JP5917226B2 - 透過型砂防堰堤 - Google Patents

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Description

本発明は、土砂災害を防止することを目的として、河川内に設けられる透過型砂防堰堤に関するものである。
従来より、土石流が発生したときに、河川の下流へ流出した巨礫、流木等によって引き起こされる土砂災害を防止することを目的として、特許文献1に開示されるような透過型砂防堰堤が提案されている。
特許文献1に開示された透過型砂防堰堤は、河川の両岸に設けられたコンクリート製の袖部(非越流部)と、両岸に形成された両袖部の間で、河川の川幅方向に設けられた鋼製の平面構造体とを備えるものである。特許文献1に開示された透過型砂防堰堤において、平面構造体は、土石流が発生したときに、巨礫、流木等を河川内で捕捉する複数の柱材と梁材とを有する。
特許文献1に開示された透過型砂防堰堤は、巨礫、流木等を捕捉したときの衝撃を平面構造体が受け止めるとともに、その衝撃を河床に設けられたコンクリート製の基礎とコンクリート製の袖部へ伝達するものである。また、特許文献1に開示された透過型砂防堰堤において、平面構造体は、複数の柱材と梁材とによって形成される透過部に水を流すことにより、平時における河川の流量を確保するものである。
特開2009−275434号公報
しかしながら、特許文献1に開示された透過型砂防堰堤において、河川の幅が広い場合には、平面構造体のみによって、巨礫、流木等を捕捉したときの衝撃を袖部まで十分伝達させることができないため、両袖部の間にコンクリート製のバットレス部を設け平面構造体を架設することが一般的であり、川幅方向の中間に不透過となるコンクリート製のバットレス部を堰堤の水通し内に設ける必要があった。このため、特許文献1に開示された透過型砂防堰堤は、不透過となるバットレス部が堰堤の水通し内に設けられることにより、流水可能な面積が減少し、河川の流量が制限される場合がある。
このとき、特許文献1に開示された透過型砂防堰堤は、集中豪雨等によって河川が増水した場合に、この透過型砂防堰堤が設けられた場所で十分な流量を確保することができず、この透過型砂防堰堤の上流側で堰上げが発生しやすくなる。
透過型砂防堰堤は、この堰上げによって堰堤上流域で堰上げ背水ができると巨礫、流木等を堰堤で直接捕捉できなくなり、堰上げの後に河川の水が急激に流下する際に、堰上げによって上流側に貯留していた巨礫、流木等が急激に下流側に流下しようとするため、透過型砂防堰堤で捕捉しきれず巨礫、流木等が開口部から下流側に流下するおそれがあるという問題があった。
また、特許文献1に開示された透過型砂防堰堤は、両袖部に鞘管が設けられ、平面構造体の梁材が鞘管に挿入されるため、巨礫、流木等を捕捉したときの衝撃に対抗することができるように袖部の内部を補強する必要があり、袖部やバットレス部の中に補強材を埋め込む必要があった。このため鋼製の平面構造体の組み立てより先行して鞘管や補強材をコンクリート内に埋め込む必要があるが、コンクリートの打設と平面構造体の組み立てとの工期が異なる場合でもコンクリート内に鞘管を埋め込むためにコンクリートの打設に合わせて鞘管及び補強材を準備する必要があり工期を調整する必要があった。
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、集中豪雨等によって河川が増水した場合でも十分な流量を確保することができ、上流側における堰上げを防止することが可能となる透過型砂防堰堤を提供することにある。
第1発明に係る透過型砂防堰堤は、土砂災害を防止するために河川内で川幅方向に設けられる透過型砂防堰堤であって、河川の両岸に形成された両袖部の間に設けられる立体構造体と、前記立体構造体に隣接して設けられる平面構造体とを備え、前記立体構造体は、河川の上流側に設けられる複数の上流側柱材と、河川の下流側に設けられる下流側柱材と、前記複数の上流側柱材を連結する第1梁材と、前記上流側柱材と前記下流側柱材とを連結する第2梁材と、前記上流側柱材、前記下流側柱材及び前記第1梁材により形成された河川の水を流下させる透過部と、川幅方向に延びる鞘管とを有し、前記平面構造体は、河川の川幅方向に設けられる平面構造梁材と、前記平面構造梁材に取り付けられる平面構造柱材とを有し、前記平面構造梁材の端部が前記立体構造体の前記鞘管挿入されて接続されることを特徴とする。
第2発明に係る透過型砂防堰堤は、第1発明において、河川の川幅方向に設けられる複数の前記平面構造体を備え、前記複数の平面構造体は、河川の川幅方向の中間に設けられる前記立体構造体が有する前記鞘管の両側から前記平面構造梁材の端部が挿入されることで、前記平面構造梁材が前記鞘管を介して河川の川幅方向に一体化されることを特徴とする。
第3発明に係る透過型砂防堰堤は、第1発明又は第2発明において、前記鞘管は、前記第1梁材よりも河川の下流側に設けられることを特徴とする。
第4発明に係る透過型砂防堰堤は、第1発明〜第3発明の何れかにおいて、前記立体構造体は、前記複数の上流側柱材を連結する前記鞘管を有することを特徴とする。
第5発明に係る透過型砂防堰堤は、第1発明〜第4発明の何れかにおいて、河川の川幅方向の両端に前記両袖部から間隔をあけて設けられる複数の前記立体構造体と、前記複数の立体構造体の間に設けられる前記平面構造体とを備えることを特徴とする。
第6発明に係る透過型砂防堰堤は、第1発明〜第5発明の何れかにおいて、河川の川幅方向の中間に設けられる前記立体構造体と、河川の川幅方向の両端に設けられる複数の前記平面構造体とを備え、前記複数の平面構造体は、前記平面構造梁材の一方の端部が前記立体構造体に接続され、前記平面構造梁材の他方の端部が前記両袖部に設けられた鞘管に接続されることを特徴とする。
第7発明に係る透過型砂防堰堤は、第1発明〜第6発明の何れかにおいて、河川の川幅方向の両端及び中間に設けられる複数の前記立体構造体と、前記複数の立体構造体の間に設けられる複数の前記平面構造体とを備えることを特徴とする。
第1発明〜第発明によれば、立体構造体が上流側柱材と下流側柱材と第1梁材と第2梁材と透過部とを有することで、透過型砂防堰堤の上流側における堰上げの発生を防止することが可能となるとともに、短期間で河川内に透過型砂防堰堤を構築することが可能となる。
発明によれば、平面構造体を袖部に接続しないのでコンクリート内に鞘管や補強材を埋め込む必要が無くなり、工期の調整を行なうことも無く、コストの増加を抑えた透過型砂防堰堤を構築することが可能となる。
発明によれば、河川の川幅方向の両端に立体構造体を設けることなく、巨礫、流木等が衝突した際の衝撃を受け止め、巨礫、流木等を捕捉することができる透過型砂防堰堤を構築することが可能となる。
発明によれば、河川の川幅方向の両端及び中間に立体構造体が設けられるため、特に、河川の川幅が広い場合であっても、立体構造体と平面構造体とが一体となって巨礫、流木等が衝突した際の衝撃を受け止め、巨礫、流木等を捕捉することができる透過型砂防堰堤を構築することが可能となる。
発明によれば、立体構造体が鞘管を有することで、平面構造体の平面構造梁材の端部を立体構造体に容易に接続することが可能となる。
発明によれば、平面構造体の平面構造梁材の端部が立体構造体の鞘管の両側から挿入されることで、河川の川幅方向の中間に設けられる立体構造体の両側に設けられる平面構造体が一体となって巨礫、流木等が衝突した際の衝撃を受け止め、巨礫、流木等を捕捉することが可能となる。
発明によれば、鞘管が第1梁材の下流側で隠れるように取り付けられ、立体構造体に巨礫、流木等が衝突した際に、第1梁材が障壁として機能し、鞘管を第1梁材で保護することが可能となる。
発明によれば、立体構造体と平面構造体との捕捉面が上流側で揃えられ、巨礫、流木等を確実に捕捉することができ、また、捕捉された巨礫、流木等を容易に取り除くことが可能となる。
本発明の第1実施形態に係る透過型砂防堰堤と河川とを示す斜視図である。 本発明の第1実施形態に係る透過型砂防堰堤を下流側から示す背面図である。 本発明の第1実施形態に係る透過型砂防堰堤と河川とを下流側から示す背面図である。 本発明の第1実施形態に係る透過型砂防堰堤と河川とを上流側から示す正面図である。 本発明の第1実施形態に係る透過型砂防堰堤と河川とを左岸側から示す側面図である。 本発明の第1実施形態に係る透過型砂防堰堤と河川とを示す平面図である。 本発明の第1実施形態に係る透過型砂防堰堤の立体構造体と河川とを左岸側から示す側面図である。 本発明の第1実施形態に係る透過型砂防堰堤の第1変形例の立体構造体と河川とを左岸側から示す側面図である。 本発明の第1実施形態に係る透過型砂防堰堤の第2変形例の立体構造体と河川とを左岸側から示す側面図である。 本発明の第1実施形態に係る透過型砂防堰堤の第3変形例の立体構造体と河川とを左岸側から示す側面図である。 本発明の第1実施形態に係る透過型砂防堰堤の平面構造体と河川とを左岸側から示す側面図である。 本発明に係る透過型砂防堰堤の鞘管に鞘管挿入部が挿入された状態を示す平面図である。 本発明の第1実施形態に係る第4変形例の透過型砂防堰堤と河川とを下流側から示す背面図である。 本発明の第2実施形態に係る透過型砂防堰堤と河川とを下流側から示す背面図である。 本発明の第2実施形態に係る透過型砂防堰堤と河川とを上流側から示す正面図である。 本発明の第2実施形態に係る透過型砂防堰堤と河川とを示す平面図である。 本発明の第2実施形態に係る透過型砂防堰堤と河川とを左岸側から示す側面図である。 本発明の第2実施形態に係る透過型砂防堰堤の立体構造体と河川とを左岸側から示す側面図である。 本発明の第2実施形態に係る透過型砂防堰堤の平面構造体と河川とを左岸側から示す側面図である。 本発明の第3実施形態に係る透過型砂防堰堤と河川とを下流側から示す背面図である。 本発明の第4実施形態に係る透過型砂防堰堤と河川とを下流側から示す背面図である。
以下、本発明を適用した透過型砂防堰堤を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明を適用した透過型砂防堰堤1は、第1実施形態において、図1に示すように、コンクリートを打設することによって河床に形成された基礎4の上方に設けられる。また、本発明を適用した透過型砂防堰堤1は、コンクリートを打設することによって両岸に形成された両袖部5の間に設けられる。両袖部5は、コンクリートを打設したものに限定されるものではなく、鋼製枠に土砂やソイルセメントを入れた構造物であってもよい。
本発明を適用した透過型砂防堰堤1は、図2に示すように、河川内の川幅方向Xに設けられる複数の立体構造体2と、これらの立体構造体2の間に設けられる平面構造体3とを備える。
本発明を適用した透過型砂防堰堤1は、図3に示すように、川幅方向Xの両端において、両袖部5から間隔をあけて立体構造体2が設けられる。本発明を適用した透過型砂防堰堤1は、必要に応じて、立体構造体2と両袖部5との間に図示しない細径化された鋼管を設けることもできる。本発明を適用した透過型砂防堰堤1は、巨礫、流木等の捕捉に必要とされる構造耐力に応じて、川幅方向Xの中間においても立体構造体2が設けられる。
立体構造体2は、図3〜図6に示すように、河川の上流側Aで川幅方向Xに並べて設けられる2本の上流側柱材21と、河川の下流側Bで川幅方向Xに並べて設けられる2本の下流側柱材22とを有する。立体構造体2は、2本の上流側柱材21を連結する上流側Aの第1梁材23と、上流側柱材21と下流側柱材22とを連結する第2梁材24と、2本の下流側柱材22を連結する下流側Bの第3梁材25とを有する。
立体構造体2は、上流側柱材21、下流側柱材22、第1梁材23、第2梁材24及び第3梁材25について、断面円形状の鋼製のものが用いられるが、これに限らず、如何なる形状、材質のものが用いられてもよい。立体構造体2は、河川の水を内部で流下させることができるように、上流側柱材21、下流側柱材22、第1梁材23及び第3梁材25によって形成される立体構造透過部26を有する。
立体構造体2は、図5に示すように、上流側柱材21及び下流側柱材22の下端にフランジが設けられ、上流側柱材21及び下流側柱材22の下部が基礎4に埋め込まれた状態で、基礎4のコンクリートが打設される。上流側柱材21は、下部から上部に向けて、下流側B方向に傾斜して設けられる。下流側柱材22は、下部から上部に向けて、上流側A方向に傾斜して設けられる。
立体構造体2は、図5、図6に示すように、第1梁材23及び第3梁材25の長手方向が川幅方向Xとなり、第2梁材24の長手方向が上下流方向Yとなるように設けられる。第1梁材23は、その両端部がそれぞれ2本の上流側柱材21の上部及び中間部に溶接等によって取り付けられ、上流側Aにおいて3本設けられる。第3梁材25は、その両端部がそれぞれ2本の下流側柱材22の上部及び中間部に溶接等によって取り付けられ、下流側Bにおいて2本設けられる。第2梁材24は、その両端部がそれぞれ上流側柱材21及び下流側柱材22の上部及び中間部に溶接等によって取り付けられ、立体構造体2の両側部にそれぞれ2本設けられる。
立体構造体2は、これに限らず、上流側Aにおける3本の第1梁材23のうち1本を中間で切断された状態として、その切断された状態の第1梁材23に巨礫、流木等の捕捉の役割を担わせて、残りの2本の第1梁材23に立体構造体2を保持する役割を担わせることもできる。
立体構造体2は、図7に示すように、長手方向が上下流方向Yとなるように設けられた支持梁材27aに支持される鋼製の鞘管27を有する。支持梁材27aは、その両端部がそれぞれ上流側柱材21及び下流側柱材22の上部及び中間部に溶接等によって取り付けられ、立体構造体2の両側部にそれぞれ設けられる。鞘管27は、長手方向が川幅方向Xとなるように、立体構造体2の両側部に設けられた支持梁材27aの中間部に溶接等によって取り付けられる。
立体構造体2は、上流側柱材21の上部に取り付けられた第1梁材23と同程度の水平位置において、第1梁材23の下流側Bに隠れるように、上流側柱材21及び下流側柱材22の上部の支持梁材27aに取り付けられた鞘管27を有する。これにより、立体構造体2に巨礫、流木等が衝突した際に、第1梁材23が障壁として機能し、鞘管27は第1梁材23に保護されることになる。
立体構造体2は、川幅方向X及び上下流方向Yにおいて分割して運搬できるように、第1梁材23、第2梁材24及び第3梁材25の中間部がフランジ接合される。また、立体構造体2は、鞘管27の中間部がフランジ接合される。立体構造体2は、上流側柱材21、下流側柱材22、第1梁材23、第2梁材24及び第3梁材25を基礎4の上方に設けた後、鞘管27とともに支持梁材27aが上流側柱材21及び下流側柱材22に取り付けられる。
立体構造体2は、これに限らず、第1梁材23、第2梁材24及び第3梁材25の中間部がフランジ接合されないものであってもよい。また、立体構造体2は、これに限らず、鞘管27の中間部もフランジ接合されないものであってもよい。
立体構造体2は、図8に示すように、上流側柱材21が、鉛直方向上方に向けて設けられるとともに、下流側柱材22が、下端から上端に向けて上流側A方向に傾斜して設けられてもよい。また、立体構造体2は、図9に示すように、上流側柱材21及び下流側柱材22が、鉛直方向上方に向けて設けられてもよい。立体構造体2は、これに限らず、2本の上流側柱材21と1本の下流側柱材22とを有するものとしてもよい。
立体構造体2は、図10に示すように、上流側柱材21の上部及び中間部に取り付けられる3本の第1梁材23のうち2本の第1梁材23を、第1梁材23に代えて上流側柱材21を連結する鞘管27を設けるものとしてもよい。このとき、鞘管27には、巨礫、流木等が直接衝突することになるので、鞘管27の板厚を厚くするか、鞘管27を図示しない緩衝材等で保護することができる。これにより、立体構造体2と平面構造体3との捕捉面が上流側Aで揃えられ、巨礫、流木等を確実に捕捉することができ、また、捕捉された巨礫、流木等を容易に取り除くことができる。
平面構造体3は、図3〜図6に示すように、河川の川幅方向Xに並べて設けられる3本の平面構造柱材31と、3本の平面構造柱材31を連結する平面構造梁材33とを有する。平面構造体3は、平面構造柱材31及び平面構造梁材33について、断面円形状の鋼製のものが用いられるが、これに限らず、如何なる形状、材質のものが用いられてもよい。平面構造体3は、河川の水を内部で流下させることができるように、平面構造柱材31及び平面構造梁材33によって形成される平面構造透過部36を有する。
平面構造体3は、図5に示すように、平面構造柱材31の下端にフランジが設けられ、平面構造柱材31の下部が基礎4に埋め込まれた状態で、基礎4のコンクリートが打設される。平面構造体3は、平面構造柱材31が鉛直方向上方に向けて設けられる。
平面構造体3は、図3、図4に示すように、平面構造梁材33の長手方向が川幅方向Xとなるように、平面構造柱材31の上部が取り付けられる平面構造梁材33と、平面構造柱材31の中間部に取り付けられる平面構造梁材33とを有する。上部の平面構造梁材33は、平面構造柱材31の上部が溶接等によって取り付けられる。中間部の平面構造梁材33は、平面構造柱材31の中間部に溶接等によって取り付けられる。
平面構造体3は、平面構造柱材31の中間部から川幅方向Xに延びるように設けられた分枝鋼管38を有する。分枝鋼管38は、平面構造梁材33よりも細径化され、河川を流下する巨礫、流木等を捕捉することができるように、隣り合う平面構造柱材31が有する分枝鋼管38と、相互に端部が離れた状態で設けられる。平面構造体3は、これに限らず、如何なる形状の分枝鋼管38を有してもよい。また、平面構造体3は、これに限らず、分枝鋼管38が平面構造柱材31に設けられなくともよい。
平面構造体3は、図11に示すように、立体構造体2の鞘管27に平面構造梁材33の両端部を挿入することができるように、立体構造体2の鞘管27の内径よりも小さい外径の鞘管挿入部37を、平面構造梁材33の両端部に有する。
平面構造体3は、図3、図4に示すように、水深方向Zにおいて分割して運搬できるように、平面構造柱材31の上部及び中間部がフランジ接合される。また、平面構造体3は、平面構造梁材33の両端部において、鞘管挿入部37がフランジ接合される。平面構造体3は、これに限らず、フランジ接合されないものであってもよい。
鞘管27は、図12に示すように、鞘管挿入部37を差し込んだ後に、鞘管27の内部において、鞘管挿入部37の外面と鞘管27の内面によって形成される間隙28に、鞘管挿入部37と鞘管27との間隔を保持する間隔保持部材39が設置される。間隔保持部材39は、間隙28の下流側Bに嵌め込まれて設置され、鞘管挿入部37を鞘管27の内部で位置保持する。これにより、本発明を適用した透過型砂防堰堤1は、間隔保持部材39が間隙28の下流側Bに設置されるため、上流側Aから平面構造体3に巨礫、流木等が衝突した際の衝撃を、間隔保持部材39を介して立体構造体2に伝達させることができる。
間隙28は、鞘管挿入部37が差し込まれた状態で、鞘管27の入口で鞘管挿入部37の外周に図示しないシーリング材が注入される。これにより、本発明を適用した透過型砂防堰堤1は、間隙28に雨水、土砂等が入り込むことを防止することができる。
鞘管挿入部37は、図12に示すように、立体構造体2を介して隣り合う平面構造体3の鞘管挿入部37の端面37a同士が離れた状態となる。これにより、本発明を適用した透過型砂防堰堤1は、気温が高くなる等に起因して平面構造梁材33が熱膨張した場合であっても、隣り合う平面構造体3の鞘管挿入部37の端面37a同士が接触することがない。このため、本発明を適用した透過型砂防堰堤1は、端面37a同士の接触によって平面構造梁材33に圧縮力が作用することを防止することができる。
本発明を適用した透過型砂防堰堤1は、図5に示すように、立体構造体2の上流側柱材21の下部がコンクリートの基礎4に埋め込まれ、上流側柱材21の下端のフランジとともに、巨礫、流木等が衝突した際に作用する引張力及びせん断力に対抗することができる。また、本発明を適用した透過型砂防堰堤1は、立体構造体2の下流側柱材22の下部がコンクリートの基礎4に埋め込まれ、下流側柱材22の下端のフランジとともに、巨礫、流木等が衝突した際に作用する圧縮力及びせん断力に対抗することができる。
本発明を適用した透過型砂防堰堤1は、図5に示すように、平面構造体3の平面構造柱材31の下部がコンクリートの基礎4に埋め込まれ、平面構造柱材31の下端のフランジとともに巨礫、流木等が衝突した際に作用する引張力、圧縮力及びせん断力に対抗することができる。
本発明を適用した透過型砂防堰堤1は、図12に示すように、鞘管27に鞘管挿入部37を差し込んで挿入することにより、平面構造梁材33の両端部が立体構造体2に接続される。これにより、本発明を適用した透過型砂防堰堤1は、川幅方向Xの両端に設けられる立体構造体2と、これらの立体構造体2の間に設けられる平面構造体3とが一体化される。
さらに、本発明を適用した透過型砂防堰堤1は、図3、図4に示すように、川幅方向Xの中間に立体構造体2が設けられた場合に、中間の立体構造体2の両側に平面構造体3が設けられる。このとき、本発明を適用した透過型砂防堰堤1は、図12に示すように、鞘管27の両側から鞘管挿入部37が差し込まれて挿入され、平面構造梁材33が立体構造体2に接続される。これにより、本発明を適用した透過型砂防堰堤1は、川幅方向Xの中間に設けられる立体構造体2と、この立体構造体2の両側に設けられる平面構造体3とが一体化される。
本発明を適用した透過型砂防堰堤1は、川幅方向Xの両端に設けられる立体構造体2と、これらの立体構造体2の間に設けられる平面構造体3とが一体化され、川幅方向Xの中間に設けられる立体構造体2と、この立体構造体2の両側に設けられる平面構造体3とが一体化されることにより、立体構造体2と平面構造体3とが一体となって巨礫、流木等が衝突した際の衝撃を受け止め、巨礫、流木等を捕捉することができる。
本発明を適用した透過型砂防堰堤1は、コンクリートを打設することなく構築される立体構造体2が設けられるため、コンクリートの養生期間を必要とせずに、短期間で透過型砂防堰堤1を河川内に構築することができる。また、本発明を適用した透過型砂防堰堤1は、鞘管27に鞘管挿入部37を差し込んで挿入することによって平面構造梁材33の両端部が立体構造体2に接続されるため、平面構造梁材33の補修が必要となった場合に、鞘管挿入部37を鞘管27から取り外して、容易に平面構造梁材33の交換等を行うことができる。
本発明を適用した透過型砂防堰堤1は、立体構造体2に立体構造透過部26が形成されるため、立体構造透過部26が河川の水を通過させることができ、立体構造体2によって河川の流量が制限されることなく、透過型砂防堰堤1を設けることができる。
このように、本発明を適用した透過型砂防堰堤1は、立体構造体2と平面構造体3とが一体となって巨礫、流木等を捕捉することができるとともに、集中豪雨等によって河川が増水した場合であっても、河川の十分な流量を確保することができ、上流側Aにおける堰上げの発生を防止することが可能となる。
また、本発明を適用した透過型砂防堰堤1は、図13に示すように、河川の川幅方向Xの中間に設けられる立体構造体2と、河川の川幅方向Xの両端に設けられる複数の平面構造体3とを備え、平面構造体3の平面構造梁材33における一方の端部の鞘管挿入部37が立体構造体2の鞘管27に接続され、平面構造体3の平面構造梁材33における他方の端部の鞘管挿入部37が両袖部5に設けられた鞘管5aに接続されるものとしてもよい。これにより、河川の川幅方向Xの両端に立体構造体2を設けることなく、河川の川幅方向Xの中間に設けられる立体構造体2と、河川の川幅方向Xの両端に設けられる平面構造体3とによって、河川の流量を確保しながら、巨礫、流木等を捕捉することができる。
次に、本発明を適用した透過型砂防堰堤1の第2実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、上述した構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付すことにより以下での説明を省略する。
本発明を適用した透過型砂防堰堤1は、第2実施形態において、図14〜図17に示すように、立体構造体2における第1梁材23の両端部がそれぞれ2本の上流側柱材21の上部及び中間部に溶接等によって取り付けられ、上流側Aにおいて2本設けられる。本発明を適用した透過型砂防堰堤1は、第2実施形態において、立体構造体2における第3梁材25の両端部がそれぞれ2本の下流側柱材22の上部に溶接等によって取り付けられ、下流側Bにおいて1本設けられる。本発明を適用した透過型砂防堰堤1は、第2実施形態において、立体構造体2における第2梁材24の両端部がそれぞれ上流側柱材21及び下流側柱材22の上部に溶接等によって取り付けられ、立体構造体2の両側部にそれぞれ1本設けられる。立体構造体2は、河川の水を内部で流下させることができるように、上流側柱材21、下流側柱材22、第1梁材23及び第3梁材25によって形成される立体構造透過部26を有する。
立体構造体2は、第2実施形態において、図18に示すように、支持梁材27aの両端部がそれぞれ上流側柱材21及び下流側柱材22の上部に溶接等によって取り付けられ、立体構造体2の両側部にそれぞれ設けられる。鞘管27は、長手方向が川幅方向Xとなるように、立体構造体2の両側部に設けられた支持梁材27aの中間部に溶接等によって取り付けられる。
立体構造体2は、第2実施形態においても、上流側柱材21が、鉛直方向上方に向けて設けられるとともに、下流側柱材22が、下端から上端に向けて上流側A方向に傾斜して設けられてもよい。また、立体構造体2は、第2実施形態においても、上流側柱材21及び下流側柱材22が、鉛直方向上方に向けて設けられてもよい。また、立体構造体2は、第2実施形態においても、上流側柱材21の上部及び中間部に取り付けられる2本の第1梁材23のうち1本の第1梁材23を、第1梁材23に代えて上流側柱材21を連結する鞘管27を設けるものとしてもよい。さらに、立体構造体2は、第2実施形態においても、2本の上流側柱材21と1本の下流側柱材22とを有するものとしてもよい。
平面構造体3は、第2実施形態において、図14〜図17に示すように、平面構造梁材33の長手方向が川幅方向Xとなるように、平面構造柱材31が取り付けられる平面構造梁材33を有する。平面構造梁材33は、平面構造柱材31の上部が溶接等によって取り付けられる。平面構造体3は、河川の水を内部で流下させることができるように、平面構造柱材31及び平面構造梁材33によって形成される平面構造透過部36を有する。
平面構造体3は、第2実施形態において、図19に示すように、立体構造体2の鞘管27に平面構造梁材33の両端部を挿入することができるように、立体構造体2の鞘管27の内径よりも小さい外径の鞘管挿入部37を、平面構造梁材33の両端部に有する。
本発明を適用した透過型砂防堰堤1は、第2実施形態においても、上流側Aにおける堰上げの発生を防止することができるとともに、短期間で河川内に透過型砂防堰堤1を構築することができ、立体構造体2と平面構造体3とが一体となって巨礫、流木等が衝突した際の衝撃を受け止め、巨礫、流木等を捕捉することができる。
次に、本発明を適用した透過型砂防堰堤1の第3実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、上述した構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付すことにより以下での説明を省略する。
本発明を適用した透過型砂防堰堤1は、第3実施形態において、図20に示すように、河川の水深の深い場所において、第1実施形態に係る透過型砂防堰堤1が用いられ、水深の浅い場所において、第2実施形態に係る透過型砂防堰堤1が用いられる。
本発明を適用した透過型砂防堰堤1は、第3実施形態において、川幅方向Xの中間に設けられる第1実施形態に係る透過型砂防堰堤1の立体構造体2の上部の鞘管27に、第2実施形態に係る透過型砂防堰堤1の平面構造体3の上部の鞘管挿入部37が挿入される。
これにより、本発明を適用した透過型砂防堰堤1は、第3実施形態においても、上流側Aにおける堰上げの発生を防止することができるとともに、短期間で河川内に透過型砂防堰堤1を構築することができ、立体構造体2と平面構造体3とが一体となって巨礫、流木等が衝突した際の衝撃を受け止め、巨礫、流木等を捕捉することができる。
次に、本発明を適用した透過型砂防堰堤1の第4実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、上述した構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付すことにより以下での説明を省略する。
本発明を適用した透過型砂防堰堤1は、第4実施形態において、図21に示すように、河川の水深の深い場所において、第1実施形態に係る透過型砂防堰堤1が用いられ、水深の浅い場所において、第2実施形態に係る透過型砂防堰堤1が用いられる。
本発明を適用した透過型砂防堰堤1は、第4実施形態において、川幅方向Xの中間に設けられる第1実施形態に係る透過型砂防堰堤1の立体構造体2と、第2実施形態に係る透過型砂防堰堤1の立体構造体2とが、縁切りした状態で用いられる。
これにより、本発明を適用した透過型砂防堰堤1は、第4実施形態においても、上流側Aにおける堰上げの発生を防止することができるとともに、短期間で河川内に透過型砂防堰堤1を構築することができ、立体構造体2と平面構造体3とが一体となって巨礫、流木等が衝突した際の衝撃を受け止め、巨礫、流木等を捕捉することができる。
なお、本発明を適用した透過型砂防堰堤1は、立体構造体2が川幅方向Xの如何なる位置に設けられてもよい。例えば、本発明を適用した透過型砂防堰堤1は、図20、図21に示すように、基礎4が川幅方向Xに複数形成された場合に、それらの基礎4同士を繋ぐ目地部分4aを立体構造体2が跨がないように設けられ、目地部分4aにおける基礎4のずれが立体構造体2の構造耐力に影響を与えないものとすることができる。
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明したが、上述した実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
1 :透過型砂防堰堤
2 :立体構造体
21 :上流側柱材
22 :下流側柱材
23 :第1梁材
24 :第2梁材
25 :第3梁材
26 :立体構造透過部
27 :鞘管
27a :支持梁材
28 :間隙
3 :平面構造体
31 :平面構造柱材
33 :平面構造梁材
36 :平面構造透過部
37 :鞘管挿入部
37a :端面
38 :分枝鋼管
39 :間隔保持部材
4 :基礎
4a :目地部分
5 :両袖部
5a :鞘管
A :上流側
B :下流側
X :川幅方向
Y :上下流方向
Z :水深方向

Claims (7)

  1. 土砂災害を防止するために河川内で川幅方向に設けられる透過型砂防堰堤であって、
    河川の両岸に形成された両袖部の間に設けられる立体構造体と、前記立体構造体に隣接して設けられる平面構造体とを備え、
    前記立体構造体は、河川の上流側に設けられる複数の上流側柱材と、河川の下流側に設けられる下流側柱材と、前記複数の上流側柱材を連結する第1梁材と、前記上流側柱材と前記下流側柱材とを連結する第2梁材と、前記上流側柱材、前記下流側柱材及び前記第1梁材により形成された河川の水を流下させる透過部と、川幅方向に延びる鞘管とを有し、
    前記平面構造体は、河川の川幅方向に設けられる平面構造梁材と、前記平面構造梁材に取り付けられる平面構造柱材とを有し、前記平面構造梁材の端部が前記立体構造体の前記鞘管に挿入されて接続されること
    を特徴とする透過型砂防堰堤。
  2. 河川の川幅方向に設けられる複数の前記平面構造体を備え、
    前記複数の平面構造体は、河川の川幅方向の中間に設けられる前記立体構造体が有する前記鞘管の両側から前記平面構造梁材の端部が挿入されることで、前記平面構造梁材が前記鞘管を介して河川の川幅方向に一体化されること
    を特徴とする請求項1記載の透過型砂防堰堤。
  3. 前記鞘管は、前記第1梁材よりも河川の下流側に設けられること
    を特徴とする請求項1又は2記載の透過型砂防堰堤。
  4. 前記立体構造体は、前記複数の上流側柱材を連結する前記鞘管を有すること
    を特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載の透過型砂防堰堤。
  5. 河川の川幅方向の両端に前記両袖部から間隔をあけて設けられる複数の前記立体構造体と、前記複数の立体構造体の間に設けられる前記平面構造体とを備えること
    を特徴とする請求項1〜4の何れか1項記載の透過型砂防堰堤。
  6. 河川の川幅方向の中間に設けられる前記立体構造体と、河川の川幅方向の両端に設けられる複数の前記平面構造体とを備え、
    前記複数の平面構造体は、前記平面構造梁材の一方の端部が前記立体構造体に接続され、前記平面構造梁材の他方の端部が前記両袖部に設けられた鞘管に接続されること
    を特徴とする請求項1〜5の何れか1項記載の透過型砂防堰堤。
  7. 河川の川幅方向の両端及び中間に設けられる複数の前記立体構造体と、前記複数の立体構造体の間に設けられる複数の前記平面構造体とを備えること
    を特徴とする請求項1〜6の何れか1項記載の透過型砂防堰堤。
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