
一般に、カーカスプライの周方向ジョイント端部は、タイヤの製造工程においてカーカスプライを環状に貼り合わせることにより形成され、この周方向ジョイント端部に接触するインナーライナーには、上記したように応力が集中することで、ネッキングを起こし、インナーライナー割れを発生させる。しかしながら、本発明のタイヤは、上記の通り、ゴム補強層を配置しているため、インナーライナーへの応力集中を緩和することができ、その結果、インナーライナー割れの発生を抑制し、インナーライナーの厚みを低減することができる。したがって、本発明のタイヤは、インナーライナーの厚みを低減することで、タイヤの重量を低減することができる。また、本発明のタイヤは、ネッキング部分を起点とする耐空気透過性の低下をも改善することができる。なお、本発明のタイヤに用いるゴム補強層は、インナーライナーへの応力集中を緩和する観点から、カーカスのタイヤ半径方向最内側のカーカスプライとインナーライナーとの間に配置され、カーカスプライの周方向ジョイント端部を直接覆うことが好ましい。
本発明のタイヤのゴム補強層は、その厚さが0.3〜1.0mmであることが好ましく、0.4〜0.7mmであることが更に好ましい。ゴム補強層の厚さが上記特定した範囲にあれば、タイヤ製造時の作業性を改善することができる。また、ゴム補強層の厚さが0.3mm未満では、作業性が悪化し、タイヤ製造時の制御が困難になり、一方、1.0mmを超えると、ゴム補強層がタイヤのユニフォミティに悪影響を与えるおそれがある。
また、本発明のタイヤのゴム補強層は、そのタイヤ周方向長さが30〜200mmであることが好ましい。ゴム補強層のタイヤ周方向長さが30mm未満では、作業性が悪く、ネッキングの抑制効果も小さい、一方、200mmを超えると、重量増加の欠点を生じるおそれがある。
本発明のタイヤは、上記ゴム補強層に用いるゴム組成物のゴム成分が、上記インナーライナーに用いるゴム組成物のゴム成分と同一であることが好ましい。ゴム補強層に用いるゴム組成物とインナーライナーに用いるゴム組成物が同一のゴム成分を含有することで、ゴム補強層とインナーライナーの接着性を大幅に向上させることができる。なお、ゴム組成物に用いるゴム成分が、複数の成分から構成される場合において、「同一のゴム成分」とは、最も含有率の高いゴム成分が同一であることを指し、また、ゴム成分中の組成比までもが同一である必要はない。
上記ゴム補強層用のゴム組成物及び上記インナーライナー用のゴム組成物に用いることができるゴム成分は、天然ゴム(NR)及び合成ジエン系ゴムの内の少なくとも一種からなり、該ゴム成分としては、未変性のゴム及び変性ゴムのいずれを用いてもよい。ここで、合成ジエン系ゴムとしては、乳化重合又は溶液重合で合成されたものが好ましい。また、上記合成ジエン系ゴムとして、具体的には、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニリトル−ブタジエンゴム(NBR)等が挙げられる。上記ゴム成分としては、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴムが好ましい。なお、上記ゴム成分は、一種単独で用いてもよいし、二種以上をブレンドして用いてもよい。
また、上記ゴム成分は、ブチルゴム及び/又はハロゲン化ブチルゴムを含むことが好ましい。ここで、ゴム成分中のブチルゴム及び/又はハロゲン化ブチルゴムの含有率は、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることが更に好ましく、70質量%以上であることが一層好ましい。ブチルゴム及び/又はハロゲン化ブチルゴムの含有率が40質量%未満では、耐空気透過性が悪化するおそれがある。上記ハロゲン化ブチルゴムとしては、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム又はそれらの変性ゴムが好ましい。塩素化ブチルゴムとして、具体的には、商標「EnjayButyl HT10−66」(エンジェイケミカル社製)が挙げられ、臭素化ブチルゴムとして、具体的には、商標「ブロモブチル2255」(エクソン社製)が挙げられる。また、上記変性ゴムとしては、イソモノオレフィンとパラメチルスチレンとの共重合体を塩素化又は臭素化した変性共重合体が挙げられ、具体的には、商標「Expro50」(エクソン社製)等が入手可能である。
上記ゴム補強層用ゴム組成物及び上記インナーライナー用ゴム組成物は、補強用充填剤として、カーボンブラックを上記ゴム成分100質量部に対し100質量部以下含有することができる。カーボンブラックの含有量がゴム成分100質量部に対して100質量部を超えると、作業性が悪化するおそれがある。カーボンブラックとしては、特に制限されるものではないが、FEF、SRF、HAF、ISAF、SAF、GPFグレードのもの等が挙げられる。また、カーボンブラックとしては、窒素吸着比表面積(N2SA)が26〜170m2/gのカーボンブラックが好ましい。なお、窒素吸着比表面積(N2SA)は、ASTM D3037−88に準拠して測定される。
上記ゴム補強層用ゴム組成物及び上記インナーライナー用ゴム組成物は、層状又は板状の無機充填剤を上記ゴム成分100質量部に対し10〜180質量部含有することができる。上記層状又は板状の無機充填剤を配合することで、ゴム組成物に補強性を付与すると共に、耐空気透過性を向上させることができる。層状又は板状の無機充填剤の含有量がゴム成分100質量部に対して10質量部未満では、耐空気透過性の向上効果が小さく、一方、180質量部を超えると、破壊特性や耐クラック性が悪化するおそれがある。また、上記層状又は板状の無機充填剤としては、特に制限されるものではないが、例えば、カオリンクレー、クレー、マイカ、長石、シリカ、アルミナの含水複合体等が挙げられ、これらの中でも、カオリンクレーが特に好ましい。なお、これら無機充填剤は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
また、上記層状又は板状の無機充填剤は、アスペクト比が5以上で且つ30未満の無機充填剤が好ましく、7〜20の無機充填剤が更に好ましい。ここで、アスペクト比は、無機充填剤を電子顕微鏡で観察し、任意の粒子50個について長径と短径を測定し、その平均長径aと平均短径bとの比(a/b)として算出される。このような範囲のアスペクト比を有する層状又は板状無機充填剤は、ゴム組成物の耐空気透過性を大幅に向上させることができ、その結果、通常のカーボンブラックや無機充填剤に比べて、低温時における硬さの増大が抑制され、低温時のゴム組成物の耐久性を改善することもできる。層状又は板状無機充填剤のアスペクト比が5未満では、耐空気透過性の向上効果が十分に発揮されないおそれがあり、一方、30以上では、ゴム成分への分散性が低下し、耐空気透過性を悪化させるおそれがある。
上記ゴム補強層用ゴム組成物及び上記インナーライナー用ゴム組成物は、上記カーボンブラックと上記層状又は板状無機充填剤の含有量の合計が、上記ゴム成分100質量部に対して30〜200質量部であることが好ましい。上記カーボンブラックと上記層状又は板状無機充填剤の含有量の合計がゴム成分100質量部に対して30質量部未満では、ゴム組成物の収縮が大きくなったり、未加硫強度の低下を起こす結果、作業性の悪化を招くと共に、耐空気透過性を悪化させるおそれがある。一方、200質量部を超えると、耐クラック性を悪化させるおそれがある。
上記ゴム補強層用ゴム組成物及び上記インナーライナー用ゴム組成物は、分散改良剤を上記ゴム成分100質量部に対し50質量部以下含有することができる。上記分散改良剤を配合することで、ゴム成分中でのカーンボンブラックや層状又は板状無機充填剤の分散性を向上させ、ゴム組成物の耐屈曲疲労性等を向上させることができる。分散改良剤の含有量がゴム成分100質量部に対して50質量部を超えると、耐空気透過性及び耐クラック性を悪化させるおそれがある。また、上記分散改良剤としては、特に制限されるものではないが、例えば、シランカップリング剤、ジメチルステアリルアミン等が挙げられる。なお、これら分散改良剤は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
上記ゴム補強層用ゴム組成物及び上記インナーライナー用ゴム組成物には、上記ゴム成分、カーボンブラック、層状又は板状の無機充填剤、分散改良剤の他に、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、軟化剤、老化防止剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫剤等を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。上記ゴム組成物は、ゴム成分に、必要に応じて適宜選択した各種配合剤とを配合して、混練り、熱入れ、押出等することにより製造することができる。
本発明のタイヤは、ゴム補強層及びインナーライナーに上記したゴム組成物を適用し、ゴム補強層を上記した位置に配置する他、常法により製造することができる。なお、本発明のタイヤにおいて、タイヤ内に充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を変えた空気、又は窒素等の不活性ガスを用いることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
表1に示す配合処方に従ってゴム補強層用ゴム組成物を調製した。また、表2に示す配合処方に従ってインナーライナー用ゴム組成物を調製した。
Figure 2009078655
Figure 2009078655
*1 JSR(株)製,「ブロモブチル2245」.
*2 旭カーボン(株)製,「旭#55(N660)」.
*3 竹原化学工業(株)製,「カオリンクレー」.
*4 LANXESS社製,「VULKACIT DM」.
次に、ゴム補強層用ゴム組成物及びインナーライナー用ゴム組成物を用い、カーカスとインナーライナーとの間にゴム補強層を備えた、図1及び図2に示す構造でサイズ:185/65R14のタイヤを作製した。なお、比較例のタイヤは、ゴム補強層を備えていない。また、インナーライナーの厚さ、ゴム補強層の厚さ及びゴム補強層のタイヤ周方向長さを表3に示す。
次に、得られたタイヤについて、インナーライナー割れの有無、作業性、ユニフォミティ及びタイヤ重量を下記の方法で評価した。結果を表3に示す。
(1)インナーライナー割れ
成型された生タイヤ(即ち、加硫前のタイヤ、グリーンタイヤ)を50℃±3℃の恒温庫に24時間放置し、インナーライナー割れの発生の有無を目視にて判断した。
(2)作業性
他の構成部材に比べて、幅が狭くゲージが薄いゴム補強層を適切に貼り付ける際の作業性を、作業者の官能評価にて下記の基準により評価した。
非常に良好なものを「◎」とし、良好なものを「○」とし、悪いものを「×」とした。
(3)ユニフォミティ
上記のようにして得られたタイヤを用い、自動車規格JASO C 607「自動車用タイヤのユニフォミティ試験方法」に準拠して、ラジアルフォースバリエーション(RFV)を測定した。RFVが5.0kgを超えるものを「×」とし、4.4〜5.0kgのものを「△」とし、4.4kg未満のものを「○」とした。
(4)タイヤ重量
比較例1のタイヤの重量を100として指数表示した。
Figure 2009078655
表3の結果から、実施例のタイヤは、カーカスのタイヤ半径方向最内側のカーカスプライとインナーライナーとの間に、カーカスプライの周方向ジョイント端部を覆うようにゴム補強層を配置しており、インナーライナー割れの発生を抑制できることが分かった。また、ゴム補強層の厚さが薄すぎたり、タイヤ周方向長さが短すぎると、作業性を悪化させることが分かった。更に、ゴム補強層の厚さが厚すぎると、ユニフォミティを悪化することが分かった。
本発明の空気入りタイヤの一例の断面図である。 本発明のタイヤのカーカスプライの周方向ジョイント端部を示す一例の断面図である。 本発明のタイヤのカーカスプライの周方向ジョイント端部を示す他の例の断面図である。
符号の説明
1 ビード部
2 サイドウォール部
3 トレッド部
4 カーカス
4A コード
4B コーティングゴム
5 ベルト
6 インナーライナー
7 ゴム補強層
8 ビードコア
9 ベルト補強層
10 周方向ジョイント端部

Claims (6)

  1. 一枚以上のカーカスプライからなるラジアルカーカスと、該カーカスのタイヤ半径方向内側に配置されたインナーライナーとを備えるタイヤにおいて、
    前記カーカスのタイヤ半径方向最内側のカーカスプライと前記インナーライナーとの間、及び前記インナーライナーのタイヤ半径方向内側の少なくとも一箇所にゴム補強層を備え、
    前記ゴム補強層が、少なくとも前記カーカスのタイヤ半径方向最内側に位置するカーカスプライの周方向ジョイント端部を覆うことを特徴とするタイヤ。
  2. 前記ゴム補強層の厚さが0.3〜1.0mmであることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ。
  3. 前記ゴム補強層に用いるゴム組成物のゴム成分が、前記インナーライナーに用いるゴム組成物のゴム成分と同一であることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ。
  4. 前記ゴム補強層が、前記カーカスのタイヤ半径方向最内側のカーカスプライと前記インナーライナーとの間に配置されることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ。
  5. 前記インナーライナーに、ブチルゴム及び/又はハロゲン化ブチルゴムを含むゴム成分を含有してなるゴム組成物を用いたことを特徴とする請求項1に記載のタイヤ。
  6. 前記インナーライナーに用いるゴム組成物が、更にカオリンクレーを含有することを特徴とする請求項5に記載のタイヤ。
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