JP6368862B1 - 脂肪乳剤、及びその製造方法、脂肪乳剤の安定性を向上させる方法、並びに脂肪乳剤の安定性向上剤 - Google Patents
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Abstract
Description
(1)フルルビプロフェンアキセチルと、水と、植物油と、卵黄レシチンと、グリセリンと、ヒスチジン又はその塩と、を含有し、
ヒスチジン又はその塩の含有量が、フルルビプロフェンアキセチル1質量部に対して、ヒスチジン換算の総量で0.025質量部以上0.19質量部以下である、脂肪乳剤。
(2)リン酸、クエン酸、コハク酸、マレイン酸及びマロン酸からなる群より選択される少なくとも1種の酸の総含有量が、脂肪乳剤の全量を基準として、0.05質量%以下である、(1)に記載の脂肪乳剤。
(3)加熱加圧滅菌した直後のフルルビプロフェンの含有量が、脂肪乳剤の全量を基準として、0.1mg/mL以下である、(1)又は(2)に記載の脂肪乳剤。
(4)前記卵黄レシチンは、ホスファチジルエタノールアミンの含有量が0質量%以上20質量%以下である、(1)〜(3)のいずれかに記載の脂肪乳剤。
(5)フルルビプロフェンアキセチルを含有する脂肪乳剤の製造方法であって、
フルルビプロフェンアキセチル、水、植物油、卵黄レシチン、グリセリン及びヒスチジン又はその塩を含有する乳化組成物を調製する工程と、
前記乳化組成物を加熱加圧滅菌する工程と、を含む、製造方法。
(6)前記乳化組成物中のヒスチジン又はその塩の含有量が、フルルビプロフェンアキセチル1質量部に対して、ヒスチジン換算の総量で0.025質量部以上0.19質量部以下である、(5)に記載の製造方法。
(7)フルルビプロフェンアキセチルを含有する脂肪乳剤の安定性を向上させる方法であって、
フルルビプロフェンアキセチル、水、植物油、卵黄レシチン、グリセリン及びヒスチジン又はその塩を含有する乳化組成物を調製する工程と、
前記乳化組成物を加熱加圧滅菌する工程と、を含む、方法。
(8)前記乳化組成物中のヒスチジン又はその塩の含有量が、フルルビプロフェンアキセチル1質量部に対して、ヒスチジン換算の総量で0.025質量部以上0.19質量部以下である、(7)に記載の方法。
(9)フルルビプロフェンアキセチルを含有する脂肪乳剤の安定性向上剤であって、
ヒスチジン又はその塩を有効成分として含有する、安定性向上剤。
(脂肪乳剤)
本発明は、フルルビプロフェンアキセチルと、水と、植物油と、卵黄レシチンと、グリセリンと、ヒスチジン又はその塩と、を含有し、ヒスチジン又はその塩の含有量が、フルルビプロフェンアキセチル1質量部に対して、ヒスチジン換算の総量で0.025質量部以上0.19質量部以下である、脂肪乳剤を提供することに特徴を有する。
本発明はまた、フルルビプロフェンアキセチル、水、植物油、卵黄レシチン、グリセリン及びヒスチジン又はその塩を含有する乳化組成物を調製する工程と、当該乳化組成物を加熱加圧滅菌する工程と、を含む、フルルビプロフェンアキセチルを含有する脂肪乳剤の製造方法を提供することに特徴を有する。
本発明はさらに、フルルビプロフェンアキセチル、水、植物油、卵黄レシチン、グリセリン及びヒスチジン又はその塩を含有する乳化組成物を調製する工程と、当該乳化組成物を加熱加圧滅菌する工程と、を含む、フルルビプロフェンアキセチルを含有する脂肪乳剤の安定性を向上させる方法を提供することに特徴を有する。
本発明はさらにまた、ヒスチジン又はその塩を有効成分として含有する、フルルビプロフェンアキセチルを含有する脂肪乳剤の安定性向上剤を提供することに特徴を有する。
フルルビプロフェンアキセチルは、(±)−1−アセトキシエチル2−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)プロピオネートとも称される化合物である。フルルビプロフェンアキセチルには、鎮痛作用が知られており、鎮痛剤として利用されている。フルルビプロフェンアキセチルとしては、薬学上許容されるものであれば、特に制限なく使用することができる。
本実施形態に係る脂肪乳剤中のフルルビプロフェンアキセチルの含有量は、脂肪乳剤の用法及び用量、脂肪乳剤に含まれる他の成分等に応じて適宜設定することができる。フルルビプロフェンアキセチルの含有量は、脂肪乳剤全量を基準として、通常1mg/mL以上20mg/mL以下であり、8mg/mL以上12mg/mL以下であってもよい。
フルルビプロフェンアキセチルは、常法に従って合成したものを使用してもよく、また市販されているものを使用してもよい。
ヒスチジンは、アミノ酸の一種であり、2−アミノ−3−(1H−イミダゾ−4−イル)プロピオン酸とも称される。ヒスチジンとしては、薬学上許容されるものであれば、特に制限なく使用することができる。
本実施形態に係る脂肪乳剤中のヒスチジン又はその塩の含有量は、脂肪乳剤の用法及び用量、脂肪乳剤に含まれる他の成分等に応じて適宜設定することができる。ヒスチジン又はその塩の含有量は、脂肪乳剤全量を基準として、ヒスチジン換算の総量で通常0.025質量%以上0.2質量%以下であり、0.05質量%以上0.15質量%以下であってもよい。本明細書において、「ヒスチジン換算の含有量」とは、ヒスチジンの塩の分子量をヒスチジンの分子量に換算したときの含有量を意味し、「ヒスチジン換算の総量」とは、ヒスチジン換算の含有量の総和を意味する。
本実施形態に係る脂肪乳剤中のヒスチジン又はその塩の含有量は、フルルビプロフェンアキセチル1質量部に対して、ヒスチジン換算の総量で0.025質量部以上0.19質量部以下である。ヒスチジン又はその塩の含有量がこの範囲内にあることで、主剤(フルルビプロフェンアキセチル)の分解抑制効果、及び脂肪乳剤のpH低下抑制効果が顕著に発揮される。また、ヒスチジン又はその塩の含有量が0.19質量%以下であると、加熱加圧滅菌した後の脂肪乳剤の平均粒子径を400nm以下に保つことができるため、乳化をより安定化することができる。これらの効果をより一層顕著に発揮できることから、ヒスチジン又はその塩の含有量は、フルルビプロフェンアキセチル1質量部に対して、ヒスチジン換算の総量で0.025質量部以上0.15質量部以下であることが好ましく、0.05質量部以上0.15質量部以下であることがより好ましい。
本実施形態に係る脂肪乳剤中のヒスチジン又はその塩の含有量は、卵黄レシチン1質量部に対して、ヒスチジン換算の総量で0.02質量部以上0.15質量部以下であることが好ましい。ヒスチジン又はその塩の含有量がこの範囲内にあることで、主剤(フルルビプロフェンアキセチル)の分解抑制効果、及び脂肪乳剤のpH低下抑制効果が顕著に発揮される。これらの効果をより一層顕著に発揮できることから、ヒスチジン又はその塩の含有量は、卵黄レシチン1質量部に対して、ヒスチジン換算の総量で0.04質量部以上0.15質量部以下であることがより好ましい。
ヒスチジン又はその塩は、常法に従って合成又は精製したものを使用してもよく、また市販されているものを使用してもよい。
植物油は、薬学上許容されるものであれば、特に制限なく使用することができる。植物油の具体例としては、ダイズ油、オリーブ油、ゴマ油、ナタネ油、ラッカセイ油、ヒマワリ油、トウモロコシ油、サフラワー油、綿実油及び中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)が挙げられる。植物油としては、ダイズ油、オリーブ油及びゴマ油が好ましく、ダイズ油がより好ましい。植物油は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本実施形態に係る脂肪乳剤中の植物油の含有量は、脂肪乳剤の用法及び用量、脂肪乳剤に含まれる他の成分等に応じて適宜設定することができる。植物油の含有量は、脂肪乳剤全量を基準として、通常50mg/mL以上150mg/mL以下であり、80mg/mL以上120mg/mL以下であってもよい。
植物油は、常法に従って搾取又は精製したものを使用してもよく、また市販されているものを使用してもよい。市販されている植物油としては、例えば、「日本薬局方 ダイズ油」(カネダ株式会社製)、「大豆油YM」(日清オイリオグループ株式会社製)、「日本薬局方 ゴマ油」(カネダ株式会社製)、「日本薬局方 オリブ油」(カネダ株式会社製)、「ココナードMT」(花王株式会社製)、「ココナードRK」(花王株式会社製)、「日本薬局方 ラッカセイ油」(カネダ株式会社製)、「日本薬局方 トウモロコシ油」(カネダ株式会社製)、「日本薬局方 ナタネ油」(カネダ株式会社製)等が挙げられる。
卵黄レシチンは、卵黄由来のリン脂質を主成分とする脂質である。卵黄由来のリン脂質には、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸等のグリセロリン脂質、スフィンゴミエリン等のスフィンゴリン脂質等の1種又は2種以上が含まれ得る。卵黄レシチンとしては、薬学上許容されるものであれば、特に制限なく使用することができる。卵黄レシチンは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
卵黄レシチンは、卵黄レシチン中のホスファチジルエタノールアミンの含有量が0質量%以上20質量%以下であることが好ましい。卵黄レシチン中のホスファチジルエタノールアミンの含有量がこのように低減されていることにより、主剤(フルルビプロフェンアキセチル)の分解抑制効果、及び脂肪乳剤のpH低下抑制効果がより一層顕著に発揮される。同様の観点から、卵黄レシチン中のホスファチジルエタノールアミンの含有量が0質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。なお、2種以上の卵黄レシチンを組み合わせて使用する場合は、組み合わせた卵黄レシチンの全量を基準として、ホスファチジルエタノールアミンの総含有量が上記範囲内にあればよい。
本実施形態に係る脂肪乳剤中の卵黄レシチンの含有量は、脂肪乳剤の用法及び用量、脂肪乳剤に含まれる他の成分等に応じて適宜設定することができる。卵黄レシチンの含有量は、脂肪乳剤全量を基準として、通常10mg/mL以上20mg/mL以下であり、12mg/mL以上18mg/mL以下であってもよい。
卵黄レシチンは、卵黄を原料として常法に従って得ることができる。卵黄レシチンは、市販されているものを使用してもよい。市販されている卵黄レシチンとしては、例えば、卵黄レシチンPL−100M(キユーピー株式会社製)、精製卵黄レシチンPC−98N(キユーピー株式会社製)が挙げられる。ホスファチジルエタノールアミンの含有量が低減された卵黄レシチンは、例えば、カラムクロマトグラフィーを用いた精製により得ることができ、また、市販されているものとして、例えば、精製卵黄レシチンPC−98N(キユーピー株式会社製)が挙げられる。
グリセリンとしては、薬学上許容されるものであれば、特に制限なく使用することができる。
本実施形態に係る脂肪乳剤中のグリセリンの含有量は、脂肪乳剤の用法及び用量、脂肪乳剤に含まれる他の成分等に応じて適宜設定することができる。グリセリンの含有量は、脂肪乳剤全量を基準として、通常10mg/mL以上30mg/mL以下であり、20mg/mL以上25mg/mL以下であってもよい。
グリセリンは、常法に従って合成又は精製したものを使用してもよく、また市販されているものを使用してもよい。
本実施形態に係る脂肪乳剤に使用する水は、薬学上許容できるものであれば特に制限されない。水としては、例えば、第十六改正日本薬局方に定義される、蒸留水、常水、精製水、滅菌精製水、注射用水及び注射用蒸留水等を挙げることができる。水は、脂肪乳剤の量が所望の量になるよう残部に添加すればよい。
本実施形態に係る乳化組成物は、種々の公知の乳化方法により調製することができる。乳化組成物の調製方法の一例として、例えば、以下の方法が挙げられる。植物油中に卵黄レシチン及びフルルビプロフェンアキセチルを分散させた後、水、グリセリン及びヒスチジン又はその塩を添加し、激しく振盪攪拌し予備乳化を行う。予備乳化した混合液を乳化機で乳化する。乳化液にpH調整剤を添加し、目的のpHに調整することで乳化組成物を得ることができる。ヒスチジン又はその塩は、pH調整剤と共に乳化液に添加してもよい。
上述した方法により調製された乳化組成物は、目的とする製剤形態に応じた容器等に封入した後、加熱加圧滅菌処理を行ってもよい。加熱加圧滅菌は、例えば、110℃以上130℃以下の温度、0.1MPa以上0.3MPa以下の圧力で1分以上1時間以下処理することで行うことができる。容器としては、例えば、アンプル管、バイアル瓶、プレフィルドシリンジ等が挙げられる。本実施形態に係る乳化組成物は、ヒスチジン又はその塩を含有しているため、加熱加圧滅菌処理したときの主剤(フルルビプロフェンアキセチル)の分解及びpHの低下を顕著に抑制できる。
本実施形態に係る脂肪乳剤は、上述した方法により調製された乳化組成物そのものであってもよく、また加熱加圧滅菌処理を経て製剤化されたものであってもよい。
本実施形態に係る脂肪乳剤は、リン酸、クエン酸、コハク酸、マレイン酸及びマロン酸からなる群より選択される少なくとも1種の酸を実質的に含有しないことが好ましい。これらの酸は、主剤(フルルビプロフェンアキセチル)の分解、及び脂肪乳剤のpH低下を抑制できないのみならず、逆に促進する場合があるからである。したがって、本実施形態に係る脂肪乳剤は、リン酸、クエン酸、コハク酸、マレイン酸及びマロン酸からなる群より選択される少なくとも1種の酸の総含有量が、脂肪乳剤の全量を基準として、0.05質量%以下であることが好ましく、0.025質量%以下であることがより好ましい。これらの酸の総含有量の下限は0質量%であってよい。
本実施形態に係る脂肪乳剤は、当該脂肪乳剤を加熱加圧滅菌処理したときの主剤(フルルビプロフェンアキセチル)の分解を顕著に抑制できると共に、長期間保存したときの主剤の分解も顕著に抑制されている。フルルビプロフェンは、フルルビプロフェンアキセチルが分解することで生じる成分の一つである。したがって、本実施形態に係る脂肪乳剤は、当該脂肪乳剤中のフルルビプロフェンアキセチルの分解物であるフルルビプロフェンの含有量が所定値以下であってもよい。
本実施形態に係る脂肪乳剤のpHは、脂肪乳剤の用法及び用量、脂肪乳剤に含まれる成分等に応じて適宜設定することができる。本実施形態に係る脂肪乳剤のpHは、通常3以上8以下であり、4以上7以下であってもよい。
本実施形態に係る脂肪乳剤の平均粒子径は、特に制限されるものではないが、450nm以下であってもよい。これにより、注射剤として適したものとなる。同様の観点から、脂肪乳剤の平均粒子径は、150nm以上400nm以下であってもよい。本明細書において、脂肪乳剤の平均粒子径とは、体積基準の平均粒子径を意味する。脂肪乳剤の平均粒子径は、例えば、粒度分布測定装置(例えば、コールターN4Plusサブミクロン粒度分布測定装置,ベックマン・コールター株式会社製)により測定することができる。脂肪乳剤の平均粒子径は、例えば、乳化条件を変更することにより調整することができる。より具体的には、例えば、乳化機の処理圧力を50MPa以上200MPa以下とすること、乳化機に通液するパス回数を3パス以上30パス以下とすること等により、脂肪乳剤の平均粒子径を上述の範囲内に調整することができる。
本実施形態に係る脂肪乳剤の製剤形態は、特に制限されないが、例えば、注射剤、経口剤等であってもよい。
本発明は、フルルビプロフェンアキセチル、水、植物油、卵黄レシチン、グリセリン及びヒスチジン又はその塩を含有する乳化組成物を調製する工程と、乳化組成物を加熱加圧滅菌する工程と、を含む、フルルビプロフェンアキセチルを含有する脂肪乳剤の安定性を向上させる方法と捉えることもできる。
本発明は、ヒスチジン又はその塩が、フルルビプロフェンアキセチルを含有する脂肪乳剤において、当該脂肪乳剤を加熱加圧滅菌処理したときの主剤(フルルビプロフェンアキセチル)の分解及びpHの低下を顕著に抑制できると共に、長期間保存したときの主剤の分解及びpHの低下も顕著に抑制できることを見出したことに基づいている。したがって、本発明の一側面として、ヒスチジン又はその塩を有効成分として含有する、フルルビプロフェンアキセチルを含有する脂肪乳剤の安定性向上剤が提供される。
<フルルビプロフェンの定量>
フルルビプロフェンアキセチルの分解産物の一つであるフルルビプロフェンは、高速液体クロマトグラフィー(日本ウォーターズ社製)を使用し、以下の条件により定量した。
カラム:Waters Eclipse XDB−C18(4.6×150mm,5μm)
移動相:アセトニトリル:水:トリフルオロ酢酸=60:40:0.1
検出方法:UV(264nm)
流速:1mL/min
温度:50℃
乳化組成物又は脂肪乳剤の平均粒子径は、粒度分布測定装置(コールターN4Plusサブミクロン粒度分布測定装置,ベックマン・コールター株式会社製)を使用し、体積基準の平均粒子径として求めた。
乳化組成物又は脂肪乳剤のpHは、pHメーター(卓上型pHメータ,株式会社堀場製作所製)により測定した。
各試験例において特記しない限り、乳化組成物は以下の方法により調製した。
卵黄レシチン6g(卵黄レシチンPL−100M,キユーピー株式会社製)フルルビプロフェンアキセチル5g(和光純薬工業株式会社製)を大豆油50g(日局 ダイズ油,カネダ株式会社製)に分散させた後、水400mL、グリセリン22g(日局 濃グリセリン,阪本薬品工業株式会社製)を添加し、激しく振盪攪拌して予備乳化を行った。予備乳化した混合液を乳化機(高圧ホモジェナイザーLAB200,株式会社エスエムテー製)で70MPa 10パスの条件で乳化した。乳化液に各種緩衝剤又はヒスチジン(L−ヒスチジン,関東化学株式会社製)を添加した後、pH調整剤(塩酸又は水酸化ナトリウム)を添加し、目的のpH(6.0以上7.0以下)に調整し、全体の重量が500gになるように水を添加することで乳化組成物を得た。
加熱加圧滅菌処理(以下、単に「滅菌処理」ともいう。)は、乳化組成物を5mLアンプルに分注した後、121℃、0.1MPaの条件下で20分間行った。
苛酷試験は、脂肪乳剤を60℃で6週間保存することにより行った。フルルビプロフェンの定量、及びpH測定は、苛酷試験開始後0週間、2週間、4週間及び6週間の時点で実施した。なお、苛酷試験4週間は、常温保存2年間に相当する。
緩衝剤として、リン酸とクエン酸の併用(比較例1:リン酸0.035質量%,クエン酸0.015質量%)、クエン酸(比較例2)、リン酸(比較例3)、コハク酸(比較例4)、マレイン酸(比較例5)、マロン酸(比較例6)又はヒスチジン(実施例1)をそれぞれ0.05質量%となるように添加して、フルルビプロフェンアキセチルを含有する乳化組成物を調製した。各実施例及び比較例の乳化組成物に対して、滅菌処理を行い、各実施例及び比較例の脂肪乳剤を得た。
ヒスチジンの含有量を0.025質量%(実施例2)、0.05質量%(実施例3)、0.1質量%(実施例4)、0.2質量%(実施例5)又は0.3質量%(実施例6)とした乳化組成物を調製した。また、緩衝剤として、リン酸とクエン酸を併用した比較例7の乳化組成物(リン酸0.02質量%,クエン酸0.01質量%)と、緩衝剤を添加していない乳化組成物(比較例8)を調製した。各実施例及び比較例の乳化組成物に対して、滅菌処理を行い、各実施例及び比較例の脂肪乳剤を得た。
緩衝剤として、ヒスチジンを0.1質量%添加した乳化組成物(実施例7)及びリン酸とクエン酸を併用した乳化組成物(比較例9:リン酸0.02質量%,クエン酸0.01質量%)を調製し、滅菌処理を行い実施例7及び比較例9の脂肪乳剤を得た。また、比較対照として、市販されているフルルビプロフェンアキセチル含有脂肪乳剤(ロピオン(登録商標),科研製薬株式会社)(比較例10)を用意した。
緩衝剤として、リン酸とクエン酸を併用した乳化組成物(比較例11:リン酸0.02質量%,クエン酸0.01質量%)を調製し、滅菌処理を行い比較例11の脂肪乳剤を得た。また、比較例11の乳化組成物に更にヒスチジン0.1質量%を添加した乳化組成物(実施例8)を調製し、滅菌処理を行い実施例8の脂肪乳剤を得た。
緩衝剤として、ヒスチジンを0.1質量%添加した乳化組成物(実施例9)及びリン酸とクエン酸を併用した乳化組成物(比較例12:リン酸0.02質量%,クエン酸0.01質量%)を調製し、滅菌処理を行い実施例9及び比較例12の脂肪乳剤を得た。また、卵黄レシチンとして、PL−100M(キユーピー株式会社製)及びPC−98N(キユーピー株式会社製,ホスファチジルエタノールアミン含有量0.1質量%以下)を1:2で混合したもの(PE含量6%)を使用し、緩衝剤として、ヒスチジンを0.1質量%添加した乳化組成物(実施例10)を調製し、滅菌処理を行い実施例10の脂肪乳剤を得た。
Claims (3)
- フルルビプロフェンアキセチルを含有する脂肪乳剤の安定性を向上させる方法であって、
フルルビプロフェンアキセチル、水、植物油、卵黄レシチン、グリセリン及びヒスチジン又はその塩を含有する乳化組成物を調製する工程と、
前記乳化組成物を加熱加圧滅菌する工程と、を含み、
安定性向上が、フルルビプロフェンアキセチルの分解の抑制、及び/又は脂肪乳剤のpHの低下の抑制である、方法。 - 請求項1に記載の方法において、
前記乳化組成物中のヒスチジン又はその塩の含有量が、フルルビプロフェンアキセチル1質量部に対して、ヒスチジン換算の総量で0.025質量部以上0.19質量部以下である、方法。 - フルルビプロフェンアキセチルを含有する脂肪乳剤の安定性向上剤であって、
ヒスチジン又はその塩を有効成分として含有し、
安定性向上が、加熱加圧滅菌処理時のフルルビプロフェンアキセチルの分解の抑制、及び/又は脂肪乳剤のpHの低下の抑制である、安定性向上剤。
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