JP2724454B2 - 伏籠型のスクリーン暗渠体を設けた砂防ダム及び伏籠型のスクリーン暗渠体 - Google Patents

伏籠型のスクリーン暗渠体を設けた砂防ダム及び伏籠型のスクリーン暗渠体

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JP2724454B2 JP34474695A JP34474695A JP2724454B2 JP 2724454 B2 JP2724454 B2 JP 2724454B2 JP 34474695 A JP34474695 A JP 34474695A JP 34474695 A JP34474695 A JP 34474695A JP 2724454 B2 JP2724454 B2 JP 2724454B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は砂防構築物に関する。詳
しくは本発明は伏篭型のスクリーン構造体を有する砂防
構築物に関する。
【0002】
【従来の技術】
(砂防ダムの流出土砂調節作用)洪水中に河道を流れる
洪水流は土砂を含んでいる。土砂が運搬される形態は、
洪水流の流体力や、乱れの作用によって砂粒が各個運搬
の形で輸送される掃流、あるいは水と土砂が高濃度で一
体となり一つの流体として取り扱えるような流れの土石
流、土砂が流水の全断面に分散せず底部のある厚さにわ
たって集合流動する、掃流と土石流との遷移的な形態の
土砂流、のいずれかである。
【0003】河を堰止めると湛水域ができて、そこでの
水の流れは急に緩やかになる。そのため、そこまで運搬
されてきた土砂は粒径の大きいものから堆積を始める。
即ち、湛水区域の上流端から下流に向けて進行するよう
に主な堆積が発生する。その堆積勾配は土砂の粒径と土
砂含有率あるいは洪水の流速等に応じて形成され、その
一般形状は図1Aのようである。図1Aは掃流土砂の堰
上げ湛水池での堆積順序を模式的に示す。図1Aにおい
て、1は砂防ダムを、2は元河床を示す。堆砂は主に堆
砂線(丸数字)1〜4に示すように降下堆積をしてゆ
き、堆砂線(丸数字)4が満砂時洪水勾配3に相当す
る。4は満砂時の堆砂の起点となる砂防ダムの水通し天
端である。掃流でなく、土石流又は土砂流による土砂の
堆積順序は図1Bに模式的に示すようになる。図1Bに
おいて、1〜4は図1Aと同じ意味である。堆砂は堆砂
線(丸数字)1〜3に示すように遡上堆積をしてゆき、
堆砂線(丸数字)3が満砂時洪水勾配3に相当する。
【0004】洪水が繰り返されると、土砂の堆積は砂防
ダム地点まで逐次進行し、ついには天端を越流するよう
になる。この姿が通常の不透過型の砂防ダムの満砂の姿
である。このときの堆砂勾配は、砂防ダムの天端を起点
に洪水などの土砂濃度が高い場合は急に(元河床勾配の
1/2〜2/3)、低いときは緩やかとなる。あまり土
砂を含まない小洪水が続くと堆積土砂の表層部分の細粒
成分は下流に流されて堆積勾配はどんどん緩くなってい
く。図2に通常型砂防ダムの流出土砂調節機能を模式的
に示す。図2において、1〜4は図1Aと同じ意味であ
る。堆砂勾配が緩くなっている状態を平衡勾配(図2に
おいて、6で示す)と言い、その状態では、多くの土砂
を含む洪水が来たとき、再びそこに土砂が堆積できる余
地が生まれている。この復活する堆積能力量を砂防ダム
の流出土砂調節量(図2において、5で示す)と呼んで
いる。この機能は、砂防ダムのみならず、河幅が急に広
くなった自然河道に於いても発揮されるもので、そのと
きは河道調節量と呼んでいる。この働きによって下流河
川での土砂の流出は平準化されるのである。砂防ダムは
この働きを増大させる役割をも果たしていて、河道調節
機能の小さい渓流筋での砂防ダムはそれを補うことにな
るから、その果たす防災機能は大きなものがある。
【0005】しかし、砂防ダムの調節機能は、洪水時の
堆砂勾配が元河床勾配の半分程度である場合、貯砂量の
10〜30%と評価されていて貯砂量に較べてあまりに
も低いという不満がある。そこで砂防ダムに恒常的に溜
められる堆積域の土砂(図2において、7で示す)を、
調節量として機能させるための試みがなされ、その排出
策が様々に工夫されてきた。ダムに切り欠き(スリッ
ト)を付けたり、大型の水抜き暗渠を設けること、ダム
の構造をスクリーンタイプとすること等である。しか
し、そのためにダムの維持が難しくなることや、流木や
転石で閉塞したスリットや水抜孔の開口が自然の成行き
任せであることから確実性に乏しかったり、洪水の減水
期に急激な土砂排出が起るなど土石流に対しては有効で
あっても掃流形態の流出土砂にはあまり有効ではない等
の問題があって、土砂処理の計画に取り入れるだけの確
実な機能量と評価され難かった。
【0006】(河道の土砂調節作用)自然の河道は、河
幅の広狭や河床勾配に変化があって、土砂の堆積し易い
所とそうでない所がある。土砂が溜り易い所は、直下流
部に狭窄部がある、河幅が急に広くなっている、河床勾
配が急に緩くなっている所などであり、広河原等の地名
が付けられていることが多い。
【0007】そこでの土砂堆積は、前述のように堰上げ
湛水によってそうなっている所もあるが、河床勾配が緩
く、かつ、河幅が広くなって流れが急に幾つにも分かれ
て乱流し、まとまった流路では運搬されていた土砂が、
水流が細分されて単位幅流量が少なくなることで堆積が
起こる場合や、堰止められての堆積、それらの複合の結
果なども原因している。土砂の流出が激しいときは堆積
地は大きく広がり、そうでないときは堆積地の拡大は行
われず、澪筋の統合拡大が起こり、そこの堆積土砂は下
流に流出する。河道の流出土砂調節はこのようにして行
われる。
【0008】この作用をコントロールしながら高めるた
め、これまで直下流の狭窄部に砂防ダムを設けたり、流
水を分離して土砂堆積を促す底面スクリーン等の施設が
考案されてきた。
【0009】(従来技術の問題点) (スリット付き不透過型砂防ダム)スリット付き不透過
型砂防ダムは、通常のコンクリートダムの水通し部に縦
長の切欠き(スリット)を設けたものである。切欠きの
幅や高さ、スリットの数は、土石流の最大粒径や河幅、
流量などを考慮して決定される。これは、土石流の流出
土砂と流木の捕捉、捕捉土砂の二次流出による調節量の
増大を目的に開発されたもので、設置場所は土石流の流
下範囲の沢筋である。
【0010】スリットは、ダムの土砂調節量の増大を狙
いとするもので、堰上げ湛水のほか、洪水時と平常時の
堆積基準面が変化する効果を利用するものである。即
ち、洪水時には、大粒径の巨礫や流木でスリットが閉塞
された状態で堰止め、洪水末期及び平常時はスリット底
面まで堰止める形とするのである。図3にスリット付き
不透過型砂防ダムの流出土砂調節機能を模式的に示す。
図3において、1〜7は図2と同じ意味であり、8はス
リットを示す。このスリット付不透過型砂防ダムには次
のような問題点がある。 (イ) 洪水の増水期に捕捉した土砂を、洪水の減水期
に一気に排出するのが一般であること。即ち、望ましい
調節の姿にならない恐れがあること。 (ロ) スリットの閉塞・開口が偶発的で確実性に欠け
るため、保全対象に近接して設置するには危険が伴うこ
と。 (ハ) 流木を捕捉するとき、ダム水通し部に集中して
堆積して流路が不安定になるので、谷の出口などの保全
対象地区の近くでは設置が不適当であること。
【0011】(大暗渠付き不透過型砂防ダム)流出土砂
が多量で粒径も大小様々である場合、その内の特に大粒
径の土砂のみを捕捉貯留したい場合に採用されてきた、
堤体底部の水抜き孔を大きくした砂防ダムである。この
着想は、施工がコンクリートの打設形状の工夫で済むた
め、古くから試験的に施工されてきた。欠点は大暗渠の
維持が摩耗等の点で困難なこと、暗渠の閉塞と開口を制
御することが困難であること、洪水の末期に捕捉土砂を
一気に排出することがあることで、多くはその後暗渠を
閉鎖している。
【0012】(透過型鋼製砂防ダム)透過型鋼製砂防ダ
ムは、ダム本体を鋼製の枠体、あるいは列柱体で構成す
るものである。基礎コンクリート上に構築する鋼製の枠
体・列柱体から成る。主として土石流の捕捉と流木の捕
捉に好結果が得られ、近年施工例が急増している。
【0013】鋼製の枠体や列柱体の構造は種種の形式が
あり、格子枠型、柱体型のほか、それらの相互連結方法
などに特徴を持たせた技術が多数発表されている。
【0014】土石流の土砂の捕捉は、柱体間隙が巨礫と
流木で閉塞状態になったときに堰として機能して行われ
る。砂防ダムの土砂の捕捉は、不透過型・透過型ともに
洪水時に河道横断壁体を作り出すとともに、ダム軸線上
に一定高さの堆積起点(ダム越流天端等)を洪水時、平
常時各々に造出することにより捕捉機能は勿論、土砂の
調節機能も発揮するものである。
【0015】スリット形式とするのは巨礫の捕捉の他、
中小洪水時に細粒堆積土砂を自然流出させてダムの土砂
調節能力の向上を狙うが故である。ダムから下流に流出
する土砂の粒径の選別は、主として不透過型・透過型砂
防ダム共、堆砂面の勾配があづかることになる。流木の
捕捉は、柱体間隙が閉塞しない状態、即ち、スクリーン
として機能している状態のときに土石流流下区域、掃流
運搬区域を問わず発揮される。堆積流木はスリット部、
あるいは水通し部に小山のように堆積することがある。
このような堆積は、ダムの水通しの機能を阻害する恐れ
があるのが問題点となっている。
【0016】(底面スクリーン)底面スクリーンは、排
水施設の上方に架設する鋼製のスノコ状の平面スクリー
ン構造体である。土石流の流出土砂を対象に、河川の縦
断方向に設置して土石流をスクリーン上に導き、土石流
先端部の水を分離して土石流の先端巨礫の移動を停止さ
せ、それを堆積起点に上流河床面で土石流の土砂、ある
いは流木の捕捉を図ることを目的とする。設置場所は、
土石流流下区域の涸沢、流水のある沢筋いづれでも良
い。
【0017】この底面スクリ−ンは空中で底面排水によ
り土石流の固液分離を図る点に特徴がある。また、スク
リーン上で土石流の先端部が停止したときスクリーンは
目詰りして、後続流がそれらを乗り越える場合があるの
はやむを得ないとしている。底面スクリ−ンの問題点は
次のとおりである。 (イ) 土石流の捕捉を使命とする施設であり、巨礫の
直撃を空中で受けるので、スクリ−ンは強固な構造とす
る必要がある。 (ロ) スクリ−ンで分離する水には、多量の土砂が含
まれるのでスクリ−ン下の排水路施設は直ちに埋没し
て、短時間でスクリ−ンは機能しなくなる(ただし、ス
クリ−ン上の堆積土砂がダムの役割を果たす機能は残
る)。 (ハ) 後続流は、スクリ−ン上に堆積した土石流の残
骸を乗り越えて流出するので、スクリ−ンから下流の排
水路もやがて埋没する。(ロ)と相まって、スクリ−ン
が機能するのは僅かな時間である。 (ニ) 捕捉土砂や堆積土砂は人為的に掘削除去しなけ
れば、その機能は回復しない。
【0018】(鋼製二重枠)鋼製二重枠は、土砂による
砂防ダムの水抜き孔の閉塞を防止するほか、閉塞して
も、流水で自然開口させることを目的とした砂防ダム水
抜孔閉塞防止装置である。本案は、砂防ダムの流出土砂
調節機能の増大を狙った考案で鋼製二重枠を不透過型砂
防ダムの上流のり面に背負わせ、ダムの下部水抜き孔を
覆うように配置する排水、排砂のための堅樋状の鋼製枠
構造体である。掃流形態で流出する土砂を対象に、砂防
ダムの水抜き暗渠の閉塞を防止して、ダムに堆積した土
砂の細粒成分を枠工と水抜き孔を経由して通常の流水、
あるいは中小洪水で二次流出せしめ、砂防ダムの土砂調
節機能の維持・拡大を図ることを目的とする。構造は、
ダムの水通し天端から河床に至る鋼製のスクリーン状の
外枠と、その内部に同じくダム天端から水抜き孔直上部
まで、水抜き孔径程度の距離を残して設置する内枠の二
重枠構造となっている。外枠は水抜き孔が閉塞しないよ
うに巨礫の枠内流入を排除するものであり、内枠は流水
を水抜き孔にガイドするものである。内枠内を落下する
流水で水抜き孔流入部を撹拌して、外枠内の細砂を排出
させ、逐次それを枠工周辺におよぼすように工夫されて
いる。ダムの堆砂起点は、砂防ダムの水通し天端であ
り、この二重枠とは無関係である。また、排砂が点で行
われるので速度が遅く、流木の捕捉機能も、従来型の不
透過型砂防ダムと殆ど変わりはない。
【0019】
【本発明による問題点の解決】本発明は、ダム堤体に水
抜き孔又は大暗渠(本明細書ではこれらをまとめて水抜
き孔等と称する)を有する砂防ダムにおいて、(イ)
該水抜き孔等からダム上流に向って水路が河床上を延び
るように設置した水路構成体と、(ロ) 該水路構成体
を基礎として水路をトンネル状に覆うように構築した伏
籠型のスクリーン体と、から成る伏籠型のスクリーン暗
渠体を設けたことを特徴とする。
【0020】砂防ダムで堰上げ湛水を起させると、堆砂
が湛水域上流端から下流方向に向かって進行するように
発生するが、それが砂防ダムの直上流部に達するとき、
堆積面を流下してくる土砂の粒径は堆砂勾配に規制され
て小さくなっている。そこに、前記した伏籠型スクリー
ン暗渠体を、砂防ダムの河床付近の水抜孔等の上流側入
口に取り付けておくと、堤体直上流で流水と細粒土砂が
伏籠型スクリーン暗渠体に吸い込まれるので、ダム提体
に接してすり鉢状の窪地が形成されて、ダム天端に至る
堆砂の進行が妨げられる。そこで、このスクリーンの網
目の大きさを縦断方向に適当に変えて配置すると、暗渠
内部での土砂堆積の発生を防止すると同時に、伏籠型ス
クリーン暗渠体の一部が窪地の底面に露出している状態
を保つことが可能である。ダムに堆積したスクリーンの
網目以下の粒径の土砂は、洪水の減水期やその後の流水
によって逐次スクリーンを経由して排出されるので、暗
渠体と堤体水抜孔等を元河床面に合わせて設けると、砂
防ダムの土砂の調節量を在来型砂防ダムに較べ飛躍的に
増大させ得る。また、堆砂地→伏籠型スクリーン暗渠体
→堤体水抜孔等→ダム下流、への澪筋は平滑な水路とな
り、それは魚道として機能することが期待できる。
【0021】これらは、暗渠体と堤体水抜孔等を元河床
面に合わせて設けることにより、砂防ダムの貯砂量のほ
ぼ全量を調節量に変換できること、堤体水抜孔等を通過
する土砂の流出時期をスクリーンの網目の大きさとその
配列を調整することにより、コントロールすることがで
きること、堤体水抜孔等を通過する土砂の粒径を制限し
て堤体水抜孔等の維持の苦労を軽減し得ること、流木や
巨石を伏籠型スクリーン暗渠体の周辺部とその上流部に
広く堆積させることができること、通常の流水量のと
き、ダムが川を堰止める機能が働かないように水抜孔等
と暗渠体の断面を大きくしておくと、ダムとその堆砂が
魚の遡上降下を防げる時間を短縮でき、ダムに別途魚道
設備を設置する必要が無くなる可能性があることを意味
している。
【0022】また、土石流区域においても、土石流が発
生しないときの流出細粒土砂は捕捉しないで流出させ、
土石流が発生したときに土砂と流木の捕捉機能が砂防ダ
ムの貯砂量対応で働く、あるいは砂防ダム無しでも河道
土砂調節量を増大させることが可能となると考えられ
る。
【0023】実験で確かめられた事項を要約すれば次の
とおりである。 (1) 土砂の移動が掃流〜土砂流運搬形態で行われる
河川区間に設ける砂防ダムでは、その堆砂はダムの堰上
げ背水の上流端付近に発生し、それが順次ダムに向かっ
て進行するように発達する。 (2) (1)の区間で、砂防ダム地点に流出する流出
土砂は、堆砂面において分級作用が働いて細粒化され
る。 (3) (1)の区間で、砂防ダムと前記伏籠型スクリ
ーン暗渠体を組み合わせたものを設置すると、洪水中は
勿論のこと洪水後にも、砂防ダムの直上流部に、水と細
粒土砂の吸い込みにより、底面に伏籠型スクリーン暗渠
体の一部が露出した、すり鉢状の窪地を形成させること
ができる。 (4) (1)の区間で、すり鉢状の窪地の堆砂壁面の
一部は、洪水の末期に流水により破壊されて緩勾配の澪
筋となる。スクリーン周辺の堆積土砂も、その後の流水
により伏籠型スクリーン暗渠体を経由してダムから排出
されて澪筋は拡大し、土砂堆積可能空間が再形成されて
砂防ダムの土砂捕捉機能が自然に回復する。 (5) (1)の区間で、伏籠型スクリーン暗渠体の内
部は、流水のある開水路の状態となる。暗渠体の底面と
周辺の堆砂面との落差も流水で解消されてあまり凸凹の
無い澪筋が形成される。この状態は、ダムの堆砂に左右
されずに発生する。 (6) 堤体水抜孔等の排水機能を大きく設定して、堰
上げ背水が発生しないようにすると、土砂等の堆積は、
流水が吸い込まれるスクリーン暗渠体の周辺部から始ま
り、それが遡上する形で進行する。スクリーン暗渠体設
置部分の堆砂勾配は、ほぼ元河床勾配と平行となる。 (7) ダムと組み合わせたときの伏籠型スクリーン暗
渠体から排出される排水の流末は、砂防ダム堤体の水抜
孔等と共用することになるので処理が容易である。
【0024】好ましい態様を述べれば次のとおりであ
る。水路構成体として、その設置区間の平均河床勾配と
同程度の勾配の耐摩耗表面処理を施した底面水路工を設
ける。
【0025】耐摩耗表面処理を施した底面水路工とし
て、植石等を施したU字形コンクリート工を設ける。
【0026】U字形コンクリート工として、両側部でス
クリーン体を支持する凹形基礎コンクリート工を設け
る。
【0027】スクリーン体として、少なくとも上面及び
側面からの流水と制限された粒径以下の土砂の流入とを
可能にする格子枠又はスリットを有する透過型中空構造
体を設ける。
【0028】スクリーン体として、さらに上流先端面に
も格子枠又はスリットを有する透過型中空構造体を設け
る。
【0029】透過型中空構造体として、略矩形の、略台
形の又は略半円形ないし幌形の外形横断面を有するもの
を設ける。
【0030】透過型中空構造体として、格子枠又はスリ
ットの目開きが下流側で粗く上流側でより細かなものを
設ける。
【0031】格子枠又はスリットの目開きを、洪水時の
流水による移動が可能な最大粒径程度かそれ以下とす
る。
【0032】スクリーン体として、矩形の、略台形の又
は略半円形ないし幌形の梁部材の両端部を水路構成体上
に固定した縦方向部材(フレーム部材)と、直線状の鋼
材の両端部を各々上流端部及び下流端部に向けて該縦方
向部材に横方向に固定した横方向部材(スクリーン部
材)とから構成したものを設ける。
【0033】スクリーン暗渠体の上流先端部にスクリー
ン暗渠体と一体の、又は上流先端部より上流にスクリー
ン暗渠体とは独立した、透過型の又は非透過型の衝突防
止構造物を設ける。
【0034】さらに、前記の伏籠型のスクリーン暗渠体
はそれ自体単独で河床に設けて土砂の捕捉堆積用のスク
リーン暗渠体とすることができる。これにより、スクリ
−ン暗渠体周辺に土砂の堆積を発生させることができ
る。
【0035】この場合は、透過型中空構造体として、格
子枠又はスリットの目開きは略一定としてよい。砂防ダ
ムの場合のようなすり鉢状の窪地を有する堆砂形状は要
求されないからである。また格子枠又はスリットの目開
きを、洪水時の流水による移動が可能な最大粒径程度か
それ以下、又は土石流の最大礫径程度以下としてよい。
土石流形態の区域であっても適用可能であるからであ
る。
【0036】
【実施例】図4に伏籠型スクリ−ン暗渠体を設けた砂防
ダムの実施例を斜視図で示す。
【0037】図4において、伏籠型スクリ−ン暗渠体5
1は、土砂流〜掃流区域の大型の水抜孔等9(3m×3
m内外、角型等)を設けたコンクリ−ト砂防ダム50と
組み合わせ、砂防ダム50の直上流の堆砂域の元河床上
に、その小口面を砂防ダム50の水抜孔等9に接合して
河川の縦断方向に配置してある。
【0038】図5は、図4に示した砂防ダム50とスク
リ−ン暗渠体51とを詳細に示す縦断配置図である。図
5において、伏籠型スクリ−ン暗渠体51は、基礎を兼
ねる水路構成体52と、小口断面の一片の長さが、2m
〜4mの略矩形または略台形あるいは略半円形ないし幌
形をなす長さ20m〜50mの同断面のトンネル状のス
クリ−ン体53とから成る。水路構成体52の底面は基
礎を兼ねる耐摩耗性を付加したコンクリ−ト製であり、
スクリ−ン体53は鋼構造の上面及び両側面を有する。
【0039】スクリ−ン間隙は、ダム堤体直上流部54
では粗く、上流部55は細かくするなど流出土砂の粒径
に応じて設定し、長さ方向に変化を付ける。土砂流区間
では、粗目で概ね最大粒径程度、細目部分で粗目の約半
分とする。
【0040】全体の構成は、運搬及び組立の都合から長
さ5〜6mのユニット構造とし、それを所要個、各ユニ
ット間に1m内外の間隙を持たせて直線状に離間配置す
る。スクリ−ン体53は、元河床上で縦断方向に流水と
細粒土砂の立体的な吸い込み部を形造ることになる。
【0041】鋼材の材質は、STK400規格またはS
TK490規格とする。一般にはSTK400とする
が、上載荷重が大きく部材寸法が大きくなり過ぎるとき
や、スクリ−ンの間隙面積率が小さくなるときは、強度
の大きなSTK490を使用する。
【0042】施行時期は、砂防ダムと組み合わせる場
合、出水期を避けダム工と同時、またはダム本体の完成
後とする。手戻り防止、掘削土砂の処理、水替えの便宜
からである。
【0043】構築方法は、所定の位置に基礎掘削後各ユ
ニット毎に仮組みして、基礎コンクリ−トを打設する。
スクリ−ン暗渠体51の現場組立は、すべて継手フラン
ジ57、連結ボルト等で行う。組立精度の確保のほか上
載荷重の支持のため脚部組立フレ−ム56も使用する。
基礎コンクリ−トはユニット毎に縁切りする。
【0044】水路断面は、深さ0.2〜0.3m底面幅
1.4m程度とし、側面勾配は緩くして断面内流速が中
央部は早く側岸部は遅くなるよう留意する。水路底面と
側面は、摩耗対策として植え石張り、あるいはラバ−ス
チ−ル張りとする。衝突などによる縦方向部材の許容変
形は、高さの1%以内を目標とするが、横方向部材は変
形が大きくなったとき適宜取り替えるものとする。
【0045】図6は図5のスクリ−ン体54の構成ユニ
ットの詳細図である。図7は図5のスクリーン体55の
構成ユニットの詳細図である。図6及び図7において、
(A)、(B)、(C)はそれぞれ側面、正面及び平面
を示す関係にある。
【0046】図8は図4の伏籠型スクリ−ン暗渠体51
について、図1A、図1B、図2及び図3と同様に流出
土砂調節機能を模式的に示すものである。
【0047】図9は図8の詳細な平面図であり、図10
は図9の縦断面図である。
【0048】図8、図9及び図10は、前述したよう
に、ダム50に接してすり鉢状の窪地58が形成され、
伏籠型スクリ−ン暗渠体51の一部が窪地58の底面に
露出している状態を示している。図4、図5及び図10
において59は保護工であり、透過型の又は非透過型の
衝突防止構造物で構成される。
【0049】また、図2および図3と図8との比較か
ら、伏籠型スクリ−ン暗渠体51の作用により、砂防ダ
ムの流出土砂調節量が飛躍的に増大することが理解でき
る。
【0050】図11に、伏籠型暗渠スクリ−ン61を、
土砂流〜土石流区域の河道調節が働いている河幅が広が
っている土砂堆積域の下流端の比較的河幅62の狭くな
っている狭窄部63の河床上に2列配置した実施例を平
面図で示す。流水成分を暗渠内に導き入れ下流で排水す
る。放流口には床固工類似の放流保護工64が必要であ
る。この場合のスクリ−ン暗渠体のスクリ−ンの目開き
は一定で差し支えなく、部材寸法も上載荷重が小さいの
で小さくなるが、基本形状は砂防ダムとの組合せに用い
るものと同一でよい。
【0051】図12は図11の縦断面図である。
【0052】図11及び図12において、堆砂は初期堆
砂域66から遡上堆積域67へと遡上堆積し、河道土砂
調節量68の堆砂を可能とすることが理解できる。
【0053】
【発明の効果】こうして本発明の伏籠型スクリ−ン暗渠
体により、砂防ダムの流出土砂調節量又は河道の土砂調
節量を飛躍的に増大させることができる。また堆積土砂
の二次流出の速度をコントロールすることが可能となる
ほか、それ自体魚道となり得る。
【図面の簡単な説明】
【図1A】掃流土砂の堰上げ湛水池での堆積順序を示す
模式的説明図。
【図1B】土石流または土砂流による砂防ダムの土砂堆
積順序を示す模式的説明図。
【図2】通常型砂防ダムの流出土砂調節機能を示す模式
的説明図。
【図3】スリット付き不透過型砂防ダムの流出土砂調節
機能を示す模式的説明図。
【図4】本発明に従い伏籠型スクリ−ン暗渠体を設けた
砂防ダムの実施例を示す斜視図。
【図5】図4の縦断配置図。
【図6】図5の粗目スクリーン体54構成ユニットの詳
細図。
【図7】図5の細目スクリーン体55の構成ユニットの
詳細図。
【図8】図4の伏籠型スクリ−ン暗渠体の流出土砂調節
機能を示す模式的説明図。
【図9】図8の詳細平面図。
【図10】図9の縦断面図。
【図11】本発明の伏籠型スクリ−ン暗渠体を単独で河
道に2列設置した実施例を示す平面図。
【図12】図11の縦断面図。
【符号の説明】
1 砂防ダム 2 元河床 3 満砂時洪水勾配 4 砂防ダムの水通し 5 流出土砂調節量 6 平衡勾配 7 貯砂(固定・恒常的)域 8 スリット 9 ダム堤体水抜き 48 スクリーン目の開き 49 縦部材(フレーム部材) 50 砂防ダム 51 伏籠型スクリ−ン暗渠体 52 水路構成体 53 スクリ−ン体 54 粗目スクリーン体 55 細目スクリーン体 56 脚部組立フレ−ム 57 継手フランジ 58 すり鉢状の窪地 59 保護工 61 伏籠型スクリ−ン暗渠体 62 河幅 63 堆砂末端の比較的狭い河幅部 64 放流保護工 66 初期堆砂域 67 遡上堆積域 68 河道土砂調節量
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 溝口 郁夫 東京都千代田区大手町二丁目6番3号 新日本製鐵株式会社内 (72)発明者 肥後野 孝倫 東京都千代田区大手町二丁目6番3号 新日本製鐵株式会社内

Claims (22)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ダム堤体に水抜き孔等を有する砂防ダム
    において、(イ) 該水抜き孔等からダム上流に向って
    水路が河床上を延びるように設置した水路構成体と、
    (ロ) 該水路構成体を基礎として水路をトンネル状に
    覆うように構築した伏籠型のスクリーン体と、から成る
    伏籠型のスクリーン暗渠体を設けたことを特徴とする砂
    防ダム。
  2. 【請求項2】 水路構成体として、その設置区間の平均
    河床勾配と同程度の勾配の耐摩耗表面処理を施した底面
    水路工を設けた、請求項1に記載の砂防ダム。
  3. 【請求項3】 耐摩耗表面処理を施した底面水路工とし
    て、植石等を施したU字形コンクリート工を設けた、請
    求項2に記載の砂防ダム。
  4. 【請求項4】 U字形コンクリート工として、両側部で
    スクリーン体を支持する凹形基礎コンクリート工を設け
    た、請求項3に記載の砂防ダム。
  5. 【請求項5】 スクリーン体として、少なくとも上面及
    び側面からの流水と制限された粒径以下の土砂の流入と
    を可能にする格子枠又はスリットを有する透過型中空構
    造体を設けた、請求項1に記載の砂防ダム。
  6. 【請求項6】 スクリーン体として、さらに上流先端面
    にも格子枠又はスリットを有する透過型中空構造体を設
    けた、請求項5に記載の砂防ダム。
  7. 【請求項7】 透過型中空構造体として、略矩形の、略
    台形の又は略半円形ないし幌形の外形横断面を有するも
    のを設けた、請求項5に記載の砂防ダム。
  8. 【請求項8】 透過型中空構造体として、格子枠又はス
    リットの目開きが下流側でより粗く上流側でより細かく
    なるものを設けた、請求項5に記載の砂防ダム。
  9. 【請求項9】 格子枠又はスリットの目開きを、洪水時
    の流水による移動が可能な最大粒径程度かそれ以下とし
    た、請求項8に記載の砂防ダム。
  10. 【請求項10】 スクリーン体として、略矩形の、略台
    形の又は略半円形ないし幌形の梁部材の両端部を水路構
    成体上に固定した縦方向と、直線状の鋼材の両端部を各
    々上流端部及び下流端部に向けて該縦方向部材に横方向
    に固定した横方向部材とから構成したものを設けた、請
    求項5に記載の砂防ダム。
  11. 【請求項11】 スクリーン暗渠体の上流先端部にスク
    リーン暗渠体と一体の、又は上流先端部より上流にスク
    リーン暗渠体とは独立した、透過型の又は非透過型の衝
    突防止構造物を設けた、請求項1に記載の砂防ダム。
  12. 【請求項12】 河床に設ける土砂の捕捉堆積用のスク
    リーン暗渠体であって、(イ) 下流に向って開放し、
    河床上を上流に向って延びる水路構成体と、(ロ) 該
    水路構成体を基礎として水路をトンネル状に覆うように
    構築した伏籠型のスクリーン体と、を有することを特徴
    とする伏籠型のスクリーン暗渠体。
  13. 【請求項13】 水路構成体として、その区間の平均河
    床勾配と同程度の勾配の耐摩耗表面処理を施した底面水
    路工を設けた、請求項12に記載のスクリーン暗渠体。
  14. 【請求項14】 耐摩耗表面処理を施した底面水路工と
    して、植石等を施したU字形コンクリート工を設けた、
    請求項13に記載のスクリーン暗渠体。
  15. 【請求項15】 U字形コンクリート工として、両側部
    でスクリーン体を支持する凹形基礎コンクリート工を設
    けた、請求項14に記載のスクリーン暗渠体。
  16. 【請求項16】 スクリーン体として、少なくとも上面
    及び側面からの流水と制限された粒径以下の土砂の流入
    とを可能にする格子枠又はスリットを有する透過型中空
    構造体を設けた、請求項12に記載のスクリーン暗渠
    体。
  17. 【請求項17】 スクリーン体として、さらに上流先端
    面にも格子枠又はスリットを有する透過型中空構造体を
    設けた、請求項16に記載のスクリーン暗渠体。
  18. 【請求項18】 透過型中空構造体として、略矩形の、
    略台形の又は略半円形ないし幌形の外形横断面を有する
    ものを設けた、請求項16に記載のスクリーン暗渠体。
  19. 【請求項19】 透過型中空構造体として、格子枠又は
    スリットの目開きが略一定であるものを設けた、請求項
    16に記載のスクリーン暗渠体。
  20. 【請求項20】 格子枠又はスリットの目開きを、洪水
    時の流水による移動が可能な最大粒径程度かそれ以下と
    した、又は土石流の最大礫径程度以下とした、請求項1
    9に記載のスクリーン暗渠体。
  21. 【請求項21】 スクリーン体として、略矩形の、略台
    形の又は略半円形ないし幌形の梁部材の両端部を水路構
    成体に固定した縦方向部材と、直線状の鋼材の両端部を
    各々上流端部及び下流端部に向けて該縦方向部材に横方
    向に固定した横方向部材とから構成したものを設けた、
    請求項16に記載のスクリーン暗渠体。
  22. 【請求項22】 上流先端部にスクリーン暗渠体と一体
    の、又は上流先端部より上流にスクリーン暗渠体とは独
    立した、透過型の又は非透過型の衝突防止構造物を設け
    た、請求項12に記載のスクリーン暗渠体。
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