JP6072570B2 - 透過型砂防堰堤 - Google Patents

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Description

本発明は、河川の上流側の土砂が砂防堰堤を通って下流側に継続的に流下するようにした透過型砂防堰堤に関するものである。
河川の上流では集中豪雨などによって土石流が発生することがある。土石流は土砂と水が樹木などを巻き込みながら一体となって河川を一気に流れ下るもので、そのエネルギーは非常に大きく、下流の橋を破壊したり、堤防を決壊させて大洪水を引き起こすなど、大災害を引き起こすおそれが非常に高いものである。
また、土石流はこのように河川上流域の河床勾配が急な場所で発生するものであるが、近年は、河川上流域に限らず、中・下流域の河床勾配が緩い掃流域にて発生する、大きな礫は含まないが、流木や比較的小さな礫を伴って流下する土砂流についても、下流域に土石流と同様の被害を発生させることも問題となっている。
そこで、近年、土石流等が発生し易い河川の途中に、図11に示すような砂防堰堤110を設け、集中豪雨などによって土石流等が発生しても、土石流等が河川を一気に流れ下らないようにしている。
すなわち、土石流等が発生し易い河川の途中にこのような砂防堰堤110を設け、河川の水量が増したときに砂防堰堤110の上流側に土砂等を所望の容量堰き止めおくための湛水域112が形成されるようにしておき、集中豪雨などによって土石流等が生じた場合、土石流等をこの湛水域112に流れ込ませ、土石流等が下流側へ流出することを止めるようにしている。
湛水域112に流れ込んだ土石流等は湛水域112の上流側で拡散し、土石流等の大きなエネルギーは湛水域112の水より緩衝吸収され、土石流等の中にある土砂は湛水域112の底114に広がって沈積し、土石流等に巻き込まれて流れてきた流木116は湛水域112の砂防堰堤110に近い付近に浮遊・集積する。
しかし、河川の途中に砂防堰堤110を設けると、土砂の流下が砂防堰堤110によって遮られ、砂防堰堤110の下流には、本来、供給される無害な土砂等が流下できなくなるので、河川の下流の海岸に砂が補給されなくなり、砂浜が海流によって浸食されても浸食されたままになり、砂浜が失われたり、海岸線が後退してしまうという問題が生じる。
また、河川の途中に砂防堰堤110を設けると、土砂の流下が砂防堰堤110によって遮られ、図12に示すように、砂防堰堤110の上流側の湛水域112の底114に土砂が累積して底114が次第に高くなり、砂防堰堤110の上流側に土砂等を所望の容量の堰き止めおくための湛水域112が形成されなくなり、土石流等が発生しても土石流を受け止めることができなくなり、土石流等が砂防堰堤110を乗越え、有害な土砂等が下流側に流下するなど本来の機能が失われてしまうという問題が生じる。
そこで、これらの問題を解決するため、図13に示すように、砂防堰堤110の中央付近に縦にスリット118を設けた透過型砂防堰堤が提案されている。この透過型砂防堰堤によれば、中小洪水時には砂防堰堤110の上流側の土砂がスリット118を通って下流側に流下するので、砂防堰堤110の上流側の湛水域112の底114に土砂が堆積し過ぎたり、砂浜の浸食による海岸線の後退といった問題が生じなくなる。
また、前記、透過型砂防堰堤は、洪水時には、湛水域112に一時的に洪水を堰き止め、土石流等のエネルギー減衰し、洪水のピーク後の減水期に前記縦スリットから徐々に湛水を下流側に流下させる機能も有している。
しかし、この透過型砂防堰堤は、洪水の初期、図14に示すように、湛水域112に浮遊していた流木116が、洪水期、図15に示すように、スリット118をすり抜けてまたは、砂防ダムを乗越えて下流に流れ下り、これが橋を破壊したり、橋に引っ掛かって洪水を引き起こすことがあるという新たな問題を生じさせている。
また、この透過型砂防堰堤は、洪水の初期、図14に示すように、湛水域112の底に広がって沈積していた土砂が、洪水のピーク後の減水期に、図15に示すように、水とともに砂防堰堤110のスリット118から大量に流れ出し、この土砂と水が砂防堰堤110の下流側の河川を流れ下って勢いを付け、河川の下流域で土石流による被害を生じさせることがあるという新たな問題を生じさせている。ここで、洪水のピーク後の減水期に土砂が水とともに砂防堰堤110のスリット118から大量に流れ出す理由は次の通りと考えられる。
すなわち、洪水のピーク前後では、湛水域112に沈積している土砂等は、水分を多く含み流動的である。また、砂防堰堤110の上流側の湛水域112の底114は砂防堰堤110に向けて低くなるように傾斜している。従って、洪水のピーク後の減水期に、湛水域112に沈積する土砂は、流下水と共に滑り落ち砂防堰堤110付近に集積される。この集積した土砂120が、水とともに砂防堰堤110のスリット118から大量に流れ出すためと考えられる。なお、この現象は、前記、土砂流の場合、特に顕著に現れる。
そこで、これらの問題を解決するために、図16に示すように、砂防堰堤110のスリット118に固定式のスクリーン122を砂防堰堤110の上流側からスリット118全体を覆うように設け、流木116が砂防堰堤110のスリット118からすり抜けて下流に流れ下らないようにし、また、土砂120が砂防堰堤110の下流側へ大量に流出しないようにする透過型砂防堰堤が提案されている。
特開2009−197433号公報 特開2008−202291号公報 特開2007−191936号公報 特開 平11−050435号公報
国土交通省砂防部、国土交通省国土技術政策総合研究所 編著「砂防基本計画策定指針(土石流・流木対策編)及び同解説」「土石流・流木対策設計技術指針及び同解説」社団法人全国治水砂防協会 平成19年11月
しかし、このような固定式のスクリーン122だと、中小の洪水により水量が少し増した時などにスクリーン122の下部にわずかなゴミが引っ掛かることをきっかけとしてスクリーン122の下部にゴミや土砂が次々と引っ掛かかり、このゴミや土砂によって上流から流れてきた土砂が堰き止められ、砂防堰堤110のスリット118の下部が土砂に塞がれ、平常時、土砂が砂防堰堤110のスリット118を通って砂防堰堤の下流側に流下できなくなるという問題があった。また、湛水域112を確保することができなくなるため、洪水時に土石流等の衝撃を有効に緩和することが出来なくなると言う問題もあった。
本発明は、平常時には土砂がスリットを通って砂防堰堤の下流側に流下し、洪水時、特に洪水ピーク後の減水期に土石流や流木の通過を阻止するようにするため、スリットを覆うスクリーンを上下2つに分け、平常時は下部のスクリーン(土砂捕捉スクリーン)を上方に引き上げておき、土石流を防止する対策が必要になった時点で、上方に引き上げてあった下部のスクリーン(土砂捕捉スクリーン)を下部に降ろしてスリットの下部を覆うようにしたことを最も主要な特徴とする。
本発明の透過型砂防堰堤は、スリットの下部領域の全部又は一部を覆う土砂捕捉スクリーンと、該土砂捕捉スクリーンを上下に移動可能に支持する支持構造体とを備えているので、洪水のピーク後の減水期などの適宜時期に、スリットから土砂が急激に流出することを予測して土砂捕捉スクリーンをスリットの下方位置に事前に降ろせば、スリットから急激に流出する土砂の流出を土砂捕捉スクリーンで阻止し、砂防堰堤の下流における土石流による災害の発生を防止することができるという利点がある。
また、土石流センサーなどを透過型砂防堰堤本体若しくは上流側の湛水域112の任意位置に設置し、土石流センサーの反応により、前記、土砂捕捉スクリーンをスリットの下方位置に降ろす様にすれば、事前の用意を簡素化することができる。
また、本発明の透過型砂防堰堤は、スリットの下部領域の全部又は一部を覆う土砂捕捉スクリーンと、該土砂捕捉スクリーンを上下に移動可能に支持する支持構造体とを備えているので、平常時、土砂捕捉スクリーンを上方に引き上げて砂防堰堤のスリットの下方を完全に開放状態とすれば、砂防堰堤の上流の土砂がスリットを通って砂防堰堤の下流側に確実に流下し、砂浜の浸食による海岸線の後退といった問題が生じなくなり、魚道の確保など生態系の連続性が確保されるという利点がある。
また、本発明の透過型砂防堰堤は、スリットの下部領域の全部又は一部を覆う土砂捕捉スクリーンと、該土砂捕捉スクリーンを上下に移動可能に支持する支持構造体とを備えているので、平常時、土砂捕捉スクリーンを上方に引き上げて砂防堰堤のスリットの下方を完全に開放状態とすれば、湛水域112に土砂が堆積することがなくなるので、必要な湛水域112を確保することができるため、洪水時に土石流等の衝撃を有効に緩和することができる。
また、本発明の透過型砂防堰堤は、スリットの上部領域の全部又は一部を覆う流木捕捉スクリーンを備えているので、上流から土石流等と共に流れてきた流木を砂防堰堤で捕捉し、砂防堰堤の下流側に流木を流さないでおくことができ、従って、流木が橋を破壊したり、橋に引っ掛かって洪水を引き起こすといった災害の発生を防止することができるという利点がある。
図1は本発明に係る透過型砂防堰堤の一例の説明図である。 図2は図1のA−A断面図である。 図3は流木捕捉スクリーンを構成しているビーム材の砂防堰堤本体への取り付け状態の一例を示す説明図である。 図4は流木捕捉スクリーンを構成しているビーム材の砂防堰堤本体への取り付け状態の他の例を示す説明図である。 図5は引き上げ状態の土砂捕捉スクリーン及び支持構造体の説明図である。 図6は図5のB−B断面図である。 図7は本発明に係る透過型砂防堰堤の使用方法を示す工程図である。 図8は引き下げ状態の土砂捕捉スクリーン及び支持構造体の説明図である。 図9は本発明に係る透過型砂防堰堤及び湛水域の洪水時初期における土砂及び流木の状態を示す説明図である。 図10は本発明に係る透過型砂防堰堤及び湛水域の洪水時末期における土砂及び流木の状態を示す説明図である。 図11は従来の砂防堰堤の説明図である。 図12は湛水域が土砂で埋まってしまった従来の砂防堰堤の説明図である。 図13はスリットを設けた従来の透過型砂防堰堤の説明図である。 図14はスリットを設けた従来の透過型砂防堰堤の洪水時初期における土砂及び流木の状態を示す説明図である。 図15はスリットを設けた従来の透過型砂防堰堤の洪水時末期における土砂及び流木の状態を示す説明図である。 図16はスリットの全面にスクリーンを設けた従来の透過型砂防堰堤の説明図である。
洪水のピーク後の減水期などに砂防堰堤のスリットから急激に流出する大量の土砂の流出を阻止するという目的を、簡単な構成で、洪水の無い平常時において砂防堰堤の上流側から砂防堰堤の下流側への土砂の流下を妨げることなく実現した。
図1は本発明に係る透過型砂防堰堤の一例の説明図、図2は図1のA−A断面図である。これらの図において、10は砂防堰堤本体であり、砂防堰堤本体10は河川の土石流域または掃流域に設けられている。砂防堰堤本体10の中央付近にはスリット12が縦に設けられている。スリット12は砂防堰堤本体10の上流側(図2では右側)の土砂及び水を砂防堰堤本体10の下流側(図2では左側)に流すためのものである。
砂防堰堤本体10の上部には流木捕捉スクリーン14がスリット12の上部領域を覆うように取り付けられ、流木捕捉スクリーン14は砂防堰堤本体10の上流側の面に固定されている。土石流や土砂流に含まれる流木は、その他の石礫や土砂に比較して軽量のため、流れの上部に集合され、運搬される。流木捕捉スクリーン14は砂防堰堤本体10の上流側の面の上部領域に固定されているので、土石流が砂防堰堤本体10に到達した際に、流木16は、流木捕捉スクリーン14により、捕捉され下流側に流出しない。
流木捕捉スクリーン14は所定間隔をおいて略水平に設けられた複数本の横ビーム14aと、横ビーム14aの両端部に取り付けられた取付部材14b,14bとからなる。流木捕捉スクリーン14は、図3に示すように、砂防堰堤本体10に取付部材14bをアンカーボルト14cによって固定することにより取り付けてもよいし、図4に示すように、砂防堰堤本体10にビームスライド14dをアンカーボルト14cによって固定し、ビームスライド14dに取付部材14bを挿入することにより、スライド可能に取り付けてもよい。
流木捕捉スクリーン14は流木16を捕捉するために設置されるもので、流木16は流木捕捉スクリーン14の横ビーム14aの間隔Wをそれほど狭く設計しなくても捕捉できるが、狭く設計すると水の流れを阻害する可能性が高まる。従って、水の流れをできるだけ阻害しないために、流木捕捉スクリーン14の横ビーム14aの間隔Wは流木16を逃さない範囲で比較的広めに設計した方がよい。
また、流木捕捉スクリーン14は流木16を捕捉するために設置されるものなので、流木捕捉スクリーン14の上縁はスリット12の上端部と略同一高さ位置にあれば足りる。また、流木捕捉スクリーン14の下縁は浮遊している流木16を効果的に捕捉できる高さであれば足り、水の流れをできるだけ阻害しないためにあまり低くするべきではなく、計画される土石流等の水深以上の高さ位置が好ましい。
図5はスリットの内部に設置されている支持構造体および土砂捕捉スクリーンの説明図、図6は図5のB−B断面図である。砂防堰堤本体10のスリット12の内部には、図5及び図6に示すように、支持構造体18が設置され、支持構造体18にはビームスライド18aを介して土砂捕捉スクリーン20が取り付けられている。支持構造体18の下部は基礎コンクリート22によってスリット12の下部に固定されている。土砂捕捉スクリーン20は、スリット12の下部を覆う下部位置とスリット12の下部を開放状態にする上部位置との間で、上下動可能に取り付けられている。
支持構造体18は、所定間隔をおいて平行に設けられたビームスライド18aと、ビームスライド18aを背後から支持する主支持構造体18bと、主支持構造体18bを背後から支持する副支持構造体18cとから構成されている。ビームスライド18aは断面略C字状の長尺な鋼材からなる。主支持構造体18bは長尺な鋼材を門形に連結したものからなる。副支持構造体18cは一対の長尺な鋼材からなる。主支持構造体18bの下部と副支持構造体18cの下部は基礎コンクリート22内に埋設されている。
土砂捕捉スクリーン20は所定間隔をおいて設けられた複数本の横ビーム20aと、横ビーム20aを梯子状に連結する連結部材20bとから構成されている。連結部材20bは支持構造体18のビームスライド18aにスライド可能に挿入されている。土砂捕捉スクリーン20は土砂をしっかりと捕捉するために設置されるものであり、土砂ができるだけすり抜けないという観点から、土砂捕捉スクリーン20の横ビーム20aの間隔Wは流木捕捉スクリーン14の横ビーム14aの間隔Wと比べて狭めに設計されている。
土砂捕捉スクリーン20はリモコンシャックル(図示せず)により支持構造体18の上部に固定されている。土砂捕捉スクリーン20はリモコンシャックルにより固定されているので、離れた場所から土砂捕捉スクリーン20の固定を容易に解除させ、土砂捕捉スクリーン20をスリット12の下部に容易に降下、設置させることができる。
次に、この透過型砂防堰堤の使用方法を図7に示す工程図に従って説明する。
まず、定常状態の時、すなわち河川が増水していない時又は洪水になっていない時は、土砂捕捉スクリーン20をウインチで引き上げ、砂防堰堤本体10のスリット12の下部を、完全に開放状態とし(図2参照)、土砂捕捉スクリーン20は支持構造体18の上部にリモコンシャックルで固定しておく(定常対応工程)。
この状態で、砂防堰堤本体10の上流側の水や土砂はスリット12の下部を介して砂防堰堤本体10の下流側へある程度ずつ流下する。また、スリット12の下部は完全に開放状態にあるので、砂防堰堤本体10の下流側の魚は砂防堰堤本体10の上流側に容易に移動することができ、生態系の連続性は確保される。
次に、河川が増水し、砂防堰堤本体10に供給される水がスリット12から流れ出る水より多くなると砂防堰堤本体10の上流側に水が貯まって湛水域24が形成される。そして、砂防堰堤本体10の上流の河川で土石流が発生するとこの湛水域24に土石流及び流木16が流れ込む。
この段階で、土砂捕捉スクリーン20を、図8に示すように、スリット12の下方位置に降ろし、スリット12の下部領域を塞ぐ。すなわち、土砂捕捉スクリーン20を支持構造体18に固定しているリモコンシャックルのロープを引っ張ってリモコンシャックルの安全ラッチを外し、土砂捕捉スクリーン20をウインチ、チェーンブロック等により降下させ、土砂捕捉スクリーン20でスリット12の下部領域を塞ぐ(土石流等対応工程)。
砂防堰堤本体10の上流に形成された湛水域24に流れ込んだ土石流は湛水域24の上流側の水塊に衝突して拡散し、土石流の大きなエネルギーはここで吸収される。土石流中の土砂は、図9に示すように、湛水域24の底26に広がって沈積し、湛水域24に流れ込んだ流木16は湛水域24の表面を浮遊する。
洪水のピーク後の減水期、すなわち、湛水域24に供給される水がスリット12から流れ出る水より少なくなる時期、湛水域24の底26に近い深さの水が砂防堰堤本体10のスリット12から排出されるようになると、湛水域24の底26は一般に砂防堰堤本体10に向けて低くなるように傾斜しているので、湛水域24の底26に沈積していた土砂28は底26に近い深さの水とともに砂防堰堤本体10の近くまで滑り落ち、砂防堰堤本体10付近に集積される。この土砂28が水とともに砂防堰堤本体10のスリット12から大量に流れ出ようとする。
スリット12の下部領域は降下させた土砂捕捉スクリーン20により塞がれているので、砂防堰堤本体10のスリット12から流れ出ようとする大量の土砂28は、図10に示すように、土砂捕捉スクリーン20によって流出を阻止され、スリット12から下流に流出せず、砂防堰堤本体10の下流において土石流による被害が発生しないことになる。
なお、上記の例では土砂捕捉スクリーン20を洪水発生のおそれが生じた時点で降ろしたが、砂防堰堤本体10の上流側における土砂の挙動は、河川の持っている様々な特徴などによって多様なので、土砂捕捉スクリーン20は、河川の持っている様々な特徴に応じ、洪水のピーク直後の減水期に降ろしてもよいし、あるいはその地域の増水期として認識されている期間中、恒常的に降ろしておいてもよい。
次に、洪水が終わって河川の水の流れが定常状態になった時には、砂防堰堤本体10の上流側の土砂を重機で取り除いて土砂捕捉スクリーン20を動かすことができるようにし、この状態で土砂捕捉スクリーン20をウインチ、チェーンブロック等で上部位置に引き上げ、支持構造体18の上部にリモコンシャックルで固定し、定常対応工程に戻す(復帰工程)。
10 砂防堰堤本体
12 スリット
14 流木捕捉スクリーン
14a 横ビーム
14b 固定部材
14c アンカーボルト
14d ビームスライド
16 流木
18 支持構造体
18a ビームスライド
18b 主支持構造体
18c 副支持構造体
20 土砂捕捉スクリーン
20a 横ビーム
20b 連結部材
22 基礎コンクリート
24 湛水域
26 底
28 土砂

Claims (14)

  1. 洪水の際に上流側に湛水域を形成する透過型砂防堰堤であって、河川の上流の土砂の一部を下流に流すためのスリットを縦に設けた砂防堰堤本体と、該スリットの上部領域の全部又は一部を覆う流木捕捉スクリーンと、該スリットの下部領域の全部又は一部を覆う土砂捕捉スクリーンと、該土砂捕捉スクリーンを上下に移動可能に支持する支持構造体とを備え、該流木捕捉スクリーンは該砂防堰堤本体の上流側の面に固定され、該支持構造体は該縦スリットの内部に設置され、該流木捕捉スクリーンと該土砂捕捉スクリーンとの間には河川の上下流方向に間隔が設けられていることを特徴とする透過型砂防堰堤。
  2. 前記流木捕捉スクリーンは所定間隔をおいて設けられた複数本の横ビームと、該横ビームを前記砂防堰堤本体に固定する固定部材とからなることを特徴とする請求項1に記載の透過型砂防堰堤。
  3. 前記流木捕捉スクリーンの上縁は前記スリットの上縁と略同一高さ位置にあり、該流木捕捉スクリーンの下縁は、想定される土石流水深以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の透過型砂防堰堤。
  4. 前記土砂捕捉スクリーンは所定間隔をおいて設けられた複数本の横ビームと、該横ビームを梯子状に連結する連結部材とからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の透過型砂防堰堤。
  5. 前記支持構造体は前記土砂捕捉スクリーンを上下に移動可能に支持する主支持構造体と、該主支持構造体を支持する副支持構造体とからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の透過型砂防堰堤。
  6. 前記土砂捕捉スクリーンがリモコンシャックルにより前記支持構造体の上部に固定されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の透過型砂防堰堤。
  7. 前記土砂捕捉スクリーンを引き上げるウインチ又はチェーンブロックを備えていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の透過型砂防堰堤。
  8. 前記流木捕捉スクリーンの横ビームの間隔Wと前記土砂捕捉スクリーンの横ビームの間隔Wは、W>Wの関係にあることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の透過型砂防堰堤。
  9. 掃流域に設けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の透過型砂防堰堤。
  10. 洪水の際に上流側に湛水域を形成する透過型砂防堰堤を用いて河川の水及び土砂の流れを制御する透過型砂防堰堤の使用方法であって、該透過型砂防堰堤は、河川の上流の土砂の一部を下流に流すためのスリットを縦に設けた砂防堰堤本体と、該スリットの上部領域の全部又は一部を覆う流木捕捉スクリーンと、該スリットの下部領域の全部又は一部を覆う土砂捕捉スクリーンと、該土砂捕捉スクリーンを上下に移動可能に支持する支持構造体とを備え、該流木捕捉スクリーンは該砂防堰堤本体の上流側の面に固定され、該支持構造体は該縦スリットの内部に設置され、該流木捕捉スクリーンと該土砂捕捉スクリーンとの間には河川の上下流方向に間隔が設けられており、該土砂捕捉スクリーンを該スリットの上部位置に保持して砂防堰堤の下流側へ土砂を流下させる定常対応工程と、該土砂捕捉スクリーンを該スリットの下方位置に降ろして土石流に備える土砂流等対応工程と、洪水後の平常時に該土砂捕捉スクリーンを該スリットの上部位置に引き上げて該定常対応工程に戻す復帰工程とを備えたことを特徴とする透過型砂防堰堤の使用方法。
  11. 洪水のピーク直後の減水期に、前記土砂捕捉スクリーンを前記スリットの下方位置に降ろすことを特徴とする請求項10に記載の透過型砂防堰堤の使用方法。
  12. 洪水発生のおそれが生じた時点で、前記土砂捕捉スクリーンを前記スリットの下方位置に降ろすことを特徴とする請求項10に記載の透過型砂防堰堤の使用方法。
  13. その地域の増水期として認識されている期間中、前記土砂捕捉スクリーンを前記スリットの下方位置に恒常的に降ろしておくことを特徴とする請求項10に記載の透過型砂防堰堤の使用方法。
  14. 前記土砂捕捉スクリーンを透過型砂防堰堤本体若しくは土石流の流下する位置の任意位置に取り付けた土石流センサーの反応に起因して前記スリットの下方位置に降ろすことを特徴とする請求項10に記載の透過型砂防堰堤の使用方法。
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