JP6372924B2 - ポリオレフィン系熱収縮性フィルム - Google Patents
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Description
またこの解決方法として酸変性した改質オレフィンやその他のイオン性を有する改質オレフィンをベースとなるオレフィンに適量混合することによってインキ接着性と熱収縮包装を両立させることが提案されている。しかしながらインキ接着性は改善されるものの溶断シール強度向上には限定された効果しか得られず、インキ接着性と包装適性の両立ができず実用性は低かった。
すなわち本発明は、
(1)ポリオレフィンかならなる熱収縮性フィルムであって、120℃のMD及びTDの熱収縮率が10〜70%であり、少なくとも片方の表面層の組成がA及びBの混合樹脂で構成され、AとBの比が重量当たり97/3〜40/60であることを特徴とする接着性に優れた二軸延伸ポリオレフィン系熱収縮性フィルム
A:JISK7206に準じ10N及び昇温速度 50℃/時間で測定した軟化点が100〜135℃であり、MFRが0.5〜6ポリプロピレン樹脂
B:ポリエーテルとポリオレフィンのブロック共重合体であり、表面固有抵抗値が107〜1010Ωの変性ポリオレフィン樹脂又はJISK2207で測定した軟化点が85〜135℃である水添テルペン樹脂
(2)A及びBの混合で構成される表面層の厚みが0.1μm以上であることを特徴とする(1)記載の二軸延伸ポリオレフィン熱収縮性フィルム
(3)フィルムのヘーズが7%未満である(1)又は(2)記載の二軸延伸ポリオレフィン熱収縮性フィルム
に係るものである。
本発明における表面層に用いられるポリプロピレン樹脂は、JISK7206に準じ10N及び昇温速度50℃/時間で測定した軟化点が100〜135℃である。軟化点が100℃未満だと室温付近で収縮が起こる場合があり好ましくない。また軟化点が135℃以上だと熱収縮包装時のトンネル温度が過剰に高くなるばかりでなく、良好な熱収縮率を得ることができない。
ポリプロピレン樹脂のMFRは、0.5〜6である。より好ましくは1〜4である。MFRが0.5より小さいと押出時の負荷が高くなるばかりでなく、混合する他樹脂との混練が難しくなるので好ましくない。またMFRが6より大きいと後に述べる高速包装時のシール性の低下が大きく好ましくない。本発明に用いられるポリプロピレン樹脂は軟化点とMFRが既定の範囲にあれば1種ないしは2種以上の混合物でも構わない。例えば高い軟化のポリプロピレン樹脂に低軟化点のポリプロピレンを混合して使用することにより、目的に軟化点に調整することができる。ポリプロピレン樹脂とはプロピレンを主原料としα−オレフィンの共重合体、例えばプロピレン−エチレン、プロピレン−ブテン共重合体、及びプロピレン−エチレン−ブテン3元共重合体等により軟化点を適宜調整できる。
一つはポリエーテルとポリオレフィンのブロック共重合体であり、表面固有抵抗が107〜1010Ωの変性ポリオレフィン樹脂である。ポリエーテルはイオン性を有しないがそのエーテル結合により極性を有しインキ等との接着性を発現する。またこのブロック共重合体はポリプロピレン樹脂との相溶性に優れ透明性を阻害しないばかりか包装時の溶断シール性の低下が極めて少ない。表面固有抵抗値が107Ω未満だとポリエーテル成分が多くなりポリプロピレン樹脂との相溶性が悪くなり好ましくない。また1010Ωより大きいとインキ接着性の向上効果が不十分となり好ましくない。ポリエーテルとポリオレフィンのブロック共重合体のMFRは190℃、21.18Nで0.2〜20が好ましい。これを外れると混合するポリプロピレン樹脂との混練が難しくなる。
本発明のフィルムのヘーズは7%未満が好ましい。ポリプロピレン樹脂と改質樹脂の混合層はその良好な相溶性によって透明性を阻害させない。添加剤も適宜選択することによって、フィルムのヘーズは5%未満の良好な透明性を得ることができる。
以下、チューブラー3層積層環状製膜延伸の場合を例に挙げ、具体的に説明する。
まず、プロピレン系樹脂と改質樹脂を混合した両表面層、改質樹脂を含まないポリプロピレン樹脂を芯層とし、2台の押出機により溶融混練し、3層環状ダイより環状に共押出し、延伸することなく一旦急冷固化してチューブ状未延伸シートを作製する。
得られたチューブ状未延伸シートを、チューブラー延伸装置に供給し、高度の配向可能な温度範囲、ポリプロピレン樹脂の融点より10〜70℃低い温度で、チューブ内部にガス圧を適用して膨張延伸により、縦横の延伸倍率が、2〜5倍程度で同時二軸配向を起こさせる。延伸装置から取り出したフィルムは、希望により熱処理やアニーリングすることができ、これにより保存中の自然収縮を抑制することができる。このときの120℃熱収縮率は収縮仕上がり性を有効に発現させるという点でMD及びTDの120℃熱収縮率は10〜70%、好ましくは30〜60%である。
なお、本実施例の中で示した各物性測定は以下の方法によった。
1.インキ接着性評価方法
ザーンカップ#3で16.00〜16.50秒になるようにインキ(大日精化工業株式会社製、ラミックSR739R藍M3改)を希釈剤(大日精化工業株式会社製、ラミック SRNo.3溶剤)で希釈し、乾燥後の塗布量が3g/m2になるようにポリプロピレン樹脂と改質樹脂の混合組成を配した面にコートした。乾燥は自然乾燥で24H行い、セロハンテープ(ニチバン株式会社製、15mm幅)を10cm貼り付け、空気が抜けるまで擦った。
その後、勢いよくセロハンテープを剥し、インキの剥離量が5%未満であれば評価○、それ以上であれば×とした。
2.120℃熱収縮率
縦横それぞれ100mmの正方形に切り取ったフィルムを120℃のグリセリン浴中に10秒間浸漬した後、水中で急冷し、縦横それぞれの長さを測定し、MD、TDの熱収縮率を算出した。
3.ピロー収縮包装機適性評価方法(横シール性評価)
カップ麺のオーバーラップシュリンク包装で使用されるピロー型連続シュリンク包装機でフィルムの包装適性を評価した。フィルム幅を440mmとし、嵩高70mmの市販のどんぶり型カップ麺をピロー包装した。包装機はトキワ工業製NEO型、カット長230mm、包装速度35m/分、縦シールはローレット型、横シールは最も多く用いられている溶断型でシール刃温度を200℃、受けの刃の温度を90℃とした。シール後協和電機製L-2400FBトンネルを2.5秒、温度を仕上がりを見ながら140〜170℃に調整しフィルムを熱収縮させた。100個包装後、2個以上横シール部分に直径2mm以上のピンホールが見られシール性不良と判断した場合を×、ピンホールの直径2mm以上が1個未満だった場合を○とした。
I.MFR=2.6(230℃、21.18N)、JISK7206に準じ10N、昇温速度50℃/時間で測定した軟化点が131℃のプロピレン−エチレンランダム共重合体
II.MFR=5(230℃、21.18N)、JISK7206に準じ10N、昇温速度50℃/時間で測定した軟化点が110℃のプロピレン−ブテン−エチレン共重合体
III.MFR=15(230℃、21.18N)、JISK7206に準じ10N、昇温速度50℃/時間で測定した軟化点が122℃のプロピレン−エチレンランダム共重合体
IV.MFR=2.0(230℃、21.18N)、JISK7206に準じ10N、昇温速度50℃/時間で測定した軟化点が150℃のポリプロピレン樹脂
V.表面固有抵抗は5×107Ωがポリエーテルとポリオレフィンのブロック共重合体(商品名「ペレスタット230」(三洋化成製))
VII.商品名「クリアロンP125」(ヤスハラケミカル(株)製)の水添テルペン樹脂でありJISK7234で測定した軟化点が125℃
VIII.商品名「クリアロンP105」(ヤスハラケミカル(株)製)の水添テルペン樹脂でありJISK7234で測定した軟化点が105℃
IX.商品名「P644V」(三菱化学製)の酸変性ポリオレフィン。
X.商品名「ダウレックス2045G」(ダウケミカル製)のMFR=1.0(190℃、21.18N)、密度=0.910の線状低密度ポリエチレン
表1に示すように、Iのポリプロピレン樹脂とVの改質樹脂を混合比95:5でブレンドし、1台の押出機で溶融混練し多層環状ダイスの外層に、他の2台の押出機でIの樹脂を芯層と内層にそれぞれ表1の層比で共押出した。形成された溶融樹脂チューブを、内側は冷却水が循環している円筒状冷却マンドレルの外表面を摺動させながら、外側は水槽を通すことにより冷却して引き取り、240μmの未延伸シートを得た。
このチューブ状未延伸シートをチューブラー二軸延伸装置に導き、縦横それぞれ4.0×4.0倍に延伸し、フィルム厚み15μmの二軸延伸熱収縮性フィルムを得た。
得られたフィルムのヘーズ、インキ接着性、120℃熱収縮性、ピロー包装適性を評価し表1に示した。
表1に示すようなポリプロピレン樹脂と改質樹脂とを混合し、表に示す層比により実施した以外は実施例1と同様の方法で二軸延伸熱収縮性フィルムを得た。
得られたフィルムのヘーズ、インキ接着性、120℃熱収縮性、ピロー包装適性を評価し表1に示した。
表1に示すようなポリプロピレン樹脂と改質樹脂とを混合し、表に示す層比により400μmの未延伸シートを得た以外は実施例1と同様にして二軸延伸熱収縮性フィルムを得た。
得られたフィルムのヘーズ、インキ接着性、120℃熱収縮性、ピロー包装適性を評価し表1に示した。
表1に示すようなポリプロピレン樹脂と改質樹脂とを混合し、表に示す層比により得たシートを延伸倍率3.0×3.0とした以外は実施例1と同様の方法で二軸延伸熱収縮性フィルムを得た。
得られたフィルムのヘーズ、インキ接着性、120℃熱収縮性、ピロー包装適性を評価し表1に示した。
Claims (3)
- ポリオレフィンかならなる熱収縮性フィルムであって、120℃のMD及びTDの熱収縮率が10〜70%であり、少なくとも片方の表面層の組成がA及びBの混合樹脂で構成され、AとBの比が重量当たり97/3〜40/60である二軸延伸ポリオレフィン系熱収縮性フィルム。
A:JISK7206に準じ10N及び昇温速度50℃/時間で測定した軟化点が100〜135℃であり、MFRが0.5〜6ポリプロピレン樹脂。
B:ポリエーテルとポリオレフィンのブロック共重合体であり、表面固有抵抗値が107〜1010Ωの変性ポリオレフィン樹脂。 - A及びBの混合で構成される表面層の厚みが0.1μm以上であることを特徴とする請求項1記載の二軸延伸ポリオレフィン熱収縮性フィルム。
- フィルムのヘーズが7%未満である請求項1又は2記載の二軸延伸ポリオレフィン熱収縮性フィルム。
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