JP6007388B2 - 流体力低減構造及び流体力低減構造の構築方法 - Google Patents

流体力低減構造及び流体力低減構造の構築方法 Download PDF

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Description

本発明は、津波や洪水などに起因して流れてきた水によって構造物が受ける力を低減させるための流体力低減構造、及びその流体力低減構造の構築方法に関するものである。
海岸に沿って設けられる護岸や防波堤に対して、波の力によって滑動したり、転倒したりするのを防ぐために、消波構造物や補強構造物を設けることが知られている(特許文献1,2など参照)。
特許文献1には、護岸の海側にのみ設けられる消波構造物が開示されている。詳細には、護岸の海側に間隔を置いて複数の杭を打ち込み、水底から突出させた杭間に金網を何枚も張り巡らせる消波構造物が開示されている。この消波構造物の内部では乱流が起き、それによって消波及び反射波を減少させることができる。
また、特許文献2には、防波堤の港内側にのみ設けられる補強構造物が開示されている。この補強構造物は、防波堤に沿って間隔を置いて垂直に打ち込まれる複数の垂直杭と、垂直杭のさらに港内側に斜めに打ち込まれ斜杭とを備えている。
そして、防波堤の港内側の壁面と垂直杭の頭部とを連結体で連結させるとともに、垂直杭と斜杭との頭部間も別の連結体で連結させる。すなわち、防波堤を補強構造物に係留させることで、滑動や転倒を防ぐ構成となっている。
一方、特許文献3には、海岸近くに構築される石油等の貯蔵タンクの地震・津波対策構造が開示されている。この特許文献3に開示された構造では、貯蔵タンクの周囲の地盤を鋼管矢板で囲むことによって地震時に液状化が起きないようにしている。また、鋼管矢板の一部を地上に突出させることによって、船舶などの漂流物と貯蔵タンクとが直接、接触しないようにしている。
特開2009−114636号公報 実用新案登録第3173506号公報 特開2008−231768号公報
しかしながら、津波や洪水によって陸地に流れ込んだ流速の速い水が短時間に構造物を浸水させる場合は、後述するように構造物の上流側と下流側で大きな水位差が発生し、その水位差による偏圧によって構造物が傾いたり転倒したりするおそれがある。
このため、津波や洪水が押し寄せても構造物の周囲に水位差が発生しないようにするのが望ましいが、特許文献1−3に開示されているような構造では、水位差の発生を抑えることはできない。
ここで、特許文献3の地上に突出させる杭の間隔は、段落0039の記載によれば漂流物となる船舶の衝突を避けるためのものであるため、かなり広い間隔が想定されている。杭の間隔が広すぎれば水を遮ることはできないため、杭が配置されていない場合と同様に水位差が発生することになる。
そこで、本発明は、津波や洪水が押し寄せた際に構造物の周囲に水位差が発生するのを極力抑えることが可能な流体力低減構造、及びその流体力低減構造の構築方法を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本発明の流体力低減構造は、流れてきた水によって構造物が受ける力を低減させるための流体力低減構造であって、前記構造物の少なくとも下流側に間隔を置いて配置される複数の柱状体を備え、前記間隔は前記複数の柱状体と前記構造物との間の空間に流れ込んだ水を滞留させることが可能な距離に設定されていることを特徴とする。
ここで、前記間隔は、前記構造物の周囲に発生する水位差によって前記構造物が受ける力を所定値以下にするように設定されるのが好ましい。また、前記柱状体は、前記構造物の周囲を囲むように配置することができる。
そして、本発明の流体力低減構造の構築方法は、流れてきた水によって構造物が受ける力を低減させるための流体力低減構造の構築方法であって、前記構造物の少なくとも下流側に複数の柱状体を配置するために、前記複数の柱状体と前記構造物との間の空間に流れ込んだ水を滞留させることが可能な前記柱状体間の間隔を数値解析又は実験によって決定する工程と、前記工程で決定した間隔で記構造物の少なくとも下流側に複数の柱状体を配置する工程とを備えたことを特徴とする。ここで、前記柱状体は、前記構造物の周囲を囲むように配置することができる。
このように構成された本発明の流体力低減構造は、構造物の少なくとも下流側に配置される複数の柱状体の間隔を、複数の柱状体と構造物との間の空間に流れ込んだ水を滞留させることが可能な距離に設定する。
このため、津波などによって構造物に水が押し寄せても、構造物の下流側に間隔を置いて配置された複数の柱状体によって水の流れが減速されて水の滞留が起き、上流側と下流側の水位に差が出にくくすることができる。
この結果、水位差による構造物への偏圧の作用が低減される。構造物に作用する偏圧を低減できれば、転倒対策用の構造物の基礎の補強を簡素化したり、省略したりすることができる。また、想定内の津波などに対しては水平耐力が充分な構造物であっても、本発明の流体力低減構造を設けておくことで、想定以上の津波などが押し寄せた場合にも構造物が安定性を維持できる可能性(安全率)が増すことになる。
さらに、柱状体は、水の流れを減速させて滞留させるために配置されるものであるため、大きな水平力に対抗できるような大規模な構造にする必要がなく、構造物の利便性や周囲の景観に与える影響を抑えることができる。
また、構造物の周囲を囲むように柱状体を配置することで、津波の押し波や引き波など、異なる方向から襲来する水の流れに対しても効果を発揮させることができる。
さらに、津波などと一緒に漂流物が流れてきても、設定された間隔よりも大きな物は構造物側に到達できず、衝突や発火による構造物の損傷を防ぐことができる。
そして、本発明の流体力低減構造の構築方法によれば、数値解析又は実験によって決定された間隔で柱状体を配置するので、津波や洪水が押し寄せた際に構造物が受ける力を確実に低減させることができる。
本発明の実施の形態の流体力低減構造の構成及びその効果を説明するための斜視図である。 本発明の実施の形態の流体力低減構造の効果を確認するために行った数値解析の条件を説明するための平面図である。 流体力低減構造がない場合に構造物に生じる力を示した説明図である。 流体力低減構造がない場合の解析結果を示した斜視図である。 流体力低減構造がない場合とある場合の解析結果を比較する図であって、(a)は経過時間と水位との関係を示した図、(b)は経過時間と構造物に作用する水平力との関係を示した図である。 実施例の流体力低減構造の効果を確認するために行った数値解析の条件を説明するための平面図である。 実施例の流体力低減構造がある場合の解析結果を示した斜視図である。 実施例の流体力低減構造がある場合と、流体力低減構造がない場合と、実施の形態で説明した流体力低減構造がある場合の解析結果を比較した図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態の流体力低減構造としての低減工20と、それによって保護される構造物としての避難施設1の構成を示している。
ここで、低減工20によって保護される構造物は、避難施設1に限定されるものではない。オフィスビルやマンションなどの建物を低減工20によって保護することもできる。
また、低減工20は、避難施設1やビルなどを新築する場合に設けることもできるが、既設の避難施設1やビルなどに対して設けることもできる。以下では、外階段11が付いた円筒形の避難施設1の周囲に低減工20を設ける場合について説明する。
この低減工20は、図1,2に示すように、避難施設1を平面視長方形に囲むように4辺に設けられる流体力低減構造としての群柱2A−2Dによって主に構成される。
ここで、海側RAに配置されるものを群柱2A、陸側RBに配置されるものを群柱2B、側方RC,RDに配置されるものを群柱2C,2Dとする。本実施の形態では、津波によって陸地に遡上した水が避難施設1に押し寄せる場合について説明する。このため、津波が海側RAから襲来する押し波の場合は陸側RBが下流側となり、引き波となる場合は海側RAが下流側となる。
各群柱2A−2Dは、間隔dを置いて配置される複数の柱状体21,・・・によって平面視直線状(点線状)に形成される。本実施の形態では、すべての群柱2A,2B,2C,2Dにおいて柱状体21,21間の間隔dを一定にしたが、これに限定されるものではなく、下流側、上流側又は側方など配置される位置によって間隔dを変えることもできる。
また、柱状体21は、想定される浸水水位(例えば津波到達高さ)以上の高さまで、地面Gから垂直に延伸される。このような柱状体21は、鉄筋コンクリート、鋼管、木材などによって構築することができる。
本実施の形態では、断面正方形の四角柱状の柱状体21について説明するが、これに限定されるものではなく、円柱状、三角柱や六角柱などの多角柱状など任意の形状の柱状体を採用することができる。
続いて、津波が遡上してきたときに、低減工20がない場合に避難施設1が受ける力について図3を参照しながら説明する。ここで、避難施設1は、基礎杭12A,12Bによって支持されている。
例えば図3の模式図で示すように、海側RAから流速の速い津波が押し寄せると、避難施設1によって水の流れが遮られるため、避難施設1の陸側RBと海側RAとでは水位に差が生じることになる。低減工20がない場合に避難施設1の海側RAと陸側RBとで水位差が発生することは、図4に示した解析結果でも確認できる。
この水位差によって避難施設1には、海側RAから陸側RBに向けて水平力Hが作用し、避難施設1にとっての転倒モーメントとなる。そして、この転倒モーメントによって、海側RAの基礎杭12Aに上向きの引抜き力Fが生じることになる。
このような引抜き力Fに対しても抵抗できるように基礎杭12Aの設計がされている場合は問題ないが、単に避難施設1を支持させるためだけの設計しかされておらず、津波によって受ける水平力Hについては考慮されていない場合は、避難施設1が傾いたり転倒したりするおそれがある。
このような避難施設1の周囲に発生する水位差を極力抑えることで、避難施設1が受ける力(水平力H)を低減させるために、本実施の形態の低減工20は設けられる。
次に、本実施の形態の低減工20の効果を確認するために行った数値解析について説明する。
まず、解析モデルについて図2を参照しながら説明する。避難施設1は、半径5 mの円柱とし、外階段11は避難施設1の陸側RB周面から陸側RBに向けて突出させた。
そして、低減工20を構成する4辺の群柱2A−2Dは、すべて1m四方の正方形断面の柱状体21,・・・を間隔d=2 mで配置する構成とした。なお、柱状体21及び避難施設1の高さについては、シミュレーションによって到達させる水面W以上の高さになっていればよい。
また、海側RAの群柱2Aと避難施設1の中心との離れは12.1 mとし、陸側RBの群柱2Bと避難施設1の中心との離れは15.5 mとした。さらに、側方RC,RDの群柱2C,2Dと避難施設1の中心との離れはそれぞれ11.1 mとした。
シミュレーションは、海側RAから陸側RBに向けて津波が遡上すること(押し波)を想定して行った。よって、この解析では、海側RAが上流側となり、陸側RBが下流側となる。
図1は、上述した条件で、低減工20がある場合のシミュレーションを行った解析結果の中で、演算開始後370秒が経過した時点の状態を示している。そして、図4は、比較のために行った低減工20がない場合の同じ時刻の解析結果を示している。
図4を見ると、避難施設1の陸側RBの水面Wが海側RAに比べて大きく窪んでいることが分かる。すなわち、避難施設1を挟んだ海側RAと陸側RBとで大きな水位差が発生している。
この図1と図4を比較するだけでも、低減工20がある場合の方が海側RAと陸側RBの水位差が小さくなることは明らかではあるが、さらに詳細な解析結果の比較を、図5を参照しながら行う。
図5(a)は、低減工20がある場合とない場合の解析結果から、それぞれの海側RAと陸側RBの水位を抽出してプロットした図である。この図を見ると、両ケースとも310秒過ぎに津波が到達すると急激に海側RAの水位が上昇していることが分かる。
そして、津波到達後からしばらくの間(400秒過ぎまで)は、低減工20がある場合の海側RAの水位(太い実線)の方が、低減工20のない場合の海側RAの水位(太い破線)よりも低く推移している。これは、避難施設1側に流れ込む水の流速が海側RAの群柱2Aによって低減された影響によるものと考えられる。
海側RAの水位に比べて陸側RBの水位は、両ケースとも津波到達後からしばらくの間(400秒過ぎまで)は低くなっていることが分かる。しかしながら、低減工20がない場合の陸側RBの水位(細い破線)が400秒過ぎまでほとんど上昇しないのに比べて、低減工20がある場合の水位(細い実線)は津波到達後から徐々に上昇している。
このように陸側RBの水位変動に差が生じるのは、低減工20がある場合では陸側RBの群柱2Bが抵抗となって排水を阻害するため、低減工20と避難施設1との間の空間に流れ込んだ水が一時的に滞留して陸側RBの水位を上昇させているものと考えられる。
要するに低減工20がある場合は、海側RAの水位上昇が抑えられるとともに、陸側RBの水位上昇が増加される。よって、低減工20がある場合の避難施設1の海側RAと陸側RBの水位差は、低減工20がない場合の避難施設1の海側RAと陸側RBの水位差に比べて小さくなる。
避難施設1の前後で水位差が生じると、図3に示すように、その水位差分の水平力Hが水位の高い方から低い方に向けて作用することになる。そこで、図5(b)には、水位差によって避難施設1が受ける水平力に着目して解析結果をまとめた図を示した。
この図から明らかなように、低減工20を設けることによって、避難施設1に作用する水平力の最大値を低く抑える(本解析結果では約30%の低減率)ことができる。このように水平力を低減させることができる効果は、避難施設1の水平耐力を増強させるのと同等の効果であるといえる。
例えば、既設の避難施設1が地震に起因する水平力の作用のみを考慮して設計されていた場合を考える。図5(b)を使って分かりやすく説明するために、地震の水平力を考慮した避難施設1の水平耐力を0.5 MNと仮定する。
低減工20がない場合は、0.5 MN以上の水平力が避難施設1に作用するため、避難施設1は津波によって傾いたり転倒したりすることになる。これに対して低減工20がある場合は、0.5 MN以下の水平力しか避難施設1に作用しないため津波が押し寄せても傾いたり転倒したりすることはない。
すなわち、既設の避難施設1が津波による波力(例えば水平力)に対抗し得ない構造であった場合でも、低減工20を設けることで避難施設1が元来有する水平耐力以下の水平力しか作用しないようにすることができる。この結果、避難施設1を特別に補強しなくても、津波による波力に対抗させることができるようになる。
以上に述べたような避難施設1などの構造物の周囲に水位差が発生するのを極力抑えることができる柱状体21,21の間隔dは、柱状体21の幅や想定する津波の特性(流速、高さなど)や構造物と低減工20との離れ(離隔)などの条件によって変わる可能性があるため、上述したような数値解析又は模型実験などによって確認をして決定するのが好ましい。
次に、本実施の形態の低減工20の作用について説明する。
このように構成された本実施の形態の低減工20は、避難施設1を囲むように配置される複数の柱状体21,・・・の間隔dを、群柱2A−2Dと避難施設1との間の空間に流れ込んだ水を滞留させることが可能な距離に設定する。
このため、津波などによって避難施設1に例えば海側RAから水が押し寄せても、避難施設1の陸側RBに間隔dを置いて配置された複数の柱状体21,・・・(群柱2B)によって水の流れを減速させて水の滞留を起こすことができる。そして、この滞留によって上流側(海側RA)と下流側(陸側RB)の水位に差が出にくくなる。
一方、津波の引き波の際は、海側RAに間隔dを置いて配置された複数の柱状体21,・・・(群柱2A)によって水の流れが減速されて水の滞留が起き、上流側(陸側RB)と下流側(海側RA)の水位に差が出にくくなる。
この結果、水位差による避難施設1への偏圧の作用が低減される。避難施設1に作用する偏圧を低減できれば、基礎杭12A,12Bなどの基礎の転倒対策用の補強を低減分だけ簡素化することができる。また、偏圧の低減量が大きければ、補強を省略することもできる。
例えば、低減工20がなければ避難施設1の周囲に発生する水位差によって避難施設1が傾いたり転倒したりしてしまうような場合でも、低減工20によって避難施設1の水平耐力以下の偏圧になるまで低減させることで、避難施設1が傾いたり転倒したりするのを防ぐことができる。
他方、想定内の津波などに対しては避難施設1の水平耐力が充分にある場合でも、低減工20を設けておくことで、想定以上の津波などが押し寄せたときに避難施設1に作用する偏圧の大きさが低減されるので、避難施設1が安定性を維持できる可能性(安全率)が増すことになる。
また、津波などと一緒に船舶や自動車などの漂流物が流れてきても、設定された間隔d(例えば2m)よりも大きな物は避難施設1側に到達できず、衝突による避難施設1の損傷を防ぐことができる。
さらに、避難施設1から離れた位置の群柱2A−2Dで漂流物を捕獲することによって、自動車などの漂流物が炎上しても避難施設1への延焼を防ぐことができる。
また、柱状体21は、水の流れを減速させて滞留させるために配置されるものであるため、大きな水平力に対抗できるような大規模な高剛性構造にする必要がなく、構造物の利便性や周囲の景観に与える影響を抑えることができる。
そして、本実施の形態の低減工20の構築方法によれば、数値解析又は模型実験によって決定された間隔dで柱状体21,・・・を避難施設1の周囲に配置するので、津波が遡上した際に避難施設1が受ける力を確実に低減させることができる。
次に、前記実施の形態とは別の形態の流体力低減構造について、図6−図8を参照しながら説明する。なお、前記実施の形態で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語や同一符号を付して説明する。
前記実施の形態で説明した津波には引き波があるので、水の流れる方向が海側RAから陸側RBと、陸側RBから海側RAの両方となる。一方、河川が氾濫して起きる洪水などは、堤防側が上流側REと特定できる場合が多い。
本実施例では、上流側REと下流側RFが特定できる場合の流体力低減構造としての低減工30について説明する。すなわちこの低減工30は、図6,7に示すように、避難施設1の下流側RFに直線状に設けられる流体力低減構造としての群柱3によって主に構成される。
群柱3は、間隔dを置いて配置される複数の柱状体31,・・・によって主に構成される。この実施例では、図6に示すように、幅10 mの避難施設1に対して約2.5倍の24.2 mにわたって広がる群柱3を配置した解析結果について説明する。
図8は、本実施例の解析結果を示した図である。なお、比較のために、前記実施の形態の図5(b)に示した低減工20,30のない場合(破線)と、四方を囲む前記実施の形態の低減工20がある場合(一点鎖線)の解析結果も図示した。
この図8を見ると、下流側RFにのみ低減工30の群柱3を設けた場合でも、低減工20,30のない避難施設1のみの場合と比べて、避難施設1に作用する水平力を低減することができることが明らかである。
このように対象とする浸水の水の流れる方向が特定できる場合は、下流側RFにのみ群柱3による低減工30を設けることで、避難施設1などの構造物に作用する力を経済的に低減させることができる。
なお、この他の構成及び作用効果については、前記実施の形態と略同様であるため説明を省略する。
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態又は実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
例えば、前記実施の形態では、避難施設1を四角に囲む低減工20について説明したが、これに限定されるものではなく、構造物を円筒状に囲んだり、多角筒状に囲んだりする流体力低減構造であってもよい。
また、前記実施例では、下流側RFにのみ平面視直線状の低減工30を配置したが、これに限定されるものではなく、平面視コ字状や平面視円弧状の流体力低減構造を設けることもできる。
さらに、前記実施の形態及び実施例では、柱状体21,31を地面Gに垂直に建てる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば地面Gに対して斜めに建てられる柱状体であってもよい。
また、前記実施の形態及び実施例では、避難施設1などの構造物側を補強する点については述べていないが、流体力低減構造の設置と構造物の補強とを組み合わせて行うことも、当然にできる。
1 避難施設(構造物)
20 低減工(流体力低減構造)
2A−2D 群柱(流体力低減構造)
21 柱状体
30 低減工(流体力低減構造)
3 群柱(流体力低減構造)
31 柱状体
d 間隔
W 水面
RA 海側
RB 陸側
RE 上流側
RF 下流側

Claims (4)

  1. 流れてきた水によって構造物が受ける力を低減させるための流体力低減構造であって、
    前記構造物の少なくとも下流側に間隔を置いて配置される複数の柱状体を備え、前記間隔は前記複数の柱状体と前記構造物との間の空間に流れ込んだ水を滞留させることが可能な距離に設定されているとともに、
    前記間隔は、前記構造物の周囲に発生する水位差によって前記構造物が受ける力を前記構造物の水平耐力以下にするように設定されていることを特徴とする流体力低減構造。
  2. 前記柱状体は、前記構造物の周囲を囲むように配置されることを特徴とする請求項1に記載の流体力低減構造。
  3. 流れてきた水によって構造物が受ける力を低減させるための流体力低減構造の構築方法であって、
    前記構造物の少なくとも下流側に複数の柱状体を配置するために、前記複数の柱状体と前記構造物との間の空間に流れ込んだ水を滞留させることが可能な前記柱状体間の間隔を数値解析又は実験によって決定する工程と、
    前記工程で決定した間隔で記構造物の少なくとも下流側に複数の柱状体を配置する工程とを備えたことを特徴とする流体力低減構造の構築方法。
  4. 前記柱状体は、前記構造物の周囲を囲むように配置されることを特徴とする請求項に記載の流体力低減構造の構築方法。
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