JP6385281B2 - ペットフードの製造方法 - Google Patents
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Description
本願は、2012年12月19日に、日本に出願された特願2012−277502号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
本願において「食いつき」とは、ペットがペットフードに対して示す嗜好性を意味する。即ち、少なくとも2種の比較対照となるペットフードを同時にペットに与えたとき、当該ペットが任意に選択するペットフードの被選択率で表される。
具体的な評価方法は後述の実施例に記載する。
(2) 前記水分の添加後に得られるフード粒の水分含量が6〜12重量%であることを特徴とする前記(1)に記載のペットフードの製造方法。
(3) 前記焼成に供するフード粒の水分含量が6〜12重量%であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載のペットフードの製造方法。
(4) 前記混合物中に、還元糖およびアミノ酸を含有させることを特徴とする前記(1)〜(3)の何れか一に記載のペットフードの製造方法。
(5) 遠赤外線を用いて、前記焼成を行うことを特徴とする前記(1)〜(4)の何れか一に記載のペットフードの製造方法。
(6) 最短径及び最長径が共に3mm〜30mmの大きさであるフード粒を造粒することを特徴とする前記(1)〜(5)の何れか一に記載のペットフードの製造方法。
(7) 造粒した前記フード粒を焼成前に100〜150℃の温風によって乾燥させることを特徴とする前記(1)〜(6)の何れか一に記載のペットフードの製造方法。
(8) 前記水分の添加後に油脂によりフード粒をコーティングすることを特徴とする前記(1)〜(7)の何れか一に記載のペットフードの製造方法。
(9) 前記(1)〜(8)のいずれか一に記載のペットフードの製造方法によって製造されたペットフード。
本発明の別の側面を以下に示す。
(1) 原材料の混合物を造粒してフード粒を形成すること、前記フード粒を焼成すること、及び前記焼成により得られたフード粒に水分を添加することを含むペットフードの製造方法。
(2) 前記水分の添加後に得られるフード粒の水分含量がフード粒の総重量に対して6〜12重量%である前記(1)に記載のペットフードの製造方法。
(3) 前記焼成に供するフード粒の水分含量がフード粒の総重量に対して6〜12重量%である前記(1)又は(2)に記載のペットフードの製造方法。
(4) 前記原材料の混合物が、還元糖およびアミノ酸を含有する前記(1)〜(3)の何れか一に記載のペットフードの製造方法。
(5) 遠赤外線を照射して、前記焼成を行うことを特徴とする前記(1)〜(4)の何れか一に記載のペットフードの製造方法。
(6) 最短径及び最長径が3mm〜30mmの大きさであるフード粒を造粒することを特徴とする前記(1)〜(5)の何れか一に記載のペットフードの製造方法。
(7) 前記造粒したフード粒を焼成前に100〜150℃の温風によって乾燥させることを更に含む前記(1)〜(6)の何れか一に記載のペットフードの製造方法。
(8) 前記水分の添加後に油脂によりフード粒をコーティングすることを更に含む前記(1)〜(7)の何れか一に記載のペットフードの製造方法。
(9) 前記(1)〜(8)のいずれか一に記載のペットフードの製造方法によって製造されたペットフード。
本発明の第一実施形態は、原材料の混合物からフード粒を造粒し、前記フード粒を焼成して得られたフード粒に水分を添加するペットフードの製造方法である。
第一実施形態のペットフードの製造方法は、原材料の混合物を造粒してフード粒を得る工程(造粒工程)と、造粒した前記フード粒を焼成する工程(焼成工程)と、焼成した前記フード粒に水分を添加する工程(水添加工程)と、を少なくとも含む。
一方、本発明においては、フード粒を焼成することによって、焼成後に得られるフード粒の油含有量が過多になることがない。健康的な量に制限した量の油を添加することができるので、ペットフードの油含有量をより容易に調整することができる。つまり、フード粒を焼成することによって、ペットフードのカロリー等の栄養設計をより容易に行うことができる。また、油中でフライされた従来のフード粒に大量の油が含有されている場合、後述の水添加工程において当該ペットフード粒に水分を添加することが困難になることもある。一方、本発明のペットフードにおいては、焼成されたフード粒の油含有量が過多になることは殆ど無いため、水添加工程において容易に水分を添加することができる。また、フード粒を焼成することにより、ペットフードの風味や食感を向上させることができる。
これらの問題を解決するために、本発明の第一実施形態においては、焼成後のフード粒に水分を添加する。本発明の一つの側面(態様)では、水分添加後の前記フード粒の水分含量はフード粒の総重量に対して6〜12重量%である。本発明の別の側面では、水分添加後の前記フード粒の水分含量はフード粒の総重量に対して7〜11重量%である。本発明の更に別の側面では、水分添加後の前記フード粒の水分含量はフード粒の総重量に対して8〜10重量%である。これらの範囲の水分含量であると、当該ペットフードが焼成前のペットフードの硬さと同等になり、ペットの食い付きを向上させることができる。また、焼成時に生成された香ばしいアロマ成分の揮発が、添加した水分の蒸発によって促されることにより、ペットだけでなくペットの飼い主に対しても本発明の第一実施形態のペットフードがより香ばしい香りを有すると感じさせることができる。
以下、各工程を説明する。
造粒工程は、原材料の混合物を造粒してフード粒を得る工程である。
前記原材料としては、ペットフードの完全な栄養食として一般的に使用されるものが適用できる。前記原材料に含まれる重要な栄養素として、蛋白質及び炭水化物がある。
前記蛋白質としては、植物由来の蛋白質、動物由来の蛋白質又はこれらの混合物が例示できる。具体的には、前記植物由来の蛋白質は、例えばグルテン、小麦蛋白質、大豆蛋白質、米蛋白質、とうもろこし蛋白質等が挙げられる。前記動物由来の蛋白質としては、例えば牛、豚、鶏及び魚介類の筋肉、臓器などの蛋白質、乳の蛋白質又はこれらの混合物が例示できる。これらの蛋白質を含む原材料には、通常、脂肪、ビタミン、鉄分等が含まれうるので、栄養源として使用できる。
前記炭水化物としては、とうもろこし、小麦、大麦、オート麦、米、大豆等の穀物類の炭水化物が好ましいものとして例示できる。これらの穀物類には、炭水化物の他に、蛋白質、灰分、ミネラル、ビタミン等が含まれうるので、栄養源として使用できる。
即ち、本発明で用いる原材料としては、とうもろこし、小麦粉、コーングルテンミール、大豆等の穀物類、牛肉、豚肉、とり肉、チキンミール、ポークミール等の肉類、魚肉、フィッシュミール等の魚介類が挙げられ、これらから適宜選択して配合することができる。前記原材料には、更に、ビタミン、ミネラル、還元糖、アミノ酸、水、植物油、動物油脂、チキンエキス、フィッシュエキス等を添加することができる。
前記還元糖としては、例えば、グルコース、フルクトース、アラビノース等の単糖類、ラクトース、マルトース等の二糖類、その他のオリゴ糖が挙げられる。
前記還元糖の分子量は1000以下であることが多いが、還元糖の一種である異性化糖の中には分子量1000を超える還元糖が含まれることもある。
前記混合物中の還元糖の含有量は特に制限されないが、例えば原材料の混合物の総重量に対して0.1〜5.0重量%の割合で含有させることができる。還元糖は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記混合物中のアミノ酸の含有量は特に制限されないが、例えば原材料の混合物の総重量に対して0.1〜5.0重量%の割合で含有させることができる。
前記混合物は、前記原材料を所望の配合率で混合して得られる。混合時に、水、植物油、動物油脂等を適宜添加してもよい。
原材料の配合の一例を表1に示す。
形状としては、例えば、犬用としては大きさは最短径及び最長径が2mm〜20mmの碁石状であることが好ましく、最短径及び最長径が3mm〜18mmの碁石状であることがより好ましく、最短径及び最長径が4mm〜16mmの碁石状であることが最も好ましい。より好ましくは、最短径が2mm〜10mmかつ最長径が6mm〜20mmの碁石上であり、更に好ましくは、最短径が3mm〜8mmでありかつ最長径が7mm〜18mmの碁石上であり、最短径が4mm〜6mmかつ最長径が8mm〜16mmの碁石上であることが最も好ましい。
また、フード粒の大きさ及び形状は特に制限されないが、例えば、猫用としては大きさは最短径及び最長径が猫用としては1.5mm〜15mmであることがより好ましく、最短径及び最長径が2mm〜12.5mmであることがさらに好ましく、最短径及び最長径が4mm〜10mmであることが最も好ましい。より好ましくは、最短径が1.5mm〜6mmかつ最長径が5mm〜15mmであり、更に好ましくは、最短径が2mm〜5mmでありかつ最長径が6mm〜12.5mmであり、最短径が2.5mm〜4mmであり、最長径が7mm〜10mmであることが最も好ましい。
形状としては、例えば、猫用としては大きさは最短径及び最長径が1.5mm〜15mmの碁石状であることが好ましく、最短径及び最長径が2mm〜12.5mmの碁石状であることがより好ましく、最短径及び最長径が4mm〜10mmの碁石状であることが最も好ましい。より好ましくは、最短径が1.5mm〜6mmかつ最長径が5mm〜15mmの碁石上であり、更に好ましくは、最短径が2mm〜5mmでありかつ最長径が6mm〜12.5mmの碁石上であり、最短径が2.5mm〜4mmかつ最長径が7mm〜10mmの碁石上であることが最も好ましい。この大きさ及び形状であると、加熱の際に内部まで火が通り易い。また、前の造粒後のフード粒の形状は、ペットがそのまま食するには大き過ぎる板状、柱状又はチューブ状であってもよい。この場合、後述の乾燥処理及び焼成工程の何れかの後で、ペットが食し易い形状に小片化することが好ましい。
ここで最長径または最短径とは、例えば、本発明に係るフード粒を水平面上に静置し、前記フード粒の水平方向の大きさ及び鉛直方向の大きさを計測した際に最長又は最短となる値を意味する。
即ち、加熱温度が70〜130℃で加熱時間が1分間〜10分間であることが好ましく、加熱温度が80〜120℃で加熱時間が2分間〜5分間であることがより好ましい。なお、加熱方法は特に限定されないが、例えば、後述の実施例に記載するエクスローダーにて造粒する際にエクスローダー内にて加熱をする。
前記フード粒を乾燥させる方法は特に制限されず、自然に乾燥させる方法、温風を吹き付けて乾燥させる方法、減圧して乾燥させる方法、フリーズドライで乾燥させる方法等の公知の方法が適用可能である。これらの乾燥方法の中でも、温風を吹き付けて乾燥させる方法が、ペットフードの風味をより向上させることができる。
上記温度及び時間が100℃以上及び1分間以上であると、比較的短時間でフード粒を乾燥させることができる。上記温度及び時間が150℃以下及び120分間以下であると、フード粒が過度に加熱されることを防げる。
即ち、乾燥温度が110〜150℃で乾燥時間が5分間〜60分間であることが好ましく、加熱温度が120〜150℃で加熱時間が10分間〜30分間であることがより好ましい。
なお、前記加熱処理の温度と、乾燥処理の温度とは同じであっても異なっていてもよく、前記加熱処理の温度と、前記加熱処理は前記乾燥処理を兼ねることができ、逆に前記乾燥処理は前記加熱処理を兼ねることができる。
フード粒の水分含量を乾燥処理で造粒後より少なくすることにより、後述後述の焼成処理によるフード粒中のピラジン類などのアロマ成分の生成量をより向上させることができる。また、風味や食感を向上させることができる。
造粒した前記フード粒には、焼成前に油脂をコーティングしてもよい。
添加する油脂の材料は特に制限されず、例えば動物性油脂及び植物性油脂が挙げられる。前記動物性油脂としては、例えば牛脂、豚脂、鳥脂、魚脂等が挙げられる。油脂に、チキンエキス(鶏肉由来の抽出物)又はフィッシュエキス(魚肉由来の抽出物)等の公知のミールエキスを加えてもよい。
前記ミートエキスの添加量は前記原材料の配合で例示した範囲であることが好ましい。
即ち、本発明において、「造粒したフード粒に油脂をコーティングする」とは、フード粒の中心部まで油脂を含浸させてもよいし、フード粒の表面に近い浅い領域のみに含浸させてもよい。後述の焼成による加熱効率をより向上させる観点から、フード粒の内部まで油脂を染み込ませることが好ましい。
前記プレコーティング工程と前記乾燥工程と前記加熱工程の順序は、特に制限されないが、いずれの工程も後述の焼成工程の前に行うことが好ましい。
焼成工程は、前記フード粒を焼成する工程である。焼成に供するフード粒は、前記乾燥処理が行われていてもよいし、行われていなくてもよいが、乾燥処理によりフード粒の水分含量がフード粒の総重量に対して6.0〜12.0重量%であることが好ましく、7.0〜11.0重量%であることがより好ましく、8.0〜10.0重量%に減少されていることが最も好ましい。また、焼成に供するフード粒は前記プレコーティング工程において油脂が添加されていてもよいし、油脂が添加されていなくてもよい。 本発明において、「焼成する」とは、フード粒を空気中において高温で短時間に加熱することを意味する。ここで、「高温」とは150℃以上300℃以下のことを意味し、「短時間」とは5〜200秒間以下のことを意味する。
即ち、フード粒を150℃以上300℃以下の雰囲気に5〜200秒間置いて加熱することが好ましく、160℃以上〜230℃以下の雰囲気に5〜200秒間置いて加熱することがより好ましい。
アロマ成分を生成させる温度で焼成することによって、当該フード粒中に、ペットの食いつきを向上させる成分を生成させ得る。また、アロマ成分が香ばしい香りを生じさせ、ペットの食いつきを向上させ得る。
前記ピラジン類をペットフードに含有させることによって、ペットの食いつきを向上させ得る。
焼成温度及び焼成時間としては、例えば、フード粒を250℃以上の雰囲気に5〜200秒間置いて加熱する方法が挙げられる。具体的には、250℃〜380℃の温度範囲で、5〜200秒間の時間範囲で検討することができる。第一の焼成前の前記フード粒が通常の形状及び大きさである場合、例えば下記の焼成温度を例示できる。なお、ここでいう「通常の形状及び大きさ」、即ち「焼成前の前記フード粒が通常の形状及び大きさ」であるとは、形状は、球状、多角体状、柱状、ドーナッツ状、板状又は碁石状等であり、例えば、犬用としては大きさは最短径及び最長径が2mm〜20mmであることがより好ましく、最短径及び最長径が3mm〜18mmであることがさらに好ましく、最短径及び最長径が4mm〜16mmであることが最も好ましい。より好ましくは、最短径が2mm〜10mmかつ最長径が6mm〜20mmであり、更に好ましくは、最短径が3mm〜8mmでありかつ最長径が7mm〜18mmであり、最短径が4mm〜6mmであり、最長径が8mm〜16mmであることが最も好ましい。
形状としては、例えば、犬用としては大きさは最短径及び最長径が2mm〜20mmの碁石状であることが好ましく、最短径及び最長径が3mm〜18mmの碁石状であることがより好ましく、最短径及び最長径が4mm〜16mmの碁石状であることが最も好ましい。より好ましくは、最短径が2mm〜10mmかつ最長径が6mm〜20mmの碁石上であり、更に好ましくは、最短径が3mm〜8mmでありかつ最長径が7mm〜18mmの碁石上であり、最短径が4mm〜6mmかつ最長径が8mm〜16mmの碁石上であることが最も好ましい。
また、フード粒の大きさ及び形状は特に制限されないが、例えば、猫用としては大きさは最短径及び最長径が猫用としては1.5mm〜15mmであることがより好ましく、最短径及び最長径が2mm〜12.5mmであることがさらに好ましく、最短径及び最長径が4mm〜10mmであることが最も好ましい。より好ましくは、最短径が1.5mm〜6mmかつ最長径が5mm〜15mmであり、更に好ましくは、最短径が2mm〜5mmでありかつ最長径が6mm〜12.5mmであり、最短径が2.5mm〜4mmであり、最長径が7mm〜10mmであることが最も好ましい。
形状としては、例えば、猫用としては大きさは最短径及び最長径が1.5mm〜15mmの碁石状であることが好ましく、最短径及び最長径が2mm〜12.5mmの碁石状であることがより好ましく、最短径及び最長径が4mm〜10mmの碁石状であることが最も好ましい。より好ましくは、最短径が1.5mm〜6mmかつ最長径が5mm〜15mmの碁石上であり、更に好ましくは、最短径が2mm〜5mmでありかつ最長径が6mm〜12.5mmの碁石上であり、最短径が2.5mm〜4mmかつ最長径が7mm〜10mmの碁石上であることが最も好ましい。この大きさ及び形状であると、加熱の際に内部まで火が通り易い。また、前の造粒後のフード粒の形状は、ペットがそのまま食するには大き過ぎる板状、柱状又はチューブ状であってもよい。この場合、後述の乾燥処理及び焼成工程の何れかの後で、ペットが食し易い形状に小片化することが好ましい。
上記焼成温度及び焼成時間が250℃以上及び5秒以上であることにより、焼成後に得られるフード粒中にピラジン類及び/又はペットが好む成分(ただし、ピラジン類を除く)をより多く生成できる。上記焼成温度及び焼成時間が380℃以下及び200秒以下であることにより、ペットが嫌う焦げ臭等の原因物質の発生を抑制できる。
遠赤外線を照射してフード粒を焼成する場合は、風味や食感を向上させる観点から、雰囲気温度が160〜230℃となるように遠赤外線を照射して前記フード粒を焼成することが好ましい。
本発明の一つの側面では、前記水分含量はフード粒の総重量に対して2〜6重量%である。本発明の別の側面では、前記水分含量はフード粒の総重量に対して3〜6重量%である。本発明の更に別の側面では、前記水分含量はフード粒の総重量に対して3〜5重量%である。なお、本願明細書の水分含量は後述の方法により測定できる。
焼成して得られたフード粒に水(水分)を添加する。焼成後のフード粒に水分を添加することにより、当該フード粒の硬さが緩和されるので、ペットが当該フード粒を食べ易くすることができる。また、フード粒から水分が蒸発する際にアロマ成分も蒸発し易くなるため、当該アロマ成分によりペットの食欲を向上させ、食いつきを向上させることができる。
上記水分含量は、好ましくは6重量%以上、より好ましくは7重量%以上、更に好ましくは8重量%以上である。これらの好適な範囲であると、フード粒の硬さを充分に緩和し、アロマ成分による食欲増進効果を充分に得られる。上記水分含量がフード粒の全重量に対して12重量%以下であると、カビや微生物の発生を防止することができる。
前記水分含量は、後述する水分含量の測定方法により、対象のフード粒の水分含量を測定することにより適宜調整することができる。
水分を添加して得られた前記フード粒に油脂を添加してもよい。油脂を添加することによって、ペットの食いつきを向上させること及びペットフードのカロリーを必要に応じて高めることができる。
なお、「脂肪」及び「油脂」の主成分は、通常、脂肪酸のグリセリンエステル(「中性脂肪」ということもある。)である。
コーティング工程後のフード粒の水分含量は、当該フード粒の全重量のうち、例えば以下の範囲が挙げられる。
本発明の一つの側面では、前記水分含量は6〜12重量%である。本発明の別の側面では、前記水分含量は7〜11重量%である。本発明の更に別の側面では、前記水分含量は8〜10重量%である。
上記水分含量は、好ましくは6重量%以上、より好ましくは7重量%以上、更に好ましくは8重量%以上である。これらの好適な範囲であると、アロマ成分による食欲増進効果を充分に得られる。
製造過程におけるフード粒および製造後のペットフードの水分含有量は、以下の常圧加熱乾燥法で測定することができる。
(常圧加熱乾燥法)
アルミ秤量缶の重量(以下の式において「W1」と表す。)を恒量値として予め測定する。このアルミ秤量缶に試料を入れて重量(以下の式において「W2」と表す。)を秤量する。つぎに強制循環式の温風乾燥器を使用して、135℃、2時間の条件で試料を乾燥させる。乾燥雰囲気中(シリカゲルデシケーター中)で放冷した後、重量(以下の式において「W3」と表す。)を秤量する。得られた各重量から下記式を用いて水分含有量を求める。
水分(%)=(W2−W3)÷(W2−W1)×100
製造過程におけるフード粒および製造後のペットフードのピラジン類の含有量は、ガスクロマトグラフ−質量分析法によって測定することができる。具体的には、以下の溶媒抽出法によって、測定することが好ましい。
(溶媒抽出法)
ペットフード試料2〜10gに水50ml及びジエチルエーテル20mlを加え浸漬し、氷冷下においてホモジナイザーで攪拌し、塩化ナトリウム20gを加え、10分間の振とう抽出を行った後、2000rpm/分で5分間の遠心分離を行う。ジエチルエーテル層を脱水ろ過し、4mlまで濃縮したものを試験溶液とする。この試験溶液の所定量をガスクロマトグラフ−質量分析計に注入し、ガスクロマトグラムでピラジン類に該当するピークのマススペクトルを得、物質の特定を行う。得られたガスクロマトグラムから、試料中のピラジン類の含有量を算出できる。例えば、焼成処理を行ったフード粒と焼成処理を行っていないフード粒とを各々試料として測定すると、ピラジン類の含有量を測定できる。以下に、好適な条件を示す。
(ガスクロマトグラフ−質量分析計の操作条件)
機種:6890N/5975B inertXL [Agilent Technologies, Inc.]、カラム:DB-WAX [Agilent Technologies, Inc.] φ0.25mm×30m 膜厚0.25μm、注入量:1μl、導入系:スプリット(1:5)、温度:試料注入口220℃ カラム60℃(1分保持)→10℃/分 昇温→220℃、ガス流量:ヘリウム(キャリアーガス)1ml/分、イオン源温度:230℃、イオン化法:EI、設定質量数:m/z=108.42(2,5−DMP及び2,6−DMP)、m/z=122.42(2,3,5−TMP)
製造過程におけるフード粒および製造後のペットフードの脂肪含有量は、以下に説明する酸分解ジエチルエーテル抽出法で測定することができる。
(酸分解ジエチルエーテル抽出法)
分析試料2gを正確に量って100mlのビーカーに入れ、エタノール2mlを加え、ガラス棒で混和して試料を潤した後、28%の塩酸20mlを加えて時計皿で覆い、70〜80℃の水浴中でときどきかき混ぜながら1時間加熱した後放冷する。
先のビーカーの内容物を200mLの分液漏斗Aに入れ、ビーカーをエタノール10ml及びジエチルエーテル25mlで順次洗浄し、洗浄液を分液漏斗Aに合わせて入れる。
更にジエチルエーテル75mlを分液漏斗Aに加え、振り混ぜた後で静置する。ジエチルエーテル層(上層)をピペット等でとり、あらかじめ水20mlを入れた300mlの分液漏斗Bに加える。
分液漏斗Aにジエチルエーテル50mlを加え、同様に2回操作し、各ジエチルエーテル層をピペット等でとり、分液漏斗Bに合わせて入れる。
分液漏斗Bを振り混ぜた後で静置し、水層(下層)を捨てる。更に水20mlを分液漏斗Bに加え、同様に2回操作する。ジエチルエーテル層を、あらかじめ脱脂綿を詰め硫酸ナトリウム(無水)10g以上の適量を入れた漏斗で、脂肪ひょう量瓶又は300mlのなす形フラスコにろ過する。この脂肪ひょう量瓶又はなす形フラスコは、あらかじめ95〜100℃で乾燥し、デシケーター中で放冷した後、重さを正確に量っておいたものを使用する。
次に、脂肪ひょう量瓶を用いた場合はソックスレー抽出器を使用して、なす形フラスコを用いた場合はロータリーエバポレーターを使用して、前記ろ過したジエチルエーテルを回収する。回収したジエチルエーテルを揮散させて、95〜100℃で3時間乾燥し、デシケーター中で放冷した後、重さを正確にはかり、試料中の粗脂肪量を算出する。
本発明の第二実施形態のペットフードは、前述した第一実施形態のペットフードの製造方法によって製造されたペットフードである。
前記ペットフードの水分含有量は、例えば以下の範囲が挙げられる。本発明の一つの側面(態様)では、前記水分含量は6〜12重量%である。本発明の別の側面では、前記水分含量は7〜11重量%である。本発明の更に別の側面では、前記水分含量は8〜10重量%である。
上記水分含量は、好ましくは6重量%以上、より好ましくは7重量%以上、更に好ましくは8重量%以上である。これらの好適な範囲であることにより、ペットフードが極端に固くなったり、形状が保てないほど極端に脆くなったりすることを防ぐことができる。
本発明のペットフードは、種々の動物によって食されるが、ネコ及びイヌによって好まれ、特にイヌに好まれる。
また、本発明に係るペットフードは、水蒸気バリア性のある包装又は容器に収納して販売することが好ましい。製造直後の水分含量とアロマ成分の減少を抑制するためである。
前記水蒸気にバリア性のある包装としては、バリア0ミクロンナイロン15ミクロンとLLDPE40ミクロンを張り合わせた材料及びVMPET12とCPP40を張り合わせた材料の組み合わせからなるバリア材料を包装材料として密閉した形態が挙げられる。
更に、本発明に係るペットフードは、猫または犬などのペットの一回あたりの摂餌量毎、又は前記一回あたりの摂餌量を更に分割した量毎に前記水蒸気バリア性のある包装又は容器に収納されていることが好ましい。前記一回あたりの摂餌量は15〜700gが好ましく、60〜80gがより好ましい。
前記穀類は、とうもろこし、小麦粉、コーングルテンミール、大豆などを含む。前記肉類は、チキンミール、ポークミールなどを含む。前記魚介類は、フィッシュミールなどを含む。前記ビタミン類の他にミネラル類を含んでいても良い。
得られたフード粒を、乾燥機を用いて、100〜105℃の温風で10〜30分の乾燥処理を行い、表4に示す水分含量を有するフード粒を各々得た。
この際、セラミックスヒーターとフード粒との離間距離は約100mmに設定した。なお、炉内の温度(雰囲気温度のことをいう。)は、網から30mm上方且つ網の端から350mm側方且つセラミックスヒーターの中央部から95mm離れた位置に温度計を設置してモニターした。焼成後、炉内から搬出されたフード粒はネットコンベヤーで搬送されている間に空気で自然に冷却した。
製造した各ペットフードの嗜好性を以下の方法で評価した。これらの結果を表5に示す。
実施例1と比較例1のペットフードのうち、どちらの嗜好性が高いかを調べるために、オス及びメスを含む2〜10歳の犬合計10頭()をモニターとして2日間でテストした。
第1日は、各ペットフードのうち、一方を左から、他方を右から、犬1頭に対して230gずつ同時に与え、犬が食べた量を1時間後に測定した。 当該犬1頭が第1日に食べた合計のペットフードの重量のうち、実施例のペットフードの摂食量と比較例のペットフードの摂食量を百分率で求めた。モニターである10頭の犬から得られた百分率を平均して、第1日の結果とした。
第2日は、各ペットフードのうち、一方を右から、他方を左から、犬1頭に対して230gずつ同時に給与し、犬が食べた量を1時間後に測定した。
当該犬1頭が第2日に食べた合計のペットフードの重量のうち、実施例のペットフードの摂食量と比較例のペットフードの摂食量を百分率で求めた。モニターである10頭の犬から得られた百分率を平均して、第2日の結果とした。
最後に、第1日と第2日の結果を平均して、最終結果である摂食量の比率(嗜好性スコア)を求めた。この嗜好性の数値が高い程、モニターである犬が好んで摂食したことを示す。
実施例1のペットフードを実施例2のペットフードに変更し、比較例1を比較例2のペットフードに変更した以外は、テスト1と同様にテストした。その結果を表5に併記する。
Claims (5)
- エクストルーダーを使用して、原材料の混合物を150℃以下の温度で加熱して造粒してフード粒を形成する造粒工程、
フード粒の水分含量がフード粒の全体の質量に対して6〜12重量%となるように前記フード粒を乾燥する乾燥工程、
雰囲気温度が160〜230℃となるように遠赤外線を照射して乾燥した前記フード粒を焼成する焼成工程、及び
前記焼成により得られたフード粒と水とを接触させながら撹拌する水添加工程を含むペットフードの製造方法であって、
前記水添加工程後に得られるフード粒の水分含量がフード粒の全体の質量に対して6〜12重量%であるペットフードの製造方法。 - 前記原材料の混合物が、還元糖およびアミノ酸を含有する請求項1に記載のペットフードの製造方法。
- 最短径及び最長径が3mm〜30mmの大きさであるフード粒を造粒することを特徴とする請求項1又は2に記載のペットフードの製造方法。
- 前記乾燥工程は、前記造粒したフード粒を焼成前に100〜150℃の温風によって乾燥させることを含む請求項1〜3の何れか一項に記載のペットフードの製造方法。
- 前記水添加工程後に油脂によりフード粒をコーティングすることを更に含む請求項1〜4の何れか一項に記載のペットフードの製造方法。
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