JP6378963B2 - 緩衝器 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば4輪自動車等の車両に搭載され、車両の振動を緩衝するのに好適に用いられる緩衝器に関する。
自動車等の車両は、車体と車輪との間に緩衝器を備えている。この緩衝器は、走行時に発生する振動を緩和するものである。この種の従来技術による緩衝器は、外筒と内筒とを有し、内筒内のピストンに接続されたピストンロッドは、外筒の開口側から外部に突出している。内筒の開口側には、ロッドガイドが設けられ、外筒の開口側には、ピストンロッドとの間をシールするロッドシールが設けられている。ロッドシールを固定する場合、該ロッドシールが変形しないように、ロッドシールと外筒に設けた折曲げ部との間には補強ワッシャが配設されている。
この場合、補強ワッシャを外筒内に円滑に組付けることができるように、この補強ワッシャは外筒に対して同軸に配置する必要がある。そこで、緩衝器には、ロッドシールを形成するゴム材料を利用して環状の突起を設け、この突起によって補強ワッシャを外筒内に案内しつつ、位置合せする構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
実開平4−105648号公報
ところで、特許文献1によるものでは、ロッドシールに設けた環状の突起が、位置合せ用の突起としては高さ寸法が低い上に、弾性を有するゴム材料から形成されている。このため、前記環状の突起は、補強ワッシャを外筒内に必ずしも円滑には案内することができず、作業性が低下するという問題がある。
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、補強ワッシャを安定的に位置合せすることにより、組立作業性を向上できるようにした緩衝器を提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明は、作動流体が封入された外筒と、該外筒の内周側に設けられ該外筒との間に環状のリザーバを形成する内筒と、該内筒内に摺動可能に嵌装されたピストンと、一端側が前記内筒内に挿入されて該ピストンに連結され他端側が前記外筒から外部に突出したピストンロッドと、前記内筒の他端側に設けられ前記ピストンロッドを摺動可能に案内する筒状のロッドガイドと、該ロッドガイドの他端側に配置されて前記外筒内に設けられ前記外筒と前記ピストンロッドとの間をシールするロッドシールと、該ロッドシールとは別体で設けられ、前記外筒の他端側の先端と前記ロッドガイドとの間に前記ロッドシールの外周側を挟むために前記ロッドシールの他端側の面と対面して設けられる補強ワッシャと、該補強ワッシャに向け径方向の内側に折曲げられた折曲げ部とを備えてなる緩衝器において、前記ロッドシールは、径方向の外側に配置され、大径な環状の板状体からなり前記ロッドガイドの他端側の面と対面する環状体と、該環状体の内径側から前記ピストンロッドの軸方向に対して前記ロッドガイドと反対側に向け突する筒部と、該筒部の他端側の先端側に設けられ前記ピストンロッドの外周面に摺接するシール部とにより構成し、前記筒部の前記ピストンロッドの軸方向の長さは、前記補強ワッシャの前記ピストンロッドの軸方向の長さよりも大きく形成されることにより、前記ロッドシールの筒部が、前記補強ワッシャを前記外筒の中心位置に案内し、前記補強ワッシャが前記筒部に外側から嵌合されることを特徴としている。
本発明によれば、補強ワッシャを外筒内に案内しつつ、位置合せすることができ、組立作業性を向上することができる。
本発明の実施の形態による油圧緩衝器を示す縦断面図である。 図1中のa部を拡大して示す要部拡大の縦断面図である。
以下、本発明の実施の形態に係る緩衝器として油圧緩衝器を例に挙げ、図1および図2に従って詳細に説明する。
図1において、1は緩衝器の代表例としての油圧緩衝器を示している。油圧緩衝器1は、外筒2、内筒3、ピストン4、ピストンロッド5、ロッドガイド7、ロッドシール8、補強ワッシャ12、折曲げ部13等を含んで構成されている。
油圧緩衝器1の外殻をなす外筒2は、一端側となる下端側がボトムキャップ(図示せず)によって閉塞された閉塞端となり、他端側となる上端側が開口端となっている。外筒2の先端となる開口端には、この開口端を径方向の内側に折曲げることにより後述の折曲げ部13が一体的に設けられている。外筒2内には、作動流体としての油液が封入されている。作動流体としては、油液(オイル)に限らず、例えば添加剤を混在させた水等を用いることができる。
内筒3は、外筒2内に同軸に設けられ、該内筒3の一端側となる下端側は、ボトムキャップにボトムバルブ(図示せず)を介して嵌合されている。内筒3の他端としての上端には、後述のロッドガイド7が嵌合されている。
ここで、外筒2と内筒3との間には、環状のリザーバAが形成され、このリザーバA内には、前述した油液と共にガスが封入されている。このガスは、大気圧状態の空気であってもよく、また圧縮された窒素ガス等の気体を用いてもよい。リザーバA内のガスは、ピストンロッド5の縮小(縮み行程)時に当該ピストンロッド5の進入体積分を補償すべく圧縮される。
ピストン4は、内筒3内に摺動可能に嵌装されている。このピストン4は、内筒3内をボトム側油室Bとロッド側油室Cとの2室に区画している。また、ピストン4には、ボトム側油室Bとロッド側油室Cとを連通可能な油路4A,4Bが形成されている。
さらに、ピストン4の上端面には、ピストンロッド5の縮小によってピストン4が下向きに摺動変位するときに、油路4Aを流通する油液に抵抗力を与えて所定の減衰力を発生する縮小側のディスクバルブ4Cが配設されている。一方、ピストン4の下端面には、ピストンロッド5の伸長によってピストン4が上向きに摺動変位するときに、油路4Bを流通する油液に抵抗力を与えて所定の減衰力を発生する伸長側のディスクバルブ4Dが配設されている。
ピストンロッド5は、その一端側となる下端側がピストン4に連結されている。即ち、ピストンロッド5は、下端側が内筒3内に挿入され、ナット6等によってピストン4の中央位置に固着されている。一方、ピストンロッド5の他端側となる上端側は、ロッドガイド7等を介して外筒2、内筒3の外部へと伸長、縮小可能に突出している。さらに、ピストンロッド5の外周面5Aには、後述するロッドシール8のシール部8Dが気液密に摺接するようになっている。
ロッドガイド7は、段付円筒状に形成され、外筒2の上端側に嵌合されると共に、内筒3に対しても嵌合して固定されている。これにより、ロッドガイド7は、内筒3の上側部分を外筒2と同軸位置に位置決めすると共に、内周側でピストンロッド5を軸方向へと摺動可能に案内している。さらに、ロッドガイド7は、ロッドシール8、補強ワッシャ12を外筒2に設けた折曲げ部13により外側(上側)から押圧して固定(所謂、かしめ固定)するときに、これらを内側(下側)から支持する支持構造物を構成している。
ロッドガイド7は、例えば金属材料、硬質な樹脂材料等を用いて所定の形状に形成されている。即ち、ロッドガイド7は、上側に位置して外筒2の内周側に挿嵌される大径部7Aと、該大径部7Aの下側に位置して内筒3の内周側に挿嵌される小径部7Bとにより段付円筒体として形成されている。小径部7Bの内周側には、ピストンロッド5を軸方向に摺動可能に案内するガイド部7Cが設けられている。このガイド部7Cは、例えば金属製筒体の内周面をフッ素系樹脂(4フッ化エチレン)等で被覆した軸受として形成されている。
ロッドシール8と軸方向(上,下方向)で対向する大径部7Aの上側は、円環状をしたほぼ平坦な上面部位7Dとなっている。上面部位7Dの外周側には、円環状の環状突起7Eが形成され、大径部7Aには、該環状突起7Eの位置に複数本の連通路7F(1本のみ図示)が軸方向に貫通して形成されている。これにより、連通路7Fは、リザーバAと後述の保油室Dとを連通することができる。
次に、本実施の形態の特徴部分となるロッドシール8、補強ワッシャ12等の構成について述べる。
まず、ロッドシール8は、ロッドガイド7の上面部位7Dの上側に位置して外筒2内に設けられている。このロッドシール8は、後述のシール部8Dがピストンロッド5の外周面5Aに摺接することにより、内部の油液が外部に流出しないように、また外部の塵埃、雨水等が内部に流入しないように、ピストンロッド5との間をシールするものである。
ロッドシール8は、外筒2内の上端側にロッドガイド7、補強ワッシャ12と一緒に折曲げ部13によって固定されている。そして、ロッドシール8は、図2に示すように、金属製の円板体を段付状に成形してなる芯金9に、弾性を有するゴム材料を被覆することにより形成されている。
ロッドガイド7の上面部位7Dとロッドシール8との間には、環状の保油室Dが設けられている。保油室Dは、ロッド側油室C内の油液やガスがピストンロッド5とロッドガイド7との僅かな隙間を介して流出したときに、この流出した油液等を一時的に溜めるための空間をなしている。ここで、保油室Dに流出した油液は、ロッドガイド7の連通路7Fを通じてリザーバAに戻すことができる。
ロッドシール8は、径方向の外側に配置されロッドガイド7の上面部位7Dに対面する大径な環状の板状体からなる大径環状体8Aと、該大径環状体8Aの内径側からロッドガイド7と反対側(上側)に向け軸方向に突出した筒部としての円筒部8Bと、該円筒部8Bの上部から径方向の内側に屈曲して延びた小径な環状の板状体からなる小径環状体8Cと、該小径環状体8Cの内径側に設けられピストンロッド5の外周面5Aに気液密に摺接するシール部8Dとにより構成されている。
ここで、本実施の形態によるロッドシール8は、シール部8Dを、円筒部8Bの先端側に位置する小径環状体8Cに設けているが、小径環状体8Cを省略して円筒部8Bの先端側にシール部を設ける構成とすることもできる。
シール部8Dには、小径環状体8Cから上側に突出した部位に上側リップ部8D1が設けられ、小径環状体8Cから下側に入り込んだ部位に上,下に離間して2つの下側リップ部8D2,8D3が設けられている。この場合、ロッドシール8は、上側リップ部8D1をリング状の押えばね8D4によってピストンロッド5の外周面5Aに押付け、下側リップ部8D2,8D3を押えばね8D5によってピストンロッド5の外周面5Aに押付けている。これにより、各リップ部8D1〜8D3は、外筒2とピストンロッド5との間を気液密にシールしている。
このように、ロッドシール8は、円筒部8Bの先端側にシール部8Dを設ける構成としている。これにより、シール部8Dは、円筒部8Bの長さ寸法(軸方向寸法)の分だけロッドガイド7から離れた位置に配置することができる。即ち、ロッド側油室Cからピストンロッド5とロッドガイド7との隙間を通じて後述の保油室Dに油液等が流出した場合でも、下側リップ部8D3等は、前記隙間から流出する油液等が直接的に衝突することがないような位置に配置することができる。
従って、保油室Dに流出した油液に微小な金属片、砂粒等の異物が混入している場合でも、この異物からシール部8Dの下側リップ部8D2,8D3を保護することができる。
ここで、ロッドシール8の円筒部8Bは、シール部8Dを取囲む円筒体として形成されている。円筒部8Bは、自由状態における外周面8B1の位置での外径寸法が、後述する補強ワッシャ12の内径寸法よりも僅かに大きな寸法に設定されている。この場合、円筒部8Bの外周面8B1は、弾性を有するゴム材料から形成されているから、このゴム材料の部分を弾性変形させることにより、補強ワッシャ12を円筒部8Bに外側から嵌合することができる。これにより、ロッドシール8の円筒部8Bには、補強ワッシャ12を径方向の締め代をもって嵌合することができ、この状態では補強ワッシャ12を外筒2内に案内することができる。
ロッドシール8を構成する芯金9は、ロッドシール8の大径環状体8A、円筒部8Bおよび小径環状体8Cに対応して断面L字状または断面クランク状に折曲げられて形成されている。即ち、芯金9は、ロッドシール8の大径環状体8A内に埋設された大径板部9Aと、該大径板部9Aの内径側からロッドガイド7とは反対側に突出するように折曲げられロッドシール8の円筒部8B内に埋設された筒部9Bと、該筒部9Bの突出端(先端)側から径方向の内向きに折曲げられロッドシール8の小径環状体8C内に埋設された小径板部9Cとを含んで構成されている。これにより、芯金9は、ロッドシール8を構成するゴム材料によって全体的に覆われている。
一方、リップシール10は、ロッドシール8の大径環状体8Aの下面に一体的に形成されている。このリップシール10は、ロッドシール8に用いられたゴム材料と同様のゴム材料からなり、大径環状体8Aの下面から下側に向け径方向の外側に拡開するように延び、その先端部がロッドガイド7の上面部位7Dに当接している。
そして、リップシール10は、保油室DとリザーバAとの間に配置され、前記保油室Dの油液がロッドガイド7の連通路7Fを通じてリザーバA内に流通するのを許し、逆向きの流れ、即ち、リザーバA内のガス、油液が保油室D側に流れるのを阻止するものである。
シールリング11は、ロッドシール8の大径環状体8Aの外周に一体的に形成されている。このシールリング11は、リザーバA内のガス、油液が外筒2とロッドシール8との間から外部に漏出するのを防止するものである。
次に、補強ワッシャ12は、ロッドガイド7との間にロッドシール8の外周側を挟むように、該ロッドシール8に対面して設けられている。具体的には、補強ワッシャ12は、外筒2に設けられた後述の折曲げ部13でロッドシール8を固定するときに、集中的な押圧力でロッドシール8が変形しないように補強するもので、環状の円板体として形成されている。
補強ワッシャ12は、長方形状の断面を有し、ロッドシール8の大径環状体8Aと当接する下面12Aと、該下面12Aの反対側に位置する上面12Bと、外周側に位置して前記下面12Aと上面12Bとの間に設けられた円形状の外周面12Cと、内周側に位置して前記下面12Aと上面12Bとの間に設けられた円形状の内周面12Dとを備えている。
ここで、補強ワッシャ12の内径寸法、即ち、内周面12Dの直径寸法は、ロッドシール8の円筒部8Bの外径寸法よりも僅かに小さな寸法に設定されている。この場合、円筒部8Bの表面は、弾性を有するゴム材料となっているから、ゴム材料を弾性変形させることで、補強ワッシャ12の内周面12Dを円筒部8Bに締め代をもって外側から嵌合(外嵌)させることができる。そして、補強ワッシャ12をロッドシール8に外嵌させた状態では、ロッドシール8と補強ワッシャ12を同軸に配置することができ、補強ワッシャ12を外筒2の中心位置に案内することができる。
さらに、補強ワッシャ12は、当該補強ワッシャ12の厚さ寸法と比較して数倍以上となる大きな軸方向寸法をもったロッドシール8の円筒部8Bに嵌合させているから、補強ワッシャ12の内周面12Dを、円筒部8Bの外周面8B1に安定的に嵌合させることができる。従って、補強ワッシャ12をロッドシール8の円筒部8Bに嵌合させることにより、補強ワッシャ12を外筒2の中心位置に確実に案内することができ、油圧緩衝器1を組立てるときの作業性を向上することができる。
しかも、補強ワッシャ12には、ロッドシール8の円筒部8Bと接する内径側の角隅部、即ち、下面12A、上面12Bと内周面12Dとの間の角隅部に面取り部12Eが形成されている。この位置に面取り部12Eを設けたことにより、補強ワッシャ12をロッドシール8の円筒部8Bに外嵌させるときには、補強ワッシャ12を円筒部8Bに対して円滑に挿嵌することができる。なお、面取り部12Eは、45度の角面取りとして図示したが、円弧状の丸面取りとして形成してもよい。
折曲げ部13は、外筒2の他端側となる開口端側の先端に設けられている。この折曲げ部13は、補強ワッシャ12に向け径方向の内側に折曲げられる(かしめ加工される)ことにより、外筒2の開口端側に配設されるロッドシール8および補強ワッシャ12を、ロッドガイド7との間に挟んで固定するものである。
本実施の形態による油圧緩衝器1は、上述の如き構成を有するもので、外筒2の上端側に、折曲げ部13によってロッドガイド7、ロッドシール8および補強ワッシャ12を固定するときの手順の一例について述べる。
まず、ロッドガイド7のガイド部7C内にピストンロッド5を挿通させつつ、大径部7Aを外筒2に圧入し、小径部7Bを内筒3に圧入する。続いて、ロッドシール8のシール部8D内にピストンロッド5を挿通させつつ、ロッドシール8の大径環状体8Aをロッドガイド7の環状突起7Eに当接させる。
このように、外筒2内にロッドガイド7とロッドシール8を組付けたら、ロッドシール8が折曲げ部13による負荷によって変形しないように、該ロッドシール8と対面した状態で補強ワッシャ12を配置する。この場合、ロッドシール8は、ピストンロッド5を中心に配置されているから、外筒2に対しても同軸位置に配置されている。そこで、補強ワッシャ12を組付けるときに、その内周面12Dをロッドシール8の円筒部8Bの外周面8B1に締め代をもって外側から嵌合することにより、補強ワッシャ12を外筒2内へと斜めに傾くことなく案内することができ、容易に組付けることができる。しかも、補強ワッシャ12には、ロッドシール8の円筒部8Bと接する内径側に面取り部12Eを形成しているから、補強ワッシャ12を円筒部8Bに対して円滑に挿嵌することができる。
外筒2内にロッドガイド7、ロッドシール8および補強ワッシャ12を組付けたら、これらを上側から押えつつ、外筒2の上端部を径方向の内側に折曲げることにより、ロッドガイド7、ロッドシール8および補強ワッシャ12を折曲げ部13によってかしめ固定することができる。
次に、油圧緩衝器1を組立てたら、ピストンロッド5の上端側を自動車の車体側に取付け、外筒2の下端側を車軸(いずれも図示せず)側に取付ける。これにより、自動車の走行時に振動が発生した場合には、ピストンロッド5が外筒2、内筒3から軸方向に縮小,伸長するときに、ピストン4のディスクバルブ4C,4D等によって縮小側,伸長側の減衰力が発生され、車両の上,下振動を減衰するように緩衝することができる。
ここで、ピストンロッド5が伸長行程にある場合には、ロッド側油室C内が高圧状態となるから、ロッド側油室C内の圧油がディスクバルブ4Dを介してボトム側油室B内へと流通し、伸長側の減衰力が発生する。そして、内筒3から進出したピストンロッド5の進出体積分に相当する分量の油液が、リザーバA内からボトムバルブ(図示せず)を介してボトム側油室B内に流入する。このとき、ロッド側油室C内が高圧状態となるから、ロッド側油室C内の油液の一部は、例えばピストンロッド5とロッドガイド7のガイド部7Cとの隙間を介して保油室D内に流出することがある。
この場合、保油室Dに流出する油液には、微小な金属片、砂粒等が混入していることがある。従って、この油液がロッドシール8のシール部8Dに掛かると、金属片、砂粒等によって各下側リップ部8D2,8D3が損傷する虞がある。しかし、ロッドシール8は、シール部8Dを円筒部8Bの長さ寸法の分だけロッドガイド7から離れた位置に配置しているから、各下側リップ部8D2,8D3を油液が掛かり難い位置に配置することができる。これにより、シール部8Dの下側リップ部8D2,8D3を異物から保護することができる。
かくして、本実施の形態によれば、ロッドシール8を、径方向の外側に配置されロッドガイド7の上面部位7Dと対面する大径環状体8Aと、該大径環状体8Aの内径側からロッドガイド7と反対側となる軸方向の上側に突出した円筒部8Bと、該円筒部8Bの上端部から径方向の内側に屈曲して延びた小径環状体8Cと、該小径環状体8Cの内径側に設けられピストンロッド5の外周面5Aに気液密に摺接するシール部8Dとにより構成している。この上で、ロッドシール8の円筒部8Bは、補強ワッシャ12が外側から嵌合されることにより、該補強ワッシャ12を外筒2内に案内する構成としている。
この場合、ロッドシール8の円筒部8B(芯金9の筒部9B)は、補強ワッシャ12の厚さ寸法と比較して数倍以上となる大きな軸方向寸法を有しているから、補強ワッシャ12をロッドシール8の円筒部8Bに対して斜めに傾くことなく安定的に嵌合させることができる。
この結果、補強ワッシャ12の内周面12Dをロッドシール8の円筒部8Bの外周面8B1に嵌合させることにより、補強ワッシャ12を外筒2の中心位置に確実に案内しつつ、位置合せすることができる。これにより、油圧緩衝器1を組立てるときの作業性を向上することができる。
しかも、ロッドシール8は、シール部8Dを円筒部8Bの長さ寸法の分だけロッドガイド7から離れた位置に配置したことにより、油液に含まれる金属片等の異物からシール部8Dの各下側リップ部8D2,8D3を保護することができ、ロッドシール8の耐久性を向上することができる。
また、補強ワッシャ12は、ロッドシール8の円筒部8Bに対し、径方向の締め代をもって外側から嵌合させる構成としている。これにより、補強ワッシャ12をロッドシール8の円筒部8Bに安定的に嵌合させることができる上に、補強ワッシャ12を外筒2の中心位置に正確に案内することができる。
さらに、補強ワッシャ12には、ロッドシール8の円筒部8Bと接する内周面12D側の角隅部に面取り部12Eを形成している。従って、ロッドシール8の円筒部8Bと接する位置に面取り部12Eを設けたことにより、補強ワッシャ12をロッドシール8の円筒部8Bに外嵌させるときには、補強ワッシャ12を円筒部8Bの外周面8B1に対して円滑に挿嵌することができ、組立作業性を向上することができる。
なお、実施の形態では、油圧緩衝器1を4輪自動車の各車輪側に取付ける場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば2輪車に用いる油圧緩衝器であってもよく、車以外の種々の機械、建築物等に用いる緩衝器に用いてもよいものである。
また、実施の形態では、ロッドシール8の大径環状体8A、円筒部8Bおよび小径環状体8Cにより、芯金9の大径板部9A、筒部9Bおよび小径板部9Cを外側から全体的に覆う構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば芯金9の大径板部9A、筒部9Bおよび小径板部9Cをロッドシールによるゴム材料により外側から部分的に覆う構成としてもよいものである。
次に、前記実施の形態に含まれる発明について記載する。本発明によれば、補強ワッシャは、ロッドシールの筒部に対し、径方向の締め代をもって外側から嵌合する構成としてなる。これにより、補強ワッシャをロッドシールの筒部に安定的に嵌合させることができる上に、補強ワッシャを外筒の中心位置に正確に案内することができる。
また、補強ワッシャには、ロッドシールの筒部と接する内径側の角隅部に面取り部を形成する構成としている。これにより、補強ワッシャをロッドシールの筒部に対して円滑に挿嵌することができ、組立作業性を向上することができる。
1 油圧緩衝器(緩衝器)
2 外筒
3 内筒
4 ピストン
5 ピストンロッド
5A,8B1 外周面
7 ロッドガイド
8 ロッドシール
8A 大径環状体(環状体)
8B 円筒部(筒部)
8C 小径環状体
8D シール部
12 補強ワッシャ
12A 下面
12B 上面
12C 外周面
12D 内周面
12E 面取り部
13 折曲げ部
A リザーバ

Claims (3)

  1. 作動流体が封入された外筒と、
    該外筒の内周側に設けられ該外筒との間に環状のリザーバを形成する内筒と、
    該内筒内に摺動可能に嵌装されたピストンと、
    一端側が前記内筒内に挿入されて該ピストンに連結され他端側が前記外筒から外部に突出したピストンロッドと、
    前記内筒の他端側に設けられ前記ピストンロッドを摺動可能に案内する筒状のロッドガイドと、
    該ロッドガイドの他端側に配置されて前記外筒内に設けられ前記外筒と前記ピストンロッドとの間をシールするロッドシールと、
    該ロッドシールとは別体で設けられ、前記外筒の他端側の先端と前記ロッドガイドとの間に前記ロッドシールの外周側を挟むために前記ロッドシールの他端側の面と対面して設けられ補強ワッシャと、
    補強ワッシャに向け径方向の内側に折曲げられた折曲げ部とを備えてなる緩衝器において、
    前記ロッドシールは、径方向の外側に配置され、大径な環状の板状体からなり前記ロッドガイドの他端側の面と対面する環状体と、該環状体の内径側から前記ピストンロッドの軸方向に対して前記ロッドガイドと反対側に向け突する筒部と、該筒部の他端側の先端側に設けられ前記ピストンロッドの外周面に摺接するシール部とにより構成し、
    前記筒部の前記ピストンロッドの軸方向の長さは、前記補強ワッシャの前記ピストンロッドの軸方向の長さよりも大きく形成されることにより、前記ロッドシールの筒部が、前記補強ワッシャを前記外筒の中心位置に案内し、前記補強ワッシャが前記筒部に外側から嵌合されることを特徴とする緩衝器。
  2. 前記補強ワッシャの内径は、前記ロッドシールの筒部に対し、径方向締め代をもって外側から嵌合する構成としてなる請求項1に記載の緩衝器。
  3. 前記補強ワッシャには、前記ロッドシールの筒部と接する内径側の角隅部に面取り部を形成する構成としてなる請求項1または2に記載の緩衝器。
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