JP6326285B2 - 出没式筆記具 - Google Patents
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Description
ところで、このような出没式筆記具では、前記解除の際に、後端ノック部に手指が掛けられることなく、中芯がコイルスプリングの付勢力により勢いよく後退するため、その際の衝撃によりインクや進退機構等に支障をきたすおそれがある。
これに対し、例えば、特許文献1に記載の従来技術では、手指で後端のノック部(6)が押動操作されることで筆記部(3)が突出し、手指で同ノック部(6)が再度押動操作されることで同筆記部(3)が没入するようにしているので、前記没入の際の衝撃を比較的小さくすることができる。
この構成によれば、筆記部を没入させた初期位置において後端ノック部が前方へ押動操作されると、進退部材及び回動部材が前進して、該回動部材の係止突起が、軸筒周壁の前側被係止部に挿入されて係止される。
また、前記係止状態において後端ノック部が前方へ押動操作されると、係止部材が弾性変形して軸筒内周面側へ潜りこみ、回動部材が、前記摺接突起と前記カム斜面との摺接により周方向へ回動し、この回動部材と共に回動する前記係止突起が、前記前側被係止部に対し係止不能な位置となる。したがって、進退部材は、付勢部材の付勢力により後退する。
また、前側被係止部及び後側被係止部の具体例としては、前記係止突起を軸筒径外方向へ挿入して係止する貫通孔または凹部が挙げられる。
この構成によれば、進退部材の前進により係止突起が前側被係止部に挿入され、進退部材に後方への付勢力が加わると、係止突起は、ガイド傾斜面に沿って後退し被係止凹部に係止される。そして、この係止状態から、進退部材が前進すると、係止突起が被潜入部から軸筒内周面側へ潜り込む。
この構成によれば、係止突起が初期位置から前進する際、係合突起が被係合突起の側面に接触するため、係合突起及び回動部材の前記一方向への回動を規制して、前進する係止突起を前側被係止部へ導くことができる。また、係止突起がガイド傾斜面に沿って後退する際には、ガイド傾斜面の抵抗を受ける回動部材に相対し進退部材が後方側へ微動するため、被係合突起が係合突起よりも後方側に位置し、回動部材が回動可能な状態になる。そして、係止突起がガイド傾斜面に沿って更に後退すると、回動部材の回動に伴い、被係合突起が係合突起の後側に回り込む。よって、この後、進退部材が係止状態から前進する際には、回動部材の回動が被係合突起と係合突起との係合により妨げられることなく、回動部材は、摺接突起とカム斜面との摺接により前記一方向へスムーズに回動する。
この構成によれば、係止状態が解除されて後退した回動部材を、係止突起を戻し傾斜面に滑らせることで、元の周方向位置に戻すことができる。
なお、本明細書中、軸筒軸方向とは、軸筒の中心線の延びる方向を意味する。また、「前」とは、軸筒軸方向の一方側であって筆記部の先端方向を意味する。また、「後」とは、軸筒軸方向の前記一方側に対する逆方向側を意味する。また、「軸筒径方向」とは、軸筒軸方向に対し直交する方向を意味する。また、「軸筒径外方向」とは、前記軸筒径方向に沿って軸筒中心から離れる方向を意味する。「軸筒径内方向」とは、前記軸筒径方向に沿って軸筒中心へ近づく方向を意味する。
そして、この出没式筆記具1は、筆記部25を没入させた初期位置(図1(a)参照)にて後端のノック部22が前方へ押動操作された際に中芯ユニット20を前進させて該中芯ユニット20前端側の筆記部25を軸筒前端から突出させた係止状態になり(図1(b)参照)、この係止状態にて前記ノック部22が再度押動操作された際に付勢部材24aの付勢力により中芯ユニット20を後退させて前記初期位置に戻す。
この軸筒10の前端側には、筆記部25を出没させるための先細筒状の先口部11が設けられる。また、同軸筒10の後端側には、中芯ユニット20を後方から挿入するための開口部12が設けられる。
また、軸筒10の後部寄りの周壁には、中芯ユニット20を軸筒10に係脱するための前側被係止部13および後側被係止部14と、中芯ユニット20を回転不能に進退させるガイド溝15(図5参照)とが設けられる。
また、軸筒10の内周面には、後述する回動部材を回動させるための摺接突起16が設けられる。
詳細に説明すれば、この前側被係止部13は、図2に示すように、係止突起23aが初期位置から前進した際の係止突起23aを軸筒径外方向へ挿入させる被挿入部13aと、該被挿入部13aよりも後側にて、係止突起23aを後方斜め周方向へ案内するガイド傾斜面13bと、該ガイド傾斜面13bの後端側で係止突起23aを係脱可能に係止する被係止凹部13cと、該被係止凹部13cに係止された状態から前進した際の係止突起23aを、傾斜面23a21により滑らせて軸筒内周面側へ潜り込ませる被潜入部13dとを有する。
ガイド傾斜面13bは、図示例によれば、直線状の傾斜面としているが、曲面とすることも可能である。
被係止凹部13cは、ガイド傾斜面13bの後端側部分と、該部分に対し周方向に対称に並ぶ傾斜面とによって平面視略V字状に形成され、後退した際の係止突起23aを横振れ等しないように安定的に係止する。
被潜入部13dは、被挿入部13aに対し周方向に並ぶ位置において、被挿入部13aの前端縁よりも後方へ突出するように形成される。
この後側被係止部14は、図2に示すように、筆記部25を突出した係止状態から後退した際の係止突起23aを軸筒径外方向へ挿入させる被挿入部14aと、該被挿入部14aよりも後方側にて、後退する際の係止突起23aを後方斜め周方向へ滑らせて初期位置に戻す戻し傾斜面14bと、係止突起23aを初期位置に保持する保持凹部14cと、該保持凹部14cから前進する際の係止突起23aを前方へ導く前進ガイド部14dとを有する。
戻し傾斜面14bは、前側被係止部13のガイド傾斜面13bに対し反対向きに傾斜する傾斜面であり、後退する際の係止突起23aを滑らせることで、回動部材23を元の周方向位置まで回動させる。
保持凹部14cは、前記のように斜めに後退した係止突起23aが挿入されるように、前方へ開口した平面視凹状に形成される。
前進ガイド部14dは、保持凹部14cの前方に連続する空間を確保している。
このガイド溝15は、図示例によれば、軸筒周方向において、前側被係止部13及び後側被係止部14に対し角度180°ずれた位置に設けられ、軸筒10周壁を径方向へ貫通し、前後方向へ連続する長尺状の孔である。
このガイド溝15は、後述する進退部材21のガイド突起21aを挿入し前後方向へ案内する。したがって、進退部材21は、ガイド突起21aとガイド溝15との係合により回転不能な状態に維持されて、前後方向へ進退する。なお、図5中の符号15aは、ガイド溝15の後端壁であり、軸筒10周壁の一部分である。
当該出没式筆記具1の製造段階において、軸筒10内に後方側から中芯ユニット20が挿入される際、ガイド突起21aは、先ず導入溝15bに挿入され、軸筒10の周壁を弾性変形させながら、前記後端壁15aを径内方向へ乗り越えるようにして、ガイド溝15に嵌り合う(図5参照)。
よって、中芯ユニット20は、軸筒10から後方へ抜けないように保持される。
この摺接突起16は、軸筒10の内周面から径内方向へ突出するとともに軸筒後方へ延びる縦リブ状に形成され、その後端部に傾斜面16aを有する。この傾斜面16aは、後述する回動部材23のカム斜面23bと略平行するように傾斜している。
なお、他例としては、この傾斜面16aを、傾斜面の無い突起や、突曲面とすることも可能である。
この進退部材21は、図3にしめすように、外周面に、回動部材23の前方への移動を規制する前側規制突起21bと、該前側規制突起21bよりも後側で回動部材23の後方への移動を規制するとともに後述する回動部材23の係合突起23c(図5参照)に係脱する被係合突起21cとを有する。
回動部材23の前端側には、前方斜め軸筒中心側へ傾斜する傾斜面23a21が設けられる。この傾斜面23a21は、隆起部23a2が軸筒10内周面側へ潜り込む際に、その摩擦抵抗を軽減する。
この係合突起23cは、図示例によれば、係脱対象である被係合突起21cと同様に、角度180°対称に二つ設けられる。なお、他例としては、係合突起23c及び被係合突起21cをそれぞれ単数とすることも可能である。
そして、この回動規制凹部23dは、回動部材23が周方向の一方へ回動した際に、前記端面の一方を、対応する一方の回動規制突起21dに当接させて、その回動量を規制し、同回動部材23が周方向の他方へ回動した際には、前記端面の他方を、対応する他方の回動規制突起21dに当接させて、その回動量を規制する。
この筆記部開閉機構24は、筆記部25が軸筒10内へ没入した初期位置では、ベルト状部材24dによって蓋部材24bの閉鎖状態を維持し、軸筒10に相対し中芯ユニット20が前進した際には、ベルト状部材24dを軸筒10内周部に係合させることで蓋部材24bの前端面から外し、蓋部材24bを解放して筆記部25を露出させる。
先ず、筆記部25を軸筒10内に没入させた初期位置(図1(a),図5(a),図7(a1)(a2))では、係止突起23a(詳細には隆起部23a2)が、後側被係止部14内後端側の保持凹部14cに保持されている(図7(a1)参照)。
なお、図7(a1)によれば、後側被係止部14内の隆起部23a2と、保持凹部14c内後端縁の間に隙間があるが、この隙間は、隆起部23a2を若干前後に移動可能にする遊び空間であり、軸筒10内への中芯ユニット20(詳細には進退部材21)の組付けを容易にする。
さらに、中芯ユニット20が前進すると、係止突起23aの隆起部23a2は、軸筒10の内周面に沿って前進する。この前進の際、進退部材21のガイド突起21aが軸筒10周壁のガイド溝15(図5参照)に案内されるため、中芯ユニット20の周方向への回転は阻まれる。また、中芯ユニット20が前進してゆくと、筆記部開閉機構24が軸筒10と係合して蓋部材24bを徐々に開放してゆき、筆記部25を露出させる。
この前進の途中、進退部材21側の被係合突起21cが、回動部材23側の係合突起23cの周方向端面に接触することで(図7(a2)参照)、回動部材23の解除方向(図7によれば下方向)への回動が阻止される。
また、この前進の終盤においては、図8(b2)に示すように、回動部材23側のカム斜面23bが、軸筒10側の摺接突起16の周方向の一方側(図指例によれば上側)に位置する。
これらの作用により、前記押動操作の途中や終盤で、回動部材23が解除方向(図7及び図8の下方)へ回転して、隆起部23a2が軸筒10内周面側へ潜り込み、該隆起部23a2が前側被係止部13に係止されないまま、中芯ユニット20が付勢部材24aの付勢力により後退してしまうのを防ぐことができる。
また、回動部材23のカム斜面23bは、図8(b2)〜図9(c2)に示すように後退して、軸筒10側の摺接突起16に対し、摺接可能な位置となる。
さらに、係止突起23aは、後側被係止部14内において戻し傾斜面14bを滑って行き、保持凹部14cに嵌り込んで初期位置に戻る。
10:軸筒
13:前側被係止部
13b:ガイド傾斜面
14:後側被係止部
14b:戻し傾斜面
16:摺接突起
20:中芯ユニット
21:進退部材
21a:ガイド突起
21b:前側規制突起
21c:被係合突起
21d:回動規制突起
23:回動部材
23a:係止突起
23a1:撓み片部
23a2:隆起部
23b:カム斜面
23c:係合突起
23d:回動規制凹部
25:筆記部
Claims (5)
- 筆記部を没入させた初期位置にて後端のノック部が前方へ押動操作された際に、軸筒内の進退部材を前進させて該進退部材前端側の筆記部を軸筒前端から突出させた係止状態になり、この係止状態にて前記ノック部が押動操作された際に前記係止状態を解除して付勢部材の付勢力により前記進退部材を後退させるようにした出没式筆記具において、
前記進退部材の外周部に、前記進退部材と共に進退可能であって且つ前記進退部材に対し周方向へ回動可能な回動部材を設けるとともに、該回動部材に、軸筒径内方向へ弾性変形可能な係止突起を設け、
前記軸筒の周壁に、前記初期位置から前進した際の前記係止突起を軸筒径外方向へ挿入させて係止可能な前側被係止部と、前記係止状態が解除されて後退した際の前記係止突起を軸筒径外方向へ挿入させて係止可能な後側被係止部とを設け、
前記軸筒の内周面と前記回動部材とのうちの一方に、摺接突起を設けるとともに、その他方にはカム斜面を設け、
前記進退部材が前記係止状態から前進した際に、前記係止突起が弾性変形して軸筒内周面側へ潜り込み、前記摺接突起と前記カム斜面との間を滑らせて前記回動部材が一方向へ回動し、この回動により前記係止突起が前記前側被係止部に対し係止不能な位置になるようにしたことを特徴とする出没式筆記具。 - 前記前側被係止部は、前記係止突起を、後方斜め周方向へ案内するガイド傾斜面と、該ガイド傾斜面の後端側で前記係止突起を係脱可能に係止する被係止凹部と、該被係止凹部に係止された状態から前進した際の前記係止突起を、軸筒内周面側へ潜り込ませる被潜入部とを有することを特徴とする請求項1記載の出没式筆記具。
- 前記回動部材に、前記進退部材の外周部に沿って後方へ突出する係合突起を設け、前記進退部材の外周部に、前記係合突起に係脱可能な被係合突起を設け、前記回動部材を前記進退部材に対し前後方向へ相対的に微動するように設け、
前記係止突起が前記初期位置から前進する際に、前記係合突起を前記被係合突起の側面に接触させることで、前記係合突起及び前記回動部材の前記一方向への回動を規制し、前記係止突起が前記ガイド傾斜面に沿って後退する際に、前記被係合突起が前記係合突起よりも後方側へ移動するようにしたことを特徴とする請求項2記載の出没式筆記具。 - 前記後側被係止部は、後退する際の前記係止突起を滑らせて、前記回動部材を元の周方向位置まで回動させる戻し傾斜面を有することを特徴とする請求項1乃至3何れか1項記載の出没式筆記具。
- 前記回動部材は、前記進退部材の外周部に環状に装着されていることを特徴とする請求項1乃至4何れか1項記載の出没式筆記具。
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