JP3297906B2 - 半透過型砂防ダム - Google Patents

半透過型砂防ダム

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JP3297906B2
JP3297906B2 JP22421697A JP22421697A JP3297906B2 JP 3297906 B2 JP3297906 B2 JP 3297906B2 JP 22421697 A JP22421697 A JP 22421697A JP 22421697 A JP22421697 A JP 22421697A JP 3297906 B2 JP3297906 B2 JP 3297906B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半透過型砂防ダムに
係り、詳しくは、水通し部にスリットを設けて平常時の
土砂は流出させ、土石流捕捉のための貯砂容量を土石流
発生時まで維持させる機能を有したコンクリートスリッ
トダムの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】水通し部に上下方向へ延びるスリット部
を設けて人工の狭窄部を形成した砂防ダムは、流水をス
リット部の縮流効果によって堰き上げるようにしてい
る。これによってダムの上流側に湛水域が形成されると
流入した土砂が沈降して堆積し、洪水時に大量の土砂が
一気に流出するのを防止しておくことができる。
【0003】コンクリートスリットダムに設けられるス
リット部は水通し部等に一箇所または数箇所形成される
が、その下縁は通常河床まで延びていて魚道を確保する
配慮もなされている。コンクリートスリットダムの上記
した効果を発揮させるには、流水中に含まれる石礫がス
リット幅に比べて比較的小さな粒径で目詰まりを生じさ
せないことが必要であることは言うまでもない。
【0004】スリット部は常時土砂と流水を流通させ、
洪水時等はダムの堰き上げ効果によって上流部に土砂を
一時的に堆積させる。すなわち、ダムの開口部は狭いス
リットのみであって土石流の到達に先だって流れの堰き
上げが発生し、それによって生じた湛水池に到達した土
石流の先端等を走る巨礫の減速は著しくなり、それがス
リット部に到って引っ掛かるということが少なくなる。
このように、主として堰き上げ効果により、土石流や洪
水の発生時の土砂の一時的な大量流出や巨礫の流出が抑
制される。
【0005】このようなコンクリートスリットダムは、
流出土砂が細かく比較的流域面積が広いがために流量が
大きくなる場合や、洪水の継続時間が長い場合に特に効
果的である。一方、洪水の減水期等に上流側の堆砂肩が
崩れ始めると、堆積していた土砂を洪水の減水期や平常
時に流出させることができ、土砂の流出調節機能を発揮
する。
【0006】コンクリートスリットダムは自然環境を配
慮した構造物として注目を浴びてきており、砂防事業に
おいては近年ますます積極的に施工される傾向にある。
すなわち、上記した土砂調節機能のみならず魚道として
の機能も持ちあわせており、環境の保全を図ると共に自
然景観の維持にも大きく寄与するものであるからであ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このようなことからコ
ンクリートスリットダムの計画される機会がますます増
えているが、洪水の減水期に堆積土砂を一気に排出する
という問題、すなわちダムポケットに堆積した土砂の流
出が洪水の後期に激しくなるというコンクリートスリッ
トダム特有の問題も生じている。このように一度に多量
の土砂が流出する可能性があることから、設置条件とし
ては多量の流出があっても下流に問題の生じない場所を
選定するか、ダムの下流側に遊砂地等を併設するといっ
た配慮が必要となる。
【0008】上記した遊砂地は洪水時に土砂流出の緩衝
帯として機能するが、平常時は憩いの場としてまた緑の
砂防ゾーンとしても利用することができる。しかし、多
量の土砂が排出された場合、これらの緑地帯は土砂に埋
没し、憩いの場として復元するには多大の手間を要する
修復工事が必要とされることになる。
【0009】上記したスリット部は洪水時等のダムの堰
き上げ効果を発揮するが、土砂の中には大小様々な石礫
が混入している。平常時土砂移動の活発な場所におい
て、スリット部での土砂の堆積や磨耗により所定のスリ
ット幅寸法が保持できない場合に何らかの対策を講じる
必要はあるが、通常はスリット部の幅として2mないし
3m程度が選定される。しかし、このスリット部を通過
できる程度に大きい礫が減水時等にスリット部から排出
されると、これが緑地帯に散在して復元工事はかなりの
困難を極める。
【0010】ちなみに、コンクリートダムに広幅のスリ
ットを多数設け、そのスリットに鋼鉄製の格子スクリー
ンを配したり、スリット内に多数の鋼材を水平に設けて
梯子形スリットとした例がある。前者はスリットの幅が
広すぎる場合に土石の捕捉機能を補助的に発揮させるた
めのものであり、後者においては、スリットの幅が狭す
ぎる場合に、スリット内での土石の詰まりを防止すべく
スリットへの土石の進入を阻止することを目的としたも
のとなっている。
【0011】上記の例はいずれも巨礫の流出を阻止する
ので、巨礫を含んだ土石流をくい止めることはできる。
しかし、水量の如何によらず流水は常時排出されるの
で、洪水時や水量の多い時期にかなりの石礫が下流側へ
流出することは避けられない。すなわち、流水を縮流さ
せることにより堰き上げ効果を狙たスリットではないゆ
えに、スクリーンを備えていても洪水の減水期に土石が
流出するのを抑制する機能を発揮させ得ないことが多
い。
【0012】なお、上記した格子スクリーンは、スリッ
トの対向側壁に設けた縦溝に上方から落とし込むように
して設置され、梯子形スリットは、梯子形をなすように
各鋼材の両端部がスリットの対向側壁に埋設して固定さ
れる。前者においては格子スクリーンを予め工場等で製
作しておくことができる利点のある反面、組あげたスク
リーンを山岳部に搬入することは容易でなく、また重機
械による据え付け作業も余儀なくされ、構築工事が大掛
かりとなることは否定できない。後者はコンクリート打
設等と並行して鋼材を現場施工しなければならず、まし
てや梯子形の目開きを爾後的に変更しようとする場合等
の鋼材の取替え作業は不可能に近い。
【0013】本発明は上記の問題に鑑みなされたもの
で、その目的は、洪水の減水時の排砂量を抑制しつつ平
常時は流水や無害土砂の流出を妨げることなく、またス
リット部から比較的大きな礫が流出するのを可及的に抑
制して下流側における遊砂地や緑地帯等に与える影響を
少なくできること、ダム上流側の状況変化や整備事業の
進展等によりスリット部を通過する礫の大きさに変化が
生じたとき、その礫径に応じて排出すべき礫のサイズを
爾後的に変更できるようにした半透過型砂防ダムを提供
することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、コンクリート
ダムの水通し部に河床まで到達するスリット部が設けら
れ、そのスリット部では常時土砂と流水を流通させ、洪
水時等はダムの堰き上げ効果により上流側に生じた湛水
池に達した土石流の先端等を走る巨礫を減速させると共
に湛水池に土砂を一時的に堆積させ、土石流や洪水の発
生時の土砂の一時的な大量流出や巨礫の流出を抑制する
ことができるようにしたコンクリートスリットダムに適
用される。その特徴とするところは、図1を参照して、
ダムの上流側面に、スリット部2からの排砂礫量を抑制
するためそのスリット部の左右方向に跨がる横梁6,6
が多段状に配置される。その横梁6は鋼材であり、ダム
の上流側面におけるスリット部2の左右にそのスリット
部と平行して上下方向へ延びる鋼製基材7,7が固定さ
れ、この鋼製基材に横梁6が取り外し可能に固定され
る。横梁の上下方向の間隔は、スリット部2の下段にお
いてダムに到達すると予測される石礫の最大径の1.0
ないし1.5倍に、上段ないし中段においては到達する
と予測される石礫の平均径の1.0ないし1.5倍に選
定される。このように横梁6を配置することによって、
土石流の先端を走る巨礫を下段の横梁により可及的に阻
止すると共に、後続する土砂流に混入する比較的大きな
石礫を中段ないし上段においてある程度阻止する一方、
下流側における影響の少ない小礫を平常時にスリット部
2から流出できるようにし、かつ洪水減水期の土砂流出
を抑制するようにしたことである。なお、鋼製基材7
も、ダムの上流側面において取り外し可能に固定してお
くようにすることが好ましい。
【0015】
【0016】
【0017】
【発明の効果】本発明によれば、横梁を備えたスリット
部においても常時は無害土砂や流水を流通させ、洪水時
等はダムの堰き上げ効果によって上流部に湛水池を生じ
させ、この湛水池において巨礫を減速させて上流側に留
めておくことができる。それゆえに、洪水時等はスリッ
ト部からの排砂礫量を制御することができ、下流側の自
然環境を保全して景観の維持も図られる。もちろん、ス
リット部は河床にまで到達するように形成されているの
で魚道が確保され、自然界の生態系のバランスも維持し
ておくことができる。
【0018】スリット部の下段においては巨礫より小さ
いが比較的大きい石礫が河床に集まり流出しようとする
ので、この部分には、ダムに到達すると予測される石礫
の最大径の1.0ないし1.5倍の上下間隔で設置され
た横梁が設けられ、それによって所望外の大きさの石礫
の流出が阻止される。上段ないし中段等においては、ダ
ムに到達すると予測される石礫の平均径の1.0ないし
1.5倍に選定した上下間隔の横梁を通過できる石礫だ
けであり、過大サイズの石礫の流出が抑制される。
【0019】横梁は鋼材であってダムの上流側面に配置
され、スリット部の左右に固定した鋼製基材に取りつけ
られる。それゆえに、横梁の取付構造が簡素化できるだ
けでなく、横梁が土石から受けた荷重の大部分をダム擁
壁に作用させることができ、鋼製基材や横梁の破損や流
出といったことは可及的に少なくなる。
【0020】横梁を鋼製基材に取り外し可能に固定した
り、鋼製基材をダムの上流側面において取り外し可能に
固定しておけば、鋼製基材や横梁の取替工事が容易とな
る。したがって、ダム上流側の土砂量の変化や石礫の大
きさの変化に応じて横梁の設置間隔を変更することがで
きるといったように、爾後的に排砂礫量を調節すること
が可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下に、本発明に係る半透過型砂
防ダムをその実施の形態を示した図面に基づいて詳細に
説明する。図2はコンクリートダムの水通し部に河床1
まで到達するスリット部2を設けたコンクリートスリッ
トダム3を下流側から見た正面図である。この例におい
ては、図3の平面図に示すように、重力ダムとしてのコ
ンクリートスリットダム3と下流側の副ダム4が設けら
れている。なお、図では、この副ダムも半透過型砂防ダ
ムとなっている。
【0022】図2におけるダムの上端の幅は40数mで
あり、高さは約15mといったものであるが、このよう
なコンクリートダムに設けられるスリット部2の幅は2
mないし3mに選定されることが多い。また、このスリ
ット部は必要に応じて二つ以上設けられることもある
が、図示の例では一つとなっている。
【0023】図2の背面である図1の(a)およびその
断面図である(b)に示すように、コンクリートスリッ
トダム3の上流側面に、スリット部2からの土砂流出を
抑制するための横梁6が取りつけられている。この多数
の横梁6,6はダムの上流側面におけるスリット部2の
左右にスリット部と平行して固定されている基材7,7
に跨がるように取りつけられている。
【0024】図4の(a)を参照して、基材7も鋼材で
あり例えばH形鋼が採用される。H形鋼はそのウエブ部
7aが擁壁面3aに垂直となるようにして、下側のフラ
ンジ部7bがアンカーボルト7cなどで擁壁面に設けた
座板材3bに取り外し可能に固定されている。横梁6も
形鋼でよいが図示の例では鋼管が使用され、Uボルト6
aによって上側のフランジ部7dに取り外し可能に固定
される。横梁6や鋼製基材7にいずれの材料を採用する
においてもボルトやUボルト等の固縛具や締結具を用い
ればよく、横梁6を固定するために鋼製基材7のウエブ
部7aを避けて上側のフランジ部7dにボルト孔が設け
られる。
【0025】このような横梁6は、その上下の間隔がス
リット部2の上段と下段とでは異なるように配置され
る。すなわち、下段においてはこのダムに到達すると予
測される石礫の最大径の1.0ないし1.5倍の間隔で
配置され、上段ないし中段においては平均礫径の1.0
ないし1.5倍の間隔に選定される。
【0026】このように横梁6,6の上下間隔が当該ダ
ムに到達すると予測される石礫の径に対して1.0ない
し1.5倍に選定されているのは、本発明者の研究成果
に基づくものである。すなわち、この範囲内のいずれか
の倍数を選定しておくと、スリット部における土砂排出
機能を損なうことなく、石礫の相互干渉作用等により所
望する小さなサイズの石礫では流出率が最大となる一
方、所望外の大きなサイズの石礫の流出率が可及的に最
小となるという知見によるものである。
【0027】一例を示すと、洪水時等にスリットダムへ
到達する石礫径とその混入個数の比率は表1のごとくで
ある。この場合の平均礫径は約60cmであり、最大径
を150cmとすると、上段および中段においては横梁
の目開き(上下方向の間隔)が60cmないし90cm
の範囲で選定され、下段においては150cmないし2
25cmの範囲で設定されることになる。
【表1】
【0028】そこで、スリット部の上段および中段では
横梁の目開きを60cmとし、下段においては150c
mとすると、それぞれの礫径におけるスリット部の通過
率は上記表1の最下段に記載したようになる。すなわ
ち、50cm径以下は大部分が通過し、50cmないし
100cm径は30%が上流側に残り、100cm以上
は80%が下流側へ流出することがない。これは単なる
一例にすぎないが、巨礫の流失阻止効果の高いことが理
解できる。そして、この場合、計算上ではスリット部を
通過する石礫の平均径は約50cmとなり、スリット部
を通過し得ない石礫の平均径は約95cmとなって、横
梁による効果の傾向を把握することができる。
【0029】ダムの上流側には種々の大きさの石礫が洪
水時等に集積されることになるが、スリットにより人工
の狭窄部を形成して流水を堰き上げるようにしているの
で、ダムの上流側に形成された湛水域では土石が沈降し
やすくなっている。ましてや土砂流に先だって発生する
土石流の先端を走る巨礫は著しく減速されるのでスリッ
ト部2にひっ掛かりにくくなり、それよりは比較的小さ
な後続の石礫がスリット部に進入することになる。もち
ろん、巨礫がスリット部に到達することがあれば河床近
傍であり、横梁の上下間隔が広くても十分に阻止するこ
とができるのは勿論である。
【0030】湛水池で堆積する石礫は重いものが下層を
軽いものが上層を形成することが知られており、したが
って、スリット部2の下段においては巨礫よりは小さい
が比較的大きい石礫が河床に集まり流出しようとする。
この部分においては所望間隔に設置された横梁によっ
て、所望外に大きい石礫の流出は阻止される。上段およ
び中段においても同様であるが、スリット部2の幅が元
来2mないし3mということもあって、横梁6に交差す
るような縦梁は一般的に必要とされないことが多い。
【0031】ちなみに、図5は平常時から洪水の減水期
までの間の礫や土砂の挙動を示している。この図の
(a)のように平常時には、土砂と流水がスリット部2
を通過する。洪水時にはダムの堰き上げ効果によって上
流部の湛水池8に(b)のように土砂を堆積させ、図3
中に仮想線10で示したような土砂が一気に流出すると
いったことは防止される。洪水の減水期には図5の
(c)に示すように湛水池であった箇所の堆砂肩9が崩
れ始めるが、スリット部2の横梁6で流出が制御され、
土石のスリット部2からの流出による下流側への悪影響
が可及的に抑えられることになる。
【0032】なお、スリット部からの土砂の流出量や流
出時間は、スリット部の位置および形状、堆砂形状およ
び粒径、洪水波形および土砂濃度、地形等の数多くの条
件に左右されるものであるが、横梁の上下間隔を土砂量
の変化や石礫の大きさの変化さらには上流側の整備事業
の進展度に応じて爾後的に変更することができる。
【0033】これは横梁や鋼製基材を取り外し自在とし
ているからであるが、流過礫径に応じた横梁の配置を選
定し直すことによって異なる排砂礫量とすべく調節する
ことも可能となる。例えば、爾後的に横梁を追加したり
間引くこともできる。もちろん、横梁等が破損すれば簡
単な取替工事によって交換し、スリットダムとしての機
能を再生することも可能であることは述べるまでもな
い。
【0034】上記した構成の半透過型砂防ダムによれ
ば、水通し部に設けたスリット部により人工の狭窄部を
形成して流水をスリット部の縮流効果によって堰き上げ
るようにし、ダムの上流側に湛水域を形成して流入土砂
の沈降を促し、洪水時に大量の土砂や流木が一気に流出
するのを防止することはもとより、洪水時減水期の土砂
流出の抑制機能が発揮される。
【0035】それゆえに、下流側での大きな石礫の散在
は少なくなり、環境の保全や自然景観の維持が図られる
と共に、下縁が河床まで延びたスリット部によりスリッ
ト効果を発揮させたうえで本発明においても魚道を確保
しておくことができ、生態系の維持やバランスも図られ
る。ちなみに、ダムの上流側に堆積した石礫や土砂は時
期を見たうえで重機等を用いて掘り起こされるが、その
作業以前に含水を上流側からスリット部を経て流出させ
ておくことができるので、水切りされた堆積土砂等の処
理や搬出も容易なものとなる。
【0036】横梁はスリット部の左右に配置した鋼製基
材に取りつけられ、極端に言えば鋼製基材から脱落しな
いようになっていればよいので、横梁の取付構造が簡素
化されることは言うまでもない。鋼製基材はダムの上流
側面にあり、横梁が土石から受けた荷重の大部分はダム
擁壁で受け止められ、鋼製基材や横梁が破損したり流出
するといったことは少なくなる。
【0037】なお、横梁を鋼製基材にまた鋼製基材をダ
ム擁壁にそれぞれ半永久的に固定するようにしてもよい
が、前述したごとく配置変えのための取替え等のことを
配慮すれば、少なくともいずれか一方を取り外し可能な
取付構造としておくことが好ましい。例えば鋼製基材を
図示しないがダム擁壁に直接固定しておく場合には、前
述したごとく横梁6を取り外し可能な固縛具により鋼製
基材7に固定すればよい。
【0038】図4の(b)のように横梁6を鋼製基材7
に溶接して固定するする場合には、鋼製基材7を図4の
(a)に示したような取付構造としておけばよい。この
場合には、鋼製基材をダム擁壁から取り外せば横梁も一
体的に取り除かれることは言うまでもないが、従来技術
の項で述べた幅の広い格子スクリーンとは異なり、その
取扱いは比較的容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る半透過型砂防ダムにおけるダム
擁壁部の構造であって、(a)は上流側壁に取りつけら
れた横梁等の配置を示す着装状態図、(b)は(a)の
I−I線矢視断面図。
【図2】 スリット部に横梁が設けられているコンクリ
ートスリットダムの下流側から見た正面図。
【図3】 副ダムと共に設置されたスリットダムの平面
図。
【図4】 横梁および鋼製基材の固定構造を示し、
(a)は両者共に取り外し可能とした取付状態であって
図1の(b)におけるIV−IV線断面図、(b)は横梁を
鋼製基材に溶接した場合の固定状態図。
【図5】 コンクリートスリットダムにおける土砂等の
挙動を示し、(a)は平常時の流れの様子を、(b)は
洪水時の様子を、(c)は洪水の減水期における様子を
表した概略図。
【符号の説明】
1…河床、2…スリット部、3…コンクリートスリット
ダム、6…横梁、7…鋼製基材。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 水山 高久 大阪府茨木市新庄町3−14 (56)参考文献 特開 平7−82725(JP,A) 特開 平9−158157(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E02B 7/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンクリートダムの水通し部に河床まで
    到達するスリット部を設け、該スリット部では常時土砂
    と流水を流通させ、洪水時等はダムの堰き上げ効果によ
    り上流側に生じた湛水池に達した土石流の先端等を走る
    巨礫を減速させると共に湛水池に土砂を一時的に堆積さ
    せ、土石流や洪水の発生時の土砂の一時的な大量流出や
    巨礫の流出を抑制することができるようにしたコンクリ
    ートスリットダムにおいて、 上記ダムの上流側面に、前記スリット部からの排砂礫量
    を抑制するため該スリット部の左右方向に跨がる横梁が
    多段状に配置され、 該横梁は鋼材であり、ダムの上流側面における前記スリ
    ット部の左右に該スリット部と平行して上下方向へ延び
    る鋼製基材が固定され、該鋼製基材に前記横梁が取り外
    し可能に固定されており、 該横梁の上下方向の間隔が、前記スリット部の下段にお
    いては当該ダムに到達すると予測される石礫の最大径の
    1.0ないし1.5倍に、上段ないし中段においては当
    該ダムに到達すると予測される石礫の平均径の1.0な
    いし1.5倍に選定され、 土石流の先端を走る巨礫を下段の横梁によって可及的に
    阻止すると共に、後続する土砂流に混入する比較的大き
    な石礫を中段ないし上段においてある程度阻止する一
    方、下流側における影響の少ない小礫を平常時に前記ス
    リット部から流出でき、かつ洪水減水期の土砂流出を抑
    制するようにしたことを特徴とする半透過型砂防ダム。
  2. 【請求項2】 前記鋼製基材は、ダムの上流側面におい
    て取り外し可能に固定されていることを特徴とする請求
    項1に記載された半透過型砂防ダム。
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