JP6389218B2 - 鞍乗り型車両の導風構造 - Google Patents

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Description

本発明は、鞍乗り型車両の導風構造に関する。
従来、車両の前方に配置されたヘッドライトの側方をフロントカウルで覆った車両が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2014−198528号公報
特許文献1の車両において、フロントカウルがヘッドライト面よりも前方に突出している場合は、走行中にヘッドライトの先端に当たった風が、ヘッドライトの側方に流れ、ヘッドライトにおいて後方へ傾斜した面とフロントカウルとによって形成された隙間や段差に入り込んで風だまりとなる。この風だまりによって、車両の走行安定性に影響を及ぼすことがある。
本発明の目的は、ヘッドライト縁部での風だまりの発生を抑制することが可能な鞍乗り型車両の導風構造を提供することにある。
上述した課題を解決するため、本発明(第1の特徴)は、車体前部に配置されたヘッドライト(22)と、前記ヘッドライト(22)の側方を覆うフロントカバー(46)とを備え、前記ヘッドライト(22)は、その前面(24p)に、車幅方向中央部から車両側方斜め後方に傾斜するヘッドライト傾斜面(24x)を備え、前記フロントカバー(46)は、前記ヘッドライト傾斜面(24x)の車幅方向外側の縁部よりも前方に突出した突出部(46a)を備える鞍乗り型車両の導風構造において、前記ヘッドライト(22)は、前記ヘッドライト傾斜面(24x)の車幅方向外側に、前記突出部(46a)が突出する方向に突出する突出壁(24q)を備え、前記ヘッドライト傾斜面(24x)と前記突出壁(24q)とによって第1導風溝(24r)が形成されることを特徴とする。
第2の特徴は、前記第1導風溝(24r)は、正面視で車幅方向外方斜め上方に傾斜して形成される構成としても良い。
第3の特徴は、前記ヘッドライト傾斜面(24x)は、前上がりに傾斜した第1傾斜面(24t)と、第1傾斜面(24t)の下方に位置する前下がりに傾斜した第2傾斜面(24n)とを備え、前記第1傾斜面(24t)と前記第2傾斜面(24n)との間に走行風を前記第1導風溝(24r)へ導く第2導風溝(24u)が形成されている構成としても良い。
第4の特徴は、前記ヘッドライト(22)の下方に前輪(2)の上方を覆うフロントフェンダー(43)が配置され、前記ヘッドライト(22)は、その下部に上方に凹んだヘッドライト凹部(24h)を備え、前記フロントフェンダー(43)は、その上部に下方に凹んだフェンダー凹部(43b)を備え、前記ヘッドライト凹部(24h)と前記フェンダー凹部(43b)とで、車両後方へ走行風を導くライト下導風路(55)が形成されている構成としても良い。
本発明の第1の特徴によれば、ヘッドライトの前面を側方に流れた走行風が、第1導風溝によって突出壁に沿って流れやすくなり、ヘッドライト縁部での風だまりの発生を抑制することができる。これによって、車両の走行安定性を向上させることができる。
第2の特徴によれば、第1導風溝により、走行風を車幅方向外方斜め上方に導くことができ、乗員側へ流れる走行風を抑えることができる。
第3の特徴によれば、第2導風溝によって走行風を第1導風溝へ導きやすくできる。従って、ヘッドライト前面での走行風の流れを効果的に制御することができる。
第4の特徴によれば、ヘッドライトとフロントフェンダーとを利用してライト下導風路を形成することができ、特別に導風路を形成するのに比べてコストを下げることができる。また、ライト下導風路によって、車両前方からの走行風を効果的に後方へ導くことができ、車両の走行安定性を向上させることができる。
本発明に係る鞍乗り型車両の左側面図である。 鞍乗り型車両の前部を示す左側面図である。 鞍乗り型車両の前部を示す正面図である。 ヘッドライト用レンズの要部を示す斜視図である。 ヘッドライト用レンズの要部を示す断面図である。 ヘッドライト用レンズの片側を示す正面図である。 図3のVII−VII線断面図である。 図3のVIII−VIII線断面図である。 図3のIX−IX線断面図である。 図3のX−X線断面図である。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、説明中、前後左右および上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号FRは車体前方を示し、符号UPは車体上方を示し、符号LHは車体左方を示している。
図1は、本発明に係る鞍乗り型車両1の左側面図である。なお、図1では、左右一対で設けられるものは、符号を含めて左側のものだけが図示されている。
鞍乗り型車両1は、シート10に着座した乗員が足を載せるステップフロア11を有するスクータ型の自動二輪車であり、車体フレーム12の前方に前輪2を有し、駆動輪である後輪3は、車両後部に配置されるユニットスイングエンジン13に軸支されている。
鞍乗り型車両1は、車体フレーム12の前端部に軸支されるフロントフォーク14を備え、前輪2は、フロントフォーク14の下端部に軸支される。乗員が操舵するハンドル15は、フロントフォーク14の上端に取付けられている。
鞍乗り型車両1は、車体フレーム12等の車体を覆う車体カバー16を備える。
車体フレーム12は、前端に設けられるヘッドパイプ17と、ヘッドパイプ17から後下方に延びるダウンフレーム18と、ダウンフレーム18の下端から後方へ延びる左右一対のロアフレーム19,19と、ロアフレーム19,19の後端から後上がりに延びる左右一対のシートフレーム20,20とを備える。
ユニットスイングエンジン13は、内燃機関であるエンジン30と後輪3を支持するアーム部31とが一体化されたユニットスイングパワーユニットである。中空のケース状に形成されたアーム部31の内部には、エンジン30の出力を後輪3に伝達するベルト式無段変速機(不図示)が収容されている。
エンジン30は、車幅方向に延びるクランク軸を収容するクランクケース34と、クランクケース34の前面部から前方へ延びるシリンダ部(不図示)とを備える。
エンジン30の排気管(不図示)は、上記シリンダ部から引き出されて後方に延び、その後端が、後輪3の右側方(一側側方)に配置されたマフラー37に接続される。
アーム部31は、クランクケース34の左後部から後方に延び、後輪3の左側方(他側側方)に位置する。後輪3は、アーム部31の後端部の後輪車軸31aに軸支され、アーム部31によって片持ちで支持される。
エンジン30の吸気装置は、エアクリーナボックス40と、エアクリーナボックス40に接続されるスロットルボディ(不図示)とを備える。
エアクリーナボックス40は、アーム部31に支持され、アーム部31の上方に位置する。すなわち、エアクリーナボックス40は、後輪3の左側方に位置する。
上記スロットルボディは、エアクリーナボックス40の前方且つユニットスイングエンジン13の上方に配置され、その下流端が上記シリンダ部の吸気ポートに接続される。
車体カバー16は、ハンドル15の周辺部を覆うアッパーカバー45と、ヘッドパイプ17及びダウンフレーム18を前方及び側方から覆うフロントカバー46と、フロントカバー46に後方から合わさってヘッドパイプ17及びダウンフレーム18を後方から覆うレッグシールド47とを備える。フロントカバー46の内側にはフロントコンビネーションライト21(以下、単に「フロントライト21」と記す。)が配置される。
また、車体カバー16は、ロアフレーム19,19を下方から覆うアンダーカバー48と、ロアフレーム19,19を上方から覆う上記ステップフロア11と、シート10の下方でシートフレーム20,20を側方から覆う左右一対のリアフロントカバー49,49と、シート10の下方の部分を前方から覆うセンターロアカバー50とを備える。
また、鞍乗り型車両1は、前輪2を上方から覆うフロントフェンダー43を備える。
図2は、鞍乗り型車両1の前部を示す左側面図である。
フロントライト21は、ヘッドライト22と、左右一対のウインカ23とが一体にされた灯火器であり、その前面を形成するレンズ24と、レンズ24の後方に設けられるヘッドライト用光源(不図示)及びウインカ用光源(不図示)とを備える。
レンズ24は、ヘッドライト22を構成するヘッドライト用レンズ24Aと、ウインカ23を構成するウインカ用レンズ24Bとが一体に形成され、側面視では後上がりに延び、ヘッドライト用レンズ24Aは、ウインカ用レンズ24Bの下方に配置されている。
ヘッドライト用レンズ24Aは、側面視での輪郭が三角形状に形成され、ヘッドライト用レンズ24Aの前面24pの車幅方向中央部24cは、後下がりに形成され、車幅方向中央部24cの上端部がヘッドライト用レンズ24Aにおいて最も前方に突出している。
フロントライト21の下方にはフロントフェンダー43が位置する。
なお、ヘッドライト22とウインカ23とは一体であるが、ヘッドライト22とウインカ23とが別体に構成されていても良い。
図3は、鞍乗り型車両1の前部を示す正面図である。
レンズ24は、正面視V字状に形成され、V字の下部にヘッドライト用レンズ24A、V字の上部に左右一対のウインカ用レンズ24B,24Bが配置されている。
ヘッドライト用レンズ24Aは、正面視でその輪郭が、上辺24d、下辺24e、左右の側辺24f,24fから構成される。
上辺24dは、車幅方向中央部24cから車幅方向外側に向かうにつれて次第に上方に延びる左右一対の上傾斜部24g,24gからなる。下辺24eは、上方に湾曲した部分であり、下辺24eの周辺、即ち、ヘッドライト用レンズ24Aの下部には上方に凹んだレンズ凹部24hが形成されている。側辺24fは、正面視では、車幅方向中央部24cから車幅方向外側に向かうにつれて次第に上方に直線状に延びている。
ヘッドライト用レンズ24Aの後方には、ヘッドライト用光源の光をヘッドライト用レンズ24A側に反射させるリフレクタ26が配置されている。リフレクタ26は、ヘッドライト用レンズ24Aの上辺24dに沿って正面視V字状に形成されている。
ヘッドライト用レンズ24Aは、上下幅が中央部よりも車幅方向外側で広くなるレンズ下部24jと、レンズ下部24jの上方に且つリフレクタ26の前方に配置されて前方に膨出するレンズ上部24kとを備える。
レンズ下部24jは、それぞれ平坦に形成された正面視三角形状の左右一対のレンズ下側部24m,24mと、レンズ下部24jの下辺24eに沿って車幅方向に延びるレンズ凹部24hとを備える。
ヘッドライト用レンズ24Aの側辺24f,24fの側方にはフロントカバー46の内側部46a,46aが近接して配置され、内側部46a,46aは、側辺24f,24fに沿って延びている。
フロントカバー46における下部の左右の前縁46b,46bは、ヘッドライト22(詳しくは、ヘッドライト用レンズ24A)の下辺25eとで前部開口53が形成されている。前部開口53には、その内外をフロントフォーク14及びフロントフェンダー43が貫通している。
フロントフェンダー43の上面43aの車幅方向中央部には、下方に凹んだフェンダー凹部43bが形成され、フェンダー凹部43bと、ヘッドライト22(詳しくは、ヘッドライト用レンズ24A)のレンズ凹部24hとの間にライト下導風路55が形成されている。前部開口53及びライト下導風路55は、走行風を車体内側に取込む導風路となる。
図4は、ヘッドライト用レンズ24Aの要部を示す斜視図、図5は、ヘッドライト用レンズ24Aの要部を示す断面図である。
図4及び図5に示すように、ヘッドライト用レンズ24Aのレンズ下側部24mは、その車幅方向外側の縁部に、レンズ下側部24mの下部前面24nから前方に突出する突出壁24qを一体に備える。
突出壁24qは、フロントカバー46の内側部46aの内側縁46cに沿って形成されている。下部前面24nは、ヘッドライト用レンズ24Aの前面24pの一部を構成する。また、下部前面24nと突出壁24qとは、走行風を突出壁24qに沿って流す第1導風溝24rを形成している。
第1導風溝24rは、突出壁24q及びフロントカバー46の内側縁46cに沿って形成されている。
従来は、ヘッドライトの車幅方向外側の縁部に近接してフロントカバーの縁部が配置され、フロントカバーの縁部がヘッドライトの縁部よりも前方に突出した構造を有する車両では、ヘッドライトとフロントカバーとの間に出来る隙間が走行風の風だまりとなり、車両の走行安定性に影響を及ぼすことがあった。
本実施形態では、ヘッドライト用レンズ24Aの車幅方向外側の縁部に一体に前方に突出する突出壁24qが形成され、ヘッドライト用レンズ24A自体に第1導風溝24rが形成されている。このような構造によって、突出壁24qとフロントカバー46の内側縁46cとの間に隙間は出来るが、ヘッドライト22に当たる走行風は、第1導風溝24rに沿って流れやすくなり、従来のような風だまりは発生しにくくなっている。
ヘッドライト用レンズ24Aのレンズ上部24kは、その下部にレンズ下側部24mから立ち上げられた上傾斜部24sを備える。レンズ下側部24mの下部前面24nと上傾斜部24sの前面である上傾斜面24tとは、走行風を第1導風溝24rに導く第2導風溝24uを形成している。上傾斜面24tは、ヘッドライト用レンズ24Aの前面24pの一部を構成する。
図5において、ヘッドライト用レンズ24Aの突出壁24qの車幅方向外側には、突出壁24qに沿って前方に突出する外側突出壁24vが隔てて形成され、突出壁24qの後端と外側突出壁24vの後端とが接続壁24wで一体に接続されている。
フロントカバー46の内側部46aの裏面には、後方に突出するカバー突出壁46dが形成され、カバー突出壁46dがヘッドライト用レンズ24Aの突出壁24qと外側突出壁24vとの間に挿入されている。カバー突出壁46dは、フロントライト21に対するフロントカバー46の端部のがたつきを抑制する部分である。
上記の外側突出壁24v及びカバー突出壁46dは、ヘッドライト用レンズ24A及びフロントカバー46の縁部の限定された範囲にのみ形成されている。
図6は、ヘッドライト用レンズ24Aの片側(右側)を示す正面図である。
突出壁24qは、レンズ下側部24mの車幅方向外側の縁部のみに形成され、レンズ上部24kの車幅方向外側の縁部には形成されていない。
第1導風溝24rは、突出壁24qに沿って形成され、正面視で、突出壁24qの下端側から外側方斜め上方に延びている。第2導風溝24uは、上傾斜部24sの下縁に沿って形成され、ヘッドライト用レンズ24Aの車幅方向中央部24c側から車幅方向外側に向かうにつれて次第に上方に変位するように延び、第1導風溝24rに接続されている。
図中の矢印は、ヘッドライト用レンズ24Aの前面24pに当たった走行風の流れの一部を示している。走行風は、ヘッドライト用レンズ24Aの下部前面24nから第1導風溝24rに流れ込み、第1導風溝24rを上側に流れる。また、走行風は、車幅方向中央部24c側から第2導風溝24uを通り、更に、第1導風溝24rに流れている走行風と合流して第1導風溝24rに沿って上側に流れる。
図6に示したように、第1導風溝24rは、正面視で車幅方向外方斜め上方に傾斜して形成される。この構成によれば、第1導風溝24rにより、走行風を車幅方向外方斜め上方に導くことができ、乗員側へ流れる走行風を抑えることができる。
図7は、図3のVII−VII線断面図である。
ヘッドライト22は、ヘッドライト用ハウジング61、リフレクタ26、ヘッドライト用レンズ24A及びエクステンション部材62を備える。
ヘッドライト用ハウジング61は、車体側に取付けられ、フロントライト21を構成するハウジングの一部を構成している。ヘッドライト用ハウジング61にはヘッドライト用光源(不図示)が取付けられている。
リフレクタ26は、ヘッドライト用ハウジング61の前方に配置され、ヘッドライト用ハウジング61に支持されている。
詳しくは、リフレクタ26は、ヘッドライト用ハウジング61に揺動可能に支持され、光源の光軸を調整する光軸調整機構63によってリフレクタ26の指向角度が変更される。光軸調整機構63は、ヘッドライト用ハウジング61の背面に回転可能に支持された調整ビス65と、リフレクタ26の背面に取付けられて調整ビス65にねじ結合されたナット部材66と、リフレクタ26に設けられた揺動軸(不図示)とを備える。調整ビス65を回すことにより、ナット部材66と共にリフレクタ26が揺動軸を中心にして揺動し、所定の光軸角度に調整可能となる。
ヘッドライト用レンズ24Aは、リフレクタ26の前方に配置され、ヘッドライト用レンズ24Aの周縁は、ヘッドライト用ハウジング61の周縁に嵌合されている。エクステンション部材62は、リフレクタ26の外縁とヘッドライト用レンズ24Aの側壁24yとの間を前方から覆い、外部に露出するのを防いでいる。
ヘッドライト用レンズ24Aは、車幅方向中央部24cから車幅方向外側方に向かうにつれて次第に後方に延びる左右一対のヘッドライト傾斜面24x,24xを備える。ヘッドライト傾斜面24xは、下部前面24n及び上傾斜面24tから形成されている。
ヘッドライト用レンズ24Aは、その車幅方向両側縁に、下部前面24nから前方に突出する突出壁24q,24qが形成されている。
突出壁24q,24qは、その前方及び車幅方向外側方からフロントカバー46の内側部46a,46aに覆われ、内側部46a,46aの前縁が、突出壁24q,24qの前縁に近接している。
上記したように、ヘッドライト傾斜面24xを形成することで、ヘッドライト22に当たった走行風を左右のヘッドライト傾斜面24x,24xに沿って車幅方向両側方に振り分けて流すことができる。
突出壁24q、第1導風溝24r及び側壁24yは、後方からエクステンション部材62で覆われている。従って、ヘッドライト用光源82(図9参照)からの直接光がエクステンション部材62によって遮られ、突出壁24q、第1導風溝24r及び側壁24yから外部へは、ヘッドライト用光源82の光がほとんど照射されない。
図3及び図7に示したように、車体前部に配置されたヘッドライト22と、ヘッドライト22の側方を覆うフロントカバー46とを備え、ヘッドライト22は、その前面24pに、車幅方向中央部24cから車両側方斜め後方に傾斜するヘッドライト傾斜面24xを備える。フロントカバー46は、ヘッドライト傾斜面24xの車幅方向外側の縁部よりも前方に突出した突出部としての内側部46aを備える。ヘッドライト22は、ヘッドライト傾斜面24xの車幅方向外側に、内側部46aが突出する方向に突出する突出壁24qを備え、ヘッドライト傾斜面24xと突出壁24qとによって第1導風溝24rが形成される。
この構成によれば、ヘッドライト22の前面24pを側方に流れた走行風が、第1導風溝24rによって突出壁24qに沿って流れやすくなり、ヘッドライト22の縁部での風だまりの発生を抑制することができる。これによって、車両の走行安定性を向上させることができる。
図8は、図3のVIII−VIII線断面図である。
ヘッドライト用レンズ24Aの側壁24yには、前方に突出する突出壁24qと、突出壁24qに沿って前方に突出する外側突出壁24vとが形成されている。突出壁24qと外側突出壁24vとの間には、フロントカバー46の内側部46aの裏面から後方に突出するカバー突出壁46dが挿入されている。突出壁24q、外側突出壁24v及び接続壁24wは、係合凹部24zを構成し、係合凹部24zとカバー突出壁46dとが係合している。即ち、係合凹部24zとカバー突出壁46dとは、ヘッドライト用レンズ24Aとフロントカバー46との係合部68を構成している。
外側突出壁24v及びカバー突出壁46dは、この図では20mm程度の奥行きを有する。
ヘッドライト用ハウジング61は、その背面に後方に突出する複数の被支持部61aが形成されている。車体側、例えば車体フレーム12(図1参照)には、ライト取付ブラケット(不図示)が取付けられている。ライト取付ブラケットには、複数の支持部材71が取付けられ、複数の支持部材71に、ヘッドライト用ハウジング61の各被支持部61aがゴム製のグロメット72を介して弾性支持されている。
ヘッドライト用レンズ24Aのレンズ下部24jは、そのほとんどの部分が、後方からエクステンション部材62で覆われているので、ヘッドライト用光源82からの直接光がエクステンション部材62で遮られてレンズ下部24jにほとんど達しない。
図9は、図3のIX−IX線断面図である。
ヘッドライト用レンズ24Aの第2導風溝24uは、下部前面24nと上傾斜面24tとの間に形成されている。
下部前面(第2傾斜面)24nは、第2導風溝24uの下縁25aから下方斜め前方に延びる平坦面である。上傾斜面(第1傾斜面)24tは、上傾斜面24tの上縁25bから下方そして下方斜め後方に延びる湾曲面である。
下部前面24nは前下がりに傾斜し、上傾斜面24tは前上がりに傾斜しているので、下部前面24nと上傾斜面24tとで走行風を第2導風溝24uに集めることができる。更に、第2導風溝24uは、左右のヘッドライト傾斜面24x,24x(図8参照)と同様に、車幅方向外側方に向かうにつれて次第に車両後方へ延びている。このため、第2導風溝24uに集められた走行風を車幅方向両側方(第1導風溝24r側)へ流すことができる。
ヘッドライト用ハウジング61の上部には基盤81が取付けら、基盤81にLEDからなる複数のヘッドライト用光源82が取付けられている。
図9に示したように、ヘッドライト傾斜面24xは、前上がりに傾斜した第1傾斜面としての上傾斜面24tと、上傾斜面24tの下方に位置する前下がりに傾斜した第2傾斜面としての下部前面24nとを備える。上傾斜面24tと下部前面24nとの間に走行風を第1導風溝24rへ導く第2導風溝24uが形成されている。この構成によれば、第2導風溝24uによって走行風を第1導風溝24rへ導きやすくできる。従って、ヘッドライト22の前面24pでの走行風の流れを効果的に制御することができる。
また、図7及び図9に示したように、突出壁24qは、後方に遮光部材としてのエクステンション部材62が配置され、エクステンション部材62によってヘッドライト用光源82から突出壁24qへの光(直接光)が遮られる。この構成によれば、突出壁24q及びその周囲での発光や光の屈折を抑えることができ、外観性を向上させることができる。
図10は、図3のX−X線断面図である。
ヘッドライト用レンズ24Aの上傾斜部24sは、その下縁が、レンズ下部24jを介してレンズ凹部24hに接続されている。レンズ凹部24hとフロントフェンダー43のフェンダー凹部43bとでライト下導風路55が形成されている。
図中の矢印は、ヘッドライト用レンズ24Aの前面24pに当たった走行風の流れの一部を示している。走行風は、上傾斜部24sの上傾斜面24t及びレンズ下部24jの前面に沿って下方斜め後方に流れ、更に、レンズ凹部24hの下方のライト下導風路55を通って車体内部を後方に流れる。
このように、ヘッドライト用レンズ24Aの車幅方向中央部24cでは、走行風は、前上がりとされた上傾斜面24t及びレンズ下部24jの前面に沿ってフロントフェンダー43側に流れ、ライト下導風路55から車体内部に流れる。また、図9に示したように、ヘッドライト用レンズ24Aの車幅方向中央部24cから車幅方向外側に隔てた位置では、走行風は、前下がりとされた下部前面24nと、前上がりとされた上傾斜面24tとによって、第2導風溝24uに集められ、第2導風溝24uから第1導風溝24rに流れて車両上側に流れる。即ち、ヘッドライト用レンズ24Aでは、走行風を異なる方向に制御することができ、更には、各方向への風量調整を行うこともできる。これにより、車両の走行安定性、乗員への風当たり性、エンジン冷却に好影響を与えることができる。
図3及び図10に示したように、ヘッドライト22の下方に前輪2の上方を覆うフロントフェンダー43が配置される。ヘッドライト22は、その下部に上方に凹んだヘッドライト凹部としてのレンズ凹部24hを備える。フロントフェンダー43は、その上部に下方に凹んだフェンダー凹部43bを備える。レンズ凹部24hとフェンダー凹部43bとで、後方へ走行風を導くライト下導風路55が形成されている。
この構成によれば、ヘッドライト22とフロントフェンダー43とを利用して導風路となるライト下導風路55を形成することができ、特別に導風路を形成するのに比べてコストを下げることができる。また、ライト下導風路55によって、車両前方からの走行風を効果的に車両後方へ導くことができ、車両の走行安定性を向上させることができる。
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
例えば、上記実施形態において、図6に示したように、突出壁24qを、レンズ下側部24mの車幅方向外側の縁部のみに形成したが、これに限らず、レンズ下側部24m及びレンズ上部24kの車幅方向外側の縁部に形成しても良い。
また、図9に示したように、第2導風溝24uを、上傾斜面24tと下部前面24nとの間に形成したが、これに限らず、上傾斜面24tの下方位置にて下部前面24nを凹ませることで、下部前面24nの全体を第2導風溝24uとしても良い。
本発明に係る鞍乗り型車両は、自動二輪車に適用する場合に限らず、自動二輪車以外も含む。鞍乗り型車両とは、車体に跨って乗車する車両全般を含み、自動二輪車(原動機付き自転車も含む)のみならず、ATV(不整地走行車両)に分類される三輪車両や四輪車両を含む車両である。
1 鞍乗り型車両
2 前輪
22 ヘッドライト
24h レンズ凹部(ヘッドライト凹部)
24n 下部前面(第2傾斜面)
24p 前面
24q 突出壁
24r 第1導風溝
24t 上傾斜面(第1傾斜面)
24u 第2導風溝
24x ヘッドライト傾斜面
43 フロントフェンダー
43b フェンダー凹部
46 フロントカバー
46a 内側部(突出部)
55 ライト下導風路

Claims (4)

  1. 車体前部に配置されたヘッドライト(22)と、前記ヘッドライト(22)の側方を覆うフロントカバー(46)とを備え、前記ヘッドライト(22)は、その前面(24p)に、車幅方向中央部から車両側方斜め後方に傾斜するヘッドライト傾斜面(24x)を備え、前記フロントカバー(46)は、前記ヘッドライト傾斜面(24x)の車幅方向外側の縁部よりも前方に突出した突出部(46a)を備える鞍乗り型車両の導風構造において、
    前記ヘッドライト(22)は、前記ヘッドライト傾斜面(24x)の車幅方向外側に、前記突出部(46a)が突出する方向に突出する突出壁(24q)を備え、前記ヘッドライト傾斜面(24x)と前記突出壁(24q)とによって第1導風溝(24r)が形成されることを特徴とする鞍乗り型車両の導風構造。
  2. 前記第1導風溝(24r)は、正面視で車幅方向外方斜め上方に傾斜して形成されることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両の導風構造。
  3. 前記ヘッドライト傾斜面(24x)は、前上がりに傾斜した第1傾斜面(24t)と、第1傾斜面(24t)の下方に位置する前下がりに傾斜した第2傾斜面(24n)とを備え、前記第1傾斜面(24t)と前記第2傾斜面(24n)との間に走行風を前記第1導風溝(24r)へ導く第2導風溝(24u)が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の鞍乗り型車両の導風構造。
  4. 前記ヘッドライト(22)の下方に前輪(2)の上方を覆うフロントフェンダー(43)が配置され、前記ヘッドライト(22)は、その下部に上方に凹んだヘッドライト凹部(24h)を備え、前記フロントフェンダー(43)は、その上部に下方に凹んだフェンダー凹部(43b)を備え、前記ヘッドライト凹部(24h)と前記フェンダー凹部(43b)とで、車両後方へ走行風を導くライト下導風路(55)が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両の導風構造。
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