JP6380078B2 - 画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents
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Description
このような超微粒子を除去できる画像形成装置として、画像形成装置内において発生した微粒子粉塵を静電的に回収する静電的集塵手段、又はサイクロン方式により捕集するサイクロン集塵手段を備えた画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この画像形成装置は、静電的集塵手段を使用することにより、超微粒子をイオン化させた後に、静電的に捕集でき、また、サイクロン集塵手段を使用することにより、超微粒子を凝集させて捕集できることを開示している。また、特許文献1では、吸着剤を担持するフィルター手段を併用することによって、超微粒子を吸着除去できることも開示している。
また、特許文献2によると、超微粒子化する前のガス状物質を含むガスを通過させることにより、吸着層の活性炭粒子の作用によってガス状物質を吸着し、除去することができ、これによって、超微粒子自体の発生を抑制でき、結果として画像形成装置からの超微粒子の排出を抑制できることを開示している。
また、特許文献2のような、化学吸着剤を用いて、活性炭に化学吸着させてガスを除く方法が提示されているが、発生量に応じて吸着能が下がるため、長期に渉って、超微粒子の発生を抑制することはできない。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.トナー像を坦持する記録材を一対の定着部材によって形成されたニップ部に通しつつ加熱及び加圧する定着処理により、前記トナー像を前記記録材上に定着する定着装置を有する画像形成装置であって、
前記一対の定着部材のうち少なくとも一方は、弾性体により形成されており、前記定着装置近傍の空気を画像形成装置本体外へ排気する排気ダクトと、前記排気ダクト内に空気を吸引する吸気ファンとを備え、
前記排気ダクト内の排気経路に、揮発性化合物及び超微粒子を凝集させる電荷付与材料が設けられていることを特徴とする画像形成装置。
前記一対の定着部材のうち少なくとも一方を、弾性体により形成し、前記定着装置近傍の空気を吸引して排気経路から前記画像形成装置本体外へ排気させ、
前記排気経路に、揮発性化合物及び超微粒子を凝集させる電荷付与材料を設けることを特徴とする画像形成方法。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
本発明では、定着処理時に発生する揮発性化合物及び超微粒子といった物理化学的に濾しにくいものを、電荷付与材料により電荷を与えることで、凝集させ、粒子が大きくなったものを回収することができる。よって、揮発性化合物及び超微粒子が装置外へ排出される排出量を大幅に低減することができ、また、装置が大型化することもなく、簡便かつ安価で、効率よく回収することができる。さらに、装置内に揮発性化合物や超微粒子が漂うことを低減できるため、揮発性化合物及び超微粒子を核に成長した粗大粒子によって画像汚れにつながることも防止することができる。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記電荷付与材料が、触媒作用により電荷を付与する材料から形成されていることが好ましい。
また、前記電荷付与材料の下流側に、さらにろ過フィルターが設けられていることが、電荷付与材料により凝集した揮発性化合物及び超微粒子が確実に回収される点で好ましい。
また、前記電荷付与材料の下流側で、かつ、前記ろ過フィルターの上流側に加湿フィルターが設けられていることが好ましい。電荷付与材料により凝集した揮発性化合物及び超微粒子を加湿することによって、より大きな粒子となり、回収しやすくなる。
さらに、前記弾性体が、シリコーン材料を含む材料により形成されていることが、定着時における耐熱性の点で好ましい。
<本発明の画像形成装置の概要>
本発明の画像形成装置は、定着装置の前記一対の定着部材のうち少なくとも一方は、弾性体により形成されており、定着装置近傍の空気を画像形成装置本体外(本体ケーシング外)へ排気する排気ダクトと、前記排気ダクト内に空気を吸引する吸気ファンとを備え、前記排気ダクト内の排気経路に、揮発性化合物及び超微粒子を凝集させる電荷付与材料が設けられていることを特徴とする。
本発明でいう揮発性化合物とは、定着温度で揮発する揮発性化合物をいう。
また、本発明でいう超微粒子とは、粒子径が100nm未満の粒子をいう。
図1は、本発明の一実施形態のカラータンデム方式の画像形成装置100の概略構成を示している。この画像形成装置は、スキャナ、コピー、プリンタなどの機能を備えた複合機であって、MFP(Multi Function Peripheral)(Multi Function Printer)と呼ばれるものである。
2個のローラー102、106のうち、一方のローラー102は図において左側に配置され、他方のローラー106は図において右側に配置されている。中間転写ベルト108は、これらのローラー102、106によって支持されて矢印X方向に回転駆動される。
具体的には、例えばイエローの画像形成ユニット110Yは、感光体ドラム190と、帯電装置191と、露光装置192と、トナーを用いて現像を行う現像装置193と、クリーナー装置195とを一体にして構成されている。
中間転写ベルト108を挟んで感光体ドラム190と対向する位置に、1次転写ローラー194が設けられている。画像形成時には、まず帯電装置191によって感光体ドラム190の表面が一様に帯電され、続いて、露光装置192によって、図示されない外部装置から入力された画像信号に応じて感光体ドラム190の表面が露光されて、そこに潜像が形成される。次に、現像装置193によって、感光体ドラム190の表面上の潜像が現像されてトナー画像となる。このトナー画像は、感光体ドラム190と1次転写ローラー194との間の電圧印加によって、中間転写ベルト108に転写される。感光体ドラム190の表面上の転写残トナーは、クリーナー装置195によってクリーニングされる。
中間転写ベルト108の右側には、用紙のための搬送路124を挟んで2次転写部材としての2次転写ローラー112が設けられている。搬送路124のうち2次転写ローラー112の上流側に相当する位置に、搬送ローラー120が設けられている。中間転写ベルト108上のトナーパターンを検出するためのトナー濃度センサとしての光学式濃度センサ115が設けられている。
定着装置130は、図1において紙面に対して垂直に延在する一対の定着部材を備えている。一対の定着部材としては、加熱ローラー132と加圧ローラー131である。
加熱ローラー132は、加熱源としてのヒータ133によって所定の目標温度(この例では180〜200℃の範囲内の定着温度)に加熱される。加圧ローラー131は、図示しない、ばねによって加熱ローラー132へ向かって付勢されている。これにより、加圧ローラー131と加熱ローラー132とは定着のためのニップ部を形成している。
トナー像が転写された用紙90がこのニップ部を通ることにより、その用紙90にトナー画像が定着される。加圧ローラー131と加熱ローラー132の温度は、それぞれこの例ではサーミスタからなる温度センサ135,136によって検出される。
給紙カセット116A,116Bにはそれぞれ、用紙を送り出すための給紙ローラー118と、送り出された用紙を検出する給紙センサ117とが設けられている。なお、簡単のため、給紙カセット116Aにのみ用紙90が収容された状態を示している。
一方、既述のように、各画像形成ユニット110Y、110M、110C、110Kによって中間転写ベルト108上に4色のトナー画像が重ねて形成されている。上述のトナー転写位置に送り込まれた用紙90に、この中間転写ベルト108上の4色のトナー画像が、2次転写ローラー112によって転写される。
トナー像が転写された用紙90は、定着装置130の加圧ローラー131と加熱ローラー132とが作るニップ部を通して搬送され、加熱及び加圧を受ける。これにより、その用紙90にトナー画像が定着される。
そして、トナー画像が定着された用紙90は、排紙ローラー121によって、排紙路127を通して本体ケーシング101の上面に設けられた排紙トレイ部122へ排出される。なお、この例では、両面印刷の場合に用紙90を再びトナー転写位置へ送り込むためのスイッチバック搬送路128が設けられている。
図2は、上記画像形成装置100に含まれた定着装置130近傍の一態様を、定着部材としての定着ローラー300(図1中の加熱ローラー132に相当する。)の中心軸Cに沿った方向(−Y方向)から見たところを示している。
ゴム層302の厚さは、0.05〜2mmの範囲内であるのが望ましく、この例では0.2〜0.4mm程度である。
表層303の厚さは、5〜100μmの範囲内であるのが望ましく、この例では30〜40μm程度に設定されている。
電荷付与材料50は、低分子な揮発性有機化合物(VOC)として飛んできた、ガス状物質や、超微粒子に電荷を与えることで凝集させることができる材料のことで、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸グアニジン、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等塩基性塩や、リン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、エリソルビン酸等の酸性塩が好適に用いられる。さらに、荷電制御剤のような材料も好適に用いられ、LR−147(日本カーリット社製)、FCA−207P(藤倉化成社製、スチレンアクリル系ポリマー)などが用いられる。
さらに、それらを担持するのに活性炭を使用しても良く、活性炭に替えて、シリカゲル、活性アルミナ、ゼオライト、イオン交換樹脂、光触媒などの触媒を、1種又は2種以上使用することができる。
電荷付与材料50としては、電子を与えることができる点で酸性化合物を用いることが好ましく、さらに好ましくは、アスコルビン酸を用いることである。また、荷電制御剤として、FCA−207Pを用いることが好ましく、それらを担持するのに活性アルミナを用いることがさらに好ましい。
水平部43内で、電荷付与材料50よりも下流側には、加湿フィルター51が設けられていることが好ましい。
加湿フィルター51は、電荷付与材料50により電荷が付与されて凝集した揮発性化合物及び超微粒子Gを加湿して、凝集した揮発性化合物及び超微粒子Gの粒子を大きくし、より回収しやすくするためのものである。
加湿フィルター51としては、例えば、形状保持部材と吸水・保水繊維材から構成されているものを使用することができる。
形状保持部材としては、例えば、金属ネットからなるものが挙げられ、吸水・保水繊維材としては、例えば、レーヨン又はコットン等からなる不織布を網状又は小格子状に編んだものが挙げられる。そして、形状保持部材と吸水・保水繊維材とが重ね合わされていることが好ましい。これによって、吸水時でも加湿フィルターの形状が歪むことなく、均一に吸水できるようになり、また、防かび効果も得られる。
また、形状保持部材が、硬質プラスチック材からなり、この形状保持部材が吸水・保水繊維材に対して縫製により重ね合わされて一体型に形成してもよい。
さらに、形状保持部材が、網状の硬質プラスチック材からなり、形状保持部材の両面を吸水・保水繊維材で挟み込むように積層して重ね合わされた構造としてもよい。形状保持部材と吸水・保水繊維材とは接着剤により重ね合わせることが好ましい。
また、加湿フィルター51の構造は上記に限らず、適宜変更可能である。
水平部43内で、加湿フィルター51よりも下流側には、ろ過フィルター52が設けられていることが好ましい。
ろ過フィルター52は、電荷付与材料50によって電荷が付与されて凝集し、さらに加湿フィルター51によって粒子が大きくなった揮発性化合物及び超微粒子Gを物理的に捕集するためのものであり、空気Aは通過するようになっている。
ろ過フィルター52としては、例えば不織布、織布、活性炭フィルター等を用いることができる。
そして、排気ダクト40内を流れる揮発性化合物及び超微粒子Gを含んだ空気Aは、この水平部43の途中に設けられた電荷付与材料50によって電荷が付与されて凝集する。その後、凝集した揮発性化合物及び超微粒子Gは、加湿フィルター51によって加湿されて、凝集した粒子が大きくなり、その後、ろ過フィルター52で回収される。このようにして揮発性化合物及び超微粒子Gは、電荷付与材料50によって電荷が付与されて凝集され、その後、ろ過フィルター52で回収されるので、装置内や周囲の環境の汚染を防止することができる。
図2に示す定着装置130において、定着ローラー300のゴム層として、アクリルゴムを使用した。さらに、電荷付与材料50、加湿フィルター51及びろ過フィルター52は設けない構成の画像形成装置〔1〕を用意した。
画像形成装置〔1〕において、定着ローラー300の弾性体の種類、電荷付与材料50の有無及び種類、加湿フィルター51及びろ過フィルター52の有無を、下記表1に示すとおりとした画像形成装置〔2〕〜〔13〕を用意した。なお、ろ過フィルター52としては、一般的な活性炭フィルターを用い、加湿フィルター51としては、一般的な水吸い上げ式不織布フィルターを用いた。
上記画像形成装置〔1〕〜〔13〕を、該画像形成装置を容積1m3のステンレス製チャンバー内に設置し、チャンバー内を67L/minの換気を行うように設定した。チャンバー内を約1時間換気後、10分間プリント動作を行い、プリント動作中に装置から排出される超微粒子及び揮発性化合物をサンプリングした。トナーは、体積平均粒子径が、8μmのものを使用した。
<品質評価>
(超微粒子総数)
チャンバー内に排出された超微粒子GをTSI社製微粒子計測器(型式CPC3007)で連続的に測定した。プリント開始からプリント終了後3換気相当分の時間に観測された粒子径10〜1000nmの範囲内の超微粒子数の総数を測定した。1×107個/mL以上の場合を実用上問題となるレベルとする。
揮発性化合物のサンプリングは、Tenax管(Tenax:登録商標)で100mL/minの吸引速度でチャンバー内の空気を捕獲し、プリント動作の停止後も約2時間連続してサンプリングを行った。Tenax管から捕集した揮発性化合物を加熱脱着装置で脱離させ、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC−MS)にて脱離された揮発性化合物の量を測定した。装置から排出された全揮発性有機化合物量(TVOC)をBlueAngel Mark〔BAM(ドイツ連邦材料研究試験機関)の基準〕のエミッション率の計算式にて算出した。10mg/h以上の場合を実用上問題となるレベルとする。
(画像汚れの数)
10万枚印刷後において、べた画像をJ紙(A4)出力したときに、スポットのように観察できる画像汚れを数えた。1枚当たりの画像汚れが100以上である場合を実用上問題となるレベルとする。
46 吸気ファン
50 電荷付与材料
51 加湿フィルター
52 ろ過フィルター
90 用紙(記録材)
100 画像形成装置
130 定着装置
131 加圧ローラー(定着部材)
132 加熱ローラー(定着部材
300 定着ローラー(定着部材)
G 揮発性化合物及び超微粒子
Claims (7)
- トナー像を坦持する記録材を一対の定着部材によって形成されたニップ部に通しつつ加熱及び加圧する定着処理により、前記トナー像を前記記録材上に定着する定着装置を有する画像形成装置であって、
前記一対の定着部材のうち少なくとも一方は、弾性体により形成されており、前記定着装置近傍の空気を画像形成装置本体外へ排気する排気ダクトと、前記排気ダクト内に空気を吸引する吸気ファンとを備え、
前記排気ダクト内の排気経路に、揮発性化合物及び超微粒子を凝集させる電荷付与材料が設けられていることを特徴とする画像形成装置。 - 前記電荷付与材料が、触媒作用により電荷を付与する材料から形成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記電荷付与材料が、酸性化合物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
- 前記電荷付与材料の下流側に、さらにろ過フィルターが設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の画像形成装置。
- 前記電荷付与材料の下流側で、かつ、前記ろ過フィルターの上流側に加湿フィルターが設けられていることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
- 前記弾性体が、シリコーン材料を含む材料により形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の画像形成装置。
- トナー像を坦持する記録材を一対の定着部材によって形成されたニップ部に通しつつ加熱及び加圧する定着処理により、前記トナー像を前記記録材上に定着する定着装置を有する画像形成装置を用いた画像形成方法であって、
前記一対の定着部材のうち少なくとも一方を、弾性体により形成し、前記定着装置近傍の空気を吸引して排気経路から前記画像形成装置本体外へ排気させ、
前記排気経路に、揮発性化合物及び超微粒子を凝集させる電荷付与材料を設けることを特徴とする画像形成方法。
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