以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る変速機の変速操作機構について説明する。
本実施形態に係る変速操作機構40は、例えばFR車に搭載される縦置き式の手動変速機に設けられたものである。該手動変速機は、例えば前進6段、後退1段の変速段を有し、図1に示す変速機構4を備えている。
[変速機構]
図1に示すように、変速機構4は、車体前後方向に延びるメインシャフト5と、該メインシャフト5に平行に配置されたカウンタシャフト8とを備えている。カウンタシャフト8は、メインシャフト5の下方に配置されている(図5参照)。
メインシャフト5は、クラッチ199を介してエンジン出力軸198に連絡された入力軸6と、該入力軸6の車体後方側において入力軸6と同一軸線上に配置されて、プロペラシャフト(図示せず)を介して駆動輪側に連絡された出力軸7とを備えている。出力軸7の前端部には、入力軸6の後端部に回転自在に嵌合された嵌合部7aが設けられている。
メインシャフト5とカウンタシャフト8との間には、減速用ギヤ列G0、複数の前進段用ギヤ列G1,G2,G3,G4,G5及びリバース用ギヤ列GRが設けられている。具体的に、メインシャフト5の入力軸6とカウンタシャフト8との間に、1速用ギヤ列G1、リバース用ギヤ列GR、2速用ギヤ列G2、4速用ギヤ列G4、3速用ギヤ列G3、5速用ギヤ列G5が車体前方側からこの順で設けられ、メインシャフト5の出力軸7とカウンタシャフト8との間に減速用ギヤ列G0が設けられている。
なお、変速機構4は6速直結タイプとされており、直結変速段では入力軸6と出力軸7が直結されることから、6速用ギヤ列は設けられていない。
上記のように減速用ギヤ列G0は出力軸7側に設けられており、これにより、所謂アウトプットリダクションタイプの変速機構4が構成されている。減速用ギヤ列G0は、カウンタシャフト8に固定されたドライブギヤ26と、出力軸7に固定されたドリブンギヤ16とを備えている。減速用ギヤ列G0のドリブンギヤ16は、ドライブギヤ26よりも大径である。
直結変速段(6速)以外の変速段が形成されたときは、入力軸6から、動力伝達状態となったギヤ列G1,G2,G3,G4,G5,GRを介してカウンタシャフト8に動力が伝達されると共に、カウンタシャフト8から、減速用ギヤ列G0を介して出力軸7に動力が伝達される。このとき、カウンタシャフト8の回転は、減速用ギヤ列G0を介して減速されて出力軸7に伝達される。6速が形成されたときは、入力軸6からカウンタシャフト8を経由することなく直接出力軸7に動力が伝達される。
1速用及び2速用のギヤ列G1,G2は、入力軸6に固定されたドライブギヤ11,12と、カウンタシャフト8に遊嵌されたドリブンギヤ21,22とを備えている。3速用、4速用及び5速用のギヤ列G3,G4,G5は、入力軸6に遊嵌されたドライブギヤ13,14,15と、カウンタシャフト8に固定されたドリブンギヤ23,24,25とを備えている。
これら前進段用ギヤ列G1,G2,G3,G4,G5は、常時噛み合い式とされており、対応する同期装置32,33,34によって遊嵌ギヤ13,14,15,21,22がシャフト6,8に固定されることで、当該ギヤ列が動力伝達状態となる。
1速と2速の形成には1−2速用同期装置32が兼用され、該同期装置32は、カウンタシャフト8上において、1速用ギヤ列G1及び2速用ギヤ列G2のドリブンギヤ21,22間に設けられている。1−2速用同期装置32の作動によって、シンクロスリーブ32aが車体前方側にスライドされると1速が形成され、車体後方側にスライドされると2速が形成される。
3速と4速の形成には3−4速用同期装置33が兼用され、該同期装置33は、入力軸6上において、3速用ギヤ列G3及び4速用ギヤ列G4のドライブギヤ13,14間に設けられている。3−4速用同期装置33のシンクロスリーブ33aが車体前方側へスライドされると4速が形成され、車体後方側へスライドされると3速が形成される。
5速と6速の形成には5−6速用同期装置34が兼用され、該同期装置34は、5速用ギヤ列G5のドライブギヤ15と出力軸7の嵌合部7aとの間に設けられている。5−6速用同期装置34のシンクロスリーブ34aが車体前方側へスライドされると5速が形成され、車体後方側へスライドされると、入力軸6と出力軸7の回転が同期されて、直結変速段である6速が形成される。
リバース用ギヤ列GRは、選択摺動式のギヤ列であり、メインシャフト5の入力軸6に固定されたリバースメインギヤ10と、カウンタシャフト8に固定されたリバースカウンタギヤ20と、メインシャフト5及びカウンタシャフト8に平行なリバースシャフト9に軸方向に摺動可能に嵌合されたリバースアイドルギヤ30とを備えている。リバースシャフト9は、メインシャフト5及びカウンタシャフト8よりも車体幅方向の左側に、メインシャフト5よりも下側且つカウンタシャフト8よりも上側に配置されている(図5参照)。
なお、リバースカウンタギヤ20は、カウンタシャフト8に直接固定されておらず、1−2速用同期装置32のシンクロスリーブ32aに設けられている。このシンクロスリーブ32aは、同期装置32において、カウンタシャフト8に固設されたハブ32bにスプライン嵌合している。そのため、厳密に言えば、シンクロスリーブ32aに設けられたリバースカウンタギヤ20は、カウンタシャフト8に対して回転方向には固定されているが、軸方向には移動可能となっている。
リバースシフト操作が行われていないとき、リバースアイドルギヤ30は、リバースメインギヤ10よりも車体後方側に配置されている。リバースカウンタギヤ20は、1−2速用同期装置32の非作動状態において、リバースメインギヤ10と同じ軸方向位置に配置されている。リバースシフト操作が行われると、これに連動して、リバースアイドルギヤ30が軸方向の車体前方側(エンジン側)へ摺動して、リバースメインギヤ10とリバースカウンタギヤ20とに噛み合い、これにより、リバース用ギヤ列GRが動力伝達状態となる。
ただし、変速機構4は上記構成に限定されるものでなく、例えば、選択摺動式のリバース用ギヤ列GRに代えて常時噛み合い式のものを設けたり、減速用ギヤ列G0を入力軸6側に配置してインプットリダクションタイプに構成したりするなど、種々の変更が可能である。
[シフトパターン]
図2の平面図に示すように、チェンジレバー200のセレクト操作及びシフト操作は、所定のシフトパターン202に従って行われる。
図2に示されるシフトパターン202は、車体幅方向に延びるセレクトレーンLS、該セレクトレーンLSから車体前方側へ車体前後方向に延びるリバースシフトレーンLR、セレクトレーンLSから車体前方側及び車体後方側へ車体前後方向に延びる1−2速シフトレーンL12、3−4速シフトレーンL34、5−6速シフトレーンL56を備えている。このシフトパターン202におけるニュートラル位置は、セレクトレーンLSと3−4速シフトレーンL34とが交差する位置とされている。
このシフトパターン202によれば、チェンジレバー200のセレクト操作は、セレクトレーンLSに沿って車体幅方向右側又は左側に向かう方向へ行われ、シフト操作は、対応するシフトレーンLR,L12,L34,L56に沿って車体前方側又は車体後方側に向かう方向へ行われる。具体的に、リバース、1速、3速及び5速へのシフト操作方向は、車体前方側に向かう方向であり、2速、4速及び6速へのシフト操作方向は、車体後方側に向かう方向である。
[変速操作機構]
以下、変速操作機構40について説明する。
図3に示すように、変速操作機構40のチェンジレバー200は、回転可能に車体に支持された大球部200aと、大球部200aから上側へ延びる上側レバー部200bとを備え、上側レバー部200bの上端部に、運転者に掴まれるノブ200cが設けられている。
また、チェンジレバー200は、大球部200aから下側に延びる下側レバー部200dを備えている。チェンジレバー200は、セレクト操作又はシフト操作によって大球部200aの中心を支点として揺動し、チェンジレバー200が揺動するとき、下側レバー部200dの下端部200eは、常にノブ200cとは反対側へ移動する。
変速操作機構40は、変速機構4(図1参照)と共に変速機ケース1内に収容された第1及び第2コントロールロッド41,42を備えている。第1及び第2コントロールロッド41,42は、車体前後方向に延びるように相互に平行に配設されているとともに、後述する反転機構50を介して相互に連絡されている。
第1及び第2コントロールロッド41,42は、チェンジレバー200のセレクト操作に連動してそれぞれの軸心周りに回動し且つシフト操作に連動してそれぞれの軸方向に移動するようにチェンジレバー200に連絡されている。具体的には、第1コントロールロッド41の後端部が、チェンジロッド190を介してチェンジレバー200に連絡されている。
チェンジロッド190は、車体前後方向に延びるように配設されており、その後端部において、チェンジレバー200の下端部200eに係合されている。これにより、チェンジレバー200のノブ200cが車体幅方向の右側又は左側に倒されるようにセレクト操作が行われると、チェンジレバー200の下端部200eと共にチェンジロッド190の後端部が左側又は右側へ揺動されることで、チェンジロッド190がその軸心周りに回動され、チェンジレバー200のノブ200cが車体前方側又は後方側に倒されるようにシフト操作が行われると、チェンジロッド190は、チェンジレバー200の下端部200eと共に車体前方側又は後方側へ移動される。
図4は、変速機ケース1内における変速操作機構40の構成を示す展開図、図5は、同変速操作機構40を車体後方側から見た図4のA−A線断面図、図6は、同変速操作機構40における前進段への変速に関係する部分を示す図4の一部拡大図、図7は、同変速操作機構40における後退段への変速に関係する部分を示す図4の一部拡大図である。これら図4〜図7は、チェンジレバー200がセレクトレーンLS(図2参照)に位置する状態、すなわち、シフト方向のニュートラル状態における変速操作機構40を示している。
図4及び図6に示すように、第1コントロールロッド41は、変速機ケース1から車体後方側へ突出するように配設されており、第1コントロールロッド41の後端部は、継手192を介してチェンジロッド190の前端部に連結されている。
図6に示すように、継手192は、例えば、互いに直角な方向に延びる一対の支軸195,196を有する十字継手である。一対の支軸195,196は例えば筒状のホルダ194に支持されている。一方の支軸195は、チェンジロッド190に直角な方向に沿って配置され、チェンジロッド190の前端部190aを貫通している。他方の支軸196は、第1コントロールロッド41に直角な方向に沿って配置され、第1コントロールロッド41の後端部41aを貫通している。
チェンジロッド190の前端部190aは、一方の支軸195の軸心周りに回転可能とされ、第1コントロールロッド41の後端部41aは、他方の支軸196の軸心周りに回転可能とされている。このような継手192を介した連結により、第1コントロールロッド41の軸方向D1に対するチェンジロッド190の傾きを許容しつつ、チェンジロッド190から第1コントロールロッド41への回転運動及び並進運動の伝達が可能となっている。
これにより、第1コントロールロッド41は、セレクト操作時においてチェンジロッド190の回動に連動して同じ方向に回動し、シフト操作時においてチェンジロッド190の車体前後方向の移動に連動して同じ方向に軸方向移動を行う。そして、このようなセレクト操作時及びシフト操作時の第1コントロールロッド41の運動は、後述する反転機構50を介して第2コントロールロッド42に伝達される。
第1コントロールロッド41は、その後端側において例えば金属製のブッシュ43を介して変速機ケース1に回転自在かつ摺動自在に支持されており、前端側において例えば金属製のブッシュ44を介して変速機ケース1に回転自在かつ摺動自在に支持されている。なお、変速機ケース1において第1コントロールロッド41が貫通する部分は、シール部材49によってシールされている。
図5に示すように、第2コントロールロッド42は、軸方向D3から見て第1コントロールロッド41の斜め下方に配置されている。また、第1コントロールロッド41は、メインシャフト5の上方に配置されているのに対して、第2コントロールロッド42は、メインシャフト5の車体幅方向右側に配置されている。
図6に示すように、第2コントロールロッド42は、第1コントロールロッド41よりも長尺とされている。第2コントロールロッド42は、後端側において例えば金属製のブッシュ45を介して変速機ケース1に回転自在かつ摺動自在に支持されており、前端側において例えば金属製のブッシュ46を介して変速機ケース1に回転自在かつ摺動自在に支持されている。
第1及び第2コントロールロッド41,42は、シフト操作時に第2コントロールロッド42を第1コントロールロッド41の移動方向とは反対側へ軸方向D3に移動させる反転機構50を介して相互に連絡されている。
[反転機構]
反転機構50は、第1コントロールロッド41に嵌合されたスリーブ部材70と、スリーブ部材70に取り付けられた支持軸58と、支持軸58に支持された反転レバー51とを備えている。反転レバー51は、一端側において、第1コントロールロッド41に設けられた第1レバーエンド60に係合され、他端側において、第2コントロールロッド42に設けられた第2レバーエンド80に係合されている。
図8は、第1コントロールロッド41に設けられた第1レバーエンド60及びスリーブ部材70を示す分解斜視図、図9は、ニュートラル状態の反転機構50を示す図6のB−B線断面図、図10は、同反転機構50を示す図9のC−C線断面図である。
図8〜図10に示すように、第1レバーエンド60は、第1コントロールロッド41に嵌合される筒状部材であり、例えばスプリングピン69によって第1コントロールロッド41に固定されている。これにより、第1レバーエンド60は、常に第1コントロールロッド41と共に回動及び軸方向移動を行う。第1レバーエンド60は、第1コントロールロッド41の例えば車体前方側の端部近傍に固定されている(図6参照)。
第1レバーエンド60は、径方向外側に突出する一対の突条61,62を備えている。これらの突条61,62は、第1レバーエンド60の外周面から互いに反対側へ突出しており、それぞれ軸方向D1に延びるように形成されている。
また、第1レバーエンド60の外周面には、軸方向D1に直角な接線方向に延びる係合溝63が設けられている。係合溝63は、一方の突条61を横切るように形成されており、これにより、該突条61は、軸方向D1に間隔を空けて並ぶ第1突条部61aと第2突条部61bとに分断されている。一方の突条61の第1突条部61aと他方の突条62には、上記のスプリングピン69が装着される貫通穴66(図8参照)が、径方向に貫通するように設けられている。
第1及び第2突条部61a,61bは、係合溝63の側壁を構成する側面部64,65を備えている。これらの側面部64,65は、軸方向D1に直角な面で構成されており、相互に対向している。
係合溝63は、反転レバー51の一端側が係合される第1係合部とされている。係合溝63は、一対の側面部64,65によって軸方向D1の両側から反転レバー51の一端部を挟み込むようにして、該反転レバー51に係合される。
スリーブ部材70は、第1レバーエンド60を介して第1コントロールロッド41を径方向外側から囲む周壁部72を備えている。周壁部72は、第1レバーエンド60の外周面の形状に合わせた筒状の内周面を有する。
周壁部72の内周面には、第1レバーエンド60の突条61,62が係合される溝部73,74が軸方向D1に延びるように設けられている。溝部73,74は、軸方向D1における周壁部72の一端から他端にかけて形成されており、軸方向D1の両側に開放されている。これにより、溝部73,74に係合された第1レバーエンド60の突条61,62は、溝部73,74に沿って軸方向D1に移動可能となっている。
周壁部72は、各溝部73,74に第1レバーエンド60の突条61,62が係合されるように、第1レバーエンド60の外側に嵌合される。これにより、スリーブ部材70は、第1コントロールロッド41及び第1レバーエンド60に対して、相対回転は規制されるが、軸方向D1には相対移動可能となっている。
周壁部72における変速機ケース1との対向部には、軸方向D1に直角な方向に延びる係合溝72aが設けられている。係合溝72aは、変速機ケース1に向かって開放されており、該係合溝72aに、変速機ケース1に固定された位置決めピン86が係合されている。この係合溝72aと位置決めピン86の係合によって、スリーブ部材70の軸方向D1への移動が規制されている。したがって、スリーブ部材70は、セレクト操作時には第1コントロールロッド41の回動に連動して回動するが、シフト操作時には、上記のように軸方向移動が規制されていることにより、第1コントロールロッド41の軸方向移動に対して非連動とされている。
なお、スリーブ部材70の軸方向D1移動を規制する構成は、上記のような係合溝72aと位置決めピン86との係合によるものに限られるものでない。例えば、変速機ケース1に、軸方向D1の両側からスリーブ部材70に係合される一対の係合部を設けて、これらの係合部によってスリーブ部材70の軸方向D1移動を規制してもよい。この場合、スリーブ部材70に係合される一方の係合部として、変速機ケース1を構成するケース部材同士の合わせ面を利用してもよい。
周壁部72には、周方向の1箇所において切欠部75が形成されている。切欠部75は、軸方向D1に延びるように形成されている。切欠部75は、軸方向D1において周壁部72の一端から他端にかけて形成されており、軸方向D1の両側に開放されている。ただし、切欠部75は、軸方向D1の一端側が閉塞されたスリット状に形成されたり、軸方向D1の両側が閉塞されたスロット状に形成されたりしてもよい。
また、スリーブ部材70は、互いに対向する一対のプレート部76,77を備えている。プレート部76,77は、周壁部72から下方へ延びるように該周壁部72と一体に設けられている。一対のプレート部76,77は互いに平行に配置されており、一方のプレート部76は、周壁部72の切欠部75の近傍に配置されている。各プレート部76,77には、支持軸58を挿通させるための貫通穴78,79(図8参照)が設けられている。
図9に示すように、支持軸58は、一対のプレート部76,77を貫通した状態でスリーブ部材70に取り付けられている。支持軸58は、スリーブ部材70に相対移動不能に取り付けられている。支持軸58は、第1コントロールロッド41に直角な方向に沿って配置されており、この位置関係は、スリーブ部材70の回動位置に関係なく常に一定に維持される。支持軸58の抜け止めは、例えば、その一端側に設けられた頭部58aと他端側に装着されたスナップリング59によって果たされている。
反転レバー51は、支持軸58に嵌合された筒状部52と、筒状部52から第1レバーエンド60に向かって延びる第1レバー部53と、筒状部52から第2レバーエンド80に向かって延びる第2レバー部55とを備えている。
筒状部52は、支持軸58に回動自在に支持されており、これにより、反転レバー51が支持軸58の軸心周りに揺動可能となっている。ただし、筒状部52は、支持軸58に固定されて該支持軸58と共に回動するように設けられてもよい。筒状部52は、スリーブ部材70の一対のプレート部76,77に挟み込まれており、これにより、支持軸58の軸方向における反転レバー51の移動が規制されている。
第1レバー部53は、プレート部76,77に平行に配置されている。筒状部52の軸方向において、第1レバー部53は、第1コントロールロッド41からずれた位置に設けられている。第1レバー部53は、一方のプレート部76に近接して対向配置されている。
第1レバー部53は、スリーブ部材70の周壁部72の切欠部75を通って該周壁部72を貫通している。第1レバー部53の先端部は、周壁部72の内側において第1レバーエンド60の係合溝63に係合される係合部54とされている。係合部54は、例えば円板状に形成されている。係合部54は、反転レバー51の揺動角度に関わらず常に、係合溝63の側面部64,65に直角に配置される。
第2レバー部55は、筒状部52の軸方向中央部から径方向外側へ第1レバー部53とは反対側に延びるように設けられている。図10に示すように、第1レバー部53と第2レバー部55は、筒状部52の軸方向から見て同じ直線上に配置されている。第2レバー部55の先端部には、第2レバーエンド80に係合される球状部56が設けられている。
図9及び図10に示すように、第2レバーエンド80は、第2コントロールロッド42に嵌合されており、例えばスプリングピン81によって第2コントロールロッド42に固定されている。
第2レバーエンド80は、第2コントロールロッド42の径方向外側に延びるレバー部82を備えている。レバー部82は、例えば断面矩形とされている。レバー部82の先端の端面には、反転レバー51に係合される第2係合部としての穴83が設けられている。穴83は、例えば円筒状の有底穴である。穴83には、反転レバー51の球状部56が嵌合され、これにより、第2レバーエンド80と反転レバー51の第2レバー部55とが係合される。
[シフトフィンガセット]
図6に示すように、第1コントロールロッド41には、第1シフトフィンガセット(以下、「第1セット」という)91が設けられ、第2コントロールロッド42には、第2シフトフィンガセット(以下、「第2セット」という)92が設けられている。第1セット91は、第1コントロールロッド41上において第1レバーエンド60よりも車体後方側に配置されている。第2セット92は、第2コントロールロッド42上において第2レバーエンド80よりも車体後方側に配置されている。また、第2セット92は、第1セット91よりも車体後方側に配置されている。
図11及び図12を参照しながら、第1セット91及び第2セット92の構成について説明する。
第1セット91と第2セット92は、同じ構造を有する。第1セット91及び第2セット92のそれぞれは、1つのシフトフィンガ93と、これに係合される1つのインターロック規制部材100とで構成されている。
シフトフィンガ93は、第1コントロールロッド41ないし第2コントロールロッド42に嵌合される筒状部材である。シフトフィンガ93には貫通穴97が設けられており、該貫通穴97に差し込まれたスプリングピン98(図13(a)及び図13(b)参照)がコントロールロッド41,42を貫通することで、スプリングピン98を介してシフトフィンガ93がコントロールロッド41,42に固定される。これにより、シフトフィンガ93は、セレクト操作時にはコントロールロッド41,42と共に回動し、シフト操作時にはコントロールロッド41,42と共に軸方向D1,D3に移動する。
シフトフィンガ93は、径方向外側に延びるレバー部94と、レバー部94とは異なる周方向位置において径方向外側に突出した一対の突出部95,96とを備えている。一対の突出部95,96は、互いに反対側に向かって突出している。各突出部95,96は、軸方向D1,D3におけるシフトフィンガ93の全長に亘って設けられている。軸方向D1,D3において、レバー部94の長さはシフトフィンガ93の全長よりも短く、レバー部94は、シフトフィンガ93の軸方向D1,D3の中央部に設けられている。
インターロック規制部材100は、周方向の1箇所に切欠き105が設けられることで、軸方向D1,D3から見てC字状の全体形状を有する。インターロック規制部材100は、シフトフィンガ93を包囲するように該シフトフィンガ93の径方向外側に装着される。
インターロック規制部材100は、シフトフィンガ93と略同じ軸方向D1,D3長さを有する半筒状の本体部101と、該本体部101よりも軸方向D1,D3に短い第1及び第2規制部103,104とを備えている。第1規制部103は、周方向D2,D4(図6参照)において本体部101の一端部から延びるように設けられ、第2規制部104は、周方向D2,D4において本体部101の他端部から延びるように設けられている。周方向D2,D4における第1規制部103の先端と第2規制部104の先端とは、切欠き105を挟んで対向配置されている。
本体部101には、変速機ケース1に固定された位置決めピン87,88(図6及び図13参照)に係合される係合穴102が設けられている。該係合穴102に係合される位置決めピン87,88によって、インターロック規制部材100の軸方向D1,D3の移動が規制される。係合穴102は、本体部101を厚み方向に貫通して設けられている。また、係合穴102は、周方向D2,D4に延びる長穴とされており、これにより、位置決めピン87,88に対するインターロック規制部材100の周方向移動が所定範囲内で許容されている。
第1規制部103及び第2規制部104の内周面は、本体部101の内周面と同じ円筒面上に配置されている。シフトフィンガ93の外側にインターロック規制部材100が嵌合された状態において、本体部101、第1規制部103及び第2規制部104の内周面は、シフトフィンガ93の外周面に沿って配置され、これにより、シフトフィンガ93に対するインターロック規制部材100の径方向へのがたつきが抑制される。この嵌合状態において、シフトフィンガ93のレバー部94は、第1及び第2規制部103,104間の切欠き105に配置されることで、インターロック規制部材100との干渉が回避される。
インターロック規制部材100は、第1規制部103から軸方向D1,D3両側に延びる一対の第1ガイド部106,107と、第2規制部104から軸方向D1,D3両側に延びる一対の第2ガイド部108,109とを更に備えている。第1ガイド部106,107及び第2ガイド部108,109は、軸方向D1,D3から見て扇状に形成されており、第1規制部103及び第2規制部104と比べて内径が等しく、外径が小さく形成されている。第1ガイド部106,107及び第2ガイド部108,109の内周面は、本体部101、第1規制部103及び第2規制部104の内周面と同じ円筒面上に配置されており、シフトフィンガ93の外周面に沿って配置され得る。
インターロック規制部材100の内周面には、本体部101と第1規制部103とに跨がる第1係合凹部110と、本体部101と第2規制部104とに跨がる第2係合凹部111とが設けられている。第1係合凹部110及び第2係合凹部111は、それぞれ軸方向D1,D3に延びる溝状に形成されている。
シフトフィンガ93の外側にインターロック規制部材100が嵌合された状態において、インターロック規制部材100の第1及び第2係合凹部110,111にはシフトフィンガ93の突出部95,96が係合される。これにより、シフトフィンガ93に対するインターロック規制部材100の周方向移動が規制されるため、セレクト操作に連動してシフトフィンガ93が回動するとき、インターロック規制部材100も常に一体的に回動する。
このとき、インターロック規制部材100の係合穴102に係合された位置決めピン87,88は、周方向D2,D4に長く形成された係合穴102内で周方向の移動が許容されるため、位置決めピン87,88によってインターロック規制部材100の回動が規制されることはない。
また、シフトフィンガ93とインターロック規制部材100の嵌合状態において、シフトフィンガ93の各突出部95,96は、インターロック規制部材100の第1及び第2係合凹部110,111に沿って軸方向D1,D3に移動自在とされている。さらに、この嵌合状態において、シフトフィンガ93のレバー部94は、第1及び第2規制部103,104間の切欠き105に沿って軸方向D1,D3に移動自在となっている。そのため、位置決めピン87,88によって軸方向D1,D3の移動が規制されたインターロック規制部材100によって、シフトフィンガ93の軸方向D1,D3の移動が規制されることはない。
[シフトイン部材]
図6に示すように、変速操作機構40は、前進段用シフトイン部材として、同期装置32,33,34(図1参照)を作動させる複数のシフトフォーク144,154,164を備えている。より具体的に、変速操作機構40は、1−2速用同期装置32を作動させる1−2速用シフトフォーク144、3−4速用同期装置33を作動させる3−4速用シフトフォーク154、5−6速用同期装置34を作動させる5−6速用シフトフォーク164を備えている。これらのシフトフォーク144,154,164は、セレクト操作によってシフトフィンガ93に選択的に係合され且つシフト操作によって軸方向D1,D3に移動されることで対応する同期装置32,33,34を作動させる。
1−2速用シフトフォーク144、3−4速用シフトフォーク154、5−6速用シフトフォーク164は、車体前方側からこの順で配置されている。1−2速用シフトフォーク144は、カウンタシャフト8に設けられた1−2速用同期装置32のシンクロスリーブ32a(図1参照)に係合され、3−4速用シフトフォーク154は、メインシャフト5に設けられた3−4速用同期装置33のシンクロスリーブ33a(図1参照)に係合され、5−6速用シフトフォーク164は、メインシャフト5に設けられた5−6速用同期装置34のシンクロスリーブ34a(図1参照)に係合されている。いずれのシフトフォーク144,154,164も、係合されたシンクロスリーブ32a,33a,34aを軸方向に移動させることで、対応する同期装置32,33,34を作動させる。
1−2速用シフトフォーク144は、変速機ケース1内において第1及び第2コントロールロッド41,42に平行に配置されたシフトロッド90に支持されている。シフトロッド90の両端部は、例えば金属製のブッシュ47,48を介して変速機ケース1に摺動自在に支持されている。図5に示すように、シフトロッド90は、メインシャフト5の車体幅方向右側に配置されており、軸方向D6から見て第2コントロールロッド42の斜め下方に配置されている。
図6に戻って、1−2速用シフトフォーク144は、例えばスプリングピン141によってシフトロッド90に固定された筒状のシフトエンド140に一体に設けられている。1−2速用シフトフォーク144は、シフトエンド140を介してシフトロッド90に固定されていることにより、該シフトロッド90と共に軸方向D6に移動するようになっている。
1−2速用シフトフォーク144に対応するフォークゲート123(図13(b)参照)は、第2コントロールロッド42上の第2セット92の周囲に配設されている。該フォークゲート123を一端部に有するゲートアーム122の他端部は、例えばスプリングピン121によってシフトロッド90に固定された筒状部120に一体に連なっている。これにより、ゲートアーム122は、シフトロッド90を介して間接的にシフトフォーク144に連絡されている。
3−4速用シフトフォーク154は、第1コントロールロッド41に遊嵌支持されている。3−4速用シフトフォーク154は、第1コントロールロッド41上において第1セット91よりも車体後方側に配置されている。
3−4速用シフトフォーク154は、第1コントロールロッド41に遊嵌された筒状のシフトエンド150に一体に設けられている。シフトエンド150は、第1セット91のシフトフィンガ93よりも車体後方側において第1コントロールロッド41上を摺動可能とされている。3−4速用シフトフォーク154は、シフトエンド150を介して第1コントロールロッド41に遊嵌支持されていることにより、第1コントロールロッド41に対して相対的に軸方向D1に移動可能となっている。
3−4速用シフトフォーク154に対応するフォークゲート153(図13(a)参照)は、第1コントロールロッド41上の第1セット91の周囲に配設されている。該フォークゲート153を一端部に有するゲートアーム152の他端部は、シフトエンド150に一体に連なっている。
5−6速用シフトフォーク164は、第2コントロールロッド42に遊嵌支持されている。5−6速用シフトフォーク164は、第2コントロールロッド42上において第2セット92よりも車体後方側に配置されている。
5−6速用シフトフォーク164は、第2コントロールロッド42に遊嵌された筒状のシフトエンド160に一体に設けられている。シフトエンド160は、第2セット92のシフトフィンガ93よりも車体後方側において第2コントロールロッド42上を摺動可能とされている。5−6速用シフトフォーク164は、シフトエンド160を介して第2コントロールロッド42に遊嵌支持されていることにより、第2コントロールロッド42に対して相対的に軸方向D3に移動可能となっている。
5−6速用シフトフォーク164に対応するフォークゲート163は、第2コントロールロッド42上の第2セット92の周囲に配設されている。該フォークゲート163を一端部に有するゲートアーム162の他端部は、シフトエンド160に一体に連なっている。
図7に示すように、上述の変速機構4は、リバース用シフトイン機構として、上述した選択摺動式のリバース用ギヤ列GRを動力伝達状態とするための摺動機構180を備えており、変速操作機構40は、リバース用シフトイン部材として、摺動機構180を作動させるリバースアーム134を備えている。摺動機構180の構成については後に説明する。
図5、図7及び図14を参照しながら、リバースアーム134及びこれに関連する構成ついて説明する。
リバースアーム134は、第1セット91よりも車体前方側に配置されている。リバースアーム134は、第1コントロールロッド41に遊嵌された筒状のシフトエンド130に一体に設けられている。シフトエンド130は、第1セット91のシフトフィンガ93と第1レバーエンド60(図4参照)との間の軸方向範囲において第1コントロールロッド41上を摺動可能とされている。シフトエンド130には、径方向外側に延びるレバー部131が設けられている。
リバースアーム134は、シフトエンド130を介して第1コントロールロッド41に遊嵌支持されていることにより、第1コントロールロッド41に対して相対的に軸方向D1に移動可能となっている。
リバースアーム134に対応するリバースアームゲート133は、第1コントロールロッド41上の第1セット91の周囲に配設されている。リバースアームゲート133は、シフトエンド130のレバー部131から軸方向D1の車体後方側に延びるゲートアーム132の先端部に一体に設けられている。
変速操作機構40は、第1コントロールロッド41に平行に配置されたリバース用シフトロッド170を備えている。該シフトロッド170は、第1コントロールロッド41の斜め下方に配置されている。また、シフトロッド170は、第1コントロールロッド41、メインシャフト5及びカウンタシャフト8よりも車体幅方向の左側に配置されており、リバースシャフト9の上方に配置されている。リバースシャフト9の両端部は、例えば金属製のブッシュ171,172を介して変速機ケース1に摺動自在に支持されている。
リバース用シフトロッド170には、後述の摺動機構180のリバースレバー182を駆動するための駆動スリーブ135が嵌合されており、該駆動スリーブ135は、例えばスプリングピン139によってシフトロッド170に固定されている。
駆動スリーブ135には、径方向外側に突出した突出部136が一体に設けられている。突出部136には、シフトロッド170の軸方向D7に直角な接線方向に延びる例えばコ字状の係合溝137が設けられている。これにより、駆動スリーブ135は、係合溝137の側壁を構成する側面部136a,136bを備えている。これらの側面部136a,136bは、軸方向D7に直角な面で構成されており、相互に対向している。このように構成された係合溝137には、後述のリバースレバー182の一端部が係合される。
リバースアーム134は、第1コントロールロッド41上のシフトエンド130からシフトロッド170上の駆動スリーブ135にかけて直線状に延びるように設けられている。これにより、駆動スリーブ135は、リバースアーム134を介してシフトエンド130に一体化されている。これにより、シフトエンド130が第1コントロールロッド41上を軸方向D1に移動するとき、駆動スリーブ135とシフトロッド170は、シフトエンド130と同じ方向に軸方向D7に移動する。
上述したフォークゲート123,153,163及びリバースアームゲート133のシフトフィンガ93及びインターロック規制部材100に対する係合は、第1セット91と第2セット92に分担されている。具体的には、図13(a)に示すように、3−4速用フォークゲート153及びリバースアームゲート133が第1セット91に分担され、図13(b)に示すように、1−2速用及び5−6速用のフォークゲート123,163が第2セット92に分担されている。
図13(a)及び図13(b)に示すニュートラル状態において、シフトフィンガ93のレバー部94の周方向D2,D4位置は、第1セット91と第2セット92のいずれにおいても同じであり、フォークゲート123,153,163及びリバースアームゲート133は、全て異なる周方向D2,D4位置に配置されている。具体的には、軸方向D1,D3の車体後方側から見て、リバースアームゲート133、1−2速用フォークゲート123、3−4速用フォークゲート153、5−6速用フォークゲート163が、時計回り方向にこの順で並ぶように配置されている。
図13(a)に示すように、ニュートラル状態において、3−4速用フォークゲート153は、第1セット91のシフトフィンガ93のレバー部94に係合されており、リバースアームゲート133は、第1セット91のインターロック規制部材100の第1規制部103に係合されている。このとき、図13(b)に示すように、1−2速用フォークゲート123は、第2セット92のインターロック規制部材100の第1規制部103に係合され、5−6速用フォークゲート163は、第2セット92のインターロック規制部材100の第2規制部104に係合されている。
[摺動機構]
図5及び図7を参照しながら、摺動機構180の構成について説明する。
摺動機構180は、リバースシャフト9上に摺動可能に設けられたリバースアイドルギヤ30と、一端側において上記の駆動スリーブ135に係合され、他端側においてリバースアイドルギヤ30に係合されたリバースレバー182とを備えている。
リバースレバー182は、リバースシャフト9に直角な方向に延びる支軸3に、該支軸3の軸心周りに揺動可能に支持されている。支軸3は、リバース用シフトロッド170よりも下側且つリバースシャフト9よりも上側において、略水平方向に延びるように配置されている。支軸3の両端部は、変速機ケース1に設けられた一対の支持部2によって支持されている。支持部2は、例えばプレート状に形成されており、変速機ケース1に一体に設けられるか又は固定されている。
リバースレバー182は、支軸3に嵌合された筒状部183と、筒状部183から駆動スリーブ135の係合溝137に向かって上側へ延びる第1レバー部184と、筒状部183からリバースアイドルギヤ30に向かって下側へ延びる第2レバー部185とを備えている。
筒状部183は、支軸3に回動自在に支持されており、これにより、リバースレバー182が支軸3の軸心周りに揺動可能となっている。ただし、筒状部183は、支軸3に固定されて該支軸3と共に回動するように設けられてもよい。筒状部183は、一対の支持部2によって両側から挟み込まれており、これにより、支軸3の軸方向におけるリバースレバー182の移動が規制されている。
第1レバー部184の先端部は、駆動スリーブ135の係合溝137に係合される第1係合部184aとされている。第1係合部184aは、例えば円板状に形成されている(図7参照)。第1係合部184aは、リバースレバー182の揺動角度に関わらず常に、係合溝137の側面部136a,136bに直角に配置される。
第2レバー部185は、筒状部183から第1レバー部184とは反対側に延びるように設けられている。図5に示すように、第2レバー部185の基端(上端)は、リバースシャフト9の軸心よりも車体幅方向左側に位置し、第2レバー部185の先端(下端)は、リバースシャフト9よりも車体幅方向右側に位置している。第2レバー部185は、その基端(上端)から下方に延びた後、屈曲部を経て車体幅方向右側に延びて、更に屈曲部を経て先端(下端)まで下方へ延びている。
図7に示すように、第1レバー部184と第2レバー部185は、支軸3の軸方向から見て直線上に配置されている。第2レバー部55の先端部は、リバースアイドルギヤ30に係合される第2係合部185aとされている。第2係合部185aは、例えば円板状に形成されている。
リバースアイドルギヤ30は、リバースメインギヤ10とリバースカウンタギヤ20(図1及び図5参照)とに噛合可能なギヤ部187と、ギヤ部187よりも軸方向D9の車体後方側にフランジ状に設けられた鍔部188と、軸方向D9においてギヤ部187と鍔部188との間に形成された凹溝部189とを備えており、該凹溝部189に、リバースレバー182の第2係合部185aが係合されている。
リバースアイドルギヤ30は、互いに対向するように変速機ケース1に設けられた一対の壁面部1a,1b間に設けられており、リバースシャフト9上の中立位置(図7に示す摺動位置)に位置するときは一方の壁面部1aに当接し、リバースメインギヤ10とリバースカウンタギヤ20との噛合位置(図17に示す摺動位置)に位置するときは他方の壁面部1bに当接する。
第1コントロールロッド41上のリバース用シフトエンド130及びリバースアーム134と共に、リバース用シフトロッド170上の駆動スリーブ135が軸方向D7に移動すると、これに連動して、第1係合部184aにおいて駆動スリーブ135に係合されたリバースレバー182が支軸3の軸心周りに揺動する。これにより、リバースレバー182の第2係合部185aに係合されたリバースアイドルギヤ30が、リバースシャフト9上の中立位置(図7に示す摺動位置)からリバースメインギヤ10とリバースカウンタギヤ20との噛合位置(図17に示す摺動位置)へ摺動し、後退段での動力伝達状態が実現される。
[変速操作機構の動作]
以上のように構成された変速操作機構40は、チェンジレバー200(図3及び図4参照)のセレクト操作及びシフト操作に連動して、以下のような動作を行う。
先ず、図6、図9及び図15等を参照しながら、セレクト操作時における変速操作機構40の反転機構50の動作について説明する。
上述したように、第1レバーエンド60は第1コントロールロッド41に固定されており、スリーブ部材70は、第1レバーエンド60に対して相対回動が規制されている。また、スリーブ部材70に対する支持軸58及び反転レバー51の筒状部52の相対位置は一定である。
そのため、セレクト操作に連動して第1コントロールロッド41が回動されると、第1レバーエンド60、スリーブ部材70、支持軸58及び反転レバー51は、第1コントロールロッド41の軸心周りの周方向D2に該ロッド41と一体的に回動する。例えば、図15に示すように、リバースセレクト操作が行われると、第1コントロールロッド41、第1レバーエンド60、スリーブ部材70、支持軸58及び反転レバー51は、第1コントロールロッド41の軸心周りに、車体後方側から見て反時計回り方向に一体的に回動する。
このようにして第1コントロールロッド41の軸心周りに反転レバー51が回動すると、反転レバー51の第2レバー部55と第2レバーエンド80との係合部では、第2レバー部55の球状部56によって第2レバーエンド80の穴83の内周面が第2コントロールロッド42の周方向D4に押し込まれ、これにより、第2レバーエンド80及びこれが固定された第2コントロールロッド42は、該ロッド42の軸心周りの周方向D4に、第1コントロールロッド41とは反対方向に回動する。例えば、図15に示すリバースセレクト操作時に、第2コントロールロッド42は車体後方側から見て反時計回り方向に回動する。
以上のようにして、セレクト操作時における第1コントロールロッド41の回転運動は、反転機構50を介して第2コントロールロッド42に伝達される。これにより、セレクト操作時において、第2コントロールロッド42は、第1コントロールロッド41の回動に連動して、該ロッド41の回動方向とは反対方向に回動する。
次に、セレクト操作時における第1コントロールロッド41上の第1セット91及び第2コントロールロッド42上の第2セット92の動作について説明する。
上記のようにセレクト操作に連動して第1及び第2コントロールロッド41,42が回動すると、第1セット91のシフトフィンガ93及びインターロック規制部材100は第1コントロールロッド41と共に回動し、第2セット92のシフトフィンガ93及びインターロック規制部材100は第2コントロールロッド42と共に回動する。これにより、上記のフォークゲート123,153,163及びリバースアームゲート133のうち、セレクト操作により選択されたセレクト位置に対応するゲートに、第1又は第2セット91,92のいずれかのシフトフィンガ93のレバー部94が係合される。このとき、シフトフィンガ93に係合されたもの以外のゲートには、インターロック規制部材100の第1又は第2規制部103,104が係合される。
例えば、図13に示すニュートラル状態では、第1セット91のシフトフィンガ93のレバー部94が3−4速用フォークゲート153に係合されるが、図16に示すリバースセレクト状態では、第1セット91のシフトフィンガ93のレバー部94がリバースアームゲート133に係合される。
続いて、図6、図10及び図17等を参照しながら、シフト操作時における変速操作機構40の動作について説明する。
上記のように第1コントロールロッド41上の第1レバーエンド60に反転レバー51の第1レバー部53が係合されていることにより、シフト操作に連動して第1コントロールロッド41及びこれに固定された第1レバーエンド60が軸方向D1に移動すると、第1レバーエンド60の係合溝63の一対の側面部64,65のうちいずれか一方によって、第1レバー部53の係合部54が軸方向D1に押し込まれる。これにより、反転レバー51は、支持軸58の軸心周りの周方向D5に揺動される。
このように反転レバー51が揺動されると、該反転レバー51の第2レバー部55に係合された第2レバーエンド80は、第2レバー部55の球状部56によって穴83の内周面が第2コントロールロッド42の軸方向D3に押し込まれることで、第2レバーエンド80及びこれが固定された第2コントロールロッド42は、軸方向D3に移動される。
反転レバー51が揺動するとき、第2レバー部55の球状部56は、軸方向D3に関して、第1レバー部53の係合部54とは反対方向に移動する。したがって、シフト操作時において、第2コントロールロッド42は、第1コントロールロッド41とは反対方向に移動する。例えば、図17に示すリバースシフト操作時には、第1コントロールロッド41は、軸方向D1の車体後方側へ移動し、第2コントロールロッド42は、軸方向D3の車体前方側へ移動する。
以上のようにして、シフト操作時における第1コントロールロッド41の並進運動は、反転機構50を介して第2コントロールロッド42に伝達される。これにより、シフト操作時において、第2コントロールロッド42は、第1コントロールロッド41の軸方向D1への移動に連動して、該ロッド41の移動方向とは反対側に向かって軸方向D3に移動する。
このようにしてシフト操作に連動して第1及び第2コントロールロッド41,42が軸方向D3に移動すると、これらのロッド41,42に固定された第1及び第2セット91,92のシフトフィンガ93、及び、一方のシフトフィンガ93に係合されたゲート123,133,153,163も軸方向D1,D3に移動する。例えば、図17に示すリバースシフト操作時には、第1セット91のシフトフィンガ93に係合されたリバースアームゲート133が車体後方側へ軸方向D1に移動し、これと一体にリバース用シフトエンド130、リバースアーム134及び駆動スリーブ135も同方向へ移動することで、上述の摺動機構180が作動されて、リバース用ギヤ列GRが動力伝達状態となる。
このとき、シフトフィンガ93に係合されていない他のフォークゲート123,153,163は、インターロック規制部材100との係合によって軸方向D1,D3への移動が規制されるため、同時に複数のシフトイン機構が作動することが防止され、これにより、変速機構4のインターロックが回避される。
以上のように構成された変速操作機構40では、シフト操作時において、第2セット92が設けられた第2コントロールロッド42の移動方向が、反転機構50によって第1コントロールロッド41の移動方向に対して反転されている。そのため、第2セット92に選択的に係合される1−2速用シフトフォーク144及び5−6速用シフトフォーク164のシフト操作時の移動方向は、シフト操作方向(図2参照)とは反対方向になる。
この結果、図2に示すシフトパターン202に従って車体前方側へのシフト操作が行われる1速、3速、5速への変速時には、対応するシフトフォーク144,154,164及びシンクロスリーブ32a,33a,34a(図1参照)も車体前方側へ移動することで、所望の変速段のギヤ列G1,G3,G5(図1参照)を動力伝達状態とすることができる。同じく車体前方側へのシフト操作が行われるリバースへの変速操作時には、リバースアーム134の車体後方側への移動に連動して、上述のようにリバースアイドルギヤ30が車体前方側へ移動することで、リバース用ギヤ列GR(図1参照)が動力伝達状態となる。
一方、車体後方側へのシフト操作が行われる2速、4速、6速への変速操作時には、対応するシフトフォーク144,154,164及びシンクロスリーブ32a,33a,34a(図1参照)が車体後方側へ移動することで、所望の変速段のギヤ列G2,G4,G6(図1参照)を動力伝達状態とすることができる。
したがって、上記のように反転機構50が設けられた変速操作機構40によって、図1に示すような並び順でギヤ列G0,G1,G2,G3,G4,G5,GR及び同期装置32,33,34が配置された変速機構4の変速を適正に実行できる。そして、このように変速機構4が構成されることで、最も大きなトルクがかかる1速用ギヤ列G1を2速用ギヤ列G2に比べて軸受17,27に近づけて配置できたり、直結変速段である6速のときに入力軸6に直結される出力軸7の嵌合部7aを他の全ての変速段のギヤ列G1,G2,G3,G4,G5,GRよりも車体後方側に配置できたり、これにより、使用頻度の高い6速を直結変速段としたアウトプットリダクションタイプの変速機構4を構築できたりするなどといった利点が得られる。
そして、上記の反転機構50によれば、1−2速用シフトフォーク144及び5−6速用シフトフォーク164のシフト操作時の移動方向を1つの反転レバー51によって反転させることができるため、仮に複数のシフトフォークの移動方向を反転させるためにシフトフォーク毎に反転レバーを設ける場合に比べて、反転レバー及びこれに付随する部品の点数を削減できると共に、変速操作機構40の軽量化を図ることができる。
また、反転レバー51を支持する支持軸58は、第1コントロールロッド41に嵌合されたスリーブ部材70に取り付けられているため、仮に変速機ケース1に支持軸58が取り付けられる場合に比べて、変速機ケース1に、支持軸58の端部を支持させるための取付穴やボス部を設ける必要がなく、簡素な構成で反転レバー51を支持することができる。
さらに、上記の反転機構50は、第1及び第2コントロールロッド41,42間でシフト操作時の移動方向を反転させる機能に加えて、第1及び第2コントロールロッド41,42間でセレクト運動の伝達を行う機能を兼ね備えているため、セレクト専用の伝達機構が省略されることで、部品点数の削減、並びに変速操作機構40の構成の簡素化、コンパクト化及び軽量化を図ることができる。
ところで、図5に示すように、3−4速用同期装置33及び5−6速用同期装置34が設けられたメインシャフト5は、第1及び第2コントロールロッド41,42のいずれに対しても比較的近くに配置されている。
これに対して、1−2速用同期装置32が設けられたカウンタシャフト8は、メインシャフト5の下方に配置されており、メインシャフト5の上方に位置する第1コントロールロッド41までの距離に比べて、メインシャフト5の右側に位置する第2コントロールロッド42までの距離が小さい。
また、摺動機構180のリバースアイドルギヤ30が設けられたリバースシャフト9と、リバースレバー182の一端側に係合される駆動スリーブ135が設けられたリバース用シフトロッド170とは、メインシャフト5及びカウンタシャフト8の左側に配置されており、メインシャフト5の右側に位置する第2コントロールロッド42までの距離に比べて、メインシャフト5の上方に位置する第1コントロールロッド41までの距離が小さい。
そして、このような位置関係に合わせて、上記の同期装置32,33,34及び摺動機構180に対応するゲート123,133,153,163の係合相手は、第1コントロールロッド41上の第1セット91と、第2コントロールロッド42上の第2セット92に分担されている。
具体的には、第1コントロールロッド41の比較的近くに配置された3−4速用同期装置33及び摺動機構180に対応するフォークゲート153及びリバースアームゲート133は、第1コントロールロッド41上の第1セット91に分担され、第2コントロールロッド42の比較的近くに配置された1−2速用同期装置32及び5−6速同期装置34に対応するフォークゲート123,163は、第2コントロールロッド42上の第2セット92に分担されている。
そのため、前進段用の各シフトフォーク144,154,164、リバースアーム134、及び各ゲートアーム122,132,152,162を、コンパクトで簡素な形状に構成することができる。
また、同期装置32,33,34及び摺動機構180は、第1セット91及び第2セット92との位置関係に合わせて分散して配置されている。具体的には、メインシャフト5上に3−4速用同期装置33及び5−6速同期装置34が配置され、メインシャフト5の下方に位置するカウンタシャフト8上に1−2速用同期装置32が配置され、メインシャフト5の左側に位置するリバースシャフト9上に摺動機構180が配置されている。
そのため、各同期装置32,33,34及び摺動機構180の構成部品、並びに、これに関連する変速操作機構40の構成部品(例えば、シフトフォーク144,154,164、リバースアーム134及びゲートアーム122,132,152,162)のレイアウト自由度が高くなる。したがって、例えば、摺動機構180のリバースアイドルギヤ30の摺動スペースやリバースレバー182の揺動スペースを確保しやすくなる。
また、以上の変速操作機構40によれば、第1コントロールロッド41に3−4速用シフトフォーク154が遊嵌支持され、第2コントロールロッド42に5−6速用シフトフォーク164が遊嵌支持されているため、これらのシフトフォーク154,164を支持するための専用のシフトロッドを廃止することができる。したがって、変速操作機構40の部品点数の低減、コンパクト化及び軽量化を図ることができると共に、変速操作機構40の構成部品のレイアウト自由度が更に向上する。
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
例えば、上述の実施形態では、コントロールロッド41,42が2本設けられ、各コントロールロッドにシフトフィンガセット91,92が1組ずつ設けられる例を説明したが、本発明は、1本のコントロールロッドに複数組のシフトフィンガセットが設けられることを妨げるものでなく、また、1組以上のシフトフィンガセットが設けられたコントロールロッドが3本以上設けられてもよい。
また、上述の実施形態では、各シフトフィンガセットに2本のシフトフォークが選択的に係合される例を説明したが、本発明において、各シフトフィンガセットに分担されるシフトフォークの本数は特に限定されるものでない。
さらに、本発明において、各シフトフォークを支持するための構成は上記の構成に限定されるものでなく、種々の変更が可能である。例えば、上述の実施形態では、第2コントロールロッド42に2本のシフトフォークが遊嵌支持され、シフトロッド90に2本のシフトフォークが支持される例を説明したが、本発明において、各シフトフォークはいずれのロッドに支持されてもよいし、シフトロッドの本数も限定されるものでなく、例えば、シフトロッドを廃止して、全てのシフトフォークを第2コントロールロッド42に遊嵌支持させてもよい。
また、上述の実施形態では、変速機構4のリバース用ギヤ列GRが選択摺動式である例を説明したが、本発明は、リバース用ギヤ列が常時噛み合い式である場合にも適用可能である。この場合、常時噛み合い式のリバース用ギヤ列は、メインシャフト5とこれに平行なリバースシャフト9との間に設けられた一対のギヤ列で構成されてもよく、該一対のギヤ列を構成する4つのギヤのうち、リバースシャフト9に設けられた一方のギヤが遊嵌ギヤとされ、該遊嵌ギヤをリバースシャフト9に固定させる同期装置がリバースシャフト9上に設けられてもよい。
この場合も、リバース用同期装置と前進段用同期装置が、上述の実施形態と同様に分散して配置されることで、上述の実施形態と同様の効果が得られる。また、この場合、リバース用ギヤ列GRにおいて、リバースシャフト9上の中間ギヤは、通例、カウンタシャフト8上のドリブンギヤに比べて小径となることから、リバースシャフト9に設けられたリバース用同期装置の同期に要するトルク(同期トルク)は、仮にカウンタシャフト8にリバース用同期装置が設けられる場合に比べて小さくなる。そのため、リバース用同期装置として、1つのシンクロナイザリングとこれが押し付けられる1つのコーン面とを有する所謂シングルコーンタイプのものを使用しても、十分な同期トルクを得ることができる。したがって、所謂トリプルコーンタイプのものを使用する場合に比べて、前進走行時におけるコーン面での引き摺り抵抗を軽減でき、これにより、回転抵抗が軽減されることで、燃費性能の向上を図ることができる。
さらに、上述の実施形態では、チェンジレバー200がチェンジロッド190を介して第1コントロールロッド41に連絡される例を説明したが、本発明は、チェンジレバーと第1コントロールロッドが、チェンジロッドを介することなく直接的に連結される場合、或いは、セレクトケーブル及びシフトケーブルを介して連絡される場合にも適用可能である。