JP3860029B2 - 透過型砂防堰堤及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、通常出水時においては流動する土石の流下を許可し、異常出水時においては流動する土石の流下を禁止する透過型砂防堰堤に関する。
【0002】
【従来の技術】
以前においては、土石流が発生したときに、その規模に関係なく全ての土石流を堰き止める不透過型砂防堰堤が主流を占めていた。ところが、近年においては、下流域に土砂が供給されないことによる河床の低下や海岸線の後退等の問題を不透過型砂防堰堤が引き起こすため、異常出水時においてだけ土石流を堰き止め、通常時は土砂を下流に流下することが可能なスリット型の透過型砂防堰堤、即ち、上下方向に一定幅で開口されたスリットを備えた透過型砂防堰堤が注目されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来、このようなスリット型の透過型砂防堰堤を所定以上の強度で建設する場合には、スリットが設けられることで断面積の小さい部分が形成され、透過型堰堤に強度的な問題が生じてしまう。そのため、堰堤を所定以上の強度に維持するためには、スリットの幅や数量が制限されてしまうという問題がある。
【0004】
また、異常出水時の土石流内には、水底面付近においては重量のある大きな礫径の土石が多く存在し、水面近傍においては重量があまりない小さな礫径の土石が存在する。そのため、異常出水時の土石捕捉能力を高めるためには、透過型砂防堰堤下部においては大きな径の、上部においては小さな径の土石の捕捉能力が期待される。しかし、上記示したスリット型の透過型砂防堰堤のように、スリットが上下方向に一定幅で開口されていると、土石の捕捉能力がスリットの上部から下部にかけて同一になってしまうため、透過型砂防堰堤上流の堆砂状況に応じた最適な土砂捕捉機能を有することができないという問題がある。尚、透過型砂防堰堤上流の堆砂状況に対応するため、スリットの幅を上部から下部にかけて拡大させることも考えられるが、この場合には、上述の堰堤の強度が低下するという問題が顕著になる。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、所定以上の強度を維持しながら、異常出水時においてだけ土石の流下を禁止することができる透過型砂防堰堤およびその製造方法を提供することを第1の目的とする。さらに、透過型砂防堰堤上流の堆砂状況に応じた最適な土砂捕捉機能を強度の低下を招来することなく備えることができる透過型砂防堰堤およびその製造方法を提供することを第2の目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための本発明の請求項1に記載の透過型砂防堰堤は、通常出水時においては流動する土石の流下を許可し、異常出水時においては流動する土石の流下を禁止する透過型砂防堰堤において、前記土石を下流側に透過させるスリットを備え、前記土石の流下を遮るように敷設されたコンクリート構造体と、前記コンクリート構造体の上流側と下流側とを連通させるように前記スリット内に設けられ、前記通常出水時に流動する土石の最大礫径の口径に設定された第1筒状体と、前記スリット内にコンクリートを充填して形成された間詰コンクリート部とを有することを特徴としている。
【0007】
上記の構成によれば、スリットと第1筒状体との間隙が間詰コンクリート部で塞がれることによって、堰堤全体が一体化された状態になっているため、スリットを大きな幅で形成したり、多くのスリットを形成した場合においても、透過型砂防堰堤を高い強度に維持することができる。従って、第1筒状体の口径を通常出水時に流動する土石の最大礫径に設定することによって、この第1筒状体が設けられるスリットが大きな幅になった場合でも、透過型砂防堰堤に所定以上の強度を備えさせることができる。そして、このように所定以上の強度を備えた透過型砂防堰堤は、通常出水時においては全サイズの土石を第1筒状体から流下させることができる一方、異常出水により最大礫径よりも大きなサイズの土石が流動すると、このサイズの土石の流下を第1筒状体で禁止することができることから、異常出水時にだけ流下を禁止することができる。
【0008】
請求項2に記載の透過型砂防堰堤は、請求項1において、前記第1筒状体がスリットの下部領域に配置され、該第1筒状体の上方におけるスリット内の上部領域には、該第1筒状体よりも小さな口径の第2筒状体が設けられていることを特徴としている。
【0009】
上記の構成によれば、土石流の下側を流れる最大礫径以上の土石は、第1筒状体で流下が禁止され、土石流の上側を流れる最大礫径未満の土石や流木は、第2筒状体で流下が禁止される。これにより、透過型砂防堰堤上流の堆砂状況に応じた最適な土砂捕捉機能を強度の低下を招来することなく備えることができる。
【0010】
請求項3に記載の透過型砂防堰堤は、請求項2において、前記第1筒状体および前記第2筒状体を保持する鋼製型枠を備えていることを特徴としている。
【0011】
上記の構成によれば、第1筒状体および第2筒状体をスリット内に多数配設する場合であっても、これら第1および第2筒状体を鋼製型枠により所定位置に位置決めしておくことができるため、現場施工を容易化することができる。
【0012】
請求項4に記載の透過型砂防堰堤の製造方法は、通常出水時においては流動する土石の流下を許可し、異常出水時においては流動する土石の流下を禁止する透過型砂防堰堤の製造方法において、既設の不透過型砂防堰堤にスリットを切欠いた後、通常出水時に流動する土石の最大礫径の口径に設定された第1筒状体を前記スリット内に設け、次いで、前記スリット内にコンクリートを充填することを特徴としている。
【0013】
上記の構成によれば、所定以上の強度を有し、且つ異常出水時にだけ流下を禁止するという所望の流下性能を備えた透過型砂防堰堤に既設の不透過型砂防堰堤を改造することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態の一例を図1を参照しながら説明する。
【0015】
図1に示すように、透過型砂防堰堤1は、スリット3が設けられたコンクリート構造体2と、スリット3に設けられた筒状体5と、筒状体5が設けられたスリット3内にコンクリートを充填して形成された間詰コンクリート部4と、コンクリート構造体2の下流側に配設された水叩き部6とを備えている。
【0016】
コンクリート構造体2は、土石の流動を遮るように河川の幅方向に敷設されている。コンクリート構造体2は、無筋コンクリート造であり、河川の幅方向両側に配設された側壁部2aと、2つのスリット3に挟まれた残存部2bとを有している。尚、側壁部2a及び残存部2bは、無筋コンクリート造に限定されるものではなく、鉄筋コンクリート造等であってもよい。
【0017】
上記の各スリット3には、コンクリート構造体2の上流側と下流側とを連通させるように、筒状体5が上下方向に複数設けられている。筒状体5は、鋼管製であり、異常出水時に流動する土石の最大礫の口径に設定されている。筒状体5は、軸芯が河川の流下方向に一致されている。尚、設けられる筒状体5の数及び設置位置は、本実施形態例に限定されるものではなく、透過型砂防堰堤1の設置場所の土石流の状態及び設置する目的に応じて、数及び設置位置を決めればよい。
【0018】
筒状体5は、通常出水時においては流動する土石を下流側に透過させ、異常出水時においては流動する土石や大量の水流の流下を禁止する。そして、異常出水状態から通常出水状態に変化すると、異常出水時に透過型砂防堰堤1の上流側に堆積させた土石や、潅水池内の水及び土砂等を下流側に徐々に流下させる。
【0019】
上記の筒状体5が設けられた各スリット3には、コンクリートが充填され、間詰コンクリート部4とされている。この間詰コンクリート部4により、河川の幅方向両側に設けられた側壁部2a・2aと残存部2bとが連結され、コンクリート構造体2全体として一体性を有するものとされる。
【0020】
上記のように構成されたコンクリート構造体2の下流側には、水叩き部6が設けられている。水叩き部6は、スリット3の配設間隔よりも大きな幅を有しており、両端部が側壁部2aにおいて上方に曲折されている。そして、水叩き部5は、コンクリート構造体2から越流・透過する落下水を受け止め、下流に流すようになっている。
【0021】
上記の構成において、透過型砂防堰堤1の製造方法について説明する。尚、以降の説明においては、既存の不透過型砂防堰堤を改造することにより透過型砂防堰堤1を製造する場合について説明する。
【0022】
先ず、透過型砂防堰堤1の設置場所における雨量の程度や地盤の状態、過去の土石流・洪水の発生状況を調査する。そして、小規模や中規模の雨量による通常出水時における土石流の状態と、大規模の雨量による異常出水時における土石流・洪水の状態とを把握する。それと共に、異常出水時の土石流で流される土石や瓦礫の最大礫径と、洪水で流下される水量とを推定する。尚、通常出水とは、透過型砂防堰堤1から土石を流下させても流下側の地域に問題を発生させることがない規模の出水を意味し、異常出水とは、透過型砂防堰堤1から土石・洪水を流下させると、流下側の地域に問題を発生させる規模の出水を意味する。
【0023】
上記のようにして推定した最大礫径を捕捉サイズとし、中規模の雨量による通常出水時において洪水状態とならないように、且つ異常出水時において最適な土砂捕捉機能や、水流の堰上げ能力を有するように、筒状体5の口径及び配置を設定する。この捕捉サイズ以上の土石等については筒状体5で流下が禁止され、捕捉サイズ未満の土石等については筒状体5からの流下が許可される。また、筒状体5の流下能力を超えた水量が透過型砂防堰堤1の上流に堰上げされ、潅水池が形成される。
【0024】
尚、異常出水時に流下する土石流に含まれる礫等は、河川の水底面付近においては単体として重量が大きく礫径の大きいものが流動しているが、水面に近づく程、単体として重量が小さく礫径の小さいものが流動している。そのため、土石流を全量捕捉するためには、スリット3に設けられる筒状体5は、コンクリート構造体2の下部では口径が大きく捕捉サイズが大きいものが望まれる一方、上部では口径が小さく捕捉サイズが小さいものが望まれる。また、河川の底面は、幅方向にフラットなものではなく、河川を流れる水流や河川の曲がり具合によって、深度に差が生じている。水底面の形状により、河川の幅方向断面の土石流に含まれる土石や礫等の状況を把握することも必要である。
【0025】
次に、図1に示すように、不透過型砂防堰堤のコンクリート構造体2から一部のコンクリートを除去することによって、上記のようにして決定した筒状体5を設置することが可能なスリット3を形成する。そして、スリット3内に、上記説明したようにして決定した口径及び配置でもって筒状体5を設置する。この筒状体5の設置されたスリット3内にコンクリートを充填して、間詰コンクリート部4を形成することにより、側壁部2aと残存部2bとを強固に連結する。これにより、既設の不透過型砂防堰堤が高い性能を備えた透過型砂防堰堤1に改造されることになる。
【0026】
次に、上記のようにして製造された透過型砂防堰堤1の動作について説明する。
【0027】
雨や雪解け水等により出水が起ると、この出水により土石や礫、木が押し流されて土石流・洪水等が発生する。このような異常出水時において、土石流が透過型砂防堰堤1に流動すると、土石流の先端には巨礫が集中しているため、土石は透過型砂防堰堤1に捕捉される。そして、透過型砂防堰堤1の上流に土石・礫等のみを堆積しながら、水は下流に流される。この時、堆積される土石の量は、筒状体5の口径及び配置を調節することにより、予め計画し設定されている。また、洪水が透過型砂防堰堤1に流動すると、大量の水流により透過型砂防堰堤1の上流が堰上がり、潅水池が形成される。この潅水池に土砂が流入すると、堆砂肩を形成しながら土砂が堆積される。この時、洪水が堰上げされる速度・量は、筒状体5の口径及び配置を調節することにより、予め計画し設定されている。
【0028】
上記示した透過型砂防堰堤1は、通常出水時には、全サイズの土石を筒状体5から流下させることができる。その一方、通常出水時には、最大礫径よりも大きなサイズの土石が流動すると、このサイズの土石の流下を筒状体5で禁止することができる。また、大量の水流が流動すると、透過型砂防堰堤1上流にて堰上げされ、それにより形成された潅水池内に土砂を一時的に堆積させた後、洪水末期に筒状体5から流下させることができる。この時、透過型砂防堰堤1に土石や土砂の荷重が加わっても、スリット3内に間詰コンクリート部4が形成され全体として一体的にされているため、コンクリート構造体2が崩壊したり横倒れしたりすることがない。また、筒状体5の口径を通常出水時に流動する土石の最大礫径に設定することによって、この筒状体5が設けられるスリット3を大きな幅で形成したり、多くのスリット3を形成した場合においても、上述したように一体的に形成されることで所定以上の強度を備えており、崩壊したり横倒れしたりすることがない。
【0029】
このような動作により、小規模および中規模の出水である通常出水時においては、流動する土石を透過型砂防堰堤1の筒状体5を介して流下させ、大規模の出水である異常出水時においては、透過型砂防堰堤1の全体で土石の流下を阻止することが可能となっている。そのため、透過型砂防堰堤1の下流域にて河床の低下や海岸線の後退等を引き起こすことがなく、且つ、大規模な土石流が発生しても、ある程度の量の土石が一旦堰止められるため、下流側への地域に問題を発生させる出水となることがない。
【0030】
以上示したように、本実施形態の透過型砂防堰堤1は、通常出水時においては流動する土石の流下を許可し、異常出水時においては流動する土石の流下を禁止する透過型砂防堰堤において、土石を下流側に透過させるスリット3を備え、土石の流下を遮るように敷設されたコンクリート構造体2と、コンクリート構造体2の上流側と下流側とを連通させるようにスリット3内に設けられ、通常出水時に流動する土石の最大礫径の口径に設定された筒状体5(第1筒状体)と、スリット3内にコンクリートを充填して形成された間詰コンクリート部4とを有する。
【0031】
これにより、スリット3と筒状体5との間隙が筒状体5で塞がれることによって、堰堤1全体が一体化された状態になっているため、スリット3を大きな幅で形成したり、多くのスリット3を形成した場合においても、透過型砂防堰堤1を高い強度に維持することができる。従って、筒状体5の口径を通常出水時に流動する土石の最大礫径に設定することによって、この筒状体5が設けられるスリット3が大きな幅になった場合でも、透過型砂防堰堤1に所定以上の強度を備えさせることができる。そして、このように所定以上の強度を備えた透過型砂防堰堤1は、通常出水時においては全サイズの土石を筒状体5から流下させることができる一方、異常出水により最大礫径よりも大きなサイズの土石が流動すると、このサイズの土石の流下を筒状体5で禁止することができることから、異常出水時にだけ流下を禁止することができる。
【0032】
また、本実施形態の透過型砂防堰堤1の製造方法は、通常出水時においては流動する土石の流下を許可し、異常出水時においては流動する土石の流下を禁止する透過型砂防堰堤の製造方法において、既設の不透過型砂防堰堤にスリット3を切欠いた後、通常出水時に流動する土石の最大礫径の口径に設定された筒状体5(第1筒状体)をスリット3内に設け、次いで、スリット3内にコンクリートを充填する。これにより、所定以上の強度を有し、且つ異常出水時にだけ流下を禁止するという所望の流下性能を備えた透過型砂防堰堤1に既設の不透過型砂防堰堤を改造することができる。
【0033】
尚、本実施形態においては、筒状体5は上下方向に配置された場合について説明したが、これに限定されるのもではない。即ち、筒状体は河川の幅方向に配設されるものであってもよい。図2において、透過型砂防堰堤11は、河川幅方向両側に側壁部12aを有するコンクリート構造体12のスリット13に設けられた筒状体15と、筒状体15が設けられたスリット13内にコンクリートを充填して形成された間詰コンクリート部14とを備えている。このように、間詰コンクリート部14により、透過型砂防堰堤11は全体として一体化されるので、スリット13を大きく設け、筒状体15を河川の幅方向に配設することができる。これにより、透過型砂防堰堤の所定の高さにおいて、河川幅方向の透過断面積を大きくし土石の流下能力を向上させることが可能である。
【0034】
また、本実施形態においては、筒状体の口径は全て同一な場合について説明したが、これに限定されるのもではない。即ち、異なる口径を有する筒状体が配設されるものであってもよい。図3において、透過型砂防堰堤21は、河川の幅方向両側に側壁部22aを有するコンクリート構造体22のスリット23に、第1筒状体25aがスリット23の下部領域に配置され、該第1筒状体25aの上方におけるスリット23内の上部領域には、第1筒状体25aよりも小さな口径の第2筒状体25bが設けられている。これにより、土石流の下側を流れる最大礫径以上の土石は、第1筒状体25aで流下が禁止され、土石流の上側を流れる最大礫径未満の土石や流木は、第2筒状体25bで流下が禁止され、異常出水時における土石流を充分に堰き止めることができる。尚、設置される第2筒状体25bの口径は、第1筒状体25aよりも小さな口径であれば、単一の口径に限定されることはなく、複数の口径であっても良い。例えばスリット23の下部側から上部側に位置するのに従って第2筒状体25bの口径が減少されていても良く、この場合には、土石流の状態(下側に大きな土石が存在し、下側に小さな土石が存在する状態)に対応した透過型砂防堰堤を得ることができる。
【0035】
また、本実施形態においては、コンクリート構造体2のスリット3には、コンクリートが充填されるのみの無筋コンクリート造である場合について説明したが、これに限定されるのもではない。即ち、図4及び図5に示すように、透過型砂防堰堤31は、河川幅方向両側に側壁部32aを有するコンクリート構造体32のスリット33に設けられた第1筒状体35aおよび第2筒状体35bを保持する鋼製型枠37と、鋼製型枠37が設けられたスリット33内にコンクリートを充填して形成された間詰コンクリート部34とを備えた構成であっても良い。これにより、第1筒状体35aおよび第2筒状体35bをスリット33内に多数配設する場合であっても、これら第1および第2筒状体35a・35bを鋼製型枠37により所定位置に位置決めしておくことができるため、現場施工を容易化することができる。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によると、スリットと第1筒状体との間隙が間詰コンクリート部で塞がれることによって、堰堤全体が一体化された状態になっているため、スリットを大きな幅で形成したり、多くのスリットを形成した場合においても、透過型砂防堰堤を高い強度に維持することができる。従って、第1筒状体の口径を通常出水時に流動する土石の最大礫径に設定することによって、この第1筒状体が設けられるスリットが大きな幅になった場合でも、透過型砂防堰堤に所定以上の強度を備えさせることができる。そして、このように所定以上の強度を備えた透過型砂防堰堤は、通常出水時においては全サイズの土石を第1筒状体から流下させることができる一方、異常出水により最大礫径よりも大きなサイズの土石が流動すると、このサイズの土石の流下を第1筒状体で禁止することができることから、異常出水時にだけ流下を禁止することができる。
【0037】
請求項2の発明によると、土石流の下側を流れる最大礫径以上の土石は、第1筒状体で流下が禁止され、土石流の上側を流れる最大礫径未満の土石や流木は、第2筒状体で流下が禁止される。これにより、透過型砂防堰堤上流の堆砂状況に応じた最適な土砂捕捉機能を強度の低下を招来することなく備えることができる。
【0038】
請求項3の発明によると、第1筒状体および第2筒状体をスリット内に多数配設する場合であっても、これら第1および第2筒状体を鋼製型枠により所定位置に位置決めしておくことができるため、現場施工を容易化することができる。
【0039】
請求項4の発明によると、所定以上の強度を有し、且つ異常出水時にだけ流下を禁止するという所望の流下性能を備えた透過型砂防堰堤に既設の不透過型砂防堰堤を改造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】透過型砂防堰堤の斜視図である。
【図2】他の透過型砂防堰堤の斜視図である。
【図3】他の透過型砂防堰堤の斜視図である。
【図4】他の透過型砂防堰堤の斜視図である。
【図5】図4の透過型砂防堰堤の河川流下方向の断面図である。
【符号の説明】
1 透過型砂防堰堤
2 コンクリート構造体
3 スリット
4 間詰コンクリート部
5 筒状体(第1筒状体)
Claims (4)
- 通常出水時においては流動する土石の流下を許可し、異常出水時においては流動する土石の流下を禁止する透過型砂防堰堤において、
前記土石を下流側に透過させるスリットを備え、前記土石の流下を遮るように敷設されたコンクリート構造体と、
前記コンクリート構造体の上流側と下流側とを連通させるように前記スリット内に設けられ、前記通常出水時に流動する土石の最大礫径の口径に設定された第1筒状体と、
前記スリット内にコンクリートを充填して形成された間詰コンクリート部とを有することを特徴とする透過型砂防堰堤。 - 前記第1筒状体がスリットの下部領域に配置され、該第1筒状体の上方におけるスリット内の上部領域には、該第1筒状体よりも小さな口径の第2筒状体が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の透過型砂防堰堤。
- 前記第1筒状体および前記第2筒状体を保持する鋼製型枠を備えていることを特徴とする請求項2に記載の透過型砂防堰堤。
- 通常出水時においては流動する土石の流下を許可し、異常出水時においては流動する土石の流下を禁止する透過型砂防堰堤の製造方法において、
既設の不透過型砂防堰堤にスリットを切欠いた後、通常出水時に流動する土石の最大礫径の口径に設定された第1筒状体を前記スリット内に設け、次いで、前記スリット内にコンクリートを充填することを特徴とする透過型砂防堰堤の製造方法。
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