JP7039128B2 - 流木捕捉工 - Google Patents
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Description
この鋼製スリットダムは、例えば特許文献1~3に開示されているように様々な形状、構造の技術があるが、特に流木対策として設置する場合、流木の捕捉性能はもちろんのこと、施工性、経済性に優れ、また、捕捉した流木の撤去容易性が要請されるところ、前記特許文献1~3に係る技術はこれらの要請を良好に満たし、近年もその需要が高まっている。
前記鋼製柱部材は、少なくとも1本の流木捕捉支柱からなり、前記流木捕捉支柱の上部に、前記鋼製柱部材に用いる鋼管よりも細径の鋼管である流木越流抑制部材が、前記鋼製柱部材を本体とする補助部材として前記流木捕捉支柱の天端よりも高くなるように上流側へ突き出して設けられて成ることを特徴とする。
(1)鋼製柱部材(流木捕捉支柱)に流木越流抑制部材を補助部材として付設することにより、流木捕捉工の本体(鋼製柱部材)の高さをそのまま変えることなく、流木の捕捉効果を飛躍的に高めることができる。
具体的には、前記流木越流抑制部材を前記流木捕捉支柱の上部から斜め前方に向けて突設させることにより、流木越流抑制部材を付設しない場合と比し、前記流木捕捉支柱の支柱本体の上流側へ衝突する流木を適宜抑え込んで(堰き止めて)ホールドし、効果的に流木の捕捉本数を増量させることができるので、必然的に下流側へ流出(越流)する流木を低減できる。
(2)補助部材として、前記流木越流抑制部材を付設するだけで実現できるので、簡易、かつ経済的に流木捕捉効果を飛躍的に高めることができ、費用対効果に非常に優れている。また、流木捕捉工を新設する場合はもとより、既設の流木捕捉工(鋼製スリットダム)にも適用できる。
(3)まとめると、流木対策として従来から要求される、施工性、経済性、および捕捉した流木の撤去容易性を良好に保持しつつ、特に、流木の捕捉性能を飛躍的に高めた流木捕捉工を実現することができる。
要するに、本発明は、前記流木越流抑制部材を新たに開発したことを主な特徴とする。具体的には、従来の流木捕捉工(鋼製スリットダム)を構成する鋼製柱部材に、本発明に係る流木越流抑制部材を、柱本体よりも高く、かつ上流側に突き出す構成で補助部材として付設することにより流木の捕捉効果を飛躍的に高めることを主たる特徴とする。
したがって、本発明は、新設、既設を問わず、流木捕捉工(鋼製スリットダム)を構成するすべての鋼製柱部材を適用対象物とすることができ、以下に説明する実施例(図示例)に係る鋼製柱部材の形態はあくまでも一例に過ぎない。例えば、前記特許文献1~3に係る鋼製柱部材(自立式山形鋼管材、又は自立式鋼管材)にも当然に適用できることを念のため特記しておく。
以上を踏まえ、以下、本発明に係る流木捕捉工の実施例を図面に基づいて説明する。
なお、前記流木捕捉工10は、堰堤11、11の間(面内方向)に設けて実施しているが、設置場所は堰堤11間に限らない。また、前記鋼製柱部材1は自然河床やコンクリート基礎9以外に立設する場合もある。
一方、前記下流側支え支柱3は、所要の角度(符号L参照。図示例では水平面に対して60度程度)に傾斜した支え支柱本体3aと、前記流木捕捉支柱2側の接合部2cと連結するための接合部3bと、前記支え支柱本体3a及び接合部3bの端部にそれぞれ設けられる円盤状(又はリング状)フランジ3c、3dとが溶接により一体化して形成されている。
要するに、前記鋼製柱部材1は、1本の流木捕捉支柱2と1本の下流側支え支柱3との二分割構造で現場に搬送され、現場で突き合わせ接合する構成で実施される。
ちなみに、図中の符号5は、リブで補強されたベースプレートを示している。
例えば、前記鋼製柱部材1の有効高さは2~6mの範囲内、鋼管材のサイズは径300~600mm、肉厚8~14mmの範囲内が好適とされる。
また、隣接する前記鋼製柱部材1、1同士の設置間隔は、設置する現場の調査結果から決められるため一様でなく状況に応じて適宜設計変更されるが、一般的に1~7m程度の間隔が採用される。
具体的に、本実施例に係る流木越流抑制部材8は、前記鋼製柱部材1に用いる鋼管よりも細径の鋼管(外径(φ)190.7mm、肉厚8.2mmのSTK490)が採用され、前記支柱本体2aの上部であって、前記流木越流抑制部材(鋼管)8の軸線と前記支え支柱本体3aの軸線とが略一致するように、当該支え支柱本体3aの軸延長方向に沿って設けられている。
また、流木越流抑制部材(鋼管)8は、水平面に対する傾斜角度(符号M参照)が60度程度に設定され、仕口部が、接合相手の前記支柱本体2aの外周面形状と曲率が略一致する平面視凹曲面形状に切断加工され、当該支柱本体2aの外周面に溶接接合されている
。さらに、前記流木越流抑制部材8は、前記流木捕捉支柱2(支柱本体2a)の天端よりも、想定される最大流木径の2倍以上、50cm未満の範囲内で高く設けて実施されている。
その一方、前記流木越流抑制部材8を、前記流木捕捉支柱2(支柱本体2a)の天端よりも50cm未満に設定するのは、50cm以上高く設定すると、前記流木越流抑制部材8は、もはや補助部材とはみなされず、単にサイズアップした鋼製柱部材1とみなされ、その結果、所定の強度・剛性を求められるので、煩雑で、不合理かつ不経済であるからである。
なお、流木越流抑制部材8の傾斜角度はもちろん60度程度に限定されるものではなく、45~60程度の範囲内で好適に実施される。これは、本出願人の経験値のほか、流木越流抑制部材8に作用する衝撃力(曲げモーメント)や現状の溶接技術等を勘案して導き出されている。
また、補助部材として、前記流木越流抑制部材8を付設するだけで実現できるので、簡易、かつ経済的に流木捕捉効果を飛躍的に高めることができ、費用対効果に非常に優れている。また、流木捕捉工10を新設する場合はもとより、既設の流木捕捉工(鋼製スリットダム)10にも適用できる。
まとめると、流木対策として従来から要求される、施工性、経済性、および捕捉した流木の撤去容易性を良好に保持しつつ、特に、流木の捕捉性能を飛躍的に高めた流木捕捉工10を実現することができる。
この実施例2に係る流木捕捉工10は、上記実施例1に係る流木捕捉工10と比し、サイズが若干異なることはさておき、主として、本発明に係る流木越流抑制部材8の適用対象物である鋼製柱部材1の形態が相違する。なお、前記流木越流抑制部材8の実施形態を含む技術的思想は、上記実施例1と同様である(前記段落[0021]、[0022]参照)。
具体的に、図7に係る鋼製柱部材21は、上記実施例1に係る鋼製柱部材1と比し、当該鋼製柱部材1の繋ぎ材(接合部2c、3b)に相当する部材がなく、いわゆる流木捕捉支柱22と下流側支え支柱23とで倒立略レの字形に開脚する構成で実施している点が相違する。
図8に係る鋼製柱部材31は、上記実施例1に係る鋼製柱部材1と比し、当該鋼製柱部材1の繋ぎ材(接合部2c、3b)に相当する部材がなく、また、流木捕捉支柱32と下流側支え支柱33とで倒立V字形に開脚する構成で実施している点が相違する。
図9に係る鋼製柱部材41は、上記実施例1に係る鋼製柱部材1と比し、繋ぎ部が一切なく、流木捕捉支柱42と下流側支え支柱43とを予め一体化された構成で実施している点が相違する。
図10に係る鋼製柱部材51は、上記実施例1に係る鋼製柱部材1と比し、繋ぎ材(接合部2c、3b)に相当する部材を備え、かつ、流木捕捉支柱52と下流側支え支柱53とで倒立V字形に開脚する構成で実施している点が相違する。
また、上記実施例1と同様に、補助部材として、前記流木越流抑制部材8を付設するだけで実現できる構成に何ら変わりはないので、簡易、かつ経済的に流木捕捉効果を飛躍的に高めることができ、費用対効果に非常に優れている。また、流木捕捉工を新設する場合はもとより、既設の流木捕捉工(鋼製スリットダム)にも適用できる。
まとめると、上記実施例1と同様に、流木対策として従来から要求される、施工性、経済性、および捕捉した流木の撤去容易性を良好に保持しつつ、特に、流木の捕捉性能を飛躍的に高めた流木捕捉工10を実現することができる。
この実施例3に係る流木捕捉工10は、上記実施例1、2に係る流木捕捉工10と比し、鋼製柱部材1、21、31、41、及び51に対する流木越流抑制部材8の設置部位が、前記流木越流抑制部材(流木捕捉支柱)2、22、32、42、及び52の上部外周面ではなく、天端(頂部)である点が相違する。なお、前記流木越流抑制部材8の実施形態を含む技術的思想は、上記実施例1と同様である(前記段落[0021]、[0022]参照)。
また、上記実施例1、2と同様に、補助部材として、前記流木越流抑制部材8を付設するだけで実現できる構成に何ら変わりはないので、簡易、かつ経済的に流木捕捉効果を飛躍的に高めることができ、費用対効果に非常に優れている。また、流木捕捉工を新設する場合はもとより、既設の流木捕捉工(鋼製スリットダム)にも適用できる。
まとめると、上記実施例1、2と同様に、流木対策として従来から要求される、施工性、経済性、および捕捉した流木の撤去容易性を良好に保持しつつ、特に、流木の捕捉性能を飛躍的に高めた流木捕捉工10を実現することができる。
例えば、上記実施例1~3に係る鋼製柱部材1等は、2本の支柱(例えば、流木捕捉支柱2と下流側支え支柱3)を河川の流れ方向に開脚する構成で実施しているがこれに限定
されず、前記特許文献3に開示したような、1本の支柱からなる鋼製柱部材も当然に本発明の適用対象物である。
また、実施例1では、前記流木越流抑制部材8を、図1、図2に示したように、流木捕捉工10を構成する鋼製柱部材1の全部に付設して実施しているが、1本置き等、鋼製柱部材1の一部に付設して実施することもできる。
図1、図2に係る鋼製柱部材1は各々独立した構成で実施しているがこれに限定されず、例えば、隣接する前記鋼製柱部材1、1の全部(又は一部)を横繋ぎ材(図示省略)で連結した構成で実施することも勿論できる。前記横繋ぎ材は通常、前記鋼製柱部材1等の上流側に設置した隣接する流木捕捉支柱2等の高さ方向中間部同士を略水平に繋ぐ構成で実施される。
さらに、前記鋼製柱部材1を自然河床に設置する場合は、例えば杭基礎を用いるなど基礎はコンクリート基礎9に限らず、設置部位の性状に応じて適宜設計変更可能である。
2 流木捕捉支柱
2a 支柱本体
2b 接合部
2c 接合部
2d フランジ
2e フランジ
3 下流側支え支柱
3a 支柱本体
3b 接合部
3c フランジ
3d フランジ
5 ベースプレート
8 流木越流抑制部材
9 コンクリート基礎
10 流木捕捉工
11 堰堤
21 鋼製柱部材
22 流木捕捉支柱
23 下流側支え支柱
31 鋼製柱部材
32 流木捕捉支柱
33 下流側支え支柱
41 鋼製柱部材
42 流木捕捉支柱
43 下流側支え支柱
51 鋼製柱部材
52 流木捕捉支柱
53 下流側支え支柱
Claims (6)
- 鋼製柱部材を河川横断方向に間隔をあけて複数設置してなる流木捕捉工であって、
前記鋼製柱部材は、少なくとも1本の流木捕捉支柱からなり、前記流木捕捉支柱の上部に、前記鋼製柱部材に用いる鋼管よりも細径の鋼管である流木越流抑制部材が、前記鋼製柱部材を本体とする補助部材として前記流木捕捉支柱の天端よりも高くなるように上流側へ突き出して設けられて成ることを特徴とする、流木捕捉工。 - 前記流木越流抑制部材が、前記流木捕捉支柱の天端よりも、想定される最大流木径の2倍以上、50cm未満の範囲内で高く設けられていることを特徴とする、請求項1に記載した流木捕捉工。
- 前記流木越流抑制部材は、鋼管であることを特徴とする、請求項1又は2に記載した流木捕捉工。
- 前記流木越流抑制部材は、前記流木捕捉支柱の上部に、水平面に対する傾斜角度が45~60度程度で設けられていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載した流木捕捉工。
- 前記流木越流抑制部材は、流木捕捉工を構成する前記鋼製柱部材の全部又は一部に設けられることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載した流木捕捉工。
- 前記鋼製柱部材は、前記流木捕捉支柱と下流側支え支柱とからなり、河川の流れ方向に開脚して形成されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載した流木捕捉工。
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