WO2017090476A1

WO2017090476A1 - シリンダ装置

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Publication number: WO2017090476A1
Application number: PCT/JP2016/083685
Authority: WO
Inventors: 照章山中
Original assignee: 日立オートモティブシステムズ株式会社
Priority date: 2015-11-26
Filing date: 2016-11-14
Publication date: 2017-06-01

Abstract

油圧緩衝器（１）は、作動流体が封入される内筒（５）と、該内筒（５）の外周側に設けられる外筒（２）と、内筒（５）内に挿入されるピストン（７）と、ピストン（７）に連結されるピストンロッド（６）と、外筒（２）のピストンロッド（６）が突出する端部に嵌合されるバンプキャップ（１２）と、を含んで構成する。外筒（２）の外周側には、ストレート部（２Ｂ）とテーパ部（２Ｃ）とを設ける。一方、バンプキャップ（１２）の内周側には、ストレート部（２Ｂ）に沿って圧入される圧入部（１２Ｃ）と、テーパ部（２Ｃ）と離間するように形成されるテーパ逃げ部（１２Ｄ）とを設ける。

Description

シリンダ装置

　本発明は、例えば４輪自動車等の車両に搭載され、車両の振動を緩衝するのに好適に用いられるシリンダ装置に関する。

　一般に、４輪自動車等の車両には、各車輪（車軸側）と車体との間にシリンダ装置としての油圧緩衝器が設けられ、車両の振動を緩衝するようにしている（例えば、特許文献１参照）。この種の従来技術による油圧緩衝器には、ピストンロッドの縮小行程でピストンロッドの突出端側に設けられたバンプラバーに当接して、油圧緩衝器の底付時の衝撃を緩和するバンプキャップが設けられている。

特開２００８－８２４８１号公報

　ところで、特許文献１による油圧緩衝器は、油圧緩衝器の外筒のバンプキャップ側を小径化して、バンプキャップを嵌合している。この場合、バンプキャップを取付けるための別部品を用いないので簡易な構成とすることができる。しかしながら、外筒の径方向寸法を小径化しているので、リザーバ室の容積が小さくなってしまうという問題がある。

　本発明は、上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、バンプキャップの外筒に対する保持力を確保しつつ、リザーバ室の容積を確保することができるようにしたシリンダ装置を提供することにある。

　上述した課題を解決するために本発明によるシリンダ装置は、作動流体が封入されたシリンダと、前記シリンダ内に挿入されたピストンと、前記ピストンに連結されて前記シリンダの外部に延出されたピストンロッドと、前記シリンダの外周に設けられた外筒と、前記外筒の前記ピストンロッドが突出する端部の外周に嵌合される有底円筒状のバンプキャップと、を有するシリンダ装置であって、前記外筒の外周側には、前記端部側にストレート部と、該ストレート部よりも前記端部側から軸方向に離間する位置にテーパ部と、が形成され、前記ストレート部および前記テーパ部は他の部分よりも小径となるように構成し、前記バンプキャップの内周側には、前記ストレート部に沿って圧入される圧入部が形成され、前記バンプキャップは、前記ストレート部と前記テーパ部とを覆っていることを特徴としている。

　この構成によれば、バンプキャップの外筒に対する保持力を確保しつつ、リザーバ室の容積を確保することができる。

本発明の実施の形態によるシリンダ装置を示す縦断面図である。図１中のバンプキャップを外筒の上端側に嵌合する工程を示す断面図である。バンプキャップにダストブーツを取付けた状態を示す断面図である。変形例によるバンプキャップを単体で示す断面図である。

　以下、本発明の実施の形態に係るシリンダ装置を、車両用の油圧緩衝器に適用した場合を例に挙げて、図１ないし図３に従って詳細に説明する。

　図１において、シリンダ装置としての油圧緩衝器１は、その外殻をなす筒状の外筒２、内筒５、ピストンロッド６、ピストン７、ロッドガイド８、ストッパ１０およびバンプキャップ１２を含んで構成されている。

　油圧緩衝器１の外筒２は、後述の内筒５の外周に設けられている。外筒２の一端側としての基端側（図１中の下端）がボトムキャップ（図示せず）によって閉塞された閉塞端となり、他端側としての先端側（図１中の上端）は開口端となっている。外筒２の開口端（先端）側には、径方向内側に屈曲して形成されたかしめ部２Ａが設けられ、該かしめ部２Ａは、外筒２の開口端側を閉塞する蓋体３を抜止め状態で保持している。このかしめ部２Ａは、外筒２のピストンロッド６が突出する側（突出端側）の端部を構成している。

　また、外筒２の開口端側外周には、かしめ部２Ａの下側となる位置にストレート部２Ｂとテーパ部２Ｃとが設けられている。即ち、ストレート部２Ｂは外筒２のかしめ部２Ａ側に位置し、テーパ部２Ｃは、かしめ部２Ａ側から軸方向下側に離間する位置に設けられている。このストレート部２Ｂおよびテーパ部２Ｃは、例えばスウェジ加工により、外筒２の他の部分（テーパ部２Ｃよりも下側の部分）よりも小径となるように形成されている。ストレート部２Ｂには、後述のバンプキャップ１２の圧入部１２Ｃが圧入して嵌合されている。一方、テーパ部２Ｃの外周側は、バンプキャップ１２のテーパ逃げ部１２Ｄにより径方向外側から覆われている。

　環状円板からなる蓋体３は、外筒２の開口端（先端）側を閉塞するため後述のロッドガイド８に当接した状態で、その外周側が外筒２のかしめ部２Ａにより固定されている。蓋体３の内周側には、弾性材料からなるロッドシール４が取付けられ、該ロッドシール４は、後述のピストンロッド６と蓋体３との間をシールしている。

　ここで、ロッドシール４には、下面側にロッドガイド８と接触するように延びる逆止弁４Ａが一体に形成されている。この逆止弁４Ａは、後述の油溜め室８Ｃとリザーバ室Ａとの間に配置されている。逆止弁４は、油溜め室８Ｃ内の油液等がロッドガイド８の連通路８Ｄを介してリザーバ室Ａ側に向け流通するのを許し、逆向きの流れを阻止するものである。なお、この場合、例えば逆止弁をロッドシールとは別部材により形成する構成としてもよい。

　シリンダとしての内筒５は、外筒２内に同軸をなして設けられている。内筒５の一端（基端）側は、ボトムキャップ側にボトムバルブ（図示せず）を介して嵌合、固定されている。内筒５の他端（先端）側である開口端側内周には、後述のロッドガイド８が嵌合して取付けられている。内筒５内には、油液を含んだ作動流体が封入されている。作動流体には、油液（オイル）に限らず、例えば添加剤を混在させた水等を用いることができる。

　内筒５と外筒２との間には環状のリザーバ室Ａが形成され、このリザーバ室Ａ内には、前記油液と共にガスが封入されている。このガスは、大気圧状態の空気であってもよく、また圧縮された窒素ガス等の気体を用いてもよい。リザーバ室Ａ内のガスは、ピストンロッド６の縮小時（縮み行程）に当該ピストンロッド６の進入体積分を補償すべく圧縮される。

　ピストンロッド６は、基端側が内筒５内に挿入され、先端側が後述のロッドガイド８、蓋体３等を介して内筒５の外部へと伸縮可能に突出（延出）している。ピストンロッド６の基端側には、後述のピストン７が連結されている。また、ピストンロッド６には、ピストン７の取付位置から予め決められた寸法だけ上方に離間した位置に、環状溝６Ａが設けられている。この環状溝６Ａには、後述のストッパ１０が嵌合して固定されている。

　ピストン７は、ピストンロッド６の基端側に設けられ、内筒５内に摺動可能に嵌装（挿入）されている。このピストン７は、内筒５内を下側のボトム側室Ｂと上側のロッド側室Ｃとの２室に画成している。また、ピストン７には、ボトム側室Ｂとロッド側室Ｃとを連通可能な油路７Ａ，７Ｂが形成されている。さらに、ピストン７の上面側には、ピストンロッド６が縮小方向に摺動変位するときに、油路７Ａを流通する油液に抵抗力を与えて所定の減衰力を発生する縮小側のディスクバルブ７Ｃが配設されている。一方、ピストン７の下面側には、ピストンロッド６が伸長方向に摺動変位するときに、油路７Ｂを流通する油液に抵抗力を与えて所定の減衰力を発生する伸長側のディスクバルブ７Ｄが配設されている。

　ロッドガイド８は、外筒２の開口端側に嵌合されると共に、内筒５の開口端側にも固定して設けられている。これにより、ロッドガイド８は、内筒５の開口端側を外筒２と同軸となるように位置決めすると共に、その内周側でピストンロッド６を軸方向へと摺動可能に案内（ガイド）するものである。また、ロッドガイド８は、蓋体３を外筒２のかしめ部２Ａにより外側からかしめ固定するときに、該蓋体３を内側（軸方向下側）から支持する支持構造物を構成している。

　ロッドガイド８は、例えば金属材料、硬質な樹脂材料等に成型加工、切削加工等を施すことにより段付筒状体として形成されている。即ち、図１に示すように、ロッドガイド８は、上側に位置して外筒２の内周側に挿嵌される大径部８Ａと、該大径部８Ａの下側に位置して内筒５の内周側に挿嵌される小径部８Ｂとにより段付円筒状に形成されている。この小径部８Ｂの内周側には、ピストンロッド６を軸方向に摺動可能に案内するガイド部９が設けられている。このガイド部９は、例えば金属製筒体の内周面をフッ素系樹脂（４フッ化エチレン）等で被覆した摺動筒体として構成されている。

　また、ロッドガイド８の大径部８Ａには、蓋体３と対向する大径部８Ａの上面側に環状の油溜め室８Ｃが設けられている。この油溜め室８Ｃは、ロッドシール４及びピストンロッド６を径方向外側から取囲む環状の空間部として形成されている。そして、油溜め室８Ｃは、ロッド側室Ｃ内の油液（または、この油液中に混入したガス）がピストンロッド６とガイド部９との僅かな隙間等を介して漏出したときに、この漏出した油液等を一時的に溜めるための空間を提供するものである。

　さらに、ロッドガイド８の大径部８Ａには、外筒２側のリザーバ室Ａに常時連通した連通路８Ｄが設けられている。この連通路８Ｄは、前記油溜め室８Ｃに溜められた油液（ガスを含む）を外筒２側のリザーバ室Ａへと導くものである。

　ストッパ１０は、ピストン７とロッドガイド８との間に位置して、ピストンロッド６の外周側に設けられている。このストッパ１０は、ピストンロッド６が外筒２及び内筒５から大きく突出するように伸長して伸び切り位置に達したときに、クッション作用を発揮してピストンロッド６の伸長動作を停止させ、所謂伸び切り防止を行うものである。

　スプリングシート１１は、外筒２の外周側に挿入され、溶接等の手段を用いて外筒２に位置決めされている。このスプリングシート１１は、ピストンロッド６の突出端側との間で、ピストンロッド６を伸長側に常時付勢する懸架ばね（図示せず）を支持するものである。

　バンプキャップ１２は、外筒２の開口端側に位置して、かしめ部２Ａの外周に設けられている。具体的には、バンプキャップ１２は、外筒２のストレート部２Ｂとテーパ部２Ｃとを覆って設けられている。バンプキャップ１２は、例えば樹脂材料を成形加工することにより、有底円筒状（有蓋円筒状）に形成されている。このバンプキャップ１２は、その内周側にピストンロッド６が挿通される蓋部１２Ａと、該蓋部１２Ａの外周側から下向きに延びる筒部１２Ｂとにより構成されている。バンプキャップ１２の筒部１２Ｂの内周側には圧入部１２Ｃおよびテーパ逃げ部１２Ｄが設けられている。筒部１２Ｂの開口端側には、フランジ部１２Ｅが一体に形成されている。この場合、バンプキャップ１２の外周側の径（径方向寸法）は、圧入部１２Ｃに対応する箇所とテーパ逃げ部１２Ｄに対応する箇所とが同径（同一寸法）に設定されている。バンプキャップ１２は、ピストンロッド６の最縮小行程でピストンロッド６の突出端側に設けられたバンプラバー（図示せず）に当接して、油圧緩衝器１の底付時（ロッド最縮小時）の衝撃を緩和するものである。

　バンプキャップ１２の蓋部１２Ａは、段付の環状板として形成され、外筒２のかしめ部２Ａが当接している。また、蓋部１２Ａの内周は、ピストンロッド６を挿通するための挿通孔となっている。ここで、バンプキャップ１２を外筒２に嵌合する際に、かしめ部２Ａの上面は蓋部１２Ａの段付状の下面に当接し、蓋部１２Ａの下面とかしめ部２Ａの上面との間には、隙間が形成される。そして、この隙間により、バンプキャップ１２内に浸入した雨水等を外部に排出することができる。

　圧入部１２Ｃは、蓋部１２Ａとテーパ逃げ部１２Ｄとの間に位置し、バンプキャップ１２の筒部１２Ｂの内周側を形成している。図２に示すように、圧入部１２Ｃの内周面には、軸方向に延びる突起１２Ｃ１が周方向に複数（例えば、６個）設けられている。この各突起１２Ｃ１は、圧入部１２Ｃが外筒２のストレート部２Ｂに沿って圧入される際に、ストレート部２Ｂに強く接触して抜止め状態で嵌合されるものである。これにより、各突起１２Ｃ１の間には周方向に隙間ができるので、バンプキャップ１２内に浸入した雨水等を該隙間から外部に排出することができ、外筒２とバンプキャップ１２との間に雨水等の異物が溜まるのを防ぐことができる。

　テーパ逃げ部１２Ｄは、圧入部１２Ｃの下側に位置して、バンプキャップ１２の筒部１２Ｂの内周側を形成している。このテーパ逃げ部１２Ｄは、外筒２のテーパ部２Ｃと僅かに離間するように、下向きに漸次拡径する斜め下向きのテーパ面として全周にわたって形成されている。言い換えれば、テーパ逃げ部１２Ｄは、テーパ部２Ｃの傾斜に沿って拡径され、テーパ部２Ｃと径方向で対向している。この場合、テーパ逃げ部１２Ｄとテーパ部２Ｃとは、例えば異物が混入しない程度に離間している。

　フランジ部１２Ｅは、バンプキャップ１２の開口端に位置して設けられている。具体的には、フランジ部１２Ｅは、環状の鍔部として、テーパ逃げ部１２Ｄの下端側からＬ字状に径方向外側へ屈曲して設けられている。即ち、フランジ部１２Ｅは、バンプキャップ１２の開口端全周に亘って、径方向外向きに突出している。このフランジ部１２Ｅは、後述のダストブーツ１３と嵌合して、該ダストブーツ１３をバンプキャップ１２の外周側に抜止めするものである。

　図３に示すように、ダストブーツ１３は、バンプキャップ１２の外周側に位置して、ピストンロッド６と一緒にバンプキャップ１２を外側から取囲むように設けられている。ダストブーツ１３は、例えば弾性樹脂材料により蛇腹状の筒体として形成され、ピストンロッド６の外周面を外筒２のバンプキャップ１２が取付けられる部分と共に、外部のゴミ、雨水等から保護するものである。このダストブーツ１３は、軸方向に伸縮可能となった筒状の蛇腹部１３Ａと、該蛇腹部１３Ａの基端側（図３中の下側）に設けられ、バンプキャップ１２のフランジ部１２Ｅに係合された取付部１３Ｂとを含んで構成されている。ダストブーツ１３は、蛇腹部１３Ａの上端側がピストンロッド６の突出端側に取付けられ、ピストンロッド６に追従して上，下方向に伸縮される。

　本実施の形態による油圧緩衝器１は、上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について説明する。

　油圧緩衝器１は、ピストンロッド６の突出端側を自動車の車体側に取付け、外筒２の基端側を車軸（いずれも図示せず）側に取付ける。これにより、自動車の走行時に振動が発生した場合には、ピストンロッド６が外筒２、内筒５から軸方向に縮小，伸長する。このとき、ピストン７のディスクバルブ７Ｃ，７Ｄ等によって縮小側，伸長側の減衰力が発生され、車両の上，下方向の振動を減衰するように緩衝することができる。

　即ち、ピストンロッド６が伸長行程にある場合には、ロッド側室Ｃ内が高圧状態となるから、ロッド側室Ｃ内の油液がディスクバルブ７Ｄを介してボトム側室Ｂ内へと流通し、伸長側の減衰力が発生する。これにより、油圧緩衝器１は、ピストンロッド６の伸長動作を抑えるように緩衝することができる。また、ピストンロッド６の伸長行程では、内筒５から進出したピストンロッド６の進出体積分に相当する分量の油液が、リザーバ室Ａ内からボトムバルブを介してボトム側室Ｂ内に流入する。

　ここで、ピストンロッド６が伸長行程にある場合では、ロッド側室Ｃ内が高圧状態となるから、ロッド側室Ｃ内の油液は、例えばピストンロッド６とガイド部９との僅かな隙間等を介して油溜め室８Ｃ内に漏出することがある。また、油溜め室８Ｃ内に漏出油が増えると、溢れた油液は、蓋体３とロッドガイド８との間に設けた逆止弁４Ａを介してロッドガイド８の連通路８Ｄ側に導かれ、徐々にリザーバ室Ａ内に還流される。

　一方、ピストンロッド６の縮小行程では、ピストン７の下側に位置するボトム側室Ｂ内がロッド側室Ｃよりも高圧になるから、ボトム側室Ｂ内の油液がピストン７のディスクバルブ７Ｃを介してロッド側室Ｃ内へと流通し、縮小側の減衰力を発生する。そして、内筒５内へのピストンロッド６の進入体積分に相当する分量の油液が、ボトム側室Ｂから前記ボトムバルブを介してリザーバ室Ａ内に流入し、リザーバ室Ａは内部のガスが圧縮されることにより、ピストンロッド６の進入体積分を吸収する。

　この場合、ピストンロッド６が最縮小位置に達した際には、バンプキャップ１２がバンプラバーと当接して、油圧緩衝器１の底付時の衝撃を緩和する。また、油圧緩衝器１は、外筒２のバンプキャップ１２が圧入する部分以外の箇所を所望の径寸法に形成して、リザーバ室Ａの容積を確保している。これにより、ピストンロッド６が最縮小位置に達した場合でも、ピストンロッド６の進入体積分の油液をリザーバ室Ａ内に流入させることができる。

　かくして、本実施の形態によれば、外筒２の外周側にストレート部２Ｂとテーパ部２Ｃとを設け、バンプキャップ１２の内周側に圧入部１２Ｃとテーパ逃げ部１２Ｄとを設ける構成とした。この場合、バンプキャップ１２の圧入部１２Ｃを、外筒２の小径化したストレート部２Ｂに圧入することにより、バンプキャップ１２を外筒２に嵌合することができる。これにより、外筒２を小径化した寸法だけバンプキャップ１２を径方向寸法に厚肉に形成することができ、バンプキャップ１２が径方向に大径化することを抑えることができる。

　この結果、バンプキャップ１２の圧入部１２Ｃを径方向内側に厚肉化して、バンプキャップ１２の外筒２に対する保持力を確保しつつ、バンプキャップ１２の径方向の小型化を図ることができる。そして、バンプキャップ１２の径方向小型化により、バンプキャップ１２の外側に配置されるダストブーツ１３による外径の制約を満たすことができる。

　また、バンプキャップ１２を、弾性を有する樹脂材料で形成しているので、バンプキャップ１２の軽量化、成型加工の容易化を図り、車両組付け時の作業性を向上することができる。そして、バンプキャップ１２の圧入部１２Ｃを径方向内側に厚肉化することができるので、圧入部１２Ｃの剛性を高めることができる。

　また、バンプキャップ１２の内周側に位置して圧入部１２Ｃの下側には、テーパ逃げ部１２Ｄを設ける構成とした。これにより、外筒２を小径化する部分を最小限にすることができるので、リザーバ室Ａの容積を確保することができ、ピストンロッド６の縮小行程において減衰力波形崩れが生じることを抑えることができる。

　また、テーパ逃げ部１２Ｄにより、バンプキャップ１２の軸方向寸法を長くすることができるので、バンプキャップ１２が外筒２から抜け出したりすることを抑制することができる。しかも、バンプキャップ１２の軸方向寸法をテーパ逃げ部１２Ｄ分だけ長くすることにより、バンプキャップ１２自体の剛性を高めることができる。

　また、テーパ逃げ部１２Ｄは、外筒２のテーパ部２Ｃと径方向で対向し、僅かに離間するようにテーパ面として形成する構成とした。これにより、テーパ逃げ部１２Ｄとテーパ部２Ｃとが当接して、弾性復元力によりバンプキャップ１２が外筒２から軸方向上向きに抜け出す方向の余分な力が生じることはなく、バンプキャップ１２の外筒２に対する保持力を高めることができる。即ち、テーパ逃げ部１２Ｄとテーパ部２Ｃとが離間することにより、バンプキャップ１２と外筒２との接触箇所を少なくできるので、バンプキャップ１２が外筒２から抜けにくくすることができる。

　また、外筒２の縮径する部分をストレート部２Ｂとテーパ部２Ｃとにより構成し、該ストレート部２Ｂおよびテーパ部２Ｃの外周をバンプキャップ１２により覆う構成とした。これにより、バンプキャップ１２を外筒２に取付ける範囲内のみ外筒２を縮径加工するので、スプリングシート１１を溶接等の手段により安定して外筒２に固着することができる。

　また、バンプキャップ１２を外筒２に取付ける範囲内において外筒２を縮径加工するので、縮径加工工数を最小限に抑えることができる。この結果、油圧緩衝器１の製造コストを削減することができる。

　また、バンプキャップ１２の開口端側にフランジ部１２Ｅを設けている。即ち、圧入部１２Ｃから離れた位置にフランジ部１２Ｅを設けているので、バンプキャップ１２の筒部１２Ｂの剛性を高めることができる。これにより、外筒２にバンプキャップ１２を圧入して嵌合する際に、バンプキャップ１２が、例えば径方向外側に湾曲したたる型等に変形したとしても、バンプキャップ１２が外筒２から抜けたり、脱落したりするのを抑えることができる。

　さらに、バンプキャップ１２の外周側の径は、圧入部１２Ｃに対応する箇所とテーパ逃げ部１２Ｄに対応する箇所とが同径に設定されている。これにより、ダストブーツ１３を、バンプキャップ１２に取付け易くすることができる。

　なお、前記実施の形態では、バンプキャップ１２の圧入部１２Ｃには突起１２Ｃ１を複数設けて、各突起１２Ｃ１の間をバンプキャップ１２内に浸入した雨水等が流れる構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えばバンプキャップの圧入部に突起を設けない構成としてもよい。

　また、前記実施の形態では、バンプキャップ１２の外周側の径は、圧入部１２Ｃに対応する箇所とテーパ逃げ部１２Ｄに対応する箇所とが同径に設定されている構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図４に示す変形例のバンプキャップ２１のような構成としてもよい。即ち、バンプキャップ２１は、前記実施の形態のバンプキャップ１２と同様に、蓋部２１Ａ、筒部２１Ｂ、圧入部２１Ｃ、突起２１Ｃ１、テーパ逃げ部２１Ｄ、フランジ部２１Ｅとにより構成されている。

　この場合、テーパ逃げ部２１Ｄが形成されている筒部２１Ｂの開口端側は、径方向外向きに拡径してフレア状に形成されている。具体的には、変形例のバンプキャップ２１の筒部２１Ｂの肉厚は、前記実施の形態のバンプキャップ１２の筒部１２Ｂと異なり、圧入部２１Ｃに対応する箇所とテーパ逃げ部２１Ｄに対応する箇所とがほぼ等しい寸法に設定されている。

　また、前記実施の形態では、外筒２の内周側に内筒５を設けて、外筒２と内筒５との間にリザーバ室Ａを設ける構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば外筒と内筒との間に中間筒を設けて、該中間筒と内筒との間に油液が流通することにより減衰力を与える環状の油室を設ける構成としてもよい。即ち、油圧緩衝器を、二重筒ではなく三重筒により形成する構成としてもよい。特に、三重筒のシリンダ装置（緩衝器）の場合は、リザーバ室の容積が小さくなる傾向がある。しかし、本発明では、外筒２の縮径する部分をストレート部２Ｂとテーパ部２Ｃとに限る構成としているので、リザーバ室Ａの容積を確保し、縮小行程での減衰力波形崩れを抑制することができる。

　さらに、前記実施の形態では、４輪自動車の各車輪側に取付ける油圧緩衝器１をシリンダ装置の代表例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば２輪車に用いる油圧緩衝器であってもよく、車両以外の種々の機械、建築物等に用いる油圧緩衝器に用いてもよいものである。

　以上説明した実施形態に基づくシリンダ装置として、例えば以下に述べる態様のものが考えられる。

　シリンダ装置の第１の態様としては、作動流体が封入されたシリンダと、前記シリンダ内に挿入されたピストンと、前記ピストンに連結されて前記シリンダの外部に延出されたピストンロッドと、前記シリンダの外周に設けられた外筒と、前記外筒の前記ピストンロッドが突出する端部の外周に嵌合される有底円筒状のバンプキャップと、を有するシリンダ装置であって、前記外筒の外周側には、前記端部側にストレート部と、該ストレート部よりも前記端部側から軸方向に離間する位置にテーパ部と、が形成され、前記ストレート部および前記テーパ部は他の部分よりも小径となるように構成し、前記バンプキャップの内周側には、前記ストレート部に沿って圧入される圧入部が形成され、前記バンプキャップは、前記ストレート部と前記テーパ部とを覆っていることを特徴とする。これにより、バンプキャップの外筒に対する保持力を確保しつつ、リザーバ室の容積を確保することができる

　第２の態様としては、第１の態様において、前記バンプキャップの内周側には、前記テーパ部と離間するように形成されるテーパ逃げ部が設けられることを特徴とする。これにより、バンプキャップの外筒に対する保持力を高めることができる。

　第３の態様としては、第２の態様において、前記バンプキャップの外周側の径は、前記圧入部に対応する箇所と前記テーパ逃げ部に対応する箇所とが同径であることを特徴とする。これにより、ダストブーツを、バンプキャップに取付け易くすることができる。

　第４の態様としては、第２の態様において、前記テーパ逃げ部は、前記外筒の前記テーパ部と径方向で対向し、前記テーパ部と僅かに離間したテーパ面として形成されることを特徴とする。これにより、バンプキャップの外筒に対する保持力を高めることができる。

　第５の態様としては、第１の態様において、前記バンプキャップの前記圧入部には、突起が複数設けられることを特徴とする。これにより、バンプキャップ内に浸入した雨水等を外部に排出することができる。

　第６の態様としては、第１の態様において、前記バンプキャップの開口端側には、径方向外向きに突出したフランジ部が設けられることを特徴とする。これにより、バンプキャップの筒部の剛性を高めることができる。

　１　油圧緩衝器（シリンダ装置）
　２　外筒
　２Ｂ　ストレート部
　２Ｃ　テーパ部
　５　内筒（シリンダ）
　６　ピストンロッド
　７　ピストン
　１２，２１　バンプキャップ
　１２Ｃ，２４　圧入部
　１２Ｄ，２３　テーパ逃げ部

Claims

　作動流体が封入されたシリンダと、
　前記シリンダ内に挿入されたピストンと、
　前記ピストンに連結されて前記シリンダの外部に延出されたピストンロッドと、
　前記シリンダの外周に設けられた外筒と、
　前記外筒の前記ピストンロッドが突出する端部の外周に嵌合される有底円筒状のバンプキャップと、
　を有するシリンダ装置であって、
　前記外筒の外周側には、前記端部側にストレート部と、該ストレート部よりも前記端部側から軸方向に離間する位置にテーパ部と、が形成され、
　前記ストレート部および前記テーパ部は他の部分よりも小径となるように構成し、
　前記バンプキャップの内周側には、前記ストレート部に沿って圧入される圧入部が形成され、
　前記バンプキャップは、前記ストレート部と前記テーパ部とを覆っていることを特徴とするシリンダ装置。
　前記バンプキャップの内周側には、前記テーパ部と離間するように形成されるテーパ逃げ部が設けられることを特徴とする請求項１に記載のシリンダ装置。
　前記バンプキャップの外周側の径は、前記圧入部に対応する箇所と前記テーパ逃げ部に対応する箇所とが同径であることを特徴とする請求項２に記載のシリンダ装置。
　前記テーパ逃げ部は、前記外筒の前記テーパ部と径方向で対向し、前記テーパ部と僅かに離間したテーパ面として形成されることを特徴とする請求項２に記載のシリンダ装置。
　前記バンプキャップの前記圧入部には、突起が複数設けられることを特徴とする請求項１に記載のシリンダ装置。
　前記バンプキャップの開口端側には、径方向外向きに突出したフランジ部が設けられることを特徴とする請求項１に記載のシリンダ装置。