JP6387702B2 - 多板摩擦締結要素 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の摩擦プレートの軸方向スペースを均等化する弾性体を備えた多板摩擦締結要素に関する。
従来、単体のドリブンプレートに、リベット留めした板バネやゴムを溶着した弾性スペーサ手段を有した多板クラッチが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、両端の係合部を有する円環状のウェーブスプリングを、隣接するドリブンプレートに形成した被係合部に係合させた湿式多板クラッチが知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開昭60−78115号公報 特開平4−307122号公報
しかしながら、特許文献1に記載された多板クラッチにあっては、ドリブンプレートの爪と呼ばれるスプライン歯部にそれぞれ弾性スペーサ手段を取り付けていた。このため、ドリブンプレートのプレート単体での製造性が悪いし、ユニットへの組み付け性も悪い、という問題があった。また、特許文献2に記載された多板クラッチにあっては、ユニットへの組み付け性の問題は解消されるが、ユニットへの組み付け前に、複数のドリブンプレートを、ウェーブスプリングを係合しながら繋ぐサブ組み付けが必要になる。さらに、1巻きのウェーブスプリングでスプリング荷重を出す構造となっているため、ドリブンプレートのプレート本体部に、スプリング荷重を与える径方向のスペースが必要である、という問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、径方向のスペースを不要にしながら、プレート単体での製造性や組み付け性を容易にすることができる多板摩擦締結要素を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の多板摩擦締結要素は、動力伝達経路に対向配置される第1部材及び第2部材と、複数の第1摩擦プレートと、複数の第2摩擦プレートと、ピストン部材と、を備える。
前記複数の第1摩擦プレートは、前記第1部材に形成されたスプライン歯にスプライン嵌合される。
前記複数の第2摩擦プレートは、前記第2部材に形成されたスプライン歯にスプライン嵌合され、隣接する前記第1摩擦プレートの間に配置される。
前記ピストン部材は、前記第1摩擦プレート及び前記第2摩擦プレートが交互に配置されたプレート群の端部位置に設けられ、プレート摺動面を圧接する締結力を与える。
この多板摩擦締結要素において、前記第2摩擦プレートの隣接するプレート隙間空間のそれぞれに弾性体を介装する。
前記弾性体は、その周長がプレート円周長の半分を超えていて、且つ、隣接する前記第2摩擦プレートを引き離すスプリング荷重の作用点が、前記第2摩擦プレートの対向するスプライン歯部である形状にする。
前記弾性体は、金属線材により構成され、前記第2部材に形成されたスプライン歯の歯面と、前記第1摩擦プレートの外周端面と、隣接する前記第2摩擦プレートのスプライン歯部の軸方向対向面と、によって円周方向に形成されるプレート隙間空間に沿って位置決め配置する。
前記弾性体を、金属線材の軸線周り方向に捩りを加えたときの反発力を利用してスプリング荷重を発生するトーションバースプリングとする。
前記トーションバースプリングは、円形断面による針金状線材により形成され、前記プレート隙間空間に円周方向に沿って配置される捩り線材部と、軸方向に対向する前記スプライン歯部のうち一方の歯部にスプリング荷重を付与する第1接触線材部と、軸方向に対向する前記スプライン歯部のうち他方の歯部にスプリング荷重を付与する第2接触線材部と、を一体に有する。
よって、第2摩擦プレートの隣接するプレート隙間空間のそれぞれに弾性体が介装される。この弾性体は、その周長がプレート円周長の半分を超えていて、且つ、隣接する第2摩擦プレートを引き離すスプリング荷重の作用点が、第2摩擦プレートの対向するスプライン歯部である形状とされる。
すなわち、隣接する第2摩擦プレートを引き離すスプリング荷重の作用点が、第2摩擦プレートのスプライン歯部である形状としている。このため、第2摩擦プレートのプレート本体部に、スプリング荷重を与えるための径方向のスペースの確保が不要になる。
そして、第2摩擦プレートの隣接するプレート隙間空間に弾性体を介装するだけの構成としている。このため、第2摩擦プレートの単体に弾性体を固定する必要なく、ユニットへ組み付けるとき、第1摩擦プレートと第2摩擦プレートと弾性体を、所定の順序にしたがって組み付ける作業を繰り返すだけで良い。この組み付け作業に際し、弾性体の周長を、プレート円周長の半分を超える長さとしていることで、組み付けられた弾性体が脱落することなく、プレート隙間空間に保持される。よって、プレート単体での製造性が容易になるし、ユニットへの組み付け性が容易になる。
この結果、径方向のスペースを不要にしながら、プレート単体での製造性や組み付け性を容易にすることができる。
加えて、使っていないプレート隙間空間に沿って位置決め配置することで、弾性体の搭載性を向上させることができるし、弾性体をトーションバースプリングとし、ピストン部材からリターンスプリングを廃止することで、リターンスプリングを設置するスペースを不要にすることができる。さらに、トーションバースプリングは、捩り線材部と第1接触線材部と第2接触線材部とを一体に有することで、小スペースに配置できる針金状線材としながら、大きなスプリング荷重により高い分離力を発生するトーションバースプリングとすることができる。
実施例1の湿式多板クラッチ(多板摩擦締結要素の一例)を示す全体断面図である。 実施例1の湿式多板クラッチの隣接するドリブンプレートに介装されたトーションバースプリングを示す図1のA−A線断面図である。 実施例1の湿式多板クラッチの隣接するドリブンプレートに介装されたトーションバースプリングを示す図1のB部拡大図である。 実施例1の湿式多板クラッチの隣接するドリブンプレートに介装されたトーションバースプリングを示す一部拡大斜視図である。 比較例1の多板クラッチを示す要部断面図である。 比較例2の多板クラッチを示す要部断面図である。 比較例2の多板クラッチのウェーブスプリングを示す説明図である。 実施例1の湿式多板クラッチの隣接するドリブンプレートに介装されたトーションバースプリングの他の例を示す断面図である。
以下、本発明の多板摩擦締結要素を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
実施例1における湿式多板クラッチC(多板摩擦締結要素の一例)の構成を、「全体構成」、「要部構成」に分けて説明する。
[全体構成]
図1は、実施例1の湿式多板クラッチCの全体断面図を示す。以下、図1に基づき、全体構成を説明する。
前記湿式多板クラッチCは、図1に示すように、クラッチハブ1(第1部材)と、クラッチドラム2(第2部材)と、ドライブプレート3(第1摩擦プレート)と、ドリブンプレート4(第2摩擦プレート)と、クラッチピストン5(ピストン部材)と、トーションバースプリング6(弾性体)と、を備えている。
前記クラッチハブ1及びクラッチドラム2は、動力伝達経路において、軸方向に重なり合うと共に、径方向に所定の間隔を介して対向配置される。クラッチハブ1は、駆動源側に連結され、クラッチドラム2と径方向に対向する対向面に外歯によるスプライン歯1aが形成される。クラッチドラム2は、駆動輪側に連結され、クラッチハブ1と径方向に対向する対向面に内歯によるスプライン歯2aが形成される。
前記ドライブプレート3は、複数枚用意されたドーナツ形プレートであり、クラッチハブ1に形成されたスプライン歯1aに対してスプライン嵌合され、クラッチハブ1が回転すると回転中心線CLを中心として回転する。ドライブプレート3の内周には、スプライン歯1aに嵌合するスプライン歯部3aが形成される。ドライブプレート3の両面には、動力伝達面になる領域にクラッチフェーシング3bが貼り付けられる。
前記ドリブンプレート4は、複数枚用意されたドーナツ形プレートであり、クラッチドラム2に形成されたスプライン歯2aに対してスプライン嵌合され、クラッチドラム2が回転すると回転中心線CLを中心として回転する。ドリブンプレート4の外周には、スプライン歯2aに嵌合するスプライン歯部4aが形成される。クラッチピストン5とは、軸方向の反対側の端部には、ドリブンプレート4と同じ形状であるが厚みを増したリテーナプレート7が配置され、このリテーナプレート7は、スプライン歯2aに形成されたリング溝に設けられたスナップリング8により軸方向移動が規定される。
前記クラッチピストン5は、ドライブプレート3及びドリブンプレート4が交互に配置されたプレート群の端部位置に設けられ、クラッチフェーシング3bが貼り付けられたプレート摺動面を圧接する締結力を与える。クラッチピストン5は、クラッチドラム2と一体に形成されたピストンシリンダ部2bに軸方向に往復移動可能に配置される。クラッチピストン5のピストン端面5aは、ドリブンプレート4と接触する位置まで延設される。クラッチピストン5は、第1オイルシール9と第2オイルシール10によりピストン油室11を画成している。ピストン油室11にピストンシリンダ部2bに形成されたクラッチ作動油穴12からクラッチ作動油を供給すると、クラッチピストン5がクラッチ締結方向(図1の右方向)にストロークする。一方、ピストン油室11からクラッチ作動油を抜くと、リターンスプリングを兼ねるトーションバースプリング6による付勢力によりクラッチ解放位置に戻る。
前記トーションバースプリング6は、金属線材の軸線周り方向に捩りを加えたときの反発力を利用してスプリング荷重を発生する弾性体であり、図1に示すように、複数のドリブンプレート4の隣接するプレート隙間空間Sのそれぞれに介装される。
[要部構成]
図2〜図4は、実施例1の湿式多板クラッチCの隣接するドリブンプレート4に介装されたトーションバースプリング6を示す。以下、図2〜図4に基づき、要部構成を説明する。
前記トーションバースプリング6は、隣接するドリブンプレート4を引き離すスプリング荷重を作用させるもので、図2に示すように、その周長がプレート円周長の全周にわたった円環状としている。そして、図3及び図4に示すように、隣接するドリブンプレート4を引き離すスプリング荷重の作用点が、ドリブンプレート4の対向するスプライン歯部4aである形状にしている。
前記トーションバースプリング6は、図3に示すように、バネ鋼等を素材とする円形断面による針金状線材(金属線材)により構成される。そして、クラッチドラム2に形成されたスプライン歯2aの歯面と、ドライブプレート3の外周端面と、隣接するドリブンプレート4のスプライン歯部4aの軸方向対向面と、によって円周方向に形成されるプレート隙間空間Sに沿って位置決め配置される。すなわち、トーションバースプリング6を、ドリブンプレート4のプレート本体部4bにまで至らないプレート隙間空間Sに設定している。
前記トーションバースプリング6は、図4に示すように、捩り線材部6aと、第1接触線材部6bと、第2接触線材部6cと、を一体に有して構成される。捩り線材部6aは、ドリブンプレート4の隣接するスプライン歯部4aを円周方向に繋ぐ位置であって、プレート隙間空間Sに円周方向に沿って配置される。第1接触線材部6bは、台形状に屈曲させて形成され、軸方向に対向するドリブンプレート4,4’のスプライン歯部4a,4a’のうち一方の歯部4aにスプリング荷重を付与する。第2接触線材部6cは、台形状に屈曲させて形成され、軸方向に対向するドリブンプレート4,4’のスプライン歯部4a,4a’のうち他方の歯部4a’にスプリング荷重を付与する。そして、台形状に屈曲された第1接触線材部6bのうち、上底に相当する辺の線材部分が第1スプリング荷重付与部SF1となる。同様に、台形状に屈曲された第2接触線材部6cのうち、上底に相当する辺の線材部分が第2スプリング荷重付与部SF2となる。さらに、台形状に屈曲された第1接触線材部6bと第2接触線材部6cは、クラッチドラム2のスプライン歯部2aの頂部に沿わせた捩り線材部6aに対して周方向に交互位置に配置される。
次に、作用を説明する。
実施例1の湿式多板クラッチCにおける作用を、「技術背景」、「湿式多板クラッチCの特徴作用」、「湿式多板クラッチCの他の特徴作用」に分けて説明する。
[技術背景]
フリクションロスを低減する為にドリブンプレート間に弾性体を設け、ドライブプレートのスペースを均一に確保する技術が既に提案されている。提案されている技術のうち、図5に示すように、単体のドリブンプレートにリベット留めした板バネやゴムを溶着した弾性体機能を有したドリブンプレートとするものを、比較例1とする(例えば、特開昭60−78115号公報等を参照)。
この比較例1の場合、下記に列挙するような課題がある。
(a) 爪状のスプライン歯部の1歯ずつに、弾性体を取り付ける必要があり、多大な製造工数が必要であるというように、単体での製造性が悪い。
(b) スプライン歯部のそれぞれに取り付ける弾性体が、図5のL1に示すように、ドリブンプレートの本体部の位置まで至ると、摺動面のスペースを犠牲にする。
(c) 合成ゴム等の有機物を素材とする弾性体を用いる場合には、クラッチが発熱した場合、その高熱に耐えられない。特に、ハイブリッド車両の駆動系に用いられるクラッチであって、車両発進時に滑り締結される発進クラッチとして用いる場合、クラッチ発熱量が大きく、適用することができない。
また、図6及び図7に示すように、両端の係合部を有する円環状のウェーブスプリングを、隣接するドリブンプレートに形成した被係合部に係合させたものを、比較例2とする(例えば、特開平4-307122号公報等を参照)。
この比較例2では、単体での製造性の課題は解消されるが、下記に列挙するような課題がある。
(a) サブ組み立て時の組み付け性が困難となる。つまり、クラッチ組み立てする前にドライブプレートを挟み込んだドリブンプレートを弾性体で結合しなければならず、事前の組立て性が悪い。
(b) 1巻きのウェーブスプリングで荷重を出す構造となっており、図6のL2に示すように、径方向にスペースが必要である。このため、図7に示すように、ドリブンプレートの本体部の一部がウェーブスプリングで占有され、摺動面のスペースを犠牲にする。
(c) 1巻きのウェーブスプリングは、完全な円環ではないため、ピストンをリターンできるほどの分離力がなく、リターンスプリングのスペースが必要である。
[湿式多板クラッチCの特徴作用]
実施例1では、ドリブンプレート4の隣接するプレート隙間空間Sのそれぞれにトーションバースプリング6を介装している。このトーションバースプリング6は、その周長がプレート円周長の全周であり、且つ、隣接するドリブンプレート4を引き離すスプリング荷重の作用点が、ドリブンプレート4の対向するスプライン歯部4aである形状としている。
すなわち、隣接するドリブンプレート4を引き離すスプリング荷重の作用点が、ドリブンプレート4のスプライン歯部4aである形状としている。このため、ドリブンプレート4のプレート本体部4bに、スプリング荷重を与えるための径方向のスペースの確保が不要になる。つまり、トーションバースプリング6を配置するにあたって、図3のL3に示すように、ドリブンプレート4のスプライン歯部4aの長さに、トーションバースプリング6の線径と隙間余裕分の長さを加えた長さL3があれば十分である。このため、比較例2のように、ドリブンプレートの本体部が弾性体にて占有されることなく、図2に示すように、クラッチフェーシング3bによる摺動面のスペースを犠牲にすることがない。言い換えると、伝達トルク容量の設計値を達成するためにプレート枚数を増やす必要が無く、既存の湿式多板クラッチに容易に適用することができる。
そして、ドリブンプレート4の隣接するプレート隙間空間Sに弾性体であるトーションバースプリング6を介装するだけの構成としている。このため、比較例1のように、ドリブンプレート4の単体のそれぞれに弾性体を固定する必要がない。また、ユニットへ組み付けるとき、比較例2のように、サブ組み立てが必要なく、ドライブプレート3とドリブンプレート4とトーションバースプリング6を、所定の順序にしたがって組み付ける作業を繰り返すだけで良い。例えば、ドリブンプレート4→ドライブプレート3→トーションバースプリング6という順序で組み付けを繰り返すだけで組み付け作業を完了できる。この組み付け作業に際し、トーションバースプリング6を円環状としていることで、組み付けられた弾性体が脱落することなく、プレート隙間空間Sに保持される。よって、プレート単体での製造性が容易になるし、ユニットへの組み付け性が容易になる。
この結果、径方向のスペースを不要にしながら、プレート単体での製造性や組み付け性を容易にすることができるというように、比較例1,2の課題が解決される。
[湿式多板クラッチCの他の特徴作用]
実施例1では、トーションバースプリング6を、金属線材により構成し、プレート隙間空間Sに沿って位置決め配置する構成とした。ここで、プレート隙間空間Sは、クラッチドラム2に形成されたスプライン歯2aの歯面と、ドライブプレート3の外周端面と、隣接するドリブンプレート4のスプライン歯部4aの軸方向対向面と、によって円周方向に形成される。
すなわち、湿式多板クラッチにおいて使っていないスペースであるプレート隙間空間Sを利用し、トーションバースプリング6が位置決め配置される。
したがって、使っていないプレート隙間空間Sを利用することで、弾性体であるトーションバースプリング6の搭載性を向上させることができる。
実施例1では、弾性体を、金属線材の軸線周り方向に捩りを加えたときの反発力を利用してスプリング荷重を発生するトーションバースプリング6とする構成とした。
すなわち、弾性体を捩りバネ構成とすることで、小さいスペースに設けることを可能としながら大きな反力を発生させることができる。言い換えると、トーションバースプリング6が持つ高い分離力により、リターンスプリング機能を持たせることができる。
したがって、クラッチピストン5からリターンスプリングを廃止することで、リターンスプリングを設置するスペースを不要にすることができる。
実施例1では、トーションバースプリング6は、円形断面による針金状線材により形成され、捩り線材部6aと、スプライン歯部4aにスプリング荷重を付与する第1接触線材部6bと、スプライン歯部4a’にスプリング荷重を付与する第2接触線材部6cと、を一体に有する構成とした。
すなわち、トーションバースプリング6が一体構造であるため、捩り線材部6aでの捩り反力が、第1接触線材部6bと第2接触線材部6cからのスプリング荷重に効率的に変換される。そして、このスプリング荷重を、軸方向に隣接するスプライン歯部4aとスプライン歯部4a’を引き離すように付与することができる。
したがって、小スペースに配置できる針金状線材としながら、大きなスプリング荷重により高い分離力を発生するトーションバースプリング6とすることができる。
実施例1では、トーションバースプリング6を、ドリブンプレート4の隣接するスプライン歯部4aを円周方向に繋ぐ位置に捩り線材部6aを配置し、捩り線材部6aに対して周方向に交互位置に第1接触線材部6bと第2接触線材部6cを配置する構成とした。
すなわち、交互位置に配置された第1接触線材部6bと第2接触線材部6cからスプリング荷重が、等間隔で均等に付与される。
したがって、軸方向に隣接するドリブンプレート4に対する分離力の周方向分布を均等化し、解放時の引き摺りを安定して防止することができる。
次に、効果を説明する。
実施例1の湿式多板クラッチCにあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1) 動力伝達経路に対向配置される第1部材(クラッチハブ1)及び第2部材(クラッチドラム2)と、
第1部材(クラッチハブ1)に形成されたスプライン歯1aにスプライン嵌合される複数の第1摩擦プレート(ドライブプレート3)と、
第2部材(クラッチドラム2)に形成されたスプライン歯2aにスプライン嵌合され、隣接する第1摩擦プレート(ドライブプレート3)の間に配置される複数の第2摩擦プレート(ドリブンプレート4)と、
第1摩擦プレート(ドライブプレート3)及び第2摩擦プレート(ドリブンプレート4)が交互に配置されたプレート群の端部位置に設けられ、プレート摺動面を圧接する締結力を与えるピストン部材(クラッチピストン5)と、
を備えた多板摩擦締結要素(湿式多板クラッチC)において、
第2摩擦プレート(ドリブンプレート4)の隣接するプレート隙間空間のそれぞれに弾性体(トーションバースプリング6)を介装し、
弾性体(トーションバースプリング6)は、その周長がプレート円周長の半分を超えていて、且つ、隣接する第2摩擦プレート(ドリブンプレート4)を引き離すスプリング荷重の作用点が、第2摩擦プレート(ドリブンプレート4)の対向するスプライン歯部4aである形状にした(図1)。
このため、径方向のスペースを不要にしながら、プレート単体での製造性や組み付け性を容易にすることができる。
(2) 弾性体(トーションバースプリング6)は、金属線材により構成され、第2部材(クラッチドラム2)に形成されたスプライン歯2aの歯面と、第1摩擦プレート(ドライブプレート3)の外周端面と、隣接する第2摩擦プレート(ドリブンプレート4)のスプライン歯部4aの軸方向対向面と、によって円周方向に形成されるプレート隙間空間Sに沿って位置決め配置した(図3)。
このため、(1)の効果に加え、使っていないプレート隙間空間Sを利用することで、弾性体(トーションバースプリング6)の搭載性を向上させることができる。
(3) 弾性体を、金属線材の軸線周り方向に捩りを加えたときの反発力を利用してスプリング荷重を発生するトーションバースプリング6とした(図4)。
このため、(2)の効果に加え、ピストン部材(クラッチピストン5)からリターンスプリングを廃止することで、リターンスプリングを設置するスペースを不要にすることができる。
(4) トーションバースプリング6は、円形断面による針金状線材により形成され、プレート隙間空間Sに円周方向に沿って配置される捩り線材部6aと、軸方向に対向するスプライン歯部4a,4a’のうち一方の歯部4aにスプリング荷重を付与する第1接触線材部6bと、軸方向に対向するスプライン歯部4a,4a’のうち他方の歯部4a’にスプリング荷重を付与する第2接触線材部6cと、を一体に有する(図4)。
このため、(3)の効果に加え、小スペースに配置できる針金状線材としながら、大きなスプリング荷重により高い分離力を発生するトーションバースプリング6とすることができる。
(5) トーションバースプリング6は、第2摩擦プレート(ドリブンプレート4)の隣接するスプライン歯部4aを円周方向に繋ぐ位置に捩り線材部6aを配置し、捩り線材部6aに対して周方向に交互位置に第1接触線材部6bと第2接触線材部6cを配置した(図4)。
このため、(4)の効果に加え、軸方向に隣接するドリブンプレート4に対する分離力の周方向分布を均等化し、解放時の引き摺りを安定して防止することができる。
以上、本発明の多板摩擦締結要素を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1では、弾性体として、隣接するドリブンプレート4を引き離すスプリング荷重の作用点が、ドリブンプレート4の対向するスプライン歯部4aである形状のトーションバースプリング6を用いる例を示した。しかし、弾性体としては、隣接する第2摩擦プレートを引き離すスプリング荷重の作用点が、第2摩擦プレートの対向するスプライン歯部である形状のものであれば、トーションバースプリングに限られるものではない。
実施例1では、トーションバースプリング6として、その周長がプレート円周長の全周にわたった円環状の例を示した。しかし、トーションバースプリングとしては、例えば、図8に示すように、その周長がプレート円周長の半分(180度)を超えているものであれば良い。そして、トーションバースプリングの周長を、プレート円周長の半分を超える長さにすると、組み付け作業に際し、組み付けられたトーションバースプリングが脱落することなく、プレート隙間空間に保持される。
実施例1では、台形状に屈曲された第1接触線材部6bと第2接触線材部6cを、クラッチドラム2のスプライン歯部2aの頂部に沿わせた捩り線材部6aに対して周方向に交互位置に配置する例を示した。しかし、台形状に屈曲された第1接触線材部と第2接触線材部を、捩り線材部に対して周方向に1つずつ飛ばして交互位置に配置する例であっても良いし、捩り線材部に対して周方向に2つずつ飛ばして交互位置に配置する例であっても良い。さらに、2つの接触線材部を、周方向にランダムなパターンにより配置する例としても良い。
実施例1では、本発明の多板摩擦締結要素を、湿式多板クラッチCに適用する例を示した。しかし、本発明の多板摩擦締結要素は、乾式多板クラッチに対しても適用することができる。さらに、締結により静止部材に固定する湿式多板ブレーキや乾式多板ブレーキにも適用することができる。要するに、車両の駆動系に適用される多板クラッチや多板ブレーキのように、外部から付与される締結力により締結される多板摩擦締結要素であれば適用できる。
C 湿式多板クラッチ(多板摩擦締結要素)
1 クラッチハブ(第1部材)
1a スプライン歯
2 クラッチドラム(第2部材)
2a スプライン歯
3 ドライブプレート(第1摩擦プレート)
3a スプライン歯部
3b クラッチフェーシング
4 ドリブンプレート(第2摩擦プレート)
4a スプライン歯部
4b プレート本体部
5 クラッチピストン(ピストン部材)
6 トーションバースプリング(弾性体)
6a 捩り線材部
6b 第1接触線材部
6c 第2接触線材部

Claims (2)

  1. 動力伝達経路に対向配置される第1部材及び第2部材と、
    前記第1部材に形成されたスプライン歯にスプライン嵌合される複数の第1摩擦プレートと、
    前記第2部材に形成されたスプライン歯にスプライン嵌合され、隣接する前記第1摩擦プレートの間に配置される複数の第2摩擦プレートと、
    前記第1摩擦プレート及び前記第2摩擦プレートが交互に配置されたプレート群の端部位置に設けられ、プレート摺動面を圧接する締結力を与えるピストン部材と、
    を備えた多板摩擦締結要素において、
    前記第2摩擦プレートの隣接するプレート隙間空間のそれぞれに弾性体を介装し、
    前記弾性体は、その周長がプレート円周長の半分を超えていて、且つ、隣接する前記第2摩擦プレートを引き離すスプリング荷重の作用点が、前記第2摩擦プレートの対向するスプライン歯部である形状にし
    前記弾性体は、金属線材により構成され、前記第2部材に形成されたスプライン歯の歯面と、前記第1摩擦プレートの外周端面と、隣接する前記第2摩擦プレートのスプライン歯部の軸方向対向面と、によって円周方向に形成されるプレート隙間空間に沿って位置決め配置し、
    前記弾性体を、金属線材の軸線周り方向に捩りを加えたときの反発力を利用してスプリング荷重を発生するトーションバースプリングとし、
    前記トーションバースプリングは、円形断面による針金状線材により形成され、前記プレート隙間空間に円周方向に沿って配置される捩り線材部と、軸方向に対向する前記スプライン歯部のうち一方の歯部にスプリング荷重を付与する第1接触線材部と、軸方向に対向する前記スプライン歯部のうち他方の歯部にスプリング荷重を付与する第2接触線材部と、を一体に有する
    ことを特徴とする多板摩擦締結要素。
  2. 請求項1に記載された多板摩擦締結要素において、
    前記トーションバースプリングは、前記第2摩擦プレートの隣接するスプライン歯部を円周方向に繋ぐ位置に前記捩り線材部を配置し、前記捩り線材部に対して周方向に交互位置に前記第1接触線材部と前記第2接触線材部を配置した
    ことを特徴とする多板摩擦締結要素。
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