JP6378882B2 - 複数出没式筆記具 - Google Patents
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Description
この従来技術によれば、先に前進したスライド駒(押子42)が前記被掛止部(係止部12)に係止された状態で、他のスライド駒(押子30)を前進させた場合、前記他のスライド駒(押子30)が、先に前進したスライド駒(押子42)に干渉するため、先に前進したスライド駒(押子42)が、被掛止部(係止部12)から外れて付勢部材(圧縮バネ52)の付勢力によって後退する。
すなわち、例えば、筆記芯及びスライド駒を軸筒周方向に角度180度置きに2本設けた態様では、二つのスライド駒が軸心を挟んで対向するため、一方のスライド駒を他方のスライド駒に干渉させるのが比較的容易である。しかしながら、筆記芯及びスライド駒の数が、3本以上に増えた場合には、周方向に隣り合うスライド駒間の配置角度が小さくなるため、一方のスライド駒を他方のスライド駒に干渉させるのが困難になる場合がある。
この構成によれば、スライド筆記芯の数を比較的多くした場合でも、先に係止されたスライド駒に対し、後から前進するスライド駒が、解除部材を介して間接的に干渉するようにしているため、隣接するスライド駒同士を直接干渉させるようにした従来構造と比較し、スライド駒の係止状態を解除する動作をより確実に行うことができる。
この構成によれば、前進した際の解除部材を第二の付勢部材により後退させることができる。
この構成によれば、スライド筆記芯の係脱動作をよりスムーズにするための具体的構造を得ることができる。
この構成によれば、スライド筆記芯の係脱動作をさらにスムーズにするための具体的構造を得ることができる。
この構成によれば、後退したスライド駒が、前記解除部材の前記被係合突起を後方へ乗り越え、他のスライド駒の係合突起に当接して初期状態となる。したがって、複数のスライド筆記芯を、被係合突起よりも後方側で初期状態に安定させることができる。
なお、本明細書中、軸筒軸方向とは、軸筒の中心線の延びる方向を意味する。また、「前」とは、軸筒軸方向の一方側であって筆記部の先端方向を意味する。また、「後」とは、軸筒軸方向の前記一方側に対する逆方向側を意味する。また、「軸筒径方向」とは、軸筒軸方向に対し直交する方向を意味する。また、「軸筒径外方向」とは、前記軸筒径方向に沿って軸筒中心から離れる方向を意味する。「軸筒径内方向」とは、前記軸筒径方向に沿って軸筒中心へ近づく方向を意味する。
この軸筒10の他例としては、一本の筒体からなる態様や、筒体の先端側に先細り状の先口を接続した態様、3本以上の筒体からなる態様等とすることが可能である。
この開口部11aは、ボールペン用筆記芯21b前端の筆記部(ボールペンチップ)を挿通可能であって、且つ、シャープペンシル用筆記芯22b前端の段付き状の筆記部を突出状態で係止するように、その内径が適宜に設定されている。
複数の窓部12a,12bは、軸筒周方向に所定間隔を置いて配置される。これらのうち、一方(図1によれば下側)の窓部12aは、スライド駒21a(ボールペン用)を露出させるためのものであり、周方向に間隔を置いて複数(例えば5つ)設けられる。各窓部12aは、スライド駒21a後端側から軸筒径外方向へ突出する操作部21a1を進退可能にするように、軸筒軸方向へ長尺状に形成される。
また、もう一方(図1によれば上側)の窓部12bは、スライド駒22a(シャープペンシル用)を露出させるためのものであり、例えば、単数設けられる。この窓部12bは、スライド駒22a後端側から軸筒径外方向へ突出するクリップ支持部22a1を進退可能にするように、軸筒軸方向へ長尺状に形成される。
また、後端開口部12cは、スライドガイド体30の後端部を後方へ突出するように設けられる。
また、このスライド駒21aの前端側には、後述する受け部材60に当接可能なように軸筒径外方向へ突出する当接突起21a4が設けられる。
また、図2中、符号21a5は、スライドガイド体30に係合してスライド駒21aの軸筒径外方向への移動を規制する突起である。
また、このスライド駒22aにおける軸筒径内方向側(図2によれば下側)の部分には、軸筒中心側へ突出する係合突起22a2と、該係合突起22a2よりも後側に位置する傾斜面22a3とを有する。
また、このスライド駒22aの前端側には、後述する受け部材60に当接可能なように軸筒径外方向へ突出する当接突起22a4が設けられる。
また、図2中、符号22a5は、スライドガイド体30に係合してスライド駒22aの軸筒径外方向への移動を規制する突起である。
シャープペンシル用筆記芯22bは、芯タンクの前端側にチャック、クラッチリング、付勢部材等の鉛芯繰出し機構を接続してなり、その前端側の段部を軸筒10前端の開口部11aに係止した状態で後端側が進退されることで、芯タンク内の鉛芯を繰出す周知構造のものである。
詳細に説明すれば、このスライドガイド体30は、複数のスライド駒21a,22aの各々の進退を案内するガイド部を周方向に間隔を置いて複数有し、各ガイド部の前端側に、前進位置になったスライド駒21a(又は22a)を軸筒径内方向へ沈み込ませて係止する段状の被係止部31(係脱手段)を有する。
そして、スライドガイド体30の軸筒10後端から突出する部分には、消しゴムやキャップ等が着脱可能に装着される。
この筆記芯保持部41の後端面は、後述する第一の付勢部材50の前端を受ける受部として機能する。
この解除部材保持部42の内周面には、解除部材70の進退量を規制する規制係合部42aが設けられる。この規制係合部42aは、図示例によれば、解除部材70に対し凹凸状に嵌り合う突起であるが、他例としては、その凹凸関係を逆にすることも可能である。
この第一の付勢部材50の前端座部は、軸筒10内の進退不能部位(図示例によればデバイダー40の後端部)に受けられている。また、第一の付勢部材50の後端座部には、その後方側から、受け部材60を介して複数のスライド筆記芯21,22の一部分(詳細には、スライド駒21a,22a)が当接している。
すなわち、複数のスライド筆記芯21,22は、一つの第一の付勢部材50の内周に沿って、周方向へ所定間隔を置いて配設され、一つの第一の付勢部材50の後端座部に対し、受け部材60を介して後方側から間接的に当接している。
挿入部61は、前方へ突出する柱状部材を、周方向に間隔を置いて複数配設してなり、周方向に隣り合う前記柱状部材の間に、ボールペン用筆記芯21b又はシャープペンシル用筆記芯22bを挿通させ、複数の前記柱状部材の外周部を、第一の付勢部材50の内周部に近接させている。
受け部62は、図示例によれば、略筒状に形成され、その内周面は、各筆記芯21b(又は22b)の外周面を覆うように、例えば複数の溝状に形成される。
この解除部材70の前端側には、解除部材保持部42の規制係合部42aに係合する被係合部71が設けられる。この被係合部71は、図示例によれば、凸状の規制係合部42aに嵌り合って該規制係合部42aを所定量進退させる環状凹部である。前述したように、この被係合部71を凸部とし、前記規制係合部42aを凹部とすることも可能である。
この解除部材70は、軸筒10と一体の解除部材保持部42に対し所定量進退可能である。さらに、この解除部材70は、解除部材70と解除部材保持部42との径方向の遊び、及び解除部材70後部側の撓み等によって、後部側を軸筒径方向へ微動可能である。
また、解除部材70の前後方向において、被係合部71と被係合突起72の間には、後述する第二の付勢部材80を装着する円柱状の付勢部材装着部74と、第二の付勢部材80の後端を受けるように環状に突出するばね受部73とが設けられる。
詳細に説明すれば、この嵌脱部材90は、軸筒径方向へ弾性変形可能な合成樹脂材料から筒状に形成され、スライドガイド体30内の後端側に同芯状に固定されている。そして、この嵌脱部材90の外周面は、スライド駒21a,22aに対し軸筒中心側から押し付けられている。
より詳細に説明すれば、嵌脱部材90は、エラストマー樹脂やゴム等の弾性材料から略筒状に形成され、その外周面に、断面山形状の環状突起91を有し、この環状突起91をスライド駒21a,22aに対し軸筒中心側から押し付けるようにして、スライドガイド体30の後端側に嵌合固定されている。
このため、一つのスライド駒21a(又は22a)が第一の付勢部材50を収縮させて前方へ移動するとともに、他のスライド駒22a(又は21a)が第一の付勢部材50から後方へ離れている状態において、前記他のスライド駒22a(又は21a)は、嵌脱部材90との緩嵌合によって容易に前方へ移動することはないが、指等によって前方へ押された際には、嵌脱部材90との緩嵌合状態から脱して、前方へ移動する。
先ず、図3(I)に示す初期状態では、全てのスライド駒21a,22aが、スライドガイド体30内の最後端側に位置し、これらスライド駒21a,22aの係合突起21a2,22a2に対し、前方側から、第二の付勢部材80により付勢された解除部材70の被係合突起72が当接している。また、スライド駒21a,22aの各々は、その後端部側が軸筒径内方向側から嵌脱部材90によって押圧されている。したがって、この初期状態では、複数のスライド駒21a,22aが、振動や衝撃等で容易に移動することのないように保持される。
この初期状態では、全てのスライド筆記芯21,22の筆記部が、軸筒10内に没入している。
この前進の際、他方のスライド駒21aは、嵌脱部材90によって径外方向へ押圧された状態のまま、受け部材60の後端から相対的に後方へ離れるため、前進することはない。
一方、他方のスライド駒22aは、第二の付勢部材80の付勢力により後退した解除部材70に当接されて、後退位置に保持される。
この後、スライド駒21aから指等が離れると、全てのスライド駒21a,22aは、第一の付勢部材50により後方へ付勢されて、図3(I)に示す初期位置に戻る。
21,22:スライド筆記芯
21a,22a:スライド駒
21a2,22a2:係合突起
21a3,22a3:傾斜面
21a4,22a4:当接突起
21b:ボールペン用筆記芯
22b:シャープペンシル用筆記芯
30:スライドガイド体
31:被係止部(係脱手段)
40:デバイダー
41:筆記芯保持部
42:解除部材保持部
50:第一の付勢部材(圧縮コイルバネ)
60:受け部材
70:解除部材
72:被係合突起
80:第二の付勢部材
90:嵌脱部材(緩嵌合手段)
Claims (7)
- 軸筒内に、筆記芯の後端側にスライド駒を接続してなる複数のスライド筆記芯と、これらスライド筆記芯を後方へ付勢する第一の付勢部材とが具備され、選択的に押動されて前進するスライド駒を軸筒内側へ沈み込ませて被係止部に係止し、この係止状態を他のスライド駒の前進により解除し後退させるようにした複数出没式筆記具において、
複数のスライド筆記芯の軸筒中心側に、スライド駒の係止状態を解除するための解除部材を設け、
前記解除部材は、先に前進したスライド駒が前記被係止部に係止された状態で他のスライド駒を前進させた場合に、前記他のスライド駒に押動されて、先に前進したスライド駒を押動し前記被係止部から外すように設けられ、
軸筒に対し前記解除部材を後方へ付勢するように第二の付勢部材を設け、
複数のスライド駒の各々に軸筒径内方向へ突出する係合突起を設けるとともに、前記解除部材には前記係合突起によって前後方向へ乗り越えられる被係合突起を設け、
先に前進したスライド駒が前記被係合突起に当接して前記解除部材を所定量前進させた後に前記被係合突起を乗越えることで、前記解除部材が前記第二の付勢部材の付勢力により後退して他のスライド駒の係合突起に当接するようにしたことを特徴とする複数出没式筆記具。 - 第二の付勢部材を、複数のスライド筆記芯の軸筒中心側に設けたことを特徴とする請求項1記載の複数出没式筆記具。
- 前記被係止部を、進退可能な前記スライド駒に相対し進退不能な部位に設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の複数出没式筆記具。
- 複数のスライド筆記芯の軸筒中心側に位置するように、軸筒に対し進退不能に解除部材保持部を設け、この解除部材保持部によって前記解除部材を進退するように保持したことを特徴とする請求項1乃至3何れか1項記載の複数出没式筆記具。
- 前記解除部材は、その後部側を軸筒径方向へ微動するように、軸筒に対し保持されていることを特徴とする請求項1乃至4何れか1項記載の複数出没式筆記具。
- 前記スライド駒における前記係合突起よりも後側に、前記解除部材の前記被係合突起によって後方から摺接可能な傾斜面を設け、
先に前進したスライド駒が前記被係止部に係止された状態で他のスライド駒を前進させた場合に、前記他のスライド駒の係合突起が前記解除部材の前記被係合突起に当接して前記解除部材を前進させ、前記解除部材が前記被係合突起を先に前進したスライド駒の前記傾斜面に摺接させることで、先に前進したスライド駒が軸筒径外方向へ移動して前記被係止部から外れるようにしたことを特徴とする請求項1乃至5何れか1項記載の複数出没式筆記具。 - 前記被係止部から外れて後退したスライド駒が、前記解除部材の前記被係合突起を乗り越えて後退し、他のスライド駒の係合突起に当接するようにしたことを特徴とする請求項6記載の複数出没式筆記具。
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