JP2004161865A - ウレタン系樹脂発泡体の製造方法 - Google Patents

ウレタン系樹脂発泡体の製造方法 Download PDF

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顕 井上
Atsushi Matsuo
篤 松尾
Yoshio Fujinuma
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Abstract

【課題】寸法安定性、機械的強度及び断熱性に優れた、水を発泡剤とする、ウレタン系樹脂発泡体の製造方法を提供する。
【解決手段】下記の(A)〜(D)の成分を含み、エポキシ樹脂の硬化剤を含まない混合物を発泡硬化させることを特徴とする。(A):ポリオール、(B):ポリイソシアネート化合物、(C):常温下で液状物である脂肪族エポキシ樹脂及び脂環族エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1種からなるエポキシ樹脂、(D):水。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フロンや代替フロン化合物を発泡剤として使用することなく、水により発泡させることにより、寸法安定性、機械的強度、及び断熱性に優れたウレタン系樹脂発泡体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開2001−240647号公報
【特許文献2】特開昭62−270612号公報
【特許文献3】特開昭56−79117号公報
【0003】
従来より、ウレタン系樹脂発泡体は、断熱性、機械的強度、耐水性等に優れており、各種断熱材、パネル芯材等に使用されてきた。これまで多くの場合において、発泡剤として、クロロフルオロカーボン、又はフルオロカーボン等のフロン系のハロゲン含有炭化水素類が使用されてきたが、その環境負荷の高さから、使用することが問題視されている。また、環境負荷の少ない炭化水素系発泡剤も使用されているが、製造時の防爆対策の必要性から製造設備に制限があり、設備改造等の経済性の点で問題が残る。
【0004】
環境負荷が少なく、火災に対する安全性の点から、水を発泡剤とするウレタン系樹脂発泡体の製造方法が多く提案されている。しかし、水を発泡剤として使用されたウレタン樹脂発泡体では、ポリマー骨格中に、樹脂発泡体の耐熱性や機械的強度に好ましくない影響を及ぼす尿素結合が多く組み込まれるために、特に、独立気泡のセルを有する硬質発泡体を形成させる場合、発泡硬化直後から樹脂発泡体の収縮が生じるという問題を有していた。
【0005】
上記の問題に対して、ウレタン樹脂発泡体内のセルの破膜により、連続気泡化させ、樹脂発泡体の寸法変化を抑制する方法(例えば、特許文献1)があるが、ポリイソシアネート化合物と水との反応により発生する、空気よりも熱伝導率の低い二酸化炭素をセル内に閉じ込めることができず、樹脂発泡体の断熱性能を損なうという問題を有している。
【0006】
一方、近年では、ウレタン樹脂発泡体の難燃化を図るために、フェノール樹脂又はその誘導体をポリオール成分として使用するフェノール−ウレタン樹脂発泡体や、イソシアネート三量化触媒を併用したウレタン変性イソシアヌレート発泡体が商品化されている。しかし、上記炭化水素等の可燃性の高い発泡剤を使用すると、上記樹脂自体が本来有している難燃性と相殺し、難燃性の高い樹脂発泡体が得られない場合がある。
【0007】
また、ウレタン樹脂発泡体の高温下での寸法安定性、又は機械的強度を改善させる方法として、エポキシ樹脂の使用が挙げられ、これに関する種々の提案がなされている。例えば、特許文献2では、高温度劣化に抵抗性を有し、硬質でウレタンを含まないオキサゾリドン−変性イソシアヌレートフォームの製造に有用なポリオールを含まない組成物であって、(a)約80〜約160のイソシアネート当量を有する少なくとも1種のポリイソシアネート、(b)該ポリイソシアネートの当量当りポリエポキシドの約0.1〜約0.6当量の量で存在する少なくとも1種のポリエポキシド、(c)イソシアネートの3量体と該ポリエポキシドと該ポリイソシアネートとの反応を促進する少なくとも1種の触媒、及び、(d)少なくとも1種の発泡剤、を含む上記組成物が提案されており、発泡剤として、水、又はハロゲン化脂肪族炭化水素が例示されている。
【0008】
更に、特許文献3では、A:下記(1)及び(2)から成る群の一員(1)芳香族イソシアネートで末端をキャップしたポリエーテル又はポリエステル幹セグメントを有するウレタン含有プレポリマー、(2)芳香族ポリイソシアネートと、ポリエーテル類及びポリエステル類からなる群から選ばれるポリオール、B:NCOの各モルに対し、約0.4〜1,000モルの水、C:前記Aの10〜200質量%のエポキシ樹脂、D:エポキシ硬化剤、から成る硬質化されたポリウレタンフォーム製造用組成物が開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献2に記載された発泡体のように、エポキシ樹脂とポリイソシアネート化合物の反応は非常に遅いが、上記成分に、触媒として3級アミン等を添加することで、反応速度は飛躍的に改善される。
【0010】
しかし、エポキシ基とイソシアネート基の反応は、ウレタン樹脂発泡体の製造過程で生じる水酸基とイソシアネート基の反応に比較して、発熱量が高くなる傾向にある。この発熱量の増加により、発泡剤の気化又は発泡ガスの体積増加が急激になり、セル膜を破壊する場合や、また樹脂発泡体の厚みが増すにつれて、内部温度が過度に上昇し、「焼け(スコーチ)」という炭化部が生じる場合があり、これにより、得られる樹脂発泡体の断熱性や機械的強度が損なわれるという問題があった。
【0011】
また、発泡剤として水を使用する場合、イソシアネートとの反応を避けるために予め発泡用組成物としてエポキシ樹脂と水とを混合して作成し、これをイソシアネートと混合することが考えられるが、この場合、エポキシ樹脂は、構造又は分子量によって水との混合性が低下し、経時で分離が生じる場合や、発泡させても得られる樹脂発泡体のセルサイズが不均一になって、寸法安定性や機械的強度を損なう場合や、発泡用組成物の粘度が上昇し、所望する密度や寸法の樹脂発泡体が得られない場合があった。
【0012】
また、特許文献3に記載されている樹脂発泡体は、水との混合性を考慮して、親水性のポリオキシアルキレンを付加させたポリオール類を使用しているが、前記反応熱により、樹脂骨格の熱劣化が生じる場合があり、経年での寸法安定性を損なう場合がある。また、当該特許文献の方法では、初期の発泡時にエポキシ樹脂を関与させず、発泡成形後にエポキシ硬化剤を作用させて硬化させているが、この場合には、発泡直後の機械的強度(グリーン強度)が不十分となる場合があり、生産性を損なう場合がある。
【0013】
本発明の目的は、良好な整泡性を有し、寸法安定性、機械的強度及び断熱性を改善した、環境負荷の小さい水を発泡剤として使用するウレタン系樹脂発泡体の製造方法を提供する。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のウレタン系樹脂発泡体の製造方法は、下記の(A)〜(D)の成分を含み、エポキシ樹脂の硬化剤を含まない混合物を発泡硬化させることを特徴とする。
(A):ポリオール、
(B):ポリイソシアネート化合物、
(C):常温下で液状物である脂肪族エポキシ樹脂及び脂環族エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1種からなるエポキシ樹脂、
(D):水。
【0015】
かかる発明によれば、エポキシ樹脂の存在により、該エポキシ樹脂がポリイソシアネート化合物と水との反応により生じたアミノ基含有化合物と反応するため、ポリイソシアネート化合物と水との反応による尿素結合の形成を低減することより、得られる樹脂発泡体の耐熱性、寸法安定性や機械的強度が向上し、更に、独立気泡タイプの樹脂発泡体で多く見られる発泡硬化直後からの収縮を改善することが可能となり、且つ断熱性能も向上する。
また、本発明で使用されるエポキシ樹脂は、脂肪族又は脂環族であるため、樹脂発泡体に靭性を付与し、芳香族エポキシ樹脂のような脆さを発現することはない。
【0016】
本発明では、更に、ポリオールとして、フェノール樹脂及びフェノール樹脂誘導体をから選択される一種を含有させた場合には、エポキシ基とイソシアネート基の反応で発生する熱による樹脂骨格の熱劣化を低減させ、樹脂発泡体の経年での寸法安定性を向上させることができる。
【0017】
また、本発明では、上記混合物に(A)〜(D)の成分以外に水−イソシアネート基の反応を促進させる触媒を含有させることが好ましい。これによれば、水−イソシアネート基の反応により最初に形成されるアミノ基の生成を速め、結果として、アミノ基とエポキシ基の反応が促進され、発泡硬化時間の短縮により樹脂発泡体の生産性が向上する。
【0018】
更に、本発明では、上記混合物にイソシアネート三量化触媒を含有させることが好ましい。これによれば、得られる樹脂発泡体の耐熱性及び難燃性を向上させることが可能となり、前記のフェノール樹脂及びフェノール樹脂誘導体等の難燃性ポリオール成分と併用することで難燃性が向上する。
かくして、本発明によれば、寸法安定性、機械的強度及び、断熱性を改善したウレタン系樹脂発泡体を、水を発泡剤とし、かつエポキシ硬化剤を使用することなく製造することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の樹脂発泡体の製造方法で使用される(A)ポリオールとしては、OH価が、好ましくは100〜1000、特には200〜800を有するものの使用が好適である。OH価が100よりも小さい場合には、得られる発泡体は軟らかく、機械的強度に劣る。一方、OH価が1000よりも大きい場合には、得られる発泡体は脆く、機械的強度に劣り好ましくない。本発明で使用されるポリオールとしては、以下の例が挙げられる。エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等又は、これらにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド、のアルキレンオキサイド類を付加重合した化合物類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の2官能ポリオール類、トリメチロールプロパン、グリセリン等、又は、これらにアルキレンオキサイド類を付加重合した3官能ポリオール類;ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、糖類等、又は、これらにアルキレンオキサイド類を付加重合した多官能ポリオール類;N−メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン等、又はこれらにアルキレンオキサイド類を付加重合したアルカノールアミン類;更に、ポリエステルポリオール樹脂、アクリルポリオール樹脂等。これらのポリオールは、単独又は2種以上を混合して使用しても良い。
【0020】
本発明では、ポリオールとして、フェノール樹脂又はフェノール樹脂を使用することが好ましい。フェノール樹脂としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のフェノール類と、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、グリオキザール、トリオキサン等のアルデヒド類とを、酸触媒又は塩基触媒の存在下に反応させたものが好ましい。
【0021】
本発明で使用する好ましい、フェノール樹脂及びフェノール樹脂の誘導体としては、例えば、レゾール型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂にメチロール基を付加させたノボラック・レゾール型フェノール樹脂、ベンジリックエーテル型フェノール樹脂、更に上記フェノール樹脂を合成する際に、メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等のトリアジン環を有するアミノ化合物をフェノール類の一部と置換させたメラミン−フェノール樹脂、アセトグアナミン−フェノール樹脂、ベンゾグアナミン−フェノール樹脂、又は、これらに多価アルコール類、アルキレンオキサイド類又は、環状アルキレンカーボネート類を付加した変性フェノール樹脂類が挙げられる。
【0022】
フェノール樹脂及びフェノール樹脂の誘導体は、一般的に使用されているウレタン樹脂発泡体用のポリオールと比較して、粘度が高い傾向にあり、発泡機の種類等の製造プロセスや得られる樹脂発泡体の所望する寸法や密度によっては、発泡用組成物の粘度が低い方が好ましい場合がある。そのような場合には、上記したポリエーテルポリオール又はポリエステルポリオールを併用することが好ましい。
【0023】
本発明でポリオールとして、フェノール樹脂又はフェノール樹脂の誘導体と他のポリオールを併用する場合、フェノール樹脂又はフェノール樹脂の誘導体の含有量は、特に限定されないが、後に説明するエポキシ樹脂とポリイソシアネート化合物の反応熱による、スコーチ又は樹脂骨格の熱劣化を低減若しくは抑制する点で、ポリオール全質量に対して、40質量%以上が好ましく、なかでも60〜90質量%が好ましい。
【0024】
また、本発明で、ポリオールとして、過度にアルキレンオキサイド類を付加重合させたポリオールを使用すると、得られる樹脂発泡体の耐水性を損なう場合がある。そのため、基材となるポリオールに対して、アルキレンオキサイド類を好ましくは1〜5モル、特には2〜4モル付加重合させたものを使用することが好適である。
【0025】
また、本発明で使用する(B)ポリイソシアネート化合物は、一般に、ウレタン樹脂発泡体に使用するものでよく、その種類についても、特に限定されるものではない。ポリイソシアネート化合物の例としては、以下のものが挙げられる。エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート類;フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジメチルジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート類;イソホロンジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネート類;上記ポリイソシアネート化合物とポリオール類を反応させた、イソシアネート基を有するプレポリマー化合物、又は、イソシアネート化合物を三量体化させた、イソシアネート基を有するイソシアヌレート化合物等。これらは単独又は、2種以上を混合して使用できる。
【0026】
本発明におけるポリイソシアネート化合物の使用量は、特に限定されないが、ポリオール100質量部に対し、好ましくは50〜500質量部、特には100〜300質量部である。このような範囲でポリイソシアネート化合物の使用する場合、ポリイソシアネート化合物の有するイソシアネート基のポリオール成分中の活性水素に対する当量比が、好ましくは1.0〜15.0、特には1.0〜5.0になるようにするのが好適である。
【0027】
本発明で形成されるウレタン系樹脂発泡体には、ポリオールとポリイソシアネート化合物とをほぼ当量で反応させたウレタン樹脂発泡体に加えて、イソシアネート基の三量化触媒の存在下に反応させたイソシアヌレート樹脂発泡体が含有せしめて、難燃性及び剛性に優れた樹脂発泡体にせしめることができる。本発明では、ウレタン樹脂発泡体のみを所望する場合は、ポリオールに対するポリイソシアネート化合物の当量比をほぼ1.0に制御せしめる。また、イソシアヌレート樹脂発泡体を含有させる場合は、イソシアネート基の三量化触媒を存在させるとともに、上記の当量比を1.5〜15.0になるように制御する。
【0028】
本発明において、(D)水は、ポリイソシアネート化合物と反応して二酸化炭素を発生させる発泡剤として機能する。水の使用量は、ポリオール100質量部に対して、好ましくは0.5〜20質量部、特には1〜10質量部であることが好ましい。水の使用量が、0.5質量部未満であると、発生する発泡ガス量が、樹脂量に対して過度に少なく、発泡時に密度ムラができやすくなり、均一な発泡体が得られない場合がある。逆に、20質量部を超えると、ポリマー骨格中の尿素結合が多くなり、得られる樹脂発泡体の寸法安定性、又は機械的強度を損なうばかりか、発泡の際に、樹脂量に対して発泡ガス量が多くなり、大きなボイドが発生しやすくなり、均質な発泡体が得られない場合がある。
【0029】
本発明で使用する(C)エポキシ樹脂は、常温(25℃)下で液状物である脂肪族エポキシ樹脂及び脂環族エポキシ樹脂より選択される少なくとも1種を使用する。脂肪族エポキシ樹脂又は脂環族エポキシ樹脂を使用することにより、芳香族エポキシ樹脂に見られる脆さの発現がない。また、脂肪族エポキシ樹脂又は脂環族エポキシ樹脂は、適度に表面張力が低いために、破泡することなく、セルサイズを緻密にし、樹脂発泡体の機械的強度又は断熱性を向上させる。
【0030】
本発明で、エポキシ樹脂が常温下で液状物であることにより、水又はポリオールとの混合、及び発泡直前に混合するポリイソシアネート化合物との混合が容易となる。更に、得られる樹脂発泡体のセルサイズが比較的均一となり、樹脂塊や部分的に密度の高い部分が形成されることはない。
【0031】
本発明でエポキシ樹脂を使用した場合、上記したように、前記ポリイソシアネート化合物と水との発泡ガス発生反応の際に生じる尿素結合の形成を抑制する機能を果たし、得られる樹脂発泡体の耐熱性、寸法安定性や機械的強度、更には断熱性向上させる。すなわち、ポリイソシアネート化合物に含有されるイソシアネート基と水が反応すると、カルバミド酸を形成するが、すぐに分解して二酸化炭素とアミノ基を形成する。このアミノ基が更にイソシアネート基と反応して尿素結合ができ、ポリマー骨格を形成し、発泡体が得られる。
【0032】
一方、エポキシ樹脂もアミノ基との反応性が高いので、上記で生成したアミノ基は、エポキシ樹脂がポリイソシアネート化合物と共存することにより、エポキシ基−アミノ基及びイソシアネート基−アミノ基の競争反応が生じる。エポキシ基−アミノ基の反応により、エポキシ樹脂は効果的かつ均一に硬化せしめられる。更に、エポキシ基は、イソシアネート基と反応してオキサゾリドン環を形成する。この反応は、水とイソシアネート基による二酸化炭素発生反応を抑制するが、オキサゾリドン形成反応が進行した場合には、オキサゾリドン環は発泡体樹脂の耐熱性、寸法安定性及び機械的強度を向上させる。なお、オキサゾリドン環生成により、発生する二酸化炭素量が低減する場合があるが、水の使用量、又はエポキシ樹脂の使用量を調整することにより、高発泡倍率の樹脂発泡体を得ることが可能である。
【0033】
かくして、本発明では、得られる樹脂発泡体の機械的強度や寸法安定性が改善され、発泡硬化直後から見られる収縮を抑制することが可能となる。これにより、故意に連続気泡化して樹脂発泡体の収縮を抑制する必要もなく、独立気泡のセルを有する、断熱性が改善されたウレタン系樹脂発泡体を得ることが可能となる。
【0034】
本発明で使用する好ましいエポキシ樹脂としては、下記の例が挙げられる。エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、シュウ酸ジグリシジルエステル、マロン酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、グルタル酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、ピメリン酸ジグリシジルエステル、スベリン酸ジグリシジルエステル、アゼライン酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジ(2、3−エポキシブチル)エステル、シュウ酸ジ(2、3−エポキシブチル)エステル、シュウ酸ジ(2、3−エポキシヘキシル)エステル等の脂肪族エポキシ樹脂;ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルカルボキシレート)、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)マレエート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルカルボキシレート等の脂環族エポキシ樹脂。
【0035】
本発明において、エポキシ樹脂の使用量は、ポリオール成分100質量部に対して、好ましくは1〜100質量部、特には5〜50質量部が好適である。エポキシ樹脂の使用量が1質量部未満であると、エポキシ樹脂による改質効果が少なく、本発明で提供する樹脂発泡体の改善が観察されない。逆に、該使用量が100質量部を超えると、上記したように、エポキシ基とイソシアネート基によるオキサゾリドン環生成反応の割合が多くなり、イソシアネート基と水の反応を阻害し、得られる樹脂発泡体の密度が所望する密度より大きくなる場合や反応熱でスコーチが発生する場合がある。
【0036】
本発明では、水−イソシアネート基の反応を促進する触媒を添加することが好ましい。上記触媒としては、アミン系触媒が以下の例が挙げられる。N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジシクロヘキシルメチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン等のモノアミン類、ピリジン、N−メチルモルフォリン、N−エチルモルフォリン等の環状モノアミン類、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサンジアミン、メチレン−ビス(ジメチルシクロヘキシルアミン)、N,N,N’,N’−テトラエチルエチレンジアミン等のジアミン類、N,N,N’,N’,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N’,N”−ペンタメチルジプロピレントリアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)−フェノール等のトリアミン類、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル−3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルエーテル、4,4’−オキシジメチレンジモルフォリン等のエーテルジアミン類、トリエチレンジアミン、N,N’−ジメチルピペラジン、N,N’−ジエチルピペラジン、N,N−ジメチルアミノエチルモルフォリン、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1−ブトキシ−2−メチルイミダゾール等の環状ポリアミン類、N,N,N’−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N,N,N’−トリメチルアミノプロピルエタノールアミン、2−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)エタノール、N,N−ジメチルアミノエタノール、N,N−トリメチル−1,3−ジアミノ−2−プロパノール、N−メチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)−ピペラジン等のアルカノールアミン類。特にビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N−ジメチルアミノエチルモルフォリン、1−イソブチル−2−メチルイミダゾールの使用が好ましい。
【0037】
水−イソシアネート基の反応を促進する触媒の使用量は、ポリイソシアネート化合物100質量部に対し、0.1〜10質量部であることが好ましい。上記使用量が0.1質量部未満であると、水−イソシアネート基の反応が促進されず、発泡硬化に要する時間が長くなり、樹脂発泡体の生産性の改善効果が見られない。一方、10質量部を越えると、添加量の割に該反応の促進効果が観察されず、逆に不経済である。特に、触媒の使用量は、0.5〜5質量部が好ましい。
【0038】
更に、本発明では、上記のように、発泡樹脂体中にイソシアヌレート樹脂発泡体が含有せしめる場合には、イソシアネート三量化触媒が使用される。この場合には、得られる樹脂発泡体の難燃性及び耐熱性が改善される。なお、過度のイソシアヌレート化は、得られる樹脂発泡体を脆化させる傾向にあるので、樹脂発泡体の用途等に合わせ、適宜調整することが好ましい。イソシアネート三量化触媒の使用量は、イソシアネート化合物100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましい。
【0039】
イソシアネート三量化触媒の好ましい例としては、以下のもの挙げられる。酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム等の金属酸化物類、メトキシナトリウム、エトキシナトリウム、プロポキシナトリウム、ブトキシナトリウム、メトキシカリウム、エトキシカリウム、プロポキシカリウム、ブトキシカリウム等のアルコキシド類、酢酸カリウム、オクテン酸カリウム、シュウ酸鉄等の有機金属塩類、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N’,N”−トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロトリアジン、トリエチレンジアミン等の3級アミン類、エチレンイミンの誘導体、及びアルカリ金属、アルミニウム、又は、遷移金属類のアセチルアセトンのキレート類。これらは、単独、又は2種以上を混合して使用することができる。
【0040】
本発明のウレタン系樹脂発泡体の製造においては、上記(A)〜(D)の他に、必要に応じて、整泡剤、ウレタン硬化触媒、難燃剤、無機充填材等を使用することができる。
【0041】
本発明で使用する整泡剤としては、例えば、ウレタン樹脂発泡体やフェノール樹脂発泡体等の各種樹脂発泡体の製造に用いられる既知のものを挙げることができる。整泡剤は、単独で、又は二種類以上の組み合わせで使用してもよい。整泡剤は、ポリオール成分100質量部に対して、0.5〜5質量部で使用することが好ましい。
【0042】
整泡剤としては、界面活性剤を使用することが好ましく、なかでも、ノニオン系界面活性剤がより好ましい。ノニオン系界面活性剤の好ましい例は、以下の通りである。ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート等のソルビタンエステル類;ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールモノオレート、ポリプロピレングリコールモノステアレート、ポリプロピレングリコールモノオレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールジオレート等のポリオキシアルキレングリコールエステル類;上記以外のポリオキシアルキレンアルキルエーテル類;ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類;ポリオキシアルキレンフェニルエステル類;ポリジメチルシロキサンポリオキシアルキレン共重合体等。
【0043】
樹脂発泡体として、特に、断熱性の改善を所望する場合は、整泡剤のなかでも、比較的表面張力の低いジメチルポリシロキサン系界面活性剤は、上記他の界面活性剤と比較して、破泡効果が高い傾向にあるために、多量に使用することは余り好ましくない。
【0044】
本発明で使用される上記ウレタン化触媒の好ましい例としては、以下のものが挙げられる。ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオレイルマレート、ジブチルスズジブチルマレート、ジブチルスズアセチルアセテート、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジラウリルオキシカルボニル−ジスタノキサン、オクチル酸スズ、ステアリン酸スズ、オクチル酸ビスマス、ビスマスバーサテイト等の有機金属化合物等。これらのウレタン化触媒は、種類及び使用量を適宜調整することにより、所望する硬化速度が得られる。ウレタン化触媒は、ポリオール100質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましい。
【0045】
本発明では、発泡硬化時の流動性の調整や経済的効果のための無機充填材や、樹脂発泡体の難燃性向上のために難燃剤等を使用してもよい。無機充填材の例としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、タルク、カオリン、ベントナイト、マイカ、ゼオライト、バーミキュライト、シリカ、シリカフューム、ケイ砂、パーライト等が挙げられる。難燃剤としては、リン酸エステル、ポリリン酸アンモニウム、リン酸メラミン、トリフェニルホスフィン等のリン系化合物を挙げられる。無機充填材や難燃剤は、必要に応じて、種類と量を設定し、ディゾルバー、ニーダー、ミキシングロール等により、ポリオールに混合して使用できる。
【0046】
本発明の樹脂発泡体の製造に際しては、(A)ポリオール、(C)エポキシ樹脂及び(D)水が、(B)ポリイソシアネート化合物と常温下で反応するので、予め、かかる(A)、(C)、(D)成分、更には、必要に応じて、水−イソシアネート反応促進触媒、イソシアネート三量化触媒、整泡剤、ウレタン化触媒、無機充填材及び難燃剤を混合して、該混合物に対して、発泡硬化させる直前に、(B)成分を混合することが好ましい。混合後は、常温下でも反応が開始し、イソシアネート化合物と水が反応して、発泡ガスである二酸化炭素を放出し、同時にポリオール又はエポキシ樹脂と反応し、樹脂発泡体を形成する。
【0047】
本発明では、樹脂発泡体を製造するにあたり、上記各成分の混合物を吐出〜射出する装置として、通常のウレタン樹脂発泡体やフェノール樹脂発泡体等の製造に用いられるような多成分混合機と呼ばれる混合装置を使用するのが好適である。
【0048】
更に、本発明では得られるウレタン樹脂発泡体の硬化を促進させるために加熱することが好ましい。加熱は、好ましくは30〜80℃の雰囲気下で好ましくは1〜20分保持させることにより、樹脂発泡体を効率よく製造することが可能となる。
【0049】
本発明によって得られる樹脂発泡体を所望とする形状に成形する方法としては、所望の大きさ及び形の型に、前記反応性の混合物を注入して発泡硬化させる注入発泡法や、平面上に前記混合物を流し、その混合物がゲル化する前にニップロールまたはドクターブレード等で発泡硬化途中の混合物表面を掻いて所定の厚さとし、硬化させるスラブ発泡法を採用することができる。
【0050】
本発明によって得られた樹脂発泡体は、従来の樹脂発泡体と同様の広範な用途に使用できる。例えば、スラブ発泡法で得られた発泡体を切り出して、所望の形状にした壁外貼り断熱材や床下断熱材等の住宅等の建築物に用いられる板状断熱材等の用途に用いることができる。また、注入発泡法によって、外装用又は屋根用の金属サンドイッチパネルの芯材、又は配管等の保温筒等とすることもできる。
【0051】
【実施例】
以下に本発明を実施例により、更に詳細に説明する。
(実施例1)
OH価450mgKOH/gのレゾール・ノボラック型フェノール樹脂80質量部、OH価150mgKOH/gの芳香族ポリエステルポリオール20質量部に、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル20質量部、水6質量部、水−イソシアネート反応促進触媒として、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル2.0質量部、ウレタン化触媒としてジブチルスズジアセテート1.0質量部、整泡剤として、ポリプロピレングリコールモノステアレート3.0質量部を混合したものを撹拌しながら、NCO当量135g/eqの粗製のフェニルメタンジイソシアネート208質量部を添加して、反応性の混合物を得た。
【0052】
この反応性混合物144gを300mm×300mm×50mmの離型剤を処理した金属枠に注入して、上下面を狭圧して、40℃の加熱炉で10分間保持することにより、OH当量とエポキシ当量の計に対して、NCO当量比が1.05、密度32kg/mの樹脂発泡体を得た。
【0053】
(実施例2)
OH価450mgKOH/gのレゾール・ノボラック型フェノール樹脂80質量部、OH価150mgKOH/gの芳香族ポリエステルポリオール20質量部に、エポキシ当量140g/eqのトリメチロールプロパントリグリシジルエーテル30質量部、水12質量部、水−イソシアネート反応促進触媒として、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール2.0質量部、イソシアネート三量化触媒として、N,N’,N”−トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロトリアジン5質量部、ウレタン化触媒として、ステアリン酸スズ1.0質量部、整泡剤として、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート1.0質量部を混合したものを撹拌しながら、NCO当量135g/eqの粗製ジフェニルメタンジイソシアネート764質量部を添加して、反応性の混合物を得た。
この反応性混合物を実施例1と同条件にて、OH当量とエポキシ当量の計に対して、NCO当量比が4.7、密度32kg/mの樹脂発泡体を得た。
【0054】
(実施例3)
OH価650mgKOH/gのレゾール型フェノール樹脂60質量部、OH価214mgKOH/gのソルビトールの水酸基1モルに対して4モルのプロピレンオキサイド付加したポリオール40質量部に3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4エポキシシクロヘキシルカルボキシレート10質量部、水5質量部、水−イソシアネート反応促進触媒として、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル2.0質量部、ウレタン化触媒として、ジブチルスズジアセテート1.0質量部、整泡剤として、ソルビタンモノステアレート1.0質量部を混合したものを撹拌しながら、NCO当量135g/eqの粗製ジフェニルメタンジイソシアネート204質量部を添加して、反応性の混合物を得た。
【0055】
この反応性混合物144gを300mm×300mm×50mmの離型剤を処理した金属枠に注入して、上下面を狭圧して、40℃の加熱炉で10分間保持して、OH当量とエポキシ当量の計に対して、NCO当量比が1.03、密度32kg/mの樹脂発泡体を得た。
【0056】
(実施例4)
OH価450mgKOH/gのレゾール・ノボラック型フェノール樹脂40質量部、OH価270mgKOH/gのペンタエリスリトールに水酸基1モルに対してプロピレンオキサイド3モル付加したポリオール60質量部に、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル50質量部、水6質量部、水−イソシアネート反応促進触媒及びウレタン化触媒として、トリエチレンジアミン3.0質量部、整泡剤として、ポリエチレングリコールジステアレート1.0質量部を混合したものを撹拌しながら、NCO当量135g/eqの粗製ジフェニルメタンジイソシアネート226質量部を添加して、反応性の混合物を得た。
【0057】
この反応性混合物180gを300mm×300mm×50mmの離型剤を処理した金属枠に注入して、上下面を狭圧して、40℃の加熱炉で10分間保持して、OH当量とエポキシ当量の計に対して、NCO当量比が1.05、密度40kg/mの樹脂発泡体を得た。
【0058】
更に、この反応性混合物360gを300mm×300mm×50mmの離型剤を処理した金属枠に注入して、上下面を狭圧して、40℃の加熱炉で10分間保持して樹脂発泡体を得たところ、中心部にわずかにスコーチが観察された。
【0059】
(実施例5)
OH価650mgKOH/gのレゾール型フェノール樹脂20質量部、OH価150mgKOH/gの芳香族ポリエステルポリオール40質量部、実施例4で使用したOH価270mgKOH/gのペンタエリスリトールプロピレンオキサイド付加物40質量部に、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル5質量部、水10質量部、イソシアネート三量化触媒として、オクテン酸カリウム2.0質量部、水−イソシアネート反応促進触媒として、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール1.0質量部、ウレタン化触媒として、ステアリン酸スズ1.0質量部、整泡剤として、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート1.5質量部及びポリエチレングリコールジステアレート1.5質量部を混合したものを撹拌しながら、NCO当量135g/eqの粗製ジフェニルメタンジイソシアネート619質量部を添加して、反応性の混合物を得た。
【0060】
この反応性混合物180gを300mm×300mm×50mmの離型剤を処理した金属枠に注入して、上下面を狭圧して、40℃の加熱炉で10分間保持して、OH当量に対して、NCO当量比が7.0、密度40kg/mの樹脂発泡体を得た。
【0061】
(実施例6)
実施例2において、触媒を1−イソブトキシ−2−メチルイミダゾールからトリエチレンジアミンに替えた以外は同様の所作を行い、同密度の樹脂発泡体を得た。
【0062】
(実施例7)
OH価270mgKOH/gのペンタエリスリトールに水酸基1モルに対してプロピレンオキサイド3モル付加したポリオール100質量部に、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル50質量部、水6質量部、水−イソシアネート反応促進触媒及びウレタン化触媒として、トリエチレンジアミン3.0質量部、整泡剤として、ポリエチレングリコールジステアレート1.0質量部を混合したものを撹拌しながら、NCO当量135g/eqの粗製ジフェニルメタンジイソシアネート208質量部を添加して、反応性の混合物を得た。
【0063】
この反応性混合物180gを300mm×300mm×50mmの離型剤を処理した金属枠に注入して、上下面を狭圧して、40℃の加熱炉で10分間保持して、OH当量とエポキシ当量の計に対して、NCO当量比が1.05、密度40kg/mの樹脂発泡体を得た。
【0064】
(比較例1)
OH価650mgKOH/gのレゾール型フェノール樹脂50質量部、OH価200mgKOH/gのソルビトールのプロピレンオキサイド付加物50質量部に、水8質量部、イソシアネート三量化触媒として、オクテン酸カリウム9.0質量部、ウレタン化触媒として、トリエチレンジアミン1.0質量部、整泡剤として、ソルビタンモノステアレート3.0質量部を混合したものを撹拌しながら、NCO当量135g/eqの粗製ジフェニルメタンジイソシアネート428質量部を添加して、反応性の混合物を得た。
【0065】
この反応性混合物144gを300mm×300mm×50mmの離型剤を処理した金属枠に注入して、上下面を狭圧して、40℃の加熱炉で10分間保持して、OH当量に対して、NCO当量比が3.0、密度32kg/mの樹脂発泡体を得たが、24時間後に樹脂発泡体は、厚さ41mmまで収縮した。
【0066】
(比較例2)
OH価450mgKOH/gのレゾール・ノボラック型フェノール樹脂80質量部、OH価150mgKOH/gの芳香族ポリエステルポリオール20質量部に、水6質量部、ウレタン化触媒としてトリエチレンジアミン2.0質量部及びステアリン酸スズ1.0質量部、整泡剤として、ポリプロピレングリコールモノステアレート3.0質量部、及び、セルを連続気泡化させるためにシリコーンオイル0.2質量部を混合したものを撹拌しながら、NCO当量135g/eqの粗製時フェニルメタンジイソシアネート188質量部を添加して、反応性の混合物を得た。
この反応性混合物を実施例1と同条件にて、OH当量に対して、NCO当量比が1.05、密度32kg/mの樹脂発泡体を得た。
【0067】
(比較例3)
OH価450mgKOH/gのレゾール・ノボラック型フェノール樹脂40質量部、OH価270mgKOH/gのペンタエリスリトールに水酸基1モルに対してプロピレンオキサイド3モル付加したポリオール60質量部に、エポキシ当量170g/eqのビスフェノールFグリシジルエーテル型エポキシ樹脂50質量部、水6質量部、水−イソシアネート反応促進触媒及びウレタン化触媒として、トリエチレンジアミン3.0質量部、整泡剤として、ポリエチレングリコールジステアレート1.0質量部を混合したものを撹拌しながら、NCO当量135g/eqの粗製ジフェニルメタンジイソシアネート203質量部を添加して、反応性の混合物を得た。
【0068】
この反応性混合物180gを300mm×300mm×50mmの離型剤を処理した金属枠に注入して、上下面を狭圧して、40℃の加熱炉で10分間保持して、OH当量とエポキシ当量の計に対して、NCO当量比が1.05、密度40kg/mの樹脂発泡体を得た。
【0069】
(比較例4)
エポキシ当量170g/eqのビスフェノールFグリシジルエーテル型エポキシ樹脂100質量部に水5質量部、水−イソシアネート反応促進触媒として、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル3.0質量部、整泡剤として、ポリエチレングリコールジステアレート1.0質量部を混合したものを撹拌しながら、NCO当量135g/eqの粗製ジフェニルメタンジイソシアネート158質量部を添加して、反応性の混合物を得た。
【0070】
この反応性混合物180gを300mm×300mm×50mmの離型剤を処理した金属枠に注入して、上下面を狭圧して、40℃の加熱炉で10分間保持して、OH当量とエポキシ当量の計に対して、NCO当量比が1.05、密度40kg/mの樹脂発泡体を得たが、樹脂発泡体内部でスコーチが発生した。
【0071】
(比較例5)
OH価450mgKOH/gのレゾール・ノボラック型フェノール樹脂40質量部、OH価270mgKOH/gのペンタエリスリトールに水酸基1モルに対してプロピレンオキサイド3モル付加したポリオール60質量部に、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル50質量部、水6質量部、水−イソシアネート反応促進触媒及びウレタン化触媒として、トリエチレンジアミン3.0質量部、整泡剤として、ポリエチレングリコールジステアレート1.0質量部を混合したものを撹拌しながら、NCO当量135g/eqの粗製ジフェニルメタンジイソシアネート226質量部及びアミン当量24.4g/eqトリエチレンテトラミンを添加して、反応性の混合物を得た。
【0072】
この反応性混合物180gを300mm×300mm×50mmの離型剤を処理した金属枠に注入して、上下面を狭圧して、40℃の加熱炉で10分間保持して、密度40kg/mの樹脂発泡体を得たが、非常に脆い物であり、脱型の際に挫屈した。
【0073】
評価例
(圧縮強度)
実施例1〜5及び比較例2で得られた樹脂発泡体を、JIS A 9511に準じた方法により、10%圧縮強度を測定した。
(寸法変化率)
50×50×50mmに切り出した実施例1〜5及び比較例2の試験片を、25℃、80℃、65℃×95%RHの常温、高温、湿熱環境下に48時間放置し、厚み方向の寸法変化率を測定した。
(熱伝導率)
150×150×25mmに切り出した実施例1〜5及び比較例2の試験片を熱流計法にて、熱伝導率を測定した。
上記評価結果を表1及び表2に示す。
【0074】
【表1】
Figure 2004161865
【0075】
【表2】
Figure 2004161865
【0076】
表1及び表2より、実施例1〜5の樹脂発泡体は、圧縮強度、寸法安定性及び断熱性でも、比較例と比較して高いことがわかる。特に、比較例1で示したように、エポキシ樹脂を使用しない樹脂発泡体が、発泡直後から収縮が生じていることから、本発明で得られる樹脂発泡体は、寸法安定性が改善されたことがわかる。
【0077】
また、比較例2では、エポキシ樹脂を使用せず、破泡効果のあるシリコーンオイルを微量添加し、得られる樹脂発泡体のセルを連通化させたが、寸法安定性、圧縮強度の大きな低減は観察されない。しかし、断熱性評価において、実施例と比較して、高い熱伝導率を示すことがわかる。これは、連続気泡化したセルが、空気よりも熱伝導率の低い二酸化炭素をセル内に保持していないことを示している。
【0078】
比較例3では、実施例4のエポキシ樹脂を、芳香族エポキシ樹脂に変更したものであるが、寸法変化率又は熱伝導率の評価においては、実施例1〜5と大差は観察されない。しかし、圧縮強度にて実施例よりも低減していることがわかる。これは、芳香族エポキシ樹脂の脆さに起因するものと考えられる。
【0079】
比較例4では、ポリオール成分を使用せず、エポキシ樹脂とポリイソシアネート成分を主成分として発泡硬化させたものである。エポキシ基とイソシアネート基の反応熱により、スコーチが発生し、得られる樹脂発泡体の機械的強度、断熱性に好ましくない影響を与えていることがわかる。
【0080】
比較例5では、エポキシの硬化剤としてポリアミン化合物を加えたものの得られた発泡体は脆い物であった。この原因として、エポキシ樹脂との硬化剤であるポリアミン化合物は、エポキシ樹脂と反応するとともに、ポリイソシアネート化合物とも反応し、尿素結合が多く発生し、脆くなったと推定できる。
【0081】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、従来の水を発泡剤としたウレタン系樹脂発泡体で見られた、発泡直後からの収縮等の寸法変化を低減することができ、かつ耐熱性、寸法安定性や機械的強度、及び断熱性能に優れたウレタン系樹脂発泡体が得られる。かかるウレタン樹脂発泡体の製造では、エポキシ樹脂を使用するにも拘わらず、外部からエポキシ硬化剤を添加する必要もなく、製造の過程で発生する内部硬化剤を使用し、効果的かつ均一に硬化が行われる。
本発明で得られたウレタン樹脂発泡体は、建築物の断熱材、各種パネルの芯材、又は配管の保温筒等に好適に使用できる。

Claims (6)

  1. 下記のA〜Dの成分を含み、エポキシ樹脂の硬化剤を含まない混合物を発泡硬化させることを特徴とするウレタン系樹脂発泡体の製造方法。
    (A):ポリオール、
    (B):ポリイソシアネート化合物、
    (C):常温下で液状物である脂肪族エポキシ樹脂及び脂環族エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1種からなるエポキシ樹脂、
    (D):水。
  2. 上記(A)ポリオールが、フェノール樹脂又はフェノール樹脂誘導体をポリオール全質量に対して、40質量%以上含有する請求項1に記載の製造方法。
  3. 上記混合物が、(A)ポリオール100質量部に対し、(B)ポリイソシアネート化合物50〜500質量部、(C)エポキシ樹脂1〜100質量部、及び(D)水0.5〜20質量部含む請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 上記組成物が、さらに、水−イソシアネート基の反応を促進させる触媒として、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N−ジメチルアミノエチルモルフォリン、及び1−イソブチル−2−メチルイミダゾールからなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 上記組成物が、さらに、イソシアネート三量化触媒を含む請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 上記組成物を30〜80℃で1〜20分保持する請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
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