JP6385850B2 - フェノール樹脂、フェノール樹脂の製造方法、樹脂組成物およびポリウレタンフォーム - Google Patents

フェノール樹脂、フェノール樹脂の製造方法、樹脂組成物およびポリウレタンフォーム Download PDF

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Description

本発明は、断熱材として使用されるポリウレタンフォーム、ポリウレタンフォームの原料として使用される樹脂組成物、フェノール樹脂およびフェノール樹脂の製造方法に関する。
ポリウレタンフォームは、断熱性および接着性に優れているため、建築用途、工業用途等の断熱材として使われている。近年、建築用途では、次世代省エネルギー基準の義務化を控えて、より熱伝導率の低い断熱材が要求されている。
ポリウレタンフォームは、一般に、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを反応させて、スラブ発泡法、注入発泡法、スプレー発泡法、ラミネート連続発泡法等の方式により発泡、硬化させることにより、製造されている。
例えば、特許文献1には、優れた断熱性能を実現するポリウレタンフォームとして、ノボラック型フェノール樹脂および/またはノボラック型フェノール樹脂にアルキレンオキサイドを付加させたフェノール樹脂を含むポリオール成分を用いて製造したものが開示されている。
特開2011−21053号公報
しかしながら、従来のポリウレタンフォームの断熱性能は、未だ不十分であり、より一層断熱性能を向上させることが要求されている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、高い断熱性能を有するポリウレタンフォームを提供することを課題とする。
また、本発明は、高い断熱性能を有するポリウレタンフォームの原料として使用される樹脂組成物、およびポリウレタンフォーム用樹脂組成物の原料として使用されるフェノール樹脂、およびフェノール樹脂の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、より熱伝導率の低いポリウレタンフォームを実現すべく、ポリウレタンフォームの原料に着目して鋭意研究を重ねた。その結果、ポリオール成分の主成分として、メチレン基との結合位置がオルソ位であるフェノールを十分に含むノボラック型のフェノール樹脂を用いればよいことを見出し、本発明を想到した。
本発明は以下の構成を採用する。
[1] ポリウレタンフォーム用樹脂組成物の原料として使用されるノボラック型のフェノール樹脂であり、下記一般式(1)で示されるオルソ−オルソ結合と、下記一般式(2)で示されるオルソ−パラ結合と、下記一般式(3)で示されるパラ−パラ結合のいずれか1種または2種以上の結合を有し、下記式(4)で示されるオルソ/パラ結合比が3以上であり、フェノール成分のうち50モル%以上が置換基を有し、重量平均分子量が200〜1200であることを特徴とするフェノール樹脂。
オルソ/パラ結合比=[オルソ位同士+オルソ位とパラ位×1/2]/[パラ位同士+オルソ位とパラ位×1/2] ‥‥(4)
(式(4)中、オルソ位同士とは、フェノール樹脂中の下記一般式(1)で示される結合の割合であり、オルソ位とパラ位とは、フェノール樹脂中の下記一般式(2)で示される結合の割合であり、パラ位同士とは、フェノール樹脂中の下記一般式(3)で示される結合の割合である。下記一般式(1)〜(3)中、Xは水素または置換基を示す。)
Figure 0006385850
Figure 0006385850
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[2] 前記置換基がメチル基である[1]に記載のフェノール樹脂。
[3] [1]または[2]に記載のフェノール樹脂の製造方法であって、フェノール成分とアルデヒド類とを、酸性触媒を用いて反応させる重合工程を有し、前記フェノール成分が、フェノールのオルソ位に置換基を有するフェノール類を50モル%以上含み、前記酸性触媒が、二価の金属塩、ホウ酸、ホウ酸の金属塩から選ばれるいずれか1種または2種以上を50質量%以上含み、前記アルデヒド類を前記フェノール成分の水酸基1モル当たり、0.3〜1.5モルの割合で用いるフェノール樹脂の製造方法。
[4] 前記置換基がメチル基である[3]に記載のフェノール樹脂の製造方法。
[5] ポリウレタンフォームの原料として使用されるポリオール成分を含む樹脂組成物であり、前記ポリオール成分が、[1]または[2]に記載のフェノール樹脂を50質量%以上含有する樹脂組成物。
[6] [5]に記載の樹脂組成物とポリイソシアネート成分とを反応させて、発泡させ、硬化させてなり、気泡セルの平均直径が350μm以下、熱伝導率が0.020W/mK以下であるポリウレタンフォーム。
本発明のポリウレタンフォームは、置換基を有し、メチレン基との結合位置がオルソ位であるフェノールを十分に含み、重量平均分子量が200〜1200である本発明のフェノール樹脂を、ポリオール成分として50質量%以上含む樹脂組成物と、ポリイソシアネート成分とを反応させて得られたものである。したがって、気泡セルの平均直径が小さく、熱伝導率が低いものであり、高い断熱性能を有する。よって、本発明のポリウレタンフォームは、建築や工業用途における断熱材として、好適に使用できる。
以下、本発明のフェノール樹脂、フェノール樹脂の製造方法、樹脂組成物およびポリウレタンフォームについて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施形態のみに限定されるものではない。
[フェノール樹脂]
本実施形態のフェノール樹脂は、ポリウレタンフォーム用樹脂組成物の原料として使用されるものである。本実施形態のフェノール樹脂は、ノボラック型のフェノール樹脂であり、上記一般式(1)で示されるオルソ−オルソ結合と、下記一般式(2)で示されるオルソ−パラ結合と、下記一般式(3)で示されるパラ−パラ結合のいずれか1種または2種以上の結合を有するものであり、2種以上の結合を有することが好ましく、全ての結合を有することがさらに好ましい。上記の結合を2種以上有する場合、一般式(1)で示されるオルソ−オルソ結合と、一般式(2)で示されるオルソ−パラ結合とを含むことが好ましい。
また、本実施形態のフェノール樹脂は、下記式(4)で示されるオルソ/パラ結合比が3以上であり、フェノール成分のうち50モル%以上が置換基を有し、重量平均分子量が200〜1200のものである。
オルソ/パラ結合比=[オルソ位同士+オルソ位とパラ位×1/2]/[パラ位同士+オルソ位とパラ位×1/2] ‥‥(4)
式(4)中、オルソ位同士とは、フェノール樹脂中の上記一般式(1)で示されるオルソ−オルソ結合の割合であり、置換基を有し、メチレン基との結合位置がオルソ位であるフェノールが、両側に結合しているメチレン基の割合である。
式(4)中、オルソ位とパラ位とは、フェノール樹脂中の上記一般式(2)で示されるオルソ−パラ結合の割合である。すなわち、置換基を有し、メチレン基との結合位置がオルソ位であるフェノール(上記一般式(2)においてはメチレン基の左側)と、置換基を有し、メチレン基との結合位置がパラ位であるフェノール(上記一般式(2)においてはメチレン基の右側)とが、結合しているメチレン基のフェノール樹脂中での割合である。
パラ位同士とは、フェノール樹脂中の上記一般式(3)で示されるパラ−パラ結合の割合であり、置換基を有し、メチレン基との結合位置がパラ位であるフェノールが、両側に結合しているメチレン基の割合である。
本実施形態において、フェノール樹脂中の「オルソ位同士」「オルソ位とパラ位」「パラ位同士」の各割合は、フェノール樹脂の13C−NMR(核磁気共鳴)スペクトルの積分比より算出されたものである。
フェノール樹脂のオルソ/パラ結合比が3以上であると、後述するように、このフェノール樹脂を含むポリオール成分を用いてポリウレタンフォームを製造することで、気泡セルの平均直径が小さく、熱伝導率が低いポリウレタンフォームが得られる。これは、フェノール樹脂中に、置換基を有し、メチレン基との結合位置がオルソ位であるフェノールに結合している水酸基が多い程、隣接する他の水酸基との距離が近いものとなるためであると推定される。フェノール樹脂中の水酸基同士の距離が近いと、フェノール樹脂を後述するポリイソシアネート成分と反応させた場合に、架橋間の距離が短くなるため、硬化性が良好となる。その結果、硬化後に得られるポリウレタンフォームの気泡セルの微細化が促進される。
フェノール樹脂のオルソ/パラ結合比は、より高い断熱性能を有するポリウレタンフォームが得られるように、4以上であることが好ましい。また、オルソ/パラ結合比が20を超えるフェノール樹脂は、生産性が不十分となる場合がある。このため、フェノール樹脂のオルソ/パラ結合比は20以下であることが好ましく、より好ましくは8以下である。
上記一般式(1)〜(3)中、Xは水素または置換基を示す。Xが置換基である場合の置換基としては、特に限定されるものではなく、例えば、炭素数1〜6のアルキル基またはフェニル基などが挙げられる。置換基は、特に、入手が容易な原料を用いて容易にXが置換基であるフェノール樹脂を製造できるため、メチル基であることが好ましい。
また、フェノール樹脂中に含まれる置換基は、全て同じ置換基であってもよいし、異なる置換基が含まれていてもよい。
なお、本実施形態のフェノール樹脂では、フェノール成分のうち50モル%以上が置換基を有している。フェノール成分のうち、60モル%以上が置換基を有していることが好ましく、100モル%であってもよい。フェノール成分のうち置換基を有するものが多い程、容易に製造できるため好ましい。
フェノール成分のうちの置換基を有しているモノマーの割合は、フェノール樹脂の製造に使用するフェノール成分中に含まれる置換基を有するフェノール類の割合(質量比)に対応する。
本実施形態のフェノール樹脂の重量平均分子量は、200〜1200である。重量平均分子量が1200以下であると、このフェノール樹脂を含むポリオール成分を用いてポリウレタンフォームを製造する際に、フェノール樹脂がポリイソシアネート成分と均一に混合されやすくなる。このため、気泡セルの平均直径が均一で熱伝導率が低いポリウレタンフォームが得られやすくなる。また、フェノール樹脂の重量平均分子量は、より高い断熱性能を有するポリウレタンフォームが得られるように、600以下であることが好ましい。フェノール樹脂の重量平均分子量が200以上であると、ポリウレタンフォームを製造する際の硬化性が良好となる。フェノール樹脂の重量平均分子量は、300以上であることがより好ましい。なお、重量平均分子量は、実施例に記載の方法にて測定する。
本実施形態のフェノール樹脂は、従来公知の方法により変性されたものであってもよい。具体的には、例えば、エポキシ変性フェノール樹脂、乾性油変性フェノール樹脂などが挙げられる。
[フェノール樹脂の製造方法]
次に、本実施形態のフェノール樹脂の製造方法について説明する。本実施形態のフェノール樹脂を製造するには、フェノール成分とアルデヒド類とを酸性触媒下で反応させる重合工程を行う。本実施形態では、フェノール成分として、フェノールのオルソ位に置換基を有するフェノール類を50モル%以上含むものを用いる。そして、重合工程において、フェノール成分とアルデヒド類とを、二価の金属塩、ホウ酸、ホウ酸の金属塩から選ばれるいずれか1種または2種以上を50質量%以上含む酸性触媒用いて反応させる。
フェノール成分は、フェノールのオルソ位に置換基を有するフェノール類として、1種類のみを含んでいてもよいし、2種以上を含んでいても良い。上記フェノール類の置換基は、フェノールの二つのオルソ位のうちの一方を塞ぐことにより、フェノール樹脂の重合工程において、フェノールの一方のオルソ位とメチレン基との結合を妨げるものであればよく、特に限定されない。
フェノールのオルソ位に置換基を有するフェノール類としては、例えば、フェノールのオルソ位が炭素数1〜6のアルキル基またはフェニル基で置換されたものが挙げられる。具体的には、o−クレゾール、o−エチルフェノール、o−プロピルフェノール、o−ブチルフェノール、およびo−フェニルフェノール等が挙げられる。これらの中でも、原料入手容易性に優れるo−クレゾールおよびo−フェニルフェノールを用いることが好ましく、特にo−クレゾールが好ましい。
フェノール成分は、フェノールのオルソ位に置換基を有するフェノール類を50モル%以上含むものであり、60モル%以上含むことが好ましく、80モル%以上含むことがより好ましく、100モル%であってもよい。フェノール成分中における上記フェノール類の含有量が多くなる程、重量平均分子量の小さいフェノール樹脂が得られやすくなる。フェノール成分中における上記フェノール類の含有量が50モル%未満であると、重量平均分子量が1200以下のフェノール樹脂を得ることが困難となる。
フェノール成分は、50モル%未満であれば、上述したフェノールのオルソ位に置換基を有するフェノール類だけでなく、他のフェノール類を含んでいてもよい。フェノール成分は、他のフェノール類として、1種類のみを含んでいてもよいし、2種以上を含んでいても良い。他のフェノール類は、一価のフェノール類、二価のフェノール類、三価のフェノール類のいずれであってもよい。
他のフェノール類として用いられる一価のフェノール類としては、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、m−シクロヘキシルフェノール、p−シクロヘキシルフェノール、p−クロロフェノール、およびp−ブロモフェノール等のm−、p−置換フェノール類;α−ナフトールおよびβ−ナフトール等のナフトール類;2,4−キシレノール等のキシレノール類等が挙げられる。
二価のフェノール類としては、レゾルシン、カテコール、ハイドロキノン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1’−ビス(ジヒドロキシフェニル)メタン、1,1’−ビス(ジヒドロキシナフチル)メタン、テトラメチルビフェノール、ビフェノール、ヘキサメチルビフェノール、1,2−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレンなどのナフタレンジオール類等が挙げられる。
三価のフェノール類としては、トリスヒドロキシフェニルメタン等が挙げられる。
これらの他のフェノール類の中でも、原料入手容易性の観点から一価のフェノール類を用いることが好ましく、特に、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾールのいずれか1種または2種以上を用いることが好ましい。
アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、フルフラールから選ばれる1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも特に、アルデヒド類として、原料入手が容易であり反応性に優れているホルムアルデヒドおよび/またはパラホルムアルデヒドを用いることが好ましい。
本実施形態で用いる酸性触媒は、二価の金属塩、ホウ酸、ホウ酸の金属塩から選ばれるいずれか1種または2種以上を50質量%以上含む。酸性触媒に含まれる二価の金属塩、ホウ酸、ホウ酸の金属塩から選ばれるいずれか1種または2種以上の含有量が50質量%未満であると、オルソ/パラ結合比が3以上のフェノール樹脂が得られない。酸性触媒は、二価の金属塩、ホウ酸、ホウ酸の金属塩から選ばれるいずれか1種または2種以上を、80質量%以上含むものであることが好ましく、100質量%含むものであってもよい。
酸性触媒に用いられる二価の金属塩としては、酢酸塩を用いることが好ましい。酢酸塩としては、例えば、酢酸亜鉛、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウムなどが挙げられる。これらの二価の金属塩の中でも、原料入手容易性に優れている酢酸亜鉛を用いることが好ましい。
また、酸性触媒に用いられる二価の金属塩として、安息香酸亜鉛を用いてもよい。
酸性触媒に用いられるホウ酸の金属塩としては、ホウ酸亜鉛、ホウ酸カルシウムなどが挙げられる。
また、ホウ酸は、原料入手容易性に優れているため、酸性触媒の材料として好ましい。
酸性触媒は、50質量%未満であれば、上述した二価の金属塩、ホウ酸、ホウ酸の金属塩だけでなく、他の酸性触媒を含んでいてもよい。他の酸性触媒としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、パラトルエンスルホン酸、シュウ酸などが挙げられる。
酸性触媒が上記の他の酸性触媒を含む場合、上記の他の酸性触媒を、二価の金属塩、ホウ酸、ホウ酸の金属塩から選ばれるいずれか1種または2種以上の合計1質量部に対して、0.001〜0.2質量部含むことが好ましく、より好ましくは0.005〜0.1質量部、さらに好ましくは0.01〜0.05質量部含む。他の酸性触媒の含有量が上記範囲内である場合、容易にフェノール樹脂のオルソ/パラ結合比を調整できる。
重合工程において、フェノール成分とアルデヒド類とを酸性触媒下で反応させる方法としては、例えば、フェノール成分とアルデヒド類と酸性触媒と必要に応じて添加される有機溶媒とを、一括で仕込み、撹拌しながら反応させる方法が挙げられる。また、フェノール成分と酸性触媒と必要に応じて添加される有機溶媒とを仕込み、所定の反応温度まで昇温させた後、アルデヒド類を添加して反応させる方法を用いてもよい。
フェノール成分とアルデヒド類とを反応させる際には、反応を促進させるため、反応系内の水分を除去しながら反応させることが好ましい。
重合工程において、フェノール成分とアルデヒド類とを反応させる際には、フェノール成分の水酸基1モル当たり、アルデヒド類を0.3〜1.5モルの割合で用いる。フェノール成分の水酸基1モル当たり0.3モル以上のアルデヒド類を反応させると、重量平均分子量が200以上のフェノール樹脂が得られる。また、フェノール成分の水酸基1モル当たり1.5モル以下のアルデヒド類を反応させることにより、重量平均分子量が1200以下のフェノール樹脂を製造することができ、フェノール樹脂の高分子量化やゲル化を防止できる。アルデヒド類は、フェノール成分の水酸基1モル当たり0.5〜1.3モル用いることが好ましく、0.7〜1.1モル用いることがより好ましい。
本実施形態では、フェノール成分の水酸基1モル当たりのアルデヒド類の使用量を、フェノール成分とアルデヒド類との反応性に応じて決定することが好ましい。具体的には、例えば、重合工程において使用する酸性触媒の種類および/または量、フェノール成分に含まれるオルソ位に置換基を有するフェノール類の含有量などに応じて適宜調整できる。
本実施形態では、強酸のみを触媒として用いる場合および/またはフェノール成分がオルソ位に置換基を有するフェノール類を含まない場合と比較して、フェノール成分とアルデヒド類との反応性が低い。このため、フェノール成分の水酸基1モル当たりのアルデヒド類の使用量を1.0以上とすることが好ましい場合がある。なお、重合に使用されずに反応生成物中に残留したアルデヒド類は、重合工程後に除去できる。
重合工程において、フェノール成分とアルデヒド類とを反応させる際に用いる酸性触媒の配合量は、フェノール成分100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、0.5〜10質量部であることがより好ましく、1〜5質量部であることがさらに好ましい。酸性触媒の配合量が上記範囲内であると、フェノール成分とアルデヒド類との反応性が十分に得られる。
フェノール成分とアルデヒド類とを反応させる際には、必要に応じて有機溶媒を添加しても良い。有機溶媒としては、プロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ブチレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸プロピル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類等が挙げられる。有機溶媒は、これらのうちの1種類のみを単独で添加してもよいし、2種以上を添加しても良い。
フェノール成分とアルデヒド類とを反応させる際に用いる有機溶媒の配合量は、フェノール成分100質量部に対して、10〜1000質量部であることが好ましく、10〜100質量部であることがより好ましい。
フェノール成分とアルデヒド類とを反応させる際の反応温度は、100〜180℃が好ましく、120〜160℃がより好ましい。反応温度が100℃以上であると、重合工程において反応系内の水分を容易に除去できる。その結果、フェノール成分とアルデヒド類との反応が促進されて、未反応のアルデヒドやメチロール基の残存が抑制される。反応温度が180℃以下であると、熱媒選択の点で有利であり、容易に効率よく製造でき、好ましい。
フェノール成分とアルデヒド類とを反応させる際の反応時間は、2〜10時間であることが好ましく、各原料の配合量や反応温度などに応じて適宜調整できる。
本実施形態においては、フェノール成分とアルデヒド類とを反応させてフェノール樹脂を含む反応生成物を生成した後、必要に応じて反応生成物の水洗を1回または複数回行って、反応生成物中に残存する酸性触媒および/またはアルデヒド類を除去しても良い。また、反応生成物の減圧蒸留または水蒸気蒸留を行って留出物を除去することにより、反応生成物中に含まれている未反応物であるフェノール成分および/またはアルデヒド類を除去しても良い。
本実施形態のフェノール樹脂の製造方法では、重合工程において、フェノール成分として、フェノールのオルソ位に置換基を有するフェノール類を50モル%以上含むものを用い、酸性触媒として、二価の金属塩、ホウ酸、ホウ酸の金属塩から選ばれるいずれか1種または2種以上を50質量%以上含むものを用い、アルデヒド類をフェノール成分の水酸基1モル当たり、0.3〜1.5モルの割合で用いて反応させる。このため、オルソ/パラ結合比が3以上であり、重量平均分子量が200〜1200である本実施形態のノボラック型のフェノール樹脂が得られる。
より詳細には、本実施形態では、フェノール成分として、フェノールのオルソ位に置換基を有するフェノール類を50モル%以上含むものを用いている。フェノールのオルソ位に置換基を有するフェノール類とアルデヒド類とを反応させると、<1>フェノール類の置換基の結合していないオルソ位とメチレン基との結合、<2>フェノール類のパラ位とメチレン基との結合の2つの結合が生じる可能性がある。
一般に、フェノール類では、オルソ位よりもパラ位の方が、反応性が高い。このため、例えば、フェノールのオルソ位に置換基を有するフェノール類とアルデヒド類とを、触媒として電離度aが約1である強酸(塩酸、硫酸など)のみを用いて反応させた場合には、反応性の高いパラ位とメチレン基との結合が促進される。その結果、大部分が上記<2>の結合であるフェノール樹脂が得られ、オルソ/パラ結合比が3以上である本実施形態のフェノール樹脂は得られない。また、強酸のみを触媒として用いると、フェノール類とアルデヒド類との反応が促進されすぎて、合成されたフェノール樹脂の重量平均分子量が大きくなりすぎる場合がある。
これに対し、フェノールのオルソ位に置換基を有するフェノール類とアルデヒド類とを、二価の金属塩、ホウ酸、ホウ酸の金属塩から選ばれるいずれか1種または2種以上が50質量%以上含まれている酸性触媒を用いて反応させた場合には、反応性の高いパラ位とメチレン基とによる上記<2>の結合が抑制される。これは、二価の金属塩、ホウ酸、ホウ酸の金属塩によるキレート形成機能によるものである。その結果、本実施形態では、上記<1>の結合が促進され、フェノール樹脂中の上記一般式(1)で示されるオルソ−オルソ結合の割合が多くなり、オルソ/パラ結合比が3以上のノボラック型のフェノール樹脂が得られる。
また、オルソ位に置換基を有するフェノール類では、2つのオルソ位のうち一方のオルソ位が置換基によって塞がれている。このため、2つのオルソ位のうち一方のオルソ位のみしかメチレン基と結合することができず、合成されたフェノール樹脂の重量平均分子量が大きくなりすぎることが抑制される。しかも、本実施形態では、上述した酸性触媒のキレート形成機能によって、反応性の高いパラ位とメチレン基とによる上記<2>の結合が抑制される。さらに、本実施形態では、アルデヒド類をフェノール成分の水酸基1モル当たり、0.3〜1.5モルの割合で用いる。これらの相乗効果によって、本実施形態では、重量平均分子量が200〜1200であるフェノール樹脂が得られる。
なお、フェノールのオルソ位に置換基を有するフェノール類に代えて、フェノール成分としてパラ位に置換基を有するフェノール類のみを用いた場合、メチレン基がオルソ位にしか結合しないため、メチレン基との結合の全てがオルソ結合であるフェノール樹脂となる。しかし、この場合には、フェノール類の2つのオルソ位にそれぞれメチレン基が容易に接続するため、合成したフェノール樹脂の重量平均分子量が大きくなりやすく、重量平均分子量が1200以下のフェノール樹脂を得ることは困難である。
また、フェノールのオルソ位に置換基を有するフェノール類に代えて、フェノール成分として置換基を有しないフェノールのみを用いた場合、パラ位に置換基を有するフェノール類のみを用いた場合と同様に、フェノール類の2つのオルソ位にそれぞれメチレン基が容易に接続する。このため、合成したフェノール樹脂の重量平均分子量が大きくなりやすく、オルソ/パラ結合比が3以上のものでは、重量平均分子量が1200以下のフェノール樹脂を得ることは困難である。
また、置換基を有しないフェノールとアルデヒド類とを、酸触媒を用いて反応させた場合、フェノールのメタ位にメチレン基が結合することはない。したがって、フェノールのオルソ位に置換基を有するフェノール類に代えて、フェノール成分としてメタ位に置換基を有するフェノール類のみを用いたとしても、フェノール樹脂のメチレン基とフェノール類との結合位置は、置換基を有しないフェノールのみを用いた場合と同様となる。よって、フェノールのオルソ位に置換基を有するフェノール類に代えて、フェノール成分としてメタ位に置換基を有するフェノール類のみを用いた場合にも、オルソ/パラ結合比が3以上のものでは、重量平均分子量が1200以下のフェノール樹脂を得ることは困難である。
[樹脂組成物]
次に、本実施形態の樹脂組成物について説明する。本実施形態の樹脂組成物は、ポリウレタンフォームの原料として使用される樹脂組成物である。本実施形態においては、樹脂組成物の一例として、ポリオール成分と、発泡剤と、触媒と、整泡剤とを含むものを例に挙げて説明する。
本実施形態の樹脂組成物に含まれるポリオール成分は、上述した実施形態のフェノール樹脂を50質量%以上含有する。ポリオール成分は、上述した実施形態のフェノール樹脂のみを含有するものであってもよいし、50質量%未満であれば、上述した実施形態のフェノール樹脂だけでなく、他のポリオール成分を含んでいてもよい。他のポリオール成分は、1種類のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていても良い。
他のポリオール成分としては、具体的には、従来のフェノール樹脂、キシリレン基を有するフェノール・アラルキル樹脂、ジシクロペンタジエン骨格構造を有するフェノール樹脂、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類や、ジエチレングリコールなど、これらのグリコール類を重合した高分子重合体などが挙げられる。
ポリオール成分が上述した実施形態のフェノール樹脂だけでなく、他のポリオール成分を含む場合、ポリオール成分中の他のポリオール成分の含有量は、0質量%以上50質量%未満であり、0〜40質量%が好ましく、0〜30質量%がより好ましく、0〜20質量%がさらに好ましい。
樹脂組成物に含まれる発泡剤としては、従来公知のものを用いることができる。例えば、発泡剤として、トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)、ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)等に代表されるハイドロカーボン、ペンタン、シクロペンタン等に代表される低沸点脂肪族炭化水素、ジクロロメタン、イソプロピルクロライド等に代表されるハロゲン系炭化水素等が挙げられる。発泡剤は、熱伝導率の低いポリウレタンフォームを得るために、トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを用いることが好ましい。
発泡剤の含有量は、発泡体の密度、発泡剤の種類などに応じて異なるが、ポリオール成分100質量部に対して、5〜60質量部であることが好ましく、10〜50質量部であることがより好ましく、20〜40質量部であることがさらに好ましい。
樹脂組成物に含まれる触媒は、ポリオール成分と、後述するポリイソシアネート成分との反応を促進するものである。触媒としては、ポリオール成分中の水酸基と、ポリイソシアネート成分中のイソシアネート基との反応を促進するものであればよく、特に限定されない。例えば、触媒として、第三級アミン、ジブチル錫ジラウレート、エチルモルホリン、トリエチレンジアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、オクチル酸ビスマス(2−エチルヘキシル酸ビスマス)、ネオデカン酸ビスマス、ネオドデカン酸ビスマス、ナフテン酸ビスマス等の脂肪酸ビスマス塩、ナフテン酸鉛、ヒドロキシアルキル第四級アンモニウム塩、オクチル酸カリウム、酢酸ナトリウム等の脂肪酸アルカリ金属塩、トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロトリアジン等が挙げられる。
触媒の含有量は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応性を向上させる効果を得るために、ポリオール成分100質量部に対して、0.1〜15質量部であることが好ましい。
樹脂組成物に含まれる整泡剤は、ポリウレタンフォームを形成している気泡セルの形状を均一に整えるために用いられる。例えば、整泡剤として、シリコーン、非イオン系界面活性剤等が挙げられる。具体例には、整泡剤として、ポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサン、ポリシロキサンオキシアルキレン共重合体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ヒマシ油エチレンオキシド付加物、ラウリル脂肪酸エチレンオキシド付加物等が挙げられる。
整泡剤の含有量は、ポリウレタンフォームにおける気泡セルの形状を均一に整えるために、ポリオール成分100質量部に対して、0.1〜10.0質量部であることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、ポリオール成分と、発泡剤と、触媒と、整泡剤の他に、必要に応じて各種助剤を含有するものであっても良い。樹脂組成物に含まれる助剤としては、例えば、難燃剤などが挙げられる。
上記難燃剤としては、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、トリエチルホスフェート等のリン酸エステルなどを用いることが好ましい。
難燃剤の含有量は、ポリオール成分100質量部に対して、0〜40質量部であることが好ましく、0〜20質量部であることがより好ましい。樹脂組成物に含まれる難燃材の含有量が40質量部以下であると、良好な気泡セルを有するポリウレタンフォームが得られる。
本実施形態の樹脂組成物は、従来公知の方法により製造できる。例えば、本実施形態の樹脂組成物は、上述したポリオール成分と、発泡剤と、触媒と、整泡剤と、必要に応じて含有される各種助剤とを、所定の配合量で混合することにより、製造できる。
[ポリウレタンフォーム]
次に、本実施形態のポリウレタンフォームについて説明する。本実施形態のポリウレタンフォームは、上述した実施形態の樹脂組成物(第一剤)とポリイソシアネート成分(第二剤)とを反応させて、発泡させ、硬化させることにより製造されたものである。
第二剤であるポリイソシアネート成分としては、分子中に2個以上のイソシアナト基を含有する化合物が用いられる。ポリイソシアネート成分として、具体的には、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ポリトリレンポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネートの他、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー、ポリイソシアネートのイソシアヌレート変性体、カルボジイミド変性体等を用いることができる。これらのポリイソシアネート化合物は、単独または2種以上を併用してポリイソシアネート成分として用いることができる。
樹脂組成物(第一剤)とポリイソシアネート成分(第二剤)との混合比率は、均一な気泡セルを有するポリウレタンフォームを得るために、第二剤に含まれるポリイソシアネート化合物のイソシアナト基(NCO)と、樹脂組成物中のポリオール成分に含まれる化合物の水酸基(OH)との比率(NCO/OH)が、0.50〜3.00であることが好ましく、1.00〜2.00であることがより好ましく、1.00〜1.50であることがさらに好ましい。
本実施形態のポリウレタンフォームを製造するために、樹脂組成物(第一剤)とポリイソシアネート成分(第二剤)を反応させて、発泡させ、硬化させる方法としては、従来公知の方法を用いることができる。
例えば、所定量の樹脂組成物とポリイソシアネート成分とを、それぞれ液温20℃に調温して混合し、ホモディスパーなどを用いて撹拌して混合物とする。その後、混合物を、スラブ発泡法、注入発泡法、スプレー発泡法、ラミネート連続発泡法等の方式により発泡させ、硬化させる。混合物を発泡させ、硬化させる際には、必要に応じて加熱してもよい。
本実施形態のポリウレタンフォームは、気泡セルの平均直径が350μm以下のものであり、好ましくは300μm以下、より好ましくは250μm以下である。気泡セルの平均直径が350μm以下であると、優れた断熱性能が得られる。また、気泡セルの平均直径は、ポリウレタンフォームの硬化性に影響するため、5μm以上であることが好ましい。
本実施形態における気泡セルの平均直径とは、走査型電子顕微鏡を用いて、ポリウレタンフォームの断面を観察して、気泡セルの直径をランダムに30カ所測定し、その平均値を算出したものである。
本実施形態のポリウレタンフォームは、熱伝導率が0.020W/mK以下のものであり、好ましくは0.019W/m・K以下である。熱伝導率が0.020W/mK以下であると、断熱材として好適である。また、ポリウレタンフォームの熱伝導率は、ポリウレタンフォームの硬化性に影響するため、0.010W/mK以上であることが好ましい。
本実施形態のポリウレタンフォームは、上述した本実施形態のフェノール樹脂を、ポリオール成分として50質量%以上含む樹脂組成物と、ポリイソシアネート成分とを反応させて得られたものである。このため、本実施形態のポリウレタンフォームは、気泡セルの平均直径が小さく、熱伝導率が低いものであり、高い断熱性能を有する。
次に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は、これらの例に何ら限定されるものではない。
(実施例1〜5、比較例1〜7)
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに原料として、表1および表2に示すフェノール成分とアルデヒド類と酸性触媒とを、表1および表2に示す配合量で仕込み、表1および表2に示す反応条件で反応させる重合工程を行った。
具体的には、実施例1〜5、比較例4〜7では、原料の入れられたフラスコの内温を120℃に昇温して1時間反応させた後、150℃まで昇温し、さらに1時間反応させた。また、比較例1〜3では、原料の入れられたフラスコの内温を100℃に昇温して5時間反応させた。実施例1〜5、比較例4〜7では、原料を反応させている間、反応系内に水分が残らないように、留出物を全て系外に除去した。
なお、表1および表2に示すフェノール成分の材料、アルデヒド類の材料、酸性触媒の材料の配合量は、全てフェノール成分100質量部に対する配合量(質量部)である。
また、表1および表2に、フェノール成分の水酸基1モル当たりのアルデヒド類の割合(アルデヒド/フェノ−ル類(モル比))を合わせて示す。
反応後、フェノール樹脂を含む反応生成物を、数回水洗して触媒を除去した。次いでフェノール樹脂を含む反応生成物を170℃、50mmHgの減圧下で蒸留し、留出物を除去した。
その後、得られたフェノール樹脂の特性として、重量平均分子量、オルソ/パラ結合比を、以下に示す方法により調べた。その結果を表1および表2に示す。
なお、実施例1〜5、比較例1〜6、7のフェノール樹脂は、上記一般式(1)(2)(3)で示される結合の全てを有していた。また、比較例5のフェノール樹脂は、上記一般式(1)(2)(3)で示される結合のうち、上記一般式(1)で示されるオルソ−オルソ結合のみを有していた。
「重量平均分子量」
重量平均分子量は、以下に示す装置を以下に示す条件で用いて測定し、ポリスチレン換算で算出した。
装置:ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーShodex GPC−101(昭和電工社製)
カラム:KF−801+KF−802(2本)+KF−803(いずれも商品名:昭和電工社製)
カラムの温度:40℃
試料:99.0質量%テトラヒドロフラン溶液
流量:1ml/min
溶離液:テトラヒドロフラン
検出器:RI検出器
「オルソ/パラ結合比」
以下に示す装置を以下に示す条件で用いて、フェノール樹脂の13C−NMR(核磁気共鳴)スペクトルを測定し、その積分比を用いて上記式(7)により算出した。
NMR装置:AVANCE III 400(ブルカー社製)
溶媒:重ピリジン
温度:23℃
周波数:100MHz
基準物質:TMS
積算回数:512回
(ポリウレタンフォームの作製)
以下に示すポリオール成分と、発泡剤と、触媒と、整泡剤と、難燃剤とを、以下に示す配合量で混合して、実施例1〜5、比較例1〜7の樹脂組成物(第一剤)を製造した。
なお、他のポリオール成分(ジエチレングリコール)は、実施例1〜5、比較例1〜7のフェノール樹脂100質量部に対する配合量(質量部)である。発泡剤と触媒と整泡剤と難燃剤の配合量は、ポリオール成分100質量部に対する配合量(質量部)である。
「ポリオール成分」
実施例1〜5、比較例1〜7のフェノール樹脂100質量部
ジエチレングリコール(ジャパンケムテック社製)25質量部
「発泡剤」
トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(商品名;LBA、ハネウェル社製)40質量部
「触媒」
ウレタン化触媒(商品名;U−CAT422、サンアプロ社製)0.5質量部
「整泡剤」
シリコーン系界面活性剤(商品名;L−5420、日本ユニカー社製)4質量部
「難燃剤」
トリス(クロロプロピル)ホスフェート(商品名;TMCPP、大八化学工業社製)25質量部
次に、実施例1〜5、比較例1〜7の樹脂組成物(第一剤)と、ポリイソシアネート成分(第二剤)としてのポリメリックMDI(商品名;ルプラネート M−20S、BASF INOACポリウレタン社製)とを、それぞれ液温20℃に調温して混合し、混合物とした。その後、混合物を、密度が40kg/mになるように金型に投入し、60℃の熱板上で発泡させ、20分間硬化させることにより、実施例1〜5、比較例1〜7のポリウレタンフォームを得た。
なお、樹脂組成物とポリイソシアネート成分とは、ポリイソシアネート成分中に含まれるポリイソシアネート化合物のイソシアナト基(NCO)と、樹脂組成物中のポリオール成分に含まれる化合物の水酸基(OH)との比率(NCO/OH)が、1.05となるように混合した。
このようにして得られた実施例1〜5、比較例1〜7のポリウレタンフォームの物性として、密度、気泡セルの平均直径、熱伝導率を、以下に示す方法により調べた。その結果を表1および表2に示す。
「密度」
ポリウレタンフォームを長方形状に切り出し、重量(g)および体積(m)を測定し、以下の計算式により算出した。
密度(kg/m)=発泡体重量(kg)/発泡体体積(m
「気泡セルの平均直径」
以下に示す走査型電子顕微鏡を用いて、ポリウレタンフォームの断面を観察し、気泡セルの直径をランダムに30カ所測定して、その平均値を算出した。
走査型電子顕微鏡:S−3400N(日立ハイテクフィールディング社製)
「熱伝導率」
熱伝導測定装置:オートラムダ(英弘精機社製)
測定条件:JIS A 1412−2付属書A(規定)における平板比較法のA6.測定方法に準拠
Figure 0006385850
Figure 0006385850
表1に示すように、実施例1〜5のポリウレタンフォームは、気泡セルの平均直径が350μm以下であり、熱伝導率が0.020W/mK以下であり、高い断熱性能を有するものであった。
これに対し、表2に示すように、比較例1〜7のポリウレタンフォームは、気泡セルの平均直径が400μm以上と比較的大きく、実施例1〜5と比較して、熱伝導率が高いものであった。
より詳細には、比較例1のポリウレタンフォームは、フェノール樹脂の原料として用いたフェノール成分がフェノールであり、酸性触媒としてシュウ酸を用いたため、オルソ/パラ結合比が小さいフェノール樹脂となった。このため、気泡セルの平均直径が大きく、熱伝導率が高いものになった。
また、比較例2のポリウレタンフォームは、フェノール樹脂を製造する際に酸性触媒としてシュウ酸を用いたため、オルソ/パラ結合比が小さいフェノール樹脂となった。このため、気泡セルの平均直径が大きく、熱伝導率が高いものになった。
比較例3のポリウレタンフォームは、フェノール樹脂の原料として用いたフェノール成分がフェノールのみであるため、重量平均分子量が大きいものとなった。その結果、フェノール成分を含む樹脂組成物とポリイソシアネート成分とが均一に混合されず、気泡セルの平均直径が大きく、熱伝導率が高いものになった。
比較例4のポリウレタンフォームは、フェノール樹脂の原料として用いたフェノール成分がm−クレゾールのみであるため、重量平均分子量が大きいものとなった。その結果、気泡セルの平均直径が大きく、熱伝導率が高いものになった。
また、比較例5のポリウレタンフォームは、フェノール樹脂の原料として用いたフェノール成分がp−クレゾールであったため、メチレン基との結合の全てがオルソ結合であるフェノール樹脂が得られたが、重量平均分子量が大きくなった。このため、フェノール成分を含む樹脂組成物とポリイソシアネート成分とが均一に混合されず、気泡セルの平均直径が大きく、熱伝導率が高いものになった。
比較例6のポリウレタンフォームは、フェノール樹脂の原料として用いたフェノール成分としてo−クレゾールを50%以上使用しているが、アルデヒド類の使用量が多いため、重量平均分子量が大きくなった。このため、フェノール成分を含む樹脂組成物とポリイソシアネート成分とが均一に混合されず、気泡セルの平均直径が大きく、熱伝導率が高いものになった。
また、比較例7のポリウレタンフォームは、フェノール樹脂の原料として用いたフェノール成分が、フェノールのオルソ位に置換基を有するフェノール類を50%以上含むものでないため、重量平均分子量が大きくなった。このため、フェノール成分を含む樹脂組成物とポリイソシアネート成分とが均一に混合されず、気泡セルの平均直径が大きく、熱伝導率が高いものになった。
本発明のフェノール樹脂、フェノール樹脂の製造方法および樹脂組成物によれば、高い断熱性能を有するポリウレタンフォームの原料を提供できる。また、本発明の樹脂組成物を用いたポリウレタンフォームは、高い断熱性能を有するものであり、断熱材として極めて有用である。

Claims (6)

  1. ポリウレタンフォーム用樹脂組成物の原料として使用されるノボラック型のフェノール樹脂であり、
    下記一般式(1)で示されるオルソ−オルソ結合と、下記一般式(2)で示されるオルソ−パラ結合と、下記一般式(3)で示されるパラ−パラ結合のいずれか1種または2種以上の結合を有し、
    下記式(4)で示されるオルソ/パラ結合比が3以上であり、
    フェノール成分のうち50モル%以上が置換基を有し、
    重量平均分子量が200〜1200であることを特徴とするフェノール樹脂。
    オルソ/パラ結合比=[オルソ位同士+オルソ位とパラ位×1/2]/[パラ位同士+オルソ位とパラ位×1/2] ‥‥(4)
    (式(4)中、オルソ位同士とは、フェノール樹脂中の下記一般式(1)で示される結合の割合であり、オルソ位とパラ位とは、フェノール樹脂中の下記一般式(2)で示される結合の割合であり、パラ位同士とは、フェノール樹脂中の下記一般式(3)で示される結合の割合である。下記一般式(1)〜(3)中、Xは水素または置換基を示す。)
    Figure 0006385850
    Figure 0006385850
    Figure 0006385850
  2. 前記置換基がメチル基である請求項1に記載のフェノール樹脂。
  3. 請求項1または請求項2に記載のフェノール樹脂の製造方法であって、
    フェノール成分とアルデヒド類とを、酸性触媒を用いて反応させる重合工程を有し、
    前記フェノール成分が、フェノールのオルソ位に置換基を有するフェノール類を50モル%以上含み、
    前記酸性触媒が、二価の金属塩、ホウ酸、ホウ酸の金属塩から選ばれるいずれか1種または2種以上を50質量%以上含み、
    前記アルデヒド類を前記フェノール成分の水酸基1モル当たり、0.3〜1.5モルの割合で用いるフェノール樹脂の製造方法。
  4. 前記置換基がメチル基である請求項3に記載のフェノール樹脂の製造方法。
  5. ポリウレタンフォームの原料として使用されるポリオール成分を含む樹脂組成物であり、前記ポリオール成分が、請求項1または請求項2に記載のフェノール樹脂を50質量%以上含有する樹脂組成物。
  6. 請求項5に記載の樹脂組成物とポリイソシアネート成分とを反応させて、発泡させ、硬化させてなり、気泡セルの平均直径が350μm以下、熱伝導率が0.020W/mK以下であるポリウレタンフォーム。
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