JP6392994B2 - フルオレンから9−フルオレノンを製造する方法 - Google Patents

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Description

本発明は相転移法によってフルオレンを触媒酸化させて9−フルオレノン(フルオレノンと略称する)を製造する方法に関し、有機合成分野に属する。
フルオレンはコールタールの重要な成分であり、コールタール総量の1〜2%を占める。コールタールからフルオレンを分離するコストは比較的低い。現在、多くの分離し得るフルオレンの工業製品の純度は95%以上である。フルオレンは各種類の置換フルオレン誘導体、例えばアルキル基置換フルオレン、ハロゲン化フルオレン、ニトロ基を有するフルオレン、アシル基を有するフルオレン、カルボキシル基を有するフルオレン等に転化させることができる。9−フルオレノンはフルオレノンと略称され、フルオレンを更なる加工をして得るフルオレンの誘導体で、工業製品フルオレノンの純度に対する要求は95%以上である。フルオレノン誘導体は各種類のフルオレン誘導体を転化して得られる9−フルオレノンに対応する誘導体を含み、重要な化学工業原料である。多くの重要なフルオレン系誘導体はフルオレノン及びその誘導体、例えばビスフェノールフルオレノン、9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレン等から合成される。そのため、フルオレノン及びその誘導体に対する市場の需要が大きく、それに関する精細化工製品の発展前途が光明である。フルオレノンは先端製造の原料として、その純度は99.5%以上に達するように要求され、例えば表示材料である液晶、高分子材料の製造は何れも高純度のフルオレノンを必要とする。工業製品フルオレンの組成はコールタールの由来により定められ、一般状況下で、含有される不純物の多くはオキシ化学物である。従って、フルオレンの純化精製は生成物フルオレノンの純化精製に比べて非常に容易であり、フルオレンを純化精製した後の残留物はコールタール内に直接戻らせることができ、二次廃棄物を発生しない。
20世紀の30−50年代において、既にフルオレノンの合成及びその応用に対する研究をし始めたが、フルオレノンを量産できるプロセス及び製造メーカに対する報告は非常に少なく、近年になって関連報告が徐々に増加している。
フルオレンを酸化してフルオレノンを製造する反応はフルオレンのメチレン基がカルボニル基へと酸化されるプロセスである。フルオレンのメチレン基にある水素原子が比較的活発であり、酸化反応が起こりやすい。そこで、フルオレンを原料としてフルオレノンを合成する方法が比較的多い。使用される酸化剤及び反応状態等に基づき、フルオレンから酸化してフルオレノンを合成する方法は空気気相酸化法、空気液相酸化法及びその他の酸化剤酸化法、3つの種類に纏められる。特許文献1(1999)及び特許文献2(2009)において気相酸化法が開示されており、具体的には、フルオレンは気体状態で空気と380℃以上の固体触媒ベッドにおいて反応される。反応温度が比較的高いため、フルオレンの酸化が深くなりやすく、分離しにくい様々なサブ生成物が生成される。空気液相酸化法の多くは、ピリジン(特許文献3)、ジメチルスルホキシド[ 特許文献4、山西化工(1989)、燃料と化工(1999)及び上海化工(2005)]等極性非プロトン性溶媒を反応溶媒とし、アルカリ金属水酸化物を触媒として気液相反応を行う。その分離プロセスは、溶媒の消費量が大きく、プロセスが複雑で、エネルギー消耗が多く、溶媒の回収利用の問題も考えなければならない。1,3−ジメチル−2−イミダゾリジン(DMI)を溶媒とし、水酸化ナトリウムを触媒とし、分子酸素を酸化剤とし、40℃より高い条件下で反応させ、フルオレンも深く酸化されやすい[化学工業と工程(2015)]。また、化学製品の酸化剤、例えば過酸化水素で酸化を行う反応は、フルオレノンの生産コストを比較的高くする。
特許文献5にはトルエンを溶媒とし、第4級アンモニウム塩を触媒とし、アルカリを加えず、空気によってフルオレンを酸化することによってフルオレノンを製造する方法が開示されており、その方法は簡単に見えるが、トルエン溶媒に第4級アンモニウム塩だけ触媒とし、アルカリを添加せず、空気でフルオレンを酸化してフルオレノンを製造する方法は、フルオレンの転化率が非常に低い。
特許文献6には、工業用フルオレンを原料とし、フェニル系(トルエン、キシレン)を溶媒とし、水酸化ナトリウムを触媒とし、空気を酸化剤とし、第4級アンモニウム塩を相転移触媒としてフルオレノンを製造することが開示されている。しかし、この方法は、水を加えないので、第4級アンモニウム塩は相転移機能を発揮しにくく、反応温度が高く、溶媒の損失が大きい等の欠点がある。
芳香族性を有する化合物(複素環芳香族性化合物を含む)は何れもフルオレンを酸化してフルオレノンを製造する反応の溶媒とすることができる。C以下の芳香族化合物はコールタールの留分であり、特にo−キシレン、m−キシレン及びp−キシレンの混合物、o−メチルエチルベンゼン、m−メチルエチルベンゼン及びp−メチルエチルベンゼンの混合物、並びにo−トリメチルベンゼン、プソイドクメン及びメシチレンの混合物であり、その工業用途が多くなく、分離も比較的難しい。それら混合物を溶剤とすることで、コールタールの留分を有効に利用でき、コールタール工業産業チェーンを形成して、フルオレノンの生産コストを下げることができる。そこで、近年、芳香族性化合物を溶媒とし、アルカリを触媒とし、第4級アンモニウム塩を相転移剤とし、空気でフルオレンを酸化して9−フルオレノンを製造する方法が多く報道されている。特許文献7(中国特許出願番号201310355676.8)、中国特許出願番号2013103556274.x、中国特許出願番号201310355847.7、中国特許出願番号201410074857.8及び特許文献8(中国特許出願番号201410074024.1)は上記関連技術方案を開示しており、効果も比較的良い。但し、比較的高い温度または比較的長い時間下で、第4級アンモニウム塩が高濃度の強アルカリ水酸化ナトリウム、特に水酸化カリウム等と作用して分解され相転移の機能を失うため、第4級アンモニウム塩の循環利用を維持しにくく、高濃度のアルカリに対して安定である相転移剤を見つけることが必要である。また、実用性から考慮し、前記技術はアルカリ液と溶媒とを別々で回収、精製するからこそ循環に利用されることができ、合成プロセスが長く、エネルギー消費も比較的大きい。沸点の低いベンゼン、トルエンを溶媒とするので、溶媒が大量にオフガスにより持ち込まれて損失され、反応が有効に維持されることができない。また、ピリジン及びそのアルキル基誘導体を溶媒とするので、反応は二相反応である。よって、合理的な反応プロセス条件を探し出すことが必要である。
米国特許第5902907号明細書 中国特許出願公開第101385990号明細書 米国特許第4218400号明細書 米国特許第3875237号明細書 中国特許出願公開第102020543号明細書 中国特許出願公開第102391087号明細書 中国特許出願公開第103435463号明細書 中国特許出願公開第103787858号明細書
従来の技術に存在する比較的高い温度または比較的長い時間下で、第4級アンモニウム塩が高濃度の強アルカリ水酸化ナトリウム等と作用して分解される欠陥を解決するため、本発明は第4級アンモニウム塩の代わりにクラウンエーテルを相転移剤として、フルオレンを触媒酸化することによって、フルオレノンを製造する新方法を提供する。クラウンエーテルはエーテル類化合物に属し、第4級アンモニウム塩の構造と全く異なっており、エーテルは強酸化剤、強還元剤及び強アルカリ等に対して安定である。クラウンエーテルで第4級アンモニウム塩を切り替えることで、相転移触媒反応の反応条件が穏やかになり、フルオレンの転化率が高く、フルオレノンの選択性が高い利点を維持できるだけでなく、溶媒、アルカリ液、クラウンエーテル等を直接長時間において循環利用でき、従来技術の第4級アンモニウム塩が分解しやすく、長時間に循環利用できない欠陥を克服した。
従来技術の合成プロセスにおける問題を解決するため、本発明は溶媒の選択、反応条件の最適化、及びクラウンエーテルの利点に基づき、より最適な合成プロセスを提供することができ、顕著な工業生産の実践性を有する。
本発明の技術的な目的は以下の解決手段により実現する。
フルオレンを原料とし、アルカリを触媒とし、分子に芳香環を含有する有機溶媒及び水を溶剤とし、クラウンエーテルを相転移剤とし、酸素含有ガスを酸化剤として9−フルオレノンを製造する。具体的に以下のステップを含む。フルオレン原料、分子に芳香環を含有する有機溶媒及びクラウンエーテルの混合物に、50〜65℃で、撹拌しながらアルカリの溶液を加える。なお、本発明はこのような原料添加順序及び方法に拘らず、合理的でさえあれば良い。酸素含有ガスを流入して反応させる。冷却または油吸収の手段で反応オフガスにより持ち込まれる少量の有機溶媒を回収し、有機溶媒による環境汚染を回避できる。フルオレンの転化率≧98.5%になるまで反応させた後、反応を終了し、反応液を冷却して、フルオレノンを結晶させた後、反応混合物をろ過して、9−フルオレノン結晶体及びろ液を得、ろ液は直接次の反応に使用し、9−フルオレノン結晶体は簡単に洗浄、乾燥させて生成物を得る。
前記フルオレン原料はフルオレン粗品及びフルオレン粗品を精製することによって得た精製純度≧99.5%である高純度フルオレンの、2つの規格のフルオレンであり、
前記フルオレン原料はさらに各種類の置換フルオレンを含み、
前記アルカリは周期表におけるアルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩またはアルカリ金属の炭酸水素塩であり、
前記分子に芳香環を含有する有機溶媒は沸点≧138℃のC以下の芳香族炭化水素、含窒素複素環化合物及び9−フルオレノンからなる群から選ばれる1種であり、
前記クラウンエーテルの構造式は式Iに示し、そのうち、n≧4の整数であり、クラウンエーテルの隣接する炭素原子に連接されているR及びRは同じまたは異なっていてもよく、それぞれ水素またはC1〜10の直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、シクロアルキル基アルキル基、アルキル基シクロアルキル基、アルキル基アリール基、アリール基アルキル基からなる群より選ばれる一種であり、またはR及びRがシクロヘキサン環構造を形成してクラウンエーテル環と縮合環構造を構成し、またはR及びRがベンゼン環構造を形成してクラウンエーテル環と縮合環構造を構成する。n値の増大に伴って、同一のクラウンエーテルは複数のシクロアルキル環構造を形成してクラウンエーテル環と縮合環構造を構成でき、又は複数のベンゼン環構造がクラウンエーテル環と縮合環構造を構成することもできる。
前記フルオレン原料の添加量は有機溶媒とフルオレンの溶液、飽和溶液または懸濁液を形成する量であり、
前記酸素含有ガスは、空気、酸素富化空気及び酸素ガスから選ばれる1種であり、気体分散機を通じて反応体系に入り、
フルオレン原料とクラウンエーテルとのモル比は5〜200:1であり、
前記アルカリの溶液の濃度は25〜55wt%であり、
前記有機溶媒とアルカリの溶液との体積比が1:0.3〜1.5であり、
前記酸素含有ガスは湿潤なガスで、フルオレンを快速、完全にフルオレノンに転化させることを保証するように、酸素が過剰である。
本発明の反応温度は比較的広い範囲内においてその値を取ってもよく、例えば10〜100℃の範囲内で反応が全部順調に行われるが、実用性及び省エネの2つの角度から考慮すれば、50〜65℃で反応させることが好ましい。
本発明に使用されるフルオレン原料は2つの規格に分けられ、その第1種は、工業用フルオレン粗品で、その純度≧95%であり、直接純度≧95%のフルオレノンに転化され、一般工業用として供給できる。第2種は、高純度フルオレンで、純度≧95%のフルオレン粗品を精製することによって得た純度≧99.5%の高純度フルオレンであり、直接純度≧99.5%の高純度フルオレノンに転化させることができ、表示材料、発光材料の製造のような先端製造用の原料として供給できる。
本発明の突出する利点は本発明の反応条件下で、フルオレンから9−フルオレノンに転化する反応が高原子経済性反応であり、フルオレンが定量的に転化され、100%に9−フルオレノンを生成でき、フルオレン中の不純物は変化しないことである。
工業用フルオレンに含まれている多数の不純物が酸素含有化合物であり、その構造がフルオレノンの構造に似ており、フルオレンを精製することはフルオレノンを精製することより易く、且つ二次廃棄物を発生しない。そのため、高純度フルオレノンを製造する時に、高純度フルオレンを原料とすることは合理的な手段である。
高純度のフルオレンは工業用フルオレンを工業用エタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等の溶媒またはその混合物を溶媒として再結晶することによって得た純度≧99.5%の高純度フルオレンである。
本発明に使用されるフルオレン原料は工業用フルオレン粗品及び高純度フルオレン、二種類に限定されず、さらに各種の置換フルオレンを含み、詳細は下記の反応式に記載する。
本発明の溶媒は分子に芳香環を含有する有機溶媒であり、沸点≧138℃のC以下の芳香族炭化水素、含窒素複素環化合物及び生成物の9−フルオレノンのうちの少なくとも1種から選ばれる。
前記沸点≧138℃のC以下の芳香族炭化水素は、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、o−メチルエチルベンゼン、m−メチルエチルベンゼン、p−メチルエチルベンゼン、o−トリメチルベンゼン、プソイドクメン、メシチレン、プロピルベンゼン及びイソプロピルベンゼンからなる群より選ばれる1種または複数種の混合物であり、好ましくは混合キシレン、混合メチルエチルベンゼン、または混合トリメチルベンゼンを溶媒とする。ベンゼン、トルエン等の沸点が比較的低い溶媒は、反応が進められることに伴って大量の溶媒が反応のオフガスによって体系から持ち出され、反応体系のオイルと水の割合を変化させ、反応効果を悪くすると同時に、環境にも影響を与える。
前記含窒素複素環化合物を溶媒とする場合、溶媒は、キノリン、アルキル基を有するキノリン誘導体、イソキノリン及びアルキル基を有するイソキノリン誘導体から選ばれる1種または2種以上の混合物であり、キノリン、イソキノリンを溶媒とするのが好ましい。低沸点のピリジン、アルキル基を有するピリジン誘導体を溶媒とする場合、水と相互に溶解する一方、反応のオフガスによって体系から持ち出されるので、反応効果を悪くすると同時に、環境にも影響を与える。
前記生成物の9−フルオレノンを溶媒とする場合、選択された9−フルオレノンの構造をフルオレン原料の構造と一致させ、9−フルオレノンの純度をフルオレンの純度と一致させることにより、フルオレノンの分離精製プロセスを簡単にするだけでなく、最低限のコストでフルオレノンを生産することも実現できる。
本発明に使用されるアルカリは、周期表におけるアルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩及びアルカリ金属の炭酸水素塩である。そのうち、アルカリ金属はリチウム、ナトリウム及びカリウム等の汎用されているアルカリ金属である。
本発明に使用されるクラウンエーテルは、構造式は上記式Iを有するクラウンエーテルであり、その中、nが4〜10の整数である。例えば、クラウンエーテル12−クラウン−4、15−クラウン−5 、18−クラウン−6、21−クラウン−7、24クラウン−8、27クラウン−9、30−クラウン−10等である。クラウンエーテルの隣接する炭素原子に連接されるRとRは同じであっても異なっていても良く、それぞれ水素またはC1〜10の直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、シクロアルキル基アルキル基、アルキル基シクロアルキル基、アルキル基アリール基、アリール基アルキル基、またはRとRがシクロヘキサン環構造を形成してクラウンエーテル環と縮合環構造を構成し、例えばシクロヘキサノ−クラウンエーテル、シクロヘキサノ−18−クラウン−6、ジシクロヘキサノ−18−クラウン−6等、またはRとRが芳香環を形成してクラウンエーテル環と縮合芳香環構造を構成し、例えばベンゾ−クラウンエーテル、ベンゾ−18−クラウン−6、ジベンゾ−18−クラウン−6等。シクロヘキサノ−クラウンエーテルは少なくとも1つのシクロヘキサンがクラウンエーテルと縮合し、ベンゾ−クラウンエーテルは少なくとも1つのベンゼン環がクラウンエーテルと縮合する。
本発明のフルオレン原料の添加量は対応する溶媒とフルオレンの溶液、フルオレンの飽和溶液またはフルオレンの懸濁液を形成できる量であってよく、添加量は要求される反応速度により定められ、反応設備の利用率も決める。一般的に、溶液の物質伝達・伝熱の速度が比較的よければ、懸濁液の設備利用率が高い。
その他の材料の調合比率は、一般的に、フルオレンとクラウンエーテルとのモル比が5〜200:1であり、アルカリの溶液の濃度が25〜55wt%であり、有機溶媒とアルカリの溶液との体積比が1:0.3〜1.5である。このような条件下で行った反応の総合的効果が比較的よい。
本発明の酸化剤は分子酸素を含有するガスであり、清浄な空気、酸素富化空気または酸素ガスであって良い。分子酸素を含有するガスは、反応器に入る前に同じ反応温度の水蒸気に湿潤させ、湿潤された酸素含有ガスは、ガス発散器を通じて反応器に入る。十分なガス注入速度は撹拌器の効能を有し、ガス分散器の機能は酸素の高度分散に有利であり、気−液−液相媒体の物質伝達・伝熱に有利である。ガスの注入速度は300〜600mL/minであるのが好ましく、ガス分散器はマイクロウェルのガラススキムボードによって焼成された。
酸素ガスを酸化剤とする時に、反応器が密封されたものであり、酸素が微過剰であり、普通1%を超えない。そうしないと、サブ反応が発生する恐れがある。
撹拌速度は相転移触媒反応に対して非常に重要であり、十分な撹拌速度は気−液−液相媒体の均一な接触を保証し、良好な物質伝達・伝熱を保証する。撹拌速度は200〜400rpm/minであるのが好ましい。
本反応における適応温度は非常に幅広く、0〜100℃の範囲でいずれもよい。反応温度はその他の条件によって定められ、反応温度がエネルギー消耗、及び反応時間も定めるので、総合に考慮して確定する。一般的に、反応温度は50〜65℃であり、9−フルオレノンを溶剤とする時に、反応温度は58〜60℃である。
反応オフガスは冷却または油吸収の手段によってそれに持ち込まれている少量の溶媒を回収することにより、これら溶媒が環境に対する汚染を減少する。例えば、高沸点の溶媒は冷却方法で回収でき、又は高沸点のα−メチルナフタレンを吸収剤としてオフガスにおけるキシレンを回収できるが、2つの方法に対して厳しい制限はない。9−フルオレノンを溶媒とする時に、オフガスにはフルオレノンが挟まらないので、溶媒回収の問題を考慮しなくても良く、プロセスを簡略化できる。酸素ガスを酸化剤とする時に、酸化オフガスがない。
本発明により選択された条件下で、フルオレン転化率が100%または100%に達しやすい。本発明により、フルオレン転化率が98.5%以上達することができ、反応時間が比較的短く、反応液は冷却、結晶、ろ過等の簡単な後処理過程を経て、9−フルオレノン結晶体及びろ液を得、ろ液は直接循環利用に用いられることができ、フルオレノン結晶体はフルオレンを含まない。
本発明は生成物の9−フルオレノンを溶媒とし、選択された9−フルオレノンの構造はフルオレンの構造と一致するようにしたので、分離のプロセスを簡単化した。
生成物の9−フルオレノンを溶媒とする時に、反応温度が58−83℃であればよい。反応温度を58〜60℃にすることは、フルオレノンとフルオレンとの最低共融点及び操作の安定性から定められた。60℃より高ければエネルギーの浪費になる。反応温度が58℃である時に、まず少量のフルオレノンとフルオレンとの混合物を加えて反応物とし、反応温度下で水層の表面に薄い有機溶媒層を形成し、フルオレンの転化に伴って、一回、複数回または連続にフルオレンを加え、反応混合物におけるフルオレンと9−フルオレノンとを溶液またはフルオレンの懸濁液になるように維持する。フルオレンの転化率が要求を満たした後、反応を停止し、反応液を熱い有機溶媒に導入して混合、溶解させ、溶解した後の混合物を熱いうちに分離し、水層は次回の循環反応に使用し、油層は冷却、ろ過して、9−フルオレノン結晶体を得、簡単に洗浄、乾燥することによって、生成物フルオレノンを得、ろ液の有機溶媒は循環利用に用いる。前記フルオレノンとフルオレンとの混合物において、フルオレノンとフルオレンとのモル比は61:39である。
9−フルオレノンを溶媒とする時に、反応液を熱い有機溶媒に導入してもよく、熱い溶媒を反応液に導入してもよい。前記溶媒はC以下の芳香族炭化水素溶媒であり、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレンのうちの1種または複数種の混合物から選ばれ、混合キシレンを溶媒とすることが好ましい。これら以外に、シクロヘキサン、ヘプタエチレン、ヘキサン、ヘプタンのうちの少なくとも1種であってもよく、シクロヘキサンを選択するのが好ましい。
本発明の前記製造方法は下記の一般式におけるフルオレノンの誘導体の製造にも適用する。
前記一般式におけるR〜Rは同じまたは異なっても良く、好ましくは、水素、ハロゲン原子または不活性置換基からなる群より選ばれ、前記不活性置換基は反応条件下で反応を起こさない置換基であり、好ましくは、C〜C10のアルキル基、C〜C10のアルコキシ基、C〜C10のアルカリル基、C〜C10のアラルキル基、C〜C10のアシル基、ニトロ基及びカルボキシル基からなる群より選ばれ、
前記C〜C10のアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基及びジメチルシクロヘキシル基からなる群より選ばれ、
前記C〜C10のアルコキシ基はメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基及びフェノキシ基からなる群より選ばれ、
前記C〜C10のアルカリル基及びC〜C10のアラルキル基はフェニル基、フェニルメチル基及びメチルフェニル基からなる群より選ばれ、
前記C〜C10のアシル基はホルミル基、アセチル基、カプリロイル基及びイソバレリル基からなる群より選ばれる。
本発明の条件下で、薄層クロマトグラフィーを利用して反応の進行経過をモニタリングすることが好ましい。薄層クロマトグラフィーはシリカゲルG254でプレートを塗布して、固定相とし、酢酸エステル:石油エーテル=1:20(体積比)の混合溶液を展開溶媒とする。薄層クロマトグラフィーにより反応を追跡し、サンプリングすることによってフルオレンの転化状況を測定し、フルオレンのスポットがなくなるまで、続けて1−2h反応させた後、反応を停止する。
1.本発明の前記製造方法は、用途に基づき、異なる構造、異なる純度規格のフルオレンによって対応する構造、対応する純度規格の9−フルオレノンを生成する。
本発明の条件下で、反応は高原子経済性の反応であり、サブ生成物は少量の水のみであり、フルオレンは100%で9−フルオレノンに転化されることができ、フルオレン中の不純物は反応に参与しない。空気は最も安価な酸化剤であり、且つ分離しやすく、得られた反応液は冷却、結晶、ろ過及び洗浄等の簡単な操作を行うことによって生成物フルオレノンを得ることができ、生成物をさらに純化する必要が無く、ろ液は直接循環利用でき、合成プロセスが簡単であるため、本発明はクリーンな合成方法である。
2.本発明の前記製造方法は、適宜な条件下で、高純度のフルオレンの転化率が100%にも達することができ、純度100%のフルオレノンを得ることができるので、先端製造の高純度フルオレノンに対する需要を満たすことができる。
3.本発明の前記製造方法は、フルオレンが懸濁の状態で溶媒中で反応できるため、反応器の利用効率を向上させる。
4.本発明の前記製造方法は、反応条件が穏やかであり、反応液を冷却して結晶体を分離した後、溶媒、アルカリ、クラウンエーテル及び未反応のフルオレン原料、ひいてはサブ生成物水を含有するろ液を直接循環利用し、反応のオフガスにより持ち込まれた溶媒を高沸点の油で吸収し回収する。よって本方法は、省エネ、環境に優しいグリーン合成プロセスである。
5.9−フルオレノンを溶媒とする時に、連続的な生産プロセスを実現でき、反応のオフガスにより持ち込まれた溶媒を高沸点の油で吸収するプロセスを省略できる。
下記の非制限的な実施例は本分野の当業者に本発明をより全面的に理解させることができるが、如何なる手段も本発明を制限するものではない。
(実施例1)
42.00gの質量分率95.44%の工業用フルオレン、3.20gの18−クラウン−6及び45mLのキシレンを、順次250mLの四口フラスコに加え、水浴温度を調節して50℃に維持し、α−メチルナフタレンでオフガスに持ち込まれている溶媒を吸収する。机械撹拌を起動し、300rpm/minの撹拌速度で10min撹拌した後、6.70g のKOH及び10.0mLの水を加える。均一に混合された後、300x2mL/minの速度で清潔・湿潤な空気を流入し始め、反応時間を記録し、薄層クロマトグラフィーで反応を追跡する。10h反応させた後サンプリングして薄層クロマトグラフィーにて確認したところ、フルオレンのスポットが無くなっており、その後継続して1h反応させた後、サンプリングしてガスクロマトグラフィーにて分析を行った。得られたクロマトグラムはフルオレン原料のクロマトグラムに比べ、フルオレンのピークが無く、フルオレノンのピークのみ増加されているのを確認した。反応液を冷却し、フルオレノンを結晶させた後、混合物をろ過し、ろ液は回収して循環利用に用い、小量の水でフルオレノン結晶体を洗浄し、空気中に置いて自然乾燥する。計量結果32.42gのフルオレノンを得り、ガスクロマトグラフィー分析結果、純度が100%であった。α−メチルナフタレン吸収剤の重量が加えて重量が増えており、且つ水玉が存在する。
(実施例2)
6.7gの水酸化カリウムの代わりに8.4gの水酸化カリウムを使用する以外は、実施例1と同じである。5h反応させた後、薄層クロマトグラフィーにて確認したところ、フルオレン原料のスポットが無くなり、その後継続して1h反応させた後反応を停止する。ガスクロマトグラフィーにて反応液を分析した結果、フルオレンが100%に転化され、フルオレノンピークのみが増加しているのを確認した。反応液を冷却し、フルオレノンを結晶させた後、混合物をろ過し、ろ液は回収して循環利用に用い、小量の水でフルオレノン結晶体を洗浄し、空気中に置いて自然乾燥する。計量結果30.73gのフルオレノンを得り、ガスクロマトグラフィー分析結果、純度が100%であった。
(実施例3)
実施例1の手順に基づき、45mLのキシレン、62.62gの工業用フルオレン、4.80gの18−クラウン−6、45wt%のKOH溶液10.0mLを加え、水浴温度は58℃になるようにする。7h反応させた後、薄層クロマトグラフィーにて確認したところ、フルオレン原料のスポットが無くなり、その後継続して1h反応させた後反応を停止する。ガスクロマトグラフィーにて反応液を分析した結果、フルオレンが100%に転化され、フルオレノンピークのみが増加しているのを確認した。反応液を冷却し、フルオレノンを結晶させた後、混合物をろ過し、ろ液は回収して次の使用に用い、小量の水でフルオレノン結晶体を洗浄し、空気中に置いて自然乾燥する。計量結果50.12gのフルオレノンを得、ガスクロマトグラフィー分析結果、純度が100%であった。
(実施例4)
30gのイソキノリン、40gの工業用フルオレン、3.2gの18−クラウン−6及び9mLの45wt%KOH溶液を四口フラスコ内に加え、水浴温度を58℃にし、実施例1の手順に基づき反応を行う。5h反応させた後、薄層クロマトグラフィーにて確認したところ、フルオレン原料のスポットが無くなり、その後継続して1h反応させた後反応を停止する。ガスクロマトグラフィーにて反応液を分析した結果、フルオレンが100%に転化され、フルオレノンピークのみが増加しているのを確認した。反応液を冷却し、フルオレノンを結晶させた後、混合物をろ過し、ろ液は回収して次の使用に用い、小量の水でフルオレノン結晶体を洗浄し、空気中に置いて結晶体を自然乾燥する。
(実施例5)
4.80gの18−クラウン−6の代わりに3.96gの15−クラウン−5を、45wt%のKOH溶液の代わりに45%のNaOH溶液を使用する以外に、その他の条件は実施例3と同じである。23h反応させた後、薄層クロマトグラフィーにて確認したところ、フルオレン原料のスポットが無くなり、その後継続して2h反応させた後反応を停止する。ガスクロマトグラフィーにて反応液を分析した結果、フルオレンが100%に転化され、フルオレノンピークのみが増加しているのを確認した。反応液を冷却し、フルオレノンを結晶させた後、混合物をろ過し、ろ液は回収して次の使用に用い、小量の水でフルオレノン結晶体を洗浄し、空気中に置いて結晶体を自然乾燥する。計量結果48.55gのフルオレノンを得、ガスクロマトグラフィー分析結果、純度が100%であった。
(実施例6)
実施例1の手順に基づき、17.64gの純粋なフルオレノン、10.78gの工業用フルオレン、0.82gの18−クラウン−6、6mLの45wt%のKOH溶液を四口フラスコ内に加え、水浴温度を58℃に維持する。4h反応させた後、薄層クロマトグラフィーにて確認したところ、フルオレン原料のスポットが無くなり、その後継続して1h反応させた後反応を停止する。ガスクロマトグラフィーにて反応液を分析した結果、フルオレンは完全に転化され、フルオレノンピークのみが増加しているのを確認した。反応液を熱いシクロヘキサンに注入して溶解させ、水層は分離して次回の反応に循環利用し、油層は冷却して、フルオレノンを結晶させた後、混合物をろ過し、ろ液を回収して次の使用に用い、少量の水でフルオレノン結晶体を洗浄し、空気中に置いて結晶体を自然乾燥する。計量結果21.68gのフルオレノンを得、ガスクロマトグラフィー分析の純度結果、純度が100%であった。
(実施例7)
75℃の水浴温度下で、20gの純度≧95%の工業用フルオレンを180mLの工業用エタノールに溶かし、撹拌下で35℃まで冷却して、フルオレンを結晶させた後、減圧ろ過を行い、ろ過ケーキを洗浄し、室温下でろ過ケーキを自然乾燥し、精製のフルオレン13.0gを得、ガスクロマトグラフィー分析の結果、フルオレン純度が100%であった。
実施例6において、工業フルオレン10.78gの代わりに前記精製されたフルオレン10.28gを使用し、その他の条件は実施例6と同じである。4h反応させた後、薄層クロマトグラフィーにて確認したところ、フルオレン原料のスポットが無くなっており、その後継続して1h反応させた後反応を停止する。ガスクロマトグラフィーにて反応液を分析した結果、フルオレノンピークのみが増加しているのを確認した。反応液を冷却して、フルオレノンを結晶させた後、混合物をろ過し、ろ液は回収して次の使用に用い、小量の水でフルオレノン結晶体を洗浄し、空気中に置いて結晶体を自然乾燥し、27gの純粋なフルオレノンを得た。
(実施例8)
実施例5の手順に基づき、17.64gの純粋なフルオレノン、10.78gの工業用フルオレン、0.82gの18−クラウン−6、4.58gのKOH、6mLの水を四口フラスコ内に加える。5h反応させた後フルオレン原料のスポットがほぼなくなっており、25.00gの工業用フルオレンを補充添加して、継続して11h反応させた後、1.00gの18−クラウン−6を補充添加し、継続して11h反応させたとき、フルオレン原料のスポットが全部なくなった。反応液をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、フルオレンが完全に転化され、フルオレノンのみが生成されており、その他の成分のピック数は変化していなかった。反応を終止し、反応液を熱いトルエンに注入して溶解させ、水層は分離して回収し、トルエン層は冷却して、フルオレノンを結晶させた後、真空ろ過してトルエンを回収し、少量の水でフルオレノン結晶体を洗浄し、空気中に置いて乾燥し、39.82gの純粋なフルオレノンを得た。
(実施例9)
実施例1の手順に基づき、45mLのキシレン、42.00gの工業用フルオレン、3.2gの18−クラウン−6、7.3gのKCO及び9mLの水を四口フラスコに加え、撹拌速度300rpm/min、水浴温度58℃の条件下で、清浄な空気を300x2mL/minの速度で注入し、21h反応させた後、薄層クロマトグラフィーにて分析した結果、フルオレン原料のスポットがなくなっていた。
(実施例10)
実施例1の手順に基づき、45mLのキシレン、42.00gの工業用フルオレン、3.2gの18−クラウン−6、7.3gのNaOH及び9mLの水を四口フラスコに加え、撹拌速度300rpm/min、水浴温度58℃の条件下で、清浄な空気を300x2mL/minの速度で注入し、21h反応させ後、薄層クロマトグラフィーにて分析した結果、フルオレン原料のスポットがなくなっていた。
(実施例11)
実施例1の手順に基づき、45mLのキシレン、42.00gの工業用フルオレン、2.62gの15−クラウン−5、7.4gのKOH及び9mLの水を四口フラスコに加え、撹拌速度300rpm/min、水浴温度58℃の条件下で、清浄な空気を300x2mL/minの速度で注入し、7.5h反応させ後、薄層クロマトグラフィーにて分析した結果、フルオレン原料のスポットがなくなっていた。
(実施例12)
実施例1の手順に基づき、50mLのキシレン、40.03gの工業用フルオレン、8.11gの18−クラウン−6、24mLの40wt%のKOH溶液を四口フラスコに加え、7h反応させた後、薄層クロマトグラフィーにて分析した結果、フルオレン原料のスポットが無なり、継続して1h反応させた後、反応を停止する。反応液を冷却して、フルオレノンを結晶させた後、混合物をろ過し、ろ液は回収して次の使用に用い、少量の水でフルオレノン結晶体を洗浄し、空気中に置いて自然乾燥する。計量の結果、23.94gのフルオレノンを得、ガスクロマトグラフィー分析結果、純度が100%であった。
50mLのキシレン、8.11gの18−クラウン−6及び24mLの40%KOH溶液の代わりに、分離したろ液を使用し、40gの工業用フルオレンを加えて前記実験を改めて実施し、10h反応させた後、薄層クロマトグラフィーにて分析した結果、フルオレン原料のスポットがなくなっており、継続して1h反応させて、反応を停止する。ガスクロマトグラフィーにて反応液を分析した結果、フルオレンが100%に転化され、フルオレノンピークのみが増加されているのを確認した。反応液を冷却して、フルオレノンを結晶させた後、混合物をろ過し、ろ液は回収して次の使用に用い、小量の水でフルオレノン結晶体を洗浄し、空気中に置いて結晶体を自然乾燥した。計量の結果、38.82gのフルオレノンを得、ガスクロマトグラフィー分析結果、純度が100%であった。
(付記)
(付記1)
フルオレン原料、分子に芳香環を含有する有機溶媒及びクラウンエーテルを混合し、50〜65℃で撹拌しながらアルカリの溶液を加え、酸素含有ガスを反応液に流入し、冷却又は油吸収の手段で反応オフガスによって持ち込まれる少量の有機溶媒を回収するステップと、フルオレンの転化率≧98.5%になるまでに反応させた後、反応を停止し、反応液を冷却して、9−フルオレノンを結晶させた後、反応混合物をろ過して、9−フルオレノン結晶体及びろ液を得るステップと、ろ液は直接次の反応に使用し、9−フルオレノン結晶体を簡単に洗浄、乾燥することにより生成物を得るステップと、を含み、
前記フルオレン原料はフルオレン粗品及びその誘導体又は精製後の純度≧99.5%の高純度フルオレン及びその誘導体から選ばれ、
前記アルカリは周期表におけるアルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩又はアルカリ金属の炭酸水素塩から選ばれ、
前記分子に芳香環を含有する有機溶媒は沸点≧138℃の、C以下の芳香族炭化水素、含窒素複素環化合物及び9−フルオレノンからなる群より選ばれる1種であり、
前記クラウンエーテルの構造式は式Iに示し、その中、n≧4の整数であり、R及びRは、それぞれ独立に水素原子またはC1〜10の直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、シクロアルキル基アルキル基、アルキル基シクロアルキル基、アルキル基アリール基またはアリール基アルキル基からなる群より選ばれる一種であり、またはRとRがシクロヘキサン環構造を形成し、またはRとRが芳香環構造を形成し、前記シクロヘキサン環構造又は芳香環構造はクラウンエーテル環と1つまたは複数の縮合環構造を形成し、
前記フルオレン原料の添加量は、有機溶媒とフルオレンの溶液、飽和溶液または懸濁液を形成する量であり、
前記酸素含有ガスは、空気、酸素富化空気及び酸素ガスからなる群より選ばれる1種であり、気体分散機を通じて反応体系に入り、
フルオレン原料とクラウンエーテルとのモル比は5〜200:1であり、
前記アルカリの溶液の濃度は25〜55wt%であり、
前記有機溶媒とアルカリの溶液との体積比は1:0.3〜1.5であり、
前記酸素含有ガスは清浄で湿潤な酸素含有気体であり、酸素は過剰である、ことを特徴とするフルオレンから9−フルオレノンを製造する方法。
(付記2)
前記フルオレン粗品は純度≧95%であり、高純度のフルオレンはフルオレン粗品を工業用エタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサンからなる群より選ばれる少なくとも1種を溶剤として再結晶を行うことで得られた純度≧99.5%の高純度フルオレンである、ことを特徴とする付記1に記載の製造方法。
(付記3)
前記アルカリ金属は、リチウム、ナトリウム又はカリウムである、ことを特徴とする付記1に記載の製造方法。
(付記4)
前記クラウンエーテルの構造式において、4≦n≦10である、ことを特徴とする付記1に記載の製造方法。
(付記5)
前記有機溶媒は沸点≧138℃の、C以下の芳香族炭化水素であり、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、o−メチルエチルベンゼン、m−メチルエチルベンゼン、p−メチルエチルベンゼン、o−トリメチルベンゼン、プソイドクメン、メシチレン、プロピルベンゼン及びイソプロピルベンゼンからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、またはキノリン、アルキル基を有するキノリン誘導体、イソキノリン及びアルキル基を有するイソキノリン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、またはフルオレン原料に対応する生成物の9−フルオレノンから選ばれる、ことを特徴とする付記1に記載の製造方法。
(付記6)
前記酸素含有ガスは清浄な空気、酸素富化空気及び純粋な酸素ガスからなる群より選ばれる1種であり、純粋な酸素ガスを選択したとき、密封式反応器を使用し、且つ酸素使用量は微過剰である、ことを特徴とする付記1に記載の製造方法。
(付記7)
生成物の9−フルオレノンを溶剤とする時に、反応温度は58〜60℃であり、まず小量のフルオレノンとフルオレンとのモル比が61:39である混合物を加えて反応を行い、フルオレンの転化に伴って、フルオレンを一回、複数回または連続に加え、反応混合物はフルオレン及び9−フルオレノンで、且つ溶液またはフルオレンの懸濁液になるように維持し、フルオレンの転化率が要求に達した後、反応を停止し、反応液体を熱い有機溶媒に導入して、反応混合物を分離し、水層は回収して次回の反応に使用し、油層は冷却した後ろ過して9−フルオレノン結晶体を得、それを簡単に洗浄、乾燥することによって生成物の9−フルオレノンを得、ろ液の有機溶媒は回収して次回に使用する、ことを特徴とする付記1及び5に記載の製造方法。
(付記8)
反応液を有機溶媒に導入し、前記有機溶媒は付記5に記載の前記沸点≧138℃で、C以下の芳香族炭化水素及びベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、ヘキサン、ヘプタンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、ことを特徴とする付記1、5及び7に記載の製造方法。
(付記9)
前記フルオレン粗品の誘導体または高純度のフルオレン誘導体はフルオレン芳香環における水素が置換された誘導体であり、アルキル基置換のフルオレン、アルコキシ基置換のフルオレン、アシル基置換のフルオレン、ハロゲン原子置換のフルオレン、ヒドロキシ基置換のフルオレンまたはカルボキシ基置換のフルオレンである、ことを特徴とする付記1に記載の製造方法。

Claims (9)

  1. フルオレン原料、分子に芳香環を含有する有機溶媒及びクラウンエーテルを混合し、50〜65℃で撹拌しながらアルカリの溶液を加え、酸素含有ガスを反応液に流入し、冷却又は油吸収の手段で反応オフガスによって持ち込まれる少量の有機溶媒を回収するステップと、フルオレンの転化率≧98.5%になるまでに反応させた後、反応を停止し、反応液を冷却して、9−フルオレノンを結晶させた後、反応混合物をろ過して、9−フルオレノン結晶体及びろ液を得るステップと、ろ液は直接次の反応に使用し、9−フルオレノン結晶体を簡単に洗浄、乾燥することにより生成物を得るステップと、を含み、
    前記フルオレン原料はフルオレン粗品及びその誘導体又は精製後の純度≧99.5%の高純度フルオレン及びその誘導体から選ばれ、
    前記アルカリは周期表におけるアルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩又はアルカリ金属の炭酸水素塩から選ばれ、
    前記分子に芳香環を含有する有機溶媒は沸点≧138℃の、C以下の芳香族炭化水素、含窒素複素環化合物及び9−フルオレノンからなる群より選ばれる1種であり、
    前記クラウンエーテルの構造式は式Iに示し、その中、n≧4の整数であり、R及びRは、それぞれ独立に水素原子またはC1〜10の直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、シクロアルキル基アルキル基、アルキル基シクロアルキル基、アルキル基アリール基またはアリール基アルキル基からなる群より選ばれる一種であり、またはRとRがシクロヘキサン環構造を形成し、またはRとRが芳香環構造を形成し、前記シクロヘキサン環構造又は芳香環構造はクラウンエーテル環と1つまたは複数の縮合環構造を形成し、
    前記フルオレン原料の添加量は、有機溶媒とフルオレンの溶液、飽和溶液または懸濁液を形成する量であり、
    前記酸素含有ガスは、空気、酸素富化空気及び酸素ガスからなる群より選ばれる1種であり、気体分散機を通じて反応体系に入り、
    フルオレン原料とクラウンエーテルとのモル比は5〜200:1であり、
    前記アルカリの溶液の濃度は25〜55wt%であり、
    前記有機溶媒とアルカリの溶液との体積比は1:0.3〜1.5であり、
    前記酸素含有ガスは清浄で湿潤な酸素含有気体であり、酸素は過剰である、ことを特徴とするフルオレンから9−フルオレノンを製造する方法。
  2. 前記フルオレン粗品は純度≧95%であり、高純度のフルオレンはフルオレン粗品を工業用エタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサンからなる群より選ばれる少なくとも1種を溶剤として再結晶を行うことで得られた純度≧99.5%の高純度フルオレンである、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記アルカリ金属は、リチウム、ナトリウム又はカリウムである、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  4. 前記クラウンエーテルの構造式において、4≦n≦10である、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  5. 前記有機溶媒は沸点≧138℃の、C以下の芳香族炭化水素であり、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、o−メチルエチルベンゼン、m−メチルエチルベンゼン、p−メチルエチルベンゼン、o−トリメチルベンゼン、プソイドクメン、メシチレン、プロピルベンゼン及びイソプロピルベンゼンからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、またはキノリン、アルキル基を有するキノリン誘導体、イソキノリン及びアルキル基を有するイソキノリン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、またはフルオレン原料に対応する生成物の9−フルオレノンから選ばれる、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  6. 前記酸素含有ガスは清浄な空気、酸素富化空気及び純粋な酸素ガスからなる群より選ばれる1種であり、純粋な酸素ガスを選択したとき、密封式反応器を使用し、且つ酸素使用量は微過剰である、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  7. 生成物の9−フルオレノンを溶剤とする時に、反応温度は58〜60℃であり、まず小量のフルオレノンとフルオレンとのモル比が61:39である混合物を加えて反応を行い、フルオレンの転化に伴って、フルオレンを一回、複数回または連続に加え、反応混合物はフルオレン及び9−フルオレノンで、且つ溶液またはフルオレンの懸濁液になるように維持し、フルオレンの転化率が要求に達した後、反応を停止し、反応液体を熱い有機溶媒に導入して、反応混合物を分離し、水層は回収して次回の反応に使用し、油層は冷却した後ろ過して9−フルオレノン結晶体を得、それを簡単に洗浄、乾燥することによって生成物の9−フルオレノンを得、ろ液の有機溶媒は回収して次回に使用する、ことを特徴とする請求項1または5に記載の製造方法。
  8. 前記反応液熱い有機溶媒に導入する工程において、前記有機溶媒は請求項5に記載の前記沸点≧138℃で、C以下の芳香族炭化水素及びベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、ヘキサン、ヘプタンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
  9. 前記フルオレン粗品の誘導体または高純度のフルオレン誘導体はフルオレン芳香環における水素が置換された誘導体であり、アルキル基置換のフルオレン、アルコキシ基置換のフルオレン、アシル基置換のフルオレン、ハロゲン原子置換のフルオレン、ヒドロキシ基置換のフルオレンまたはカルボキシ基置換のフルオレンである、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
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