JP2010089517A - ボールペンリフィール - Google Patents
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Abstract
【目的】 遠心工程や温度変化、経時変化でインキ中に気泡を発生させず、長期間経過しても気泡発生による問題が生じないようにすることを課題とする。
【構成】 継ぎ手の先端にボールペンのチップを、後方にインキ収容管を有し、チップに内挿されたコイルスプリングの先方でチップ先端部に回転自在に抱持された先端ボールの背面を押圧して先端ボールがチップのボール抱持部の内縁に密接され、インキ収容管には基本的には低粘度であるが、静的には高い粘性を有し、筆記時の先端ボールの回転で粘性が低下してインキが流出される、所謂剪断減粘性を有した水性インキが充填され、インキの後端にはインキの消耗と共に追随するグリース状の半透明不乾性物から成るフォロアが設けられて成るボールペンリフィールに於いて、継ぎ手をPP樹脂成型品となし、継ぎ手先端孔内周とチップ圧入部外周にそれぞれ突部と溝が形成され、相互間が係合されて成る。
【選択図】図3
Description
本発明は、単式のノック式筆記具や主として複式筆記具などに搭載されるボールペンリフィールであって、低粘度の剪断減粘性を有する水性インキを使用したボールペンリフィールの改良に関する。
従来知られる油性ボールペンのインキは高粘度で、筆記の際にボテ、筆記描線のムラ、濃度の薄さ、筆記圧が高い等の問題が存在する。又、従来の油性ボールペンの改良として相対的に低粘度のインキであるが、先端ボールの回転でより粘度が低下してインキがスムーズに流出する、所謂剪断減粘性を有するボールペン用水性インキを充填したボールペンが知られている。そのようなボールペンは上向き筆記をした時には先端ボール背面のインキが無くなると、インキのヘッドが直に加わる為に顕著な逆流が生じて手や衣服を汚す危険がある。又、インキの粘度が低く流出量が多いが故に、チップ側を下向きにした場合に先端ボールとチップ抱持部の隙間が生じるとインキが滲みでる(直流)問題が生じる。即ち、チップ先端部が服地に接触しているとインキが吸い出されて服地を汚損する問題もある。また更に上向き筆記後やノックや落下等の衝撃後で先端ボール背面のインキが逆流傾向となる為に筆記掠れが起きる問題が存在する。(水性ボールペンのチップは油性ボールペンのチップに対して先端ボールとチップ抱持部の縦ガタが大きく設定されている。)その為に、通常はインキの後端に筆記時のインキの消耗に追随して移動するが、インキの自重や衝撃に対してインキの逆流を抑制するグリース状あるいはゲル状のフォロアが設けられる。また先端ボールがチップのボール抱持部に密接するように先端ボールの背面をスプリングで押圧する手段や必要に応じてチップの後端にボール弁を遊嵌した弁室を設ける手段が用いられている。
一方、軸内の複数のノック操作部に固定された複数の筆記体を、軸内に設けた縦溝に沿って夫々摺動自在として、選択的にひとつの筆記体の先端を軸先端孔から突出させて係合し、それぞれが突出することにより他の筆記体の係合を解除してリターンスプリングの作用により軸内に収納させるようにした多色ボールペン等の複式筆記具が知られている。また先軸とガイド筒の先方を固定し、ガイド筒に設けた複数の案内溝に、摺動コマを後端に止着した複数の筆記体をガイド筒と摺動コマとの間にリターンスプリングを附勢して、それぞれ軸方向に前後動自在に嵌装し、軸方向に変位するカム斜面を有した円筒カムを、ガイド筒に対して回動且つ軸推移可能に設けて、各摺動コマをカム斜面に当接させることにより円筒カムの回転によって上記摺動コマを交互に前後動させて、各筆記体の先端を先軸の先端口から選択的に出没可能とした複式筆記具が知られている。
上記のような複式筆記具に搭載するボールペンリフィールの場合、先端ボール径が0.5mm以下(0.3mm、0.4mmの細字用)の場合にはインキの流出量が小さくチップ内のインキ流路が細いのでインキの直流及び逆流防止に有利である。又、インキ収容管の長さが短いほど(インキの充填長さ)、インキ収容管の内径が細いほどインキの直流及び逆流防止に対して有利である。以上のことを基にして、低粘度油性インキを使用してインキ収容管の外径を3〜3.5mm、先端ボール径を0.5mm以下とすることで、特別なインキの直流及び逆流防止機構を設けない場合でも複式筆記具用のボールペンリフィールとして筆記寿命を含めて十分使用満足感のあるものが提供可能である。又、先端ボール径が0.5mm以上、インキ収容管を長くしたりインキ収容管を薄肉の金属管と成して内孔を拡げてインキの充填量を大きくした場合、またインキを更に低粘度とした場合などには上述したインキの直流及び逆流防止機構が必要に応じて組み込まれる。
また剪断減粘性を有するボールペン用水性インキとしては、高分子多糖類等の剪断減粘性付与剤を含む水性ボールペン用インキ組成物が開示されている(特開平4- 214782号公報)。この種のインキは、剪断応力が加わらない静置時は高粘度であり、ボールペン機構内において安定に保持されており、筆記時にあっては高速回転するボールによる高剪断力によってボール近傍のインキが低粘度化し、その結果インキはボールとボール収容部のすきまから吐出して紙面に転写される。また、前記紙面に転写されたインキは剪断力から解放されて再び高粘性を示すため、従来の低粘度水性ボールペンインキの欠点である筆跡の滲みを発生させない特徴がある。
このような特徴を有するボールペン用水性インキは、構造が簡易である反面、剪断減粘性を維持するため、インキの調整及び充填に際して特別な配慮が必要となる。その一例として、インキ後端面にインキ中の溶剤が蒸発することを防止したり、また上述したように筆記先端部が上向き状態におけるインキの逆流を防止し、且つ筆記時にはインキの消費に伴って追従するインキ追従体(フォロアなど)を充填する必要性が挙げられる。水性インキの蒸発を防止するボールペンリフィールの樹脂材質としてPP樹脂(ポリプロピレン樹脂)が優れている。またインキは外部の空気と遮断された密閉空間に存在するため、インキ中に気体が混入していると、高温下や長期間の放置によって気体が成長して気泡となり、この気泡が筆記先端部に存在するとインキの流出性に悪影響を与えるだけでなく筆記不能になる問題がある。また筆記先端部を下向きで放置するとインキとインキ追従体間に空間ができ、インキの逆流等の問題を発生する。
そこで上記問題を解決するためには、従来から自然放置による脱泡や機械的にインキ中の気体を取り除く脱泡処理が主に行われている。また剪断減粘性を有するインキと蒸発抑制等の役割を持つインキ追従体を、インキ収容管に収容したボールペンリフィールの製造においては、インキ収容管にインキとインキ追従体を収容する際に、インキと共に空気が供給されてしまうという問題がある。ボールペンリフィールに内包された空気がボールペンチップ内等に滞留すると、インキ通路を閉塞してインキ流出の妨げとなり、インキ流出不良をもたらす。そのために空気をボールペンリフィール外に排出する必要があるが、インキは剪断減粘性を有するため、静置状態では粘度が高く、またインキ追従体も高粘度であるため、ボールペンチップを下向きにしてもインキ収容管の後端開口部より自然に排出することはない。したがって、インキとインキ追従体を収容したボールペンリフィールにおいてペン先を下向きにした状態で遠心機にかけることによって、強制的にインキ収容管の開口後端部より空気を排出している。
また、前記気泡の発生を化学的に抑制するために、インキ中の溶存酸素量を規定する方法(特許文献1)やインキ中に気体を吸収する物質を添加する方法(特許文献2、特許文献3)が知られているが、前者では、気体の透過性の比較的良いポリプロピレン等の成形体をインキ収容管とした場合に2〜3年の長期間インキ中の溶存気体量を適宜不飽和状態に保つことは難しく、また後者においても年単位の長期間にわたる抑制効果が期待できない。
またPP樹脂製のボールペンリフィール内部に発生する気泡の発生の要因について鋭意研究を重ねた結果、遠心工程で抜けきれずボールペンリフィール内部に残在する気体が主要因であることを見いだした。またボールペンリフィールが高温下または長期間放置された場合、インキ中の水分が蒸発することにより、ボールペンリフィール内部に取り残された気体(残存気体)中の成分が変化し、前記気体成分がリフィール外気と平衡を保とうとする力が引力となって、ボールペンリフィール外部から内部に空気成分を吸収し、その結果、残存気体が成長し、気泡が発生することも解った。また遠心工程で抜けきれずボールペンリフィール内部に気体が残在する主原因として、チップ圧入部における継ぎ手内面のヒケやチップ後端部に対面する段部で起きることが判明した。
そこでコイルスプリングの外周部とチップ内孔との間に空気流通路を形成し、継ぎ手はチップ後端部に対面する段部を有して後方にやや細径の孔部が後端まで貫通して設けられ、その段部の所要箇所に空気流通路が形成されるか、あるいは段部がアール又はテーパー状に形成すると効果があった。しかし、PP樹脂製の継ぎ手にすることによって気泡発生を抑制することが可能であるが、クリープしやすいことからPP樹脂製の継ぎ手からチップが容易に脱落しやすいことから、本発明はそれを防止し、さらにインキの残量や色の視認性を良くすることを目的とする。
本発明は、上記課題を達成する為に以下の構成を有する。本発明に係るボールペンリフィールは、継ぎ手の先端にボールペンのチップを、後方にインキ収容管を有し、チップに内挿されたコイルスプリングの先方でチップ先端部に回転自在に抱持された先端ボールの背面を押圧して先端ボールがチップのボール抱持部の内縁に密接され、インキ収容管には基本的には低粘度であるが、静的には高い粘性を有し、筆記時の先端ボールの回転で粘性が低下してインキが流出される、所謂剪断減粘性を有した水性インキが充填され、インキの後端にはインキの消耗と共に追随するグリース状の半透明不乾性物から成るフォロアが設けられて成るボールペンリフィールに於いて、当該ボールペンリフィールは、筆記先端部を先端口から交互に出没可能とした筆記具に搭載されるボールペンリフィールであって、継ぎ手をPP樹脂成型品となし、継ぎ手先端孔内周とチップ圧入部外周にそれぞれ突部と溝が形成され、相互間が係合されてなる。
更に上記記載のボールペンリフィールに於いて、継ぎ手とインキ収容管を略透明なPP樹脂成型品としたことを特徴とする。
本発明のボールペンリフィールは、略透明なPP樹脂製の継ぎ手とチップの圧入部に係合部を設けることで経時的に信頼性の高い相互の固着が可能となる。単色のノック式筆記具への提供でも十分に効果を得ることができるが、同時にインキの残量や色の視認性が明確となることから、特に多機能で安価な複式筆記具の提供が可能となる。
先ず、図1乃至図5は本発明の実施例を示しており、図1は一例である複式筆記具の外観を示す斜視図である。図に示すように、後軸1の後方側面には、クリップ2を嵌装する窓孔1aと複数箇所で後端部近傍に至り縦溝1bが穿設されて内孔部後方には筒状でその側面にスリット1cを有した軸部1dが形成されている。又、後軸の窓孔1aと同軸上の前方に孔部1eと更に前方に適宜長さの略矩形状の窓部1fが穿設されている。
また接合部材3は、筒部3aの後端面の中心に小孔3bを有した軸部と該軸部の廻りに縦溝1bと対応した複数の孔3cが穿設され、筒部3aの外周部に突状の係合部3dが設けられ、その前方の鍔部の前方にネジ状の接合部3eが形成されている。その接合部材3が後軸1の先端側より挿入され、係合部3dが窓部1fに弾性的に貫出されると共に窓部前端の段部に当接して抜け止め係止され、後軸1は接合部材3に対して回転方向で一体に、軸方向に適宜ストロークで軸推移するように設けられている。
また先方より小径部、中径部、大径部より成る係止ピン4の大径部の側面には溝4aが穿設されてその溝の前面に傾斜状のカム面4bが形成され、大径部と中径部の接続部に傾斜状の段部4cが、中径部と小径部の接続部に段部4dが形成されて、軸部1dの端部1gと段部4dとの間にスプリング5aが附勢された状態に係止ピン4が後軸1の後端から軸部1dの内孔に挿通して取付けられ、小径部の先端が小孔3bに嵌入し、大径部が軸部1dに位置して軸支されると共に、大径部の溝4aには上記クリップ2の基部に形成した脚部2aが窓孔1aと軸部1dのスリット1cを挿通して嵌入され、脚部2aの前端に形成された突出状のカム部2bが上記カム面4bに対接した状態でクリップ2が後軸1の窓孔1aに適宜回動可能に軸支される。
又、クリップ2の先端部内側に設けられた玉部2dが後軸1の孔部1eに没入した状態となる。この状態から、クリップ2の先端部を後軸1の側面から離反する方向に可動した時に、カム部2bがカム面4bを押圧して係止ピン4が前進する。尚、クリップ2の軸支手段は種々考えられるが、その一手段として脚部2aの両側面に設けた突状の軸支部2cを後軸の窓孔1aの側壁に設けた溝部に回動可能且つ抜け止め係止させている。
又、ノック操作部材6は板状で、後方で外側に膨出した後端部6aと内側に適宜突起6bが形成され、先方に軸部とその先端に筆記体の後端部を着脱可能に止着する係止部が形成されている。ノック操作部材6は複数個用意されてそれぞれの係止部には複数種のボールペンリフィール7が止着されてそれぞれ後軸1に穿設されたそれぞれの縦溝1bに嵌装され、それぞれのボールペンリフィールは接合部材3のそれぞれの孔3cを貫通してリターンスプリング5bがノック操作部材6の前段部6cと接合部材3の後端面との間に附勢されてそれぞれのボールペンリフィールは後軸1の後方に常時引き込まれるよう配設されている。尚、ボールペンリフィールの他にシャープペンシル筆記体、消しゴム繰り出し体などの筆記体を配設することも可能である。
またボールペンリフィール7は、通常知られる高粘度域の油性インキが充填されてなる油性ボールペンあるいは低粘度油性ボールペンを使用してもよいが、本発明の主目的としては、剪断減粘性を有した水性インキが充填されてなるボールペンリフィールである。
このボールペンリフィール7の構造について説明すると、図2及び図3に示すようにチップ8はインキ流入可能なチャンネルを有した座に先端ボール9が略当接した状態で、先端ボールが回転自在に抱持されるようカシメられている。又、チップ8の内孔部にコイルスプリング10が内挿され、チップの軸部8aの後端が適宜カシメられてコイルスプリング10の後端が抜出不能に設けられている。また図4に示すように、チップ8の後端が所要箇所でカシメられると共に、隣接するカシメ部8c間にはチップ内孔部に対して空気流通路8dが形成されている。即ち、チップ内孔部に対してコイルスプリング10の内外周に空気流通路が形成されることによって気体が気泡となって残留する問題が改善される。又、コイルスプリング10の先方には直立状の棒軸部10aが形成され、この棒軸部の先端が先端ボール9の後端に押圧状に当接する。尚、先端ボールはその押圧でチップ8のボール抱持部の内縁に密接状態となされる。尚、上記棒軸部10aの代わりに別の押圧コマが配設されてもよい。
又、チップの軸部8aの外周には周状の溝8bが形成されている。また継ぎ手11は、PP樹脂成形品で、鍔部11aの前方に前軸部11bが、後方に後軸部11cが形成されている。また後軸部11cの外周にはインキ収容管12が固着され、インキ収容管12の内孔部が継ぎ手11の貫通孔11dに導通している。また前軸部11bの内孔部11eに突部11fが形成されており、チップ8を内孔部11eに圧入した時に上記溝8bに突部11fが係合してチップの固着力が増強される。また継ぎ手に対するチップの過圧入を防止することから、チップ後端に対面する内孔部後端に段部が設けられている。また気体が残留して気泡が発生しないように段部の所要箇所に溝状の空気流通路が形成されるか、あるいは段部11gがアール又はテーパー状に設けられている。
因みに図6は従来例を示しており、チップ20の後端はコイルスプリングが抜け出さないように周状にカシメられたカシメ部20aが設けられている。またチップの後端に対面して継ぎ手19の内孔部には直角な段部19aが形成されている。従って、インキ充填後に遠心処理してもチップの内孔部及び段部19aに気泡が残る問題が発生する。
また図5は継ぎ手17の内孔部に成形時のヒケ18が生じた状態を示しており、射出成形用のPP樹脂グレードを使用して射出成形するとこのヒケが発生しやすい問題がある。これに対し、押し出し成形用のPP樹脂グレードを使用して所定の成形条件で射出成形するとヒケの発生を押さえることが可能となる。
又、インキ収容管12内には剪断減粘性を有する水性のインキ13が充填され、更にインキ13の後端にインキの消耗と共にインキ面に接触して追随して移動可能なグリース状又はゲル状のフォロア14が配設されている。また上記インキ収容管12はポリエチレン、PP樹脂(ポリプロピレン)、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂からなる成形体が、インキの低蒸発性、生産性の面から使用可能であるが、通常は略透明のPP樹脂成形品等が使用される。尚、インキ収容管の内径が常に一定のものを使用するのであれば継ぎ手11は必ずしも必要とせず、チップ8を直接インキ収容管に固着することができる。
ところでボールペンリフィールに低粘度油性インキが用いられた場合にはチップ先端部の乾燥の問題がない。又、先端ボール径が0.5mm以下(0.3mm、0.4mmの細字用)の場合には、先端ボールとチップ抱持部の縦ガタを小さく、且つチップ内のインキ流路が細く、更にインキ収容管の外径を3〜3.5mmとすることで、上述したようなインキの直流及び逆流防止機構を設けない場合でもインキの直流及び逆流が防止可能であり、複式筆記具用のボールペン筆記体の替え芯として筆記寿命を含めて十分使用満足感のあるものが提供可能である。しかしながら、剪断減粘性を有する水性インキ、先端ボール径が0.5mm以上した場合、インキ収容管を長くしたりインキ収容管を薄肉の金属管と成して内孔を拡げてインキの充填量を大きくした場合、又、インキを更に低粘度とした場合などには上述したようなインキの直流及び逆流防止機構が必要に応じて組み込まれる。
また先軸15は、透明で握り部に略不透明(不透明または軸継ぎ手の形状や色が不明瞭に見える程度)なグリップ16が被覆され、少なくともグリップの前方とグリップの後方が透視可能となされている。グリップ16は先軸に別部材として被嵌あるいは先軸の成形時に於いて2色成形などで形成される。従って、各筆記体の後方部位が先軸のグリップ後方の透明部15aから視認可能となる。またボールペンリフィール7の継ぎ手11は略透明と成された場合、図1に示すように筆記先端部が先軸の先端口から突出した状態に於いて、継ぎ手11が先軸先方の透明部から視認可能となるのでインキの残量や色が容易に確認できる。又、略透明とした継ぎ手の後方にステンレス等の薄肉筒状のインキ収容管を固着すれば、インキの充填量を増やすことができ筆記寿命を延ばすことが可能となる。尚、金属製のインキ収容管はPP樹脂成形品に対して、より細く、インキ充填量をより多く、インキの揮発減量を確実に防止する点で優れている。
本発明のボールペンリフィールは、チップの軸部8aの外周には周状の溝8bが形成され、前軸部11bの内孔部11eに突部11fが形成されて、チップ8を内孔部11eに圧入した時に上記溝8bに突部11fが係合してチップの固着力が増強されている。因みに、係合部を設けない場合の固着力(チップが抜ける力)が略9.8Nなのに対し係合部を設けると24.5Nに増強される。またPP樹脂製の継ぎ手は圧入力だけでは温度変化によるクリープでさらに低下するが、係合力の低下は特に影響されないので経時的には係合部を備えた場合の固着の信頼性は高い。チップの固着力を上げる理由は、耐落下や耐ノック衝撃、筆記時の耐曲げ強度などによる。またボールペンリフィールが長期間未使用状態にあるとき、初期品質が維持されるようにペン先にホットメルト樹脂によるシール部が設けられる。このシール部は筆記時に指先で除去されるが、そのときチップに対し4.9N〜9.8N程度の引抜き力がかかる可能性があり、それに耐える必要がある。また押し出し成形用の略透明なPP樹脂グレードを使用して所定の成形条件で射出成形することによりヒケの発生を押さえることが可能となり、上述した気泡が残留することによって生じるインキの逆流や筆記不良などの問題が解消可能となると共にインキの残量や色の視認性が明確となる。特にインキ収容管が金属製の場合に必須の条件となる。
次に本発明のボールペンリフィールを複式筆記具に搭載したものについて説明する。図1は複数本の筆記体を有するものであるが、図示が複雑となるため一本の筆記体を搭載した状態で他を省略して示している。先ず、ノック操作部材6の後端部6aをノックして軸先方に摺動させ、後端部を後軸1の軸部1d先端の端部1gに係合させるとボールペンリフィール7の筆記先端部が先軸先端口から突出する。この状態からクリップ2の先端部を後軸側面から離反する方向に可動させると、それと連動して脚部のカム部2bが係止ピン4のカム面4bを押圧して前進させ、傾斜状の段部4cがノック操作部材6の突起6bに当接し、後端部と軸部前端の端部1gとの係止状態を解除して筆記先端部は軸先端口より先軸15内に没入する。又、他の筆記体の場合も同様に作用する。
又、筆記先端部が先軸の先端口から突出した状態でクリップ2をポケット等に差した場合、上述したように筆記先端部が先端口内に没入するので筆記先端部で服を汚す心配がない。尚、クリップの玉部2dが軸筒の孔部1eに深く没入しているので、例え薄地の服であってもクリップ先端部の離反ストロークは十分確保され、従ってノック操作部材の係止が確実に解除可能となる。また各ボールペンリフィールが先軸の先端口から突出した状態に於いて、継ぎ手が先軸先方の透明部から視認され、目下突出した筆記体の描線色が何色か明瞭に表示される。
1 後軸
1a 窓孔
1b 縦溝
1c スリット
1d 軸部
1e 孔部
1f 窓部
1g 端部
2 クリップ
2a 脚部
2b カム部
2c 軸支部
2d 玉部
3 接合部材
3a 筒部
3b 小孔
3c 孔
3d 係合部
3e 係合部
4 係止ピン
4a 溝
4b カム面
4c 段部
4d 段部
5a スプリング
5b リターンスプリング
6a 後端部
6b 突起
6c 前段部
7 ボールペンリフィール
8 チップ
8a 軸部
8b 溝
8c カシメ部
8d 空気流通路
9 先端ボール
10 コイルスプリング
10a 棒軸部
10b 座巻き部
11 継ぎ手
11a 鍔部
11b 前軸部
11c 後軸部
11d 貫通孔
11e 内孔部
11f 突部
11g 段部
12 インキ収容管
13 インキ
14 フォロア
15 先軸
15a 透明部
16 グリップ
17 継ぎ手
18 ヒケ
19 継ぎ手
19a 段部
19b 貫通孔
19c 内孔部
20 チップ
20a カシメ部
1a 窓孔
1b 縦溝
1c スリット
1d 軸部
1e 孔部
1f 窓部
1g 端部
2 クリップ
2a 脚部
2b カム部
2c 軸支部
2d 玉部
3 接合部材
3a 筒部
3b 小孔
3c 孔
3d 係合部
3e 係合部
4 係止ピン
4a 溝
4b カム面
4c 段部
4d 段部
5a スプリング
5b リターンスプリング
6a 後端部
6b 突起
6c 前段部
7 ボールペンリフィール
8 チップ
8a 軸部
8b 溝
8c カシメ部
8d 空気流通路
9 先端ボール
10 コイルスプリング
10a 棒軸部
10b 座巻き部
11 継ぎ手
11a 鍔部
11b 前軸部
11c 後軸部
11d 貫通孔
11e 内孔部
11f 突部
11g 段部
12 インキ収容管
13 インキ
14 フォロア
15 先軸
15a 透明部
16 グリップ
17 継ぎ手
18 ヒケ
19 継ぎ手
19a 段部
19b 貫通孔
19c 内孔部
20 チップ
20a カシメ部
Claims (2)
- 継ぎ手の先端にボールペンのチップを、後方にインキ収容管を有し、チップに内挿されたコイルスプリングの先方でチップ先端部に回転自在に抱持された先端ボールの背面を押圧して先端ボールがチップのボール抱持部の内縁に密接され、インキ収容管には基本的には低粘度であるが、静的には高い粘性を有し、筆記時の先端ボールの回転で粘性が低下してインキが流出される、所謂剪断減粘性を有した水性インキが充填され、インキの後端にはインキの消耗と共に追随するグリース状の半透明不乾性物から成るフォロアが設けられて成るボールペンリフィールに於いて、当該ボールペンリフィールは、筆記先端部を先端口から出没可能とした筆記具に搭載されるボールペンリフィールであって、継ぎ手をPP樹脂成型品となし、継ぎ手先端孔内周とチップ圧入部外周にそれぞれ突部と溝が形成され、相互間が係合されてなるボールペンリフィール。
- 継ぎ手とインキ収容管を略透明なPP樹脂成型品としたことを特徴とする請求項1に記載のボールペンリフィール。
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---|---|---|---|
JP2010013467A JP2010089517A (ja) | 2010-01-25 | 2010-01-25 | ボールペンリフィール |
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Country | Link |
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