JP6546399B2 - 砂防堰堤 - Google Patents

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Description

本発明は、スリット部が形成された既設堰堤間に鋼管壁が設けられた砂防堰堤に関するものである。
従来より、河川の下流側に巨礫、流木等が流出することによって引き起こされる土砂災害を防止することを目的として、特許文献1〜3に開示されるような砂防堰堤が提案されている。
特許文献1に開示された砂防堰堤は、平常時において、コンクリートスリット堰堤のスリット部を開放して土砂等を流下させるとともに、洪水時において、コンクリートスリット堰堤のスリット部を閉鎖して河川の流量を制限し、これによって河川の上流側で堰き上げを発生させ、河川の下流側への巨礫、流木等の流出を抑制するものである。
特許文献1に開示された砂防堰堤は、平常時において、コンクリートスリット堰堤の上流側の側壁にH形鋼の鋼製基材を固定しておき、洪水時において、このH形鋼の鋼製基材の前面に複数の横梁を着脱可能に取り付けることによって、コンクリートスリット堰堤のスリット部を閉鎖して、河川の流量を制限するものとなる。
特許文献2に開示された砂防堰堤は、平常時において、コンクリートスリット堰堤の本体部に溝を形成しておき、洪水時において、この溝に梁部材の両端部を挿入して複数の梁部材を着脱可能に取り付けることによって、梁部材の両端部を土石流から保護するとともに、河川の上流から流下する巨礫、流木等を複数の梁部材で捕捉するものとなる。
しかし、特許文献1に開示された砂防堰堤は、コンクリートスリット堰堤の上流側の側壁でH形鋼の鋼製基材が露出した状態で固定されるため、巨礫、流木等が鋼製基材の前面から衝突することによって、Uボルト等で横梁が取り付けられた部分で、H形鋼の鋼製基材が変形することになり、横梁の着脱が困難なものになるという問題点があった。またUボルトが上流側に露出する構成となるため、これに対して巨礫、流木等が衝突した場合に破損してしまうという問題点もあった。これに加えて、特許文献1の開示技術では、H形鋼の鋼製基材の重量が大きいため、施工効率を向上させることができないという問題点もあった。
また、特許文献2に開示された砂防堰堤は、コンクリートスリット堰堤の本体部の溝に複数の梁部材の両端部を挿入して、梁部材の両端部を保護するものであるが、既設のコンクリートスリット堰堤の本体部を切削加工して、又は、新設のコンクリートスリット堰堤の本体部に特殊な型枠を用いることによって、溝を形成することが必要となることから、溝を形成するための施工コストが増大するという問題点があった。
このため、従来においては、特許文献3の開示技術も提案されている。この特許文献3の開示技術では、水深方向に向けて縦鋼管を、また川幅方向に向けて横鋼管を設置し、横鋼管には、端部にガイド部材を取り付け、縦鋼管と堰堤本体部との間に形成される間隙に、このガイド部材を差し込むものである。この特許文献3の開示技術によれば、梁部材の連結部が外部に露出しないため、巨礫、流木等が衝突した場合に、当該連結部が破損してしまうのを防止することができる。
特開平11−50435号公報 特開2007−56488号公報 特開2014−211069号公報
しかしながら、この特許文献3の開示技術によれば、横鋼管以外に縦鋼管を配置する必要があるため、材料コストが過大となってしまうという問題点があった。また横鋼管よりも長い縦鋼管を配設するのは、多大な施工労力を要するものであるから、施工効率を向上させる観点からも、縦鋼管を配設することなく、梁部材の連結部への巨礫、流木等の衝突を防止できる技術が従来より望まれていた。
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、縦鋼管を用いることなく、容易かつ迅速な横鋼管の設置を可能とすることで施工効率を向上させ、しかも梁部材の連結部に対して直接的に巨礫や流木等が衝突してしまうのを防止することが可能な砂防堰堤を提供することにある。
本発明者らは、上述した課題を解決するために、スリット部が形成された既設堰堤間に鋼管壁が設けられた砂防堰堤において、既設堰堤についてはスリット部の側面から受け材を突出させ、鋼管壁においては、川幅方向に延長させた横鋼管をスリット部を跨ぐように既設堰堤間に架設させ、横鋼管における流水方向下流側に取り付けられた添接板と、添接板に対して接合される上部接合板及び上部接合板よりも流水方向下流側に位置し受け材に対して接合される下部接合板とを有する固定金具とを備えた砂防堰堤を発明した。
第1の発明に係る砂防堰堤は、スリット部が形成された既設堰堤間に鋼管壁が設けられた砂防堰堤であって、前記既設堰堤は、前記スリット部の側面から突出された受け材を有し、前記鋼管壁は、川幅方向に延長されて前記スリット部を跨ぐように前記既設堰堤間に架設される横鋼管と、前記横鋼管における流水方向下流側に取り付けられた添接板と、前記添接板に対して接合される上部接合板及び前記上部接合板よりも流水方向下流側に位置し前記受け材に対して接合される下部接合板とを有する固定金具とを備えることを特徴とする。
第2の発明に係る砂防堰堤は、第1の発明において、前記受け材は、前記下部接合板が流水方向下流側から接合される第1面板と、前記第1面板に対して連続し前記スリット部の側面及び/又は前記既設堰堤の上面に接合される第2面板とを有することを特徴とする。
第3の発明に係る砂防堰堤は、第2の発明において、前記第1面板には、更に第1のリブが立設されていることを特徴とする。
第4の発明に係る砂防堰堤は、第2又は第3の発明において、前記第1面板には、その先端から上方に立ち上げられた立ち上げ部が形成されていることを特徴とする。
第5の発明に係る砂防堰堤は、第1〜第4の何れかの発明において、前記横鋼管は、円筒形とされ、前記添接板及び当該添接板から略直角方向に延長された側接板から構成される断面L字条のコーナープレートを、前記添接板が前記上部接合板と略平行となるように前記鋼管の流水方向下流側に外接させてなることを特徴とする。
第6の発明に係る砂防堰堤は、第1〜第5の何れかの発明において、前記横鋼管の両端近傍には、内部に補剛材が介装されていることを特徴とする。
第7の発明に係る砂防堰堤は、第1〜第6の何れかの発明において、前記添接板は、前記上部接合板との間でボルトとナットによる締着部材により締着され、前記横鋼管は、前記添接板に定着された前記締着部材との干渉を防止可能な切り欠きが形成されていることを特徴とする。
第8の発明に係る砂防堰堤は、第1〜第7の何れかの発明において、前記固定金具は、前記上部接合板から流水方向下流側に向けて垂下された中継板を更に有し、前記下部接合板は、前記上部接合板と略平行となるように前記中継板から延長されてなることを特徴とする。
第9の発明に係る砂防堰堤は、第8の発明において、前記上部接合板と前記中継板とには、第2のリブが立設されていることを特徴とする。
第10の発明に係る砂防堰堤は、第8又は第9の砂防堰堤において、前記中継板の下端は、前記下部接合板よりも下側に向けて延長され、前記中継板と前記下部接合板の下面とには、第3のリブが立設されていることを特徴とする。
第11の発明に係る砂防堰堤は、第1〜第10の何れかの発明において、前記既設堰堤には、更に前記横鋼管の両端を水深方向の下側から支持するための受け台が形成されていることを特徴とする。
上述した構成からなる本発明によれば、横鋼管を連結させるための受け材や添接板、固定金具が横鋼管に対して流水方向の下流側に位置している。このため、流水方向に向けて巨礫等が流れてきた場合においても、これら添接板や固定金具に巨礫が直接衝突することも無くなる。その結果、受け材や添接板、固定金具が衝突により破損してしまうのを防止することが可能となり、横鋼管を保持し続けることが可能となる。このため、本発明によれば横鋼管を介して巨礫等の流下を確実に阻止しつつ、河川の流水を流水方向の上流側から下流側へ流すことが可能となる。これに加えて本発明によれば、横鋼管よりも長い縦鋼管を配設する必要も無くなり、多大な施工労力を要しないため、施工効率を向上させることが可能となる。
本発明を適用した砂防堰堤の全体斜視図である。 (a)は、既設堰堤における正面図であり、(b)はその側面図である。 鋼管壁を構成する横鋼管の断面図である。 スリット部の側面から川幅方向Xに向けて突出された受け材の側断面図である。 (a)は受け材を下側から視認した状態を示す斜視図であり、(b)は受け材を上側から視認した状態を示す斜視図である。 受け材の他の実施の形態について説明するための図である。 横鋼管の端部近傍の拡大図である。 横鋼管の端部近傍を下側から視認した状態を示す斜視図である。 (a)は、横鋼管における端部近傍の側断面図であり、(b)は、図7におけるG−G断面の側断面図である。 添接板を一枚の板状体として構成した例を示す図である。 固定金具及びこれが取り付けられる横鋼管、添接板、受け材を示す側面図である。 固定金具及びこれが取り付けられる横鋼管、添接板、受け材を下側から視認した状態を示す斜視図である。 固定金具及びこれが取り付けられた後の横鋼管、添接板、受け材を示す側面図である。 固定金具及びこれが取り付けられた後の横鋼管、添接板、受け材を下側から視認した状態を示す斜視図である。 巨礫が鋼管壁を構成する横鋼管に衝突した状態を示す図である。 横鋼管に生じた塑性変形に対して、第2のリブにより対抗する例について説明するための図である。 横鋼管側の周壁の一部に切り欠きを設ける例について説明するための図である。
以下、本発明を適用した砂防堰堤を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、この砂防堰堤1は、スリット部15が形成された既設堰堤10間に鋼管壁2が設けられている。
図2(a)は、既設堰堤10における正面図であり、図2(b)はその側面図を示している。既設堰堤10は、スリット部15の側面から突出された受け材21並びに流水方向Zに向けて突出された受け台13を有している。鋼管壁2は、川幅方向Xに延長される横鋼管31を有している。
図3は、鋼管壁2を構成する横鋼管31の断面図を示している。横鋼管31は、添接板32と、添接板32及び受け材21に対して接合される固定金具33とを有している。
既設堰堤10は、図2に示すように、河川内に設置された左側堰堤本体部11と右側堰堤本体部12とを備える。既設堰堤10は、この左側堰堤本体部11及び右側堰堤本体部12が河床からコンクリートで立設されることによって、コンクリートスリット堰堤が構築されるものとなる。
既設堰堤10は、左側堰堤本体部11と右側堰堤本体部12とが川幅方向Xに所定の間隔を空けて立設されることで、側面15aが水深方向Yの上端から下端まで略矩形状に開口されたスリット部15が形成される。これにより、スリット部15は、平常時において、流水方向Zの上流側Aから下流側Bまで、微細な土砂等を流下させるものとなる。また、この左側堰堤本体部11と右側堰堤本体部12における上面19は、断面視においてスリット部15の側面15aに対してほぼ直交するように成形される。
既設堰堤10は、これに限らず、如何なる材料で河床から立設されてもよく、また、如何なる形状に開口されたスリット部15が形成されてもよい。さらに、既設堰堤10は、左側堰堤本体部11及び右側堰堤本体部12の何れか一方のみが河床から立設され、左側堰堤本体部11及び右側堰堤本体部12の何れか他方に代えて、河川の右岸部又は左岸部が利用されるものであってもよい。
そして、図2(b)に示すように、この左側堰堤本体部11及び右側堰堤本体部12におけるそれぞれの上流Aの上流側斜面14には、それぞれ受け台13が形成されている。この受け台13は、上流側斜面14における鋼管壁2よりも下側に、当該上流側斜面14に対して上方に向けて凸状となるように形成されている。この受け台13における断面形状は、台形状とされているが、これに限定されるものではなくいかなる形状とされていてもよい。また、この受け台13の材質は、コンクリート製とされていてもよいし、金属製とされていてもよい。但し、この受け台13は、鋼管壁2を構成する横鋼管31を下側から支持することができるような支持面13aが少なくとも形成されている必要がある。なお、この受け台13は、必須の構成要素ではなく、省略するようにしてもよい。この受け台13を設けることにより横鋼管31を下側から支持することが可能となるため、受け台13が無い場合と比較して、添接板32や受け材21、固定金具33に使用されるボルトのサイズを小さく設定することも可能となる。
図4は、スリット部15の側面から川幅方向Xに向けて突出された受け材21の側断面図であり、図5(a)はこの受け材21を下側から視認した状態を示す斜視図であり、図5(b)はこれを上側から視認した状態を示す斜視図である。受け材21は、第1面板50と、この第1面板50に対して連続する断面L字状の第2面板51とを有している。
第1面板50は、金属材料により構成され、左側堰堤本体部11(右側堰堤本体部12)の上流側斜面14と略平行となるように川幅方向Xに向けて延長されている。この第1面板50には、ボルト孔57が断続的に形成されている。第1面板50には、その先端から上方に立ち上げられた立ち上げ部54が形成されている。この第1面板50に対する立ち上げ部54の立ち上げ角度は、いかなるものであってもよいが、第1面板50に対して垂直方向に立ち上げられていることが望ましい。第1面板50は、このような立ち上げ部54が形成されていることにより、これが全く存在しない場合と比較して、面板としての剛性を向上させることが可能となる。
また、この第1面板50には、第1のリブ53が立設されていてもよい。この第1のリブ53は、長手方向、即ち延長されている方向が、川幅方向Xとされている。第1のリブ53は、立ち上げ部54にも接続されていてもよい。第1のリブ53の高さは、立ち上げ部54とほぼ同一とされていてもよいが、これに限定されるものではない。この第1のリブ53は、金属製からなり、第1面板50及び立ち上げ部54に対して、例えば溶接等により固着されている。
第2面板51は、金属材料から構成され、左側堰堤本体部11(右側堰堤本体部12)の側面15aに対して面接触させて固定される側片51aと、左側堰堤本体部11(右側堰堤本体部12)の上流側斜面14に対して面接触される頂片51bとを有している。側片51aは、第1面板50の取り付け高さよりも下方においてボルト孔51cが形成されている。このボルト孔51cにアンカーボルト91が挿入されて左側堰堤本体部11(右側堰堤本体部12)の側面15aに固定される。頂片51bには、ボルト孔51dが形成されている。このボルト孔51dにアンカーボルト92が挿入され、左側堰堤本体部11(右側堰堤本体部12)の上流側斜面14に固定される。アンカーボルト92は、ワッシャー302、ナット301を介して固定される。
第2面板51は、側片51aと頂片51bとにより断面L字状で構成されていることにより、左側堰堤本体部11(右側堰堤本体部12)における上流側斜面14とこれに直交する側面15aに対してほぼ隙間無く当接させて被覆することが可能となる。これにより、上流側斜面14や側面15aが表面から剥離してしまうのを、この第2面板51を介して防止することが可能となる。
この第2面板51に対して第1面板50は、面内方向が互いに略垂直となるように固定される。この第1面板50と第2面板51とは互いに溶接等により固着されている。第1面板50の取り付け高さは、第2面板51の下端から上端に至る部分のいかなる高さに取り付けられていてもよい。
また、この第1面板50及び第2面板51における奥行き長さ、換言すれば図4に示す紙面奥行き方向の長さについては、例えば横鋼管31の3本分に対応する奥行き長さとされている場合を例にとり説明をしているが、これに限定されるものではなく、横鋼管31の1本分又は横鋼管31の複数本分に対応する奥行き長さとされていてもよい。
図6は、受け材21の他の実施の形態を示している。図6(a)の例では、頂片51bの構成を省略した構成としている。この例では、アンカーボルト91のみにより第2面板51を左側堰堤本体部11(右側堰堤本体部12)に取り付ける。アンカーボルト91は、ワッシャー302、ナット301を介して固定される。また左側堰堤本体部11(右側堰堤本体部12)の上流側斜面14には、ゴム等の弾性材からなる弾性プレート58が敷設されている。このような弾性プレート58上に横鋼管31が載置されることとなる。横鋼管31に巨礫、流木等が衝突した場合において横鋼管31に負荷される応力をこの弾性プレート58を介して緩衝させることが可能となる。
また、図6(b)の例では、側片51aの長さをより短くした構成としている。この例では、アンカーボルト92のみにより第2面板51を左側堰堤本体部11(右側堰堤本体部12)に取り付ける。頂片51bから折り曲げられた側片51aが僅かに立ち下げられてその下端から第1面板50が接合されることとなる。
横鋼管31は、円筒形とされていえる場合を前提にして以下説明をするが、これに限定されるものではなく、角形鋼管で構成されていてもよい。横鋼管31のスリット部15を跨ぐように既設堰堤10間、換言すれば左側堰堤本体部11と右側堰堤本体部12との間に架設される。
図7は、この横鋼管31の端部31a近傍の拡大図であり、図8は、横鋼管31の端部31a近傍を下側から視認した状態を示す斜視図であり、図9(a)は、横鋼管31における端部31a近傍の側断面図であり、図9(b)は、図7におけるG−G断面の側断面図である。この横鋼管31は、その端部31aが左側堰堤本体部11(右側堰堤本体部12)に固定された第2面板51上に、添接板32を介して載置される。この横鋼管31における端部31aには、支点部補剛材62が介装される。この支点部補剛材62は、円筒状の横鋼管31の内周に2枚の鋼板を互いに断面視で直交するように内接させている。この支点部補剛材62を構成する2枚の鋼板の交差位置は、この横鋼管31のほぼ円心とされていることが望ましい。支点部補剛材62の川幅方向Xの長さは、横鋼管31における少なくとも端部31aから任意の長さとされている。しかし、支点部補剛材62は、横鋼管31における端部31a近傍にのみ設けられていることが前提となり、横鋼管31における少なくともX方向中央には介装されていないことが前提となる。この図7の例では、支点部補剛材62が端部31aからちょうど立ち上がり部54に対応した位置までの長さに亘って設けられ、それ以外の横鋼管31の中腹部分は、何ら支点部補剛材62が介装されていない例を示している。
このような支点部補剛材62を横鋼管31内に設けておくことにより、横鋼管31における端部31a近傍の剛性を向上させることができる。一方、この横鋼管31における中腹部分には、このような支点部補剛材62をあえて介装させないでおくことにより、横鋼管31に対して巨礫や流木等が衝突した場合において、横鋼管31をかかる衝突により積極的に塑性変形させることができる。この横鋼管31の塑性変形を通じて衝突によるエネルギーを吸収することが可能となる。
添接板32は、図9(a)に示すように、当該添接板32から略直角方向に延長された側接板71とにより、断面L字条の金属製のコーナープレート7を構成する。コーナープレート7は、断面視において横鋼管31の4隅において例えば溶接等の手段によりそれぞれ固着される。この実際にこのような横鋼管31を左側堰堤本体部11との右側堰堤本体部12との間に架設する際には、この添接板32が、ちょうど左側堰堤本体部11(右側堰堤本体部12)の上流側斜面14と平行となるように位置調整がなされる。このコーナープレート7のうち、上段にある2つのコーナープレート7aの川幅方向Xの長さは、横鋼管31における少なくとも端部31aから任意の長さとされている。これに対して、コーナープレート7のうち、下段にある2つのコーナープレート7bの川幅方向Xの長さは、側面15aから所定長さに亘り横鋼管31の中央側に向けて延長されている。そして、下段にある2つのコーナープレート7を構成する添接板32には、内部に雌ネジが形成されたボルト孔95が設けられている。このボルト孔95の配設位置は、図7に示すように横鋼管31を左側堰堤本体部11と右側堰堤本体部12との間に架設した際において、立ち上げ部54と離間させた位置とされていることにより、当該ボルト孔95に対してこれにボルト接合をすることが可能となる。
なお、この添接板32は、コーナープレート7の一部として具現化される場合に限定されるものではなく、図10に示すように一枚の板状体として構成されていてもよい。かかる場合には、側接板71の構成が省略され、添接板32が横鋼管31の下部において例えば溶接等により取り付けられている。かかる構成においても、添接板32が、ちょうど左側堰堤本体部11(右側堰堤本体部12)の上流側斜面14と平行となるように位置調整がなされる。
図11は固定金具33及びこれが取り付けられる横鋼管31、添接板32、受け材21を示す側面図であり、図12はその状態を下側から視認した状態を示す斜視図である。図13は、固定金具33が取り付けられた後の横鋼管31、添接板32、受け材21を示す側面図であり、図14はその状態を下側から視認した状態を示す斜視図である。
固定金具33は、金属製とされ、上部接合板101と、固定時において上部接合板101よりも流水方向Zの下流側に位置する下部接合板102と、上部接合板101から流水方向Zの下流側に向けて垂下され、下部接合板102に取り付けられる中継板103とを有している。また、固定金具33は、上部接合板101の下面と中継板103とに接続された第2のリブ104と、中継板103と下部接合板102の下面とに接続された第3のリブ105とを有している。
上部接合板101には、小孔111が設けられている。この小孔111の形成位置は、添接板32におけるボルト孔95に対応させている。固定金具33の固定時において、この上部接合板101は、添接板32に当接される。また小孔111及びボルト孔95には、ボルト112が挿入されて螺着固定されることとなる。
中継板103は、上部接合板101との間で略直交するように構成されてなる。この中継板103は、固定時において立ち上げ部54と離間させてなる。この中継板103と上部接合板101との間に立設された第2のリブ104は、断面三角形状に構成されて互いに間隔をおいて複数枚に亘り設けられている。この第2のリブ104は、面内方向が少なくとも川幅方向Xと平行となるように構成されている。本実施の形態において、この中継板103の下端は、下部接合板102よりも流水方向Zの下流側に延長されている場合を例にとり説明をしている。これにより、下部接合板102と中継板103との間で第3のリブ105を立設させることが可能となる。但し。この第3のリブ105の構成を省略する場合には、中継板103の下端は、下部接合板102よりも下側に延長されている必要は特段無い。
下部接合板102は、中継板103に取り付けられてなり、小孔121が設けられている。この小孔121の形成位置は、第1面板50におけるボルト孔57に対応させている。固定金具33の固定時において、この下部接合板102は、第1面板50に当接される。また小孔121及びボルト孔57には、ボルト122が挿入されて螺着固定されることとなる。
中継板103と下部接合板102との間に立設された第3のリブ105は、断面三角形状に構成されて互いに間隔をおいて複数枚に亘り設けられている。この第3のリブ105は、面内方向が少なくとも川幅方向Xと平行となるように構成されている。この第3のリブ105の構成は必須ではなく、省略するようにしてもよい。
なお、この固定金具33における水深方向Yの幅は、例えば横鋼管31の1本分に対応する長さとされている場合を例にとり説明をしているが、これに限定されるものではなく、横鋼管31の複数本分に対応する水深方向Yの幅とされていてもよい。
次に、本発明を適用した砂防堰堤1の施工方法について説明をする。
先ず受け材21の取り付けを行う。かかる場合には、図4、5に示すように受け材21における第2面板51の頂片51bを左側堰堤本体部11(右側堰堤本体部12)の上流側斜面14に対して面接触させ、同時に第2面板51の側片51aを左側堰堤本体部11(右側堰堤本体部12)の側面15aに対して面接触させる。次に、このボルト孔51cにアンカーボルト91を挿入して左側堰堤本体部11(右側堰堤本体部12)の側面15aに固定し、ボルト孔51dにアンカーボルト92を挿入して左側堰堤本体部11(右側堰堤本体部12)の上流側斜面14に固定する。
次に、横鋼管31及び固定金具33の取り付けを行う。かかる場合には、予めコーナープレート7(添接板32)が取り付けられた横鋼管3を把持しつつ、固定金具33を当該横鋼管3及び受け材21に対して取り付ける。図11〜14に示すように、上部接合板101を添接板32に当接させてボルト112により固定し、また下部接合板102を第1面板50に当接させてボルト122により固定する。このとき、1本の横鋼管31につき固定金具33が1つの割合で割り当てられている場合には、1本の横鋼管31を手で把持しながら、固定金具33の取り付け動作を行えばよく、複数本の横鋼管31を同時に把持する場合と比較して作業性を向上させることが可能となる。また、破損した横鋼管31を取り外して新しいものに交換する作業を行う場合においても同様に作業性を向上させることが可能となる。
図15は、このような上述の如き構成からなる砂防堰堤1において、巨礫131が鋼管壁2を構成する横鋼管31に衝突した状態を示している。横鋼管31は、巨礫131が衝突することにより、流水方向Zの下流側に向けて塑性変形を起こすこととなる。横鋼管31の中央部分には、支点部補剛材62が介装されていないことから、巨礫131の衝突に応じて容易に塑性変形させることができ、衝撃のエネルギーを吸収することが可能となる。
一方、このような巨礫131が横鋼管31に衝突した場合においても、その端部31aの近傍においては特段変形することなく固定金具33から外れることは殆ど無い。横鋼管31の端部31a近傍は、支点部補剛材62が介装されているため、塑性変形が殆ど生じることなく安定した状態を維持することができる。このため、横鋼管31の端部31a近傍に取り付けられている添接板32が、固定金具33から外れてしまうのを防止することができる。
特に本発明によれば、横鋼管31を連結させるための受け材21や添接板32、固定金具33が横鋼管31に対して流水方向Zの下流側に位置している。このため、流水方向Zに向けて巨礫131が流れてきた場合においても、これら添接板32や固定金具33に巨礫131が直接衝突することも無くなる。その結果、受け材21や添接板32、固定金具33が衝突により破損してしまうのを防止することが可能となり、横鋼管31を保持し続けることが可能となる。このため、本発明によれば横鋼管31を介して巨礫131等の流下を確実に阻止しつつ、河川の流水を流水方向Zの上流側から下流側へ流すことが可能となる。
また上部接合板101の下面と中継板103との間に第2のリブ104が設けられている。このため、巨礫131の衝突による横鋼管31に生じた塑性変形に対して、図16に示すように、第2のリブ104により図中矢印方向の力で対抗することが可能となる。その結果、横鋼管31の端部31aの変形を抑えることが可能となる。同様に、第2のリブ104においても、図中矢印方向の力で対抗することが可能となるため、横鋼管31の端部31aの変形を抑えることが可能となる。
また、中継板103と立ち上げ部54とを互いに離間させてクリアランスを設けていることにより、中継板103が巨礫131の衝突に基づいて僅かに変形しても、立ち上げ部54側に変形した場合においても、そのクリアランスにより吸収することが可能となる。また温度により、それぞれ金属で構成されている中継板103や立ち上げ部54が熱伸縮した場合においても、これをクリアランスにより吸収することが可能となる。
更に図16に示すように、巨礫131の衝突による横鋼管31に塑性変形が生じた場合には、上流側斜面14と側面15aとの間で形成される角部に荷重が集中し、剥離しやすくなってしまうが、これらが第2面板51における側片51aと頂片51bとにより被覆されていることでその剥離を防止することが可能となる。
図17は、ボルト112の先端をナット202を介して螺着固定する例であるが、ナット202が横鋼管31と干渉しないようにするために、横鋼管31側の周壁の一部に切り欠き201を設けている。ボルト112とナット202とを上下逆に設ける場合においても、同様に切り欠き201を設けておくことにより、互いの干渉を防止することが可能となる。
1 砂防堰堤
2 鋼管壁
3 横鋼管
7 コーナープレート
10 既設堰堤
11 左側堰堤本体部
12 右側堰堤本体部
13 受け台
14 上流側斜面
15 スリット部
19 上面
21 受け材
31 横鋼管
32 添接板
33 固定金具
50 第1面板
51 第2面板
53 第1のリブ
54 立ち上げ部
57 ボルト孔
58 弾性プレート
62 支点部補剛材
71 側接板
91 アンカーボルト
92 アンカーボルト
95 ボルト孔
101 上部接合板
102 下部接合板
103 中継板
104 第2のリブ
105 第3のリブ
111 小孔
112 ボルト
121 小孔
122 ボルト
131 巨礫
202、301 ナット
302 ワッシャー

Claims (11)

  1. スリット部が形成された既設堰堤間に鋼管壁が設けられた砂防堰堤であって、
    前記既設堰堤は、前記スリット部の側面から突出された受け材を有し、
    前記鋼管壁は、川幅方向に延長されて前記スリット部を跨ぐように前記既設堰堤間に架設される横鋼管と、前記横鋼管における流水方向下流側に取り付けられた添接板と、前記添接板に対して接合される上部接合板及び前記上部接合板よりも流水方向下流側に位置し前記受け材に対して接合される下部接合板とを有する固定金具とを備えること
    を特徴とする砂防堰堤。
  2. 前記受け材は、前記下部接合板が流水方向下流側から接合される第1面板と、前記第1面板に対して連続し前記スリット部の側面及び/又は前記既設堰堤の上面に接合される第2面板とを有すること
    を特徴とする請求項1記載の砂防堰堤。
  3. 前記第1面板には、更に第1のリブが立設されていること
    を特徴とする請求項2記載の砂防堰堤。
  4. 前記第1面板には、その先端から上方に立ち上げられた立ち上げ部が形成されていること
    を特徴とする請求項2又は3記載の砂防堰堤。
  5. 前記横鋼管は、円筒形とされ、
    前記添接板及び当該添接板から略直角方向に延長された側接板から構成される断面L字条のコーナープレートを、前記添接板が前記上部接合板と略平行となるように前記鋼管の流水方向下流側に外接させてなること
    を特徴とする請求項1〜4のうち何れか1項記載の砂防堰堤。
  6. 前記横鋼管の両端近傍には、内部に補剛材が介装されていること
    を特徴とする請求項1〜5のうち何れか1項記載の砂防堰堤。
  7. 前記添接板は、前記上部接合板との間でボルトとナットによる締着部材により締着され、
    前記横鋼管は、前記添接板に定着された前記締着部材との干渉を防止可能な切り欠きが形成されていること
    を特徴とする請求項1〜6のうち何れか1項記載の砂防堰堤。
  8. 前記固定金具は、前記上部接合板から流水方向下流側に向けて垂下された中継板を更に有し、
    前記下部接合板は、前記上部接合板と略平行となるように前記中継板から延長されてなること
    を特徴とする請求項1〜7のうち何れか1項記載の砂防堰堤。
  9. 前記上部接合板と前記中継板とには、第2のリブが立設されていること
    を特徴とする請求項8記載の砂防堰堤。
  10. 前記中継板の下端は、前記下部接合板よりも下側に向けて延長され、
    前記中継板と前記下部接合板の下面とには、第3のリブが立設されていること
    を特徴とする請求項8又は9記載の砂防堰堤。
  11. 前記既設堰堤には、更に前記横鋼管の両端を水深方向の下側から支持するための受け台が形成されていること
    を特徴とする請求項1〜10のうち何れか1項記載の砂防堰堤。
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