JP2023010888A - 流木捕捉工の設置構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】前記砂防堰堤10を切欠き又は嵩上げする等の大掛かりな作業の必要性がないことはもとより、流木捕捉工1を砂防堰堤10だけで片持ち状態で支持可能な構造を実現することにより、コンクリート基礎を無用化し、施工性、経済性、及び安定性に優れた流木捕捉工の設置構造を提供する。【解決手段】砂防堰堤10に対する流木捕捉工1の設置構造であって、複数の鋼製柱部材2がそれぞれ、前記砂防堰堤の上流側側面部から上流側へ突き出した土台部材3を介して片持ち状態で張り出して設けられて構成されている。前記鋼製柱部材2は、一例として、流木捕捉支柱(上流側鉛直材)2aと、上流側へ前傾させた下流側支え支柱(斜材)2bとが頭部同士を溶接により一体化されて河川の流れ方向に開脚する倒立レの字状に形成されている。【選択図】図1

Description

この発明は、砂防、治山等の目的で河川の横断方向に構築される堰堤(以下、「砂防堰堤」と総称する。)に対し、その上流側に鋼製柱部材等からなる流木捕捉工を設置する構造の技術分野に属する。
なお、前記砂防堰堤は、既設、新設を問わない。また、砂防堰堤上流側の満砂、未満砂状態も問わない。
近年、前記砂防堰堤について、下流側での災害をより効率よく防止するべく、当該砂防堰堤に流木捕捉機能を付加するように改良する要請がある。
前記したような砂防堰堤に流木捕捉機能を付加する手段は、砂防堰堤に対して切欠き又は嵩上げする等の大掛かりな作業が必要になる課題が指摘されていたが、例えば特許文献1、2に示すように、今年になって、前記大掛かりな作業を必要とすることなく砂防堰堤に流木捕捉工を導入できる技術が開示されている。
前記特許文献1には、流水を通す水通し部を有し、上流側に土砂が堆積した堰堤の近傍に河川の上流から流れてくる流木を捕捉する捕捉体を河川の掃流区間に設置する捕捉体の設置方法であって、河川の流れ方向に沿った前記水通し部から前記捕捉体までの距離をL1、流木長をL、移動限界粒径をDとしたときに、2×D≦L1≦1/2×Lの数式の関係を満たすように、前記捕捉体を前記水通し部の開口面全域に対向する位置で前記堰堤の上流側に堆積した土砂に設置することを特徴とする捕捉体の設置方法が開示されている(請求項1、及び図1、図2の記載等を参照)。
前記特許文献2には、既設の不透過型砂防堰堤に流木捕捉工を設けて改良する砂防堰堤改良構造であって、鋼管柱材と鋼管梁材とを縦横に接合してなる流木捕捉部材を、前記砂防堰堤の両袖部からそれぞれ上流側へ突き出した繋ぎ材と接合することにより、当該流木捕捉部材が前記砂防堰堤から上流側へ張り出して設けられてなることを特徴とする砂防堰堤改良構造が開示されている(請求項1、及び図1~図3の記載等を参照)。
前記特許文献1、2の[発明の効果]の項によれば、砂防堰堤に対して切欠き又は嵩上げする等の大掛かりな作業を必要とすることなく流木捕捉体を設置できるので、施工性、経済性に優れている旨の記載が認められる。
特開2017-72020号公報 特開2017-101507号公報
しかしながら、前記特許文献1、2に係る技術はともに、同文献1、2の各図面から明らかなように、流木捕捉工(捕捉体3等、流木捕捉部材3)をコンクリート製の基礎(基礎部33等、コンクリート基礎9)に設置することを必須の構成要件としている。
よって、コンクリートを打設するための手間やコストが掛かり、加えて満砂状態の砂防堰堤では堆積土の掘削(コンクリート基礎部の床掘)作業のための手間やコストも掛かるので、仮にコンクリート基礎を用いないで流木捕捉工を実現することができれば、必然的に前記した手間やコストがなくなり、施工性、経済性が向上することは明らかである。
その他、前記特許文献1に係る技術においては、捕捉体を支持しているのはコンクリート製の基礎部だけなので、堆砂上で設置する場合においては基礎(構造物)の支持力が不足することによる沈下、転倒、流出等が懸念される。さらに、未満砂状態の砂防堰堤では、必要となる捕捉体高さが高くなり不経済となる。
したがって、本発明は、上述した背景技術の課題に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、前記砂防堰堤を切欠き又は嵩上げする等の大掛かりな作業の必要性がないことはもとより、流木捕捉工を砂防堰堤だけで片持ち状態で支持可能な構造を実現することにより、コンクリート基礎を無用化し、施工性、経済性、及び安定性に優れた流木捕捉工の設置構造を提供することにある。
上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る流木捕捉工の設置構造は、砂防堰堤に対する流木捕捉工の設置構造であって、複数の鋼製柱部材がそれぞれ、前記砂防堰堤の上流側側面部から上流側へ突き出した土台部材を介して片持ち状態で張り出して設けられて成ることを特徴とする。
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した流木捕捉工の設置構造において、前記複数の鋼製柱部材は、互いの間隔が、想定される最大流木長の1/2以下に設定されていることを特徴とする。
請求項3に記載した発明は、請求項1又は2に記載した流木捕捉工の設置構造において、前記砂防堰堤の水通し部の上流側正面方向に2以上の鋼製柱部材が配置されるように構成されていることを特徴とする。
請求項4に記載した発明は、請求項1~3のいずれか1項に記載した流木捕捉工の設置構造において、前記砂防堰堤の両袖部の上流側正面方向にそれぞれ2以上の鋼製柱部材が配置されるように構成されていることを特徴とする。
請求項5に記載した発明に係る流木捕捉工の設置構造は、砂防堰堤に対する流木捕捉工の設置構造であって、鋼製柱材と鋼製梁材とを縦横に接合して一体化されてなる流木捕捉体が、前記砂防堰堤の両袖部からそれぞれ上流側へ突き出した左右の支持部材を介して片持ち状態で張り出して設けられて成ることを特徴とする。
請求項6に記載した発明は、請求項5に記載した流木捕捉工の設置構造において、前記流木捕捉体の鋼製柱材は、互いの間隔が、想定される最大流木長の1/2以下に設定されていることを特徴とする。
請求項7に記載した発明は、請求項5又は6に記載した流木捕捉工の設置構造において、前記流木捕捉体の鋼製柱材は、前記流木捕捉体は、砂防堰堤の水通し部の上流側正面方向に鋼製柱材が2本以上配置されるように構成されていることを特徴とする。
請求項8に記載した発明は、請求項5~7のいずれか1項に記載した流木捕捉工の設置構造において、前記流木捕捉体の鋼製柱材及び/又は鋼製梁材は、砂防堰堤本体の上流側側面部から上流側へ突設された土台部材で支持されていることを特徴とする。
請求項9に記載した発明は、請求項1~8のいずれか1項に記載した流木捕捉工の設置構造において、前記土台部材及び支持部材は、砂防堰堤本体にアンカーで固定されていることを特徴とする。
本発明に係る流木捕捉工の設置構造によれば、砂防堰堤を切欠き又は嵩上げする等の大掛かりな作業の必要性がないことはもとより、流木捕捉工を砂防堰堤だけで片持ち状態で支持可能な構造を実現できるので、コンクリート基礎を無用化でき、施工性、経済性、及び安定性に優れた流木捕捉工の設置構造を実現することができる。
具体的には、前記砂防堰堤を切欠き又は嵩上げする等の大掛かりな作業を省略して実現できるので、施工性、経済性に非常に優れている。また、前記流木捕捉工が、前記砂防堰堤から上流側へ片持ち状態で張り出した構成で実施するので、水通し部を閉塞させることなく流木等の流下物を効果的に捕捉することが可能となる。さらに、新設だけでなく、既設の未満砂状態でも流木捕捉工を設置することが可能となる。
流木等の流下物を砂防堰堤の面外方向へ張り出した流木捕捉工で捕捉する構成なので、流木捕捉後の除木作業においては、砂防堰堤の両袖部の存在が邪魔にならないオープンスペースでの作業を実現できる。よって、作業効率性に優れる。
前記砂防堰堤が満砂状態の場合に従来必須であったコンクリート基礎を構築するための土砂浚渫作業は一切必要としないので、作業性、経済性に非常に優れている。
その他、前記流木捕捉工の要所はフランジ接合で実施しているので、交換時の脱着作業や維持管理が容易である等、メンテナンス性にも非常に優れている。
Aは、本発明に係る流木捕捉工の設置構造の実施例1を示した側面図であり、Bは、同下流側からみた正面図であり、Cは、同平面図である。 Aは、本発明に係る流木捕捉工の設置構造の実施例2を示した側面図であり、Bは、同下流側からみた正面図であり、Cは、同平面図である。 Aは、本発明に係る流木捕捉工の設置構造の実施例3を示した側面図であり、Bは、同下流側からみた正面図であり、Cは、同平面図である。 Aは、本発明に係る流木捕捉工の設置構造の実施例4を示した側面図であり、Bは、同下流側からみた正面図であり、Cは、同平面図である。 Aは、本発明に係る流木捕捉工の設置構造の実施例5を示した下流側からみた正面図であり、Bは、AのB-B線矢視断面図であり、Cは、Aの平面図である。
次に、本発明に係る流木捕捉工の設置構造の実施例を図面に基づいて説明する。
図1A~Cは、実施例1に係る流木捕捉工の設置構造を示している。
図示例に係る流木捕捉工1の設置構造は、砂防堰堤10に対する流木捕捉工1の設置構造であって、複数の鋼製柱部材2がそれぞれ、前記砂防堰堤の上流側側面部から上流側へ突き出した土台部材3を介して片持ち状態で張り出して設けられて構成されている。
すなわち、本発明に係る流木捕捉工1の設置構造は、当該流木捕捉工1を支持するためのコンクリート基礎が(存在し)ない構成を大きな特徴としている。
前記鋼製柱部材2は、前記土台部材3で片持ち状態で支持可能な構成、さらにいえば、当該鋼製柱部材2と土台部材3とからなる流木捕捉工1が、全体で、流木等の流下物を捕捉可能なスリットを形成できることを条件に、図示例にかかわらず自在な形態に適宜設計変更して実施できる。
図示例に係る鋼製柱部材2は、あくまでも一例として、流木捕捉支柱(上流側鉛直材)2aと、上流側へ前傾させた下流側支え支柱(斜材)2bとが頭部同士を溶接により一体化されて河川の流れ方向に開脚する倒立レの字状に形成されている。一方、土台部材3は、前記流木捕捉支柱2aおよび下流側支え支柱2bの各下端部と同軸上に接合する2つの突出端部を備えた水平材3aと、方杖材(斜材)3bとが一端部同士を溶接により一体化して形成されている。そして、前記鋼製柱部材2の流木捕捉支柱2aおよびと下流側支え支柱2bと、前記水平材3aの2つの突出端部とがフランジ接合6、7され、当該水平材3aおよび方杖材3bの他端部(基端部)に設けられた共通のベースプレート4を介してアンカーボルト5により砂防堰堤10の上流側側面部に固定されることにより、前記流木捕捉工1の構成部材が構築される。
ちなみに図中の符号11は、水通し部、符号11aは、水通し部11の両端部を構成する袖小口、符号12は、袖部を示している。
本実施例では、上述した構成の鋼製柱部材2及び土台部材3と同形・同大のものを3つ用意し、前記砂防堰堤10の水通し部11の領域内にバランスよく等間隔に、側面方向から見て一致するように設置して流木捕捉工1を構築している。前記等間隔とは、本実施例では想定される最大流木長が5m程度であることを勘案し、その1/2の2.5m程度に設定して実施している。
なお、前記鋼製柱部材2の高さは、その天端を砂防堰堤10の袖天端に揃えた2.5m程度で実施されている。使用する鋼管はすべて、一例として、外径(φ)318.5mm、肉厚10.3のSTK490が好適に用いられている。
また、前記鋼製柱部材2は、前記砂防堰堤10との距離を、想定される最大流木長を基準に設定(決定)されている。ちなみに本実施例では、最大流木長を5m程度と想定し、前記流木捕捉支柱2aの軸芯(ダム軸)と前記砂防堰堤10(の上流側側面部)との距離を、2.5mに設定して実施している。
ちなみに、前記鋼製柱部材2の前記ダム軸に鉛直な流木捕捉支柱2aを用いている意義の1つとして、砂防堰堤10の袖部12の上流側が側面視鉛直形状(図1A参照)であることに合致させ、略平行配置とすることにより流木等の流下物を効果的に捕捉することが挙げられる。よって、仮に、前記袖部12の上流側を側面視傾斜形状で実施する場合は、前記鉛直な流木捕捉支柱2aに代えて、同袖部12と略平行な配置を実現する下流側へ前傾させた流木捕捉支柱を用いることが好ましい。
前記鋼製柱部材2及び前記土台部材3(流木捕捉工1)の使用本数、大きさは勿論上記に限定されず、想定される最大流木長はもとより、前記砂防堰堤10の規模、水通し部11の幅寸、洪水時の河川の性状(想定水位、想定流量、流木の流下幅)、および画像解析による流木の捕捉シミュレーション等を基に、適宜設計変更可能である。
特に、前記土台部材3は、方杖材3bを用いる等、前記鋼製柱部材2を片持ち状態でも十分に支持可能な強度・剛性を備えた構造で実施することに留意する。
ちなみに、前記鋼製柱部材2の高さは本実施例では2.5m程度で実施しているが、想定される捕捉流木量、流木捕捉による堰上げ水深に応じ、1~5mの範囲で適宜設計変更可能である。使用する鋼管径(φ)は20~50cm程度、鋼管肉厚は8~16mm程度の範囲内が好ましい。
本実施例に係る水通し部11の底幅寸は5m程度、袖小口の幅寸は各1m弱程度で実施されている。
したがって、本実施例1に係る流木捕捉工の設置構造によれば、砂防堰堤10を切欠き又は嵩上げする等の大掛かりな作業の必要性がないことはもとより、流木捕捉工1を砂防堰堤10だけで片持ち状態で支持可能な構造を実現できるので、コンクリート基礎を無用化でき、施工性、経済性、及び安定性に優れた流木捕捉工の設置構造を実現できる。
特には、前記流木捕捉工1が、前記砂防堰堤10から上流側へ片持ち状態で張り出した構成で実施するので、水通し部11を閉塞させることなく流木等の流下物を効果的に捕捉することが可能となる。
具体的に説明すると、前記流木捕捉工1が、水通し部11(底幅5m程度)側の前方(上流側正面方向)に最大流木長の1/2以下である2.5mの張り出した位置に3つの鋼製柱部材2(特には流木捕捉支柱2a)が左右にバランスよく2.5mの間隔をあけて、土台部材3によって片持ち状態で立ち上がる構造で実施されている。
よって、河川を流下する流木等の流下物は、想定される最大流木長の1/2以下の間隔(2.5m)に設置した前記鋼製柱部材2、ひいては流木捕捉工1によって確実に捕捉でき、当該流木捕捉工1の背後(後方)に回り込もうとする流木等の流下物は、流木捕捉工1の鋼製柱部材2及び土台部材3(特には下流側支え支柱2b)によって確実に捕捉でき、もって、流木等の流下物の下流側への流出を効果的に防止することができる。
図2A~Cは、実施例2に係る流木捕捉工の設置構造を示している。
この実施例2に係る流木捕捉工20の設置構造は、上記実施例1と比し、当該流木捕捉工20の構成部材である鋼製柱部材2(及び土台部材3)を、水通し部11の上流側正面方向だけではなく、両袖部12の上流側正面方向にもそれぞれ2以上(図示例では2つ)増量させた点が相違する。
よって、この実施例2に係る流木捕捉工20の設置構造は、流木捕捉工20を支持するためのコンクリート基礎がない構成で実施する等、上記実施例1と同様のコンセプトで実施していることに変わりはないので、やはり上記実施例1と同様の作用効果を奏する(前記段落[0028]参照)。加えて、上記実施例1よりも流木の流下幅が広大な河川に対しても適用可能という利点もある。その他、水通し部11近傍の両袖部12、12を保護する役割も果たす。
図3A~Cは、実施例3に係る流木捕捉工の設置構造を示している。
この実施例3に係る流木捕捉工30の設置構造は、砂防堰堤10に対する流木捕捉工30の設置構造であって、鋼製柱材31と鋼製梁材32とを縦横に接合して一体化されてなる流木捕捉体が、前記砂防堰堤10の両袖部12、12からそれぞれ上流側へ突き出した左右の支持部材33を介して片持ち状態で張り出して設けられて構成されている。
すなわち、本発明に係る流木捕捉工30の設置構造もまた、当該流木捕捉工30を支持するためのコンクリート基礎が(存在し)ない構成を大きな特徴としている。
前記流木捕捉工30の主たる構成要素である前記流木捕捉体は、要するに、前記支持部材33で片持ち状態で支持可能な構成、さらにいえば、当該流木捕捉体と支持部材33とからなる流木捕捉工30が、全体で、流木等の流下物を捕捉可能なメッシュ構造を形成できることを条件に、図示例にかかわらず自在な形態に適宜設計変更して実施できる。
図示例にかかる流木捕捉体は、2本の鋼製柱材31と2本の鋼製梁材32とを、要所でフランジ接合34により適宜継ぎ足して縦横に配置してなる構成で実施されている。ちなみに図示例では、2本の鋼製柱材31を最大流木長の1/2である2.5mの間隔をあけて、前記水通し部11の面外方向にバランスよく設けて実施している。
また、前記2本の鋼製梁材32は、その両端部が、前記砂防堰堤10の両袖部12、12から上流側正面方向に略水平に突き出した上下2段の支持部材33と接合することにより当該砂防堰堤10に固定されている。前記支持部材33は、その基端部が、ベースプレート35を前記砂防堰堤10の上流側側面部に当てがいアンカーボルト36を打設することにより固定され、その先端部が、前記鋼製梁材32の両端部と溶接により接合されている。
前記フランジ接合34に係る「要所」とは、損傷又は老朽化した鋼管材を容易に交換するのに適した部位、さらに言えばコンクリートを極力破砕せずに交換できる部位を指す。例えば、前記鋼製梁材32は、前記砂防堰堤10から突き出した支持部材33等と切り離して交換できるようにフランジ接合されている。
かくして、前記流木捕捉体は、その両腕部(鋼製梁材2の両端部)は支持部材33を介して前記砂防堰堤10に強固に接合された片持ち状態の張り出し構造とされ、平面方向からみると、鋼製梁材32と砂防堰堤10とこれらを繋ぐ支持部材33とで、略枠状のポケットPを形成する構成で実施されている。
なお、前記鋼製柱材31の高さは、その天端を砂防堰堤10の袖天端(図示例では袖小口肩)に揃えた2.5m程度で実施されている。使用する鋼管はすべて、一例として、外径(φ)318.5mm、肉厚10.3のSTK490が好適に用いられている。
また、前記鋼製柱材31を備えた流木捕捉体は、前記砂防堰堤10との距離を、想定される最大流木長を基準に設定(決定)されている。ちなみに本実施例では、最大流木長を5m程度と想定し、前記鋼製柱材31の軸芯(ダム軸)と前記砂防堰堤10(の上流側側面部)との距離を、2.5mに設定して実施している。
ちなみに、前記流木捕捉体の前記鋼製柱材31(ダム軸)を鉛直方向で実施している意義の1つとして、砂防堰堤10の袖部12の上流側が側面視鉛直形状(図3A参照)であることに合致させ、略平行配置とすることにより流木等の流下物を効果的に捕捉することが挙げられる。よって、仮に、前記袖部12の上流側を側面視傾斜形状で実施する場合は、同袖部12と略平行な配置となるように、やはり前記流木捕捉体の前記鋼製柱材31を傾斜させて実施することが好ましい。
前記鋼製柱材31、鋼製梁材32、又は支持部材33(流木捕捉工30)の使用本数、大きさは勿論上記に限定されず、想定される最大流木長はもとより、前記砂防堰堤10の規模、水通し部11の幅寸、洪水時の河川の性状(想定水位、想定流量、流木の流下幅)、流木を捕捉するのに適正な間隔、および画像解析による流木の捕捉シミュレーション等を基に、適宜設計変更可能である。
特に、前記支持部材33は、前記流木捕捉体を片持ち状態でも十分に支持可能な強度・剛性を備えた構造で実施することに留意する。
ちなみに、前記鋼製柱材31の高さは本実施例では2.5m程度で実施しているが、想定される捕捉流木量、流木捕捉による堰上げ水深に応じ、1~5mの範囲で適宜設計変更可能である。もっとも、前記鋼製柱材31の頂部、及び同頂部へ接合される上段の鋼製梁材32の高さ位置は、流木等の流下物を効果的に捕捉できるように河川の水位よりも若干高く設定されている。使用する鋼管径(φ)は20~50cm程度、鋼管肉厚は8~16mm程度の範囲内が好ましい。
かくして、前記流木捕捉工30の設置構造は、前記砂防堰堤10の両袖部12、12にそれぞれ、上記構成のベースプレート35を備えた支持部材33と、鋼製梁材32の端部を構成するL字状鋼管材とを接合することにより、もって、前記流木捕捉工30の本体(中央部)を設置できる土台を構築する。
しかる後、前記流木捕捉工30の本体を前記土台の各所のフランジへ位置決めし、対応する部位をフランジ接合34することにより、もって、水平方向に長い略井桁状の流木捕捉工30が前記砂防堰堤10から上流側に片持ち状態で張り出した張り出し構造を実現することができる。
したがって、本実施例3に係る流木捕捉工の設置構造によれば、砂防堰堤10を切欠き又は嵩上げする等の大掛かりな作業の必要性がないことはもとより、流木捕捉工30を砂防堰堤10だけで片持ち状態で支持可能な構造を実現できるので、コンクリート基礎を無用化でき、施工性、経済性、及び安定性に優れた流木捕捉工の設置構造を実現できる。
特には、前記流木捕捉工30が、前記砂防堰堤10から上流側へ片持ち状態で張り出した構成で実施するので、水通し部11を閉塞させることなく流木等の流下物を効果的に捕捉することが可能となる。
具体的に説明すると、前記流木捕捉工30が、前記ポケットPの領域を確保した上で、水通し部11(底幅5m程度)側の前方(上流側正面方向)2.5mの張り出した位置に2本の鋼製柱材31が左右にバランスよく2.5mの間隔をあけて、支持部材33によって片持ち状態で立ち上がる構造で実施されている。
よって、河川を流下する流木等の流下物は、想定される最大流木長の1/2の間隔(2.5m)に設置した前記鋼製柱材31、ひいては流木捕捉工30によって確実に捕捉でき、当該流木捕捉工30の背後(後方)に回り込もうとする流木等の流下物は、流木捕捉工30の支持部材33によって確実に捕捉でき、もって、流木等の流下物の下流側への流出を効果的に防止することができる。
加えて、仮に流木捕捉工30が流木等の流下物で閉塞されても、当該閉塞部位から溢れた河川水は、前記ポケットPの領域内へ流れ込んで水通し部11を通過する。言うなれば、前記流木捕捉工30がフィルターの役割を果たすので、水通し部11が閉塞する虞はなく、安全で良好な流水を維持すること可能となる。
図4A~Cは、実施例4に係る流木捕捉工の設置構造を示している。
この実施例4に係る流木捕捉工40の設置構造は、上記実施例1に対する実施例2の関係と同様に、上記実施例3と比し、砂防堰堤10の形態に応じて、鋼製柱材31を水通し部11の上流側正面方向だけではなく、両袖部12の上流側正面方向にも設けたことに伴い、全体として、鋼製柱材31の使用本数を2本から7本に増大させた点、鋼製梁材32を長尺化させた点が主に相違するに過ぎない。
よって、この実施例4に係る流木捕捉工40の設置構造は、流木捕捉工40を砂防堰堤10だけで片持ち状態で支持可能な構造を実現できるので、コンクリート基礎を無用化でき、施工性、経済性、及び安定性に優れた流木捕捉工の設置構造を実現できる等、上記実施例3と同様のコンセプトで実施していることに変わりはないので、やはり上記実施例3と同様の作用効果を奏する(前記段落[0037]参照)。さらに言えば、上記実施例3よりも流木の流下幅が広大な河川に対しても適用可能という利点もある。
なお、図5に示したように、鋼製梁材32を長尺化させたことに伴う流木捕捉工40全体の安定化が懸念される場合(特には水通し部11の幅の増大等)は、流木捕捉体の鋼製柱材31及び/又は鋼製梁材32(特には中央部に配置する鋼製柱材31)に対し、砂防堰堤10本体の上流側側面部から上流側へ突設された土台部材3(水平材3a及び方杖材3b)で補剛した構造で実施することも勿論できる。これにより鋼製梁材32が負担する荷重を分担し、スパンを短くすることができ、部材寸法が大きくなるのを防止し、合理的な構造設計とすることができる。
以上、上記実施例1~5を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために言及する。
たとえば、前記流木捕捉工1、20、30、40はすべて、河川の流れ方向に延在する水通し部中央ラインを対称軸とする線対称配置に設置して実施しているがこれに限定されない。洪水時の河川の性状(想定水位、想定流量、掃流区間)等に応じて非線対称配置で実施することも勿論できる。
1 流木捕捉工
2 鋼製柱部材
2a 鉛直材
2b 斜材
3 土台部材
3a 水平材
3b 方杖材
4 ベースプレート
5 アンカーボルト
6 フランジ接合(フランジ)
7 フランジ接合(フランジ)
10 砂防堰堤
11 水通し部
11a 袖小口
12 袖部
20 流木捕捉工
30 流木捕捉工
31 鋼製柱材
32 鋼製梁材
33 支持部材
34 フランジ接合(フランジ)
35 ベースプレート
36 アンカーボルト
40 流木捕捉工

Claims (9)

  1. 砂防堰堤に対する流木捕捉工の設置構造であって、
    複数の鋼製柱部材がそれぞれ、前記砂防堰堤の上流側側面部から上流側へ突き出した土台部材を介して片持ち状態で張り出して設けられて成ることを特徴とする、流木捕捉工の設置構造。
  2. 前記複数の鋼製柱部材は、互いの間隔が、想定される最大流木長の1/2以下に設定されていることを特徴とする、請求項1に記載した流木捕捉工の設置構造。
  3. 前記砂防堰堤の水通し部の上流側正面方向に2以上の鋼製柱部材が配置されるように構成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載した流木捕捉工の設置構造。
  4. 前記砂防堰堤の両袖部の上流側正面方向にそれぞれ2以上の鋼製柱部材が配置されるように構成されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載した流木捕捉工の設置構造。
  5. 砂防堰堤に対する流木捕捉工の設置構造であって、
    鋼製柱材と鋼製梁材とを縦横に接合して一体化されてなる流木捕捉体が、前記砂防堰堤の両袖部からそれぞれ上流側へ突き出した左右の支持部材を介して片持ち状態で張り出して設けられて成ることを特徴とする、流木捕捉工の設置構造。
  6. 前記流木捕捉体の鋼製柱材は、互いの間隔が、想定される最大流木長の1/2以下に設定されていることを特徴とする、請求項5に記載した流木捕捉工の設置構造。
  7. 前記流木捕捉体は、砂防堰堤の水通し部の上流側正面方向に鋼製柱材が2本以上配置されるように構成されていることを特徴とする、請求項5又は6に記載した流木捕捉工の設置構造。
  8. 前記流木捕捉体の鋼製柱材及び/又は鋼製梁材は、砂防堰堤本体の上流側側面部から上流側へ突設された土台部材で支持されていることを特徴とする、請求項5~7のいずれか1項に記載した流木捕捉工の設置構造。
  9. 前記土台部材及び支持部材は、砂防堰堤本体にアンカーで固定されていることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載した流木捕捉工の設置構造。
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