JP5050355B2 - 硬質ポリウレタンフォームの製造方法、透水層の形成方法および岩盤の補強方法 - Google Patents
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Description
(2)一次覆工コンクリートに透水性セメントモルタル(発泡モルタルまたは無機多孔性組成物)を吹き付けて透水層を形成し、その上にウレタン(ソリッド、フォーム)またはアクリルエマルジョンを吹き付けて防水層を形成し、さらにその上に二次覆工コンクリートを打設する方法(特許文献2)。
(3)施工面に、珪砂とバインダーと起泡剤との混合物を吹き付けて透水層を形成する方法(特許文献3)。
(2)、(3)の方法では、透水層を形成する材料の硬化に時間がかかりすぎ、作業性が悪い問題がある。
しかし、該ポリウレタンフォームは、表皮を除去した軟質ポリウレタンフォームであり、強度の点でトンネルの透水層、岩盤補強等の用途には適していない。
(ii)ポリオキシアルキレン鎖がオキシエチレン基とオキシプロピレン基とからなり、オキシエチレン基とオキシプロピレン基との質量比(オキシエチレン基/オキシプロピレン基)が30/70〜60/40であり、
(iii)ポリオキシアルキレン鎖の末端がアルコキシ基で封鎖され、
(iv)表面張力が20〜22dyne/cmの範囲である。
本発明の透水層の形成方法によれば、強度が高く、透水性に優れた透水層を短時間で形成できる。
本発明の岩盤の補強方法によれば、透水性を維持しつつ短時間で岩盤を補強できる。
本発明の硬質ポリウレタンフォームの製造方法は、ポリオール化合物とイソシアネート化合物とを、発泡剤、整泡剤、必要に応じて触媒の存在下に反応させて硬質ポリウレタンフォームを得る方法である。
以下、各原料について説明する。
本発明におけるポリオール化合物は、アミノアルキルピペラジンに、50モル%以上のエチレンオキシドを含有するアルキレンオキシドを開環付加重合して得られたポリエーテルポリオール(A)を含有するポリオール化合物である。
ポリエーテルポリオール(A)の開始剤は、アミノアルキルピペラジンである。開始剤としてアミノアルキルピペラジン、特にアミノエチルピペラジンを用いることにより、得られたポリオールの反応性が高く、良好な連続気泡を有し、透水性が良好なウレタンフォームを得うるポリオール化合物が得られる。
他のポリエーテルポリオールとしては、アミノアルキルピペラジン以外の開始剤にアルキレンオキシドを開環付加重合して得られたポリエーテルポリオールが挙げられる。
多価アルコール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジグリセリン、メチルグルコシド、ソルビトール、ショ糖等が挙げられる。
これら開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
開始剤としては、2〜8個の活性水素を分子内に有する化合物が好ましく、アミン化合物が特に好ましい。
ポリエステルポリオールは、開始剤にフタル酸、アジピン酸等の多塩基酸またはそれらの酸無水物を用い、エチレングリコール、プロピレングリコール等の多官能アルコールと重縮合することで得られる。
本発明におけるポリオール化合物の平均水酸基価は、通常の硬質ポリウレタンフォームを製造するのに用いられる200〜1000mgKOH/gが好ましく、200〜600mgKOH/gがより好ましく、200〜500mgKOH/gが最も好ましい。平均水酸基価が200mgKOH/g以上では硬質ポリウレタンフォームの圧縮強度に優れ、1000mgKOH/g以下では粘度が極端に上がることなく適度のため均一に混合でき、良好な硬質ポリウレタンフォームが得られる。
ポリイソシアネート化合物としては、イソシアネート基を2以上有する芳香族系、脂環族系、脂肪族系のポリイソシアネート;該ポリイソシアネートの2種類以上の混合物;これらを変性して得られる変性ポリイソシアネート等が挙げられる。
変性ポリイソシアネートとしては、前記ポリイソシアネートのプレポリマー型変性体、イソシアヌレート型変性体、ウレア型変性体、カルボジイミド型変性体等が挙げられる。 これらポリイソシアネート化合物のうち、TDI、MDI、クルードMDI、またはこれらの変性体が好ましい。
触媒としてウレタン化触媒を主に用いるウレタン処方においては、イソシアネート指数は、50〜150が好ましく、50〜130がより好ましい。
触媒としてイソシアネート基の三量化反応を促進させる触媒を主に用いるイソシアヌレート処方においては、イソシアネート指数は、120〜300が好ましく、150〜270がより好ましい。
本発明においては、透水性等の観点からウレタン処方を採用することが好ましく、イソシアネート指数は50〜150が好ましい。
発泡剤としては、水を含む発泡剤が用いられ、水が特に好ましい。
水の使用量は、ポリオール化合物100質量部に対して4〜15質量部が好ましい。
必要に応じて、ハイドロフロロカーボン、炭化水素等の他の発泡剤を併用してもよい。ハイドロフロロカーボンとしては、たとえば、HFC−245fa、HFC−365mfc等が挙げられる。炭化水素としては、たとえば、シクロペンタン、イソペンタン、ノルマルペンタン等が挙げられる。
整泡剤としては、下記(i)〜(iv)を満足する化合物(以下、シリコーン系化合物と記す。)を含有する整泡剤を用いる。
(i)ポリシロキサン鎖およびポリオキシアルキレン鎖を有し、
(ii)ポリオキシアルキレン鎖がオキシエチレン基とオキシプロピレン基とからなり、オキシエチレン基とオキシプロピレン基との質量比(オキシエチレン基/オキシプロピレン基)が30/70〜60/40であり、
(iii)ポリオキシアルキレン鎖の末端がアルコキシ基で封鎖され、
(iv)表面張力が20〜22dyne/cmの範囲である。
ポリオキシアルキレン鎖をオキシエチレン基とオキシプロピレン基とから構成することにより、水およびポリオールとの相溶性に優れる。
オキシエチレン基とオキシプロピレン基との質量比(オキシエチレン基/オキシプロピレン基)を30/70〜60/40とすることにより、泡が安定化して整泡性が良好となる。
ポリオキシアルキレン鎖の末端をアルコキシ基で封鎖することにより、硬質フォームのセルオープン性が良好となり、連通気泡となり、透水性に優れる。
表面張力を20〜22dyne/cmの範囲とすることにより、表皮を有しかつ透水性に優れた硬質ポリウレタンフォームが短時間で得られる。表面張力は、協和界面科学社製の表面張力計「PD−Z」を用いて測定できる。
これらの特性を有する整泡剤としては、軟質ポリウレタンフォーム用の整泡剤が好ましく、SH190、SH192、SH194、SF2909(東レダウコーニング社製)、L−580,L−582(東芝GEシリコーン社製)等が好ましく挙げられる。
本発明においては必要に応じて触媒を用いてよい。触媒としては、ウレタン化反応(樹脂化反応)および泡化反応(水とイソシアネート化合物との反応)を促進する触媒であればよく、たとえば、トリエチレンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン等の3級アミン類;ジブチルスズジラウレート等の有機金属化合物等が挙げられる。
イソシアネート基の三量化反応を促進させる触媒を併用してもよい。該触媒としては、酢酸カリウム、2−エチルヘキサン酸カリウム等のカルボン酸金属塩等が挙げられる。
本発明においては、上述したポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物、発泡剤、整泡剤、触媒の他に、任意の配合剤を用いてもよい。配合剤としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の充填剤;酸化防止剤、紫外線吸収剤等の老化防止剤;難燃剤、可塑剤、着色剤、抗カビ剤、破泡剤、分散剤、変色防止剤等が挙げられる。
本発明の硬質ポリウレタンフォームの製造方法においては、高圧発泡装置、低圧発泡装置、簡易型(低圧)発泡装置のいずれも用いることができる。
本発明の製造方法によって得られた硬質ポリウレタンフォームの独立気泡率は、10%以下が好ましく、0%が特に好ましい。独立気泡率が高いことは、気泡膜が残り透過面積の割合が少ないことを意味する。独立気泡率が低い程、透水性が高いといえる。独立気泡率は、独立気泡率測定器、エステック社製、VM−100を用いて測定される。
(1)上部直径12cm、下部直径9.5cm、高さ14cmの紙カップを用意し、該紙カップの上部開口部より、フォーム高さ9cmになるように、ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物、発泡剤および整泡剤を含有する混合物を注入する。
(2)発泡硬化終了後、紙カップ内の硬質ポリウレタンフォーム表面と紙カップの内壁とが接する部分をシリコン系シーラントでシールして防水する。
(3)紙カップの底部の紙を除去し、硬質ポリウレタンフォームの底部を露出させる。
(4)硬質ポリウレタンフォーム入りの紙カップの質量W1を測定する。
(5)20℃の雰囲気下で紙カップの上部開口部より、20℃の水を150g注ぐ。
(6)3分後に紙カップから流出した水の質量を測り、透水量とし、透水速度を求める。
(7)透水後の硬質ポリウレタンフォーム入りの紙カップの質量W2を測定し、フォームの吸水量(W2−W1)を求める。
本発明の透水層の形成方法は、ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物、発泡剤および整泡剤を含有する混合物を施工面に供給し、硬質ポリウレタンフォームからなる透水層を形成する方法である。
発泡剤としては、水を含有する発泡剤を用いる。
整泡剤としては、上記(i)〜(iv)を満足する化合物を含有する整泡剤を用いる。
混合物を施工面に供給する装置としては、公知の吹付装置であるガスマー社製、FF−1600等が挙げられる。
本発明の岩盤の補強方法は、ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物、発泡剤および整泡剤を含有する混合物を岩盤の空隙に注入し、硬質ポリウレタンフォームを形成する方法である。
発泡剤としては、水を含有する発泡剤を用いる。
整泡剤としては、前記(i)〜(iv)を満足する化合物を含有する整泡剤を用いる。
下記使用原料の欄において、ポリオールの水酸基価は、JIS K1557(1970年版)に準じて測定した。
ポリオールA:アミノエチルピペラジンにエチレンオキシドを開環付加重合して得られた、水酸基価が350mgKOH/gのポリエーテルポリオール。
ポリオールB:モノエタノールアミンにプロピレンオキシドを開環付加重合して得られた、水酸基価が500mgKOH/gのポリエーテルポリオール。
ポリオールC:アミノエチルピペラジンにプロピレンオキシドを開環付加重合して得られた、水酸基価が555mgKOH/gのポリエーテルポリオール。
ポリオールD:アミノエチルピペラジンにプロピレンオキシドを開環付加重合して得られた、水酸基価が315mgKOH/gのポリエーテルポリオール
ポリオールF:エチレンジアミンにプロピレンオキシドを開環付加重合して得られた、水酸基価が450mgKOH/gのポリエーテルポリオール。
ポリオールG:ノニルフェノール、ホルムアルデヒドおよびジエタノールアミンを反応させて得られたマンニッヒ縮合物に、プロピレンオキシドを開環付加重合し、ついでエチレンオキシドを開環付加重合して得られた、オキシアルキレン基(100質量%)のうちオキシエチレン基が56質量%であり、水酸基価が300mgKOH/gのポリエーテルポリオール。
ポリオールH:グリセリンにプロピレンオキシドを開環付加重合し、ついでエチレンオキシドを開環付加重合して得られた、オキシアルキレン基(100質量%)のうちオキシエチレン基が15質量%である水酸基価が56mgKOH/gのポリエーテルポリオール。
整泡剤1:ポリシロキサン鎖およびポリオキシアルキレン鎖を有し、ポリオキシアルキレン鎖がオキシエチレン基とオキシプロピレン基とからなり、オキシエチレン基とオキシプロピレン基との質量比(オキシエチレン基/オキシプロピレン基)が50/50であり、ポリオキシアルキレン鎖の末端がアルコキシ基で封鎖され、表面張力が21.4dyne/cmであるシリコーン系整泡剤(商品名:SH194(東レダウコーニング社製))。
整泡剤2:ポリシロキサン鎖およびポリオキシアルキレン鎖を有し、ポリオキシアルキレン鎖がオキシエチレン基とオキシプロピレン基とからなり、オキシエチレン基とオキシプロピレン基との質量比(オキシエチレン基/オキシプロピレン基)が50/50であり、ポリオキシアルキレン鎖の末端がアルコキシ基で封鎖され、表面張力が21.3dyne/cmであるシリコーン系整泡剤(商品名:SH192(東レダウコーニング社製))。
触媒2:N,N−ジメチルアミノエトキシエタノール(商品名:KAO NO.26、花王社製)。
触媒3:2−エチルヘキサン酸鉛溶液(鉛20%、商品名:ニッカオクチックス鉛20%、日本化学産業製)。
ポリイソシアネート1:ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(商品名:MR−200、日本ポリウレタン工業社製)。
ポリイソシアネート2:ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(商品名:C−1130、日本ポリウレタン工業社製)。
0.5リットルのポリエチレン製円筒状コップに、50質量部のポリオールA、50質量部のポリオールBを入れて混合し、ポリオール混合物100質量部を調製した。これに発泡剤として10質量部の水部、1質量部の整泡剤1を入れ、これらを撹拌機でよく混合し、ポリオールシステム液を得た。触媒は使用しなかった。
反応が終了して24時間以上経過した後、得られた硬質ポリウレタンフォームを以下の評価に用いた。結果を表1に示す。
発泡硬化終了後、紙カップ内の硬質ポリウレタンフォーム表面と紙カップの内壁とが接する部分をシリコン系シーラントでシールして防水した。紙カップの底部の紙を除去し、硬質ポリウレタンフォームの底部を露出させた。硬質ポリウレタンフォーム入りの紙カップの質量W1を測定した。20℃の雰囲気下で紙カップの上部開口部より、20℃の水を150g注いだ。3分後に紙カップから流出した水の質量を測り、透水量とし、透水速度を求めた。また、透水後の硬質ポリウレタンフォーム入りの紙カップの質量W2を測定し、フォームの吸水量(W2−W1)を求めた。
硬質ポリウレタンフォームの圧縮強度、低温寸法安定性、湿熱寸法安定性を測定、評価した。測定のための試料片は、前記紙カップ内の硬質ポリウレタンフォームから適宜切り出したものを用いた。
コア密度は、JIS A9511に準拠して測定した。具体的には、硬質ポリウレタンフォームの中心から4cm×4cm×4cmの試験片を切り出し、その質量を体積で割って求めた。
圧縮強度は、JIS A9511に準拠して測定した。試料片の大きさは、4cm×4cm×4cmとした。また、重力方向に対して平行方向および垂直方向について測定した。
原料の配合を表1に示す配合に変更した以外は、例1と同様にして硬質ポリウレタンフォームを製造し、評価を行った。結果を表1に示す。表1における例1〜3が実施例であり、例4〜7が比較例である。また、表1における総合評価の欄は、コア密度35kg/m3 以上であり、圧縮強度が0.05MPa以上であり、20℃における透水速度が10g/分以上である場合○、フォームが収縮したりして前記要件を満たさない場合×として表示した。
冬場等の低温時の吹付施工や注入発泡による岩盤補強を考慮して、原料温度10℃における発泡を行った。
原料の配合を表1に示す配合(触媒使用)に変更し、原料温度を10℃、撹拌時間を3秒とした以外は例1と同様にして硬質ポリウレタンフォームを製造し、評価を行った。結果を表2に示す。表2に示すように、低温においても問題なく透水性のよい硬質ポリウレタンフォームを得ることできた。
Claims (2)
- ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物、発泡剤および整泡剤を含有する混合物を施工面に供給し、硬質ポリウレタンフォームからなる透水層を形成する方法において、
前記ポリオール化合物として、アミノアルキルピペラジンに、50モル%以上のエチレンオキシドを含有するアルキレンオキシドを開環付加重合して得られたポリエーテルポリオール(A)をポリオール化合物(100質量%)中20〜100質量%含有するポリオール化合物を用い、
前記発泡剤として、水を含有する発泡剤を用い、
前記整泡剤として、下記(i)〜(iv)を満足する化合物を含有する整泡剤を用いることを特徴とする透水層の形成方法。
(i)ポリシロキサン鎖およびポリオキシアルキレン鎖を有し、
(ii)ポリオキシアルキレン鎖がオキシエチレン基とオキシプロピレン基とからなり、オキシエチレン基とオキシプロピレン基との質量比(オキシエチレン基/オキシプロピレン基)が30/70〜60/40であり、
(iii)ポリオキシアルキレン鎖の末端がアルコキシ基で封鎖され、
(iv)表面張力が20〜22dyne/cmの範囲である。 - ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物、発泡剤および整泡剤を含有する混合物を岩盤の空隙に注入し、硬質ポリウレタンフォームを形成する岩盤の補強方法において、
前記ポリオール化合物として、アミノアルキルピペラジンに、50モル%以上のエチレンオキシドを含有するアルキレンオキシドを開環付加重合して得られたポリエーテルポリオール(A)をポリオール化合物(100質量%)中20〜100質量%含有するポリオール化合物を用い、
前記発泡剤として、水を含有する発泡剤を用い、
前記整泡剤として、下記(i)〜(iv)を満足する化合物を含有する整泡剤を用いることを特徴とする岩盤の補強方法。
(i)ポリシロキサン鎖およびポリオキシアルキレン鎖を有し、
(ii)ポリオキシアルキレン鎖がオキシエチレン基とオキシプロピレン基とからなり、オキシエチレン基とオキシプロピレン基との質量比(オキシエチレン基/オキシプロピレン基)が30/70〜60/40であり、
(iii)ポリオキシアルキレン鎖の末端がアルコキシ基で封鎖され、
(iv)表面張力が20〜22dyne/cmの範囲である。
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