JP7240796B2 - 流木捕捉工 - Google Patents
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Description
しかしながら、従来の流木捕捉工は、例えば特許文献1、2に示したように、砂防堰堤等に鋼製の柱部材からなる流木捕捉体を打設コンクリート(基礎コンクリート)で一体化させたような大掛かり(大規模)な構造が主流であり、緊急対策工や小規模渓流には適用できない。
しかし、土砂が堆積するまで、又は土石流が発生するまで土砂の重量は期待できず、杭部37cで抵抗力を得るためには深度方向に長い杭が必要となるので、杭の打ち込み作業、掘削作業が困難であり工期が長期化する虞があった。
また、長い杭を土砂内に埋設させるため、一体に形成してクレーンなどで埋設、設置することも困難である等、緊急対策工や小規模渓流に適用するには解決するべき課題が残されている。
前記流木捕捉柱よりも上流側に位置する前記基材及び/又は前記横繋ぎ材に、鉛直方向に延びる錘支持柱材が立設されてなることを特徴とする。
コンクリートの打設作業を行うことなく、迅速かつ容易に流木捕捉工を所定の部位に安定した状態で確実に設置することができる。よって、現場での打設コンクリートを無用化し、大掛かりな作業を省略化した構築作業を行い得る。
加えて、一旦設置した流木捕捉工を必要に応じて容易に配置変更できるので、例えば河川周辺の環境変化に伴う画像解析による流木の捕捉シミュレーション等の設計変更に柔軟に対応できる等、設置の自由度が非常に高い。
したがって、施工性、経済性、及び柔軟性(自在性)に優れ、緊急対策工や小規模渓流に好適な流木捕捉工を実現できる。
ちなみに、前記流木捕捉工10は、前記基本構造に補強部材6、杭部材7を付設して前記流木捕捉工10の剛性や安定性を更に高める工夫を施している。
以下、前記流木捕捉工10を構成する部材について具体的に説明する。
前記基材1は、外径が320mm程度、肉厚が10mm程度、長さが4200mm程度の端部を閉塞した丸形鋼管で実施している。前記基材1の形態(大きさ、形状)は勿論これに限定されず、構造設計に応じて適宜設計変更可能である。丸形鋼管の代わりにH形鋼(図7、図8に示した流木捕捉工40等参照)でも実施できるし、角形鋼管(図示略)でも実施できる。
前記流木捕捉柱2は、外径が320mm程度、肉厚が10mm程度、頂部の吊り金具を除いた高さが2700mm程度の丸形鋼管で実施している。前記流木捕捉柱2の形態も勿論これに限定されず、構造設計に応じて適宜設計変更可能である。
上記構成の前記基材1と前記流木捕捉柱2とからなる略逆T字状の前記流木捕捉ユニット3は、図示例では2セットを2m程度の間隔をあけて並立させて実施しているが勿論これに限定されず、構造設計に応じて所定の間隔をあけた3セット以上の流木捕捉ユニット3で実施することもできる。
また、前記横繋ぎ材4は、左右2本の基材1、1の間に2本の横繋ぎ材4を所定の間隔(2400mm程度)をあけて平行に配置し、前記2本の基材1、1を溶接等の接合手段で連結しているがこれに限定されない。例えば、図5に示した流木捕捉工20のように、左右2本の流木捕捉柱2、2の上端部を横繋ぎ材4で連結して実施する場合もあるし、図6に示した流木捕捉工30のように、左右2本の流木捕捉柱2、2の上端部と中間部とを上下2段に配置した横繋ぎ材4、4で連結して実施する場合もある。
要するに、左右に並立させた流木捕捉ユニット3(基材1、流木捕捉柱2)のどの部分を、どのような部材で何本用いて連結する等の設計は、流木捕捉柱2の捕捉形態も勘案した構造設計に応じて適宜決定される。ちなみに、前記横繋ぎ材4を前記左右2本の流木捕捉柱2、2の間に架設する場合には流木捕捉部材としての役割も果たす。
ちなみに図示例に係る錘支持柱材5は、前記左右の基材1、1における前記流木捕捉柱2よりも上流側部分の略中央部に溶接等の接合手段で立設させているがこれに限定されない。例えば、図9、図10に示した流木捕捉工50のように、上流側の横繋ぎ材4の略中央部に1本立設させて実施する場合もある。
要するに、前記錘支持柱材5は、前記流木捕捉柱2よりも上流側の任意の部位、具体的には、流木を捕捉した流木捕捉柱2(流木捕捉工10等)が後方(下流側D)へ転倒することを確実に防止するために前記錘8によるカウンタウエイト効果を発揮させるのに好適な部位に設けて実施する。
ちなみに図示例に係る補強部材6は、前記流木捕捉柱2と同一断面形状の丸形鋼管で実施されている。
なお、前記補強部材6は、想定される流木の形態(最大流木長等)、河川の性状等を勘案した構造設計に応じて適宜設計変更可能である。よって前記構造設計の結果次第では、図12、図13に示したように、前記補強部材6がない流木捕捉工60でも十分に実施可能である。
ちなみに図示例に係る杭部材7は、外径が190mm程度、肉厚が9mm程度、高さ(深さ)が450mm程度の丸形鋼管で実施している。
なお、前記杭部材7は、河床の性状等を勘案した構造設計に応じて適宜設計変更可能である。よって前記構造設計の結果次第では、図示は省略するが前記杭部材7がない流木捕捉工でも十分に実施可能である。
前記錘(コンクリートブロック8)の重量は、1体あたり3000kg程度で実施しているが勿論これに限定されない。前記したような錘8によるカウンタウエイト効果を適性に発揮させるのに好適な形態(重量、形状)を勘案した構造設計に応じて適宜設計変更可能である。
貫通孔を有するコンクリートブロック(孔あきコンクリートブロック)8の形態バリエーションについては、改めて説明するまでもなく実に様々な形態が開示され実施に供されている。例えば、複数のコンクリートブロック8を近接させて実施する場合、図3、図11等に示したような突き合わせタイプで実施するほか、図示は省略するが、隣接する一方のコンクリートブロックの凸部を他方のコンクリートブロックの凹部に嵌合可能な噛み合わせタイプで実施したり、突き出し鉄筋(挿入鉄筋)を備えたコンクリートブロックを採用し、双方の突き出し鉄筋を連結金具で連結したりして、隣接するコンクリートブロック同士を連結してコンクリートブロック全体の安定性を高めるような工夫は適宜行われるところである。
次に、一体的に構築されている流木捕捉工10(図1参照)を所定箇所に設置する。
次に、前記流木捕捉工10に設けた2つの錘支持柱材5、5にそれぞれコンクリートブロック8、8を串刺し状に挿入して掛け止める。
しかる後、前記コンクリートブロック8、8の上面のYレベル(又は下面レベル)まで埋め戻して前記流木捕捉工10の設置作業を終了する。
前記流木捕捉工10を例えば河川の幅方向に複数体並設する場合、上記手順を繰り返し行ってもよいし、又は床掘り作業を複数体相当分広げて行う等、纏めて行ってもよい。
また、前記埋め戻し作業は、構造設計に応じて図4のXレベルで止めてもよい。すなわち、埋め戻し作業は適宜行う程度で河床面をXレベルに設定して実施することもできる。この場合は前記杭部材7の周辺のみ床掘りして前記流木捕捉工10を設置する。
ちなみに、図4の流木捕捉工10に係る流木捕捉柱2は、河床面(前記Xレベル)から上方に2.2m程度に突き出した寸法で実施しているがこれに限定されない。この寸法も構造設計に応じて適宜設更されるが、通常、1~3m程度に設定されることが多い。
加えて、一旦設置した流木捕捉工10等を必要に応じて容易に配置変更できるので、例えば河川周辺の環境変化に伴う画像解析による流木の捕捉シミュレーション等の設計変更に柔軟に対応できる等、設置の自由度が非常に高い。
したがって、施工性、経済性、及び柔軟性(自在性)に優れ、緊急対策工や小規模渓流に好適な流木捕捉工を実現できる。
例えば、構造設計によっては、図14、図15に示したように、図1の基材1よりも長さが短い基材1を用い、前記基材1の下流側端部と前記流木捕捉柱2とが補強部材6で連結されて全体的にコンパクト化した流木捕捉工70で実施することも勿論可能である。
図16は、底面部と壁面部とからなり上面を開口した箱形タイプの鋼製の錘収容部材9を前記流木捕捉工10の錘支持柱材5(及び/又は杭部材7)に位置決め可能に孔をあけた構成の実施例を示している。この錘収容部材9内に、図示を省略したブロックや土砂等を詰め込み、流木捕捉工10のカウンタウエイト効果やずり動き防止効果をより高めることができる。例えば、前記錘支持柱材5に錘収容部材9を設けると、前記錘支持柱材5に掛け止めることができない錘も錘収容部材9に収容(投入)することで容易に錘の役割を果たすことができる。前記錘収容部材9は、前記錘支持柱材5に設けて実施することもできるし(実線参照)、前記杭部材7に設けて実施することもできるし(破線参照)、双方に設けて実施することもできる。
その他、前記コンクリートブロック8以外の錘は、実に様々なものが使用できるので図示の便宜上省略しているが、例えば、前記錘支持柱材5を通す貫通孔が穿設された鋼板(鉄板)を1枚又は複数枚串刺し状に設けても十分に錘の役割を果たすことができる。
2 流木捕捉柱
3 流木捕捉ユニット
4 横繋ぎ材
5 錘支持柱材
6 補強部材
7 杭部材
8 錘(コンクリートブロック)
9 錘収容部材
10 流木捕捉工
20 流木捕捉工
30 流木捕捉工
40 流木捕捉工
50 流木捕捉工
60 流木捕捉工
70 流木捕捉工
U 上流側
D 下流側
Claims (12)
- 河川の流れ方向に延びる基材と、前記基材から立ち上がり流木を捕捉する流木捕捉柱とからなる流木捕捉ユニットが河川の幅方向に複数設けられ、隣り合う前記流木捕捉ユニット同士が横繋ぎ材で連結され、
前記流木捕捉柱よりも上流側に位置する前記基材及び/又は前記横繋ぎ材に、鉛直方向に延びる錘支持柱材が立設されてなることを特徴とする、流木捕捉工。 - 前記錘支持柱材に、錘が掛け止められていることを特徴とする、請求項1に記載した流木捕捉工。
- 前記錘支持柱材に、コンクリートブロックが掛け止められていることを特徴とする、請求項1又は2に記載した流木捕捉工。
- 前記コンクリートブロックは貫通孔が形成されており、前記貫通孔を利用して前記錘支持柱材に串刺し状に掛け止められていることを特徴とする、請求項3に記載した流木捕捉工。
- 前記錘支持柱材に掛け止められた隣接する前記コンクリートブロック同士は連結されていることを特徴とする、請求項3又は4に記載した流木捕捉工。
- 前記基材における前記流木捕捉柱よりも下流側部分と前記流木捕捉柱とが補強部材で連結されていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載した流木捕捉工。
- 前記基材の下流側端部と前記流木捕捉柱とが補強部材で連結されていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載した流木捕捉工。
- 前記基材に、杭部材が下向きに設けられていることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載した流木捕捉工。
- 底面部と壁面部とからなる錘収容部材が前記錘支持柱材及び/又は前記杭部材に位置決め可能な構成で設けられていることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載した流木捕捉工。
- 隣り合う前記流木捕捉ユニット同士は、2m程度の間隔をあけて設けられていることを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載した流木捕捉工。
- 前記流木捕捉柱は、河床面から上方に1~3m程度の高さ突き出されていることを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載した流木捕捉工。
- 前記基材は、H形鋼、丸形鋼管、又は角形鋼管であることを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載した流木捕捉工。
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