JP6391501B2 - 油中水型エマルジョンを用いた汚泥の脱水方法 - Google Patents

油中水型エマルジョンを用いた汚泥の脱水方法 Download PDF

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本発明は、凝集処理剤を使用する汚泥の脱水方法に関するものであり、詳しくはポリビニルアミンの油中水型エマルジョンを有機汚泥に添加する汚泥の脱水方法に関する。
下水から沈降させた初沈生汚泥、活性汚泥槽からの流出水から沈降させた余剰汚泥あるいは混合生汚泥といった有機性の汚泥に対して凝集処理剤を添加し脱水処理する方法が下水処理場で用いられている。凝集処理剤として、一般的にポリアクリルアミド(PAM)系水溶性高分子凝集剤が汎用されているが、ポリビニルアミン系水溶性高分子やポリアミジン系水溶性高分子は特異的に脱水ケーキ含水率が低下する場合がありPAM系水溶性高分子凝集剤とは使い分けが重要なことが知られている。この現象はPAM系水溶性高分子凝集剤中の三級アミノ基や四級アンモニウム塩と、ポリビニルアミン系水溶性高分子やポリアミジン系水溶性高分子中の一級あるいは二級アミノ基との違いに起因することが示唆される。特にポリアミジン系水溶性高分子はカチオン度が高く特異的な構造から、繊維分の少ない所謂難脱水性汚泥に優れた効果を発揮することが知られている。しかし、ポリアミジン系水溶性高分子は添加率が必要であり薬品コストが掛かることや、処理pH域が比較的狭いこと等が問題点として挙げられている。又、製造が不安定な面も指摘されている。
一方、ポリビニルアミン系水溶性高分子は、構造が最も単純な一級アミノ基含有ビニルポリマーであり、N−ビニルカルボン酸アミドの重合物を酸または塩基にて加水分解する方法、N−ビニル−O−t−ブチルカルバメートの重合物を加水分解する方法、あるいはポリアクリルアミドを次亜ハロゲン酸およびアルカリ金属水酸化物の存在下ホフマン反応を行う方法が知られている。N−ビニルカルボン酸アミド単量体の重合物を酸または塩基にて加水分解する方法は、原料となる単量体の合成が容易であり、N−ビニルカルボン酸アミドのラジカル重合反応物の加水分解で比較的容易に高分子量の重合物が得られ、安全性も高いことから工業的製造法として有用である。
そこで、凝集処理剤としてポリビニルアミンを使用する方法が種々提案されている。例えば、特許文献1では、ベンジル化ビニルアミン単位2〜30モル%を含有するポリマーから成る高分子凝集剤が提案されている。特許文献2では、ビニルアミン単位を有するカチオン性高分子凝集剤と、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル又はポリオキシアルキレンエーテルエステルからなる自己乳化型消泡剤を添加する汚泥脱水方法が開示されている。特許文献3では、油中水型エマルジョンのビニルアミン系水溶性高分子の凝集処理剤について開示されている。これらポリビニルアミン系水溶性高分子は、多くの場合、現状では満足できる処理効果が得られていないことが推測される。これは、ポリビニルアミン系水溶性高分子が、PAM系水溶性高分子凝集剤と比べて分子量が低いことや、薬品コストが掛かるため添加率が上げられないこと、あるいは対象とする汚泥に対して適切な物性を有するポリビニルアミン系水溶性高分子を適用していないことに起因する。そのためポリビニルアミン系水溶性高分子の有する特異的な効果を発揮しきれていないことが考えられ、凝集処理剤としてより高性能なポリビニルアミン系水溶性高分子を用いた汚泥脱水処方の開発が要望されている。
特開平7−328323号公報 特開平9−299998号公報 特開2013−252476号公報
本発明の課題は、凝集処理剤として特異的な効果を発現するポリビニルアミン系水溶性高分子において、従来よりも性能が優れるポリビニルアミン系水溶性高分子を使用した汚泥の脱水方法を提供することにある。
上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、下記に記載するような知見に因り発明を完成するに至った。即ち、1mol/L濃度のNaCl水溶液中での25℃における固有粘度が4.0〜10.0dL/g、0.2質量%水溶液粘度が10〜200mPa・sであり、アミノ化度が30〜80モル%の範囲である、ポリビニルアミンの油中水型エマルジョンからなる凝集処理剤を有機汚泥に添加することで、従来のポリビニルアミンよりも効率が良い脱水処理を可能とすることを見出した。
本発明におけるポリビニルアミンの油中水型エマルジョンは、凝集処理剤として汚泥脱水剤、汚泥沈降剤あるいは排水処理剤としても使用することができる。
本発明におけるポリビニルアミンの油中水型エマルジョンは、一般的に使用されているポリビニルアミン系水溶性高分子に比べて、特定の組成、物性値を有するため有機汚泥を対処として用いると優れた脱水処理効果を発揮する。
本発明におけるポリビニルアミンの油中水型エマルジョンは、公知のポリビニルアミンの製造方法で製造することができる。1mol/L濃度のNaCl水溶液中での25℃における固有粘度が4.0〜10.0dL/g、0.2質量%水溶液粘度が10〜200mPa・sであり、アミノ化度が30〜80モル%の範囲を有していれば、何れの製造方法を採用しても良いが、基本的にはN−ビニルカルボン酸アミドの重合物の油中水型エマルジョンを加水分解して製造する方法が好ましい。この方法は、先ず、N−ビニルカルボン酸アミド単量体を水、水と非混和性の炭化水素からなる油状物質、油中水型エマルジョンを形成するに有効な量とHLBを有する界面活性剤を混合し、強攪拌し油中水型エマルジョンを形成させた後、重合することにより合成する方法である。N−ビニルカルボン酸アミド単量体の重合物を酸または塩基にて加水分解する方法は、原料となる単量体の合成が容易であり、N−ビニルカルボン酸アミドのラジカル重合反応物の加水分解で比較的容易に高分子量の重合物が得られ、安全性も高いことから有用である。この様なポリビニルアミンの油中水型エマルジョンを製造する方法は、特表平10−500714号公報や特開平5−117313号公報、特開2012−153747号公報等に開示されている。
これらの公知の製造方法の中でも特開2012−153747号公報に開示されている様に界面活性剤としてポリオキシアルキレンアルキルエーテルの共存するN−ビニルカルボン酸アミド重合物水溶液の油中水型エマルジョンを酸又は塩基の存在下、加水分解することによって製造する方法では高い分子量のものが安定して得られるため好適な製造方法である。以下、この方法に則したポリビニルアミンについて説明するが公知の製造方法を組み合わせて使用しても良い。本発明におけるポリビニルアミンの油中水型エマルジョンの物性が得られれば如何なる方法も適用できる。
N−ビニルカルボン酸アミド単量体の例としては、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−メチル−N−ビニルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミドが挙げられるが、N−ビニルホルムアミドを使用することが好ましい。
水と非混和性の炭化水素からなる油状物質の例としては、パラフィン類あるいは灯油、軽油、中油等の鉱油、あるいはこれらと実質的に同じ範囲の沸点や粘度等の特性を有する炭化水素系合成油、あるいはこれらの混合物が挙げられる。含有量としては、油中水型エマルジョン全量に対して20〜50質量%であり、好ましくは20〜35質量%である。
油中水型エマルジョンを形成するに有効な量とHLBを有する界面活性剤の例としては、非イオン性界面活性剤のポリオキシエチレンアルキルエーテル系、ポリオキシエチレンアルコールエーテル系、ポリオキシエチレンアルキルエステル系、あるいは分子量が1000以上のブロックおよび/またはグラフト型の高分子界面活性剤等である。具体的には、2〜10好ましくは3〜7のHLB値を有する分子量1000未満の界面活性剤、例えばグリセロールモノ−、ジ−、およびトリ−、オレエート、ステアレートあるいはパルミテートといったグリセロール脂肪酸エステル、ソルビタンモノ−、ジ−、およびポリ−、オレエート、ステアレートあるいはパルミテートといったソルビタン脂肪酸エステル、さらにこれらのエチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドの付加物が例示できる。分子量1000以上のブロックおよび/またはグラフト型の高分子界面活性剤としては、12−ヒドロキシステアリン酸とポリ(エチレンオキサイド)の反応物であるポリエステル・ブロック−ポリ(エチレンオキシド)・ブロック−ポリエステル・ブロックコポリマーが例示できる。またこれらの中から二つ以上の界面活性剤を併用することも可能である。とくに分子量1000未満の界面活性剤と分子量1000以上のブロックおよび/またはグラフト型の高分子界面活性剤を併用することが好ましく、添加量としては、油中水型エマルジョン全量に対して0.5〜10質量%であり、好ましくは1〜5質量%の範囲である。
重合はラジカル重合開始剤を使用し行う。これら開始剤は油溶性あるいは水溶性のどちらでも良く、アゾ系、過酸化物系、レドックス系何れでも重合することが可能である。油溶性アゾ系開始剤の例としては、2、2’−アゾビスイソブチロニトリル、1、1’−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、2、2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2、2’−アゾビス−2−メチルプロピオネート、2、2’−アゾビス−(4−メトキシ−2、4−ジメチル)バレロニトリル等が挙げられる。
水溶性アゾ開始剤の例としては、2、2’−アゾビス(アミジノプロパン)二塩化水素化物、2、2’−アゾビス[2−(5−メチル−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩化水素化物、2、2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩化水素化物、4、4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等が挙げられる。又、レドックス系の例としては、ペルオキソ二硫酸アンモニウムと亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、トリメチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン等との組み合わせが挙げられる。更に過酸化物の例としては、ペルオキソ二硫酸アンモニウム或いはカリウム、過酸化水素、ベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、オクタノイルペルオキサイド、サクシニックペルオキサイド、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート等を挙げることができる。
重合温度は、使用する重合開始剤によって適宜決めていき、通常0〜100℃の範囲で行ない、特に10〜60℃の範囲が好ましい。
又、分子量の調整のため連鎖移動性を持つ化合物を併用することができ、例えば、2−メルカプトエタノール、2−プロパノール、亜硫酸水素ナトリウム、メタリルスルホン酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム等が使用できる。
N−ビニルカルボン酸アミドの濃度は適宜設定するが、通常は油中水型エマルジョン全量に対して10〜50質量%の範囲であり、特に15〜40質量%の範囲であることが好ましい。
次に油中水型エマルジョンのN−ビニルカルボン酸アミド重合物の加水分解に関して説明する。本発明のポリビニルアミンの安定な油中水型エマルジョンは、前記N−ビニルカルボン酸アミド重合物の油中水型エマルジョンを酸または塩基で加水分解し得ることができる。目的に応じて適宜選択することが可能であり、酸の存在下で使用する必要がある場合は、酸により加水分解することが好適である。酸による加水分解では、副生成物としてギ酸が生成し製造槽や貯槽を腐食するため、塩基により加水分解することが好適である。
加水分解のために適当な酸としては、加水分解の際にpHを0〜5の範囲とすることができれば制限はなく、ハロゲン化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸といった無機酸、炭素数1〜5の範囲のモノおよびジカルボン酸、スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸といった有機酸が例示でき、特にハロゲン化水素酸およびハロゲン化水素のガスを用いることが好ましく、ハロゲン化水素酸を用いることが最も好ましい。添加量は、ポリマーのホルミル基に対し0.05〜2、更に好ましくは0.4〜1.2当量の範囲で加えることが好ましい。
加水分解のために適当な塩基としては、加水分解の際にpHを8〜14の範囲とすることができれば制限はなく、周期律表第一および二a族の金属水酸化物、アンモニアおよびアンモニアのアルキル誘導体が例示でき、周期律表第一および二a族の金属水酸化物およびアンモニアを用いることが好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアの水溶液を用いることが最も好ましい。添加量は、ポリマーのホルミル基に対し0.05〜2、更に好ましくは0.4〜1.2当量の範囲で加えることが好ましい。
加水分解したポリビニルアミンの油中水型エマルジョンは、前記酸または塩基で中和することが可能で、pHが6.0〜14.0の範囲に調整することが好ましい。
加水分解は、HLB8.0〜14.0の範囲のポリオキシエチレンアルキルエーテルの存在下で行う必要がある。このようなポリオキシエチレンアルキルエーテルの例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルが挙げられる。これらのポリオキシエチレンアルキルエーテルは、N−ビニルカルボン酸アミドの重合時に添加することも、重合後加水分解の前に添加することも可能であるが、重合後、加水分解工程の前に添加する方法が好ましい。
意図しない架橋反応を防止する目的で、塩酸ヒドロキシルアミンの存在下で加水分解反応を行うことができる。この塩酸ヒドロキシルアミンは、重合後加水分解の前に添加することが好ましい。
加水分解を行う温度は、加水分解率と加水分解を行う時間により適宜選択することが可能であるが、通常40〜100℃、好ましくは60〜90℃の範囲で行う。
このようにして得られたポリビニルアミンの1mol/L濃度のNaCl水溶液中での25℃における固有粘度は、本発明の凝集処理剤として効果を発揮するためには、4.0〜10.0dL/gの範囲である必要がある。尚、固有粘度は、pH7になるまで塩酸中和したポリビニルアミン塩酸塩を測定した値である。固有粘度が4.0dL/g以下であると、凝集力が低下し、10.0dL/gより高ければフロックが過剰に大きくなり、過多に水分を取り込むため含水率が低下し好ましくはない。8.0dL/gより大きいと水溶液粘度が高くなり、0.2質量%水溶液粘度が200mPa・sを超える可能性が高いため、好ましくは4.0〜8.0dL/g、更に好ましくは4.0〜6.0dL/gの範囲である。
加水分解後は、親水性界面活性剤を添加して油の膜で被われたエマルジョン粒子が水になじみ易くし、中の水溶性高分子が溶解しやすくする処理を行なうことが好ましい。親水性界面活性剤の例としては、カチオン性界面活性剤やHLB9〜15のノ二オン性界面活性剤であり、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルコールエーテル等が例示できる。
本発明におけるポリビニルアミンは、乳化重合法により製造された油中水型エマルジョンであり、水溶液重合や逆相懸濁重合で製造されたポリビニルアミン系水溶性高分子に比べて分子量が高いため、ポリマーの収縮により絡み合いが生じ電荷が内包される傾向にあると考えられる。このため、本発明におけるポリビニルアミンの油中水型エマルジョンを汚泥に添加、撹拌されることにより内包されている電荷が高分子の外側に徐々に現れて汚泥中の懸濁物質と電荷の中和作用、再凝集を繰り返す結果、緻密で強固なフロックを形成、ケーキ含水率が低下するものと考えられる。分子量と電荷内包度合いの関係は、分子量が高ければ、必ずしも電荷内包度合いが高いとは限らない。これは、N−ビニルカルボン酸アミド重合体の重合条件や加水分解条件、ポリビニルアミンのアミノ化度等によって影響されるためである。又、単に電荷内包率が高ければ処理効果が高いとは言えず、そのため本発明におけるポリビニルアミンの油中水型エマルジョンの固有粘度が4.0〜10.0dL/gの範囲にあることが必須条件である。
次に具体的に本発明におけるポリビニルアミンの油中水型エマルジョンの使用に関して述べる。本発明におけるポリビニルアミンの油中水型エマルジョンが適用できる汚泥は、都市下水の処理場において、下水から沈降させた初沈生汚泥、活性汚泥槽からの流出水から沈降させた余剰汚泥ないしはこれらの混合物(該混合物を、通常「混合生汚泥」という)、消化汚泥等の有機汚泥である。特に有機物量(VSS)が低い汚泥、繊維分量(粗浮遊物量)が低い汚泥に有効であり、混合生汚泥や消化汚泥に特効である。これら有機汚泥に、本発明におけるポリビニルアミンの油中水型エマルジョンを添加すると強固なフロックを形成する。このフロックをベルトプレス、スクリュープレス、フィルタープレスなどの圧搾脱水装置、または遠心分離機、真空濾過機などの脱水装置で処理すると顕著な効果で脱水を行なうことができ、その結果、低含水率の脱水ケーキが得られる。これは、本発明におけるポリビニルアミンの油中水型エマルジョンのアミノ化度、固有粘度、水溶液粘度が有機汚泥に対して最適な組成、物性を有しているためと推測される。本発明で使用するポリビニルアミンの油中水型エマルジョンは、一級アミノ基を有するカチオン性高分子であり、汚泥中の懸濁粒子に対する吸着性が強い。そのため強固で巨大過ぎないフロックを形成する。その結果、脱水ケーキの含水率も低下し汚泥処理効率が非常に高い。又、従来のポリビニルアミン系水溶性高分子に比べて分子量が高く、本発明においては、分子量の指標として固有粘度を採用するが、1mol/L濃度のNaCl水溶液中での25℃における固有粘度が4.0〜10.0dL/gの範囲である。4.0dL/g未満では凝集力が不足し、また10.0dL/gを超えると溶液粘度が高くなり過ぎ分散性が低下することが推測されるためである。8.0dL/g以下が好ましい。これは、重量平均分子量で表すと100万〜500万の範囲であり、400万未満が好ましい。
本発明におけるポリビニルアミンの油中水型エマルジョンは、N−ビニルカルボン酸アミドの酸あるいはアルカリにより加水分解し、酸アミド基をアミノ基に変換することによりカチオン化するが、加水分解度すなわちアミノ化度は、完全に加水分解するよりも酸アミド基を残しておいたほうが、汚泥脱水剤としては好ましい。これは非イオン性基である酸アミド基と親水性基である一級アミノ基とのバランスに由るものと考えられる。従ってアミノ化度は30〜80モル%であることが好ましく、更に好ましくは40〜80モル%、より一層好ましくは50〜80モル%の範囲である。
本発明におけるポリビニルアミンの油中水型エマルジョンの水溶液粘度は、アミノ化度や分子量、重合条件によって影響されるが、一般的に凝集処理剤として使用されるアクリル系水溶性高分子に比べて極めて低く、例えば、25℃において回転粘度計にて測定した0.2質量%水溶液粘度が、アクリル系水溶性高分子が300〜1000mPa・s程度に対して、10〜200mPa・sの範囲であり、好ましくは10〜150mPa・s、更に好ましくは10〜100mPa・sである。粘性が低いため対象汚泥や排水に添加した時に、分散が良く、懸濁粒子との吸着性が優れること、及びアミノ化度と固有粘度が最適な範囲にあることとの相乗効果で凝集処理効果が促進されると考えられる。但し、10mPa・sより小さいと凝集効果が低くなるため好ましくはない。
4質量%食塩水中に高分子濃度が0.5質量%になるように完全溶解したときの25℃において回転粘度計にて測定した塩水溶液粘度は、10mPa・s以上、50mPa・s以下の範囲になる。尚、高分子濃度0.5質量%の4質量%食塩水溶液中粘度は、B型粘度計において2号ローター、30rpmで測定した値である。
本発明におけるポリビニルアミンの油中水型エマルジョンは、任意の濃度に水で溶解、希釈され汚泥に添加されるが、低粘性による効果を最大限に発揮するには溶解濃度0.05〜0.3質量%が好ましい。汚泥に対する添加率は、汚泥種や脱水機種によっても異なるが、通常汚泥固形分に対し0.005〜2.0質量%である。又、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、PAC、硫酸バンド等の無機系凝集剤と併用しても良い。使用する脱水機の種類は、ベルトプレス、遠心脱水機、スクリュープレス、多重円盤型脱水機、ロータリープレス、フィルタープレス等に対応できる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に制約されるものではない。
特開2012−153747号公報等の方法に基づいて、本発明におけるポリビニルアミンの油中水型エマルジョン試料群Xを調製した。物性値は、pH7になるまで塩酸中和したポリビニルアミンの塩酸塩単位である。同様に、本発明におけるポリビニルアミンの油中水型エマルジョンの範囲外の試料群Yを調製した。それぞれの試料の物性を表1に示す。又、市販凝集処理剤として水溶性高分子試料群Zを用意した。それぞれの試料の物性を表2に示す。
(表1)
アミノ化度;仕込みN−ビニルホルムアミドに対するモル分率(モル%)。
固有粘度;1mol/L濃度のNaCl水溶液中での25℃における固有粘度。
0.2質量%水溶液粘度;0.2質量%高分子水溶液をB型粘度計により測定(25℃)。
表2
0.5質量%塩水溶液粘度;0.5質量%高分子水溶液に4質量%塩化ナトリウムを添加、完全溶解後にB型粘度計により測定(25℃)。
0.2質量%水溶液粘度;0.2質量%高分子水溶液をB型粘度計により測定(25℃)。
試料−A:ポリアミジン系水溶性高分子、カチオン当量5.2meq/g(pH7)。
試料−E;ポリビニルアミン系水溶性高分子、カチオン当量4.3meq/g(pH7)。
(実施例1)
下水混合生汚泥(pH5.7、SS分14250mg/L、有機物量73.7質量%/SS、粗浮遊物量955mg/L、電気伝導度435mS/m)について汚泥脱水試験を実施した。汚泥200mLをポリビーカーに採取し、前記表1の試料群Xの0.2質量%溶解液をそれぞれ対汚泥SS分125ppmあるいは150ppm加え、ビーカー移し替え撹拌20回実施後、ナイロン製濾布(#202)により濾過し、60秒後の濾液量、フロック径を測定した。測定後、60秒間濾過した汚泥をプレス圧3Kg/cm2で60秒間脱水し、ケーキ含水率(105℃で20hr乾燥)を測定した。結果を表3に示す。
(比較例1)実施例1と同じ汚泥を対象に同様な試験を表1の試料群Y、表2の試料群Zを用いて行なった。これらの結果を表3に示す。
(表3)
本発明におけるポリビニルアミンの油中水型エマルジョンを添加時、範囲外の組成、物性を有するポリビニルアミンの油中水型エマルジョン添加時あるいはポリアミジン系水溶性高分子やアクリル系水溶性高分子添加時に比べて含水率低減効果が優れることが分かる。市販品のポリビニルアミン系水溶性高分子は、凝集不良でフロックを形成しなかった。分子量が不足しているためと考えられる。
(実施例2)
下水消化汚泥(pH7.7、SS分11000mg/L、有機物量70.5質量%/SS、粗浮遊物量594mg/L、電気伝導度732mS/m)について汚泥脱水試験を実施した。汚泥200mLをポリビーカーに採取し、前記表1の試料群Xの0.2質量%溶解液をそれぞれ対汚泥SS分200ppm加え、ビーカー移し替え撹拌20回実施後、ナイロン製濾布(#202)により濾過し、60秒後の濾液量、フロック径を測定した。測定後、60秒間濾過した汚泥をプレス圧3Kg/cm2で60秒間脱水し、ケーキ含水率(105℃で20hr乾燥)を測定した。結果を表4に示す。
(比較例2)実施例2と同じ汚泥を対象に同様な試験を表1の試料群Y、表2の試料群Zを用いて行なった。これらの結果を表4に示す。
(表4)
本発明におけるポリビニルアミンの油中水型エマルジョンを添加時、範囲外の組成、物性を有するポリビニルアミンの油中水型エマルジョン添加時あるいはアクリル系水溶性高分子添加時に比べて凝集性、含水率低減効果が優れることが分かる。ポリアミジン系水溶性高分子は、凝集不良でフロックを形成しなかった。
(実施例3)
下水混合生汚泥(pH5.3、SS分18500mg/L、有機物量89.2質量%/SS、粗浮遊物量6802mg/L、電気伝導度200mS/m)について汚泥脱水試験を実施した。汚泥200mLをポリビーカーに採取し、前記表1の試料群Xの0.2質量%溶解液をそれぞれ対汚泥SS分100ppm加え、ビーカー移し替え撹拌20回実施後、ナイロン製濾布(#202)により濾過し、60秒後の濾液量、フロック径を測定した。測定後、60秒間濾過した汚泥をプレス圧3Kg/cm2で60秒間脱水し、ケーキ含水率(105℃で20hr乾燥)を測定した。結果を表5に示す。
(比較例3)実施例3と同じ汚泥を対象に同様な試験を表1の試料群Y、表2の試料群Zを用いて行なった。これらの結果を表5に示す。
(表5)
本発明におけるポリビニルアミンの油中水型エマルジョンを添加時、範囲外の組成、物性を有するポリビニルアミンの油中水型エマルジョン添加時あるいはポリアミジン系水溶性高分子添加時に比べて含水率低減効果が優れることが分かる。
(実施例4)
下水混合生汚泥(pH5.3、SS分22250mg/L、有機物量83.1質量%/SS、粗浮遊物量3066mg/L、電気伝導度453mS/m)について汚泥脱水試験を実施した。汚泥200mLをポリビーカーに採取し、前記表1の試料群Xの0.2質量%溶解液をそれぞれ対汚泥SS分250ppm加え、ビーカー移し替え撹拌20回実施後、ナイロン製濾布(#202)により濾過し、60秒後の濾液量、フロック径を測定した。測定後、60秒間濾過した汚泥をプレス圧3Kg/cm2で60秒間脱水し、ケーキ含水率(105℃で20hr乾燥)を測定した。結果を表6に示す。
(比較例4)実施例4と同じ汚泥を対象に同様な試験を表1の試料群Y、表2の試料群Zを用いて行なった。これらの結果を表6に示す。
(表6)
本発明におけるポリビニルアミンの油中水型エマルジョンを添加時、アクリル系水溶性高分子添加時に比べて含水率低減効果が優れることが分かる。当該汚泥はポリアミジン系水溶性高分子が有効な汚泥であるが、本発明におけるポリビニルアミンの油中水型エマルジョンは、ポリアミジン系水溶性高分子と同等以上の濾水効果、含水率低減効果を示した。
(実施例5)
生ごみのバイオマス消化汚泥(pH7.7、SS分32750mg/L、有機物量60.3質量%/SS、粗浮遊物量2485mg/L、電気伝導度2230mS/m)について汚泥脱水試験を実施した。汚泥200mLをポリビーカーに採取し、前記表1の試料群Xの0.2質量%溶解液をそれぞれ対汚泥SS分650ppmあるいは750ppm加え、ビーカー移し替え撹拌20回実施後、ナイロン製濾布(#202)により濾過し、60秒後の濾液量、フロック径を測定した。測定後、60秒間濾過した汚泥をプレス圧3Kg/cm2で60秒間脱水し、ケーキ含水率(105℃で20hr乾燥)を測定した。結果を表7に示す。
(比較例5)実施例5と同じ汚泥を対象に同様な試験を表1の試料群Y、表2の試料群Zを用いて行なった。これらの結果を表7に示す。
(表7)
本発明におけるポリビニルアミンの油中水型エマルジョンを添加時、範囲外の組成、物性を有するポリビニルアミンの油中水型エマルジョン添加時あるいはアクリル系水溶性高分子添加時に比べて含水率低減効果が優れることが分かる。又、ポリアミジン系水溶性高分子と同等以上の濾水効果、含水率低減効果を示した。
(実施例6)
下水余剰汚泥(pH6.1、SS分12500mg/L、有機物量86.0質量%/SS、粗浮遊物量409mg/L、電気伝導度78mS/m)について汚泥脱水試験を実施した。汚泥200mLをポリビーカーに採取し、前記表1の試料群Xの0.2質量%溶解液を対汚泥SS分140ppm加え、CST測定装置において撹拌回転数500rpmで60秒撹拌後、ナイロン製濾布(#202)により濾過し、60秒後の濾液量、フロック径を測定した。測定後、60秒間濾過した汚泥をプレス圧4Kg/cm2で60秒間脱水し、ケーキ含水率(105℃で20hr乾燥)を測定した。結果を表8に示す。
(比較例6)実施例6と同じ汚泥を対象に同様な試験を表2の試料群Zを用いて行なった。これらの結果を表8に示す。
(表8)
本発明におけるポリビニルアミンの油中水型エマルジョンを添加時、アクリル系水溶性高分子やポリアミジン系水溶性高分子添加時に比べて良好な濾水効果、含水率低減効果を示した。






































Claims (3)

  1. 1mol/L濃度のNaCl水溶液中での25℃における固有粘度が4.0〜10.0dL/g、0.2質量%水溶液粘度が10〜200mPa・s、且つ4質量%食塩水中に高分子濃度が0.5質量%になるように完全溶解したときの塩水溶液粘度が10〜50mPa・sであり、アミノ化度が30〜80モル%の範囲である、ポリビニルアミンの油中水型エマルジョンを有機汚泥に添加、混合し凝集させた後、脱水機により脱水することを特徴とする汚泥の脱水方法。
  2. 前記ポリビニルアミンの油中水型エマルジョンの、アミノ化度が40〜80モル%の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の汚泥の脱水方法。
  3. 前記ポリビニルアミンの油中水型エマルジョンの、0.2質量%水溶液粘度が10〜100mPa・sの範囲であることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の汚泥の脱水方法。
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