JP3832885B2 - ボールペンレフィル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インキ収容筒に剪断減粘性を有するインキと該インキの後部にグリース状のインキフォロアーを収蔵し、先端孔にボールペンチップを後端に通気手段を設けた尾栓を嵌着させたボールペンレフィルに関する。
【0002】
【従来の技術】
ボールペン用の高粘度油性インキを直接インキ収容筒に収蔵し、該インキの後部にインキの逆流防止剤としてグリース状のインキフォロアーが装填され更に、インキ収容筒の後端に通気手段を有する尾栓を止着すると共に、インキ収容筒の先端孔にボールペンチップを嵌着させて成るボールペンレフィル(図5参照)は、インキ収容筒の内径が大きい部類のボールペンレフィルとして又、軸筒先端開口部よりその筆端部を出し入れする出没機構を備えた軸筒内に装着されたノック式ボールペン用レフィルとしても良く知られている。
【0003】
上記の類のボールペンレフィルにあっては、収蔵するボールペン用インキが粘度の低い水性インキを用いたものに実開平6−53185号が又、本発明と同様の静的には高い粘度を有し筆記時のボールの回転で粘度が低下してインキが流出される剪断減粘性を有するインキを用いたものに実開平6−83378号が開示される等、書き味の良さや機能性,経済性を追求した改良が種々加えられてきている。
【0004】
又、本発明で用いるインキ収容筒は、チップを保持するチップホルダー部材とインキを収蔵するインキ収容部材が別体で存在し、これを一体化してインキ収容筒にして用いるものを含むものであるが、この種のインキ収容筒は、チップ嵌合部周辺に特殊な細工をする例えば実開平6−83379号のような場合や、簡便にしかも廉価に大容積のインキ収容部を持つインキ収容筒を得る手段として、従来例として示した図6のレフィルのようにその用途に応じ一般的に用いられている技術である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
滑らかな筆記感触で鮮明な筆跡が得られる剪断減粘性を有するインキを収蔵して成るボールペンは、静的な状態ではインキが高い粘度に保たれるが、ボールが回転するとボールとの接触面でズリ作用が生じ瞬時に粘度が低下し流動性があるインキに変化するものであるから、衝撃がレフィルに加わった状態を想定すると、従来例で示した図5及び図6のレフィルではインキ収容筒とインキの接触面でズリ作用が生じ、インキの自重がチップを上向きの状態ではインキフォロアーに又、チップを下向きの状態ではボールに衝撃力となって加圧されることになる。インキフォロアーの場合は、その粘稠度とインキ収容筒内壁面との濡れ性等物理的性能で補えるが、ボールへの衝撃荷重を支えるものはボールを抱持するチップ先端縁のかしめ加工による抱持力のみである。又、チップ先端縁の肉厚はボール径が小さくなるにつれ薄くなり、加えてボールの露出量も小さくなることから筆記に際し先端縁が紙面に接触し易くなる。従って、先端縁の磨耗と共にボール抱持力が低下し支え切れなくなった時ボールが脱落することになる。
【0006】
更に、この種のレフィルをチップが下向き状態で携行するノック式ボールペンの軸筒内に収納すると、仮にボール脱落がない場合でも長時間放置されると、チップ先端よりインキが漏出して垂れ下がり軸筒内をインキで汚したり、ひどい場合は衣服を汚してしまうことになるので、キャップ式ボールペンでチップが上向き状態で携行されるタイプに用いるか、キャップ内にチップ先端部を被覆できるゴムパッキンを装填して、インキ漏出を防止するなどの対応がなされていたものである。本発明は滑らかな筆記感触で鮮明な筆跡が得られる剪断減粘性を有するインキを用い且つ、ノック式ボールペンの軸筒内に収納されるレフィルにあって、チップが下向き状態にある時衝撃力が加わって起こるボール脱落と、同様にチップを下向き状態で放置しておくと発生するチップ先端からのインキ漏出を、簡便な手段により防止することを意図するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる状態に鑑みてなされたものであって、インキ収容筒に剪断減粘性を有するインキと該インキの後部にグリース状のインキフォロアーを収蔵し、インキ収容筒の先端孔にボールペンチップを、後端に通気手段を設けた尾栓を嵌着させて成るボールペンレフィルを前提に、インキ収容筒がチップが嵌着する先端孔を有するチップホルダー部材とインキ収容部材を合体して形成するものにあって、チップホルダー部材の外周上にインキ収容部材の先端面に当接する突当鍔部を設け、該突当鍔部より後部をインキ収容部材との嵌合部に形成し更に、該嵌合部には先端孔に通ずる径方向に穿設した横溝と、該横溝とインキに面する後端面に連通してインキ流通路となる軸心方向に延びる縦溝をその外周に穿設することをもって、課題とした一方の衝撃によるボール脱落の防止手段とするものである。
【0008】
又、もう一方のチップ先端からのインキ漏出については、ボールペンチップのボールを抱持する先端縁かしめ部内壁面にボールをコイルスプリングで直接又は、押圧部材を介して常に弾発するように構成し、かしめ部内壁面とボールが当接する弁作用によりチップ先端からのインキ漏出を防止するもので、これを先記の衝撃によるボール脱落の防止手段に併せ用いることにより、相方の手段が相まってチップが下向き状態において衝撃が加わりインキが挙動しても、インキ収容筒の隔壁部後端面或いは、チップホルダー部材の嵌合部後端面でインキ圧力を受け止めることになるので、ボールにインキ全量の衝撃を含む圧力が及ばずボールに加わる圧力は極く微圧に保たれ、衝撃によるボール脱落が完全に防止でき且つ、かしめ部内壁面にボールが当接する弁作用でチップ先端からのインキ漏出も防止できたので、ボール脱落やチップ先端からのインキ漏出によって軸筒や衣服を汚す心配が解消され、チップを下向き状態で携行するノック式に適した書き味の良いボールペンレフィルを得ることができたものである。
【0009】
【実施例】
以下、本発明の実施の形態を実施例を示した図面を基に説明する。なお、実施例を示す各図の説明において同目的で使用される部材及び部位を示す符号は同符号を用いて説明する。
【0010】
図1はチップが下向き状態で携行されるノック式に適した本発明の第1実施例であるボールペンレフィルの縦断面図である。第1実施例のボールペンレフィルは、インキ収容筒1のインキ収容部1cに剪断減粘性を有するインキ2と、該インキの後部にグリース状のインキフォロアー3を収蔵し、その先端孔1aにボール6をコイルスプリング7で先端縁かしめ部4bの内壁面に押圧させたボールペンチップ4を、後端に通気手段を設けた尾栓5をそれぞれ嵌着して構成されている。
【0011】
図2は本発明の第2実施例であるボールペンレフィルの縦断面図である。第2実施例のボールペンレフィルは、インキ収容筒1がチップホルダー部材9とインキ収容部材10を結合して形成され、内部には剪断減粘性を有するインキ2を収蔵し、該インキの後部に逆流防止剤のグリース状のインキフォロアー3を装填し、チップホルダー部材の先端孔9aにボールペンチップ4を、ボール6を押圧部材8を介してコイルスプリング7で先端縁かしめ部4bの内壁面に押圧するように配して嵌着し、後端に通気手段を設けた尾栓5を止着して構成されている。
【0012】
第1実施例のインキ収容筒1は、ポリプロピレン等の樹脂材料を用い射出成形によって量産化したものを用いるが、先端小径部1bのチップ4が嵌着する先端孔1a内にあってチップ嵌着部4aより後方位置に、当該先端孔1aと先端孔を有する小径部より径大のインキ収容部1cに連通し且つ、筆記によるインキ追従性能を十分満足させる横断面積をもつインキ流通溝1dを有する軸心方向に延びる隔壁部1eを形成し又、第2実施例のチップホルダー部材9とインキ収容部材10を結合して形成されたインキ収容筒1は、チップと嵌着する先端孔9aを有するチップホルダー部材の外周上にインキ収容部材の先端面10aに当接する突当鍔部9bを設け、該突当鍔部より後部をインキ収容部材との嵌合部9cに形成し更に、該嵌合部には先端孔に通ずる径方向に穿設した横溝9dと、該横溝とインキ2に面する後端面9eに連通してインキ流通路となる軸心方向に延びる縦溝9fをその外周に穿設して、それぞれ耐衝撃構造としたものである。
【0013】
本発明が意図するインキ収容筒1の耐衝撃構造は、レフィルに衝撃力が加わることによって剪断減粘性を有するインキ2がインキ収容筒の接触面でズリ作用を起こし粘度が低下して挙動し、チップ4が下向き状態ではインキの重量を伴う衝撃荷重が、チップの先端縁かしめ部4bで抱持されているボール6に直接的に作用し、その衝撃荷重がボールの抱持力を上回ると発生するボール脱落事故を防ごうとするものであって、先記した隔壁部1eの形状は図1のA−A横断面図である図3に示す如く、インキ流通溝1d以外を壁面とするものであるから、隔壁部の後端面1fはズリ作用を起こして挙動したインキの衝撃荷重の殆どを受け止め、ボールに加わる圧力を極く微圧にとどめさせる働きをなすものである。又、チップホルダー部材嵌合部9cのインキ流通路は図2のB−B矢視横断面図である図4に示す如く、軸心方向に穿設された縦溝9fを経て径方向に穿設された横溝9dで先端孔9aに連なっており、インキと面する嵌合部の後端面9eは、インキ流通路を形成する縦溝以外を壁面とするもので、先記の隔壁部後端面1fと同様の効果を奏するものである。なお、筆記時におけるインキ追従性能を満足させるインキ流通溝1d又は、縦溝9fの横断面積は0.2mm2 以上で且つ、ボール脱落に影響しない断面積の範囲で設定されると良い。
【0014】
又、本発明はチップ4が下向き状態で放置されると、チップ先端からインキ2が漏出し垂れ下がる欠陥に対処して、チップ先端縁かしめ部4bの内壁面にボール6を常時当接させるべくコイルスプリング7の弾発力を直接又は、押圧部材8を介して作用させる弁機構を先記の耐衝撃構造に併用させるものであって、第1実施例ではチップ先端縁かしめ部内壁面にボールを直接コイルスプリングの先端部で押圧し且つ、コイルスプリングの後端部をチップに圧着させ構成した例を又、第2実施例ではボールとコイルスプリングの間に押圧部材を介在させ、チップ先端縁かしめ部内壁面にボールを当接させると共に、コイルスプリングの後端部はチップホルダー部材9の先端孔9a内で保持するよう構成した例を示したものである。
【0015】
【発明の効果】
本発明は以上の構成により、チップが下向き状態で携行されるノック式ボールペンに用いるレフィルに、従来の水性ボールペンと同様の滑らかな筆記感触で鮮明な筆跡が得られる、静的には高い粘度を有するが筆記時にはボールの回転により粘度が低下する剪断減粘性を有するボールペンインキを用いることができるように改善されたものであって、インキの追従性能は基より他の筆記性能に対して影響を及ぼすことなく、先記の如くの簡便な手段でボール脱落事故を未然に防止すると共にチップ先端からのインキ漏出を防止できたものである。これにより、ボールの脱落によってインキが流出し衣服を汚す心配が解消され、チップ先端からのインキ漏出の心配も解消されたので、安心してチップを下向き状態で携行するノック式ボールペンに使用できる書き味の良いボールペンレフィルが提供できたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例であるボールペンレフィルの縦断面図である。
【図2】本発明の第2実施例を示したボールペンレフィルの縦断面図である。
【図3】図1のA−A横断面図である。
【図4】チップホルダー部材のインキ流通路を示す図2のB−B矢視横断面図である。
【図5】従来例のボールペンレフィルを示す縦断面図である。
【図6】従来例のボールペンレフィルを示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 インキ収容筒
1a 先端孔
1c インキ収容部
1d インキ流通溝
1e 隔壁部
1f 後端面
2 インキ
3 インキフォロアー
4 ボールペンチップ
4a 嵌着部
4b 先端縁かしめ部
5 尾栓
6 ボール
7 コイルスプリング
8 押圧部材
9 チップホルダー部材
9a 先端孔
9b 突当鍔部
9c 嵌合部
9d 横溝
9e 後端面
9f 縦溝
10 インキ収容部材
Claims (1)
- 先端孔を有するチップホルダー部材とインキ収容部材を合体させて成るインキ収容筒に、剪断減粘性を有するインキと該インキの後部にグリース状のインキフォロアーを収蔵し、その先端孔にボールペンチップを後端に通気手段を設けた尾栓を嵌着させて成るボールペンレフィルにおいて、前記インキ収容筒(1)のチップホルダー部材(9)の外周上にインキ収容部材(10)の先端面(10a)に当接する突当鍔部(9b)を設け、該突当鍔部より後部をインキ収容部材との嵌合部(9c)に形成し更に、該嵌合部には先端孔(9a)に通ずる径方向に穿設した横溝(9d)と、該横溝とインキ(2)に面する後端面(9e)に連通してインキ流通路となる軸心方向に延びる縦溝(9f)をその外周に穿設すると共に、前記ボールペンチップ(4)のボール(6)を抱持する先端縁かしめ部(4b)内壁面にボールをコイルスプリング(7)で直接又は、押圧部材(8)を介して常に弾発するように構成したことを特徴とするボールペンレフィル。
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