JP6392984B2 - 透過型砂防堰堤 - Google Patents

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Description

本発明は開口部(水通し部)に透過式のスリット堰堤を設けた透過型、半透過型の砂防堰堤、または砂防ダム(以下「透過型砂防堰堤」という)に関する。
土石流対策工のひとつとして、砂防堰堤本体に縦方向に開設した開口部の底版に鋼製のスリット堰堤を立設した透過型砂防堰堤が広く知られている(特許文献1)。
スリット堰堤は複数の鋼管を縦横方向に組み合せた立体格子構造体に代表されるように、スリット堰堤を通過する際に土石流の運動エネルギーを低減しつつ、スリット堰堤の上流側に形成した複数の格子目で土石や流木等の流下物を捕捉する構造となっている。
スリット堰堤の格子升目の寸法に関しては、過去の災害事例を踏まえて国交省が土石流対策指針を公表している。最新の土石流対策指針によれば格子升目の寸法は最大礫径の1.5倍程度とすることと規定されている(非特許文献1)。
一方、中小礫の捕捉性能を高めるために、スリット堰堤の上流の格子面にリングネットを付設した透過型砂防堰堤が知られている(特許文献2)。
リングネットはスリット堰堤の格子目より小径のリング体を連鎖的に組み合わせた高強度のネットで、スリット堰堤の格子面全面に亘って取り付けてある。
スリット堰堤またはリングネットの高さは砂防堰堤の開口部の高さより低く設定してあり、スリット堰堤またはリングネットの高さまで土砂、石礫等の流下物が堆積可能である。
また、スリット堰堤を用いずに、砂防堰堤本体のスリット状の開口部を跨いで鋼製のスクリーンを取り付けた半透過型砂防堰堤(特許文献3)が知られている。
スクリーンは、開口部の上流側の両壁面に縦方向に向けて2本の間隔保持材を設置し、2本の間隔保持材の間に間隔を隔てて複数の横材を横架した剛性の梯子体である。
特開平7−82725号公報(図1) 特開2004−300874号公報(図1,2) 特開平11−50435号公報(図1)
国土交通省砂防部、国土交通省国土技術政策総合研究所 編著「砂防基本計画策定指針(土石流・流木対策編)及び同解説」「土石流・流木対策設計技術指針及び同解説」社団法人全国治水砂防協会 平成19年(2007年)11月
従来の透過型砂防堰堤にはつぎのような問題点がある。
<1>特許文献1の問題点
<1.1>中小礫の捕捉性能を高めるには、スリット堰堤の格子升目の寸法を小さくする必要がある。格子升目を小さくするとスリット堰堤の開口率が低下することに伴って堰上げ(堰堤の上流側で水が堰き止められ滞留するため水位が高くなること)を生じて流下物の捕捉機能が低下する。
<1.2>巨岩等がスリット堰堤に直撃してスリット堰堤が損傷を受け易い。
<2>特許文献2の問題点
<2.1>特許文献2に記載の透過型砂防堰堤は、リングネットに作用したすべての衝撃力がスリット堰堤に伝達する構造であるため、スリット堰堤の負荷が著しく増大する。
<2.2>スリット堰堤が変形または倒壊すると、リングネットが共倒れとなって砂防機能を完全に喪失する。
<2.3>リングネットは、スリット堰堤の格子面に接面した状態で一体に取り付けてあるため、リングネットを構成するリング単体の自由変形がほとんどできない構造になってい。
そのため、リングネットによるエネルギー吸収性能が低く、スリット堰堤に作用する衝撃力の軽減効果はほとんど期待できない。
<2.4>リングネットがスリット堰堤と一体化しているため、スリット堰堤が局部的に変形したり損傷したときにはリングネットの補修がし難い。
<3>特許文献1.2の共通の問題点
透過型砂防堰堤の堆砂量は、スリット堰堤の高さまでが限界であり、スリット堰堤の高さを越えて流下物を捕捉することができない。
したがって、流下物の堆積量がスリット堰堤の限界高さに達すると、スリット堰堤の上方空間を通じて後続流が越流したり、石礫が砂防堰を堤飛び越えたりする。
<4>特許文献3の問題点
<4.1>特許文献3に記載の半透過型砂防堰堤は、土石流による巨大な衝撃力が高剛性のスクリーンの取付部に作用する構造である。
そのため、スクリーンを高強度に製作し、かつ砂防堰堤に対して堅牢に取り付けなければならない。
<4.2>特許文献3に記載の半透過型砂防堰堤は、スクリーンの曲げ強度に限界があることから、砂防堰堤本体の開口部の幅が広い場合には適用できない。
<5>従来の透過型砂防堰堤の問題点
国内における既存の透過型砂防堰堤の大半は近年の異常気象に起因した大規模土石流を想定した構造とはなっていない。
大規模土石流に対応するため、既設の透過型砂防堰堤のスリット堰堤を補強する方法が考えられるが、補強コストが非常に高くつくため、現実的ではない。
本発明は以上の点に鑑みて成されたもので、その目的とするところはつぎの何れかひとつの透過型砂防堰堤を提供するにある。
<1>減災効果の高い透過型砂防堰堤を提供すること。
<2>スリット堰堤を補強せずにスリット堰堤の耐久性を向上できる透過型砂防堰堤を提供すること。
<3>スリット堰堤の高さを越えて流下物の越流を防止できること。
<4>既設の透過型砂防堰堤を減災効果の高い透過型砂防堰堤に転換できること。
本発明は、壁部に上下方向の開口部を有する砂防堰堤本体と、該砂防堰堤本体の開口部に立設し、格子枠を具備した剛性構造のスリット堰堤と、複数の開口を有するネット状のスクリーンとを具備した透過型砂防堰堤であって、前記スクリーンは前記スリット堰堤から離隔した位置で、前記開口部の横断方向に沿って縦向きに配置し、前記スクリーンの左右両端部を砂防堰堤本体に固定して取り付け、土石流の発生時に前記スクリーンの自由変形を許容することを特徴とする。
本発明の他の形態において、前記スクリーンは前記開口部を横断可能な複数の横ロープと、該複数の横ロープを交差して配置した複数の間隔保持材とを具備し、前記複数の横ロープと複数の間隔保持材との間に複数の開口を形成している。
本発明の他の形態において、前記スクリーンの開口が上方から下方へ向けて段階的に大きくしてもよい。
本発明の他の形態において、前記スクリーンは前記開口部を横断可能な複数の横ループと、該複数の横ループを交差して配置した複数の間隔保持材とを具備し、前記複数の横ループと複数の間隔保持材との間に複数の開口を形成している。
本発明の他の形態において、スクリーンを構成する一部の横ループまたは一部の間隔保持材を省略してもよい。
本発明の他の形態において、前記横ループの左右両端部が、砂防堰堤本体に固定した弾性アブソーバを介して砂防堰堤本体に取り付けてある。
本発明の他の形態において、前記スクリーンはスリット堰堤の上流側、中間、または下流側の少なくとも一箇所に設けてある。
本発明の他の形態において、前記スクリーンの縦幅は格子枠の最下段の升目の高さ分を除いた格子枠の高さと等しい。
本発明の他の形態において、前記スリット堰堤の格子枠を越える高さまでスクリーンを延設してもよい。
本発明は上記した構成を有することから、つぎの何れかひとつの効果が得られる。
<1>スクリーンをスリット堰堤から間隔を隔てて設けることでスクリーンの自由変形が可能となる。
エネルギー吸収性能の高いスクリーンと、スリット堰堤との協働により強大なエネルギーを有する土石流を効率的に制御、抑制できるので、減災効果の高い透過型砂防堰堤を提供することができる。
<2>スクリーンの左右両端部を砂防堰堤本体に固定して取り付けて、スクリーンに作用する全ての荷重がスリット堰堤へ直接作用しない構造とした。
さらに、スクリーン自体によるエネルギー吸収性能が高くなるので、スリット堰堤を補強せずにスリット堰堤の耐久性が向上する。
<3>スクリーンを複数の横ループと複数の間隔保持材で構成した場合、スクリーンのエネルギー吸収性能がさらに高くなる。
横ループの左右両端部を、砂防堰堤本体に固定した弾性アブソーバに取り付けると、スクリーンのエネルギー吸収性能が格段に高くなる。
<4>スリット堰堤の格子枠を越える高さまでスクリーンを延設すると、スリット堰堤の高さを越えて大量の土石流を堆積できると共に、スリット堰堤を飛び越えようとする石礫等を効果的に捕捉できる。
<5>スクリーンを構成する一部の資材を省略しても、スクリーンと格子枠が協働してスクリーンの開口を形成できるので、スクリーンの低コスト化と軽量化を両立できる。
<6>既設の砂防堰堤に対してスクリーンを追加設置するだけで、既設の透過型砂防堰堤を、減災効果の高い透過型砂防堰堤に転換できる。
本発明の実施例1に係る透過型砂防堰堤の説明図で、一部を省略した透過型砂防堰堤の斜視図 透過型砂防堰堤の縦断面図 図2におけるIII−IIIの断面図 スクリーンを構成する横ループの取付部の説明図で、(a)は横ループの取付部の斜視図、(b)は横ループの取付部の水平断面図 横ループと間隔保持材の連結例の説明図で、(a)は固定具を用いた帯板状の間隔保持材と横ループの連結構造の説明図、(b)は固定具を用いたチェーン製の間隔保持材と横ループの連結構造の説明図 格子枠を越える高さまでスクリーンを配置した実施例2に係る透過型砂防堰堤の説明図 スクリーンの開口サイズを変えた実施例2に係る透過型砂防堰堤の説明図で、上流側から見た透過型砂防堰堤の正面図 スクリーンを簡略化した実施例3に係る透過型砂防堰堤の説明図で、上流側から見た透過型砂防堰堤の正面図
[実施例1]
<1>透過型砂防堰堤の概要
図1〜5を参照しながら説明する。本発明に係る透過型砂防堰堤は、壁部13に上下方向の開口部11を有する砂防堰堤本体10と、砂防堰堤本体10の開口部11の底版12に立設したスリット堰堤20と、スリット堰堤20から離隔して砂防堰堤本体10に固定し、開口部11を横断して設けた可撓性を有するスクリーン30とを具備する。
<2>砂防堰堤本体
図1〜3において、砂防堰堤本体10はコンクリート等からなる既設または新設の重量構造物であり、土石流や流木等が発生する渓流、河川等の流れを横切って設けられている。
砂防堰堤本体10の壁部13の一部を縦方向に向けて開設したスリット状の開口部11を有する。開口部11は水通し部または越流部とも呼ばれる。
開口部11の基礎コンクリートである底版12は河床Gに形成してあり、通常時は開口部11を通じて水,砂,小礫等の流下や水生生物の往来が可能である。
<3>スリット堰堤
図1〜3において、スリット堰堤20は複数の鋼材を縦横方向に組み合せた立体格子構造体であり、流水の横断方向に向けて底版12に立設されている。
本例ではスリット堰堤20が複数の縦柱21aと複数の横梁21bを組み合せた単数または複数の格子枠21と、格子枠21の下流側に斜めに設けた複数の補強斜材22と、複数の水平補強材23とを具備する。
スリット堰堤20が複数の格子枠21を具備する場合、各格子枠21は互いに間隔を隔てて並列に配置する。
スリット堰堤20は運搬可能な短いサイズに分割した複数の鋼管からなり、ボルト、ナットでを用いて立体格子状に組み立てられている。
格子枠21に形成した複数の升目24の正面形状は図示した正方形に限定されず、縦長または横長の長方形であってもよい。
升目24の縦方向または横方向の純間隔は巨礫の最大径の1.5〜2.0に設定されていればよい。
なお、格子枠21の最下段の升目24aは上段の升目24に対して縦長に形成してある。
なお、升目24,24aにつては格子形状に限定せず、さらにスリット堰堤20を立体トラス構造とすることも可能である。スリット堰堤20を構成する鋼材は丸鋼管、角鋼管等の閉断面部材が望ましいが、H型鋼等の型鋼でもよい。またプレキャスト部材の使用も可能である。
<4>スクリーン
図1〜3において、スクリーン30は開口部11を横断する横ロープである複数の横ループ32と、複数の横ループ32を交差して配置した複数の間隔保持材33とを具備し、複数の横ループ32と複数の間隔保持材33との間に複数の開口31を形成した高強度素材からなるネットである。
スクリーン30の素材は、金属製、繊維製、または樹脂製のシングルロープ、シングルチェーン、帯状鋼板の何れか一種、または複数種の組み合わせが可能であり、ネットの交差部は滑動不能に固定されている。
<4.1>スクリーンの開口
スクリーン30は複数の開口31を有する可撓性ネットである。
本例では開口31が格子枠21の升目24より小さい寸法関係にある場合について示すが、開口31の寸法は升目24の寸法以上であってもよい。
開口31は中小礫のサイズを考慮して適宜選択するが、開口31の一辺の長さは例えば300mm前後が好適である。
<4.2>スクリーンの取付構造
従来はスクリーンをスリット堰堤の格子枠に一体に取り付けていた。
本発明では図2,3に示すように格子枠21に対して間隔Sを隔ててスクリーン30を配置すると共に、スクリーン30の左右両端部を砂防堰堤本体10に固定して取り付けてある。
格子枠21から離隔した位置にスクリーン30を設置したのは、土石流の発生時にスクリーン30が格子枠21に当接せずにスクリーン30を自由変形させるためである。
この間隔Sは下流側へ向けたスクリーン30の自由変形量が最大になったときに、格子枠21に対してスクリーン30が当接可能な距離であり、スクリーン30の撓み量を考慮して適宜選択する。
スクリーン30を砂防堰堤本体10に固定したのは、スクリーン30に作用する土石流等の衝撃力を格子枠21へ伝えずに、砂防堰堤本体10に分散して伝えるためである。
<4.3>スクリーンの設置範囲
スクリーン30の横幅は少なくとも開口部11を横断可能な長さを有し、その縦幅は格子枠24の最下段の升目24の高さ分を除いた格子枠24の高さと略等しい。
なお、必要に応じて、スクリーン30の全面に透過性を有する金網等のネットを付設すると、中小礫に対するスクリーン30の捕捉効果が高くなる。
<4.4>本例のスクリーン
スクリーン30は複数の横ロープと複数の間隔保持材を交差させて形成した平面的なネットでもよいが、ネットに厚みを持たせたスクリーン30を適用することも可能である。
図1〜3を参照して説明すると、本例のスクリーン30は、開口部11の横断方向に沿って多段的に配置した複数の横ループ32と、複数の横ループ32に交差させて縦向きに配置し、固定具34を介してその交点を固定した複数の間隔保持材33とを具備する。
横ループ32を構成する上流側ロープ32aと下流側ロープ32bは同一の水平面に位置する。
本例ではスクリーン30を開口部11に面した相対向する側面14,14間に横架する形態について説明するが、スクリーン30の両端部を壁部13の上流面に取り付けてもよい。
<4.4.1>横ループ
横ループ32はワイヤロープの両端を接続して無端構造に形成してある。
図4に示すように、砂防堰堤本体10の開口部11に面した側面14には凹溝15が設けてあり、凹溝15内にはアンカーボルト41を介してブラケット42が取り付けてある。
ブラケット42の軸43には弾性アブソーバ40が縦向きに設けてある。
弾性アブソーバ40は弾性変形が可能な樹脂やゴム素材からなり、横ループ32に張力が作用したときに弾性アブソーバ40の弾性変形によりアンカーボルト41の荷重負担を軽減する。
各横ループ32はその両端部を弾性アブソーバ40,40に巻き掛けた状態で張設してある。
凹溝15は弾性アブソーバ40を土石流から保護できる深さを有する溝であり、側面14に対して連続的または間欠的に形成してある。
横ループ32の両端部を弾性アブソーバ40,40に巻き掛けたのは、横ループ32の一部に作用した張力を横ループ32の全長に亘って伝達して分散するためである。
<4.4.2>横ループの他の配置例
横ループ32は水平方向だけでなく、斜め方向に向けて配置してもよく、また横ループ32の配置方向は水平と斜めの組み合せでもよい。
また一筆書きのように、多段的に設置した複数の弾性アブソーバ40に跨って上下のループに連続性を持たせて配置してもよい。
<4.4.3>間隔保持材
複数の横ループ32の上下方向の変位を拘束する間隔保持材33は横ループ32と共に複数の開口31を形成する。
間隔保持材33はチェーン、ワイヤロープ、または帯状の鋼板等を含む。
固定具34は各横ループ32と間隔保持材33の間を摺動不能に固定する摩擦抵抗式の固定具であり、ワイヤクリップ、Uボルト等の公知の固定具を適用できる。
図5の(a)は間隔保持材33が帯状の鋼板である場合を示し、間隔保持材33と横ループ32の間をUボルト製の固定具34で固定している。
図5の(b)は間隔保持材33がチェーンである場合を示し、間隔保持材33と横ループ32の間をグリップ製の固定具34で固定している。
本例では間隔保持材33を横ループ32の上流側ロープ32aに固定した形態を示すが、下流側ロープ32b、または両ロープ32a,32bに取り付けてもよい。
[透過型砂防堰堤の砂防機能]
つぎに上記した透過型砂防堰堤の砂防機能について説明する。
<1>中小規模の洪水時
図2を参照して説明すると、中小規模の洪水の場合は、流れの高さが比較的低いのでスリット堰堤20の最下段の升目24aを通じて、災害を及ぼさない程度の大きさの礫や泥水が下流に流れる。
<2>土石流の発生時
土石流の発生時、スクリーン30とスリット堰堤20は以降に説明するように協働して段階的に土石流の衝撃力を減勢する。
<2.1>スクリーンの機能
ネット状のスクリーン30の開口31が中小礫を捕捉可能な寸法になっている。
そのため、土石流の発生時は、土石流の先頭部の巨礫群や流木や礫混じりの泥水からなる後続流が高強度のスクリーン30の上流側に堆積する。
スクリーン30に作用する荷重は砂防堰堤本体10の壁部13で支持される。
スクリーン30と格子枠21の間に間隔Sが形成されているため、スクリーン30は下流側に向けた自由な撓み変形が可能となる。
スクリーン30はその自由な撓み変形によって、衝撃力の吸収作用を最大限に発揮することで、強大なエネルギーを有する土石流を効率的に制御、抑制することができる。
図4に示した本例のスクリーン30では、横ループ32の一部に作用した荷重をループの全長へ伝達することと、横ループ32を支える弾性アブソーバ40が弾性変形をすることで、横ループ32に作用する衝撃力を吸収することができる。
特に、弾性アブソーバ40が弾性変形をすることで、横ループ32の撓み長が増すため、横ループ32は衝撃力の吸収作用を最大限に発揮できる。
本例の複数の横ループ32を具備した立体的なスクリーン30は、平面的なネットと比べてエネルギー吸収性能が極めて高い。
そのため、横ループ32を支えるアンカーボルト41の荷重負担を大幅に軽減できる。
<2.2>スリット堰堤の機能
土石流の先頭部の巨礫群はスクリーン30で捕捉されるので、スリット堰堤20には直撃しない。
下流側へ向けたスクリーン30の撓み変形量が増すと、スクリーン30はスリット堰堤20の格子枠21に当接する。
スクリーン30がスリット堰堤20の格子枠21に当接すると、スクリーン30およびスリット堰堤20は協働して土石流による荷重を支持する。
既述したように、スクリーン30は砂防堰堤本体10の壁部13に固定されているので、スクリーン30がスリット堰堤20の格子枠21に当接してもスリット堤体20の負担荷重は大幅に軽減される。
そのため、本発明の透過型砂防堰堤は、ネット状のスクリーンを予めスリット堰堤の格子枠に一体に取り付けた従来の透過型砂防堰堤と比較して、スリット堰堤20に作用する衝撃力の軽減効果が極めて大きい。
したがって、本発明の透過型砂防堰堤では、スリット堰堤20が変形または倒壊の防止効果が高くなる。
<3>リングネットとスリット堰堤の補修
リングネット30とスリット堰堤20は別体構造となっている。
そのため、スクリーン20の一部が損傷したり破損したりした場合には、スクリーン30を構成する横ループ32や間隔保持材33を部分的に取り外して簡単に交換できる。
またスリット堰堤20が損傷した場合は、スクリーン30を取り外すことなく、スリット堰堤20の損傷箇所を個別的に補修することができる。
すると、スリット堰堤に一体化したリングネットがスリット堰堤と共倒れとなって砂防機能を喪失する。
[実施例2]
図6を参照して他の実施例に係る透過型砂防堰堤について説明する。
先の実施例では、スクリーン30の上辺の設置高さを格子枠24の高さと略同じにした形態について説明したが、格子枠24を越える高さまでスクリーン30を延設してもよい。
本実施例にあって、スクリーン30の捕捉作用によって、格子枠24の高さを越えて土石流を堆積することができると共に、スリット堰堤20を飛び越えようとする石礫等を効果的に捕捉できる。
[実施例3]
図7を参照して他の実施例に係る透過型砂防堰堤について説明する。
先の実施例では、スクリーン30を構成する複数の横ループ32を均等間隔に配置した形態について説明したが、上方から下方へ向けて横ループ32の間隔P〜Pが徐々に大きくなるように形成してもよい。
すなわち、スクリーン30の下段の開口31が上段の開口31より大きい寸法関係にあればよい。換言すればスクリーン30の上段の開口31が下段の開口31より小さい寸法関係にある。
本例では、最もサイズが大きい最下段の開口31がスリット堰堤20の升目24より小さい寸法関係にある場合を示す。最下段の開口31は升目24以上の寸法関係にしてもよい。
スクリーン30の開口31が均等であると、下方に土石や礫が即時的に溜まって短時間のうちに捕捉機能を失う恐れがある。
これに対して、土石流の堆積高さに比例してスクリーン30の下段の開口31が上段の開口31に対して大きく形成してあれば、スクリーン30の下方に土石や礫が即時的に溜まらない。
そのため、大量の土石や礫が流下してくる場合でも、スクリーン30による捕捉機能を長時間に亘って維持することができる。
[実施例4]
図8を参照してスクリーン30を簡略化した実施例4に係る透過型砂防堰堤について説明する。
本例はスクリーン30を正面から見たときに、スリット堰堤20の格子枠21に対して重合するスクリーン30の重合部を省略した形態を示す。
図8は、中間の間隔保持材33aが格子枠21を構成する中間の縦柱21aと重合する位置関係にあり、中間の横ループ32aが中間の横梁21bと重合する位置関係にある場合を例示する。
スクリーン30の一部の間隔保持材33aまたは一部の中間の横ループ32aを省略しても、土石流の発生時に下流側に自由変形したスクリーン30全体が格子枠21に当接することで、格子枠21が省略した間隔保持材33aまたは横ループ32aに代わって開口31を形成することができる。
換言すれば、スクリーン30の一部の間隔保持材33aまたは一部の中間の横ループ32aを省略することでスクリーン30の実際の開口は大きくなるが、格子枠21の中間の縦柱21aや中間の横ループ32aは大きな開口を小さいサイズに区画することができる。
本実施例にあては、格子枠21と重合するスクリーン30の一部の資材を省略しても捕捉機能を維持できるので、スクリーン30のコスト削減と軽量化を実現できる。
[実施例5]
以上の実施例1〜4はスリット堰堤20の上流側にスクリーン30を配置した形態について説明したが、スクリーン30の配置位置はこの形態に限定されるものではない。
スクリーン30はスリット堰堤20の中間部、またはスリット堰堤20の下流側に配置してもよく、また2箇所以上の箇所に複数のスクリーン30を並設してもよい。
スクリーン30をスリット堰堤20から離隔して配置することと、スクリーン30の両端部を砂防堰堤本体10に固定することは先の実施例1と同様である。
スリット堰堤20の中間部、または下流側にスクリーン30を配置した場合には、スリット堰堤20が捕捉予定の大径の石礫の荷重がスクリーン30に直接作用しないので、スクリーン30の取付部の荷重負担がさらに軽減できるとともに、スクリーン30の設計強度を下げることができる。
10・・・・・砂防堰堤本体
11・・・・・砂防堰堤本体の開口部
12・・・・・開口部の底版
13・・・・・砂防堰堤本体の壁部
14・・・・・開口部の側面
20・・・・・スリット堰堤
21・・・・・格子枠
24・・・・・格子枠の升目
30・・・・・スクリーン
31・・・・・スクリーンの開口
32・・・・・横ループ
33・・・・・間隔保持材
40・・・・・弾性アブソーバ
S・・・・・・間隔
G・・・・・・河床

Claims (9)

  1. 壁部に上下方向の開口部を有する砂防堰堤本体と、該砂防堰堤本体の開口部に立設し、格子枠を具備した剛性構造のスリット堰堤と、複数の開口を有するネット状のスクリーンとを具備した透過型砂防堰堤であって、
    前記スクリーンは前記スリット堰堤から離隔した位置で、前記開口部の横断方向に沿って縦向きに配置し、
    前記スクリーンの左右両端部を砂防堰堤本体に固定して取り付け、
    土石流の発生時に前記スクリーンの自由変形を許容することを特徴とする、
    透過型砂防堰堤。
  2. 前記スクリーンは前記開口部を横断可能な複数の横ロープと、該複数の横ロープを交差して配置した複数の間隔保持材とを具備し、前記複数の横ロープと複数の間隔保持材との間に複数の開口を形成したことを特徴とする、請求項1に記載の透過型砂防堰堤。
  3. 前記スクリーンの開口が上方から下方へ向けて段階的に大きいことを特徴とする、請求項1または2に記載の透過型砂防堰堤。
  4. 前記スクリーンは前記開口部を横断可能な複数の横ループと、該複数の横ループを交差して配置した複数の間隔保持材とを具備し、前記複数の横ループと複数の間隔保持材との間に複数の開口を形成したことを特徴とする、請求項1に記載の透過型砂防堰堤。
  5. 前記横ループの左右両端部が、砂防堰堤本体に固定した弾性アブソーバを介して砂防堰堤本体に取り付けてあることを特徴とする、請求項4に記載の透過型砂防堰堤。
  6. スクリーンを構成する一部の横ループまたは一部の間隔保持材を省略したことを特徴とする、請求項4に記載の透過型砂防堰堤。
  7. 前記スクリーンをスリット堰堤の上流側、中間、または下流側の少なくとも一箇所に設けたことを特徴とする、請求項1に記載の透過型砂防堰堤。
  8. 前記スクリーンの縦幅は格子枠の最下段の升目の高さ分を除いた格子枠の高さと等しいことを特徴とする、請求項1に記載の透過型砂防堰堤。
  9. 前記スリット堰堤の格子枠を越える高さまでスクリーンを延設したことを特徴とする、請求項1に記載の透過型砂防堰堤。
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