JP4382191B2 - シュリンクストレッチラベル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチック製容器、ガラス製容器、金属製容器等の容器などに装着するラベルに関し、より詳細には、自己伸縮性によって被装着物に装着でき、且つ熱によって収縮するシュリンクストレッチラベルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリエチレンテレフタレート製容器(いわゆるPETボトル)等の容器などに装着されるラベルとして、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル等の延伸フィルムを筒状に形成したシュリンクラベルが知られている。このシュリンクラベルは、被装着物に外嵌し、且つ熱収縮させることにより被装着物に装着することができる。
【0003】
また、容器などに装着されるラベルとして、弾性力を有するフィルムを筒状に形成し、外力が加えられることにより伸張し、且つ該外力が解除されることによりほぼ元の形状に縮径するストレッチラベルも知られている。このストレッチラベルは、それを径大となるように伸張させて被装着物に外嵌した後、外力を解除すると、弾性力によって縮径することにより被装着物に装着される。
【0004】
上記シュリンクラベルは、被装着物の形状にかかわらず被装着物の形状に沿って密着するので装着仕上がりがよいという利点はあるが、その一方で、保管、運搬時等の温度が高くなると自然収縮が起こるので、温度管理に留意する必要があるという欠点を有する。また、シュリンクラベルを炭酸飲料入り容器に熱収縮により装着した場合には、開栓後の容器の微妙な変形によってラベルの装着位置がずれることがある。
【0005】
一方、上記ストレッチラベルは、装着後に被装着物が微妙に変形した場合であっても、弾性力により縮径して被装着物に密着するので、ラベルのずれが生じにくいという利点があるが、自己伸縮性の限界から、凹凸形状の被装着物や円筒状容器の肩部には密着性よく装着できないという欠点を有する。
【0006】
従って、両者の利点を併有するラベルが好ましく、ストレッチシュリンクラベルという着想がなされている(実開平7−41568号公報)。また、熱収縮性と自己伸縮性を有するフィルムとして、特開平9−254338号公報には、エチレン−酢酸ビニル共重合体等からなる両表面層と、ビカット軟化点が60℃以下のポリオレフィン系エラストマーを含む層と、ポリプロピレン系樹脂からなる層との少なくとも4層構造のフィルムが開示されている。しかし、従来のストレッチシュリンクラベルは、食品や雑貨等の包装に使用され、縦及び横の二軸に熱収縮するものであって、シュリンクラベルやストレッチラベルのように筒状に形成して容器のラベルとして使用されるものではない。
【0007】
一方、本発明者らは、線状低密度ポリエチレンやメタロセン触媒を用いて得られたポリエチレンに分子配向を付与して、ストレッチ性とある程度のシュリンク性を兼備させた容器用のストレッチシュリンクラベルを提案している(特願平10−197779号)。しかし、このラベルは、ラベル表面が傷つきやすいという問題を有していた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、シュリンク性とストレッチ性とを併せ持ち、しかも表面が傷つきにくいシュリンクストレッチラベルを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討した結果、ベースフィルムを特定のポリマーからなる多層構造とし、且つベースフィルムの復元率及び熱収縮率を特定の範囲に設定すると、ストレッチ性とシュリンク性とを併有し、しかも優れた耐擦過性を有するシュリンクストレッチラベルの得られることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、ベースフィルムの少なくとも一方の面に印刷層が設けられたシュリンクストレッチラベルであって、前記ベースフィルムが、メタロセン系ポリエチレンからなる中心層と、該中心層の両側に積層されたエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)と水添石油樹脂及び水添テルペン樹脂から選択された少なくとも1種の樹脂(B)とからなり、且つエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)と樹脂(B)との割合が(A)/(B)(重量比)=70/30〜90/10である表面層とで構成されているとともに、前記中心層の厚みが20〜100μmであり、前記表面層の厚みが3〜10μmであり、前記ベースフィルムを一方向Xに1.25倍伸長させた状態で3秒間保持した後の復元率が0〜7%であり、且つ前記ベースフィルムを70℃の温水中に10秒間浸漬したときの前記方向Xにおける熱収縮率が10%以上であるシュリンクストレッチラベルを提供する。
【0011】
このシュリンクストレッチラベルにおいて、前記エチレン−プロピレンランダム共重合体におけるエチレン含有量は3〜5重量%であってもよい。さらに、中心層に、エチレン−プロピレンランダム共重合体及び無水フタル酸変性エチレン−プロピレンランダム共重合体から選択された少なくとも1種のポリマーを1〜25重量%含有させてもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、必要に応じて図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は本発明のシュリンクストレッチラベルの一例を示す概略断面図であり、図2は図1のシュリンクストレッチラベルを被装着物(容器)に装着する際の状態を示す斜視図である。
【0013】
このシュリンクストレッチラベル1は、ベースフィルム2と、ベースフィルム2の一方の面に設けられた印刷層3とで構成されており、前記ベースフィルム2は表面層5/中心層4/表面層5の3層構造を有している。
【0014】
中心層4は、メタロセン系ポリエチレンにより形成されている。メタロセン系ポリエチレンとは、メタロセン触媒を用いてエチレンを重合させて得られるポリマーをいう。この場合、コモノマーとして、例えば、前記炭素数4〜8のα−オレフィンなどを少量用いてもよい。前記メタロセン触媒は、通常、メタロセン系遷移金属化合物(チタン、ジルコニウム又はハフニウムと、シクロペンタジエニル、インデニル、テトラヒドロインデニル、フルオニルなどの配位子とからなる金属錯体)と、有機アルミニウム化合物(例えば、トリエチルアルミニウムなどのアルキルアルミニウム、メチルアルモキサンなどの鎖状又は環状アルモキサンなど)又はホウ素化合物とで構成される。この触媒は、シリカゲル、ゼオライト、ケイソウ土などの担体に担持して使用してもよい。
【0015】
好ましいメタロセン系ポリエチレンには、メタロセン触媒のなかでも活性点が均一なシングルサイト系メタロセン触媒を用いて得られる密度0.880〜0.940g/cm3、特に密度0.900〜0.935g/cm3程度の線状低密度ポリエチレンが含まれる。このようなポリエチレンは、例えば、特開平9−297539号公報に記載の方法により製造できる。
【0016】
中心層4は、前記メタロセン系ポリエチレンとともに、エチレン−プロピレンランダム共重合体及び無水フタル酸変性エチレン−プロピレンランダム共重合体から選択された少なくとも1種のポリマーを含んでいてもよい。中心層4にこのようなポリマーを含有させると、中心層4と表面層5,5との接着性が大幅に向上する。そのため、共押出しにより層間接着性の高いベースフィルムを製造することができる。なお、エチレン−プロピレンランダム共重合体として、本発明のシュリンクストレッチラベルを製造する工程でベースフィルム両端部を裁断する際などに出る切れ端等の表面層5,5に含まれるエチレン−プロピレンランダム共重合体を回収して使用できる。こうすることにより、コストダウンを図ることができる。
【0017】
上記エチレン−プロピレンランダム共重合体におけるエチレン含量は、例えば3〜5重量%程度である。また、無水フタル酸変性エチレン−プロピレンランダム共重合体におけるエチレン含量は、例えば1〜5重量%程度であり、無水フタル酸による変性量は、例えば、被変性エチレン−プロピレンランダム共重合体に対して0.1〜1.0重量%程度である。
【0018】
中心層4中の前記エチレン−プロピレンランダム共重合体及び無水フタル酸変性エチレン−プロピレンランダム共重合体から選択された少なくとも1種のポリマーの含有量は、シュリンク性やストレッチ性等を損なわない範囲で適宜選択できるが、一般には1〜25重量%程度、好ましくは3〜20重量%程度である。
【0019】
中心層4には、さらに、他のポリマー、例えば、メタロセン系以外の線状低密度ポリエチレンや低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などを少量(例えば、0〜10重量%程度)含んでいてもよい。中心層4の厚みは、例えば20〜100μm程度、好ましくは30〜70μm程度である。
【0020】
表面層5,5は、エチレン−プロピレンランダム共重合体(A)と、水添石油樹脂及び水添テルペン樹脂から選択された少なくとも1種の樹脂(B)とで形成されている。
【0021】
エチレン−プロピレンランダム共重合体(A)におけるエチレン含量は、例えば3〜5重量%程度、好ましくは3.5〜4.5重量%程度である。エチレン−プロピレンランダム共重合体(A)は慣用の重合法により得ることができるが、市販品を使用することもできる。
【0022】
前記水添石油樹脂は芳香族系石油樹脂を水素添加して得られる樹脂であり、水添テルペン樹脂はテルペン樹脂や芳香族変性テルペン樹脂などのテルペン系樹脂を水素添加して得られる樹脂であり、それぞれ市販品を用いることができる。
【0023】
表面層5,5におけるエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)と樹脂(B)との割合は、例えば、(A)/(B)(重量比)=70/30〜90/10程度、好ましくは75/25〜85/15程度である。この割合が70/30より小さいと成膜性等が低下しやすく、90/10を超えると低温での熱収縮性や透明性が低下しやすくなる。
【0024】
表面層5,5は前記エチレン−プロピレンランダム共重合体(A)と樹脂(B)に加え、必要に応じて、耐擦過性等を損なわない範囲で他のポリマーを少量含んでいてもよい。表面層5,5の厚みは、それぞれ、例えば、3〜10μm、好ましくは5〜8μm程度である。表面層の厚みが3μm未満の場合には、耐擦過性の改善効果が小さく、また10μmを超えると、後述の復元率が大きくなり復元性が低下しやすくなる。
【0025】
前記表面層5のうち印刷層3側の表面には、印刷性を向上させるため、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、酸処理などの慣用の表面処理を施してもよい。また、中心層4、表面層5,5には、必要に応じて、滑剤、充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、着色剤などの各種添加剤を添加してもよい。
【0026】
なお、前記中心層4及び表面層5,5はそれぞれ複数の層で構成することもできる。また、中心層4と表面層5,5との間に、剛性、自然収縮性等を損なわない範囲で他の樹脂層、例えば接着性樹脂層を設けてもよく、また表面層5の表面には、損傷防止等のため、アクリル系樹脂などからなるオーバーコート層を設けてもよい。
【0027】
ベースフィルム2は、積層フィルムを製造する際に用いられる慣用の方法、例えば、共押出法などにより製造できる。例えば、図1に示されるベースフィルム2は、中心層4を形成する樹脂を含む樹脂組成物と、表面層5,5を形成する樹脂を含む樹脂組成物とを、Tダイを備え、合流方式フィードブロック2種3層型の押出機を用いて溶融押出しし、冷却ロールにより冷却した後、延伸処理(1軸延伸又は2軸延伸)することにより得ることができる。なお、Tダイに代えて環状ダイを用いることもできる。本発明では、中心層4及び表面層5,5が何れもオレフィン系重合体で形成されているので、接着剤を用いることなく積層可能である。
【0028】
延伸は、テンター方式、チューブ方式の何れの方式で行うこともできる。延伸処理は、通常、70〜110℃程度の温度で、幅方向(横方向;TD方向)に2.0〜5.0倍、好ましくは2.5〜4.0倍程度延伸することにより行われる。なお、必要に応じて、長さ方向(縦方向;MD方向)にも微量の延伸処理を施すことができる。
こうして得られるベースフィルム2は、幅方向(延伸処理を施した方向)に熱収縮性を示すとともに、自己収縮性をも有する。
【0029】
本発明のシュリンクストレッチラベルの1つの特徴は、前記ベースフィルム2を一方向X(主配向方向:前記の場合は幅方向)に1.25倍伸長させた状態で3秒間保持した後の復元率(以下、「復元率A」と称することがある)が0〜7%であり、且つ前記ベースフィルム2を70℃の温水中に10秒間浸漬した後の前記方向Xにおける熱収縮率が10%以上(例えば、10〜30%程度)である点にある。本発明では、ベースフィルム2がこのような物性を有するため、自己収縮性に優れ、且つ低温、低熱量で熱収縮が可能である。このため、例えば、湾曲面を有する容器にも簡易にしかも密着性よく装着できるとともに、開栓後に容器が微妙に変形しても、ラベルの装着位置がずれたりしない。
【0030】
前記復元率Aとは、ベースフィルム2を一方向X(前記の場合は幅方向)に元の長さの1.25倍に伸長させた状態で3秒間保持した後、引張り力を解除した場合に復元する割合を言い、下記式で表される。
復元率A(%)=[{(方向Xの引張り力解除後の長さ)−(方向Xの元の長さ)}/(方向Xの元の長さ)]×100
【0031】
また、熱収縮率とは、ベースフィルム2を70℃の温水中に10秒間浸漬した後の前記方向X(前記の場合は幅方向)における収縮率を言い、下記式で表される。
熱収縮率(%)=[{(方向Xの元の長さ)−(方向Xの浸漬後の長さ)}/(方向Xの元の長さ)]×100
前記復元率Aは、好ましくは0〜3%程度であり、熱収縮率は、好ましくは15〜30%程度である。
【0032】
また、本発明の好ましい態様では、ベースフィルム2を70℃の温水中に10秒間浸漬した後、前記方向Xに1.25倍伸長させた状態で3秒間保持した後の復元率(以下、「復元率B」という場合がある)が、0〜7%である。このようなベースフィルム2を有するラベルでは、熱収縮処理後であっても、伸張による弾性収縮力によってラベルの装着位置のずれが極めて起こりにくいという利点を有する。なお、復元率Bは下記式で表される。
復元率B(%)=[{(方向Xの引張り力解除後の長さ)−(方向Xの浸漬後の長さ)}/(方向Xの浸漬後の長さ)]×100
前記復元率A、復元率B及び熱収縮率は、中心層4や表面層5,5を構成するポリマーの種類、延伸倍率等の延伸条件などを適宜選択することにより調整できる。
【0033】
本発明のシュリンクストレッチラベル1は、上記のようにして得られたベースフィルム2の少なくとも一方の面に、グラビア印刷等の慣用の印刷法により所望の画像、文字を印刷して印刷層3を形成することにより製造できる。そして、印刷層3を形成した後、通常、所望の幅の長尺帯状に切断し、印刷面を内側にして、ベースフィルム2のうち前記方向X(主配向方向)が周方向となり、ベースフィルム2の前記方向Xと直交する方向Yが長さ方向となるように筒状に丸め、両端辺を接着剤や熱融着等で接着した後、必要に応じて所望の長さに切断することにより、筒状のシュリンクストレッチラベルとすることができる。
【0034】
本発明のシュリンクストレッチラベル1では、ベースフィルムの表面層が、エチレン−プロピレンランダム共重合体(A)と、水添石油樹脂及び水添テルペン樹脂から選択された少なくとも1種の樹脂(B)とで構成されているため、ベースフィルムをメタロセン系ポリエチレンのみで形成する場合と比較して、耐擦過性が高く、ラベル表面に傷が付きにくい上、シュリンク性も向上する。
【0035】
このようにして得られた筒状のシュリンクストレッチラベルを自動ラベル装着装置に供給し、必要な長さに切断した後、該装置の拡径アームによってラベルを径大となるように伸張させ、その状態で、通常内容物を充填した被装着物6(例えば、PETボトルなどのプラスチック製又はガラス製の瓶状容器など)であって、その胴部がラベルの周囲よりも僅かに大きい容器に外嵌した後、ラベル装着装置の拡径アームを抜き取り、次いで、80〜100℃程度のスチームトンネルや100〜200℃程度の熱風トンネルを通過させて熱収縮させることにより、該シュリンクストレッチラベル1を被装着物6に装着できる。この際、被装着物に外嵌したラベルは熱収縮するので、被装着物6の肩部の形状にも適合して密着する。また、このラベルは自己収縮性を有するので、被装着物が僅かに変形してもラベル自身が縮径し、装着位置はほとんどずれることがない。
【0036】
【発明の効果】
本発明のシュリンクストレッチラベルは、シュリンクラベルとストレッチラベルの利点を併有しているとともに、耐擦過性に優れ、ラベル表面に傷が付きにくい。
【0037】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
なお、自然収縮率は、フィルムの延伸方向に、長さl1(m/m)、幅10m/mの大きさの試験片を切り出し、これを30℃の雰囲気中に10日間放置した後の試験片の長さをl2(m/m)としたとき、次式により表される。
自然収縮率(%)={(l1−l2)/l1}×100
【0038】
実施例1
メタロセン系ポリエチレン[商品名「ユメリット1540F」、密度0.915g/cm3、宇部興産(株)製](a1)と、エチレン−プロピレンランダム共重合体[商品名「グランドポリプロ」、エチレン含有量4.5重量%、(株)グランドポリマー製]100重量部及び水添石油樹脂[商品名「アルコン」、荒川化学(株)製]25重量部の混合物(b1)とを、合流方式フィードブロック2種3層型の押出機を用いてTダイから温度240℃で共押出し、次いで115℃で幅方向(TD方向)に5.0倍テンター延伸することにより、(b1)/(a1)/(b1)の層構成を有する厚み50μm(中心層(a1)の厚み:40μm、表面層(b1)の厚み:各5μm)のベースフィルムを得た。このフィルムの延伸方向の自然収縮率は1.0%で、良好であった。
このベースフィルムから10cm×10cm(幅方向(TD方向)の長さ×長さ方向(MD方向)の長さ)の試験片を切り取り、この試験片を70℃の温水中に10秒間浸した後、ベースフィルムの幅方向(TD方向)の長さを測定し、前記式により熱収縮率を求めたところ、20%であった。
また、前記ベースフィルムから10cm×1cm(幅方向(TD方向)の長さ×長さ方向(MD方向)の長さ)の試験片を切り取り、常温下、この試験片の両端辺をベースフィルムの幅方向に、長さが1.25倍に伸長するように引っ張った状態で3秒間保持した後、引張り力を解除してその長さを測定し、前記式によって復元率Aを求めたところ、1.8%であった。
さらに、前記ベースフィルムから10cm×1cm(幅方向(TD方向)の長さ×長さ方向(MD方向)の長さ)の試験片を切り取り、この試験片を70℃の温水中に10秒間浸した後、試験片の両端辺をベースフィルムの幅方向に、長さが1.25倍に伸長するように引っ張った状態で3秒間保持した後、引張り力を解除してその長さを測定し、前記式により復元率Bを求めたところ、2.6%であった。
前記で得られたベースフィルムの一方の表面に水性インキを用いて8色からなるデザインのグラビア印刷を施して印刷層を形成するとともに、他方の面に損傷防止のためにアクリル系樹脂からなるオーバーコート層を形成し、ロール状に巻回した。得られた印刷ロールを所定の幅にスリットして複数個のロール状物とした後、各ロール状物を巻き戻し、印刷層を内側にし、ベースフィルムの幅方向(TD方向)が周方向となるように筒状に丸めて両端部を接着剤で接着し、長尺筒状のシュリンクストレッチラベル連続体を得た。このシュリンクストレッチラベル連続体を自動ラベル装着装置に供給し、各ラベルに切断した後、該装置の拡径アームによってラベルを径大となるように伸張させ、その状態で、内容物を充填したポリエチレンテレフタレート製の500ml容器に外嵌し、次いでラベル装着装置の拡径アームを抜き取って容器に密着させ、スチームトンネル(温度90℃)を通過させて熱収縮させることにより、ラベルを容器に装着した。装着性は良好であり、また装着仕上がりも美麗であった。
【0039】
実施例2
メタロセン系ポリエチレン[商品名「ユメリット1540F」、密度0.915g/cm3、宇部興産(株)製]100重量部及びエチレン−プロピレンランダム共重合体[商品名「グランドポリプロ」、エチレン含有量4.6重量%、(株)グランドポリマー製]15重量部の混合物(a2)と、エチレン−プロピレンランダム共重合体[商品名「グランドポリプロ」、エチレン含有量4.6重量%、(株)グランドポリマー製]100重量部及び水添テルペン樹脂[商品名「アルコン」、荒川化学(株)製]25重量部の混合物(b2)とを、合流方式フィードブロック2種3層型の押出機を用いてTダイから温度250℃で共押出し、次いで110℃で幅方向(TD方向)に5.2倍テンター延伸することにより、(b2)/(a2)/(b2)の層構成を有する厚み60μm(中心層(a2)の厚み:50μm、表面層(b2)の厚み:各5μm)のベースフィルムを得た。このフィルムの延伸方向の自然収縮率は1.4%で、良好であった。
このベースフィルムの熱収縮率、復元率A及び復元率Bを、実施例1と同様の方法により求めたところ、それぞれ、19%、2.0%及び2.7%であった。
前記で得られたベースフィルムを用いる以外は、実施例1と同様にして、シュリンクストレッチラベルを製造し容器に装着した。装着性は良好であり、また装着仕上がりも美麗であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシュリンクストレッチラベルの一例を示す概略断面図である。
【図2】図1のシュリンクストレッチラベルを被装着物に装着する際の状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 シュリンクストレッチラベル
2 ベースフィルム
3 印刷層
4 中心層
5 表面層
6 被装着物
Claims (3)
- ベースフィルムの少なくとも一方の面に印刷層が設けられたシュリンクストレッチラベルであって、前記ベースフィルムが、メタロセン系ポリエチレンからなる中心層と、該中心層の両側に積層されたエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)と水添石油樹脂及び水添テルペン樹脂から選択された少なくとも1種の樹脂(B)とからなり、且つエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)と樹脂(B)との割合が(A)/(B)(重量比)=70/30〜90/10である表面層とで構成されているとともに、前記中心層の厚みが20〜100μmであり、前記表面層の厚みが3〜10μmであり、ベースフィルムを一方向Xに1.25倍伸長させた状態で3秒間保持した後の復元率が0〜7%であり、且つ前記ベースフィルムを70℃の温水中に10秒間浸漬したときの前記方向Xにおける熱収縮率が10%以上であるシュリンクストレッチラベル。
- エチレン−プロピレンランダム共重合体(A)におけるエチレン含有量が3〜5重量%である請求項1に記載のシュリンクストレッチラベル。
- 中心層に、エチレン−プロピレンランダム共重合体及び無水フタル酸変性エチレン−プロピレンランダム共重合体から選択された少なくとも1種のポリマーを1〜25重量%含む請求項1又は請求項2記載のシュリンクストレッチラベル。
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